【実施例1】
【0023】
図1,2に示すように、スロットマシン1の筐体2は前方に開放しており、前方から前扉3によって覆われている。
図1に示すように、前扉3の中央部には、筐体2の内部に配設された3つのリール9を視認するための視認窓4が設けられる。そして、視認窓4の上方には、横長矩形状の液晶表示装置10が配設される。また、前扉3の前面側には、視認窓4の下方に、遊技操作に用いるベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、精算スイッチ8などの各種スイッチが配設される。また、前扉3には、スピーカ11や演出用ランプ12が適宜箇所に複数配設される。さらに前扉3の下部には、メダルを払い出すメダル払出口22と、メダル払出口22から払い出されるメダルを受け入れるメダル受皿23が配設される。
【0024】
筐体2の内部には、
図2に示すように、リール9の上方に、メイン制御基板14やサブ制御基板15がケースに収納された状態で設置される。メイン制御基板14とサブ制御基板15は、スロットマシン1の制御装置を構成するものであり、基板間を接続する信号線16を介してメイン制御基板14からサブ制御基板15に一方向にコマンドが送信されるよう構成されている。また、筐体2の内部には、リール9の下方に、電源投入スイッチ18を具備する電源ボックス19や、ホッパーユニット20が配設される。さらに、ホッパーユニット20の背面側には、本発明に係るホッパー制御基板21がケースに収納された状態で配設される。ホッパー制御基板21は、後述する払出モータ34の駆動制御を行うものである。ホッパー制御基板21は、メイン制御基板14と信号線16を介して接続されており、メイン制御基板14から出力される払出信号に従って払出モータ34を回転させる。また、前扉3の背面下部には、ホッパーユニット20が送出するメダルをメダル払出口22に流下させるメダル通路24が配設される。
【0025】
ホッパーユニット20は、
図3,4に示すように、払出用のメダルPを貯蔵するホッパータンク31を、ホッパー本体30の上に装着してなるものである。ホッパー本体30は、ベース体32と、該ベース体32の上部に回転可能に保持される円板状のローター33と、該ローター33の下方に配置されてローター33を回転駆動する払出モータ34とを備えている。
【0026】
ローター33は、ホッパータンク31の底部の開口部35を塞ぐように配設される。ローター33の外周部には、円形の収容孔36が周方向に沿って複数形成されており、該収容孔36に、ホッパータンク31のメダルPが一定の姿勢で収容されるよう構成されている。払出モータ34は、直流モータで構成されるものであり、払出モータ34に所定の向きに電圧を印加して正転方向(払出方向)に回転させると、ローター33が
図3中の時計回りに回転して、収容孔36に収容されたメダルPが一枚ずつホッパーユニット20から送出される。
【0027】
具体的には、ローター33の左前部の直下に、メダルキッカー38を具備するメダル送出部37が配設されており、ローター33を
図3中の時計回り方向に回転駆動させると、メダル送出部37の上を収容孔36が横切るたびに、収容孔36に収容されたメダルPがメダルキッカー38によって、一枚ずつメダル送出部37の前方にはじき出されるよう構成されている。上述のように、メダル送出部37からはじき出されたメダルPは、メダル通路24を通ってメダル受皿23へ払い出されることとなる。また、
図4に示すように、メダル送出部37には、メダルキッカー38の動きによってメダルPの払出しを検知するメダルカウントセンサ39が配設される。
【0028】
一方、正転方向に回転させる場合とは逆向きの電圧を払出モータ34に印加すると、払出モータ34は正転方向と逆向きの逆転方向に回転し、ローター33が
図3中の反時計回りに回転する。この場合は、メダルPがホッパーユニット20から送出されることはないが、ローター33の周辺に引っ掛かったメダルPを取り除いて、メダル詰まりを解消することができる。
【0029】
図5は、メダルの払出しに係る制御回路を示したものである。メダルの払出しは、メイン制御基板14と、ホッパー制御基板21と、ホッパーユニット20とによって実現される。メイン制御基板14は遊技の進行に関する制御を行うものであり、本発明に係る遊技制御装置に相当するものである。メイン制御基板14は、CPU、RAM、ROM、I/Oポート等からなるメイン用マイクロコンピュータ40を備えている。
【0030】
前記メダルカウントセンサ39は、信号線16を介してメイン制御基板14と接続されており、メイン用マイクロコンピュータ40のI/Oポートに、メダルカウントセンサ39からの払出検知信号が入力するよう構成される。メダルカウントセンサ39は、メダルの払出しを検知するたびに、払出検知信号を一定時間オン(ローレベル)にするものであり、メイン用マイクロコンピュータ40は、かかる払出検知信号に基づいて、ホッパーユニット20が払い出すメダル枚数を計数するとともに、ホッパーユニット20が正常に動作しているか否かを判定する。
【0031】
また、メイン用マイクロコンピュータ40は、I/Oポートから信号線16を介してホッパー制御基板21に払出信号を出力する。払出信号は、ハイレベル又はローレベルの電圧レベルに制御されるものであり、ホッパー制御基板21は、払出信号がハイレベルの間は払出モータ34の回転を停止させ、払出信号がローレベルである間は、払出モータ34を正転方向に回転させるよう払出モータ34に電圧を印加する。すなわち、本実施例では、払出信号のローレベルがオンレベルに相当し、払出信号のハイレベルがオフレベルに相当する。
【0032】
図示は省略するが、メイン用マイクロコンピュータ40のI/Oポートには、上述のスタートスイッチ6、ストップスイッチ7、ベットスイッチ5a,5b、及び精算スイッチ8から信号が入力される。メイン用マイクロコンピュータ40は、これらの入力信号に基づいて、リール9を駆動するモータやサブ制御基板15等に信号を出力して遊技を進行させる。
【0033】
メイン用マイクロコンピュータ40は、通常は、払出信号の電圧レベルをオフレベルに制御する。そして、入賞の発生や精算スイッチ8の操作等によって、メダルを払い出す必要が生じた場合に、払出信号をオンレベルに切り替えることで、ホッパー制御基板21にメダルの払出しを指示する。払出信号のオンレベルへの切替えによって、ホッパー制御基板21が払出モータ34を正転方向に回転させると、メダルが1枚ずつホッパーユニット20から送出される。そして、メダルが送出されるたびに、メダルカウントセンサ39の払出検知信号がオンになる。メイン用マイクロコンピュータ40は、払出信号をオンレベルに切り替えた後に、払出検知信号がオンになった回数をカウントすることにより、払い出されたメダル枚数を計数し、所要の払出枚数に達した時点で払出信号をオフレベルに切り替えて、ホッパー制御基板21にメダルの払出しを停止させ、一連の払出動作を終了する。
【0034】
ここで、メイン用マイクロコンピュータ40は、払出信号がオンレベルである期間中に、払出検知信号がオンになる間隔を計測しており、当該間隔が所定の待機時間を超えた状態を払出動作の異常として検知する。この待機時間は、メダルが正常に払い出されている時には、生じ得ない間隔に設定されるものであり、メダル詰まりが発生した時や、ホッパータンク31がメダル切れとなった時に、かかる異常が検知される。メイン用マイクロコンピュータ40は、上記異常を検知した場合は、払出信号をオンレベルからオフレベルに切り替え、その後、払出信号を、短時間のオンレベルのパルス(以下、払出信号の短パルスという。)として複数回出力する連続パルス出力を実行する。具体的には、連続パルス出力では、所定幅の短パルスを、所定間隔で3回出力する。すなわち、本実施例では、かかる短パルスが、本発明に係る「所定時間以下のオンレベルのパルス」に相当する。
【0035】
メイン用マイクロコンピュータ40は、連続パルス出力の実行後は、中断したメダルの払出しを再開するため、払出信号を再びオンレベルに切り替える。後述するように、この連続パルス出力によって、払出モータ34が逆転方向に回転するため、メダル詰まりが原因であれば連続パルス出力後に異常は解消されており、払出信号をオンレベルに切り替えることで、中断した払出動作は正常に再開される。一方、メダル詰まりが原因でなければ、連続パルス出力後に払出信号をオンレベルにしても、再度同じ異常が検知される。このため、メイン用マイクロコンピュータ40は、連続パルス出力後に、払出動作の異常を再度検知した場合は、払出信号をオンレベルからオフレベルに切り替え、連続パルス出力を実行することなく、エラーを外部に報知して、遊技場の係員による復旧作業が行われるまで、遊技を中断する。
【0036】
図6は、メイン用マイクロコンピュータ40のCPUで実行される、メダルの払出しに係る制御処理内容を示すフローチャートである。なお、下記の制御処理において、本発明に係る払出異常検知手段は、ステップS102,S103,S106によって主に実現される。
ステップS100:払出エラーフラグを「0」に設定する。払出エラーフラグは、払出動作の異常を検知した場合に「1」となるものである。
ステップS101:払出信号の電圧レベルをオンレベルに設定する。
ステップS102:メダルの払出しを検知するまでの待機時間を設定する。
ステップS103:メダルカウントセンサ39がメダルの払出しを検知して、払出検知信号がオンになったか否かを判定し、払出検知信号がオンである場合はステップS104に移行し、払出検知信号がオンでない場合はステップS106に移行する。
ステップS104:メダルの払出し検知によって、払い出した枚数が予定枚数に達したか否かを判定する。予定枚数に達した場合はステップS105に移行する。予定枚数に達していない場合は、ステップS102に移行して待機時間を再設定し、次のメダルの払出しを待つ。
ステップS105:払出信号の電圧レベルをオフレベルに設定し、払出しに係る処理を正常終了する。
ステップS106:待機時間が経過したか否かを判定する。待機時間が経過していなければ、ステップS103に移行して、メダルが払い出されたか否かを再判定する。待機時間が経過した場合は、払出動作に異常が発生したと判定し、ステップS107に移行する。
ステップS107:払出信号の電圧レベルをオフレベルに設定し、ステップS108へ移行する。
ステップS108:払出エラーフラグが「1」であるか否かを判定する。払出エラーフラグが「1」でない場合は、1度目の異常検知であるためステップS109に移行する。一方、払出エラーフラグが「1」であると判定した場合は、2度目の異常検知であるためステップS111に移行する。
ステップS109:払出エラーフラグを「1」に設定し、ステップS110へ移行する。
ステップS110:連続パルス出力を実行する。その後、ステップS101に移行して、払出信号をオンレベルに設定し、払出動作を再開する。
ステップS111:液晶表示装置10やスピーカ11を介して払出エラーを外部に報知させ、払出しに係る処理を異常終了する。
【0037】
ホッパーユニット20は、
図5に示すように、払出モータ34とメダルカウントセンサ39とを備えている。払出モータ34はホッパー制御基板21によって正転方向と逆転方向とに回転制御される。上述のように、払出モータ34が正転方向に回転すると、メダルを払い出す方向にローター33が回転し、払出モータ34が逆転方向に回転すると、メダルを払い出さない方向にローター33が回転する。また、上述のように、メダルカウントセンサ39は、メダルの払出しを検知するたびに、メイン制御基板14に出力する払出検知信号を一定時間ローレベルに制御する。
【0038】
図7は、ホッパー制御基板21の回路図である。ホッパー制御基板21は、
図5,7に示すように、払出モータ34を回転させるドライバIC50と、メイン制御基板14からの払出信号に基づいてドライバIC50を制御するドライバ制御回路51とを備えている。
【0039】
ドライバIC50は、直流モータ用の一般的なドライバIC50によって構成されるものである。このドライバIC50は、
図7に示すように、2つの制御入力端子IN1,IN2と、払出モータ34に接続される2つの出力端子OUT1,OUT2と、電源電圧印加端子VMと、グランド端子GNDとを備えている。ドライバIC50は、
図8に示すように、制御入力端子IN1,IN2に入力される電圧レベルが、ローレベル(L)とハイレベル(H)のいずれであるかによって、出力端子OUT1,OUT2の出力電圧レベルを切り替えて、払出モータ34の動作を制御する。
【0040】
具体的には、ドライバIC50は、制御入力端子IN1,IN2に入力される電圧レベルに応じて、払出モータ34を正転方向に回転させる向きに電圧を印加する正転状態と、払出モータ34を逆転方向に回転させる向きに電圧を印加する逆転状態と、払出モータ34に電圧を印加しない停止状態に制御される。また、ドライバIC50の停止状態はストップ状態とブレーキ状態とに分けられる。ストップ状態は、2つの出力端子OUT1,OUT2をいずれもハイインピーダンスにして、払出モータ34に電流を流さない状態である。かかるストップ状態では、払出モータ34は、ローター33や払出モータ34の摩擦力により、払出モータ34の回転が抑えられる。ブレーキ状態は、2つの出力端子OUT1,OUT2を短絡して、払出モータ34をショートブレーキによって制動する状態である。かかるブレーキ状態では、払出モータ34の回転が逆起電力によって規制されるため、ストップ状態に比べて強い制動力が働くこととなる。なお、払出モータ34は、ドライバIC50が電圧を印加した時点で回転を開始するわけでなく、回転停止状態で電圧を印加してから、から、トルクが始動トルクになって回転開始するまでに、一定の始動遅延時間がある。後述するように、本実施例では、連続パルス出力の短パルスのパルス幅は、この始動遅延時間より短く設定されている。また、以下では、電圧レベルのハイレベルを「H」と略し、ローレベルを「L」と略して表記する。さらに、以下では、2つの制御入力端子IN1,IN2の電圧レベルを「L/H」などと表記するが、これは、スラッシュの左側がIN1の電圧レベルを示し、スラッシュの右側がIN2の電圧レベルを示している。
【0041】
図5,7に示すように、ドライバ制御回路51は、ドライバIC50の制御入力端子IN1,IN2と直接接続されており、メイン制御基板14から入力される払出信号に応じて、制御入力端子の入力電圧レベルを制御することで、払出モータ34に所要の動作をさせるものである。ドライバ制御回路51に入力される払出信号は、通常はオフレベル(ハイレベル)であり、ドライバ制御回路51は、通常は、ドライバIC50の制御入力端子の電圧レベルをH/Hに制御する。また、ドライバ制御回路51は、正転回路53と、逆転回路54を備えており、後述するように、制御入力端子への電圧レベルは、これらの回路53,54によって適宜タイミングでLに切り替えられる。
【0042】
正転回路53は、ドライバIC50を正転状態にするための回路である。正転回路53は、
図7に示すように、反転回路E2のみによって構成されるものであり、正転回路53の入力部INには、反転回路E1で反転された払出信号が入力され、正転回路53の出力部OUTはドライバIC50の片側の制御入力端子IN1と接続される。かかる正転回路53は、払出信号がオンレベルの時に、制御入力端子IN1の電圧レベルをLに切り替え、これにより、ドライバIC50を正転状態に制御して、払出モータ34を正転方向に回転させる。
【0043】
逆転回路54は、ドライバIC50を逆転状態にするための回路である。
図7に示すように、逆転回路54の入力部INには反転回路E1で反転された払出信号が入力され、また、逆転回路54の出力部OUTはドライバIC50の片側の制御入力端子IN2と接続される。逆転回路54は、入力電圧レベルがHからLに切り替わるのを契機に、出力電圧レベルを一定時間Lに切り替えることで、ドライバIC50を一時的に逆転状態に制御する。具体的には、
図7に示すように、逆転回路54は、ロジック回路60と、ワンショットパルス発生回路61と、反転回路E3と、遅延回路62とを直列に接続してなるものである。
【0044】
ロジック回路60は、入力信号の
立ち下がりを契機にハイレベルのパルス信号を1回出力するものである。ロジック回路60には、払出信号の反転信号が入力され、ロジック回路60の出力信号はワンショットパルス発生回路61に入力されるよう構成されており、ロジック回路60は、払出信号がオフレベルに切り替わるたびに、ハイレベルのパルス信号をワンショットパルス発生回路61に1回出力する。
【0045】
ワンショットパルス発生回路61は、ロジック回路60から入力されるパルス信号の幅を拡大して出力するものである。具体的には、ワンショットパルス発生回路61は、ロジック回路60からハイレベルのパルス信号が入力されると、これを契機に、所定時間ハイレベルとなるパルス信号を出力する。ここで、ロジック回路60が出力するパルス信号は、常にごく短時間のパルス幅(以下、ロジック回路出力時間という。)であるのに対し、ワンショットパルス発生回路61は、常にロジック回路出力時間よりも長いパルス幅(以下、第一逆転出力時間という。)のパルス信号を出力する。また、ワンショットパルス発生回路61は、パルス信号の出力中に、ロジック回路60からパルス信号が再入力されると、当該パルス信号の入力時点から、さらにパルス信号の出力を第一逆転出力時間継続するよう構成されている。
【0046】
遅延回路62は、抵抗R1とコンデンサC1を組み合わせたフィルタ回路である。かかる遅延回路62には、ワンショットパルス発生回路61の出力信号が、反転回路E3で反転されて入力される。そして、遅延回路62に入力される信号は、所定の逆転遅延時間だけ遅延されて、ドライバIC50の片側の制御入力端子IN2に入力される。
【0047】
したがって、かかる逆転回路54によれば、払出信号がオンレベルからオフレベルに切り替わると、逆転遅延時間の経過後に、ドライバIC50の片側の制御入力端子IN2の電圧レベルがLに第一逆転出力時間制御されることとなる。
【0048】
図9は、メダルの払出しが正常終了した場合の、制御回路の動作を示すタイミングチャートである。かかるタイミングチャートでは、払出信号がオフレベル(H)であるT1時点以前は、ホッパー制御基板21の正転回路53、逆転回路54は、いずれも出力電圧レベルがHであり、制御入力端子の電圧レベルはH/Hとなっている。このため、T1時点以前は、ドライバIC50はブレーキ状態に制御され、払出モータ34は停止している。
【0049】
T1の時点で、メイン制御基板14が払出信号をオンレベル(L)に切り替えると、ホッパー制御基板21の正転回路53の出力がLに切り替わる。これにより、ドライバIC50が正転状態に切り替わり、正転方向に回転させる向きに払出モータ34に電圧を印加する。そして、電圧印加開始から始動遅延時間が経過したT2の時点で、払出モータ34のトルクが摩擦力を上回り、払出モータ34が正転方向に回転開始する。そして、払出モータ34の回転に伴ってメダルが一枚ずつ払い出されていく。
【0050】
T3の時点で、メイン制御基板14が所要枚数の払出しを検知すると、メイン制御基板14は、払出信号をオフレベルに切り替える。払出信号がオフレベルに切り替わると、ホッパー制御基板21では、逆転回路54の出力が逆転遅延時間だけ遅延するため、まず、正転回路53の出力のみがHに切り替わり、制御入力端子の電圧レベルがH/Hとなる。このため、払出信号がオフレベルに切り替わったT3の直後は、ドライバIC50がブレーキ状態に制御され、正転方向に回転していた払出モータ34は、ショートブレーキによって制動されて停止する。
【0051】
そして、T3の時点から、逆転遅延時間が経過したT4の時点で、逆転回路54の出力がLに切り替わり、ドライバIC50の制御入力端子の電圧レベルがH/Lとなって、ドライバIC50が逆転状態に制御される。これにより、逆転方向に回転させる向きに払出モータ34に電圧が印加され、電圧印加開始から始動遅延時間が経過したT5の時点で、払出モータ34のトルクが摩擦力を上回り、逆転方向に回転を開始する。
【0052】
そして、T4の時間から第一逆転出力時間が経過したT6の時点で、逆転回路54の出力がHに切り替わり、ドライバIC50の制御入力端子の電圧レベルがH/Hとなって、ドライバIC50がブレーキ状態に制御される。これにより、逆転方向に回転していた払出モータ34は、ショートブレーキによって制動される。そして、払出モータ34が回転停止したT7の時点で、一連の払出動作が終了する。
【0053】
このように、本実施例では、メダルの払出しが正常終了する場合は、払出し終了時に払出信号がオフレベルに変化すると、これを契機に、払出モータ34を逆転方向に回転させる向きに電圧が第一逆転出力時間だけ印加され、払出モータ34が逆転方向に第一逆転出力時間程度回転することとなる。
【0054】
図10,11は、メダルの払出し中にメダル詰まりが発生した場合の、制御回路の動作を示すタイミングチャートである。かかるタイミングチャートでは、払出モータ34が正転方向に回転して、メダルが払い出されているT3の時点でメダル詰まりが発生する。なお、
図10のT3時点以前の動作は
図9の正常時と同じであるため説明を省略する。
【0055】
T3の時点でメダル詰まりが発生すると、払出モータ34が正転方向に回転不能となり、メイン制御基板14が払出信号をオンレベルにしているにも関わらず、払出モータ34が回転停止して、メダルの払出しが停止する。そして、メダル詰まりの状態が継続時間して、
図11のT4の時点で、払出検知信号がオンとなる間隔が待機時間に達すると、メイン制御基板14がかかる異常を検知して、払出信号をオフレベルに切り替える。そして、ホッパー制御基板21では、正常時(
図9参照)と同様に、かかる払出信号の切り替わりを契機として、ドライバIC50が第一逆転出力時間だけ逆転状態となり、払出モータ34が逆転方向に第一逆転出力時間程度回転した後で、ショートブレーキによって制動されて回転停止する。
【0056】
その後、メイン制御基板14は、連続パルス出力を実行し、T5,T6,T7の3回にわたって、払出信号の短パルスを出力する。ホッパー制御基板21では、短パルスがホッパー制御基板21に入力されると、まず、短パルスの入力中は、ドライバIC50が正転状態となる。しかしながら、払出信号の短パルスのパルス幅は、払出モータ34の始動遅延時間よりも短い時間に設定されているため、短パルスの入力中にドライバIC50が正転状態となっても、払出モータ34は正転方向に回転しない。そして、短パルスの入力終了時に、払出信号がオフレベルに変化すると、ドライバIC50は、逆転回路54の出力遅延の間ブレーキ状態となり、その後、逆転状態に第一逆転出力時間制御される。始動遅延時間は第一逆転出力時間より十分に短いため、払出モータ34は、このドライバIC50の逆転状態により逆転方向に第一逆転出力時間程度回転することとなる。そして、ドライバIC50は、逆転状態の後は、ブレーキ状態に制御され、これにより逆転方向に回転していた払出モータ34は回転停止する。すなわち、ホッパー制御基板21は、連続パルス出力で、短パルスが入力されるたびに、正転方向に回転させることなく、払出モータ34を逆転方向に第一逆転出力時間程度回転させ、停止させる。したがって、本実施例では、連続パルス出力が実行されて、短パルスが3回出力されると、払出モータ34が逆転方向への一時的な回転を断続的に繰り返し、これにより、払出モータ34が逆転方向に大きく回転することとなる。
【0057】
このように、本実施例では、ホッパー制御基板21は、払出信号のオフレベルへの変化を契機として、払出モータ34を逆転方向に第一逆転出力時間程度回転させるよう構成されており、また、メダルの払出し中にメダル詰まりが発生した場合は、メイン制御基板14が、かかる異常を検知して連続パルス出力を実行するよう構成されているため、メダル詰まり発生時には、払出モータ34が第一逆転出力時間程度の逆転方向への回転を繰り返すことで、メダル詰まりが解消される。このため、本実施例のスロットマシン1は、遊技場の係員の手動操作で払出モータ34を逆転方向に回転させることなく、メダル詰まりを自動的に解消できるという利点がある。
【0058】
特に、本実施例にあっては、メイン制御基板14からホッパー制御基板21へ送信される払出信号をオンレベルとオフレベルに制御するだけで、ホッパーユニット20に所要枚数のメダルを払い出させることができ、なおかつ、メダル詰まりを解消させることもできるから、メイン制御基板14からホッパー制御基板21への制御信号を増加させることなく、メダル詰まりを自動的に解消させることができるという利点がある。
【0059】
また、本実施例では、連続パルス出力によって、一時的な逆転方向への回転を繰り返すことにより、払出モータ34を逆転方向に大きく回転させるため、払出信号がオンレベルからオフレベルに変化したときの、一回あたりの逆転方向への回転量は少なくて済む。このため、本実施例では、メダルの払出しの正常終了時に払出信号がオフレベルに変化する場合には、払出モータ34の逆転方向の回転量を少なく抑えることができ、これにより、払出モータ34の負荷を軽減するとともに、払出モータ34の駆動力をローターに伝達するギアの消耗を軽減できるという利点がある。
【0060】
また、本実施例では、短パルスの入力中に、払出モータ34に、正転方向に回転させる向きの電圧が印加されることとなるが、短パルスのパルス幅が、始動遅延時間よりも短く設定されているため、連続パルス出力中に払出モータ34が正転方向に回転することがない。このため、本実施例では、連続パルス出力中は、払出モータ34を専ら逆転方向のみに回転させることができ、これにより、払出モータ34やギアの負荷を軽減できるという利点がある。
【0061】
また、本実施例では、ホッパー制御基板21は、逆転回路54の出力を遅延させることにより、払出信号がオフレベルに変化したときに、ドライバIC50を、正転状態からいきなり逆転状態に制御せず、一時的なブレーキ状態を経由して逆転状態に制御している。このため、本実施例では、払出信号がオフレベルに変化したときに、正転方向の回転をショートブレーキで制動してから、払出モータ34を逆転方向に回転することとなり、これにより、払出モータ34やギアに大きな負荷を加えることなく、払出モータ34の回転方向を逆転方向に切り替えできるという利点がある。
【実施例3】
【0066】
本実施例は、上記実施例1の構成を一部変更したものであり、実施例1と相違する構成のみを説明し、共通する構成については、本文及び図中で共通符号を付して説明を省略する。
本実施例に係るドライバ制御回路51aは、払出信号がオフレベルに変化したときに、正常時は払出モータ34を逆転方向に回転させず、メダル詰まりが発生している場合にのみ払出モータ34を逆転方向に回転させる。具体的には、
図13に示すように、本実施例では、逆転回路54aにスイッチ回路64が配設される。このスイッチ回路64は、ワンショットパルス発生回路61と反転回路E3との間に配設されており、逆転回路54aは、スイッチ回路64を切り替えることにより、ワンショットパルス発生回路61を有効とするワンショットパルス有効状態と、ワンショットパルス発生回路61を無効とするワンショットパルス無効状態とに切り替え可能となっている。
【0067】
詳述すると、ワンショットパルス有効状態では、逆転回路54aは、実施例1と同様に、払出信号がオフレベルに変化すると、ワンショットパルス発生回路61の出力パルス(第一逆転出力時間のパルス幅)を、反転回路E3と遅延回路62を介して出力する。一方、ワンショットパルス無効状態では、逆転回路54aは、払出信号がオフレベルに変化すると、ロジック回路60の出力パルス(ロジック回路出力時間のパルス幅)を、反転回路E3と遅延回路62を介して出力する。すなわち、本実施例の逆転回路54aは、払出信号がオフレベルに変化したときに、ワンショットパルス有効状態であれば、ドライバIC50の片側の制御入力端子IN2の電圧レベルを第一逆転出力時間Lに制御し、ワンショットパルス無効状態であれば、当該制御入力端子IN2の電圧レベルをロジック回路出力時間だけLに制御する。ここで、ワンショットパルス有効状態で逆転回路54aがドライバIC50の制御入力端子IN2の電圧レベルをLに制御する第一逆転出力時間が、本発明に係る第一の逆転期間に相当し、ワンショットパルス無効状態で逆転回路54aがドライバIC50の制御入力端子IN2の電圧レベルをLに制御するロジック回路出力時間が、本発明に係る第二の逆転期間に相当する。
【0068】
さらに、本実施例に係るドライバ制御回路51aは、払出モータ34に規定電流値を上回る過電流が流れたのを検知する過電流検知回路65と、過電流検知回路65の検知を契機にスイッチ回路64を切り替えるラッチ回路66と、ラッチ回路66をリセットするカウンタ回路67とを備えている。
【0069】
過電流検知回路65は、
図13に示すように、ドライバIC50のグランド端子GNDを入力として配設される。払出モータ34を流れる電流は、過電流検知回路65を介してグランド端子GNDから接地電位へと流れるよう構成されており、過電流検知回路65は、グランド端子GNDから接地電位に規定電流値以上の電流が流れたのを過電流発生として検知し、検知信号を出力する。なお、払出モータ34に過電流が流れるのは、メダル詰まりによって、電圧を印加しているにも関わらず、払出モータ34が回転せず、トルクが停動トルクに達したときであり、払出モータ34が円滑に回転する正常時は、払出モータ34に過電流が流れることはない。この過電流検知回路65は既知の回路構成全般を採用可能であるが、例えば、グランド端子GNDと接地電位の間に接続された過電流検知抵抗と、該過電流検知抵抗での電圧降下を比較するコンパレータとを備え、過電流検知抵抗に過電流が流れて電圧降下が所定閾値を超えると、検知信号の出力が反転する構成が挙げられる。
【0070】
ラッチ回路66には、過電流検知回路65の検知信号が入力される。ラッチ回路66は、過電流検知回路65から検知信号が入力されると、スイッチ回路64への出力電圧レベルをLからHに切り替えて、リセット信号が入力されるまで、出力電圧レベルをHに維持する。スイッチ回路64は、ラッチ回路66からの入力電圧レベルがLであるときは、逆転回路54aをワンショットパルス無効状態とし、ラッチ回路66からの入力電圧レベルがHであるときは、ワンショットパルス有効状態とする。
【0071】
カウンタ回路67には、払出信号が入力されるとともに、過電流検知回路65が出力する検知信号がリセット信号として入力される。カウンタ回路67は、リセット信号が入力された時点から、払出信号の立ち下がりを計数し、規定回数(4回)を計数すると、ラッチ回路66にリセット信号を出力する。
【0072】
図14は、本実施例にあって、メダルの払出しが正常終了した場合の、制御回路の動作を示すタイミングチャートである。かかるタイミングチャートでは、T1の時点で、メイン制御基板14が払出信号をオンレベルに切り替え、T2の時点で、払出モータ34が正転方向に回転開始し、T3の時点で、メイン制御基板14が所要枚数の払出しを検知すると、メイン制御基板14は、払出信号をオフレベルに切り替える。なお、T3までの動作は、実施例1の場合(
図9参照)と同じであるため詳細な説明を省略する。
【0073】
T3の時点で、払出信号がオフレベルに切り替わると、
図14に示すように、ホッパー制御基板21では、まず、正転回路53の出力のみがHに切り替わり、制御入力端子の電圧レベルがH/Hとなる。このため、払出信号がオフレベルに切り替わったT3の直後は、ドライバIC50がブレーキ状態に制御され、払出モータ34の正転方向への回転がショートブレーキによって制動されて回転停止する。
【0074】
そして、T3の時点から、逆転遅延時間が経過したT4の時点で、逆転回路54の出力がLに切り替わり、ドライバIC50の制御入力端子の電圧レベルがH/Lとなって、ドライバIC50が逆転状態に制御される。これにより、逆転方向に回転させるよう払出モータ34に電圧が印加される。ここで、メダルの払出しが正常終了した場合は、払出モータ34には過電流が流れず、逆転回路54aはワンショットパルス無効状態(ラッチ回路出力L)であるため、逆転方向に回転させる向きの電圧印加はロジック回路出力時間で終了する。そして、T5の時点で、逆転回路54aの出力がHに切り替わり、ドライバIC50の制御入力端子の電圧レベルがH/Hとなって、ドライバIC50がブレーキ状態に制御される。このように、メダルの払出しが正常終了した場合は、払出信号をオフレベルに切り替えても、払出モータ34には、逆転方向に回転させる向きの電圧がロジック回路出力時間だけ印加される。ここで、ロジック回路出力時間は、払出モータ34の始動遅延時間よりも短いため、メダルの払出しが正常終了した場合は、払出モータ34は逆転方向に回転することなく停止することとなる。
【0075】
図15は、メダルの払出し中にメダル詰まりが発生した場合の、制御回路の動作を示すタイミングチャートである。かかるタイミングチャートでは、T1の時点で、メイン制御基板14が払出信号をオンレベルに切り替え、T2の時点で、払出モータ34が正転方向に回転開始し、メダルが払い出されているT3の時点でメダル詰まりが発生する。
【0076】
T3の時点でメダル詰まりが発生すると、正転方向に回転させる向きに電圧が印加されているにも関わらず払出モータ34が回転停止して、メダルの払出しが停止する。また、これに伴い、トルクが停動トルクに達することにより払出モータ34に過電流が流れ、この過電流を過電流検知回路65が検知して検知信号(電圧レベルH)を出力する。そして、かかる過電流検知回路65により、ラッチ回路66の出力電圧レベルがHに切り替わり、スイッチ回路64は、逆転回路54aをワンショットパルス無効状態からワンショットパルス有効状態に切り替える。また、カウンタ回路67は、過電流検知回路65の検知信号によりカウント数をリセットする。
【0077】
そして、T4の時点で、払出検知信号がオンとなる間隔が待機時間に達すると、メイン制御基板14がかかる異常を検知して、払出信号をオフレベルに切り替える。そして、その後、メイン制御基板14は、連続パルス出力を実行し、T5,T6,T7の3回にわたって、払出信号の短パルスを出力する。ここで、逆転回路54aは、T3の時点で、ワンショットパルス有効状態に切り替わっているため、T4,T5,T6,T7の各時点で払出信号がオフレベルに切り替わるたびに、逆転回路54aの出力電圧レベルが第一逆転出力時間だけLに切り替わり、払出モータ34が断続的に逆転方向に回転することで、メダル詰まりが自動的に解消されることとなる。なお、ワンショットパルス有効状態での逆転回路54aの動作は、実施例1の逆転回路54と同じであり、連続パルス出力時の払出モータ34の制御は、
図11と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0078】
また、連続パルス出力実行後のT8の時点で、メイン制御基板14が、メダルの払出しを再開するために払出信号をオンレベルに切り替えると、カウンタ回路67のカウント数が4回に達して、カウンタ回路67からラッチ回路66にリセット信号(出力電圧レベルH)が出力され、ラッチ回路66がリセットされて、逆転回路54aがワンショットパルス無効状態に切り替わる。したがって、T8以降は、メダルの払出しが正常終了すれば、
図14に示すように、払出モータ34は逆転方向に回転することなく停止することとなる。
【0079】
以上のように、本実施例では、ホッパー制御基板21は、払出信号がオンレベルである期間中に過電流が検知された場合にのみ、払出信号のオフレベルへの変化を契機として、払出モータ34が逆転方向に回転することとなるため、払出モータ34を逆転方向に回転させる頻度を必要最小限に抑えて、払出モータ34やギアの負担を軽減できるという利点がある。
【0080】
なお、本発明のスロットマシンは、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、ドライバ制御回路の回路構成は、上記実施例の構成を適宜変更することが可能である。また、上記実施例では、払出モータは直流モータで構成されているが、払出モータは交流モータで構成することもできる。
【0081】
また、連続パルス出力で出力する短パルスの数はホッパーユニットの構成に合わせて適宜変更できる。また、短パルスの出力幅や出力間隔は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば、一定である必要はない。また、上記実施例1では、ドライバ制御回路51のワンショットパルス発生回路61が、常に一定幅(第一逆転出力時間)のパルス信号を出力しているが、ワンショットパルス発生回路61のパルス信号のパルス幅は、変動させることも可能である。
【0082】
また、上記実施例では、払出モータ34の逆転方向への回転によってメダル詰まりが解消されると、メイン制御基板14が払出信号をオンレベルに切り替えて払出動作を再開するよう構成されているが、本発明では、メダル詰まりが解消しても払出動作を再開せず、リセットボタンが操作されるまで待機するようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施例3では、カウンタ回路67によって払出信号のパルス数を計数することで、連続パルス出力後にラッチ回路66がリセットされるよう構成しているが、リセットするまでの回数を変えることもできるし、払出信号の立ち上がりを計数してもよい。また、カウンタ回路に替えて、タイマを用いて所定時間経過後にラッチ回路をリセットするようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施例3では、払出信号がオンレベルである期間中に過電流が検知されていない場合は、逆転方向に回転させる向きの電圧を、払出モータ34の始動遅延時間未満で印加しているが、払出信号がオンレベルである期間中に過電流が検知されていない場合は、払出信号がオフレベルに変化しても、逆転方向に回転させる向きの電圧を印加せず、払出信号がオンレベルである期間中に過電流が検知された場合にのみ、逆転方向に回転させる向きの電圧を払出モータ34に印加するようにしてもよい。