(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763222
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】二つの異なる材料から成るネジまたはボルト
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
F16B35/00 R
F16B35/00 J
F16B35/00 Y
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-557023(P2013-557023)
(86)(22)【出願日】2012年2月9日
(65)【公表番号】特表2014-511468(P2014-511468A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】EP2012052173
(87)【国際公開番号】WO2012119827
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2013年12月16日
(31)【優先権主張番号】11157662.5
(32)【優先日】2011年3月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ホッファッカー
(72)【発明者】
【氏名】エヴゲン・コステンコ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト・シュヴァス
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・セイボルド
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・シュタウバッハ
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ツィマーマン
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−019419(JP,A)
【文献】
実開昭60−128016(JP,U)
【文献】
特開平06−257609(JP,A)
【文献】
特開昭58−054212(JP,A)
【文献】
特開昭60−081509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの異なる材料から成るネジ(1)またはボルト(1)であって、
外部材料(7)から成る外部輪郭部(6)と、内部材料(9)から成る中心部(8)とを備えるネジ(1)またはボルト(1)において、
前記内部材料(9)がニッケル基合金から成り、
前記ネジ(1)または前記ボルト(1)が、頭部(2)と、軸部(3)と、底部(4)とを有しており、前記頭部(2)は概ね前記軸部(3)よりも大きな直径(10)を有しており、
前記内部材料(9)が円錐形の形状を有し、
前記円錐形の形状の直径(13)が前記底部(4)に向かって増大することを特徴とするネジ(1)またはボルト(1)。
【請求項2】
前記ネジ(1)または前記ボルト(1)が延伸軸(5)に沿って形成され、前記内部材料(9)が前記延伸軸(5)周りに設けられ、前記外部材料(7)が同様に前記延伸軸(5)周りに、かつ前記内部材料(9)の周囲に設けられている、請求項1に記載のネジ(1)またはボルト(1)。
【請求項3】
前記内部材料(9)が前記頭部(2)から前記底部(4)まで連続的に形成されている、請求項1に記載のネジ(1)またはボルト(1)。
【請求項4】
前記内部材料(9)が前記軸部(3)と前記底部(4)とにだけ設けられている、請求項1に記載のネジ(1)またはボルト(1)。
【請求項5】
前記外部材料(7)が1重量パーセントのクロム鋼から成る、請求項1から4のいずれか一項に記載のネジ(1)またはボルト(1)。
【請求項6】
前記外部材料(7)が10重量パーセントのクロム鋼から成る、請求項1から4のいずれか一項に記載のネジ(1)またはボルト(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの異なる材料から成るネジまたはボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
着脱可能であって恒久的に形状接続的な結合および連結を可能にするためには、ネジが当該目的に適っている。その理由は、ネジが理想的な結合手段かつ固定手段であると見なされるからである。ネジの結合原理は二つの基本的特徴に基づいているが、そのうちの一つの可能性として、ネジ結合の結合すべき構成部材または要素は、直接的な形状接続か、ナットを介しての間接的な形状接続かのいずれかによって、少なくともネジの軸部と、多くの場合は互いに直接的に結合かつ固定される。
【0003】
流体機械工学において、例えば蒸気タービン製造の際、異なる回転対称要素がネジを用いて結合される。しかしながら、この場合の欠点は、使用に関わりなく漏れまたはプレストレス損失が頻繁に生じることである。当該漏れまたはプレストレス損失は、ネジ結合の緩和もしくは疲労が原因で生じる。部分的に非常に大きなネジが用いられるが、それは応力が部分的に非常に高いためである。さらに、応力が高い場合には、比較的厚いフランジを設けることになる。厚いフランジには、コストのかかる製造が必要であるため、これは大きな欠点となる。また、製造コストがかさむだけでなく、大きな構成空間を考慮しなければならず、フランジが大きすぎると、望ましくないハウジングの歪みが生じる。これらは全て、大型のネジが現在直面している問題である。
【0004】
フランジが縮小された状態で実施可能な好適なネジが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、流体機械工学において生じる条件のもとで、小型化されて実施可能なネジを提供することを課題とする本発明が適用される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は、二つの異なる材料から成るネジまたはボルトによって解決される。当該ネジまたはボルトは、外部材料から成る外部輪郭部と、内部材料から成る中心部とを備えており、当該中心部はニッケル基合金から成る。さらに外部材料及び内部材料の材料特性の選択は、ネジまたはボルトの物理的特性および化学的特性が、流体機械工学上、例えば蒸気タービン製造の際に生じる温度において、理想的な状態となるように行われている。すなわち、本発明に係る思想は、関連する温度領域内で、体積収縮を特徴とする中心部のための材料を選択することにある。当該体積収縮は負のクリープとも称される。
【0007】
有利なさらなる構成は従属請求項に記載されている。
【0008】
すなわち、第一の有利なさらなる構成において、ネジまたはボルトは、延伸軸に沿って形成され、内部材料は当該延伸軸
周りに設けられており、外部材料は同様に延伸軸
周りに、かつ内部材料の周囲に設けられている。
【0009】
ネジまたはボルトは通常、当該ネジまたはボルトの延伸軸において熱的にも機械的にも負荷を受けている。このとき内部材料は通常、延伸軸
周りに回転対称に設けられており、外部材料も同様に通常は内部材料
周りに回転対称に設けられている。これにより、高度な対称性が達成され、当該対称性は負荷が異なる際、応力の局所性をより小さくする。
【0010】
さらなる有利な改良構成において、ネジまたはボルトは頭部と軸部と底部とを有しており、頭部は概ね軸部よりも大きな直径を有している。従って、本発明により、可能なネジまたはボルトの応用領域をほとんどあらゆる結合可能性に拡大することが提案される。
【0011】
特に有利なさらなる構成において、内部材料は頭部から底部まで連続的に形成されている。当該有利なさらなる構成は概ね二つの利点をもたらす。一つにはこのようなネジまたはボルトの製造は比較的容易である。その理由は、通常、頭部から底部まで孔を貫通させるだけでよく、内部材料はネジまたはボルトの内部において、比較的容易に充填され得るからである。さらに中心部を連続的に実施することにより、ネジまたはボルトの熱伝導性が向上し、それによってこのようなネジまたはボルトが縮小されて実施され得ることになる。
【0012】
さらなる有利な改良構成において、内部材料は軸部と底部にだけ設けられている。ネジまたはボルトにおいて中心部を連続的に設けるのに対して、当該構成では、内部材料をネジ全体またはボルト全体にわたって連続的に設けないことが提案される。ボルトまたはネジの一部のみに内部材料を有することが提案される。この場合、概ね材料コストが節約される。
【0013】
有利なさらなる構成において、内部材料は円錐形状を有している。最も単純な場合、内部材料は円柱形状を有し得る。これにより内部材料の有利な熱的特性および機械的特性を、応用に特定されて必要となり得る場所で増大させることができる。多くの応用例において、底部は特に熱的および機械的負荷を受けている。従ってさらなる有利な改良構成において、円錐形状の直径が底部に向かって増大するように形成することが提案される。これにより特に底部において、内部材料の特に有利な熱的特性および機械的特性を十分に利用することができる。
【0014】
ニッケル基合金は580℃より小さい関連温度領域内で、体積収縮もしくは負のクリープを特徴とする。
【0015】
さらなる有利な改良構成において、外部ネジ輪郭部、すなわち外部材料は規格ネジ材料、例えば1重量パーセントまたは10重量パーセントのクロム鋼から形成される。これにより、1重量パーセントまたは10重量パーセントのクロム鋼から成る外部ネジ輪郭部に対する支持効果と、より良い設計値が得られる。
【0016】
本発明に係るネジの好適な実施の形態を、添付の概略的な図面に基づいて以下により詳しく説明する。図面に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るネジまたはボルトの第一の実施の形態を示す図である。
【
図2】本発明に係るネジまたはボルトの第二の実施の形態を示す図である。
【
図3】本発明に係るネジまたはボルトの第三の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係るネジ1またはボルト1の第一の実施の形態を示している。ネジ1またはボルト1は概ね頭部2と軸部3と底部4とを含んでいる。構成要素がネジ1として実施される場合、軸部3は
図1に表示されていないネジ山を有しており、当該ネジ山は他の構成要素に設けられた、かみ合いネジ山またはナットと摩擦接続的に結合されている。ネジ1またはボルト1は、延伸軸5に沿って細長く形成されている。このときネジ1またはボルト1は、延伸軸5
周りに概ね回転対称に形成されている。ネジ1またはボルト1は二つの異なる材料から形成されており、ネジ1またはボルト1は外部材料7から成る外部輪郭部6と、内部材料9から成る中心部8とを含んでいる。
【0019】
本図において内部材料9は延伸軸5
周りに概ね回転対称に設けられている。内部材料9の周囲には外部材料7が、同様に延伸軸5
周りに概ね回転対称に設けられている。
【0020】
図1に示す実施の形態において、頭部2は概ね軸部3の直径よりも大きな直径10を有している。
【0021】
図1に示す実施の形態において、中心部8もしくは内部材料9は頭部2から底部4まで連続的に形成されている。これは概ね、頭部2から底部4までの孔11によって、頭部2から底部4まで内部材料を装入可能であることを意味する。
【0022】
図2には本発明に係るネジ1またはボルト1の第二の実施の形態が示されている。本図における相違点は、中心部8もしくは内部材料9が、頭部2から底部4まで連続的に形成されておらず、軸部3と底部4とにだけ設けられていることである。これは内部材料9が頭部2に設けられていないことを意味する。このようなネジ1またはボルト1は概ね、底部4から頭部2に至るまで形成されている孔12によって形成され得る。
【0023】
図3には本発明に係るネジ1またはボルト1の第三の実施の形態が示されている。本図における相違点は、内部材料9もしくは中心部8が、
図1および
図2に見られるように円柱形状に形成されておらず、円錐形状を有していることである。これは円錐形状14の直径13が頭部2から底部4に向かって増大することを意味する。
【0024】
図1,
図2,および
図3に示す三つの全ての実施の形態において、内部材料9はニッケル基合金から形成されており、当該ニッケル基合金は580℃より小さい関連温度領域内で、体積収縮を特徴とする。外部輪郭部6もしくは外部材料7はネジ材料、例えば1重量パーセントまたは10重量パーセントのクロム鋼から形成される。
【0025】
ネジ1またはボルト1は、流体機械工学全体において、例えば蒸気タービン製造またはガスタービン製造において応用される。
【符号の説明】
【0026】
1 ネジまたはボルト
2 頭部
3 軸部
4 底部
5 延伸軸
6 外部輪郭部
7 外部材料
8 中心部
9 内部材料
10 直径
11 孔
12 孔
13 直径
14 円錐形状