(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜5のいずれか1項記載の方法により製造された積層押出品を含んでなり、前記バリア層が動的に加硫され、前記接着剤層がジエンベースゴムと共硬化可能である積層品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本発明の好ましい適用は、タイヤインナーライナー及びバリアフィルム用の熱可塑性エラストマー組成物、さらに特に、空気のみならず液体等の流体に対して優れた耐久性及び不透過性を示す熱可塑性エラストマー組成物に関する。好ましい組成特徴は、連続ポリアミド熱可塑性マトリックスに分散した加硫粒子の形態の分散したハロゲン化、好ましくは臭素化イソブチレンエラストマーの含量が増大され又は最大にされていることに関する。さらに、本発明の特に好ましい態様は、小径粒子を含むゴムドメインを備えることができ、さらに該ドメインも高い伸張性及び弾性がある熱可塑性エラストマー組成物を製造するのに適した効率的なミキシング方法に関する。さらに、本発明は、上記組成物を用いる空気タイヤ及びホースの製造方法を包含する。好ましいエラストマーは低い透過性を示し、好ましくはハロゲン化イソブチレン含有エラストマー等のポリマー、特に好ましくは臭素化エラストマー、特に臭素化イソブチレン-コ-パラメチルスチレンポリマーであり;特に好ましくは高含量の以下に説明する構造を示すブロモブチルエラストマーであり;かつ市販のブロモブチルエラストマー、或いは互いに1種以上の上記臭素化エラストマー又は他のポリマーとのそのブレンドも好ましい。
【0011】
特許請求の範囲を含め、本明細書全体を通じて、下記用語は示した意味を有する。
用語ポリマーを用いてホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等を表す。同様に、コポリマーは、少なくとも2種のモノマーと、必要に応じて他のモノマーを含んでなるポリマーを表す。全ての分子量は、特に指定のない限り、重量平均分子量である。
ポリマーが、あるモノマーを含むと言うとき、そのモノマーは該モノマーの重合形又は該モノマーの誘導体形でポリマー中に存在する。しかしながら、参照しやすいように、「(それぞれの)モノマーを含んでなる」等のフレーズを省略表現として使用する。同様に、触媒成分が該成分の中性安定形を構成すると記載されている場合、当業者は該成分の活性形は、モノマーと反応してポリマーを生じさせる形であることをよく理解している。
イソオレフィンは、同一炭素に2つの置換を有するいずれのオレフィンモノマーをも意味する。
マルチオレフィンは、2つの二重結合を有するいずれのモノマーをも意味する。好ましい実施形態では、マルチオレフィンは2つの共役二重結合を含むいずれのモノマーでもあり、例えば共役ジエン様イソプレンである。
本明細書では、エラストマーは、ASTM D1566定義と一致するいずれのポリマー又はポリマーの組成物をも表す。この用語は、用語「ゴム」と互換的に使用可能である。
置換されたとは、化合物及び化学的構成要素の少なくとも1つの水素の置換を表す。
本明細書で言及されるポリマー及び/又はエラストマーに関して、「硬化された」「加硫された」、又は「架橋された」という用語は、例えば、鎖伸長中のように、結合の形成を含む化学反応を意味し、或いは該プロセスを受けているエラストマーがタイヤを使用するときに硬化反応の結果として生じる必要な機能特性を提供できる程度まで、ポリマー又はエラストマーを含むポリマー鎖間で架橋することを意味する。本発明の目的では、エラストマー含有組成物が「硬化された」、「加硫された」又は「架橋された」とみなされるために該硬化反応の絶対的完了は必要でない。例えば、本発明の目的では、本発明に基づいたインナーライナー層組成物を含むタイヤは、タイヤの部品が製造中又は製造後に必要な製品規格試験を通過するときに十分に硬化され、車両で使用されると、満足のいくように機能する。さらに、本組成物は、たとえさらなる硬化時間がさらなる架橋をもたらことがあるとしても、タイヤを使用できるときに満足のいくように、十分に又は実質的に硬化、加硫又は架橋される。
種々の実施形態の本発明は、熱可塑性エラストマーを外側層及び副層内の接着剤と共押出する方法を含む。
【0012】
熱可塑性エラストマー−エラストマー成分
熱可塑性エラストマーの主要エラストマーは、少なくとも1種のハロゲン化C
4〜C
7イソオレフィン含有ゴムを含む。典型的に、ゴムは後述する熱可塑性樹脂との組成物で存在し、ゴム対樹脂の質量比は約55/45〜80/20;好ましくは約60/40〜約75/25;さらに好ましくは約65/35〜約75/25である。ハロゲン化ゴムは、少なくとも約0.1mol%のハロゲンを有するゴムと定義され、該ハロゲンは臭素、塩素及びヨウ素から成る群より選択される。この実施形態で有用な好ましいハロゲン化ゴムには、ハロゲン化ホモポリマー又はコポリマーが含まれる。これらのポリマーは、イソブチレン誘導単位等のC
4〜C
7イソオレフィン誘導単位と、少なくとも1種の他の重合可能単位とのポリマーと記述し得る。一実施形態では、ハロゲン化ポリマーはブチル型ゴム又は分岐ブチル型ゴム、特にこれらのエラストマーの臭素化変形である。
ブチルゴムは典型的にモノマーの混合物を反応させることによって調製される。この混合物は、少なくとも(1)C
4〜C
7イソオレフィンモノマー成分と(2)マルチオレフィンモノマー成分を有する。イソオレフィンは、一実施形態ではモノマー混合物全体の質量の70〜99.5質量%、別の実施形態では85〜99.5質量%の範囲である。マルチオレフィン成分は、モノマー混合物中に一実施形態では30〜0.5質量%、別の実施形態では15〜0.5質量%存在する。さらに別の実施形態では、モノマー混合物の8〜0.5質量%がマルチオレフィンである。イソオレフィンは好ましくはC
4〜C
7化合物であり、その非限定例は、イソブチレン、イソブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、1-ブテン、2-ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン、及び4-メチル-1-ペンテン等の化合物である。マルチオレフィンはC
4〜C
14マルチオレフィン、例えばイソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ミルセン、6,6-ジメチル-フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、及びピペリレンである。スチレン及びジクロロスチレン等の他の重合可能モノマーもブチルゴムのホモ重合又は共重合に適している。実施形態で有用なブチルゴムポリマーの一実施形態は、95〜99.5質量%のイソブチレンを0.5〜8質量%のイソプレンと反応させ、或いはさらに別の実施形態では0.5〜5.0質量%のイソプレンと反応させることによって得られる。
【0013】
ハロゲン化ブチルゴムは、上記ブチルゴム生成物のハロゲン化によって生成される。いずれの手段によってもハロゲン化を行なうことができ、本明細書の実施形態はハロゲン化方法によって限定されない。一実施形態では、ヘキサン希釈剤中、4℃〜60℃で、ハロゲン化剤として臭素(Br
2)又は塩素(Cl
2)を用いてブチルゴムをハロゲン化する。米国特許第4,288,575号に開示されているように、処理後ハロゲン化ブチルゴムを使用することもできる。ハロゲン化ブチルゴムは、典型的に約20〜約70(ML 1+8、125℃で)のムーニー粘度を有し;例えば、別の実施形態では約25〜約55である。ハロゲン含量は典型的にハロゲン化ブチルゴムの質量に基づいて約0.1〜10質量%であり;例えば、約0.5〜5質量%;或いは、約0.8〜約2.5質量%;例えば、約1〜約2質量%である。
ブチルゴムの別の有用な実施形態は、ハロゲン化分岐又は「星状分岐」ブチルゴムである。一実施形態は、星状分岐ブチルゴム(「SBB」)は、ブチルゴム及びポリジエン又はブロックコポリマーを含む組成物である。ポリジエン、ブロックコポリマー、又は分岐剤(以後「ポリジエン」)は典型的にカチオン反応性であり、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムの重合中に存在するか、或いはブチルゴムとブレンドしてSBBを形成することができる。分岐剤又はポリジエンはいずれの適切な分岐剤であってもよく、実施形態はSBBを作るために使用するポリジエン又は分岐剤のタイプに限定されない。
使用するSBBをハロゲン化することができる。一実施形態では、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム(「HSBB」)は、ハロゲン化されたか若しくはされていないブチルゴムと、ハロゲン化されたか若しくはされていないポリジエン又はブロックコポリマーとを含む。一実施形態では、一実施形態では、HSBBは典型的に、上記ハロゲン化ブチルゴム並びにスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペリレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンジエンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレン及びスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーから成る群より選択されるポリジエン及び部分的にハロゲン化されたポリジエンとのコポリマーを含む組成物である。ポリジエンは、質量%の全モノマー含量に基づいて、典型的に約0.3質量%より多く、或いは約0.3〜3質量%、又は0.4〜2.7質量%存在することができる。
【0014】
他の有用なブチルゴムはイソオレフィン/パラ-アルキルスチレンポリマーであり、C
4〜C
7イソオレフィンとハロメチルスチレンを含むランダムコポリマーが挙げられる。ハロメチルスチレンは、オルト-、メタ-、又はパラ-アルキル置換スチレンであってよい。一実施形態では、ハロメチルスチレンは、少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90質量%のパラ-異性体を含むp-ハロメチルスチレンである。「ハロ」基はいずれのハロゲンであてもよく、望ましくは塩素又は臭素、最も好ましくは臭素である。コポリマーは、スチレンモノマー単位上に存在するアルキル置換基の少なくともいくつかがさらに後述するベンジルハロゲン又は別の官能基を含む官能化インターポリマーをも包含し得る。これらのインターポリマーを本明細書では「ハロメチルスチレンを含むイソオレフィンコポリマー」又は簡単に「イソオレフィンコポリマー」と称する。
好ましいイソオレフィンポリマーは、イソブチレン又はイソブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、1-ブテン、2-ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン、及び4-メチル-1-ペンテンから成る群より選択されるモノマーを含むことができる。好ましいイソオレフィンポリマーは、さらにマルチオレフィン、好ましくはC
4〜C
14マルチオレフィン、例えばイソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ミルセン、6,6-ジメチル-フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、及びピペリレンを含んでもよい。イソオレフィンコポリマー中の望ましいスチレン性モノマーとして、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン、インデン及びインデン誘導体、並びにその組合せが挙げられる。
【0015】
イソブチレン及びpメチルスチレンの特に有用なポリマーは、0.5〜20mol%のp-メチルスチレン(ここで、ベンジル環上に存在するメチル置換基の60mol%までが臭素又は塩素原子、好ましくは臭素原子を含む(pブロモメチルスチレン))、並びに該ハロゲン原子がマレイン酸無水物又はアクリル酸若しくはメタクリル酸官能性と置き換わっている、その酸又はエステル官能化変形を含有する当該ポリマーである。これらのインターポリマーをハロゲン化ポリ(イソブチレン-コ-p-メチルスチレン)又は臭素化ポリ(イソブチレン-コ-p-メチルスチレン)(BIMS)と称する。用語「ハロゲン化」又は「臭素化」の使用は、コポリマーのハロゲン化方法に限定するものではなく、pハロメチルスチレン誘導単位を含むコポリマーを単に記述的に示すだけであるものと理解すべきである。
これらの官能化ポリマーは好ましくは、ポリマーの少なくとも95質量%が10%以内のポリマーの平均pアルキルスチレン含量というpアルキルスチレンを有するように実質的に均一の組成分布を有する。さらに好ましいポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーで決定されるように5未満、さらに好ましくは2.5未満の狭い分子量分布(Mw/Mn)、約200,000〜約2,000,000の範囲の好ましい粘度平均分子量及び約25,000〜約750,000の好ましい数平均分子量によっても特徴づけられる。
好ましいハロゲン化ポリ(イソブチレン-コ-p-メチルスチレン)ポリマーは、一般的に約0.1〜約5質量%のブロモメチル基を含有する臭素化化ポリマーである。さらに別の実施形態では、ブロモメチル基の量は約0.2〜約2.5質量%である。別の方法で表現すると、好ましいコポリマーは、ポリマーの質量に基づいて、約0.05〜約2.5mol%の臭素、さらに好ましくは約0.1〜約1.25mol%の臭素を含有し、かつ環ハロゲン又はポリマー骨格鎖内にハロゲンを実質的に含まない。一実施形態では、インターポリマーはC
4〜C
7イソモノオレフィン誘導単位、pメチルスチレン誘導単位及びpハロメチルスチレン誘導単位のコポリマーであり、pハロメチルスチレン単位は、インターポリマー中にインターポリマーに基づいて約0.4〜約1mol%存在する。別の実施形態では、pハロメチルスチレンはpブロモメチルスチレンである。ムーニー粘度(1+8、125℃、ASTM D1646、修正)は約30〜約60ムーニー単位である。
【0016】
熱可塑性エラストマー−追加エラストマー成分
任意に、ハロゲン化イソブチレン含有エラストマーと組み合わせて他のゴム又はエラストマーを使用することができる。このような任意のゴム成分には高ジエン含量ゴム及びそれらの水和物が含まれる。高ジエン含量ゴム又はエラストマーは高ジエンモノマーゴムとも呼ばれる。それは典型的に少なくとも50mol%、典型的に少なくとも約60mol%〜約100mol%;さらに好ましくは少なくとも約70mol%〜約100mol%;さらに好ましくは少なくとも約80mol%〜約100mol%のC
4〜C
12ジエンモノマーを含むゴムである。有用な高ジエンモノマーゴムには、オレフィン又はイソオレフィン及びマルチオレフィンのホモポリマー及びコポリマー、或いはマルチオレフィンのホモポリマーが含まれる。一般的に、本実施形態で有用な他の任意のゴムとして、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシル化(epoxylated)天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)(高cis BR及び低cis BRを含めて)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR、オレフィンゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM及びEPMを両方含めて))、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエンモノマーのコポリマー、アクリルゴム(ACM)、イオノマー、他のハロゲン含有ゴム(例えば、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M CM))、シリコーンゴム(例えば、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム)、イオウ含有ゴム(例えば、ポリスルフィドゴム)、フルオロゴム(例えば、フッ化ビニリデンゴム、フッ素含有ビニルエーテルベースゴム、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、フッ素含有シリコーンゴム、フッ素含有ホスファゲンゴム)、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン含有エラストマー、オレフィンエラストマー、エステルエラストマー、ウレタンエラストマー、又はポリアミドエラストマー)、及びそれらの混合物が挙げられる。
高ジエンモノマーゴムの好ましい例として、ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等が挙げられ、単独又は組合せ及び混合物で使用することができる。
【0017】
低温モジュラスを下げるのにBIMSより有効な追加ゴム成分は、組成物全体の低温性能を改良するのに有利であり得る。好ましくは、追加ゴムは、好ましくは30℃未満の低いガラス転移温度Tgを示す官能化ゴムを基礎とする。約-20℃以下の低Tgは、該ゴムを含む製品、例えばタイヤインナーライナーの作動又は使用温度で追加ゴムのモジュラス低減(軟らかさ向上)に寄与する。好適な官能性としては、マレイン酸無水物、アシルラクタム、又はポリアミド中に存在するアミン官能性と容易に反応できる他の官能性が挙げられる。該ゴムに化学的に反応性の官能性が存在すると、追加ゴムとポリアミドとの間の反応適合性をさらに促進し、ポリアミドマトリックス内のゴムの小粒径分散につながる。これらの粒子は約1μm以下;好ましくは約0.5μm未満の平均粒径を示す。
述べたように、小粒子の形態でポリアミドマトリックス内に分散された追加ゴムは、ハロゲン化又はBIMSエラストマーに関して述べたように、必要に応じて部分的、実質的又は完全に硬化、架橋又は加硫され得る。該架橋は、ハロゲン化エラストマーに適用したのと同じ動的加硫法を利用してポリアミドマトリックスに追加ゴムを分散させる過程で達成され得る。動的加硫を利用する場合、ゴムのミキシング又は分散中に加硫をもたらすため、追加ゴムに適切な硬化剤又は硬化系を分散させる必要がある。
或いは、追加ゴムが熱架橋を受けやすい場合、動的加硫に相当する様式でミキシング及び分散中に十分な熱エネルギーを加えることによって加硫させることができ、或いは追加ゴムが小粒子の形態で分散した後に十分な熱エネルギーを与えることによって、分散後に該架橋を達成することができる。いずれの場合も、約0.1μm〜約1μm;例えば約0.1μm〜約0.75μm;又は約0.1μm〜約0.5μmの平均粒径を有する小粒子の形態でポリアミドマトリックス内に追加ゴムが分散されるのが好ましい。
【0018】
熱可塑性エラストマー−熱可塑性樹脂成分
一実施形態では、有用な熱可塑性樹脂は、500MPaより高いヤング率、及び、好ましくは、60×10
-12cc-cm/cm
2-秒-cmHg(30℃)未満の空気透過係数、及び、好ましくは、約170℃〜約230℃の融点を有するいずれの熱可塑性ホモポリマー、コポリマー又はその混合物でもあると定義され、限定するものではないが、下記の1種以上が挙げられる。
a)ポリアミド樹脂:ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン6,10(N610)、ナイロン6,12(N612)、ナイロン6/66コポリマー(N6/66)、ナイロン6/66/610(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T(N6T)、ナイロン6/6Tコポリマー、ナイロン66/PP コポリマー、ナイロン66/PPSコポリマー;
b)ポリエステル樹脂:ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンイソフタラート(PEI)、PET/PEIコポリマー、ポリアクリラート(PAR)、ポリブチレンナフタラート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド二酸/ポリブチラートテレフタラートコポリマー及び他の芳香族ポリエステル;
c)ポリニトリル樹脂:ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル-スチレンコポリマー(SAN)、メタクリロニトリル-スチレンコポリマー、メタクリロニトリル-スチレン-ブタジエンコポリマー;
d)ポリメタクリラート樹脂:ポリメチルメタクリラート、ポリエチルアクリラート;
e)ポリビニル樹脂(説明のため、非限定):エチレンビニルアセタート(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコホール/エチレンコポリマー(EVOA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニル/ポリビニリデンコポリマー、ポリ塩化ビニリデン/メタクリラートコポリマー;
f)セルロース樹脂:酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース;
g)フッ素樹脂:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレンコポリマー(ETFE);
h)ポリイミド樹脂:芳香族ポリイミド;
i)ポリスルホン;
j)ポリアセタール;
k)ポリアクトン;
l)ポリフェニレンオキシド及びポリフェニレンスルフィド;
m)スチレン-マレイン酸無水物;
n)芳香族ポリケトン;及び
o)包括的なa)〜n)のいずれか及び全ての混合物並びに包括的なa)〜n)のそれぞれに含まれる説明的又は例示熱可塑性樹脂のいずれかの混合物。
本発明の目的では、熱可塑性樹脂のこの定義は、オレフィンのポリマー、例えばポリエチレン及びポリプロピレン等を除外する。
好ましい熱可塑性樹脂として、ポリアミド樹脂及びその混合物が挙げられ;特に好ましい樹脂として、ナイロン6、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612及びそれらのブレンドが挙げられる。本発明の別の好ましい実施形態によれば、熱可塑性エラストマー組成物は、ナイロン樹脂成分がナイロン11又はナイロン12、及びナイロン6/66コポリマーを約10/90〜約90/10;好ましくは約30/70〜約85/15の組成比(質量比)で含む熱可塑性樹脂成分を用いて配合され得る。このようなブレンド樹脂を基礎とする熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、タイヤインナーライナーの硬化面の優れた耐久性と外観、並びに優れた空気保持特性を有するのみならず、これらの特性の良いバランスを実証する熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
【0019】
熱可塑性エラストマー−他の成分
熱可塑性樹脂とハロゲン化イソブチレン含有ゴムは溶解度が有意に異なるので、これらのポリマーの相溶性を向上させる目的のため相溶化成分が役立ち得る。さらに、理論によって拘束されることを望むものではないが、いくつかの実施形態の組成物で得られる微細なゴムの分散は、部分的には、混合中に、もしかするとゴムと熱可塑性樹脂成分との間の表面張力を変更、特に低減することによって生じる、分散されたゴム粒子と熱可塑性樹脂の間の界面における、例えば、BIMS中に存在するベンジル臭素、又はハロゲン化ブチル中のアリルハロゲン、及び熱可塑性ポリアミド中の末端アミンの間の化学反応の結果であり得る。ブレンディング中の界面反応及び2種の非混和性ポリマーの同時反応の存在は、小粒径分散ゴム相の合体の回避を助けることができ、それによってゴム相の特に微細な分散につながる。同時に、これらの反応性の相溶化非混和系における界面安定性のため、界面相溶化の安定化効果の結果として、より高い濃度のより低い粘度のポリマーブレンド成分であるゴム相の相反転が阻止される。
【0020】
二次ポリマーは相溶化剤として機能することができ、これにはエチレン性不飽和ニトリル共役ジエンベースの高飽和コポリマーゴム(HNBR)、エポキシル化天然ゴム(ENR)、NBR、ヒドリンゴム、アクリルゴム及びその混合物が含まれる。他の相溶化剤として、熱可塑性樹脂とゴムポリマーの両方又は一方の構造を有するコポリマー或いは熱可塑性樹脂又はゴムポリマーと反応できるエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミン基、マレイン酸化(maeated)基、オキサゾリン基、ヒドロキシ基等を有するコポリマー構造が挙げられる。二次ポリマーは、混合すべき熱可塑性樹脂ポリマー及びゴムポリマーのタイプに基づいて選択可能である。このような有用な二次ポリマーとして、マレイン酸無水物グラフトゴム、例えばマレイン酸無水物グラフトアクリルゴム-ブタジエン-スチレン、マレイン酸無水物グラフトエチレン-プロピレンジエンゴム、マレイン酸無水物グラフトスチレン-エチレン/ブタジエン-スチレン等及びマレイン酸化エチレンコポリマーゴム、例えばマレイン酸化エチレン-プロピレン(EPM)、マレイン酸化エチレン-ブテン、マレイン酸化エチレン-ヘキセン、マレイン酸化エチレン-オクテン、マレイン酸化エチレン-デセン、マレイン酸化エチレン-プロピレン-ジエン、マレイン酸化エチレン-ビニルアエタート、マレイン酸化エチレン-メチルアクリラート、マレイン酸化エチレン-エチルアクリラート、マレイン酸化エチレン-アクリル酸等及びその混合物が挙げられる。また、役立つ可能性があるポリマーとして、EPDM/スチレン、EPDM/アクリロニトリルグラフトコポリマー及びそれらのマレイン酸変性形;スチレン/マレイン酸コポリマー;反応性フェノキシ熱可塑性樹脂;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
二次ポリマーに存在する有用な好ましい官能基の例は、カルボニル結合を含む化合物、例えばカルボン酸、カルボン酸エステル、酸無水物、ジエステル、塩、アミド、及びイミドが挙げられる。芳香族ビニル化合物、加水分解性不飽和シラン化合物、飽和ハロゲン化炭化水素、及び不飽和ハロゲン化炭化水素をも使用できる。特に好ましい官能基の例として、限定するものではないが、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2 メチルマレイン酸無水物、2 クロロマレイン酸無水物、2,3 ジメチルマレイン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、及び4-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロトン酸、ビシクロ(2.2.2)オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,8,9,10-オクタヒドロナフタレン-2,3-ジカルボン酸無水物、2-オキサ-1,3-ジケトスピロ(4.4)ノナ-7-エン、ビシクロ(2.2.l)ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ノルボルナ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、ナド酸無水物、メチルナド酸無水物、ヒム酸無水物、メチルヒム酸無水物、及びx-メチル-ビシクロ(2.2.1)ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物(XMNA)が挙げられる。
【0022】
ここで有用な官能化ポリマーを作製するのに適したポリマーにはエチレンポリマー及びプロピレンポリマーがある。特に好ましいポリマーとしては、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン-デセン、ウンデセン、ドデセン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ブタクリル酸(but acrylic acid)、又は酢酸ビニルの1種以上と共重合したエチレンポリマーが挙げられる。好ましくは、該エチレンポリマーは、マレイン酸又はマレイン酸無水物で変性されている。別分類の特に好ましいポリマーとしては、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン-デセン、ウンデセン、ドデセン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ブタクリル酸、又は酢酸ビニルの1種以上と共重合したプロピレンポリマーが挙げられる。好ましくは、該プロピレンポリマーはマレイン酸又はマレイン酸無水物で変性されている。
好ましい実施形態では、官能化すべきポリマーにマレイン酸無水物をグラフトして、マレイン酸無水物をポリマーの骨格ポリマー鎖に共有結合させる。ポリマー上にグラフトされた無水物官能性は、無水物として残っていてよく、及び/又は酸化されて酸官能基となることができ、及び/又は技術上周知のプロセスでさらに反応してアミド、アミン、アルコール等の他の官能基を導入することができる。
【0023】
別分類の特に好ましいポリマーとして、イソプレン及び、イソブチレンの1種以上と共重合したC
4〜C
7イソオレフィン(例えばイソブチレン)ポリマーが挙げられる。好ましくは、該イソブチレンポリマーは、マレイン酸又はマレイン酸無水物で変性されている。特に好ましい官能化ポリマーとして、イソブチレン及びイソプレンのマレイン酸化コポリマー、イソブチレン及びパラメチルスチレンのマレイン酸化コポリマー、マレイン酸化ハロブチル型コポリマー、マレイン酸化SBB型コポリマー及びマレイン酸化BIMS型コポリマーが挙げられる。当該技術分野では、ポリマーを官能化するために使用し得る種々の方法が知られている。これには、限定するものではないが、選択的酸化、フリーラジカルグラフト化、オゾン分解、エポキシ化等がある。
好ましくは、官能化ポリマーは、約50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、及び2質量%から成る群より選択される濃度未満の濃度で存在するマレイン酸無水物を含む。また好ましくはポリマー-g-MA中のマレイン酸無水物(MA)のレベルは、約0.1質量%超え、好ましくは約0.5質量%超え、或いは約1質量%超えのマレイン酸無水物であってよい。好ましい実施形態では、官能化ポリマーは約0.1〜約10質量%のマレイン酸無水物;好ましくは約0.25〜約5質量%;さらに好ましくは約0.5〜約4質量%;なおさらに好ましくは約0.75〜約3.5質量%;例えば約1.5〜約2.5質量%のマレイン酸無水物を含み得る。グラフトポリマーの官能基含量はフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって決定することができる。この方法は、その絶対的官能基含量が決定されている標準物質を用いた較正に基づく。
【0024】
別のゴムを有することによって、ポリマーマトリックスにゴム成分の小粒径分散を含む望ましい形態を維持しながら、熱可塑性エラストマー組成物において主要ゴムと少なくとも1種の二次又は追加ゴムの両方の合計である全ゴム含量を増やすことができる。最大ゴム含量の増加は、特に、非混和性の二次ゴムが存在するときに主要ゴムの制限された合体を考慮して実現可能である。さらに、上述したように二次ゴム濃度の量を低又は少レベルで制御することによって、二次ゴムの合体を実質的に回避又は阻止するための二次ゴムの硬化又は加硫の必要性を回避することができる。このことは、ポリアミドの存在下で二次ゴムはポリアミドと反応して実質的に固定化されるので特に真実である。従って二次ゴムに硬化剤を添加する必要なしで、二次ゴムを硬化剤と前混合又は前配合する必要がなく(必要に応じて硬化剤を添加して主要ゴムと同じ技術を用いて二次ゴムを動的に加硫させ得るが)、押出ミキシング中に押出ミキサーへの二次ゴムの直接添加が実行可能であり;二次ゴムは好ましくはペレット形態で供給される。さらに、ほとんどの官能化ゴム、例えばマレイン酸化エチレンコポリマーゴム及びマレイン酸無水物グラフトゴムはかなり透過性なので、二次ゴム濃度を低く、典型的には、組成物全体の総質量に基づいて、20質量%以下;好ましくは約1質量%〜約20質量%;さらに好ましくは約1質量%〜約10質量%以下に維持すことが望ましい。ブレンドする二次官能化相溶剤ゴムの量は、典型的に約20質量%以下;好ましくは約10質量%未満;一般的に約0.5質量%〜約20質量%;例えば約5質量%〜約15質量%;例えば約7.5質量%〜約12.5質量%である。
一般的に、ポリマー組成物、例えばタイヤ製造に用いるポリマー組成物は、完成タイヤ製品内で架橋される。硬化剤及び/又は促進剤を組み入れることで架橋又は加硫が達成され;該薬剤の混合物全体は典型的に硬化「系」と呼ばれる。特に高ジエンゴムと低反応性エラストマーの混合物を使用する場合、有利な効果のため典型的に1種より多くの硬化剤を利用するので、硬化系が用いられる。
【0025】
熱可塑性樹脂の存在下で例えば高度に不透過性の層又はフィルムを形成するための動的加硫の目的では、飽和又は不飽和ハロゲン化ポリマーを加硫させ得るいずれの通常の硬化系を用いても少なくとも、C
4〜C
7イソモノオレフィンを含有するエラストマーハロゲン化ポリマーを加硫させ得る。一実施形態の動的加硫は、接着剤層と副層の共押出の前、その最中及び/又はその後、好ましくは共押出工程又はプロセスの前又はその最中、特に共押出中に起こり得る。
架橋又は硬化剤は、例えば、イオウ、酸化亜鉛、及び脂肪酸並びにその混合物の少なくとも1種を含む。一般的に、ポリマー組成物は、硬化剤、例えばイオウ、金属酸化物(すなわち、酸化亜鉛、ZnO)、有機金属化合物、ラジカル開始剤等を添加し、組成物又は混合物を加熱することによって架橋され得る。本発明で機能し得る一般的硬化剤は以下のとおりである:ZnO;CaO;MgO;Al
2O
3;CrO
3;FeO;Fe
2O
3;及びNiO。これらの金属酸化物を対応するステアリン酸金属塩錯体(例えば、Zn、Ca、Mg、及びAlのステアリン酸塩)、或いはステアリン酸、及びイオウ化合物又はアルキルペルオキシド化合物と共に使用することができる。本発明のエラストマーハロゲン化コポリマー成分に適した硬化系は、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸と組み合わせた酸化亜鉛と、必要に応じて、1種以上の促進剤又は加硫剤とを含む。ペルオキシド硬化剤は、1種以上の熱可塑性樹脂が存在する実施形態(ペルオキシドの存在下で該樹脂を自己架橋させ、過度に硬化した非熱可塑性組成物をもたらすであろう)では熱可塑性エラストマーから特に排除される。
【0026】
硬化剤促進剤として、アミン、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、スルフェンイミド、チオカルバマート、キサンタート等が挙げられる。ある量の促進剤を組成物に加えることによって硬化プロセスの促進を達成することができる。ゴムの加硫促進の機構は、硬化剤、促進剤及びポリマーの間の複雑な相互作用を伴う。理想的には、利用可能な硬化剤全体が、個々のポリマー鎖を互いに結合し、ポリマーマトリックスの全強度を高める有効な架橋の形成に消費される。当技術分野では多くの促進剤が知られている。硬化剤、促進剤及びそれらがその一部であり、1種以上の架橋性ポリマーと共に役立つ硬化系は技術上周知である。
硬化系を適切な濃度で、例えば、ゴム含有組成物の熱可塑性物への添加前のプロセス工程において、該目的のためにゴム産業で一般的に用いられるいずれのミキシング機器、例えば、ツーロールゴムミル、バンバリーミキサー、ミキシング押出機等を用いてもゴム及び硬化系成分のミキシングによって、ゴム及び硬化系成分をゴム成分(ゴム成分は必要に応じて1種以上の充填材、増量剤及び/又は可塑剤を含有する)に分散させ得る。該ミキシングは、ゴム組成物を「促進する」と一般的に言われる。或いは、動的加硫を行なう前にミキシング押出機の段階でゴム組成物を促進することができるが、これは商業的な実用的統合プロセスで制御するのは困難であり、あまり望ましくない。動的加硫を行なうよう意図されているミキシング機器内で熱可塑性樹脂にゴムを添加する前に、ゴム相、又は必要に応じて1種以上の充填材、増量剤及び意図した最終用途に一般的な他の成分をも含むゴム組成物に硬化系が分散されることが特に好ましい。そうすることによって、後述するように、前配合したゴム組成物を動的加硫機器、好ましくはミキシング押出機へのさらに効率的かつ有効な供給のためにペレット化することができる。
本発明の一実施形態では、少なくとも1種の硬化剤は典型的に約0.1〜約15phr、或いは少なくとも約0.5〜約10phrで存在する。
好ましいポリマー成分は加硫可能成分としてのハロゲン化イソブチレン含有コポリマー、例えば、塩素化ブチル又は臭素化ブチル等のハロゲン化ブチルと、臭素化イソブチレン-p-メチルスチレンコポリマー(BIMSコポリマー)と、熱可塑性ポリマー、例えばナイロン又は種々のナイロンポリマーのブレンドとを含む。本発明の動的加硫組成物は熱可塑性ポリマーの連続マトリックスに分散した実質的に完全に硬化した小粒子の形態でハロゲン化ゴム成分を含むことが特に好ましい。動的加硫ハロゲン化ゴム成分は、好ましくは約0.1μm〜約1μm;例えば約0.1μm〜約0.75μm;又は約0.1μm〜約0.5μmの平均粒径を有する小粒子の形態でポリアミドマトリックスに分散している。技術上周知の方法、例えばタッピングフェーズ原子間力顕微鏡(AFM)等で粒径を決定することができる。
【0027】
本発明の目的では、主要ゴム成分は低グラフト効率エラストマーとも呼ばれ、二次ゴムは高グラフト効率ゴムと呼ばれる。いずれの場合も、グラフトは組成物中に存在するポリアミド上へのグラフトを意味する。この効率の区別及びポリマーの性能を測定する方法をさらに以下に述べる。
一般的に、用語「動的加硫」を用いて、熱可塑性樹脂と少なくとも1種の加硫可能ゴムを、該ゴム用の硬化剤又は硬化系の存在下で高せん断及び高温の条件下で混合するプロセスを表す。結果として、ゴムは、加硫されると同時に粒子として、好ましくはミクロゲルの形態で、連続マトリックスを形成するか又は連続マトリックスとして存在する樹脂内に分散する。結果として生じる組成物は、当技術分野では「動的加硫アロイ」又はDNAとして知られる。典型的に、動的加硫は、成分をゴムの硬化温度以上、かつ樹脂の融点以上の温度で混合することによって達成される。動的に加硫又は硬化された組成物のユニークな特徴は、ゴムが硬化しているという事実にもかかわらず、例えば押出、射出成形、圧縮成形等の通常の熱可塑性物質加工技術によって組成物を加工及び再加工できることである。スクラップ及び/又はフラッシング(flashing)を回収及び再加工することもできる。典型的な動的加硫プロセスでは、少なくとも1種の加硫可能ゴム、エラストマー又はポリマーと、加硫できない少なくとも1種のポリマー又は樹脂とを含む組成物中の少なくとも1種の加硫可能成分を、該少なくとも1種の加硫可能成分用の加硫剤を用いて実質的に同時に混合及び加硫、又は架橋するように硬化剤添加を変える。しかしながら、後述するように、さらなる優位性を達成するため、動的加硫プロセスを改変することができる。
当然のことながら、加硫可能ゴム、典型的には第1ゴム、例えばハロゲン化イソブチレンエラストマー、例えばBIMS(又は該ゴムの混合物)は、硬化系、時間及び温度に基づいて可能な硬化の最大状態の少なくとも50%まで硬化され、典型的には、該ゴムの硬化状態は最大硬化の50%を超えるであろう。第2ゴムが加硫可能ゴムを含むこともでき、該第2ゴムは、例えば本明細書に記載の動的加硫技術により加硫されるので、それもまた典型的に、その硬化剤又は硬化系及び加工する時間と温度に基づいて可能な硬化の最大状態の少なくとも50%まで硬化されるであろう。或いは、本明細書で述べるように、該第2ゴムも、硬化剤の使用の有無にかかわらず、ポリアミド樹脂とグラフト、結合及び/又は会合することもでき、その結果、それが該組成物を利用するのに望ましい特性を与えるのに十分小さい粒径で十分に分散されるという条件で、その硬化状態は制限されない。逆に、ゴム成分の例えば、ヤング率によって測定される可撓性が、組成物を利用する予定の最終用途、例えば、タイヤインナーライナー又はホース部品に適したレベルであるようにゴムが可能な硬化の最大状態未満までゴム粒子を硬化させることが望ましいかもしれない。結果として、組成物に用いるゴムの硬化状態を上述したように可能な硬化の最大度の約95%以下であるように制御するのが望ましいかもしれない。
【0028】
ゴム及びプラスチック産業で一般的に入手可能な種々タイプの市販機器で動的加硫を行なうことができ、該機器としては、Banbury(登録商標)内部ミキサー、ロールミキサー、及びミキシング押出機が挙げられる。本明細書の実施形態では、バリア組成物の動的加硫は、例えば、共押出ダイに溶融物を供給する押出機内で、外側接着剤層及び接着剤副層の接着剤組成物との共押出中に達成される。好ましいミキシング装置は、互いにかみ合うスクリューを備えた二軸押出機である。ミキシングは一般的に、分散されるゴム粒子、特に第1ゴム成分が、それらの安定性を維持する、すなわち、組成物のミキシング完了時に該粒子の合体を回避するのに必要な程度まで分散及び硬化し、及び/又はポリアミドと相互作用するような時間と温度の条件下で行なわれる。動的加硫温度の適切な範囲は、典型的に樹脂のほぼ融点〜約300℃未満であり;例えばマトリックス樹脂のほぼ融点〜約275℃;好ましくは約210℃〜約265℃;或いは、約225℃〜約260℃;例えば約230℃〜約260℃;例えば、約230℃〜約250℃の範囲であってよい。一実施形態では、約210℃〜約260℃の温度で動的加硫を行なう。或いは、マトリックス樹脂の融点より約10℃〜約50℃高い温度範囲;さらに好ましくはポリアミド又は混合ポリアミド熱可塑性マトリックスの融点より約20℃〜約40℃高い温度範囲で動的加硫を行なう。
このようにして得られた熱可塑性エラストマー組成物は、連続相を形成するナイロン樹脂のマトリックスに分散相(ドメイン)として分散した不連続相を形成するエラストマー成分で構成されている。動的加硫の結果として、組成物は熱可塑性のままであり、組成物のフィルム、層又はシート様構造を積層品に形成することができる。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を単軸押出機の最後に、Tシーティングダイ、ストレート又はクロスヘッドダイ構造チュービングダイ、インフレーション成形円筒ダイ等を用いてシート、フィルム、又はチューブに成形することによって、又はカレンダー仕上げによって、空気透過防止層として組成物を利用することができる。
このようにして得られたシート又はチューブ状成形品は、空気タイヤのインナーライナー層又は例えば低ガス透過性ホース等のホースの層、又は低透過性が望ましい他の物品、例えば空気バネ、ベローズ、ブラダー等の層に有効に使用可能である。さらに、本組成物の低透過性特徴は、ガス以外の流体、例えば、液体、水、作動液、ブレーキ液、熱伝導流体等と共に使用するのに適している。但し、該流体と直接接触する層が、取扱う流体に適した抵抗性を有することが条件である。
【0029】
接着剤層及び副層
物品の隣接層との結合においてDVAフィルム又は層を補助するため、フィルム又は層の表面に接着剤層を適用することができる。本発明によれば、接着剤層はDVAと共押出され、該DVAに隣接して外側接着剤層と接着剤副層が形成される。外側接着剤層及び接着剤副層の接着剤組成物は同一でも異なってもよい。
一実施形態では、外側接着剤層と接着剤副層の全厚は600μmまで、別の実施形態では、200μmまで、例えば、5〜20μm、好ましくは100μm以下、好ましくは5〜70μm、さらに好ましくは10〜50μmである。一実施形態では、外側接着剤層及び副層は、それぞれ5〜25μm、すなわち、10〜50μmの全厚を有する。
外側層及び副層用の接着剤組成物は、DVAシート/フィルムを隣接層に結合する(結合は化学的結合又は化学的/機械的結合である)接着剤の能力に基づいて選択される。一実施形態では、外側接着剤層及び/又は接着剤副層の接着剤組成物は熱可塑性エラストマー及び粘着付与剤を含む。一実施形態では、接着剤組成物は一般的に全部で100質量部の熱可塑性エラストマーと、30〜200質量部、好ましくは40〜120質量部の粘着付与剤と、必要に応じて0.1〜15質量部、好ましくは0.5〜10質量部の硬化剤とを含む。
一実施形態の外側接着剤層の組成物は、5N未満、好ましくは1〜4Nの自己粘着性を有する。一実施形態では、外側接着剤層は5N以上、好ましくは7〜20Nの加硫ジエンベースゴムへの粘着性を有し得る。粘着性は、米国特許公開第2007/031661号に開示されているように、すなわち、積層品の1cm幅のストリップを市販の粘着性試験機のリング部に取り付けて、自己粘着性の場合は同シートからカットした10cmの四角断片に対して、未加硫ゴムへの粘着性の場合は未加硫ゴム部材に対して、1秒以下4.9Nの力で接着剤面をプレスすることによって試験される。断片を剥がすときの力を粘着度として記録する。20℃で120mm/分の剥離速度にて試験を行なう。
【0030】
一実施形態では、熱可塑性エラストマーはいずれの熱可塑性樹脂といずれのエラストマーとの混合物をも含むことができ、バリア組成物について上述したものが挙げられる。一実施形態では、接着剤組成物はマトリックスポリマーとして、種々のスチレン-ブタジエンベースブロックコポリマー(SBS)、種々のスチレン-イソプレンブロック(SIS)コポリマー、及びそれらの部分的ハロゲン化物(その混合物及び組合せ等を含めて)のいずれをも含む。一実施形態では、好ましくは少なくとも接着剤副層の接着剤組成物は、エポキシ変性、すなわちオキシラン酸素官能性を有するエポキシル化SBS(ESBS)を含む。このエポキシ変性は、例えば、スチレン-ブタジエンベースブロックコポリマー(SBS)を過酸、ヒドロペルオキシド等を用いてエポキシル化することによって行なえる。過酸として、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等を挙げることができる。さらに、ヒドロペルオキシドとして、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンペルオキシド等を挙げることができる。このようにして得られたESBSのオキシラン酸素含量が低過ぎると、熱可塑性エラストマー層への副層の結合能が低下しやすいので、これは好ましくなく、逆に外側接着剤層内でそれが高過ぎると、タイヤゴムとの結合能が低下しやすいので、これも好ましくない。
一実施形態では、副層の接着剤組成物は熱可塑性エラストマー層と結合するのに有効なオキシラン含量のESBSを含み、外側層の接着剤組成物は副層より低いオキシラン含量を有する。さらなる実施形態では、少なくとも外側層の接着剤組成物は、例えば、タイヤカーカスのゴム表面上へのインナーライナーとしてのフィルムの接着において、接触して置かれるジエンゴムとの共硬化に有効な量の硬化剤を含み、副層の接着剤組成物は相対的に低負荷の硬化剤、例えば、有機ペルオキシドを含む。一実施形態では、副層及び外側接着剤層の接着剤組成物は、全部で100質量部の熱可塑性エラストマーを含み、このエラストマーは少なくとも50質量部、好ましくは60〜100質量部のESBSを含有し、その結果、オキシラン酸素含量は外側層又は副層の質量で1〜5質量%又は1〜3質量%、好ましくは1.2〜2.8質量%となる。
【0031】
本発明の接着剤組成物はいずれの適切な粘着付与剤を含有してもよい。一実施形態では、粘着付与剤は、例えば、ピペリレン樹脂やテルペン樹脂等の脂肪族樹脂、及び芳香族変性脂肪族樹脂、並びにその組合せ等から選択される。本明細書で好適な粘着付与剤は商標名ESCOREZ(ExxonMobil Chemical Co.)、例えば、ESCOREZ 1102、ESCOREZ 1310、ESCOREZ 1315;及びYS Resin(Yasuhara Chemical)、例えば、YS Resin D105で市販されている。
一実施形態では、粘着付与剤は、70℃〜140℃の軟化点及び800〜1600の数平均分子量Mnを有するピペリレン樹脂を含む。
別の実施形態では、粘着付与剤は、特定のテルペン樹脂(A)又はテルペン樹脂(A)と芳香族で変性されたテルペン樹脂(B)との混合物を含む。一実施形態では、テルペン樹脂(A)及びテルペン樹脂(B)は1000以下の重量平均分子量Mw及び60℃〜120℃の軟化点を有する。ここで、「テルペン」は、イソプレン単位を有する化合物の系列の一般用語である。「テルペン樹脂」は、主に、松脂又は柑橘類果皮から得られる油(例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン(リモネン)等)で構成されたホモ重合又は共重合生成物である。本発明で使用可能なテルペン樹脂(A)は、好ましくはβ-ピネンとジペンテンのコポリマー又はジペンテンのホモポリマーである。芳香族で変性されたテルペン樹脂(B)は、テルペン樹脂(A)をフェノール、アルキルフェノール等と共縮合させることによって生成可能である。市販製品をも使用し得る。芳香族で変性されたテルペン樹脂(B)の芳香族変性量は特に制限されないが、好ましくはテルペン樹脂の質量に基づいて約1〜20質量%である。
本発明のテルペンベース樹脂(A)と芳香族で変性されたテルペン樹脂(B)の比は、作業環境条件(例えば、温度、湿度等)及びタイヤ部材の粘着度に応じて変化し得る。テルペン樹脂の比が大きいと、自己粘着性及び金属又は加硫ゴムへの粘着性が低下し、作業性が向上するが、逆に芳香族で変性されたテルペン樹脂の比が大きいと、未硬化タイヤ部材との粘着性が向上する。一実施形態において、本発明者らは、(A):(B)が100:0〜50:50(質量比)、好ましくは100:0〜70:30になる場合にその良いバランスが得られることを見い出した。
【0032】
一実施形態の接着剤組成物は、必要に応じてその中に、好ましくは存在するときは少なくとも外側接着剤層中に、さらに粘着性を調整するため、全部で100質量部の熱可塑性エラストマーに基づいて、0.1〜3質量部、好ましくは0.1〜1質量部の量で内部離型剤を含有し得る。内部離型剤として、例えば、一般的に用いられるステアリン酸又はオレイン酸及びそれらの金属塩を使用することができる。このように内部離型剤を配合することによって、特に、外側接着剤層の自己粘着性を低くすることができる。粘着性を調整するときに空気温度等の変化に対応するように配合量を適宜調整することによって、粘着性の最適状態を維持することができる。
一実施形態では、典型的に少なくとも1種の硬化剤が接着剤組成物中、好ましくは少なくとも外側接着剤層中に、接着剤組成物中の100質量部の熱可塑性エラストマー当たり約0.1〜約15部;或いは接着剤組成物中の100質量部の熱可塑性エラストマー当たり約0.5〜約10部の量で存在する。
【0033】
接着剤組成物には上記いずれの架橋又は加硫硬化パッケージ、例えば、イオウ、酸化亜鉛、及び脂肪酸並びにその混合物;金属酸化物(すなわち、酸化亜鉛、ZnO)、有機金属化合物、ラジカル開始剤等;ZnO、CaO、MgO、Al
2O
3、CrO
3、FeO、Fe
2O
3、及びNiO並びに対応するステアリン酸金属塩錯体(例えば、Zn、Ca、Mg、及びAlのステアリン酸塩)、又はステアリン酸と共に、イオウ化合物又はアルキルペルオキシド化合物を使用することができる。本発明の一実施形態の接着剤組成物に好適な加硫硬化パッケージは、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸と組み合わせた酸化亜鉛と、必要に応じて、1種以上の促進剤又は加硫剤を含む。硬化促進剤としては、アミン、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、スルフェンイミド、チオカルバマート、キサンタート等が挙げられる。
一実施形態では、架橋剤として、160℃以上、好ましくは165℃〜190℃の1分半減期温度を有する有機ペルオキシドを架橋のために0.1〜2質量部、好ましくは0.3〜1質量部の量で使用する。該有機ペルオキシドとして、特に、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、4,4-ジ-t-ブチルペルオキシ-バレレナート-n-ブチルエステル等を使用することができる。
【0034】
本発明の実施形態によれば、接着剤層及び副層内の接着剤組成物を、バリア層内の熱可塑性エラストマー組成物と、例えば、タイヤカーカス内のジエンベースゴムとの間に置いて、空気タイヤのために使う積層品を形成することができる。
従って、タイヤ内部に面する、連続相としての熱可塑性樹脂及び分散相としてのゴム組成物で構成された熱可塑性エラストマー組成物の空気透過防止層と、この空気透過防止層の半径方向外側に、タイヤカーカスとの結合を可能にする接着剤組成物とを有する、円筒(チューブ)形状で一体に形成された空気透過防止層/接着剤の積層品を提供する。
ジエンベースゴムとして、タイヤに使用可能ないずれのジエンベースゴムも、上述したものを含め、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、種々のタイプのスチレン-ブタジエンコポリマーゴム(SBR)、種々のタイプのポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマーゴム(NBR)、及びさらなるエチレンプロピレン-ジエンコポリマー(EPDM)、(ハロゲン化)ブチルゴム等を挙げることができる。これらを単独又はそのいずれのブレンドでも使用し得る。
本明細書に記載のDVAも接着剤組成物も1種以上の充填材成分、例えば炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ及びシリカート、タルク、二酸化チタン、デンプンその他の有機充填材、例えば木粉、及びカーボンブラックを有し得る。適切な充填材として、カーボンブラック、例えばチャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、変性カーボンブラック、例えばシリカ処理又はシリカコーティングカーボンブラック等が挙げられる。補強グレードのカーボンブラックが好ましい。特に有用なグレードのカーボンブラックは、中間色ファーネスブラックとしても特定されるMitsubishi Carbon BlackグレードMA600である。しかしながら、仮にも使用する場合、カーボンブラックは、典型的にゴムの約5百分率(phr)以下;好ましくは約4phr未満;さらに好ましくは約3phr未満;最も好ましくは約2phr未満;例えば、約1phr以下、例えば約0.1〜約1.5phr;例えば約0.25〜約1.0phrである。一実施形態では、カーボンブラックを、例えば、ポリエチレン等の担体樹脂中マスターバッチとして接着剤層及び/又は副層に添加することができる。或いは、カーボンブラックなしで有用な組成物を調製することができる。充填材には他の補強又は非補強材、例えばシリカ、クレー、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等も含まれる。充填材は、組成物中に存在するゴムの0〜約5質量%のレベル;例えば約0.5〜約4質量%;又は約1.0〜約3質量%;例えば約1〜約2質量%で存在し得る。
【0035】
典型的な酸化防止剤として、アルキル化フェノール、ヒンダードフェノール及びフェノール誘導体、例えばt-ブチルヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ポリブチル化ビスフェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アルキル化ヒドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチル-パラクレゾール、2,5-ジ-tert-アリールヒドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、テトラキス-(メチレン-(3,5-ジ-(tert)-ブチル-4-ヒドロシンナマート))メタン(IRGANOX 1010)等が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例は、IRGANOX 565、IRGANOX 1010及びIRGANOX 1076を含め、商標名IRGANOXシリーズでCiba Specialty Chemicals(Basel, Switzerland)から商業的に入手可能である。一実施形態では、接着剤組成物は、活性又は純粋な基礎原料(neat basis)(市販の酸化防止剤パッケージ中の不活性物質は除外し、SBS等のブレンド成分中のいずれの酸化防止剤をも含めて)に関して0.01〜3質量%、好ましくは0.05〜2質量%の全酸化防止剤を含む。
組成物中にプロセス油又は可塑剤油が存在してよい。該油は主に層の調製、例えば、ミキシング、カレンダー仕上げ等の間の組成物の加工を改善するために用いられる。一般的に、プロセス油は、パラフィン油、芳香族油、ナフテン油、及びポリブテン油から選択され得る。ゴムプロセス油もそれらがパラフィン、ナフテン又は芳香族炭化水素質プロセス油の分類に入るかどうかによってASTMを有する。利用されるプロセス油のタイプは、エラストマー成分のタイプと共に慣用されており、熟練ゴム化学者は、特定用途で特定ゴムとどのタイプの油を利用すべきかを認識しているであろう。熱可塑性エラストマー組成物では、油は全組成物の0〜約20質量%のレベルで存在してよく;不透過性を最大にするためには組成物に油を含めないことが好ましい。
【0036】
図1を参照すると、1つの非限定実施形態に従って本発明の方法を実施するための押出機ラインの概略が示されている。押出機1、2、3、4、5が溶融ストリームをスタックダイ6に供給すると、溶融ストリームがガイドテント8まで伸長するインフレートバブル7を形成し、これがニップロール9で取り上げられ、そこからウェビング(webbing)10が巻取ロール11に巻き取られる。一実施形態では、バリア組成物は押出機1、2、3を通して供給され、副層用の第1接着剤組成物は押出機4を通して供給され、外側接着剤層用の第2接着剤組成物は押出機5を通して供給される。
一実施形態では、バリア組成物は、その熱可塑性相の融点より高い温度、例えば、180℃超え、190℃超え、200℃超え、又は210℃超えの温度で供給され、一実施形態では、溶融物は溶融物押出機内での動的加硫にとって十分に高い温度を有する。別の実施形態では、バリア組成物は約190℃〜約250℃、例えば、約210℃〜約230℃の温度で供給される。一般的に、接着剤層及び/又は副層をそれらの共押出中に過熱するのを回避するためにはより低い温度が好ましい。他方で、温度は、ダイ内及びマンドレル上での溶融物の流動性、並びにバリア組成物中に存在するいずれの硬化系の活性化をも保証するのに十分高くなければならない。
一実施形態では、接着剤組成物は、共押出工程において、例えば、ダイを通る流動性及び/又はインフレーションフィルムの場合に存在し得るいずれのマンドレル周囲のバリア層の表面上への流動性をも保証するのに十分な温度で押出機を出ている;しかし、温度は、接着剤組成物の時期尚早の硬化又はスコーチングを回避するのに十分に低いべきでもある。副層は、バリア組成物の表面と接触しており、表面でバリア組成物と熱伝達しやすいので一般的に外側層より多くの熱履歴を経験すると予想され;副層上に沈着される外側接着剤層は副層に比べて相対的に少ない熱履歴を有するであろう。
一実施形態では、接着剤層及び副層に供給される接着剤組成物は、約110℃〜約180℃、例えば、約120℃〜約150℃の温度の溶融物由来である。さらなる実施形態では、副層内の接着剤は、共押出工程中に約210℃未満、好ましくは約180℃未満、特に160℃未満の温度で維持される;一方、外側接着剤層内の接着剤は、共押出工程中に約180℃未満、好ましくは約160℃未満、特に140℃未満の温度で維持される。
【0037】
図2は、一実施形態により、
図1の押出機ラインから製造された積層品14の概略断面図を示す。空気バリア層16は、一実施形態によれば、3つのプライ16A、16B、16Cを含むが、理論的には例えば、1、2、3、4、5、7、8、及び9つのプライ等のいずれの適切な数のプライも可能である。接着剤層18は、やはり本明細書の種々の実施形態で述べたように接着剤組成物を含む副層20によってバリア層16に接着している。
図3は空気タイヤ(正確な縮尺比でない)の概略断面図を示し、タイヤ26がタイヤホイール22のリム24に取り付けられ、それにより閉じた空気チャンバー28を形成している。積層品14(
図2参照)はインナーライナーとして適用されており、接着剤層18は、タイヤカーカスと、空気チャンバー28に面している空気バリア層16と共加硫される。
【0038】
従って、本発明は、本発明の下記実施形態を提供する。
A. 下記工程:バリア組成物並びに第1及び第2接着剤組成物のそれぞれの溶融ストリームを供給する工程(ここで、第1及び第2接着剤組成物は同一又は異なる);溶融ストリームを共押出して、接着剤層と、副層と、バリア層とを含む複数層を含んでなる積層押出品を形成する工程を含む方法であって;バリア組成物は、バリア層の1以上のプライ内に存在する動的に加硫された熱可塑性エラストマー組成物を含み;かつ副層は、第1接着剤組成物の溶融ストリームから形成された第1プライを含み、接着剤層は、第2接着剤組成物の溶融ストリームから形成された第2プライを含み、第1プライは接着によってバリア層と第2プライを接合し、かつ第2プライはジエンベースゴムと加硫可能である。
B. バリア組成物の溶融ストリームが210℃〜260℃の温度で供給され、第1接着剤組成物の溶融ストリームが210℃未満の温度で供給され、かつ第2接着剤組成物の溶融ストリームが180℃未満の温度で供給される、実施形態Aの方法。
C. 第1接着剤組成物の溶融ストリームがバリア組成物の溶融ストリームの温度未満かつ第2接着剤組成物の溶融ストリームの温度より高い温度で供給される、実施形態A又は実施形態Bの方法。
D. 副層が少なくとも部分的に硬化され、接着剤層がアンダーキュアされる、実施形態A〜Cのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
E. さらに下記工程:溶融ストリームをダイスタックのマンドレル上に、バリア組成物の溶融ストリームをマンドレル上に導入し;第1接着剤組成物の溶融ストリームをバリア組成物ストリーム上に導入し;かつ第2接着剤組成物の溶融ストリームを第1接着剤組成物ストリーム上に導入する順序で導入する工程を含む、先行実施形態A〜Dのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
F. バリア層内の熱可塑性エラストマー組成物が、連続相としての
、ポリアミド
を含む熱可塑性樹脂と、その中に分散した分散相としてのゴム組成物とを含み、ゴム組成物はイソブチレンとパラメチルスチレンのハロゲン化コポリマーを含む、先行実施形態A〜Eのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
G. 接着剤層が加硫硬化パッケージを含む、先行実施形態A〜Fのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
H. 副層が加硫硬化パッケージを含まないか又は接着剤層より少ない加硫硬化パッケージを含む、先行実施形態A〜Gのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
I. 接着剤層が5N未満の自己粘着性を有する、先行実施形態A〜Hのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
J. 接着剤層と副層が5〜200μmの全厚を有する、先行実施形態A〜Iのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
K. 第1接着剤組成物が全部で100質量部の熱可塑性エラストマー成分と、30〜200質量部の粘着付与剤成分とを含み、副層がバリア層と共硬化される、先行実施形態A〜Jのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
L. 第1接着剤組成物中の粘着付与剤成分が、脂肪族樹脂、芳香族変性脂肪族樹脂及びその組合せから成る群より選択される樹脂;好ましくはピペリレン樹脂、芳香族変性ピペリレン樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、及びその組合せから成る群より選択される樹脂;さらに好ましくは70℃〜140℃の軟化点及び800〜1600の数平均分子量Mnを有するピペリレン樹脂、又は1000以下の重量平均分子量Mw及び60℃〜120℃の軟化点を有するテルペン樹脂を含む、実施形態Kの方法。
M. 第2接着剤組成物が全部で100質量部の熱可塑性エラストマー成分と、30〜200質量部の粘着付与剤成分と、100質量部の熱可塑性エラストマー成分当たり0.1〜15質量部の加硫硬化パッケージとを含む、先行実施形態A〜Lのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
N. 第2接着剤組成物中の粘着付与剤成分が、脂肪族樹脂、芳香族変性脂肪族樹脂及びその組合せから成る群より選択される樹脂;好ましくはピペリレン樹脂、芳香族変性ピペリレン樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、及びその組合せから成る群より選択される樹脂;さらに好ましくは70℃〜140℃の軟化点及び800〜1600の数平均分子量Mnを有するピペリレン樹脂、又は1000以下の重量平均分子量Mw及び60℃〜120℃の軟化点を有するテルペン樹脂を含む、実施形態Mの方法。
O. 実施形態A〜Nのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法により製造された積層押出品を含んでなり、バリア層が動的に加硫され、接着剤層がジエンベースゴムと共硬化可能である、積層品。
P. 積層押出品をインナーライナーとしてタイヤに組み入れる工程をさらに含む、実施形態A〜Oのいずれか1つ又はいずれかの組合せの方法。
Q. 積層押出品の接着剤層がゴムと共硬化される、実施形態Pの方法により製造された空気タイヤ。
R. 下記:接着剤層と、副層と、バリア層とを含む複数層を含んでなる積層品であって;バリア層が、バリア層の1以上のプライ内に存在する動的に加硫された熱可塑性エラストマー組成物を含み;副層が、接着によってバリア層と第2プライを接合している第1接着剤組成物の第1プライを含み;接着剤層が第2接着剤組成物で形成された第2プライを含み、第2プライはジエンベースゴムと加硫可能である、積層品。
S. 接着剤層が5N未満の自己粘着性を有する、実施形態Rに記載の積層品。
T. 接着剤層と副層が5〜200μmの全厚を有する、実施形態R又はSに記載の積層品。
U. 接着剤層が加硫硬化パッケージを含む、実施形態R〜Tのいずれか1つ又はいずれかの組合せの積層品。
V. 副層が加硫硬化パッケージを含まないか又は接着剤層より少ない加硫硬化パッケージを含み、かつ接着剤層がオキシラン酸素を含まないか(例えば、1質量%未満又は0.1質量%未満)、又は副層より少ないオキシラン酸素を含む、実施形態R〜Uのいずれか1つ又はいずれかの組合せの積層品。
W. バリア層内の熱可塑性エラストマー組成物が、連続相としての
、ポリアミド
を含む熱可塑性樹脂と、その中に分散した分散相としてのゴム組成物とを含み、ゴム組成物はイソブチレンとパラメチルスチレンのハロゲン化コポリマーを含む、実施形態R〜Vのいずれか1つ又はいずれかの組合せの積層品。
【実施例】
【0039】
実施例で利用する成分として下記化合物を使用した。
【0040】
表1
【0041】
表2中の成分を含有する標準組成物(以後、BIMSマスターバッチと称する)を、BIMSの時期尚早の硬化を引き起こさないが、代わりにバリア組成物で使用するためのエラストマー用の硬化系を組み合わせて含む成分を分散させる温度と時間、バンバリー内部ミキサーで成分を分散させることによって調製した。
【0042】
表2
【0043】
表3に示すようにDVA配合物を調製した。
【0044】
表3
【0045】
表4の成分を含有する接着剤配合物を、ESBSの時期尚早の硬化を引き起こさないが、代わりに外側接着剤層及び副層で使用するためのエラストマー用の硬化系を組み合わせて含む成分を分散させる温度と時間、バンバリー内部ミキサーで成分を分散させることによって調製した。
【0046】
表4
【0047】
DVA配合物(表3)及び表4の接着剤から多層インフレーションフィルムを製作した。押出機ラインは、
図1に示すように配置したBrampton Engineeringの5層ダイスタック及び5つのそれぞれ50mmの単軸押出機を使用した。第1ランでは、3つの内部層はDVA(押出機/ダイA、B及びC)であり、4番目の押出機/ダイ(D)は使用せず、接着剤を第5押出機/ダイ(E)から最外層として供給した。操作条件を下表5に示す。
【0048】
表5
【0049】
第1ランでは、DVAを3つの内部押出機A〜Cで標準温度にて供給し、押出機Dは断熱として空のままにし、より少ない滞留時間が高温曝露の時間を減らし、接着剤のスコーチングの可能性を最小限にするかどうか調べるため押出機Eを通して接着剤をダイの近くに供給した。しかしながら、接着剤はスコーチされ、積層品は不良の表面品質を有し、硬化接着は悪影響を与える可能性を示した。また、バブルの安定性を維持するために必要な引き上げ速度で適正な接着剤厚を維持するのは困難だった。
第2ランでは、下表6に示す条件を利用して第4及び第5押出機を通して接着剤を供給した。
【0050】
表6
表6の注記:NA=該当データなし
【0051】
このランでは、第1ランに比べて接着剤副層の相対的に長い滞留時間にもかかわらず、外側接着剤層はクリアであり、表面外観が良く、かつスコーチングがないという点で驚くべき結果だった。押出機Dを通して供給された接着剤の副層は、押出機Eによる外側層に対して熱バリアとして作用することができ、同様に外側接着剤層は副層にクエンチを与えた。さらに、二層接着剤は、25〜50μmの接着剤外側層及び接着剤副層のそれぞれの厚さの制御を容易にし、この特定実施形態では全接着剤厚は66.7μmだった。
別の典型的なランでは、表7に示す条件を利用して、また接着剤を第4及び第5押出機を通して供給し;外側接着剤層のゲージを副層に比べて増やした。
【0052】
表7
【0053】
このランでも、第1ランに比べて接着剤副層の相対的に長い滞留時間にもかかわらず、外側接着剤層がクリアであり、表面外観が良く、スコーチングがなかった。この場合もやはり押出機Dを通して供給された接着剤の副層は、押出機Eによる外側層に対して熱バリアとして作用することができ、同様に外側接着剤層は副層にクエンチを与えた。さらに、この特定実施形態では二層接着剤は、外側層と副層の全接着剤厚71μmの制御を容易にした。
上記明細書又は下記特許請求の範囲で列挙される数のいずれの範囲、例えば特定セットの特性、測定の単位、条件、物理的状態又はパーセンテージ表す範囲も、該範囲内に入るいずれの数も、そのように列挙されたいずれの範囲内に包含されるいずれのサブセットの数又は範囲を含めて、参照その他によって本明細書に明白に逐語的に組み込まれるように意図される。
本明細書に記載の全ての文書は、いずれの特許出願及び/又は試験手順をも含め、参照することによりこの出願及び特許請求の範囲と矛盾しない程度まで組み込まれる。上記明細書では本発明の原理、好ましい実施形態、及び操作モードについて述べた。本発明を特定の実施形態を参照して述べたが、これらの実施形態は本発明の原理及び適用の単なる例示であることを理解すべきである。従って、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、例示実施形態に多くの変更を加えることができ、かつ他のアレンジメントを考え出し得ることを理解すべきである。