【実施例1】
【0062】
図1は、本実施例1に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、
図2、
図3、及び
図4は、それぞれ、
図1に示したII−II線、III−III線、及びIV−IV線における矢視断面図である。
【0063】
なお、以下の説明において、成形面ファスナーの平板状基材における長手方向を前後方向と規定し、平板状基材における幅方向を左右方向と規定する。また、平板状基材における表裏方向を上下方向と規定し、特に、平板状基材に対して第1係合素子が配されている側の方向を上方とし、その反対側の方向を下方とする。
【0064】
本実施例1に係る成形面ファスナー1は、互いに分割されて構成された複数の面ファスナー部材10と、これらの面ファスナー部材10を長さ方向に沿って連結する連結部6を構成するモノフィラメント5と、各成形面ファスナー1に前後方向に沿って固定される線状磁性体7とを有しており、各面ファスナー部材10は、互いに所定の間隔を開けて連結部6により連結されている。この場合、面ファスナー部材10の個数は特に限定されず、成形面ファスナー1が成形一体化されるクッション体の大きさや形状などに応じて任意に変更することが可能である。
【0065】
この成形面ファスナー1における各面ファスナー部材10は、後述するように、ダイホイール31を用いて熱可塑性樹脂材料を成形することにより形成されている。なお、面ファスナー部材10の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、又はそれらの共重合体などの熱可塑性樹脂材料を採用できる。
【0066】
各面ファスナー部材10は、上面側から見たときに、前後方向(長さ方向)に長い略八角形の形態を有しており、面ファスナー部材10の左右側端縁は、面ファスナー部材10の長さ方向に沿って互いに平行に形成されている。
【0067】
また、各面ファスナー部材10は、平板状の平板状基材11と、平板状基材11の上面に立設された左右の縦防壁部12と、左右の縦防壁部12間に亘って幅方向に沿って配された前後の横防壁部13と、縦防壁部12及び横防壁部13よりも内側の領域内に立設された複数の第1係合素子(雄型係合素子)21と、横防壁部13に配された複数の第2係合素子(雄型係合素子)22と、平板状基材11の上面側にてモノフィラメント5を固定する第1固定部16と、平板状基材11の上面側にて線状磁性体7を固定する第2固定部17とをそれぞれ有している。
【0068】
なお、本実施例1において、係合素子領域とは、係着力を発揮する第1及び第2係合素子21,22が配されている領域を言い、特に本実施例1の場合、左右の縦防壁部12の後述する内側の第2縦壁部19と、前後の横防壁部13の後述する内側の第2横壁部15とにより囲まれる領域を言う。この場合、本実施例1の係合素子領域は、長さ方向において、第2横壁部15の後述する分割横壁体15aの位置よりも内側の領域になる。
【0069】
本実施例1における平板状基材11は、上下方向(表裏方向)に湾曲可能なように板厚を薄くして形成されている。また、平板状基材11は、左右の縦防壁部12から外側に向けて幅方向に延設された左右の側方延設部11a,11bと、前方側の横防壁部13から更に前方に向けて延設された前方延設部11cと、後方側の横防壁部13から更に後方に向けて延設された後方延設部11dとを有している。
【0070】
また、平板状基材11の下面側には、前後方向に沿って配された複数の凹溝部11eが形成されている。このような複数の凹溝部11eが平板状基材11の下面側に配されていることにより、成形面ファスナー1を後述するクッション体(発泡体)に一体成形するときに面ファスナー部材10とクッション体との接合面積を大きくして固着強度を高めることができる。なお、本発明では、面ファスナー部材10とクッション体との固着強度を高めるために、上述のような凹溝部11eの代わりに、例えば平板状基材11の下面側に、凸条部又はやじり状の突起部などを設けても良いし、また、不織布を接着又は固着させても良い。
【0071】
左右の縦防壁部12は、平板状基材11の左右の側縁部寄りに、第1及び第2係合素子21,22による係合素子領域を間に挟むようにして前後方向に沿って立設されている。この場合、左右の縦防壁部12は、平板状基材11の左右側端縁から幅方向の内側に入り込んだ位置に配されている。
【0072】
これらの左右の縦防壁部12は、それぞれ幅方向の外側寄りに配された第1縦壁部(第1縦壁列)18と、第1縦壁部18の内側(係合素子領域側)に配された第2縦壁部(第2縦壁列)19とを有しており、第1及び第2縦壁部18,19は、それぞれ複数の縦壁体18a,19aにより構成されている。なお、本発明において、縦防壁部12を構成する第1及び第2縦壁部18,19の配設数(列数)や縦壁体18a,19aの形態は特に限定されるものではない。
【0073】
本実施例1において、第1及び第2縦壁部18,19における縦壁体18a,19aは、それぞれ前後方向に沿って所定の取付ピッチをもって間欠的に配されており、各縦壁体18a間には所定の間隙が設けられている。また、第1縦壁部18の縦壁体18aと第2縦壁部19の縦壁体19aとは、互い違いの位置関係となるように相互にずらされて配されている。
【0074】
更に、第1縦壁部18の縦壁体18aの前端部と、第2縦壁部19の縦壁体19aの後端部とが壁連結部20により連結されているとともに、第1縦壁部18の縦壁体18aの後端部と、第2縦壁部19の縦壁体19aの前端部とが壁連結部20により連結されている。この場合、第1縦壁部18の縦壁体18a、第2縦壁部19の縦壁体19a、及び壁連結部20は、平板状基材11の上面からの高さ寸法が互いに同じ大きさとなるように形成されている。
【0075】
左右の縦防壁部12が上述のように構成されていることにより、クッション体の発泡成形時に、発泡樹脂材料が縦防壁部12を越えて第1及び第2係合素子21,22の形成領域(係合素子領域)に侵入することを防止できる。また、左右の縦防壁部12は、面ファスナー部材10の長さ方向に沿って立設されているものの、第1及び第2縦壁部18,19の縦壁体18a,19a間に設けられた間隙を拡げたり、狭めたりすることにより、面ファスナー部材10を上下方向に曲げることが可能であり、左右の縦防壁部12の設置により面ファスナー部材10の柔軟性が阻害されることを抑えられる。
【0076】
第1係合素子21は、クッション体に被せられる表皮材との間で適切な係着力が得られるように、縦防壁部12及び横防壁部13に囲まれた領域内に、長さ方向及び幅方向に所定の取付ピッチをもって整列して平板状基材11の上面に立設されている。特に本実施例1の場合、第1係合素子21は、各面ファスナー部材10の係合素子領域に、左右の縦防壁部12間に長さ方向に沿った縦列が5列で、前後の横防壁部13間に幅方向に沿った横列が6列となるように配列されている。
【0077】
この場合、第1係合素子21は、
図4に示すように、平板状基材11の上面から垂直に立ち上がる図示しない起立部と、その起立部の上端において前後方向に分岐して湾曲するフック状の係合頭部21aとを有している。更に、平板状基材11の上面からの各第1係合素子21の高さ寸法は、縦防壁部12を構成する第1及び第2縦壁部18,19の縦壁体18a,19aと同じ大きさに設定されている。なお、本発明において、係合素子の形状、寸法、取付ピッチ等は特に限定されるものではなく、任意に変更することができる。
【0078】
本実施例1における前後の横防壁部13は、平板状基材11の前後の端縁部にて、面ファスナー部材10の幅方向に沿って左右の縦防壁部12間に亘って立設されている。各横防壁部13は、平板状基材11の前後端縁側に配された第1横壁部14と、その第1横壁部14の内側(第1係合素子21の形成領域側)に第1横壁部14から離間して配された第2横壁部15とを有している。
【0079】
また、前後の横防壁部13において、第1横壁部14と第2横壁部15とは並列に配されており、第1及び第2横壁部14,15間の間隔は、第1係合素子21の長さ方向における取付ピッチの大きさよりも小さくなるように設定されている。これにより、面ファスナー部材10の係合素子領域と、その面ファスナー部材10と隣り合う面ファスナー部材10の係合素子領域との間隔を短くすることができる。つまり、成形面ファスナー1において、長手方向に沿ってより多くの第1係合素子21を設けることができるので、成形面ファスナー1全体の係着力を高めることができる。
【0080】
なお、本発明において、第1横壁部14と第2横壁部15との間の間隔は任意に設定することが可能であり、後述する実施例3の成形面ファスナー3のように、第1横壁部と第2横壁部との間の間隔は、第1係合素子の長さ方向における取付ピッチの大きさと同じ大きさに設定されていても良いし、第1係合素子の長さ方向における取付ピッチの大きさよりも大きくなるように設定されていても良い。
【0081】
第1横壁部14は、
図2に示したように、左右の縦防壁部12間に、平板状基材11から一定の高さ寸法をもって連続して立設された連続横壁体14aにより構成されている。この連続横壁体14aは、面ファスナー部材10の幅方向に沿って直線的に配されているとともに、縦防壁部12の第2縦壁部19の縦壁体19aに連結されている。
【0082】
この場合、平板状基材11の上面からの連続横壁体14aの高さ寸法は、縦防壁部12を構成する第1及び第2縦壁部18,19の縦壁体18a,19a、並びに第1係合素子21と同じ大きさに設定されている。また、この連続横壁体14aには、モノフィラメント5及び線状磁性体7が埋設されて固定されている。なお、本発明において、連続横壁体14aは、面ファスナー部材10の幅方向に沿って直線的に配されていなくても良く、例えば面ファスナー部材10の前後端縁の形状に沿うように、外側に向けて凸状に屈曲させるように配されていても良い。
【0083】
第2横壁部15は、
図3に示したように、左右の縦防壁部12間に、平板状基材11から一定の高さ寸法をもって面ファスナー部材10の幅方向に沿って間欠的に立設された複数の分割横壁体15aと、分割横壁体15a間に配され、分割横壁体15aとともに第2横壁部15を構成する複数の第2係合素子22とを有している。
【0084】
特に、本実施例1の第2横壁部15は、幅方向に沿って直線状に並べられた6つの分割横壁体15aと、これらの分割横壁体15a間に立設された5つの第2係合素子22とにより構成されている。この場合、各分割横壁体15aは、平板状基材11の上面側に直方体状の形態を有して立設されている。
【0085】
各第2係合素子22は、平板状基材11の上面から起立する図示しない起立部と、その起立部の上端部から第1係合素子21の形成領域側(各平板状基材11における前後方向の内側)に向けてフック状に湾曲する片持ち状の係合頭部22aとを有している。また、左の縦防壁部12から2つ目と4つ目の第2係合素子22には、当該第2係合素子22を補強するためのリブが起立部の周囲に設けられている。
【0086】
この第2横壁部15において、
図3に示すように、互いに隣り合って配される分割横壁体15aと第2係合素子22とは、下端部にて相互に連結されて形成されている。それによって、分割横壁体15aと第2係合素子22とが互いに補強され、分割横壁体15a及び第2係合素子22の強度を高めている。
【0087】
一方、互いに隣り合って配される分割横壁体15aと第2係合素子22とは、上端部にて相互に小さな間隔をあけて離間して形成されている。これにより、第2係合素子22の係合頭部22aの動きに自由度が与えられるため、後述するようにダイホイール31を用いて第2横壁部15を成形する際に、第2係合素子22をダイホイール31のキャビティ空間から容易に引き抜いて、所定の形状を有する第2係合素子22を安定して成形することができる。なお、この第2横壁部15は、左右の縦防壁部12と離間して形成されているものの、第2横壁部15の配設位置によっては、第2縦壁部19の縦壁体19aに連結されていても良い。
【0088】
また、第2横壁部15において、平板状基材11の上面からの分割横壁体15aの高さ寸法と第2係合素子22の高さ寸法とは、互いに同じ大きさに設定されているとともに、縦防壁部12を構成する第1及び第2縦壁部18,19の縦壁体18a,19a、第1係合素子21、並びに連続横壁体14aとも同じ大きさに設定されている。
【0089】
即ち、本実施例1では、
図2及び
図3に示したように、面ファスナー部材10が湾曲していない状態において、縦防壁部12を構成する第1及び第2縦壁部18,19、横防壁部13を構成する第1及び第2横壁部14,15、及び第1係合素子21における上端位置が、同一平面上に配されている。
【0090】
このため、後述するようにクッション体の発泡成形を行う際に、成形面ファスナー1を金型の平坦なキャビティ面に安定して密着させることができ、それによって、発泡性樹脂材料が、縦防壁部12及び横防壁部13を越えて係合素子領域内に、特に第1係合素子21の形成領域内に侵入することが防止される。
【0091】
本実施例1において、モノフィラメント5を固定する第1固定部16は、平板状基材11の上面からブロック状に突出した形態を有して、面ファスナー部材10の幅方向における略中央部の位置に第1及び第2係合素子21,22と一体的に形成されており、面ファスナー部材10の長さ方向に所定の間隔をもって配されている。各第1固定部16は、モノフィラメント5を貫通させるように埋設することにより、モノフィラメント5を固定している。
【0092】
線状磁性体7を固定する第2固定部17は、平板状基材11の上面からブロック状に突出した形態を有して、左右の縦防壁部12に最も近接して整列した縦列の第1及び第2係合素子21,22と一体的に形成されており、面ファスナー部材10の長さ方向に所定の間隔をもって配されている。各第2固定部17は、線状磁性体7を貫通させるように埋設することにより、線状磁性体7を固定している。
【0093】
なお、本発明において、モノフィラメント5を固定する第1固定部16、及び線状磁性体7を固定する第2固定部17は、第1及び第2係合素子21,22と別体に構成されていても良い。また、例えば第2固定部17を平板状基材11の下面側に配置して、線状磁性体7を平板状基材11の下面側で固定しても良い。更に、線状磁性体7を第2平板状基材11に固定する代わりに、面ファスナー部材10を構成する合成樹脂に磁性粒子を混入すること又は練り込むことによって、面ファスナー部材10自体に磁性を持たせることも可能である。
【0094】
本実施例1において、面ファスナー部材10間を連結する連結部6は、上述のように、各面ファスナー部材10の第1固定部16及び第1横壁部14により固定される合成樹脂製の線状モノフィラメント5により構成されている。このモノフィラメント5は、面ファスナー部材10よりも幅が狭く、また、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂からなり、可撓性を備えている。
【0095】
このような連結部6によって面ファスナー部材10が連結されていることにより、成形面ファスナー1を幅方向や表裏方向に容易に曲げることが可能となる。特に本実施例1において、モノフィラメント5は、上下方向に長く延びた楕円形状の横断面を有するとともに、左右方向にジグザグ状に折り曲げられて構成されている。これにより、成形面ファスナー1が、連結部6にて幅方向に更に曲げ易く構成されている。
【0096】
線状磁性体7は、各面ファスナー部材10の領域内において、左右の縦防壁部12に最も近接して配された第1及び第2係合素子21,22の縦列(長さ方向の列)に沿って、第2固定部17と第1横壁部14とによって平板状基材11の上面側に固定されている。この線状磁性体7は円形断面を有しており、磁気的に吸引される材料、又は磁気的に吸引する材料から構成されている。
【0097】
このような線状磁性体7が面ファスナー部材10に配されていることにより、後述するように、キャビティ面又はキャビティ面近傍に磁石が配された金型を用いてクッション体を発泡成形するときに、金型の磁石と面ファスナー部材10の線状磁性体7との間に生じる磁力を利用して、成形面ファスナー1を金型のキャビティ面に安定して吸着固定することができる。
【0098】
この場合、磁気的に吸引される線状磁性体7の材料としては、ポリエステル等の合成樹脂に鉄、コバルト、ニッケル等の合金からなる磁性粒子を混入したモノフィラメントや、これらの合金からなる金属細線を数本束ねて撚られた金属製撚糸などを用いることができる。一方、磁気的に吸引する線状磁性体7の材料としては、磁化された線材、具体的には金属製の線状磁石やゴムに磁性酸化鉄を含有させて磁化した線状のゴム磁石などを用いることができる。また、本発明では、線状の磁性体に代えて、細テープ状の磁性体を用いることも可能である。
【0099】
次に、上述のような構成を有する本実施例1の成形面ファスナー1を製造する方法について説明する。本実施例1の成形面ファスナー1は、
図5に示すような製造装置30を用いて製造される。
【0100】
具体的に説明すると、成形面ファスナー1の製造装置30は、一方向に駆動回転するダイホイール31と、ダイホイール31の周面に対向して配された溶融樹脂の連続押出ノズル32と、連続押出ノズル32よりもダイホイール31の回転方向下流側にダイホイール31の周面に対向して配されたピックアップローラー33と、連続押出ノズル32よりもダイホイール31の回転方向上流側に配され、ダイホイール31と連続押出ノズル32との対向面間にモノフィラメント5を導入するモノフィラメント供給部34と、ダイホイール31と連続押出ノズル32との対向面間に線状磁性体7を導入する線状磁性体供給部35と、ダイホイール31の周面から引き剥がした連続する長尺の面ファスナー部材(以下、一次面ファスナー部材と言う)の所定の部位を切除する切断部36とを有している。
【0101】
この製造装置30が有するダイホイール31の周面には、成形面ファスナー1の第1係合素子21、縦防壁部12、及び横防壁部13などを成形するための成形用キャビティ31aが形成されている。また、ダイホイール31は、冷却液をダイホイール31の内部に流通させており、ダイホイール31の下部には、同ダイホイール31の下半部を浸漬させるように図示しない冷却液槽が配されている。
【0102】
このような製造装置30を用いて、本実施例1に係る成形面ファスナー1を製造する場合、先ず、溶融した樹脂材料を連続押出ノズル32からダイホイール31の周面に向けて連続して押し出す。このとき、ダイホイール31は一方向に駆動回転しており、その周面に押し出された溶融樹脂は連続押出ノズル32とダイホイール31との間にて成形面ファスナー1の平板状基材11などを成形し、それと同時に、上述した成形用キャビティ31aにて、第1係合素子21、縦防壁部12、及び横防壁部13などを順次成形する。
【0103】
また、溶融した樹脂材料が連続押出ノズル32から押し出されると同時に、ジグザグ状のモノフィラメント5と線状磁性体7とがそれぞれの供給部34,35から溶融樹脂の押出位置に供給されて、前述の一次面ファスナー部材に一体成形される。
【0104】
ダイホイール31の周面上で成形される一次面ファスナー部材は、ダイホイール31の周面に担持されて冷却されながら半回転することにより固化し、その後、ピックアップローラー33によってダイホイール31の周面から連続的に引き剥がされる。
【0105】
このとき、横防壁部13の第1横壁部14は係合素子を備えない連続横壁体14aにより構成されており、第2横壁部15は複数の分割横壁体15aと複数の第2係合素子22とにより上端部が分割されて構成されている。このため、一次面ファスナー部材をダイホイール31の周面から引き剥がす際に、横防壁部13をダイホイール31の成形用キャビティ31aから円滑に引き抜いて、横防壁部13の一部が切れるといった不具合を生じさせることなく、横防壁部13を所定の形状に安定して成形することができる。
【0106】
次に、ダイホイール31から引き剥がされた一次面ファスナー部材は、切断部36に向けて搬送され、同切断部36にて、一次面ファスナー部材の所定の範囲におけるモノフィラメント5以外の部分を切断して除去する。具体的には、一次面ファスナー部材において隣接して配された横防壁部13間の所定部分が、モノフィラメント5を除いて幅方向の全体に亘って切除される。これにより、
図1に示すような本実施例1に係る成形面ファスナー1が製造される。なお、本発明において、成形面ファスナー1の製造装置や製造方法は特に限定されるものではなく、任意に変更することができる。
【0107】
このようにして得られた本実施例1の成形面ファスナー1は、例えば自動車の座席用シートなどのクッション体(発泡体)に成形一体化されて用いられる。
本実施例1の成形面ファスナー1をクッション体に成形一体化するためには、所要の長さを有する成形面ファスナー1を、クッション体の成形用金型のキャビティ面に載置し固定する。
【0108】
このとき、例えばクッション体に成形面ファスナー1を装着するための凹溝部(トレンチ部)を設けて、その凹溝部内に成形面ファスナー1を固定する場合には、
図6に示すように、金型37のキャビティ面38に、クッション体の凹溝部に対応する凸条部39が形成されており、この凸条部39の頂面部(先端面部)にはネオジム磁石などの磁石39aが埋設されている。
【0109】
このため、成形面ファスナー1を、第1及び第2係合素子21,22が立設されている上面側が凸条部39の頂面部に対向する向きで載置することにより、磁石39aの吸引力により、成形面ファスナー1に配された線状磁性体7が引き付けられ、成形面ファスナー1が、凸条部39の平坦な頂面部に吸着して固定される。
【0110】
このとき、成形面ファスナー1は、面ファスナー部材10における第1係合素子21、縦防壁部12、及び横防壁部13の上面を、キャビティ面38に形成された突出部の頂面部に密着させた状態で保持される。また、このように凸条部39に埋設した磁石39aと、成形面ファスナー1の線状磁性体7との間に生じる磁力を利用することによって、成形面ファスナー1を凸条部39の所定位置に自動的に合わせることが可能なセルフアライメント効果も得られる。
【0111】
更に、本実施例1の成形面ファスナー1では、連結部6が可撓性を有するとともに、各面ファスナー部材10自体も表裏方向に湾曲可能に構成されている。このため、成形面ファスナー1の全体を幅方向や表裏方向へ円弧状に容易に曲げることができる。従って、クッション体の成形用金型37に形成される凸条部39が、例えば幅方向や表裏方向に湾曲して配されている場合や、幅方向にジグザグ状に蛇行して配されている場合でも、その湾曲又は蛇行した凸条部39の頂面部に沿って成形面ファスナー1を安定して固定でき、各面ファスナー部材10の縦防壁部12及び横防壁部13と凸条部39の頂面部との間に隙間が形成されることを防止できる。
【0112】
上述のように本実施例1の成形面ファスナー1を金型37の所定位置に吸着固定した後、金型37に対して図示しない噴射ノズルを相対的に移動させながら同噴射ノズルからクッション体の発泡性樹脂材料を噴射することにより、発泡樹脂材料を金型37のキャビティ空間の隅々まで注入する。更に、所定量の発泡樹脂材料を噴射ノズルから噴射した後に金型37を型締めする。これにより、発泡性樹脂材料が発泡しながら金型37のキャビティ空間全体に行き渡り、クッション体が成形される。
【0113】
このとき、成形面ファスナー1は金型37内に埋設した磁石39aの吸引作用により所定の位置に位置決め固定されているため、発泡性樹脂材料の流動及び発泡圧によって成形面ファスナー1の位置が動かされることはない。また、面ファスナー部材10の縦防壁部12及び横防壁部13(特に、第1横壁部14)の上面が金型37の凸条部39の頂面部に密着しているため、面ファスナー部材10と凸条部39の頂面部との間には発泡樹脂材料を通過させるような隙間は形成されない。このため、キャビティ内を流動する発泡性樹脂材料が、面ファスナー部材10の縦防壁部12及び第1横壁部14を超えて係合素子領域に侵入することを阻止できる。
【0114】
なお、上述のように、面ファスナー部材10の縦防壁部12及び第1横壁部14が金型37の凸条部39に密着していても、例えば面ファスナー部材10の縦防壁部12及び第1横壁部14と金型37の凸条部39の頂面部との接触が弱い部分がある場合には、噴射ノズルから噴射された発泡性樹脂材料が成形面ファスナー1の第1横壁部14に勢い良く直接衝突したときや、発泡樹脂材料の粘度が低いときなどに、その発泡樹脂材料が、面ファスナー部材10の第1横壁部14と金型37の凸条部39の頂面部との間を通って、第1横壁部14を乗り越えてしまう虞がでてくる。
【0115】
具体的に説明すると、本実施例1の成形面ファスナー1は、
図6に示したように、クッション体の発泡成形を行う際に金型37の凸条部39に沿って固定されているため、例えば面ファスナー部材10の縦防壁部12に発泡樹脂材料が衝突した際には、その発泡樹脂材料は面ファスナー部材10の縦防壁部12にぶつかりながら下方側(言い換えると、凸条部39の左右側方側)に逃げることができる。従って、面ファスナー部材10の第1及び第2縦壁部18,19を備えた縦防壁部12は、発泡樹脂材料が衝突してもその発泡樹脂材料の圧力の一部を受け流すことが可能となるため、発泡樹脂材料の侵入を比較的安定して防ぐことができる。
【0116】
一方、面ファスナー部材10の第1横壁部14の周りには、発泡樹脂材料が衝突した際にその発泡樹脂材料を逃がすための空間が存在しないため、発泡樹脂材料の圧力をうまく受け流すことができず、面ファスナー部材10の第1横壁部14は、縦防壁部12に比べて発泡樹脂材料が強く衝突し易い。このため、上述のように、噴射ノズルから噴射された発泡性樹脂材料が直接衝突したときや、発泡樹脂材料の粘度が低いときなどでは、面ファスナー部材10の第1横壁部14を発泡樹脂材料が乗り越える虞が、縦防壁部12の場合よりも高くなる。
【0117】
しかし、本実施例1の成形面ファスナー1では、面ファスナー部材10の横防壁部13が第1横壁部14と第2横壁部15とを有しているため、発泡樹脂材料が第1横壁部14をたとえ乗り越えたとしても、第1横壁部14の内側に配された第2横壁部15によって、その発泡樹脂材料が係合素子領域内に侵入することを防止できる。
【0118】
特にこの場合、第1横壁部14を越える発泡樹脂材料の流入圧力は大きくはないので、第2横壁部15が上述のように複数の分割横壁体15aと複数の第2係合素子22とにより構成されていても、発泡樹脂材料の侵入を第2横壁部15によって阻止し、第1及び第2係合素子21,22が発泡樹脂によって埋められることを防止できる。
【0119】
その後、発泡性樹脂材料が金型37のキャビティ空間内で発泡固化して成形が終了することにより、本実施例の成形面ファスナー1が成形一体化されたクッション体を得ることができる。
【0120】
このようにして製造された成形面ファスナー1付きのクッション体は、成形面ファスナー1の各面ファスナー部材10における係合素子領域(特に、第1係合素子21の形成領域)に発泡体が侵入していないため、上面側に露呈した複数の第1及び第2係合素子21,22により所望の係着力を安定して確保できる。
【0121】
特に、本実施例1の成形面ファスナー1では、横防壁部13の第2横壁部15に第2係合素子22が配されているため、長さ方向に一定の寸法を有して形成される各面ファスナー部材10に、前方側の第2横壁部15から後方側の第2横壁部15までの範囲に亘って、第1及び第2係合素子21,22の係合素子領域を効率的に広く形成できる。これにより、各面ファスナー部材10の前後端縁部においても、表皮材等の他部材を安定して係着できる。また、各面ファスナー部材10に形成する第1係合素子21の数を増やして、面ファスナー部材10の係着力を更に高めることも可能となる。
【0122】
従って、上述のようにして製造されたクッション体の表面に表皮材を被せて、その表皮材を、クッション体に一体化された成形面ファスナー1の取付位置に向けて押圧することにより、表皮材の裏面に配された雌型係合素子を、成形面ファスナー1の第1及び第2係合素子21,22に安定して係合させることができる。これにより、表皮材をクッション体から浮き上がらせることなく、クッション体の表面に沿って密着させて正確に取り付けることができる。
【実施例2】
【0123】
図7は、本実施例2に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、
図8、
図9、及び
図10は、それぞれ、
図7に示したVIII−VIII線、IX−IX線、及びX−X線における矢視断面図である。
【0124】
なお、以下に示す実施例2〜実施例4に係る成形面ファスナーでは、前述の実施例1に係る成形面ファスナーと異なる構成について主に説明することとし、前述の実施例1に係る成形面ファスナーと実質的に同じ構成を有する部品及び部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。
【0125】
本実施例2に係る成形面ファスナー2は、複数の面ファスナー部材40と、これらの面ファスナー部材40を長さ方向に沿って連結する可撓性を備えた連結部8とを有しており、隣接している面ファスナー部材40の平板状基材41が連結部8によって相互に接続されている。本実施例2の連結部8は、前述の実施例1のようなモノフィラメント5により構成されているものではなく、面ファスナー部材40と同じ熱可塑性合成樹脂を用いて平板状基材41と一体的に構成されている。
【0126】
各面ファスナー部材40は、平板状の平板状基材41と、平板状基材41の上面に立設された左右の縦防壁部42と、左右の縦防壁部42間に亘って幅方向に沿って配された前後の横防壁部43と、縦防壁部42及び横防壁部43よりも内側の領域内に立設された複数の第1係合素子21と、横防壁部43に配された複数の第2係合素子22とを有している。
【0127】
本実施例2では、面ファスナー部材40を構成する合成樹脂に磁性粒子を混入すること又は練り込むことにより、面ファスナー部材40に磁性を持たせている。これにより、キャビティ面又はキャビティ面近傍に磁石が配された金型を用いてクッション体を発泡成形するときに、金型の磁石と面ファスナー部材40との間に生じる磁力を利用することによって、成形面ファスナー2を金型のキャビティ面に安定して吸着固定することができる。
【0128】
この面ファスナー部材40の平板状基材41は、上下方向(表裏方向)に湾曲可能なように板厚の薄い平板状の形態を有しており、また、前方の横防壁部43から更に前方に向けて延設された前方延設部41cと、後方の横防壁部43から更に後方に向けて延設された後方延設部41dとを有している。更に、平板状基材41の下面側には、前後方向に沿って配された複数の凹溝部41eが形成されている。
【0129】
本実施例2における左右の縦防壁部42は、第1及び第2係合素子21,22の係合素子領域を間に挟むようにして、平板状基材41の左右の側縁部に、前後方向に沿って立設されている。また、各縦防壁部42は、平板状基材41から一定の高さ寸法をもって、前後方向に沿って連続して立設された一列の連続縦壁体42aにより構成されている。
【0130】
第1係合素子21は、前述の実施例1の第1係合素子21と同様の形態を有しており、縦防壁部42及び横防壁部43に囲まれた領域内に、長さ方向及び幅方向に所定の取付ピッチをもって整列して平板状基材41の上面に立設されている。
【0131】
前後の横防壁部43は、平板状基材41の前後端縁部にて、面ファスナー部材40の幅方向に沿って左右の縦防壁部42間に亘って立設されており、各横防壁部43は、平板状基材41の前後端縁側に配された第1横壁部44と、その第1横壁部44の内側(第1係合素子21の形成領域側)に第1横壁部44から離間して配された第2横壁部45とを有している。この場合、第1横壁部44と第2横壁部45との間の間隔は、第1係合素子21の長さ方向における取付ピッチの大きさよりも小さくなるように設定されている。
【0132】
第1横壁部44は、
図8に示したように、左右の連続縦壁体42a間に、平板状基材41から一定の高さ寸法をもって連続して立設された連続横壁体44aにより構成されている。この連続横壁体44aは、面ファスナー部材40の幅方向に沿って直線的に配されているとともに、左右の連続縦壁体42aに連結されている。
【0133】
第2横壁部45は、
図9に示したように、左右の縦防壁部42間に、平板状基材41から一定の高さ寸法をもって面ファスナー部材40の幅方向に沿って間欠的に立設された複数の分割横壁体45aと、分割横壁体45a間に配され、分割横壁体45aとともに第2横壁部45を構成する複数の第2係合素子22とを有している。
【0134】
この場合、第2横壁部45における幅方向の最も左右側縁側に配される分割横壁体45aは、左右の連続縦壁体42aにそれぞれ連結されている。また、第2係合素子22は、前述の実施例1の第2係合素子22と同様の形態を有している。更に、第2横壁部45において、互いに隣り合って配される分割横壁体45aと第2係合素子22とは、下端部にて相互に連結されて形成されており、且つ、上端部にて相互に小さな間隔をあけて離間して形成されている。
【0135】
本実施例2において、縦防壁部42の連続縦壁体42a、第1係合素子21、第1横壁部44の連続横壁体44a、並びに、第2横壁部45の分割横壁体45a及び第2係合素子22における平板状基材41の上面からの高さ寸法は、何れも互いに同じ大きさに設定されており、これらの上端位置は、面ファスナー部材40が湾曲していない状態において、同一平面上に配されている。
【0136】
以上のような構成を有する本実施例2の成形面ファスナー2は、所定形状の成形用キャビティ31aが周面に形成されたダイホイール31を有する製造装置30を用いることにより、前述の実施例1の場合と同様にして製造することが可能である。
【0137】
本実施例2にあっても、横防壁部43の第1横壁部44は係合素子を備えない連続横壁体44aにより構成されており、第2横壁部45は複数の分割横壁体45aと複数の第2係合素子22とにより上端部が分割されて構成されているため、横防壁部43をダイホイール31の成形用キャビティ31aから引き抜く際に、横防壁部43の一部が切れるといった不具合を生じさせることなく、横防壁部43を所定の形状に安定して成形することができる。
【0138】
そして、本実施例2の成形面ファスナー2は、自動車シートなどのクッション体に成形一体化されて用いられる。この場合、本実施例2の成形面ファスナー2によれば、クッション体の発泡成形時に、前述の実施例1と同様に、面ファスナー部材40の縦防壁部42及び第1横壁部44によって、発泡性樹脂材料が第1及び第2係合素子21,22の係合素子領域に侵入することを防止できる。
【0139】
また、たとえ発泡性樹脂材料が成形面ファスナー2の第1横壁部44に勢い良く衝突したことなどによって、その発泡樹脂材料が第1横壁部44を乗り越える事態が生じたとしても、第1横壁部44の内側に配された第2横壁部45によって、その発泡樹脂材料が第1係合素子21の形成領域内に侵入することを安定して防止できる。
【0140】
従って、本実施例2においても、前述の実施例1の場合と同様に、各面ファスナー部材40における第1及び第2係合素子21,22の係合素子領域に発泡樹脂材料が侵入しないため、クッション体に成形一体化された成形面ファスナー2は、複数の第1及び第2係合素子21,22による所望の係着力を安定して確保できる。
【0141】
更に、本実施例2の成形面ファスナー2では、前方側の第2横壁部45から後方側の第2横壁部45までの範囲に亘って、第1及び第2係合素子21,22の係合素子領域を効率的に広く形成できる。これにより、各面ファスナー部材40の前後端縁部においても、表皮材等の他部材を安定して係着することができ、また、各面ファスナー部材40に形成する第1係合素子21の数を増やして、面ファスナー部材40の係着力を更に高めることも可能となる。
【実施例3】
【0142】
図11は、本実施例3に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、
図12は、
図11に示したXII−XII線における矢視断面図である。
本実施例3に係る成形面ファスナー3は、複数の面ファスナー部材50と、面ファスナー部材50を長さ方向に沿って連結する連結部6を構成するモノフィラメント5と、各成形面ファスナー3に前後方向に沿って固定される線状磁性体7とを有している。
【0143】
なお、本実施例3の成形面ファスナー3は、各面ファスナー部材50における横防壁部53の構成が異なることと、第1係合素子21の形成領域の面積が相対的に小さくなること(言い換えると、第1係合素子21の形成密度が大きくなること)を除いては、前述の実施例1における成形面ファスナー1と実質的に同様に構成されている。従って、本実施例3では、面ファスナー部材50の横防壁部53について主に説明することとする。
【0144】
本実施例3における横防壁部53は、平板状基材51の前後端縁側に配された第1横壁部54と、その第1横壁部54の内側(係合素子領域側)に第1横壁部54から離間して配された第2横壁部55とを有している。
【0145】
この場合、本実施例3の第1横壁部54は、平板状基材51に対して前述の実施例1の場合と略同じ位置に配されているものの、第2横壁部55が、平板状基材51に対して前述の実施例1の場合よりも長さ方向の内側寄りに配されており、第1横壁部54と第2横壁部55との間の間隔が、第1係合素子21の長さ方向における取付ピッチの大きさと同じ大きさに設定されている。
【0146】
これにより、第1係合素子21の形成領域の面積は、前述の実施例1の場合に比べて相対的に小さくなるものの、第1横壁部54と第2横壁部55との間の間隔が広くなるため、後述するように、第2横壁部55に配される第2係合素子23の形態を、係合頭部21aが二股状に分岐した第1係合素子21と同様の形態にすることが可能となる。この場合、本実施例3の第1及び第2係合素子21,23による係合素子領域は、長さ方向において、第2横壁部55の後述する分割横壁体55aの位置よりも外側に広がって形成される。
【0147】
また、第1横壁部54と第2横壁部55との間の間隔が広くなることにより、例えばクッション体の発泡成形時に発泡樹脂材料が第1横壁部54を越えて第1横壁部54と第2横壁部55との間に侵入したとしても、その第1横壁部54と第2横壁部55との間の領域に、第1横壁部54を乗り越えた発泡樹脂材料を留めさせてためることができる。このため、例えば発泡樹脂材料が第1横壁部54と第2横壁部55との間の領域から溢れて、第1係合素子21の形成領域内に侵入することを効果的に防止できる。
【0148】
本実施例3の第1横壁部54は、左右の縦防壁部12間に、平板状基材51から一定の高さ寸法をもって連続して立設された連続横壁体54aにより構成されている。この連続横壁体54aは、面ファスナー部材50の幅方向に沿って直線的に配されているとともに、縦防壁部12における第2縦壁部19の縦壁体19aに連結されている。この場合、平板状基材51の上面からの連続横壁体54aの高さ寸法は、縦防壁部12を構成する第1及び第2縦壁部18,19の縦壁体18a,19a、並びに第1係合素子21と同じ大きさに設定されている。
【0149】
本実施例3の第2横壁部55は、左右の縦防壁部12間に、平板状基材51から一定の高さ寸法をもって面ファスナー部材50の幅方向に沿って間欠的に立設された複数の分割横壁体55aと、分割横壁体55a間に配され、分割横壁体55aとともに第2横壁部55を構成する複数の第2係合素子23とを有している。
【0150】
この場合、第2係合素子23は、平板状基材51の上面から起立する図示しない起立部と、その起立部の上端部から前後方向に二股状に分岐してフック状に湾曲する一対の係合頭部23aとを有しており、第1係合素子21と同様の形態に構成されている。すなわち、本実施例3では、第1横壁部54と第2横壁部55との間の領域が広く形成されていることにより、第2係合素子23は、第1係合素子21の形成領域側に向けて延びる係合頭部23aだけでなく、第1横壁部54側に向けて延びる係合頭部23aも有することが可能となるため、第2横壁部55の係着力が高められる。
【0151】
また、この第2横壁部55において、互いに隣り合って配される分割横壁体55aと第2係合素子23とは、下端部にて相互に連結されて形成されており、且つ、上端部にて相互に小さな間隔をあけて離間して形成されている。更に、第2横壁部55において、平板状基材51の上面からの分割横壁体55a及び第2係合素子23の高さ寸法は、互いに同じ大きさに設定されているとともに、縦防壁部12を構成する第1及び第2縦壁部18,19の縦壁体18a,19a、第1係合素子21、並びに連続横壁体54aと同じ大きさに設定されている。
【0152】
このような横防壁部53を有する本実施例3の成形面ファスナー3によれば、クッション体の発泡成形時に、前述の実施例1や実施例2と同様に、面ファスナー部材50の縦防壁部12及び第1横壁部54によって、発泡性樹脂材料が係合素子領域に侵入することを防止できる。
【0153】
また、たとえ発泡性樹脂材料が成形面ファスナー3の第1横壁部54に勢い良く衝突したことなどによって、その発泡樹脂材料が第1横壁部54を乗り越える事態が生じたとしても、第1横壁部54の内側に配された第2横壁部55によって、その発泡樹脂材料が、第1係合素子21の形成領域内に侵入することを安定して防止できる。
【0154】
なお、本実施例3の成形面ファスナー3では、第1横壁部54と第2横壁部55との間が広く形成されているため、第1横壁部54を構成する連続横壁体54aに、例えば
図13に示すように、その連続横壁体54aの上端部から第2横壁部55側に向けてフック状に湾曲する片持ち状の係合頭部54bを設けることができる。或いは、図示は省略するが、その連続横壁体54aの上端部から前後方向に二股状に分岐してフック状に湾曲する前後一対の係合頭部を設けることも可能である。これにより、第1横壁部54にも係着力を備えさせることができるため、面ファスナー部材50の前後端縁部における係着力を高めることができる。
【0155】
なお、このように第1横壁部54の連続横壁体54aに、片持ち状の又は前後一対の係合頭部54bを設ける場合、その連続横壁体54aは左右の縦防壁部12間に亘って連続的に形成されているため、成形面ファスナー3の製造において、ダイホイール31の成形用キャビティ31aから第1横壁部54を引き抜く際に、連続横壁体54aに設けた係合頭部54bが成形用キャビティ31aから抜け難くなる可能性がある。このため、連続横壁体54aに設ける係合頭部54bの大きさや形状は、ある程度制約される場合がある。
【実施例4】
【0156】
図14は、本実施例4に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、
図15は、
図14に示したXV−XV線における矢視断面図である。
本実施例4の成形面ファスナー4は、各面ファスナー部材60に複数のスリット62が幅方向に沿って形成されていることを除いては、前述の実施例1における成形面ファスナー1と実質的に同様に構成されている。
【0157】
具体的に説明すると、本実施例4の面ファスナー部材60は、平板状基材61と、平板状基材61に立設された左右の縦防壁部12と、左右の縦防壁部12間に亘って幅方向に沿って配された前後の横防壁部13とを有している。
【0158】
また、平板状基材61は、上下方向に湾曲可能なように板厚を薄くして形成されており、更に、左右の縦防壁部12から外側に向けて幅方向に延設された左右の側方延設部61a,61bと、前方側の横防壁部13から更に前方に向けて延設された前方延設部61cと、後方側の横防壁部13から更に後方に向けて延設された後方延設部61dとを有している。
【0159】
このような平板状基材61を有する各面ファスナー部材60には、面ファスナー部材60の幅方向に沿った複数のスリット62が互いに平行に形成されている。この場合、面ファスナー部材60に形成された各スリット62は、面ファスナー部材60の長さ方向における位置に関して、互いに隣接する第1係合素子21間の中間部の位置と、互いに隣接する第1係合素子21及び第2係合素子22間の中間部の位置とに配されている。
【0160】
また、各スリット62は、平板状基材61における左右の縦防壁部12間の領域と、平板状基材61における左右の側方延設部61a,61bの領域とに配されており、左右の縦防壁部12が形成されている領域には配されていない。
【0161】
この場合、各スリット62は、
図15に示したように、平板状基材61を上面側から下面側に貫通させるように形成されている。なお、本発明において、平板状基材61に形成されるスリットは、平板状基材61を貫通させずに、平板状基材61の下面側を薄く残すように上面側から切り込まれて、略V字状の断面を有するものであっても良い。
【0162】
また、本実施例4では、面ファスナー部材60に固定されたモノフィラメント5及び線状磁性体7にも、面ファスナー部材60の領域内における平板状基材61に形成されたスリット62の位置に対応して、複数のスリット62が、モノフィラメント5及び線状磁性体7を切断するように所定の間隔で形成されている。
【0163】
このような本実施例4のスリット62は、例えば前述の実施例1と同様の方法を用いて成形面ファスナーを製造した後に、各面ファスナー部材60に対して上面側からカッターを挿入して切り込みを入れることによって形成されている。
【0164】
なお、このようにして各面ファスナー部材60の平板状基材61に複数のスリット62を形成しても、各スリット62では発泡樹脂材料が流通するほどの隙間が平板状基材61を貫通するように形成されることはないため、クッション体の発泡成形時に、発泡樹脂材料が平板状基材61のスリット62を介して面ファスナー部材60の係合素子領域に侵入することはない。
【0165】
また、各面ファスナー部材60は、平板状基材61、モノフィラメント5、及び線状磁性体7にスリット62が幅方向に沿って形成されていても、縦防壁部12が形成されている領域において長さ方向につながっているため、スリット62が形成されている位置にてバラバラに分離することもない。
【0166】
そして、本実施例4の成形面ファスナー4は、前述の実施例1に係る成形面ファスナー1と同様の効果が得られる上に、各面ファスナー部材60に複数のスリット62が形成されていることにより、更には、モノフィラメント5及び線状磁性体7にもスリット62が形成されていることにより、面ファスナー部材60の柔軟性を大幅に向上させて、面ファスナー部材60を表裏方向に湾曲させ易くすることができる。
【0167】
これにより、本実施例4の成形面ファスナー4を、例えばクッション体を成形する金型のキャビティ面に載置して固定する際に、そのキャビティ面が凸条又は凹状に湾曲している場合でも、各面ファスナー部材60をキャビティ面の湾曲に沿うように容易に湾曲させることができる。このため、各面ファスナー部材60の縦防壁部12及び横防壁部13をキャビティ面により安定して密着させることができ、クッション体の発泡成形時に発泡樹脂材料が縦防壁部12及び横防壁部13を越えて係合素子領域に侵入することをより効果的に防止できる。
【0168】
なお、本発明では、面ファスナー部材60に幅方向に沿ったスリット62を形成する場合、各面ファスナー部材60に少なくとも1つのスリット62を形成することにより、面ファスナー部材60の柔軟性を高める効果が得られる。
【0169】
また、スリット62は、少なくとも、平板状基材61における左右の縦防壁部12間の領域に形成されていれば、左右の側方延設部61a,61bの領域や、モノフィラメント5及び線状磁性体7にスリット62を形成しなくても、面ファスナー部材60の柔軟性を高める効果が得られる。なお、平板状基材61における左右の縦防壁部12間の領域と左右の側方延設部61a,61bの領域とにスリット62を形成することにより、面ファスナー部材60の柔軟性をより効果的に高めることができ、更に、モノフィラメント5及び線状磁性体7にスリット62を形成することによって、面ファスナー部材60の柔軟性を大幅に高めることができる。