特許第5763229号(P5763229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763229
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】道路用標示体
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/015 20060101AFI20150723BHJP
   E01F 13/02 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   E01F9/015
   E01F13/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-24407(P2014-24407)
(22)【出願日】2014年2月12日
(62)【分割の表示】特願2013-79765(P2013-79765)の分割
【原出願日】2009年8月26日
(65)【公開番号】特開2014-80864(P2014-80864A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2014年2月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高木 一誠
(72)【発明者】
【氏名】長田 猛
(72)【発明者】
【氏名】榊原 雅晃
(72)【発明者】
【氏名】高室 和俊
【審査官】 石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−082116(JP,U)
【文献】 特開2006−070464(JP,A)
【文献】 特開2006−257867(JP,A)
【文献】 特開平10−227386(JP,A)
【文献】 特開2002−071081(JP,A)
【文献】 実開平04−105114(JP,U)
【文献】 実開平03−122111(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有し外側面に反射部を備えたポールを有する柱状の標識部が少なくとも2個並設され、該柱状の標識部のポールの上端間にビーム状の標識部が架設される道路用標示体であって、
前記ポールの上端にはジョイントが固定されており、
該ジョイントには水平結合部と下方結合部とがそれぞれ設けられ、
前記下方結合部は前記ポールの上端に結合されており、
互いのジョイントの水平結合部が相対するように並設された2個の柱状の標識部の前記各ジョイントの水平結合部に結合されて前記ビーム状の標識部が架設されており、
前記ポールは中空円筒形状体に形成されると共に、前記ビーム状の標識部はパイプ形状に形成され、且つ、可撓性を有し弾性的に曲がる筒形状の前記ポールの内側の中空部分と前記ビーム状の標識部の内側の中空部分とが前記ジョイントの内側で連通しており、
前記ジョイントは外力を受けて変形した後に復元可能な弾性を有して、外力を受けたときに前記道路用標示体がねじれるように前記ポールの撓みに加えて前記ジョイントが変形することを特徴とする道路用標示体。
【請求項2】
前記ジョイントは円筒形を曲げたようなL字型に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線のセンターライン標示、車線誘導標示或いは交通規制誘導標示等を目的として、路面に固定して用いる道路用標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公園や公共施設,その他人々が往来する商業施設の入口や駐車場などにおいて車両の進入を阻止,誘導するため、あるいは歩道沿いに設置して歩道への車両の乗り入れや駐停車を防ぐ目的で設置される道路用標示体については、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、中央が上方に向けて帽状に膨出し、その中心に透孔を有し周辺に取付孔を有する固定ベースと、基端部を上記固定ベースの膨出部分内に保持され、上記透孔より上方へ伸延する弾性ゴム柱と、このゴム柱の上部外周に下端が嵌合した柱または柵よりなる車止め標識、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願平5−29185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、パイプと継手を組み立てたコの字形状の柵型の車止め標識の上部に更にコの字形状のパイプ体を設けて板状の表示部を取り付けた構成が記載されているが、板状の表示部のため側面方向から見えにくく、路面に設ける道路用標示体としては視認性が低いという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、視認性が高く、車両の接触などに対して十分な強度を有する道路用標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有し外側面に反射部を備えたポールを有する柱状の標識部が少なくとも2個並設され、該柱状の標識部のポールの上端間にビーム状の標識部が架設される道路用標示体であって、
前記ポールの上端にはジョイントが固定されており、
該ジョイントには水平結合部と下方結合部とがそれぞれ設けられ、
前記下方結合部は前記ポールの上端に結合されており、
互いのジョイントの水平結合部が相対するように並設された2個の柱状の標識部の前記各ジョイントの水平結合部に結合されて前記ビーム状の標識部が架設されており、
前記ポールは中空円筒形状体に形成されると共に、前記ビーム状の標識部はパイプ形状に形成され、且つ、可撓性を有し弾性的に曲がる筒形状の前記ポールの内側の中空部分と前記ビーム状の標識部の内側の中空部分とが前記ジョイントの内側で連通しており、
前記ジョイントは外力を受けて変形した後に復元可能な弾性を有して、外力を受けたときに前記道路用標示体がねじれるように前記ポールの撓みに加えて前記ジョイントが変形することを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用標示体によれば、柱状の標識部が外側面に反射部を備えたポールを有するので、正面や側面などから見た場合でも前記の反射部が視認され、道路用標示体の視認性がよい。
また、前記の柱状の標識部が少なくとも2個並設され、これらのポールの上端間にビーム状の標識部が架設されるので、この間を歩行者などの人や車両などが横切ることを防止でき、高い交通規制効果を得ることができる。
また、柱状の標識部のポールは車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有しているので、道路用標示体が外力を受けたときにはポール全体が撓んでこの外力を逃がし、道路用標示体が破壊されにくいものとなされる。
【0009】
また、前記ビーム状の標識部の外側面に反射部を設けてもよく、並設させて設置させた柱状の標識部の間に架設させた前記ビーム状の標識部が視認され易くなり、道路用標示体の視認性が向上する。またこれによって前記ビーム状の標識部の存在感が向上し、道路用標示体の交通規制効果が高められる。
また、上記の道路用標示体を道路に沿って列状に並設させた場合には、並設された各道路用標示体のビーム状の標識部が線状に配置され、これに設けられた反射部によって道路の形状が車両の運転手などからより把握しやすいものとなされ、好ましい。
【0010】
また、両端に水平結合部と下方結合部とがそれぞれ設けられたL字型のジョイントが前記ポールの上端に固定され、前記下方結合部が前記ポールの上端に結合され、互いのジョイントの水平結合部が相対するように並設された2個の柱状の標識部の各々の水平結合部に結合されて前記ビーム状の標識部が架設されれば、ポールの上端にビーム状の標識部を容易に架設することができ、好ましい。
【0011】
また、前記ジョイントが外力を受けて変形した後に復元可能な弾性を有すれば、道路用標示体が外力を受けたときに、柱状の標識部のポールの撓みに加えて、道路用標示体がねじれるように変形して外力を逃がすので、道路用標示体がより破壊されにくいものとなされるので、好ましい。
【0012】
また、前記ジョイントの下方結合部と前記ポールの上端とが着脱不能に結合され、前記ジョイントの水平結合部と前記ビーム状の標識部とが着脱自在に結合されてもよく、ビーム状の標識部が架設される2個の柱状の標識部の間隔が定まったものでなくとも、この間隔に応じてビーム状の標識部の長さを調整することで、道路用標示体の施工ができるので、あらゆる道路に容易に道路用標示体の施工が可能となり、好ましい。
また、前記ジョイントとビーム状の標識部とが着脱自在に結合されてもよく、ビーム状の標識部が破損や汚損した場合に、これを取り外して交換することができるので、より長期に道路用標示体を利用することができ、好ましい。
また、前記ジョイントの下方結合部と前記ポールの上端とが着脱不能に結合されてもよく、前記ジョイントとポールとを強固に固定でき、道路用標示体の強度が向上するので、好ましい。
【0013】
また、前記ビーム状の標識部がパイプ形状に形成され、前記ビーム状の標識部の端部外側を覆う壁部と、この壁部の内側に設けられたリング状のビーム挿入溝部と、このビーム挿入溝部の内側に設けられビーム状の標識部の端部内側に挿入される内壁部とを前記ジョイントの水平結合部に設けてもよく、ビーム状の標識部を前記のビーム挿入溝部に挿入させ、前記の壁部と内壁部とでビーム状の標識部の端部を挟み込むようにして固定できるので、ビーム状の標識部とジョイントの水平結合部とを強固に固定でき、好ましい。
【0014】
また、前記ジョイントの水平結合部の壁部の外側から挿通させた固定ボルトの雄ねじ部を、前記ビーム挿入溝部に挿入された前記ビーム状の標識部の端部を貫通させて、前記水平結合部の内壁部に備えたナットに螺結させて前記ジョイントと前記ビーム状の標識部とを結合させてもよく、前記ビーム状の標識部が固定ボルトによって強固に前記ジョイントに固定されるので、道路用標示体の強度が大きいものとなされ、好ましい。
【0015】
また、前記内壁部に備えるナットとしてクリップナットを用い、前記ジョイントの内壁部に内方へへこむ凹部を形成し、該凹部に前記クリップナットのクリップ部を挟ませて前記内壁部にクリップナットを固定させてもよく、前記ジョイントの水平結合部の内壁部に容易にナットを備えさせることができ、好ましい。
また、前記内壁部に前記クリップナットを固定させてナットを備えさせてもよく、前記柱状の標識部を廃棄などする場合に、ジョイントからクリップナットを簡単に取り外せるので、クリップナットの再利用や再生利用を容易に行うことができ、好ましい。
また、前記ジョイントの内壁部に内方へへこむ凹部を形成し、該凹部に前記クリップナットのクリップ部を挟ませて前記内壁部にクリップナットを固定させてもよく、ビーム状の標識部の内部に前記内壁部を挿入させたときに、前記クリップナットのクリップ部がビーム状の標識部に接触しないので、前記クリップ部とビーム状の標識部との接触によってクリップナットが位置ずれを起こしたり、ビーム状の標識部が損傷したりする問題が生じないので、好ましい。
【0016】
また、前記ジョイントの水平結合部の壁部の外側から挿通させた固定ボルトの頭部が、前記壁部の外面より内側に内装可能に前記ジョイントの水平結合部を形成してもよく、これを備えた道路用標示体に車両などが衝突しても前記固定ボルトに車両が接触せず、固定ボルトによって車両が傷つくなどの問題が生じないので、好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の道路用標示体によれば、視認性が高く、車両の接触などに対して十分な強度を備えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
図2図1の道路用標示体を構成する各部材に分解した状態を示す正面図である。
図3図1の道路用標示体を構成する柱状の標識部の断面図である。
図4図1の柱状の標識部のジョイント付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
図5図1の柱状の標識部とビーム状の標識部との固定に用いるクリップナットの実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は底面図である。
図6図4の柱状の標識部のジョイントに図5のクリップナットを取り付けた状況を示す側面図である。
図7図6の柱状の標識部とビーム状の標識部とを固定したクリップナット付近の要部の断面を示す、(イ)は図6のA−A断面図であり、(ロ)はこれにビーム状の標識部を挿入して固定ボルトを螺入した状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
まず最初に、図1および図2によって、本発明に係る道路用標示体の全体的な構成について説明する。
図面において、1は道路用標示体の柱部分を構成する柱状の標識部である。
柱状の標識部1は、ベース2の上方にポール11を突設させて構成されている
本実施形態の柱状の標識部1は、ポール11をベース2の上方から着脱自在に立設できるように構成させている。
【0020】
本実施形態のベース2はその底面を路面に当接させて設置固定されるが、路面に設置固定させる方法として、ベース2の底面に接着剤を塗布して路面へ接着固定させる方法を用いることができる。また、ベース2の設置固定方法はこれに限るものではなく、ベース部2の底面から雄ねじ部分を下方に突出させてアンカーボルトを取り付け、路面に埋設固定させたアンカーナットに螺結させて固定させてもよいし、他の固定方法を用いてもよい。
【0021】
5は道路用標示体のビーム状の標識部である。ビーム状の標識部5は中空の円筒形状に形成されており、その端部をポール11の上端に取り付けられたジョイント4に取り付けられて柱状の標識部1に固定される。ビーム状の標識部5は、その両端をそれぞれ並設して設置された2体の柱状の標識部1に架け渡されて固定され、各柱状の標識部1の間を人が通過することを防止している。
本実施形態の道路用標示体は、上記のようにビーム状の標識部5を架け渡した2体1組の柱状の標識部1を、車の通過を防止したい場所に単体で設置させて車止めとして利用してもよい。また走行車線と対向車線との間に本実施形態の道路用標示体を複数組並設させて車線を分離するとともに、設置した道路を歩行者が横断することを防止するように用いることもできる。この場合、並設された異なる組の柱状の標識部1間の隙間を、人が通過不能な大きさに設置させて、この間を歩行者が横断することを防止する。
ビーム状の標識部5の外側面には、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻旋されて全周に亘って貼り付けられた反射部53が設けられており、これによって正面からの視認性を向上させるとともに、トラックのように車高の高い車両の運転手によって斜め上方から視認される場合でも、視認性を高いものとすることができる。
【0022】
図3図1の道路用標示体の柱状の標識部1の断面図である。
柱状の標識部1のポール11は円筒形の中空柱状体に形成されており、その上端を塞ぐようにジョイント4が融着によって固定され、ポール部11の下端を塞ぐように補強用部材12が固定されている。
【0023】
ポール11は補強用部材12が固定された下端部分をベース2の上面に設けた円形のくぼみに挿入させて、着脱可能に固定できるように構成されている。具体的には、ベース2に設けられた前記のくぼみに挿入された後、ベース2の外側面からポール11の下端部分に向けて固定ねじの雄ねじを挿入させて、ポール11を貫通させて補強用部材12に螺入させ、ベース2とポール11とを固定させている。上記のように固定させることで、前記の固定ねじを取り外せば、ポール11とベース2との固定を解除でき、ポール11とベース2とを着脱自在に固定できる。本実施形態では補強用部材12が螺入された固定ねじの雄ねじ部分と強固に結合できるように、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させている。また、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させることで、ポール11の下端部分の変形が抑制され、道路用標示体が外力を受けてもポール11とベース2との固定が容易に外れなくなる。
ポール11とベース2との固定方法は上記の方法に限るものではなく、ポール11の下端とベース2のくぼみとにそれぞれ係合可能な係合部と係止部とを設け、これらの係合によって着脱可能に固定させてもよいし、ポール11とベース2とは別に形成させた固定部材をポール11とベース2とに架け渡して取り付けることでこれらを固定させてもよいし、他の方法を用いて固定させても良い。
【0024】
柱状の標識部1は、車両などに踏み倒された後に元の状態に復元する可撓性を有するように、ポール11を熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
ポール11の外側面には、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻旋されて全周に亘って貼り付けられた反射部13が設けられており、正面や側方からの視認性を高いものとすることができる。
【0025】
ジョイント4は、円筒形をアールを付けて90度の角度に曲げたようなエルボ状のL字型に形成されており、その両端において、下方向を向いた端部に下方結合部41を、水平方向を向いた端部に水平結合部42をそれぞれ形成されている。
下方結合部41は、下方に向いたジョイント4の外周面が縮径して突出するように形成されており、円筒形のポール11の中空部分に上方から挿入可能に形成されている。下方結合部41の外周面はポール11の内周面に当接するように形成され、下方結合部41とポール11とは融着によって強固に固着されている。
【0026】
ジョイント4の水平方向を向いた端部には、ジョイント4の外周面を形成する円筒形状の壁部43の内側に、壁部43より小さな筒形に形成された内壁部44が形成されている。具体的には、壁部43と内壁部44とはそれぞれの断面形状の中心が同じ位置となるように設けられており、ジョイント4が90度の角度に曲がる曲部45の付近において、壁部43の内周面の一部が径の内側へ縮径するように変形するとともに水平方向に突出して内壁部44が形成されている。
【0027】
それぞれ筒状に形成された壁部43と内壁部44とは、その間に環状のビーム挿入溝部46が形成されるようにそれぞれの筒の大きさを異ならせて設けられている。本実施形態では、ビーム状の標識部5は円筒のパイプ形状に形成されており、その端部を前記のビーム挿入溝部46に挿入させて固定されるように形成されている。すなわち、ジョイント4の水平方向に向く端部に形成された壁部43、内壁部44、ビーム挿入溝部46がビーム状の標識部5を固定するための水平結合部42として機能するように、壁部43はその内側にビーム状の標識部5の端部を挿入して収納可能に形成され、内壁部44はパイプ形状のビーム状の標識部5の内部に挿入可能な大きさに形成されている。
【0028】
図4図1の柱状の標識部1のジョイント4付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
本実施形態において、ジョイント4に設けられた水平結合部42の内壁部44は、側面視からの断面形状が略正八角形の筒状に形成されており、それぞれ対向する4面をジョイント4の向きに対して真上、真下、水平横方向へ向けるように形成されている。そして、前記の面の間に形成された斜め方向に向かう4面において、ビーム挿入溝部46から内壁部44の内部へ至るように内壁部44を貫通する雄ねじ挿通孔44aが設けられている。
また、ジョイント4に設けられた水平結合部42の壁部43において、前記の雄ねじ挿通孔44aに対応する位置に、壁部43の外周面から内周面に至るボルト挿通孔43aが設けられている。
本実施形態では、ジョイント4とビーム状の標識部5とを固定ボルト9によって固定するように設けており、前記の雄ねじ挿通孔44aは固定ボルト9の雄ねじ部91が挿通可能な大きさに形成され、前記のボルト挿通孔43aは固定ボルト9のボルト頭部92が挿通可能な大きさに形成されている。
【0029】
図5図1の柱状の標識部とビーム状の標識部の固定に用いるクリップナットの実施の一形態を示す、(イ)はクリップナットの平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は底面図である。
クリップナット8は、平板状のバネを、上板部81a、中板部81b、下板部81cを備えるようにコの字形状に曲げて形成されたクリップ部81と、クリップ部81の下板部81cの下面に固定されたナット82から構成されている。ナット82はその雌ねじ部84に固定ボルト9の雄ねじを螺入可能な大きさのものを用いている。また、クリップ部81の上板部81aおよび下板部81cには、ナット82の雌ねじ部分に対応する位置に、ナット82に螺入される雄ねじが挿通可能な大きさのクリップ部貫通孔84がそれぞれ形成されており、このクリップ部貫通孔84を挿通させてクリップ部81の上板部81aの上方からナット82に固定ボルト9の雄ねじを螺入可能に形成されている。
【0030】
図6図4の柱状の標識部1のジョイント4に図5のクリップナット8を取り付けた状況を示す側面図であり、図7図6の柱状の標識部1とビーム状の標識部5とを固定したクリップナット8付近の要部の断面を示す、(イ)は図6のA−A断面図であり、(ロ)はこれにビーム状の標識部5を挿入して固定ボルト9を螺入した状況を示す図である。
クリップナット8は、コの字形状に形成されたクリップ部81の上板部81aと下板部81cとで、ジョイント4の水平結合部42の内壁部44を挟み込んで、ジョイント4内に内装される。このとき、クリップ部81の上板部81aをジョイント4のビーム挿入溝部46に挿入させ、ナット82がジョイント4の内壁部44の内側に収納されるように、クリップナット8を取り付ける。またクリップナット8は、正八角形の筒形状に形成された内壁部44の8つの面の中で、雄ねじ挿通孔44aが形成された4面にそれぞれ1個づつ取り付け、クリップナット8の上板部81aおよび下板部81cにそれぞれ形成された前記のクリップ部貫通孔84が内壁部44の雄ねじ挿通孔44に位置するように取り付ける。
【0031】
上記のようにクリップナット8をジョイント4に取り付けることにより、ジョイント4のビーム挿入溝部46にビーム状の標識部5の端部を挿入させた後、ジョイント4の壁部43の外側からボルト挿通孔43aに固定ボルト9を挿通させ、前記の固定ボルト9の雄ねじ部91をビーム状の標識部5に貫通させ、前記の雄ねじ部91をジョイント4の内壁部44の雄ねじ挿通孔44aとクリップナット8のクリップ部81に形成したクリップ部貫通孔84をそれぞれ挿通させて、クリップナット8のナット82に螺結させ、ジョイント4とビーム状の標識部5とを固定させることができる。ビーム状の標識部5には固定ボルト9の雄ねじ部91が貫通する位置に、あらかじめビーム貫通孔52が設けてある。また、ジョイント4の水平結合部を構成する壁部43、内壁部44,ビーム挿入溝部46は、ビーム状の標識部5を固定する固定ボルト9がクリップナット8に螺結されたときに、固定ボルト9のボルト頭部92の上端が、ジョイント4のボルト挿通孔43aから突出させずに、ジョイント4の壁部43の外周面より内側に位置するように、固定ボルト9をジョイント4の内部に収納可能に形成されている。上記のようにジョイント4を形成させることで、道路用標示体に車両などが接触した際に、固定ボルト9のボルト頭部91が車両に接触して傷つけるなどの問題の発生を防止することができる。
【0032】
また上記のように、クリップナット8のナット82と固定ボルト9との螺結によって、ジョイント4とビーム状の標識部5とを固定することで、ジョイント4とビーム状の標識部5との固定を着脱自在で、強固なものとできる。
また上記のように、ジョイント4とビーム状の標識部5との固定にクリップナット8を用いることで、固定ボルト9を螺結させる雌ねじ部を容易にジョイント4に設けることができると共に、柱状の標識部1が破損などして交換する場合には、クリップナット8を容易にジョイント4から取り外して分別し、再利用や再生利用などを行うことができる。
【0033】
略正八角形の断面の筒状に形成されたジョイント4の内壁部44において、8箇所の角部44c付近以外の面の部分が内方へくぼんで凹部44bがそれぞれ形成されている。また、ジョイント4の壁部43において、前記の角部44cと凹部44bの位置に対応する合計十六箇所の位置に、壁部43の内周面が内側に突出するように突部43bが形成されている。
内壁部44の角部44cと、これに対応する位置の壁部43の突部43bとの隙間は、ビーム状の標識部5の壁の厚みに対応する大きさに形成されており、ジョイント4のビーム挿入溝部46にビーム状の標識部5を挿入させた際に、ビーム状の標識部5が角部44bと突部43bとに挟まれて安定的に保持される。また、内壁部44の面に凹部44bを設けることで、凹部44cに取り付けたクリップナット8の上板部81aの上面が隣りあう角部44bより内側に位置するように配置され、ビーム挿入溝部46にビーム状の標識部5を挿入させる際に、ビーム状の標識部5の内側面がクリップナット8の上板部81aに接触せず、クリップナット8の取付位置が接触によって位置ずれを起こしたり、クリップナット8によってビーム状の標識部5の内部が損傷する、等の問題の発生が抑制される。
【0034】
また、本実施形態のジョイント4は、内壁部44に設けた内壁部44を略正八角形の断面の筒状に形成し、これにクリップナット8を4個取り付けているが、これに限るものではなく、ジョイント4に設けるボルト挿通孔43aと雄ねじ挿通孔44aを変化させ、内壁部44に取り付けるクリップナット8の数を変化させてもよいし、取り付けるクリップナット8の数に適した断面形状に内壁部44を形成させてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 柱状の標示部
11 ポール
12 補強用部材
13 反射部
2 ベース
4 ジョイント
41 下方結合部
42 水平結合部
43 壁部
43a ボルト挿通孔
43b 突部
44 内壁部
44a 雄ねじ挿通孔
44b 凹部
44c 角部
45 曲部
46 ビーム挿入溝部
5 ビーム状の標示部
52 ビーム貫通孔
53 反射部
8 クリップナット
81 クリップ部
82 ナット
83 クリップ部貫通孔
84 雌ねじ部
9 固定ボルト
91 雄ねじ部
92 ボルト頭部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7