(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記酸性または塩基性減速剤(3)が、前記第一工程で(1)及び(2)から得られた前記反応生成物(4a)から除去され、その際、25℃及び1020hPaで液体であり、粘度100〜1000000Pa.s(25℃)を有するオルガノポリシロキサン(4b)またはエラストマー状オルガノポリシロキサンが得られ、その際、得られた前記オルガノポリシロキサンが、塩基性基として第一級のアミノ基及び/又は第二級のアミノ基(-NH-)を有し、かつ酸性基として、式X-NH−CO−N=(式中、Xは式CH3C6H4SO2−、C6H5SO2−、CH3SO2−及びCCl3SO2−の群から選択された電子求引基である)の酸性基を有する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、塩基性及び酸性基を有するオルガノポリシロキサンのエマルションを製造する方法であって、
第一工程で、
第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有するオルガノポリシロキサン(1)を、式X−N=C=O(式中、Xは電子求引基である)のイソシアナート(2)と、酸性減速剤(3)、好ましくはカルボン酸、または塩基性減速剤(3)の存在下で反応させ、
ただし、(2)のイソシアナート基0.01〜0.9mol、好ましくは0.1〜0.8mol、好ましくは0.1〜0.5molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、かつ
酸性減速剤(3)0.1〜10molが、(1)のアミ
ノ基(-NH-)1molに対して使用され、または
塩基性減速剤(3)0.1〜10molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、
アミンが塩基性減速剤としてされる場合、第三級アミンのみが使用され、
第二工程で、
前記第一工程で(1)及び(2)から得られた、酸性または塩基性減速剤(3)を含む反応生成物(4a)を、所望により乳化剤(5)及び所望により有機溶剤(6)とともに、水(7)中で、乳化させ、
25℃及び1020hPaで液体であり、粘度100Pa.s〜1000000Pa.s(25℃)を有するオルガノポリシロキサン(4b)のエマルションまたはエラストマー状オルガノポリシロキサンが得られ、前記オルガノポリシロキサンが、塩基性基として第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有し、かつ酸性基として、式X-NH−CO−N=(式中、Xは電子求引基である)の酸性基を有する、方法を提供する。
【0006】
本発明はさらに、塩基性及び酸性基を有するオルガノポリシロキサンを製造する方法であって、
第一工程で、
第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有するオルガノポリシロキサン(1)を、式X-N=C=O(式中、Xは電子求引基である)のイソシアナート(2)と、酸性減速剤(3)、好ましくはカルボン酸、または塩基性減速剤(3)の存在下で反応させ、
ただし、(2)のイソシアナート基0.01〜0.9mol、好ましくは0.1〜0.8mol、好ましくは0.1〜0.5molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、かつ
酸性減速剤(3)0.1〜10molが、(1)のアミノ基1molに対して使用されるか、または
塩基性減速剤(3)0.1〜10molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、
アミンが塩基性減速剤としてされる場合、第三級アミンのみが使用され、
(1)及び(2)から得られた反応生成物(4a)として、オルガノポリシロキサンが得られ、前記オルガノポリシロキサンが、塩基性基として、第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有し、かつ酸性基として、式X-NH−CO−N=(式中、Xは電子求引基である)の酸性基を有し、かつ酸性または塩基性減速剤(3)を含む、方法を提供する。
【0007】
本発明は、塩基性及び酸性基を有するオルガノポリシロキサンのエマルションであって、
第一工程で、
第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有するオルガノポリシロキサン(1)を、式X-N=C=O(式中、Xが電子求引基である)のイソシアナート(2)と、酸性減速剤(3)、好ましくはカルボン酸、または塩基性減速剤(3)の存在下で反応させ、
ただし、(2)のイソシアナート基0.01〜0.9mol、好ましくは0.1〜0.8mol、好ましくは0.1〜0.5molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、かつ
酸性減速剤(3)0.1〜10molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、または
塩基性減速剤(3)0.1〜10molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、
アミンが塩基性減速剤としてされる場合、第三級アミンのみが使用され、
第二工程で、
前記第一工程で(1)及び(2)から得られた、酸性または塩基性減速剤(3)を含む反応生成物(4a)を、所望により乳化剤(5)及び所望により有機溶剤(6)とともに、水(7)中で、乳化させ、
25℃及び1020hPaで液体であり、粘度100Pa.s〜1000000Pa.s(25℃)を有するオルガノポリシロキサン(4b)のエマルションまたはエラストマー状オルガノポリシロキサンが得られ、前記オルガノポリシロキサンが、塩基性基として第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有し、かつ酸性基として、式X-NH−CO−N=(式中、Xは電子求引基である)の酸性基を有することによって得ることが可能な、エマルションを提供する。
【0008】
本発明はさらに、塩基性及び酸性基を有するオルガノポリシロキサンであって、
第一工程で、
第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有するオルガノポリシロキサン(1)を、式X-N=C=O(式中、Xが電子求引基である)のイソシアナート(2)と、酸性減速剤(3)、好ましくはカルボン酸、または塩基性減速剤(3)の存在下で反応させ、
ただし、(2)のイソシアナート基0.01〜0.9mol、好ましくは0.1〜0.8mol、好ましくは0.1〜0.5molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、かつ
酸性減速剤(3)0.1〜10molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、または
塩基性減速剤(3) 0.1〜10molが、(1)のアミノ基(-NH-)1molに対して使用され、
アミンが塩基性減速剤としてされる場合、第三級アミンのみが使用され、
(1)及び(2)から得られた反応生成物(4a)として、オルガノポリシロキサンが得られ、前記オルガノポリシロキサンが、塩基性基として、第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有し、かつ酸性基として、式X-NH−CO−N=(式中、Xが電子求引基である)の酸性基を有し、かつ酸性または塩基性減速剤(3)を含むことによって得ることが可能な、オルガノポリシロキサンを提供する。
【0009】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(1)中の第一級及び/又は第二級アミノ基は、一般式
−R
2−[NR
3−R
4−]
gNHR
3 (I)
のSi−C結合した基Aであり、
式中、R
2は、1〜18個の炭素原子を有する二価の直鎖状または分岐した炭化水素ラジカルであり、
R
3は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカル、好ましくはC
1〜C
4アルキルラジカル、またはアシルラジカル、好ましくは水素原子であり、
R
4は、1〜6個の炭素原子を有する二価の炭化水素ラジカルであり、
qは、0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2、特に好ましくは1または2である。
【0010】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(1)は、一般式
【化1】
のオルガノポリシロキサンであり、式中、
Aは、それに関して上記の意味を有し、
Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカルであり、
R’は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカル、好ましくはC
1〜C
4アルキルラジカルであり、
aは、0または1であり、
bは、0、1、2または3であり、
cは、0または1であるが、
ただし、a+b+cの合計は、≦3であり、オルガノポリシロキサンは、1分子あたり少なくとも1個のラジカルAを有する。
【0011】
好ましくは、使用するオルガノポリシロキサン(1)は、一般式
A
kR
★3−kSiO(R
2SiO)
m(AR
★SiO)
nSiR
★3−kA
k (III)
のオルガノポリシロキサンであり、式中、
Aは、それに関して上記の意味を有し、
R
★は、Rまたは式−OR’のラジカルであり、
Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカルであり、
R’は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカル、好ましくはC
1〜C
4アルキルラジカルであり、
kは、0または1であり、
mは、1から1000、好ましくは10〜500、好ましくは20〜400の整数であり、
nは、0または1〜50、好ましくは1〜20、好ましくは1〜10の整数であり、
ただし、前記オルガノポリシロキサンは、1分子あたり少なくとも1個のラジカルAを含む。
【0012】
1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカルRの例は、アルキルラジカル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチルラジカル、ヘキシルラジカル、例えばn−ヘキシルラジカル、ヘプチルラジカル、例えばn−ヘプチルラジカル、オクチルラジカル、例えばn−オクチルラジカル及びイソオクチルラジカル、例えば2,2,4−トリメチルペンチルラジカル、ノニルラジカル、例えばn−ノニルラジカル、デシルラジカル、例えばn−デシルジカル、ドデシルラジカル、例えばn−ドデシルラジカル、及びオクタデシルラジカル、例えばn−オクタデシルラジカル、シクロアルキルラジカル、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシルラジカル、アルケニルラジカル、例えばビニル、5−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−プロペニル、アリル、3−ブテニル及び4−ペンテニルラジカル、アルキニルラジカル、例えばエチニル、プロパルギル及び1−プロピニルラジカル、アリールラジカル、例えばフェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルラジカル、アルカリールラジカル、例えばo−、m−、p−トリルラジカル、キシリルラジカル及びエチルフェニルラジカル、及びアラルキルラジカル、例えばベンジルラジカル、α-及びβ-フェニルエチルラジカルである。
【0013】
炭化水素ラジカルR’の例は、アルキルラジカル、例えばメチル及びエチルラジカルである。
【0014】
ラジカルAの好ましい例は、式
H
2N(CH
2)
3−
H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−
H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)CH(CH
3)CH
2−
(シクロヘキシル)NH(CH
2)
3−
CH
3NH(CH
2)
3−
(CH
3)
2N(CH
2)
3−
CH
3CH
2NH(CH
2)
3−
(CH
3CH
2)
2N(CH
2)
3−
CH
3NH(CH
2)
2NH(CH
2)
3−
(CH
3)
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−
CH
3CH
2NH(CH
2)
2NH(CH
2)
3−
(CH
3CH
2)
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−
のラジカル及びその部分的にアセチル化された形態である。
【0015】
ラジカルAの特に好ましい例は、式
H
2N(CH
2)
3−
H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3−
H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)CH(CH
3)CH
2−
(シクロヘキシル)NH(CH
2)
3−
(アセチル)−NH(CH
2)
2NH(CH
2)
3−
H
2N(CH
2)
2N(アセチル)(CH
2)
3−
のラジカルである。
【0016】
オルガノポリシロキサン(1)は、好ましくは粘度が25℃で5〜50000mPa.s、好ましくは25℃で100〜10000mPa.sであり、好ましくはアミン含有量が0.05〜2.0mEquiv/g、好ましくは0.1〜0.8 mEquiv/gであり、これは好ましくは0.05〜2.0、好ましくは0.1〜0.8のアミン価に相当する。
【0017】
好ましくは、イソシアナート(2)中のラジカルXは、式
CH
3C
6H
4SO
2−、C
6H
5SO
2−、CH
3SO
2−、CCl
3SO
2−及びClSO
2−の群から選択された式のラジカルであり、式CH
3C
6H
4SO
2−のラジカル(トシルラジカル)が好ましい。
【0018】
従って、イソシアナート(2)の例は、
p−トルエンスルホニルイソシアナート、
ベンゼンスルホニルイソシアナート、
トリクロロアセチルイソシアナート、
メタンスルホニルイソシアナート及び
クロロスルホニルイソシアナート
であり、p−トルエンスルホニルイソシアナートが好ましい。
【0019】
第一方法工程における(1)と(2)の反応は、酸性または塩基性減速剤(3)の存在下で行われる。好ましくは、減速剤は、単官能性の酸または塩基である。
【0020】
酸性減速剤(3)の例は、カルボン酸、好ましくは単官能性カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルヘキサン酸、オクタン酸、脂肪酸、例えばペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、安息香酸、乳酸、スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、鉱酸、例えば硝酸、塩酸、臭化水素酸及びヨウ化水素酸である。分子量が150Da以下、特に80Da以下の酸が好ましい。
【0021】
塩基性減速剤(3)の例は、tert−アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルブチルアミン、トリイソオクチルアミン及びメチルモルホリンである。
【0022】
本発明の方法の第一工程は、好ましくは、温度0〜100℃、好ましくは、10〜60℃で、圧力は外界圧力、すなわち約1020hPaで行うが、より高い、またはより低い圧力で行うこともできる。
【0023】
第一方法工程における(1)と(2)の反応により、第一級及び/又は第二級アミノ基(−NH−)及び式X−NH−CO−N=の酸性基を含むオルガノポリシロキサンが形成されるが、式中、Xは電子求引基であり、好ましくは式CH
3C
6H
4SO
2−のトシル基、すなわちアミノ基はここでは酸性カルバミドスルホン基に部分的に転化されており、残りの塩基性アミノ基は残っている。
【0024】
第一方法工程で使用するオルガノポリシロキサン(1)は、好ましくは式(I)のSi−C結合したアミノ基Aを有し、これは、g=1である場合、ジアミン基であり、g=2である場合、トリアミノ基である。これらのアミノ基がイソシアナート(2)と反応する時、N原子は、ジアミンまたはトリアミノ基に完全に、または部分的に転化される。第一方法工程でこのように、N原子が部分的にのみ反応する場合、分子内ではなく、1個の、同じSi−C結合した置換基の中に酸性基及び塩基性基を含むオルガノポリシロキサンが形成される。
【0025】
オルガノポリシロキサン(1)は、さらに第三級アミノ基も有することができるが、これらはイソシアナート(2)とは反応せず、従って塩基性基として残る。
【0026】
酸性または塩基性減速剤(3)は、第一方法工程で(1)及び(2)から得た反応生成物(4a)から除去することができ、その際、25℃及び1020hPaで液体であり、粘度100〜1000000Pa.s(25℃)を有するオルガノポリシロキサン(4b)またはエラストマー状オルガノポリシロキサンが得られ、その際、オルガノポリシロキサンが、塩基性基として第一級及び/又は第二級アミノ基(-NH-)を有し、酸性基として、式X−NH−CO−N=(式中、Xが電子求引基である)の酸性基を有する。
【0027】
減速剤(3)、特にカルボン酸、例えば酢酸、の除去は、好ましくは第一方法工程で温度30〜60℃に加熱することにより、及び/又は(1)及び(2)の反応生成物(4a)を乾燥させることにより、行なう。薄層で、または他の様式で長期間にわたり、単純なフラッシングにより、同様に、高粘度オルガノポリシロキサンが得られる。粘度の著しい増加は、乳化した液滴から水相中に移行する減速剤(3)、好ましくは親水性減速剤(3)、によっても起こる。
【0028】
25℃及び1020hPaで液体であるオルガノポリシロキサン(4b)は、好ましくは25℃で粘度100〜100000mPa.s、好ましくは25℃で100〜10000 mPa.sを有する。
【0029】
使用したオルガノポリシロキサン(1)と、得られたオルガノポリシロキサン(4b)の粘度比は、好ましくは20を超えており、好ましくは50を超えており、特に100を超えており、特に好ましくは200を超えている。
【0030】
液体のオルガノポリシロキサン(4b)に加えて、エラストマー状オルガノポリシロキサンも
得られるが、その粘度はもはや測定できない。
【0031】
従って、本発明は、塩基性基として第一級及び/又は第二級アミノ基(−NH−)、及び酸性基として式X−NH−CO−N=の、Xが電子求引基である酸性基を有するオルガノポリシロキサン(4b)を提供するが、オルガノポリシロキサンは、25℃及び1020hPaで液体であり、粘度100Pa.s〜1000000 Pa.s(25℃)を有するオルガノポリシロキサンまたはエラストマー状オルガノポリシロキサンである。
【0032】
好ましくは、酸性基と塩基性基のモル比は、0.01〜100、好ましくは0.1〜10、好ましくは0.2〜5、特に好ましくは0.2〜2である。
【0033】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(4b)は、式
Z
pR
★3−pSiO(R
2SiO)
m(ZRSiO)
nSiR
3−pZ
p (IV)
のオルガノポリシロキサンであり、
式中、Zは、式
−R
2−[N(−V)−R
4−]
gNR
3−CO−NH−X
の酸性基Yまたは式
−R
2−[NR
3−R
4−]
gNH(−R
3)
の塩基性基Aであり、
Vは、R
3または式−CO−NH−Xのラジカルであり、
Xは、電子求引基であり、
R
★は、Rまたは式−OR’のラジカルであり、
Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカルであり、
R’は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカル、好ましくはC
1〜C
4アルキルラジカルであり、
R
2は、1〜18個の炭素原子を有する二価の直鎖状または分岐した炭化水素ラジカルであり、
R
3は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素ラジカル、好ましくはC
1〜C
4アルキルラジカル、またはアシルラジカル、好ましくは水素原子であり、
R
4は、1〜6個の炭素原子を有する二価の炭化水素ラジカルであり、
qは、0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2、好ましくは1または2であり、
pは、0または1であり、
mは、1から1000、好ましくは10〜500、好ましくは20〜400の整数であり、
nは、0または1〜50、好ましくは1〜20、好ましくは1〜10の整数であるが、
ただし、酸性基Yと塩基性基Aのモル比は、0.01〜100、好ましくは0.1〜10、好ましくは0.2〜5であり、オルガノポリシロキサンは、1分子あたり少なくとも2個の基Z、少なくとも1個の基Y、及び少なくとも1個の基Aを含む。
【0034】
好ましくは、
Yは、式
−(CH
2)
3−N(−V’)−CH
2CH
2−NH−CO−NH−SO
2−C
6H
4−CH
3
の基であり、式中、V’が、水素原子、または式
−CO−NH−SO
2−C
6H
4−CH
3
の
基であり、かつ
Aは、式
−(CH
2)
3−NH−CH
2CH
2−NH
2
の基である。
【0035】
第二方法工程では、第一方法工程で(1)及び(2)から反応生成物(4a)として得た、酸性または塩基性減速剤(3)を有するオルガノポリシロキサンを、好ましくは乳化剤(5)で、好ましくは有機溶剤(6)で、水(7)中で乳化させる。
【0036】
本発明のエマルション製造は、成分(4a)、(5)、(6)及び(7)を混合、好ましくは強力に混合することにより行われる。オルガノポリシロキサンのエマルションを製造するための技術は、公知である。例えば、強力な混合は、ロータ−ステータ攪拌装置、コロイドミル、または高圧ホモジナイザーで行うことができる。
【0037】
使用できる乳化剤(5)は、これまで公知のすべての陽イオン系、陰イオン系及び非イオン系乳化剤であり、個別に、または異なった乳化剤の混合物として、オルガノポリシロキサンの水性エマルションをこれまで製造できることが分かっているものである。
【0038】
好適な陰イオン系乳化剤は、特に下記の通りである。
【0039】
1. アルキルサルフェート、特に鎖長が8〜18個の炭素原子を有するアルキルサルフェート、疎水性ラジカル中に8〜18個の炭素原子及び1〜40エチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)単位を有するアルキル及びアルカリールエーテルサルフェート。
【0040】
2.スルホネート、特に8〜18個の炭素原子を有するアルキルスルホネート、8〜18個の炭素原子を有するアルキルアリールスルホネート、タウライド、スルホコハク酸と4〜15個の炭素原子を有する一価アルコールまたはアルキルフェニルのエステル及び半エステル、所望によりこれらのアルコールまたはアルキルフェニルは、1〜40EO単位でエトキシル化されていてもよい。
【0041】
3.アルキル、アリール、アルカリールまたはアラルキルラジカル中に8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩。
【0042】
4.リン酸部分エステルとそれらのアルカリ金属及びアンモニウム塩、特に有機ラジカル中に8〜20個の炭素原子を有するアルキル及びアルカリールリン酸エステル、アルキルまたはアルカリール中に8〜20個の炭素原子及び1〜40EO単位を有するアルキルエーテル及びアルカリールエーテル。
【0043】
好適な非イオン系乳化剤は下記のとおりである。
【0044】
5.ポリビニルアルコール、5〜50%、好ましくは8〜20%の酢酸ビニル単位も有し、重合度が500〜3000である。
【0045】
6.アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは8〜40EO単位及び8〜20個の炭素原子のアルキルラジカルを有するアルキルポリグリコールエーテル。
【0046】
7.アルキルアリールポリグリコールエーテル、好ましくは8〜40EO単位及びアルキル及びアリールラジカル中に8〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールポリグリコールエーテル。
【0047】
8.エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロック共重合体、好ましくは8〜40EO及び/又はPO単位を有する共重合体。
【0048】
9.アルキルアミンの付加生成物、8〜22個の炭素原子を有するアルキルラジカルとエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを含む。
【0049】
10.6〜24個の炭素原子を有する脂肪酸。
【0050】
11.一般式R
★−O−Z
Oのアルキルポリグリコシド、式中、R
★は、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、平均8〜24個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、Z
Oは、平均o=1〜10個のヘキソースまたはペントース単位またはそれらの混合物を有するオリゴグリコシドラジカルである。
【0051】
12.天然物質及びそれらの誘導体、例えばレシチン、ラノリン、サポニン、セルロース、セルロースアルキルエーテル及びカルボキシアルキルセルロース、そのアルキル基は、それぞれの場合、4個までの個の炭素原子を有する。
【0052】
13.極性基を含む直鎖状オルガノ(ポリ)シロキサン、特に24個までの個の炭素原子及び/又は40までのEO及び/又はPO基を有するアルコキシ基を含む直鎖状オルガノ(ポリ)シロキサン。
【0053】
好適な陽イオン系乳化剤は、特に下記の通りである。
【0054】
14.8〜24個の炭素原子を有する第一級、第二級及び第三級脂肪アミンと、酢酸、硫酸、塩酸及びリン酸の塩。
【0055】
15.第四級アルキル及びアルキルベンゼンアンモニウム塩、特にそのアルキル基が6〜24個の炭素原子を有する塩、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0056】
16.アルキルピリジニウム、アルキルイミドゾリニウム及びアルキルオキサゾリニウム塩、特にそのアルキル鎖が18個までの個の炭素原子を有する塩、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0057】
好適な両性電解質の乳化剤は、特に下記の通りである。
【0058】
17.長鎖置換されたアミノ酸、例えばN−アルキルジ(アミノエチル)グリシンまたはN−アルキル−2−アミノプロピオン酸塩。
【0059】
18.ベタイン、例えばC
8〜C
18-アシルラジカルを含むN−(3−アシルアミドプロピル)−N,N―ジメチルアンモニウム塩及びアルキルイミドゾリニウムベタイン。
【0060】
好ましい乳化剤は、非イオン系乳化剤、特に上の6.に挙げたアルキルポリグリコールエーテル、9.に挙げたアルキルアミンとエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加生成物、11.に挙げたアルキルポリグリコシド、及び5.に挙げたポリビニルアルコールである。
【0061】
本発明のエマルションには、乳化剤(5)は、それぞれの場合、反応生成物(4a)100重量部に対して、0〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部の量で使用する。
【0062】
有機溶剤(6)の例は、飽和炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン及びn−オクタン、及びそれらの分岐した異性体、ベンジン、例えば1020hPaで沸騰範囲が80℃〜140℃のアルカン混合物、不飽和炭化水素、例えば1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン及び1-デセン、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン、1〜6個の炭素原子を有するハロゲン化アルカン、例えば塩化メチレン、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン、エーテル、例えばジ−n−ブチルエーテル、エステル、例えば酢酸エチレン、ケトン、例えばメチルエチルケトン及びシクロヘキサノン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、及びイソプロパノール、及びグリコール、例えばエチレングリコール及びジエチレングリコール及びグリコールエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、及びシリコーン油、例えば25℃で粘度0.65〜100mpa.sのトリメチルシリル−キャップされたジメチルポリシロキサンである。
【0063】
本発明のエマルションには、有機溶剤(6)を、それぞれの場合に反応生成物(4a)100重量部に対して、好ましくは0〜100重量部、特に好ましくは5〜30重量部の量で使用する。
【0064】
本発明のエマルションでは、水(7)を、それぞれの場合に反応生成物(4a)100重量部に対して、好ましくは80〜400重量部、特に好ましくは100〜400重量部の量で使用する。
【0065】
本発明の方法の第二工程では、エマルション化は、好ましくは温度10〜70℃、好ましくは20〜50℃で行い、好ましくは外界雰囲気の圧力で、すなわち約1020hPaで行うが、より高いか、またはより低い圧力で行うこともできる。
【0066】
本発明の方法には、第一方法工程で、塩基性アミノ基(−NH−)と、イソシアナートX−N=C=O(式中、Xは電子求引基Xである)の部分的反応の結果、残留塩基性基及び酸性基も同時に含むオルガノポリシロキサンが得られる、という利点がある。Xが、好ましいトシル基CH
3C
6H
2SO
2−である場合、トシル尿素基が形成され、これは、カルボニル及びスルホニル基の強力な電子引力により、酸性特性(カルボン酸に類似の)を発揮する。このようにして、強いイオン的相互作用を有するオルガノポリシロキサンが製造される。平均で一個以上の塩基性及び酸性基を含み、これらの基が静電気的に引き付けられるこれらのオルガノポリシロキサンの複数のイオン的相互作用だけの結果、高粘度〜エラストマー状のオルガノポリシロキサンが、ここで得られる。しかし、高粘度のオルガノポリシロキサンには、最早乳化され得ないという欠点がある。
【0067】
第一方法工程におけるこの部分的な反応の際に減速剤、好ましくはカルボン酸、例えば酢酸、を加えることにより、驚くべきことに、この粘度増加を十分に大きな程度に阻止または抑制するので、本発明の酸性及び塩基性基を有するシロキサンが容易に乳化する。他方、これらの減速剤を、例えばフラッシングまたは洗浄して除去することにより、高粘度〜エラストマー状オルガノポリシロキサンが形成される。従って、本発明の方法には、減速剤、好ましくはカルボン酸、の添加により、オルガノポリシロキサンが乳化され、このようにして、高粘度オルガノポリシロキサンのエマルションまたは粘度が起因するとは考えられないエラストマー状オルガノポリシロキサンが得られるという利点がある。
【0068】
逆の順序で、本発明のオルガノポリシロキサンには、このポリイオン的相互作用を妨害する物質は、これらの物質の粘度低下につながり、その結果、使用する高粘度重合体が再びより動き易くなり、脱離し得るようになるという利点がある。これは、好ましくない表面上の蓄積を回避するオプションを与える、好適な洗浄溶液またはエマルションにより、達成される。
【0069】
本発明の、酸性及び塩基性基を含むオルガノポリシロキサンのエマルションは、原則的に、高粘度シロキサン、特にアミノシロキサン、に使用することができ、例えばヘアケア組成物及びシャンプー、つや出し、コーティングケア組成物、布地柔軟性付与剤、及び極めて一般的に表面処理用の処方物に有利である。
【0070】
例1
3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルシロキサン、ジメチルシロキサン及びトリメチルシロキサン単位からなり、粘度1600mPa.s(25℃)及びアミン価0.148であるアミノシロキサン125gを、24.2℃で、酢酸7.8gと混合する。次いで、p-トルエンスルホニルイソシアナート(TI)1.46gを混合し、混合物を、約5分後に温度増加が4.6°Kに達するまで、攪拌する。p-トルエンスルホニルイソシアナート(TI)の量は、すべてのアミノ基の40mol%を酸性スルホニル尿素基に転化するのに十分である。
【0071】
この混合物をさらに1時間45℃に加熱し、次いで数グラムの試料をガラス板上で放置し、乾燥させ、この間に、重合体粘度が著しく増加する。3日後、粘度1200Pa.sが25℃で測定される。アミノシロキサンは、その質量の1.17%がp-トルエンスルホニルイソシアナート(TI)と部分的に反応しており、その粘度が750倍に増加する。
【0072】
部分的に反応したアミノシロキサン69gを、酢酸で希釈し、イソトリデシルペンタエトキシレート(乳化剤(5))22g及びブチルジグリコール10gの混合物及び水合計100gと一緒に使用し、問題なく、高せん断力を使用せずに、透明で、細かく分割した、重合体の約34重量%になるエマルションを製造した。
【0073】
この乳化方法は、酢酸を含まない高粘度重合体(25℃で1200Pa.s)では行うことができない。
【0074】
例2
例1に記載した、同じアミン価を有するが、粘度が2700mPa.s(25℃)であるアミノシロキサン125gを、例1と同量の酢酸及びp-トルエンスルホニルイソシアナートと反応させる。酢酸減速剤をフラッシングして除去した後、粘度2300Pa.s(25℃)が最終的に測定される。
【0075】
しかし、例1のように、上で得た部分的に反応 (すべてのアミノ基の40mol%) させたアミノシロキサン及び酢酸の混合物は、問題なく乳化させ、細かく分割したエマルションが得られる。
【0076】
しかし、この乳化方法は、酢酸を含まない高粘度重合体では行うことができない。
【0077】
例3
例1のように製造したが、アミン価0.120及び粘度8900mPa.s(25℃)であるアミノシロキサン125gを、23.7℃で、酢酸2.7gだけと混合する。次いで、p-トルエンスルホニルイソシアナート(TI)1.19gをこの混合物中に攪拌して入れ、この間に反応混合物の温度がさらに増加した。混合物を45℃にさらに1時間加熱した。反応後、使用したアミノシロキサンのすべてのアミノ基の40mol%が、酸性スルホニル尿素基に転化した。
【0078】
この生成物の数グラムの試料を、例1と同様に乾燥させ、粘度16100Pa.sが25℃で達成される。その質量の1%未満がTIで誘導体化したアミノシロキサンは、その本来の粘度の1800倍を達成した。
【0079】
例1と同様に、この生成物68gが、乳化工程中に、問題なく、著しい粘度増加なしに、乳化した。これは、酢酸を含まない高粘度重合体では行うことができない。
【0080】
例4
例1に記載したが、アミン価0.15及び粘度3650mPa.s(25℃)であるアミノシロキサン125gを、24.4℃で、酢酸3.4gと混合し、均質化する。温度を僅かに増加させた後、p-トルエンスルホニルイソシアナート(TI)0.74gをこの混合物中に攪拌して入れ、混合物を温度45℃に1時間加熱した。TIの量は、シロキサンのアミノ基の20mol%だけを転化するのに十分である。乾燥した試料は、なお25℃で粘度747Pa.s、従って本来の値の200倍の値を達成する。
【0081】
例5
3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルシロキサン及びメトキシ基及びヒドロキシ末端基を有するジメチルシロキサン単位の、アミン価0.134であり、25℃で粘度4300mPa.sのアミノシロキサン125gを、室温で、酢酸7.0gと混合し、次いで、p-トルエンスルホニルイソシアナート0.99gと反応させ、その後、混合物を、45℃で1時間十分に反応させる。
【0082】
平らなガラス皿中で、この反応混合物数グラムから酢酸減速剤をフラッシングして除去する。エラストマー状の透明な生成物が得られ、その粘度は最早測定できない。
【0083】
しかし、例1と同様に、部分的に反応した(すべてのアミノ基の30mol%)アミノシロキサンと酢酸の混合物は、問題なく乳化し得る。
【0084】
しかし、この乳化方法は、酢酸を含まないエラストマー状重合体では行うことができない。