特許第5763259号(P5763259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5763259
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】伸縮性衣料品の袖口構造
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/10 20060101AFI20150723BHJP
   A41B 7/08 20060101ALI20150723BHJP
   A41B 7/00 20060101ALI20150723BHJP
   A41B 1/08 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A41D27/10 E
   A41B7/08
   A41B7/00 Z
   A41B1/08 E
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-258321(P2014-258321)
(22)【出願日】2014年12月22日
【審査請求日】2015年1月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500460472
【氏名又は名称】精巧株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】近江 誠
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3174287(JP,U)
【文献】 特開2009−102772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 27/10
A41B 1/08
A41B 7/00
A41B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性衣料品の袖口構造であって、シャツやブラウスの袖口のカフスボタンを有するカフス形状を模したパーツを伸縮性のある素材で形成し、該パーツの裏側に伸縮性の芯地を接着してカフスを構成する縫製材を設け、該縫製材を伸縮性衣料品の袖口又は腕の部分に縫い込むように構成したことを特徴とする伸縮性衣料品の袖口構造。
【請求項2】
前記芯地は、15デニールのナイロン糸で模紗織りされた伸縮性芯地を使用し、該芯地をポリアミド系接着剤で前記パーツの裏側に接着して前記縫製材を構成する請求項1記載の伸縮性衣料品の袖口構造。
【請求項3】
前記パーツは、前記伸縮性衣料品の袖を延長して形成され、該パーツに前記芯地を接着した前記縫製材を折り返して袖の端部に縫い込むように構成した請求項1記載の伸縮性衣料品の袖口構造。
【請求項4】
前記パーツは、前記伸縮性衣料品の袖と別体に形成され、該パーツに前記芯地を接着した前記縫製材を前記袖の端部に縫い込むように構成した請求項1記載の伸縮性衣料品の袖口構造。
【請求項5】
前記伸縮性衣料品はカット・ソー衣料品の長袖ポロシャツとし、前記カフスを構成する前記縫製材はシャツやブラウスの袖口のカフスボタンを有するカフスの形状を模して形成された請求項1記載の伸縮性衣料品の袖口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性衣料品の袖口を、例えばワイシャツのカフス形状に形成することが可能で、しかも、カフスボタンをはめたままでも袖口を自由に上げ下げすることができる伸縮性衣料品の袖口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイシャツやブラウス等のシャツ類は布帛が使用されており、袖口に形成されているカフスは伸縮性が少ないことから、シャツ類の袖口をたくし上げる場合は、カフスボタンを外す必要があった。
【0003】
一方、袖口のカフスボタンをはめたままで、袖を自由に上げ下げすることができる構造として、特許文献1に記載されたワイシャツの袖口構造や、特許文献2に記載されたカフス構造などが提案されている。
【0004】
すなわち、特許文献1に記載のワイシャツの袖口構造は、袖口の一方の裏面側と他方の表面側とに、伸縮性を有するバンドを縫い付けることで、カフスのボタンをはめたままで袖を上げ下げするという構成である。
【0005】
また、特許文献2に記載のカフス構造は、カフス本体の芯地の裏面に弾性伸縮材を設けた基端部を固定し、この基端部からから張り出す帯状片を設け、この帯状片の先端部にカフスボタンを掛止するボタンホールを形成したものである。したがって、帯状片の先端部にカフスボタンをはめたままでも帯状片の基端部が伸縮するので、カフスの上げ下げが可能になる。
【0006】
一方、ポロシャツ等のカット・ソー製品は、素材自体に伸縮性があるので長袖の袖口でも容易に上げ下げすることができる。近頃では、ゴルフ競技などにおいて、高級な長袖のポロシャツが好まれる傾向にあり、フォーマルな装いにも需要があることから、カット・ソー製品における袖口のデザインが見直されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4752070号公報
【特許文献2】実用新案登録第3043665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の袖口によると、袖口から伸縮性のバンドが表出する構成であるから、フォーマルな袖口や高級なシャツ類の袖口に利用すると違和感が生じるものであった。
【0009】
また、特許文献2に記載のカフスでは、伸縮部分がカフスの裏側に隠れているので、違和感は少なくなっているが、弾性伸縮材の加工工程や帯状片の製造工程など、多くの製造工程が必要になる。しかも、弾性伸縮材が伸長すると、この弾性伸縮材を固定した一部に変形が生じるので、カフスの見栄えが損なわれる虞もある。
【0010】
一方、ゴルフ競技などで好まれる長袖のポロシャツを高級な装いにするには、例えば、シャツ類のカフスのデザインをポロシャツの袖口のデザインとして採用するのが有効である。ところが、これまで布帛シャツ類のカフス構造を、カット・ソー製品の袖口に使用したものは、全く提案されていない。
【0011】
すなわち、ポロシャツ等のカット・ソー製品は、ニット素材を裁断して縫製する構成なので、素材自体に伸縮性があることから、布帛シャツのカフス構造を再現することが極めて困難であった。すなわち、伸縮性のないカフスを使用すると、伸縮性のある袖に伸縮性のないカフスを縫製する作業が困難になる。一方、カフスを伸縮性のある素材で形成すると、カフスが伸長した場合に、カフスボタンがボタンホールから簡単に外れてしまう虞がある。
【0012】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、カット・ソー等の伸縮性のある衣料品の袖に、布帛シャツのカフス構造を再現することが可能になり、袖口が伸縮してもカフスの形状を維持することができ、しかも、高級衣料として違和感がなく、カフスボタンがボタンホールから簡単に外れる虞もない伸縮性衣料品の袖口構造の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、伸縮性衣料品の袖口構造であって、シャツやブラウスの袖口のカフスボタンを有するカフス形状を模したパーツQ1を伸縮性のある素材で形成し、該パーツQ1の裏側に伸縮性の芯地Q2を接着してカフスを構成する縫製材Qを設け、該縫製材Qを伸縮性衣料品の袖口又は腕の部分に縫い込むように構成したことにある。
【0014】
第2の手段において、前記芯地Q2は、15デニールのナイロン糸で模紗織りされた伸縮性芯地Q2を使用し、該芯地Q2をポリアミド系接着剤で前記パーツQ1の裏側に接着して前記縫製材Qを構成するものである。
【0015】
第3の手段において、前記パーツQ1は、前記カット・ソー衣料品の袖Pを延長して形成され、該パーツQ1に前記芯地Q2を接着した前記縫製材Qを折り返して袖Pの端部に縫い込むように構成している。
【0016】
第4の手段において、前記パーツQ1は、前記カット・ソー衣料品の袖Pと別体に形成され、該パーツQ1に前記芯地Q2を接着した前記縫製材Qを前記袖Pの端部に縫い込むように構成する。
【0017】
第5の手段において、前記伸縮性衣料品はカット・ソー衣料品の長袖ポロシャツとし、前記カフスを構成する前記縫製材Qはシャツやブラウスの袖口のカフスボタンを有するカフスの形状を模して形成したことにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の如く、伸縮性衣料品の袖口構造であって、シャツやブラウスの袖口のカフスボタンを有するカフス形状を模したパーツQ1を伸縮性のある素材で形成し、該パーツQ1の裏側に伸縮性の芯地Q2を接着してカフスを構成する縫製材Qを設け、該縫製材Qを伸縮性衣料品の袖口又は腕の部分に縫い込むように構成したことにより、伸縮性衣料品の袖口又は腕の部分に、布帛衣料品のカフス構造を再現することが可能になった。しかも、伸縮性のある袖Pに伸縮性を有するカフスを縫製するものであるから、縫製加工も容易に行える。
【0019】
請求項2のように、芯地Q2は、15デニールのナイロン糸で模紗織りされた伸縮性を有する芯地Q2を使用し、該芯地Q2をポリアミド系接着剤でパーツQ1の裏側に接着して縫製材Qを構成することによって、縫製材Qがニットなどの伸縮性のある素材でも、カフスの形状を維持することができる。すなわち、伸縮性(ストレッチ性)と弾性回復性(キックバック性)の二つの特徴を兼ね備えることができる。
【0020】
この結果、袖口が伸びた状態でもカフスの形状を維持しながら伸縮するので、高級衣料として違和感のない使用が可能になる。また、縫製材QにボタンホールQ3やカフスボタンRを設けた場合でも、このカフスボタンRがボタンホールQ3から簡単に外れる虞がなくなり、カフスボタンRを止めた状態でカフスを上げ下げすることが可能になった。
【0021】
請求項3の如く、パーツQ1は、伸縮性衣料品の袖Pを延長して形成され、該パーツQ1に芯地Q2を接着した縫製材Qを折り返して袖Pの端部に縫い込むように構成することで、すっきりとした外観やシンプルな縫製が可能になる。
【0022】
請求項4のように、パーツQ1は、伸縮性衣料品の袖Pと別体に形成され、該パーツQ1に芯地Q2を接着した縫製材Qを袖Pの端部に縫い込むように構成することで、布帛衣料品用のカフスを忠実に再現することが可能になる。また、各種のデザインに変更することもできる。
【0023】
請求項5の如く、伸縮性衣料品は長袖のポロシャツとし、カフスを構成する縫製材Qはシャツやブラウスの袖口のカフスボタンを有するカフスの形状を模して形成すると、ゴルフ競技などで好まれる長袖のポロシャツを高級な装いにすることが可能になる。
【0024】
このように本発明によると、ポロシャツ等の伸縮性衣料品に、布帛シャツのカフス構造を再現することが可能になり、袖口が伸縮してもカフスの形状を維持することができ、しかも、高級衣料として違和感がなく、カフスボタンがボタンホールから簡単に外れる虞もないなどといった当初の目的を達成した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例を示し、(イ)は製品の側面図、(ロ)は縫製材の芯地を示す断面図、(ハ)は縫製材の構造を示す説明図である。
図2】本発明の他の実施例を示し、(イ)は製品の側面図、(ロ)は縫製材の芯地を示す断面図、(ハ)は縫製材の構造を示す説明図である。
図3】本発明の他の実施例を示し、(イ)は製品の側面図、(ロ)は縫製材の芯地を示す断面図、(ハ)は縫製材の構造を示す説明図である。
図4】本発明の他の実施例を示し、(イ)は製品の側面図、(ロ)は縫製材の構造を示す説明図である。
図5】本発明の他の実施例を示し、(イ)は製品の側面図、(ロ)は縫製材の構造を示す説明図である。
図6】本発明の他の実施例を示し、(イ)は製品の側面図、(ロ)は縫製材の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明袖口構造は、伸縮性衣料品の伸縮性のある袖口構造を、布帛衣料品用のカフス構造を模して形成したものである。すなわち、本発明で伸縮性衣料品とは、ニット等の伸縮性のある素材を裁断して縫製したカット・ソー衣料品や、ニット編み衣料品、あるいは布帛衣料品の中でも特に伸縮性を備えた衣料品の全てを総称するものである。また、布帛衣料品用のカフス構造とは、布帛製の袖口や腕の部分に形成されている各種カフスの構造とする。例えば、伸縮性衣料品の例として長袖のポロシャツの袖に、シャツ用カフスを模して形成した伸縮性のあるカフスを設けた袖口構造などである。
【0027】
本発明では、このような布帛衣料品用のカフスを模したパーツQ1を、伸縮性のある素材で形成する。このパーツQ1は、伸縮性衣料品の袖Pを延長して形成する他、伸縮性衣料品の袖Pと別体に形成することも可能である。
【0028】
このような伸縮性を有するパーツQ1に、伸縮性の芯地Q2を接着することでカフスを構成する縫製材Qを形成する。伸縮性の芯地Q2は多くの種類が提供されているが、特に、15デニールのナイロン糸で模紗織りされた芯地Q2が好適ある。この芯地Q2をポリアミド系接着剤で伸縮性のある素材のパーツQ1の裏側に接着して縫製材Qを構成すると、伸縮性のある素材で布帛衣料品用のカフス構造を再現することが可能になる。すなわち、伸縮性(ストレッチ性)と弾性回復性(キックバック性)の二つの特徴を兼ね備えたカフス構造になる。
【0029】
図1乃至図3に示す縫製材Qは、カット・ソー衣料品の袖Pの先を延長してパーツQ1を形成したものである。そして、このパーツQ1のカフス先端となる折返し部分からパーツQ1の内側に重ねる部分にかけて芯地Q2を接着して縫製材Qを設けている(同図(ロ)参照)。更に、この縫製材Qを袖Pの端部に縫い込んで、カフスを構成している(同図(ハ)参照)。いずれの縫製材Qも、パーツQ1の芯地Q2を接着した部分にボタンホールQ3やカフスボタンRを設けている(同図(イ)参照)。
【0030】
図1に記載の縫製材Qは、袖Pから縫製材Qにかけて剣ボロと称するスリットを形成した構成である(同図(イ)参照)。
【0031】
図2に記載の縫製材Qは、本縫いバインダーを応用して開きスペースを形成している(同図(イ)参照)。このとき、開きに切り替えがなくても作成が可能になる。
【0032】
図3に記載の縫製材Qは、開きスペースを少なくしたものである(同図(イ)参照)。
【0033】
図4乃至図6に示す縫製材Qは、カット・ソー衣料品の袖Pと別体のパーツQ1を形成したものである(同図(ロ)参照)。このパーツQ1の裏側に接着する芯地Q2は、各パーツQ1に対応して設着することでカフス状の縫製材Qを設けている。そして、この縫製材Qをカット・ソー衣料品の袖P端部に縫い込んでカフスを構成している。
【0034】
図4に記載のパーツQ1には、袖Pの端部に縫製する部分からカフス先端の折返しに至る部分にかけて芯地Q2を接着している(同図(ロ)参照)。図示の縫製材Qは、カフス丈を長めに設定したレディース用の縫製材Qである。この縫製材Qには、数多くのボタンホールQ3やカフスボタンRを設けている(同図(イ)参照)。
【0035】
図5に記載のパーツQ1には、内側全体に芯地Q2を接着している(同図(ロ)参照)。図示の縫製材Qは、最もシンプルな形状の縫製材Qであ(同図(イ)参照)。
【0036】
図6に記載のパーツQ1には、袖Pの端部に折り返して縫製する部分から、カフス先端の折返しに至る部分にかけて芯地Q2を接着している(同図(ロ)参照)。図示の縫製材Qは、布帛製のシャツやブラウスの袖口に形成されている各種カフスの構造にもっとも近い構成になっている(同図(イ)参照)。また、カフスの裏側で縫い代を内側に入れ込むことでクリーンな始末ができる構成である。
【0037】
尚、本発明において、図示の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由に行えるものである。
【符号の説明】
【0038】
P 袖
Q 縫製材
Q1 パーツ
Q2 芯地
Q3 ボタンホール
R カフスボタン
【要約】
【課題】ポロシャツ等の袖口にワイシャツ等のカフス構造を再現することが可能になり、伸縮性衣料品の袖口構造を提供する。
【解決手段】布帛衣料品用のカフスを構成するパーツQ1を伸縮性のある素材で形成する。該パーツQ1の裏側に伸縮性の芯地Q2を接着してカフス状の縫製材Qを設ける。該縫製材Qを伸縮性衣料品の袖P端部に縫い込む。15デニールのナイロン糸で模紗織りされた伸縮性を有する芯地Q2を使用する。芯地Q2をポリアミド系接着剤でパーツQ1の裏側に接着して縫製材Qを構成する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6