(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
山薬(Dioscorea Rhizoma)とウチワドコロ(Dioscorea nipponica)の山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物を有効成分とし、薬学的に許容可能な担体を含むことを特徴とする、糖尿病性末梢神経病症の予防または治療用医薬組成物。
糖尿病性末梢神経病症は、神経細胞の萎縮、変性及び死滅を含む群から選択された少なくとも一つの原因による疾患であることを特徴とする、請求項1に記載の糖尿病性末梢神経病症の予防または治療用医薬組成物。
糖尿病性末梢神経病症は、焼きつくような痛み、刺すような痛み、疼痛、締め付けられるような痛み、触覚、振動覚または温度覚の感覚喪失、及びこれらの組合せを含む群から選択された症状を示すことを特徴とする、請求項1に記載の糖尿病性末梢神経病症の予防または治療用医薬組成物。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、その発病率が全世界的に急速に増加している疾病として、世界保健機構(WHO)は、2008年糖尿病を病んでいる患者の数が約1億8千万名程度であると推算しており、その数は、2030年まで2倍に増加すると予想されている。これによって、糖尿病による経済的、社会的費用負担が徐々に増えており、糖尿病に随伴されるさまざまな余病による致死率も増加している。しかし、厳格な血糖の調節により病気の進行を阻むか疾病の進行速度を落とすことができるので、生活習慣の変化と適切な治療により血糖を一定に維持することが重要な方法と考えられている。
【0004】
糖尿病は、先進国において神経病症の原因として一番よく知られた疾病である。糖尿病性末梢神経病症は、糖尿病により誘発された末梢神経系の機能異常による症状を示す用語である。これは糖尿病でよく見られる合併症である。
【0005】
糖尿病性末梢神経病症は、糖尿病患者の生活の質を低下させて、患者死亡率を高める最大の原因である。糖尿病患者において糖尿病性末梢神経病症の有病率は患者の年齢と糖尿病を病んだ期間に従って増加する。糖尿病性末梢神経病症は、1型糖尿患者と2型糖尿患者の両方ともに現われるが、1型糖尿病患者(22.7%)よりは2型糖尿病患者(32.1%)において、その有病率が一層高い(Primary Care Diabetes Volume 1,Issue 3,September 2007,Pages 129−134 Diagnosis of diabetic peripheral neuropathy among patients with type 1 and type 2 diabetes in France,Italy,Spain,and the United Kingdom)。
【0006】
糖尿病患者の約10%程度は持続的な痛みを訴えており、このような痛みは自発的であるかあるいは刺激により誘導されることもある。苦痛は悪化されて不治性になることもある。このような糖尿病性末梢神経病症による痛みは、通常、夜に一層ひどくなり、焼きつくような痛み、刺すような痛み、疼痛、締め付けられるような痛み等であると表現される。また、糖尿病性神経病症の痛みは、手よりは足において確かに感じられる。急激な痛みは体重の減少や憂鬱病などへ続くこともある(Pain medicine,Volume 8 Number S2 2007,Diabetic Peripheral Neuropathic Pain:Recognition and Management)。
【0007】
糖尿病性末梢神経病症は、筋力測定、触覚、温度覚、振動覚の測定、そして末梢皮膚の血流速度測定、神経伝導度の測定により診断される。現在、糖尿病性末梢神経病症の治療では、血糖の調節と病因論的治療、対症的治療が行われている。高血糖と神経病症進行の相関関係はよく確立され、血糖調節をしない糖尿病患者における糖尿病性末梢神経病症の高い有病率を述べた多くの研究により明らかにされているから、血糖の調節は糖尿病性末梢神経病症の基本的な予防/治療方法として認識されている(N Engl J Med 1993;329:977−86,The effect of intensive treatment of diabetes on the development and progression of long−term complications in insulin−dependent diabetes mellitus)。
【0008】
糖尿病性神経病症の代表的な病因論的治療剤では、アルファリポ酸、アルドース還元酵素阻害剤とガンマリノレン酸がある。抗酸化剤であるα−リポ酸(チオクト酸)は、神経細胞死をもたらす高血糖により誘発された酸化的ストレスを減少させることで糖尿病性神経病症の病因を遮断する。アルドース還元酵素阻害剤(Aldose reductase inhibitors)は、神経細胞内のブドウ糖がポリオール経路に入ることを阻止して神経細胞に損傷をもたらすソルビトール(sorbitol)の蓄積を抑制することで糖尿病性神経病症の進行を遮断する。しかし、これらの大部分は副作用と効果不足などの理由により開発段階で中断された。現在、エパルレスタット(Epalrestat)だけが日本で使われている。γ−リノレン酸(γ−Linoleic acid)は、神経膜の構成成分であり、神経細胞で血流の恒常性維持に重要な役割を果たすプロスタグランジンEの構成成分として、糖尿病性神経病症のいくつかの症状の改善効果を示した(BMJ. 2007 Jul 14;335(7610):87. Epub 2007 Jun 11,Review. Effects of treatments for symptoms of painful diabetic neuropathy:systematic review)。
【0009】
糖尿病性神経病症の痛みを緩和する対症的治療剤には、三環系抗憂鬱剤(antidepressants)、抗痙攣剤、選択的セロトニン再吸収抑制剤(selective serotonin reuptake inhibitors)、局所カプサイシンなどがある。三環系抗憂鬱剤(TCA)は、中枢神経系のセロトニンとノルエピネフリンの再吸収を抑制して痛みの伝達を抑制し、内因性エンドルフィンの作用を強化させることで痛みを緩和する。抗痙攣剤、選択的セロトニン再吸収抑制剤は、三環系抗憂鬱剤処方が適合ではない患者に2次的な選択薬物として使われている。局所カプサイシンは、痛みを伴う感覚異常(dysesthesia)に有効であることが知られており、type−C侵害受容線維(nociceptive fibers)からの神経ペプチドであるサブスタンスP(substance P)の遊離を誘発し、かつサブスタンスP(substance P)の補充(replenishment)を抑制して、末梢の痛みシグナルの伝導と伝播を遮断して痛みを緩和する。
【0010】
しかし、糖尿病性末梢神経病症は、その病因と症状が非常に多様なので患者を適切に治療する治療法を探しにくい。臨床では糖尿病性末梢神経病症の根本的な治療よりは、痛みの緩和と病気の進行を抑制する対症的治療法が主に行われている。従って、糖尿病により破壊された神経の再生を通じた糖尿病性末梢神経病症を治療する治療法の必要性が増大している。ニューロンの再生を促進する機能を有する神経成長因子が、糖尿病性末梢神経病症の治療の強力な候補として浮上している。
【0011】
多くの先の研究結果は、糖尿病個体において、神経成長因子(NGF)の生合成とニューロンでの逆行性輸送が減少することを示しており、これらが糖尿病性末梢神経病症の病因の一つであることが知られている。健康人の皮膚で神経成長因子は、基底角質細胞で生産されて神経のtrkAという受容体を通じて作用する。一方、糖尿病患者の皮膚角質細胞では、より低量の神経成長因子が観察され、このような減少は、感覚神経纎維不全と関連することが知られている(Diabetes Obes Metab. 2008 Feb;10(2):99−108. Epub 2007 Jun 26,Review. Diabetic neuropathy: new strategies for treatment)。
【0012】
糖尿病性末梢神経病症を誘発させた動物に神経成長因子を投与した場合、糖尿病性末梢神経病症による痛みと症状を緩和したという先行研究の結果があった。これに基いて糖尿病性神経病症患者を対象とした臨床実験も実施された。無作為偽薬比較第2相臨床試験の結果、組み換えヒト神経成長因子を6ヶ月間、3回/週投与した糖尿病性末梢神経病症患者は、神経病症の症状と痛みが緩和された。しかし、48週にわたった無作為偽薬比較第3相臨床試験は、投薬部位の痛みの副作用と非有意な効果により、有意に効果的ではなかった。それで、外部神経成長因子の投薬ではない内因性神経成長因子の生合成を促進させる後続研究が進められている(Am J Med. 1999 Aug 30;107(2B):34S−42S,Review. Neurotrophic factors in the therapy of diabetic neuropathy)。
【0013】
山薬(Dioscorea Rhizoma)は、ヤマノイモ科(Dioscoreaceae)に属する植物のナガイモ(Dioscorea batatas Decaisne)またはヤマノイモ(Dioscorea japonica Thunberg)の周皮を除いた根茎(担根体)として、そのまま使用するか、または蒸して乾かして使用する。この植物はステロール型サポニン(dioscin)、アラントイン(allantoin) などを含んでいる。
【0014】
ウチワドコロは、つる性多年草であるウチワドコロ(Dioscorea nipponica Makino)の根茎として、ジオスシン(dioscin)とプロサポゲンA(prosapogen A)、プロサポゲンC(prosapogen C)など、種々のステロール型サポニンを含んでいる。
【0015】
生薬剤において、これら生薬は、単独で、または他の生薬と組み合わせて使われて来た。これらの二つの生薬組合せ抽出物の糖尿病性末梢神経病症と関連された医学的効果に関する先行文献は、報告されたことがない。
【0016】
大韓民国登録特許第854621号公報には、ウチワドコロ、カエデドコロ、ナガイモ、ヤマノイモ及びオニドコロからなる群より選択される抽出物を含む末梢神経病症の予防及び治療用組成物が提供され、前記組成物が神経突起の成長を誘導すると共に内因性神経成長因子の分泌を増加させることで、末梢神経病症の予防及び治療に効果的であることを明らかにしている。
【0017】
本発明者らは、前記大韓民国登録特許第854621号公報に記載されたウチワドコロ、カエデドコロ、ナガイモ、ヤマノイモ及びオニドコロの中から選択された植物の抽出物が、有意性ある神経突起の成長を誘導すると共に、内因性神経成長因子の分泌量を増加させる効果があることを確認した。驚くべきことに、本発明者らは、動物モデル実験を通じて、各単独または組み合わせの抽出物が、神経突起の成長及び内因性神経成長因子の分泌においてほとんど同じ効果を有するにもかかわらず、特定比の山薬とウチワドコロの抽出物が、血漿及び唾液腺などの生体内の神経成長因子(NGF)量を高度に著しく増加させること、及び、熱及び機械的刺激に対し高度に感受的な糖尿病性神経病症により誘発される痛みを緩和することにより、糖尿病性末梢神経病症に対する相乗的な治療効果を奏することを見出し、本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、本発明は上述したような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、大韓民国登録特許第854621号公報に記載された生薬材の中で、糖尿病により2次的に発生する糖尿病性末梢神経病症を治療することができる生体内神経成長因子(NGF)の含量を著しく増加させる活性を示す生薬組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記生薬組成物を有効成分とする糖尿病性末梢神経病症の予防及び治療に有用な医薬組成物及び健康機能食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、山薬(Dioscorea Rhizoma):ウチワドコロ(Dioscorea nipponica)=3.5:1(w/w)の混合物から調製された生薬抽出物を含有する糖尿病性末梢神経病症の予防及び治療用組成物、及び健康機能食品を提供することにより達成される。
【0020】
一側面として、本発明は、山薬とウチワドコロ生薬の混合抽出物を提供する。より具体的には、本発明により提供される生薬抽出物は、山薬(Dioscorea Rhizoma)及びウチワドコロ(Dioscorea nipponica)を3.5:1(w/w)の重量比で含む混合物から得られる。
【0021】
本発明の生薬抽出物は、乾燥された山薬とウチワドコロの混合物から、50%エタノール中、室温で48時冷浸した後、真空下濃縮することにより調製することができる。詳しくは、山薬及びウチワドコロを洗浄、乾燥、切断し、山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)で混合し、生薬混合物を5倍重量の50%エタノール中にて、室温で48時間1回冷浸し、次いで減圧濃縮する。
【0022】
また、他の側面として、本発明は、山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物を有効成分とし、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とともに含む、糖尿病性末梢神経病症の予防及び治療用組成物を提供する。
【0023】
本発明の組成物は、山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物を、組成物総重量に対して0.01〜80重量%、好ましくは1〜50重量%含む。
【0024】
糖尿病性神経病症が、触覚、振動覚、温度覚等の感覚喪失、 焼きつくような痛み、刺すような痛み、疼痛、締め付けられるような痛みなどの痛みを含むことは、当業者に明らかである。
【0025】
本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物に基く組成物は、適切な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含むことができる。
【0026】
本発明の組成物に使用できる担体、賦形剤または希釈剤の例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸、ゼラチン、カルシウム、リン酸塩、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、マイクロクリスタリンセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油を含む。
【0027】
また、本発明の組成物は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾールなどの経口型剤形、局所製剤、坐剤または滅菌注射溶液に剤形化することができる。本発明の医薬組成物は、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤とともに製剤化することができる。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本発明の生薬複合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、酸化カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて製剤化することができる。また、単純な賦形剤の他に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤を使用してもよい。経口投与用液状製剤は、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などを含む。単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に多様な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。また、本発明の医薬組成物は、非経口経路で投与されることができる。そのために、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤などを使用することができる。非水性溶剤及び懸濁剤には、注射可能なプロピレングリコール (propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのようなエステルなどを使用することができる。坐剤の基剤には、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが含まれる。
【0028】
さらに別の側面として、本発明は、糖尿病性末梢神経病症治療剤の製造のための山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物の使用を提供する。
【0029】
また、さらに別の側面として、本発明は、山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物を含む医薬組成物を、治療的に有効な量で哺乳動物に投与することを特徴とする、糖尿病性神経病症の治療方法を提供する。
【0030】
山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物を含む医薬組成物の投与量は、年齢、性別、体重、患者の健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄率等を含む多様な要因によって変動し得る。一般的に、本発明の医薬組成物は、0.01〜10g/kgの量、好ましくは1〜5g/kgの量を、一日1回〜数回に分けて投与することができる。しかし、当業者において前記投与量は、いずれの面でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物を含有する医薬組成物は、ラット、マウス、家畜、人間等の哺乳動物に様々な経路で投与され得る。投与の全経路は予想されるもので、例えば、経口、直腸内、静脈内、筋肉内、皮下、子宮内膜または脳血管内投与され得る。
【0032】
山薬:ウチワドコロ=3.5:1の重量比(w/w)の混合物の生薬抽出物は、毒性及び副作用がほとんどないので、糖尿病性神経症の予防目的で、長期間にわたり安全に摂取され得る。
【0033】
本発明では、山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物の生体内神経成長因子の含量増加能及び糖尿病性末梢神経病症の症状緩和能を評価するため、生体内実験を実施した。健康動物モデル及び糖尿病性神経病症の病態動物モデルの各々でのデータは、本発明による特定割合の生薬混合物の抽出物が、単独生薬または他の重量比の生薬混合物の抽出物に比べて、相乗的な治療効果を有することを示した。
【0034】
また、本発明は、山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物、及び食品学的に許容可能な食品添加剤を含む、糖尿病性神経病症の予防及び改善のための健康機能食品を提供する。
【0035】
ここで用いる「健康機能食品」なる語は、食品医薬品安全庁告示2004−12号に従い、人体に対する機能性及び安全性が認められた健康機能食品原料または成分に関する規定目録集に収載された健康食品のように、大韓民国の「2002年健康機能食品に関する法律」に定義される食品を含む。
【0036】
詳しくは、本発明は、山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物と、食品学的に許容可能な食品添加剤を含む、糖尿病性神経病症の予防及び改善のための健康機能食品を提供する。
【0037】
本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物を含む組成物は、糖尿病性神経病症の症状緩和のための薬物、食品及び飲料などに多様に利用されることができる。本発明の生薬抽出物を添加することができる食品には、各種食品類、例えば、飲料、ガム、茶、ビタミン複合剤、健康補助食品類などがある。薬物に使用するためには、前記生薬抽出物は、丸剤、粉末、顆粒、錠剤、カプセルまたは液状の形態で使用することができる。
【0038】
固形食品に適用される時、食品または飲料内の前記生薬抽出物の量は、一般的に本発明の健康食品組成物の場合、食品全重量の0.1〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%で使用され得る。健康飲料組成物の場合、前記生薬抽出物は、100mLを基準として0.1〜30g、好ましくは0.2〜5gの割合で添加することができる。
【0039】
本発明の健康飲料組成物は、特定比の必須成分である前記生薬抽出物を含有することの他に、液体成分には特別な制限はない。通常の飲料と同様に、さまざまな香味剤、天然炭水化物またはその他添加剤をさらに含むことができる。
【0040】
上述した天然炭水化物の例には、ブドウ糖、果糖などの単糖類、マルトース、スクロースなどの二糖類、デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖類及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールがある。上述以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリシルリジン))及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有用に使用することができる。天然炭水化物の割合は、本発明の液体健康飲料組成物100mL当たり一般的に約1〜20g、好ましくは約5〜12gである。
【0041】
前記以外に本発明の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを含有することができる。その他に、本発明の組成物は、天然果物ジュース及び果物ジュース飲料及び野菜飲料に使用するため、果肉を含むことができる。このような添加剤は、単独でまたは組み合わせて使用することができる。このような添加剤の割合はあまり重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり0〜約20重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【発明の効果】
【0042】
本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物は、山薬またはウチワドコロの単独抽出物、山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物に比べて、生体内神経成長因子(NGF:Nerve Growth Factor)含量増加、神経細胞の増殖と神経突起形成促進効果及び認知能力向上効果において、有意に高い相乗効果を示すので、糖尿病性末梢神経病症の治療及び予防のための医薬組成物及び健康機能食品で使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、実施例及び実験例により本発明を詳細に説明する。下記実施例及び実験例は本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0045】
<実施例1>
本発明による山薬とウチワドコロ混合生薬抽出物の製造
韓国京東市場の漢方薬材商で乾燥された山薬(Dioscorea Rhizoma)とウチワドコロ(Dioscorea nipponica)を購入した。不純物を除去してカッターで粉砕し、山薬:ウチワドコロ=3.5:1の重量比で混合した。2kgの混合物に10Lの50%エタノール水溶液を添加して、室温で48時間撹拌しながらインキュベートした。濾過により生薬混合物を除去し、濾液は減圧濃縮した後、凍結乾燥して混合生薬抽出物(粗抽出物)を得て、実施例1を製造した(表1参照)。
【0047】
<比較例1>
山薬抽出物の製造
2kgの混合物の代りに山薬2kgを使用したこと以外は、実施例1と同一な方法で製造して、山薬抽出物(粗抽出物)を製造した(表2参照)。
<比較例2>
ウチワドコロ抽出物の製造
2kgの混合物の代りにウチワドコロ2kgを使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で山薬抽出物(粗抽出物)を製造した(表2参照)。
【0049】
<比較例3〜比較例10>
山薬及びウチワドコロの混合生薬粗抽出物の製造
前記実施例1で使われた山薬及びウチワドコロと同一の生薬を実験に使用した。カッターで粉砕した状態の山薬とウチワドコロを各々表3に記載したように混合した。各混合物2kgに10Lの50%エタノール水溶液を添加して、室温で48時間撹拌しながらインキュベートした。生薬混合物は濾過により除去し、濾液は減圧濃縮した後、凍結乾燥して混合生薬抽出物(粗抽出物)を得た。
【0051】
<実験例1>
生体内神経成長因子の含量評価のための正常ラットモデル実験
実施例1の50%エタノール粗抽出物を使用して、生体内神経成長因子の分泌を誘導するかを評価した(O.Arrieta and J.Sotelo et al., Retinoic acid increases tissue and plasma contents of nerve growth factor and prevents neuropathy in diabetic mice. European Journal of Clinical Investigation(2005) 35)。
【0052】
25〜30gの雄性ICRラットを温度22〜24℃、相対湿度60〜80%の状態で標準食餌と水を供給して、1週間順化飼育した。ラットを体重を基準にグループ分けした。ガバペンチン(Gabapentin)100mg/kgを陽性対照群とし、上記抽出物の決められた量を経口投与して、16時間後に採血後、ラットを屠殺して唾液腺を採取した。
採取した血液は、10,000rpmで10分間遠心分離して血漿を得た後、ELISA法により血漿内神経成長因子の含量を測定した(ABS 450nm)。坐骨神経及び唾液腺は、重量を測定した後、100mM Tris−HCl、1M NaCl、2% BSA、4mM EDTA、2.0% Trtion X−100、0.02% sodium azide、0.1mg/mL pepstatin A、5mg/mL aprotonin、0.5mg/mL antipain、167mg/mL benzamidine、5.2mg/mL PMSFを含む溶液を重量に応じて加えた後、ホモジナイズした。その後、1N HClを 1μL/50μLで入れた後、酸化のために15分間放置し、1N NaOHを1μL/50μLで入れて中和させた。10,000rpmで10分間遠心分離した後、上清液を採取した。その後、血漿と同様にELISA法により坐骨神経及び唾液腺内に存在する神経成長因子の含量を測定した。
実験データは、血漿神経成長因子の含量については下記表4に示し、坐骨神経内の神経成長因子の含量については表5に示し、唾液腺内の神経成長因子の含量については下記表6に示した。
【0054】
前記表4から分かるように、同量を投与した結果、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2、山薬とウチワドコロの混合物の抽出物である比較例3〜比較例10は、コントロールと同程度の血漿内神経成長因子分泌を誘導することが認められた。対照的に、実施例1の抽出物では、山薬、ウチワドコロの単独抽出物、山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物より、血漿内神経成長因子を増加させた。
血漿は神経成長因子が分泌されてから目標臓器に移動する経路であるので、血漿内神経成長因子含量の増加は、神経成長因子の分泌が促進されたことを意味する。従って、本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の抽出物は、山薬またはウチワドコロの単独抽出物、山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物に比べて、神経成長因子の分泌を促進し、生体内の神経成長因子(NGF:Nerve Growth Factor)量を有意に増加させることができる。
【0056】
前記表5から分かるように同量を投与した結果、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2、山薬とウチワドコロの混合物の抽出物である比較例3〜比較例10は、坐骨神経において、コントロールと同程度の神経成長因子分泌を誘導することが認められた。対照的に、実施例1の抽出物では、山薬、ウチワドコロの単独抽出物、山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物より、坐骨神経の神経成長因子を増加させた。
従って、本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の抽出物は、血液内へのNGFの分泌を誘導することができるので、目標臓器である坐骨神経内の神経成長因子(NGF:Nerve Growth Factor)量を有意に増加させることができる。
【0058】
前記表6から分かるように、同量を投与した場合、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2は、コントロールに比べて、唾液腺の神経成長因子量を2〜3%だけ増加させただけであったが、比較例3〜比較例10の山薬とウチワドコロの混合物の抽出物は、陽性対照群のガバペンチンと同程度か少ない量の唾液腺神経成長因子の分泌を誘導した。対照的に、本発明の実施例1の抽出物により、唾液腺神経成長因子量は33.5%増加した。それゆえ、本発明の抽出物は、山薬とウチワドコロの単独抽出物、山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物に比べて、唾液腺神経成長因子量を有意に増加させた。唾液腺は、神経成長因子の供給源として機能するため、唾液腺の神経成長因子含量の増加は、神経成長因子の生成が促進されたことを意味する。
【0059】
従って、本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物は、生体内の神経成長因子(NGF:Nerve Growth Factor)量を有意に上昇させることができる。
また、生体内の神経成長因子量の有意な上昇能により、本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物は、糖尿病性末梢神経病症の治療及び予防のための医薬組成物及び健康機能食品に使用されることができる。
【0060】
<実験例2>
ストレプトゾトシンで1型糖尿病が誘発されたSD雄性ラット(SD male rat)を利用した痛み、神経成長因子分泌及び神経変性に対する効果評価実験
実施例1の山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の抽出物、及び比較例1〜比較例10の抽出物を使用して、1型糖尿病SD雄性ラットモデルにおける痛み、生体内の神経成長因子含量及び神経変性程度に対する効果を評価した。
【0061】
220〜250gの雄性SDラットを、温度22〜24℃、湿度60〜80%の状態で標準食餌と水を供給して、1週間順化飼育した。生理食塩水に溶かしたストレプトゾトシン50mg/kgを1回静脈投与して1型糖尿病を誘発させた。糖尿病を誘発させてから4週後に、血糖値を基準にグループ分けした。α−Lipoic acid 50mg/kgとGabapentin 100mg/kgを陽性対照群として、決められた量の上記抽出物を1日1回、8週間経口投与した。その後、ラットを屠殺して坐骨神経及び唾液腺を採取した。坐骨神経及び唾液腺は、実験例1と同様に処理した後、ELISA法により神経成長因子の含量を測定した。その結果を表7に示した。
【0062】
前記抽出物の糖尿病性神経病症による痛み緩和効果を測定した。ストレプトゾトシン誘導糖尿病ラットを分離して、α−Lipoic acid 50mg/kgとGabapentin100mg/kgを陽性対照群とし、決められた量の抽出物を1日1回14週間経口投与した。Randall−Sellito法を使用して後足における圧痛反応閾値を測定した。テールフリック(tail−flick)テストで、テールにおける熱刺激に対する痛み反応潜伏時間を測定した。その結果を表8に示した。糖尿病性神経病症の発病とともに進行する神経の変性程度を測定するため、各群のラットから採取した坐骨神経をホルマリンで固定した後、標本を作って電子顕微鏡で神経細胞の髄鞘の大きさと厚さを測定して、その結果を表9に示した。
【0064】
前記表7から分かるように、総量で同量を投与した結果、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2、山薬とウチワドコロの混合物の抽出物である比較例3〜比較例10に比べて、実施例1の抽出物は、坐骨神経と唾液腺内の神経成長因子含量を有意に増加させた。
従って、本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物は、1型糖尿病動物でも生体内の目標臓器(坐骨神経、唾液腺)において、神経成長因子含量の有意な増加を誘導することが立証された。
【0066】
前記表8から分かるように、総量で同量を投与した結果、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2、山薬とウチワドコロの混合物の抽出物である比較例3〜比較例10に比べて、実施例1の抽出物は、圧痛閾値及び圧反射までの潜伏時間を有意に増加させた。
機械的刺激に対する閾値の増加は痛みに対する閾値の増加を意味し、テールフリックテスト(tail flick test)における痛み反応までの潜伏時間の増加も、熱刺激に対する閾値の増加に相当するから、痛みに対する緩和効果を示す。
従って、本発明の山薬とウチワドコロの山薬:ウチワドコロ=3.5:1の重量比で混合された生薬抽出物は、1型糖尿病による末梢神経病症の症状である痛みの相乗的な緩和効果を示した。
【0068】
表9のデータから明らかなように、コントロールでミエリン鞘(myelin sheath)の大きさとミエリン鞘の厚さが減少した結果は、糖尿病性神経病症により坐骨神経が損傷または変性されたことを示す。実施例1の抽出物を投与した場合、ラットミエリン鞘の大きさと厚さの双方が増加したことが認められた。
それゆえ、本発明の抽出物は、目標臓器において、組織学的な側面でも神経再生を上昇させ、神経変性を緩和することができる。
本発明の抽出物は、1型糖尿病でも、糖尿病性末梢神経病症の治療及び予防効果において有意な相乗効果を示すことができるので、医薬組成物に使用され得る。
【0069】
<実験例3>
ストレプトゾトシンで1型糖尿が誘発されたICR雄性マウス(ICR male mouse)を用いた痛み、神経成長因子の分泌及び神経変性に対する効果評価実験
実施例1で調製された山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物を使用して、1型糖尿病ICR雄性マウスモデルにおける痛み、生体内の神経成長因子の含量変化及び神経変性程度に対する効果を評価した。
【0070】
20〜30gの雄性ICRマウスを、温度22〜24℃、湿度60〜80%の状態で標準食餌と水を供給して、1週間順化飼育した。生理食塩水に溶かしたストレプトゾトシン200mg/kgを1回静脈投与し、1型糖尿病を誘発させた。糖尿病を誘発させてから4週後に、血糖を基準にグループ分けした。α−Lipoic acid 50mg/kgとGabapentin 100mg/kgを陽性対照群として、決められた量の上記で調製した抽出物を1日1回、14週間経口投与した。糖尿病性神経病症による痛み緩和効果を測定するため、各群のマウスを58℃のホットプレート(hot plate)に乗せた後、熱刺激に対して足裏に痛みを感じて飛び上がる時までの潜伏時間を測定し、熱刺激に対する痛覚過敏の程度を測定した。結果は表10に示した。
その後、マウスを屠殺して坐骨神経及び唾液腺を採取した。坐骨神経及び唾液腺は、実験例1と同様に処理した後、ELISA法により神経成長因子の含量を測定した。その結果を表11に示した。
【0071】
また、糖尿病性神経病症の発病とともに進行する神経の変性の程度を測定するため、各群のマウスから採取した坐骨神経をホルマリンで固定した後、標本を作って電子顕微鏡で神経細胞の髄鞘の大きさと厚さを測定し、その結果を表12に示した。
【0073】
ホットプレート上での痛み反応までの潜伏時間の増加は、熱刺激に対する痛み閾値の増加を反映し、痛みが減少されたことを示す。前記表10から分かるように、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2、山薬とウチワドコロの混合物の抽出物である比較例3〜比較例10に比べて、実施例1の抽出物は、ホットプレート上での痛み反応までの潜伏時間を有意に増加させた。これは本発明による生薬組成物は、糖尿病性末梢神経病症の症状である痛みの有意な緩和効果を有することを示す。
【0075】
前記表11から分かるように、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2、山薬とウチワドコロの混合物の抽出物である比較例3〜比較例10に比べて、実施例1の生薬抽出物は、坐骨神経と唾液腺内の神経成長因子の含量を有意に増加させた。
従って、本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物は、1型糖尿病SDラット(SD rat)モデルだけではなく、1型糖尿病ICRマウス(ICR mouse)においても、生体内の目標臓器(坐骨神経、唾液腺)で神経成長因子の有意な増加を誘導することが立証された。
【0077】
表12のデータから、コントロールでミエリン鞘(myelin sheath)の大きさとミエリン鞘の厚さが減少し、糖尿病性神経病症により坐骨神経が損傷または変性されたことが示された。実施例1の抽出物を投与した場合、ミエリン鞘の大きさと厚さが増加したことが認められた。
本発明の抽出物は、1型糖尿病SDラット(SD rat)モデルだけではなく、1型糖尿病ICRマウス(ICR mouse)でも、神経の変性を改善することができ、組織学的側面においても、目標臓器で神経再生を増加させることができる。
従って、本発明の生薬抽出物は、1型糖尿病から誘発される糖尿病性末梢神経病症の治療及び予防において相乗的効果を示すことができるので、医薬組成物に使用され得る。
【0078】
<実験例4>
遺伝的に2型糖尿病が誘発される遺伝子変形雄性マウス(db/db male mouse)を使用した痛み、神経成長因子の含量変化に対する効果評価実験
実施例1で調製された山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物を使用して、2型糖尿病db/db雄性マウスモデルにおける痛み及び生体内の神経成長因子含量に対する効果を評価した。
【0079】
40〜45gの雄性db/dbマウスを、温度22〜24℃、相対湿度60〜80%の状態で標準食餌と水を供給して、1週間順化飼育した。9週齢になる日に血糖を測定して糖尿病誘発個体を選別した。2型糖尿病が誘発された個体は、4週後に血糖を基準に分離した。α−Lipoic acid 50mg/kgとGabapentin 100mg/kgを陽性対照群として、決められた量の抽出物を1日1回、12週間経口投与した。糖尿病性神経病症による痛み緩和効果を測定するために、各群のマウスを58℃のホットプレートに乗せた後、熱刺激に対して足裏に痛みを感じて飛び上がる時までの潜伏時間を測定して、熱刺激に対する痛覚過敏の程度を測定した。結果は表13に示した。
その後、マウスを屠殺して坐骨神経を採取した。坐骨神経は、実験例1と同様に処理した後、ELISA法により神経成長因子の含量を測定した。その結果を表14に示した。
【0081】
前記表13から分かるように、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2、山薬とウチワドコロの混合物の抽出物である比較例3〜比較例10に比べ、実施例1の抽出物は、ホットプレート上での痛み反応までの潜伏時間を有意に増加させた。これは、本発明による生薬組成物が、糖尿病性末梢神経病症の症状である痛みの有意な緩和効果を有することを示す。
【0083】
前記表14から分かるように、山薬とウチワドコロの単独抽出物である比較例1及び比較例2、山薬とウチワドコロの混合物の抽出物である比較例3〜比較例10に比べて、実施例1の抽出物は、坐骨神経内の神経成長因子の含量を有意に増加させた。
本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物は、2型糖尿病でも生体内目標臓器において、神経成長因子の含量増加を有意に誘導することが立証された。
従って、本発明の生薬抽出物は、生体内神経成長因子の含量を有意に増加させることで、1型または2型糖尿病により誘発される糖尿病性末梢神経病症の治療及び予防のための医薬組成物及び健康機能食品で使用され得る。
【0084】
<実験例5>
C6ラットグリオーマ(C6 Rat Glioma)細胞とPC12神経細胞を用いた神経成長因子の生成及び神経細胞の増殖誘導活性試験
実施例1で調製した山薬:ウチワドコロ=3.5:1(w/w)の混合物の生薬抽出物を使用して、ラットグリオーマ(rat glioma)細胞であるC6細胞における神経成長因子の生成、ラット神経細胞であるPC12細胞の増殖誘導能を評価した。
【0085】
抽出物の神経成長因子の生成誘導能を評価するために、C6グリオーマセル(C6 glioma cell)を各プレート(plate)のウェルに同一密度で接種して、24時間培養した。細胞をPBSで洗浄した後、実施例1、または比較例1〜比較例10の生薬抽出物を、各々50μg/mLあるいは250μg/mL添加した新鮮な培養培地に交換した後、48時間培養した。48時間後、培養培地内に含有される神経成長因子量をELISA法より定量的に分析した。結果は表15に示した。
【0086】
また、神経細胞の増殖誘導能の評価試験に用いるために、PC12神経細胞を各プレートのウェルに同一密度で接種して24時間培養した。細胞をPBSで洗浄した後、実施例1または比較例1〜比較例10の生薬抽出物、またはNGFを加えた培養培地に交換して、48時間培養した。MTS法により細胞増殖度を測定して表16に示した。
【0088】
前記表15から分かるように、実施例1の抽出物は、比較例1及び比較例2(山薬とウチワドコロの単独抽出物)、比較例3〜比較例10(山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物)より、C6細胞における神経成長因子量を有意に増加させた。
従って、山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物は、神経成長因子の生成促進を最大限に誘導することが立証された。
【0090】
前記表16から分かるように、実施例1の抽出物は、比較例1及び比較例2(山薬とウチワドコロの単独抽出物)、比較例3〜比較例10(山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物)より、神経細胞であるPC12細胞の増殖を有意に増加させた。
従って、本発明の山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物は、神経細胞の増殖に有意な効果を有することが立証された。
【0091】
<実験例6>
PC12神経細胞における神経成長因子受容体のリン酸化実験
実施例1で調製された山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物を使用して、PC12ラット神経細胞における神経成長因子NGF受容体のリン酸化促進能を評価した。
【0092】
本試験で使用するために、PC12神経細胞を各プレートのウェルに同一密度で接種して24時間培養した。細胞をPBSで洗浄した後、実施例1、比較例1〜比較例10又はNGFを加えた培養培地にて、48時間培養した。その後、ウエスタンブロット法(Western blot)を用いてリン酸化されたTrkA(神経成長因子受容体)バンド(band)を検出し、検出したバンドの濃さに基いて、リン酸化されたTrkAを定量分析した。その結果は表17に示した。
【0093】
神経成長因子のシグナリングは、神経成長因子がその受容体(Trk−A)に結合して開始し、その結果、神経成長因子受容体はリン酸化される。従って、神経成長因子受容体のリン酸化量の増加は、神経成長因子シグナリング経路が増幅されることを意味する。
【0094】
下記表17のデータから分かるように、実施例1の抽出物は、比較例1及び比較例2(山薬とウチワドコロの単独抽出物)、比較例3〜比較例10(山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物)より、神経成長因子受容体のリン酸化の有意な増加を誘導した。
【0096】
<実験例7>
ラット由来DRG神経細胞における神経突起形成促進活性の評価実験
実施例1で調製した山薬:ウチワドコロ=3.5:1の混合物の生薬抽出物を使用して、ラットの胎児から得たDRG(Dorsal root ganglion)神経細胞の神経突起形成促進活性を評価した。
【0097】
本試験で使用するために、DRG神経細胞を各プレートのウェルに同一密度で接種して24時間培養した。その後、細胞をPBSで洗浄した後、実施例1又は比較例1〜比較例10とNGFの組合せ物の存在下又は非存在下に、培養培地中にて48時間培養した。顕微鏡で各群の細胞を観察して、生育した神経突起が占める面積を測定した。測定値の平均値を表18に示した。
【0098】
神経突起面積の増加は、細胞の神経突起形成が促進されたことを意味する。下記表18から分かるように、実施例1の抽出物は、比較例1及び比較例2(山薬とウチワドコロの単独抽出物)、または比較例3〜比較例10(山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物)より、神経突起面積を有意に増加させた。
【0100】
前記実験例1〜実験例7を総合すれば、実施例1は、比較例1及び比較例2(山薬とウチワドコロの単独抽出物)、比較例3〜比較例10(山薬とウチワドコロの他の重量比の混合物の抽出物)に比べて、有意な生体内神経成長因子の含量増加、神経細胞の増殖と神経突起形成促進効果、糖尿病性神経病症による痛症緩和効果及び組織学的神経変性の予防(神経再生促進)効果を示すことで、糖尿病性末梢神経病症の治療及び予防のための医薬組成物及び健康機能食品で使用され得る。
【0101】
以下、本発明の山薬とウチワドコロの生薬抽出物を含む組成物の処方例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、それを具体的に説明するものである。
【0102】
処方例1.注射製剤の製造
実施例1の抽出物.............................. ..100mg
メタ重亜硫酸ナトリウム.......................... .3.0mg
メチルパラベン............................... ....0.8mg
プロピルパラベン............................... ..0.1mg
注射用滅菌蒸溜水................................. 適量
前記成分を混合し、通常の方法で2mLにした後、2mL容量のアンプルに充填して滅菌し、注射剤を製造する。
【0103】
処方例2.錠剤の製造
実施例1の抽出物.................................200mg
乳糖.............................................100mg
澱粉.............................................100mg
ステアリン酸マグネシウム..........................適量
前記成分を混合し、通常の錠剤の製造方法により打錠して、錠剤を製造する。
【0104】
処方例3.カプセル剤の製造
実施例1の抽出物.............................. ..100mg
乳糖.............................................50mg
澱粉.............................................50mg
タルク......................................... ...2mg
ステアリン酸マグネシウム..........................適量
前記成分を混合し、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填して、カプセル剤を製造する。
【0105】
処方例4.液剤の製造
実施例1のエタノール抽出物.......................1000mg
砂糖.............................................20g
異性化糖... ....................................20g
レモン香料.......................................適量
精製水を加えて全容量.............................100mL
前記成分を通常の液剤の製造方法によって混合して100mLの茶色ボトルに充填し、滅菌して液剤を製造する。
【0106】
以上、本発明の説明ははあくまでも例示に過ぎず、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、上述した実施例及び添付された図面に限定されるものではない。