(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763215
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】多重ユーザマルチポイント協力通信システムにおける低複雑度フィードバック方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04W 24/10 20090101AFI20150723BHJP
H04W 28/16 20090101ALI20150723BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20150723BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W28/16
H04W16/28 130
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-551883(P2013-551883)
(86)(22)【出願日】2011年5月11日
(65)【公表番号】特表2014-504126(P2014-504126A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】KR2011003461
(87)【国際公開番号】WO2012102441
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2014年5月9日
(31)【優先権主張番号】201110035983.9
(32)【優先日】2011年1月30日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】10-2011-0024270
(32)【優先日】2011年3月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フア・リ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・イル・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・クレルクス
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−274159(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/042235(WO,A1)
【文献】
特表2012−505593(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/136070(WO,A1)
【文献】
Qualcomm Incorporated,CQI for CA,3GPP R1-102745,3GPP,2010年 5月10日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局及び複数の端末を含む多重入出力通信システムにおいて、端末がチャネル情報をフィードバックする方法であって、
前記基地局からフィードバック停止信号(feedback stop signal)を受信するステップと、
前記フィードバック停止信号に基づいて前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間を決定するステップと、
前記決定に対応するフィードバック時点で前記基地局に前記チャネル情報をフィードバックするステップと、
を含み、
前記フィードバック停止信号は、前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)に関する情報を含み、
前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は、前記基地局と通信する端末の数及び前記基地局の送信ランクに基づいて決定される
ことを特徴とする、端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項2】
前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は前記基地局と通信する端末の数に比例し、前記基地局の送信ランク数に反比例することを特徴とする、請求項1に記載の端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項3】
前記チャネル情報をフィードバックするステップは、前記決定に対応するフィードバック時点の後に予め決定されたフィードバック周期に応じて周期的にチャネル情報をフィードバックするステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項4】
前記フィードバック停止信号を受信するステップは、下りリンク制御チャネル(Downlink Control Channel:DCI)を介して前記フィードバック停止信号を受信するステップであることを特徴とする、請求項1に記載の端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項5】
前記決定されたフィードバックを中断する区間中に前記チャネル情報のフィードバックを中断するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項6】
前記フィードバックを中断する区間は、前記フィードバック停止信号が受信されたサブフレーム以後の少なくとも1つのサブフレームを含むことを特徴とする、請求項1に記載の端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項7】
前記チャネル情報は、プリコーディングマトリックスインジケータ(Precoding Matrix Indicator:PMI)、チャネル品質情報(Channel Quality Information:CQI)またはランクインジケータ(Rank Indicator:RI)のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項8】
基地局及び複数の端末を含む多重入出力通信システムにおける、前記基地局の通信方法であって、
フィードバック停止信号を生成するステップと、
前記フィードバック停止信号を受信した端末が前記フィードバック停止信号が示す期間中に前記基地局にチャネル情報のフィードバックを中断するよう少なくとも1つの端末に前記フィードバック停止信号を送信するステップと、
前記フィードバック停止信号が指示する期間経過の後に前記フィードバック停止信号を受信した少なくとも1つの端末からチャネル情報を受信するステップと、
を含み、
前記フィードバック停止信号を生成するステップは、
前記基地局と通信する端末の数及び前記基地局の送信ランクに基づいて前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)を決定するステップと、
前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)に関する情報を含む前記フィードバック停止信号を生成するステップと、
を含むことを特徴とする、基地局の通信方法。
【請求項9】
前記フィードバックを中断する区間(N)を決定するステップは前記基地局と通信する端末の数に比例し、前記基地局の送信ランク数に反比例するよう前記フィードバックを中断する区間(N)を決定するステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の基地局の通信方法。
【請求項10】
前記フィードバック停止信号を送信するステップは、下りリンク制御チャネルを用いて前記フィードバック停止信号を送信するステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の基地局の通信方法。
【請求項11】
互いに協力する複数の基地局及び端末を含む協力マルチ−ポイント多重入出力通信システムにおける、前記端末がチャネル情報をフィードバックする方法であって、
前記複数の基地局のうち少なくとも1つからフィードバック停止信号を受信するステップと、
前記フィードバック停止信号に基づいて前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間を決定するステップと、
前記決定に対応するフィードバック時点で前記複数の基地局のうち少なくとも1つに前記チャネル情報をフィードバックするステップと、
を含み、
前記フィードバック停止信号は、前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)に関する情報を含み、
前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は、前記基地局と通信する端末の数及び前記基地局の送信ランクに基づいて決定される
ことを特徴とする、端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項12】
前記チャネル情報をフィードバックするステップは、前記決定に対応するフィードバック時点の後に予め決定されたフィードバック周期に応じて周期的にチャネル情報をフィードバックするステップを含むことを特徴とする、請求項11に記載の端末がチャネル情報をフィードバックする方法。
【請求項13】
基地局及び複数の端末を含む多重入出力通信システムにおける、チャネル情報をフィードバックする端末であって、
前記基地局からフィードバック停止信号を受信する受信部と、
前記フィードバック停止信号に基づいて前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間を決定するフィードバック中断区間決定部と、
前記決定に対応するフィードバック時点で前記基地局に前記チャネル情報をフィードバックする送信部と、
を備え、
前記フィードバック停止信号は、前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)に関する情報を含み、
前記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は、前記基地局と通信する端末の数及び前記基地局の送信ランクに基づいて決定される
ことを特徴とする、端末。
【請求項14】
前記送信部は、前記決定に対応するフィードバック時点の後に予め決定されたフィードバック周期に応じて周期的にチャネル情報をフィードバックすることを特徴とする、請求項13に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、多重ユーザマルチポイント協力送受信のため低複雑度フィードバック方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、端末は基地局と端末との間のチャネル情報を測定してチャネル情報を基地局にフィードバックする。基地局は、端末からフィードバックされたチャネル情報に基づいて端末をスケジューリングしデータを送信する。基地局がサービングする端末の数が増加する場合、端末のチャネル情報に対するフィードバックオーバーヘッドが増加する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態に係る基地局及び複数の端末を含む多重入出力通信システムで、端末がチャネル情報をフィードバックする方法は、上記基地局からフィードバック停止信号(feedback stop signal)を受信するステップと、上記フィードバック停止信号に基づいて上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間を決定するステップと、上記決定に対応するフィードバック時点で上記基地局に上記チャネル情報をフィードバックするステップとを含む。
【0004】
上記フィードバック停止信号は、上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)に関する情報を含み、上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は、上記基地局と通信する端末の数及び上記基地局の送信ランクに基づいて決定してもよい。
【0005】
上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は上記基地局と通信する端末の数に比例し、上記基地局の送信ランク数に反比例してもよい。
【0006】
上記チャネル情報をフィードバックするステップは、上記決定に対応するフィードバック時点の後に予め決定されたフィードバック周期に応じて周期的にチャネル情報をフィードバックするステップを含んでもよい。
【0007】
上記フィードバック停止信号を受信するステップは、下りリンク制御チャネル(Downlink Control Channel:DCI)を介して上記フィードバック停止信号を受信してもよい。
【0008】
上記端末がチャネル情報をフィードバックする方法は、上記決定されたフィードバックを中断する区間中に上記チャネル情報のフィードバックを中断するステップをさらに含んでもよい。
【0009】
上記フィードバックを中断する区間は、上記フィードバック停止信号が受信されたサブフレーム以後の少なくとも1つのサブフレームを含んでもよい。
【0010】
上記チャネル情報は、プリコーディングマトリックスインジケータ(Precoding Matrix Indicator:PMI)、チャネル品質情報(Channel Quality Information:CQI)またはランクインジケータ(Rank Indicator:RI)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る基地局及び複数の端末を含む多重入出力通信システムにおいて、上記基地局の通信方法は、フィードバック停止信号を生成するステップと、上記フィードバック停止信号を受信した端末が、上記フィードバック停止信号が示す期間中に上記基地局にチャネル情報のフィードバックを中断するよう少なくとも1つの端末に上記フィードバック停止信号を送信するステップと、上記フィードバック停止信号が指示する期間経過の後に上記フィードバック停止信号を受信した少なくとも1つの端末からチャネル情報を受信するステップとを含む。
【0012】
上記フィードバック停止信号を生成するステップは、上記基地局と通信する端末の数及び上記基地局の送信ランクに基づいて上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)を決定するステップと、上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)に関する情報を含む上記フィードバック停止信号を生成するステップとを含んでもよい。
【0013】
上記フィードバックを中断する区間(N)を決定するステップは上記基地局と通信する端末の数に比例し、上記基地局の送信ランク数に反比例するよう上記フィードバックを中断する区間(N)を決定するステップを含んでもよい。
【0014】
上記フィードバック停止信号を送信するステップは、下りリンク制御チャネルを用いて上記フィードバック停止信号を送信するステップを含んでもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る互いに協力する複数の基地局及び端末を含む協力マルチ−ポイント多重入出力通信システムにおいて、上記端末がチャネル情報をフィードバックする方法は、上記複数の基地局のうち少なくとも1つからフィードバック停止信号を受信するステップと、上記フィードバック停止信号に基づいて上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間を決定するステップと、上記決定に対応するフィードバック時点で上記複数の基地局のうち少なくとも1つに上記チャネル情報をフィードバックするステップとを含む。
【0016】
上記フィードバック停止信号は、上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)に関する情報を含み、上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は、上記基地局と通信する端末の数及び上記基地局の送信ランクに基づいて決定されてもよい。
【0017】
上記チャネル情報をフィードバックするステップは、上記決定に対応するフィードバック時点の後に予め決定されたフィードバック周期に応じて周期的にチャネル情報をフィードバックするステップを含んでもよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係る基地局及び複数の端末を含む多重入出力通信システムにおいて、チャネル情報をフィードバックする端末は、上記基地局からフィードバック停止信号を受信する受信部と、上記フィードバック停止信号に基づいて上記チャネル情報のフィードバックを中断する区間を決定するフィードバック中断区間決定部と、上記決定に対応するフィードバック時点で上記基地局に上記チャネル情報をフィードバックする送信部とを備える。
【0019】
上記フィードバック部は、上記決定に対応するフィードバック時点の後に予め決定されたフィードバック周期に応じて周期的にチャネル情報をフィードバックしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態に係る基地局は、フィードバック停止信号を受信した端末が一定の期間中にフィードバックを中断するようフィードバック停止信号を端末に送信することによって端末のフィードバックオーバーヘッドを減らし、通信システムの効率を向上することができる。
【0021】
本発明の一実施形態に係る端末は、基地局からフィードバック停止信号を受信する場合、フィードバック停止信号が指示する期間中にチャネル情報のフィードバックを中断することでフィードバックオーバーヘッドを減らすことができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る基地局は、端末が周期的にチャネル情報をフィードバックする状況で、必要に応じて端末が一定期間フィードバックを中断するようフィードバック停止信号を送信することによって、簡単な方法によりフィードバックオーバーヘッドを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】多重入出力通信システムの通信方法を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によりフィードバック停止信号に基づくフィードバック方法を用いるマルチセル通信システムを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態により基地局と端末との間にフィードバック情報及びフィードバック停止信号が送受信なる例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態により端末にフィードバック停止信号を送信する基地局を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るフィードバック停止信号に基づいてチャネル情報をフィードバックする端末を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本発明の実施形態を説明するにおいて、関連する公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、本明細書で用いられる用語(terminology)は、本発明の好適な実施形態を適切に表現するために用いられた用語として、ユーザ、運用者の意図または本発明が属する分野の慣例などによって変わり得る。したがって、本用語に対する定義は、本明細書の全般にわたる内容に基づいてなされなければならない。各図面で提示した同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0026】
図1は、多重入出力通信システムの通信方法を示す図である。
図1を参照すると、多重入出力通信システムは基地局110及び複数の端末120を備える。基地局110及び端末120は複数のアンテナを有してもよい。
【0027】
基地局110は端末120にパイロットを送信し、端末120のそれぞれはパイロットに基づいて基地局110及び当該端末の間のチャネルを推定することでチャネル情報を生成する。そして、端末120は、チャネル情報を基地局110にフィードバックする。基地局110は、チャネル情報に基づいて端末120をスケジューリングしプリコーディングマトリックスを生成する。そして、基地局110は、プリコーディングマトリックスを用いて送信信号(すなわち、データ)を端末120に送信する。
【0028】
基地局110がより適切なプリコーディングマトリックスを生成するためには、端末120が基地局110にチャネル情報を正確かつ頻繁にフィードバックする必要がある。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態によりフィードバック停止信号に基づくフィードバック方法を用いるマルチセル通信システムを示す図である。
図2を参照すると、マルチセル通信システムは複数の基地局を含む。複数の基地局は、互いに協力して協力マルチポイント送受信を適用してもよい。例えば、複数の基地局は、互いに協力して複数の基地局それぞれのセルエッジ(edge)に位置している端末に信号を送信することで端末への送信率を向上させることができる。
【0030】
状況に応じて端末は、協力マルチポイント送受信よりも単一ポイント送受信を選好することもある。例えば、端末のチャネル状態が大きく変わる場合、ハンドオーバーによって端末のサービング基地局は他の基地局に変更され、端末と新しいサービング基地局は単一ポイント送受信を行うことによって、フィードバックオーバーヘッドを減らしながらも所望するデータ送信率を達成することができる。
【0031】
ここで、協力マルチポイント送受信とは、複数の基地局が互いに協力して少なくとも1つの端末に信号を送信することを意味し、単一ポイント送受信とは、1つの基地局が異なる基地局と協力することなく、少なくとも1つの端末に信号を送信することを意味する。
【0032】
一方、3GPP(3rd Generation Partnership Project)TS(Technical Specification)36.213において、端末のフィードバック方法は大きく2種類がある。第1は、上りリンク物理制御チャネル(Physical Uplink Control Channel;PUCCH)を用いた周期的フィードバックであり、第2は、上りリンク物理共有チャネル(Physical uplink shared channel;PUSCH)を用いた非周期的フィードバックである。
【0033】
周期的フィードバックで、端末は、PUCCHを用いてチャネル情報を周期的にフィードバックするよう上位レイヤ(layer)により準静的に(semi−statically)設定される。チャネル情報は、プリコーディングマトリックスインジケータ(Precoding Matrix Indicator;PMI)、チャネル品質情報(Channel Quality Information;CQI)またはランクインジケータ(Rank Indicator;RI)のうち少なくとも1つを含んでもよい。基地局と端末との間のチャネルが早く変化する場合、端末のフィードバック周期は短くなる。そして、多重入出力(Multiple Input Multiple Output;MIMO)通信システムまたはマルチポイント協力通信システムにおいて端末の数は増加する。もし、すべての端末が短いフィードバック周期を有してチャネル情報をフィードバックする場合にフィードバックオーバーヘッドは増大することがある。シングルポイント通信システムにおいて、端末は基地局に1つのPMI及びCQIをフィードバックするが、マルチポイント協力通信システムで各端末は、複数のPMI及びCQIを複数の基地局にフィードバックしてもよい。したがって、フィードバックオーバーヘッドがさらに増加する。
【0034】
非周期的フィードバックにおいて、基地局は追加的なフィードバックが必要な場合、端末にフィードバックリクエスト信号を送信する。フィードバックリクエスト信号が各端末にフィードバックすることを通知するために端末の数が多い場合はシグナルオーバーヘッド(signaling overhead)が依然として大きい。このような方法は、端末の数が少なくて端末がフィードバックを頻繁に行わない場合に適切である。
【0035】
マルチポイント協力通信システムにおいて、増加する端末の数、各端末の増加するフィードバック情報、及び早く変化するチャネルを考慮すると、従来におけるフィードバック方法を修正する必要がある。
【0036】
このように、本発明の実施形態は、フィードバックオーバーヘッドを減少させてシステム効率を向上するフィードバック方法を提供する。
【0037】
本発明の一実施形態に係るフィードバック方法は、周期的フィードバック方法が修正された方法である。本発明の一実施形態に係るフィードバック方法は、フィードバック端末の数を減らすことによって全体のフィードバックオーバーヘッドを減らすことができる。端末が基地局からフィードバック停止信号(feedback stop signal;St)を受信する場合、端末は数個のサブフレーム間のフィードバックを中断する。フィードバック停止信号を受信しない場合、端末は周期的にチャネル情報をフィードバックする。
【0038】
より詳しくは、基地局はフィードバック停止信号(St)を送信する端末を決定し、フィードバック停止信号(St)を生成する。フィードバック停止信号は、チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)に関する情報を含む。チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は、フィードバック停止信号(St)を受信した後、端末がフィードバックを中断するサブフレーム数を示す。チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は、基地局と通信する端末の数及び基地局の送信ランクに基づいて基地局によって決定されてもよい。例えば、チャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は数式(1)のように表現されてもよい。
【0040】
ここで、Mは基地局と通信する端末の数であり、Rは基地局の送信ランクである。基地局が各端末に1つずつデータストリームを送信する場合、Rは同時にスケジューリングされた端末の数であってもよい。このようにチャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は、基地局と通信する端末の数に比例し、基地局の送信ランクに反比例してもよい。
【0041】
基地局は、フィードバック停止信号を受信した端末が、フィードバック停止信号が示す期間中に基地局にチャネル情報のフィードバックを中断するように、少なくとも1つの端末にフィードバック停止信号を送信する。ここで、基地局は、下りリンク制御チャネル(Downlink Control Channel;DCI)を用いてフィードバック停止信号を送信してもよい。例えば、フィードバック停止信号は、3GPP TS36.212におけるDCIフォーマット0を用いて送信されてもよい。
【0042】
一方、端末は、PMI、CQIまたはRIのうち少なくとも1つを含むチャネル情報を生成する。端末は、基地局と端末との間のチャネルに対するチャネルマトリックス(H)を推定する。そして、端末は、数式(2)のようにチャネルマトリックスに対する特異値分解(Singular Value Decomposition;SVD)を行う。
【0044】
PMIは、Vの最初の右側特異ベクトル(right singular vector)であってもよい。
【0045】
CQIは、下記の数式(3)の
【数4】
であってもよい。
【数4】
はHの特異値のうち最も大きい特異値であってもよい。
【0047】
PMIとCQIは上記の方法の他にも様々な方法で決定されてもよい。
端末はチャネル情報を基地局にフィードバックする。端末は、予め決定された周期に応じて周期的にチャネル情報をフィードバックしてもよい。
【0048】
端末が基地局からフィードバック停止信号を受信する場合、端末は、フィードバック停止信号に基づいてチャネル情報のフィードバックを中断する区間を決定する。端末はDCIを介してフィードバック停止信号を受信してもよく、端末はフィードバック停止信号に含まれたチャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)を抽出してもよい。そして、フィードバックを中断する区間中にチャネル情報のフィードバックを中断する。例えば、端末は、フィードバック停止信号が受信されたサブフレーム以後の少なくとも1つのサブフレーム(すなわち、N個のサブフレーム)を含むフィードバックを中断する区間中にチャネル情報のフィードバックを中断する。
【0049】
端末は、フィードバックを中断する区間に対応するフィードバックの再開時点で基地局にチャネル情報をフィードバックする。すなわち、端末は、フィードバック再開時点後にフィードバック停止信号を受信する前のよう、予め決定されたフィードバック周期に応じて周期的にチャネル情報をフィードバックしてもよい。
【0050】
図3は、本発明の一実施形態により基地局と端末との間にフィードバック情報及びフィードバック停止信号が送受信される例を示す図である。
本発明の一実施形態に係るフィードバック停止信号を用いたフィードバック方法は、3GPPシステムに適用されてもよい。
【0051】
図3を参照すると、基地局及び端末のサブフレームがインデックスと共に図示されている。まず、端末は、基地局で2サブフレームごとに周期的にチャネル情報をフィードバックする。すなわち、端末は、サブフレーム1、サブフレーム3及びサブフレーム5でチャネル情報を周期的にフィードバックする。フィードバック周期は調整されてもよい。
【0052】
基地局が端末にフィードバック停止信号(St)を送信した場合、端末は、フィードバック停止信号の受信に応答して後の所定サブフレームの間にフィードバックを中断する。
図3において、サブフレーム5で基地局が端末にフィードバック停止信号を送信した。フィードバック停止信号が指示するチャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)は5個のサブフレームであると仮定する(すなわち、N=5)。すると、端末は、サブフレーム6からサブフレーム10まで5個のサブフレーム間にフィードバックを中断する。したがって、端末は、サブフレーム7及びサブフレーム9にフィードバックを行わない。これによって、フィードバックオーバーヘッドが減少される。そして、端末はサブフレーム11から再び周期的にチャネル情報をフィードバックする。
【0053】
このように本発明の一実施形態に係るフィードバック停止信号を用いたフィードバック方法は、不必要にフィードバックを行うフィードバック端末の数を減らすことでフィードバックオーバーヘッドを減らし、システム効率を向上することができる。
【0054】
本発明の一実施形態に係るフィードバック停止信号を用いたフィードバック方法は、協力マルチポイント多重入出力通信システムに適用されてもよい。協力マルチポイント多重入出力通信システムにおいて複数の基地局は互いに協力する。
【0055】
協力マルチポイント多重入出力通信システムで、端末は、複数の基地局のうち少なくとも1つからフィードバック停止信号を受信する。端末は、フィードバック停止信号に基づいてチャネル情報のフィードバックを中断する区間(N)を決定する。そして、端末は、決定に対応するフィードバック再開時点で複数の基地局のうち少なくとも1つにチャネル情報をフィードバックする。その後、端末は、新しいフィードバック停止信号が受信されるまで再び周期的にチャネル情報をフィードバックする。
【0056】
基地局がサービングする端末の数が多くてフィードバックオーバーヘッド及びユーザスケジューリングの複雑度が大きい協力マルチポイント多重入出力通信システムの場合、本発明の一実施形態に係るフィードバック停止信号を用いるフィードバック方法がより効果的に適用され得る。すなわち、フィードバック停止信号を用いるフィードバック方法は、不要なフィードバックオーバーヘッドを除去することによって協力マルチポイント多重入出力通信システムの複雑度を大きく低下させることができる。
【0057】
図4は、本発明の一実施形態により端末にフィードバック停止信号を送信する基地局を示す図である。
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る基地局は、フィードバック停止信号生成部410、送信部420、受信部430及び処理部440を備える。
フィードバック停止信号生成部410はフィードバック停止信号を生成する。
【0058】
送信部420は、フィードバック停止信号を受信した端末がフィードバック停止信号が示す期間中に基地局にチャネル情報のフィードバックを中断するよう少なくとも1つの端末にフィードバック停止信号を送信する。また、送信部410は、プリコーディングマトリックスを用いてスケジューリングされた端末にデータを送信してもよい。
【0059】
受信部430は、端末からチャネル情報を受信する。フィードバック停止信号を送信した場合、受信部430は、フィードバック停止信号が指示する期間経過の後にフィードバック停止信号を受信した少なくとも1つの端末からチャネル情報を受信する。
処理部440は、端末から受信されたチャネル情報に基づいて端末をスケジューリングし、プリコーディングマトリックスを生成する。
【0060】
図5は、本発明の一実施形態に係るフィードバック停止信号に基づいてチャネル情報をフィードバックする端末を示す図である。
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る端末は、受信部510、チャネル情報生成部520、フィードバック中断区間決定部530及び送信部540を備える。
【0061】
受信部510は、基地局からフィードバック停止信号を受信する。そして、受信部510は基地局からデータを受信する。
チャネル情報生成部520は、基地局と端末との間のチャネル情報を生成する。
フィードバック中断区間決定部530は、フィードバック停止信号に基づいてチャネル情報のフィードバックを中断する区間を決定する。
送信部540は、基地局にチャネル情報をフィードバックする。受信部510がフィードバック停止信号を受信した場合、送信部540は、フィードバック中断区間決定部530の決定に対応するフィードバック再開時点で基地局にチャネル情報をフィードバックする。
【0062】
以上、本発明を通じてフィードバック停止信号を用いる基地局及び端末について説明した。本基地局及び端末には、前述した
図1ないし
図3と関連して多様な実施形態によって上述した内容がそのまま適用されることがあるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0063】
本発明の実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などのうち1つまたはその組合せを含んでもよい。媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり、使用可能なものであってもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、光ディスクのような光磁気媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれてもよい。
【0064】
上述したように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能である。
【0065】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものなどによって定められる。
【符号の説明】
【0066】
110 基地局
120 端末
410 フィードバック停止信号生成部
420 送信部
430 受信部
440 処理部
510 受信部
520 チャネル情報生成部
530 フィードバック中断区間決定部
540 送信部