【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、特に、請求項1の特徴を有す
るディスプレイと、請求項
12の特徴を有する
、ディスプレイの製造方法と、によって達成される
。ディスプレイ、およびこれらの製造方法のさらなる有利な発展形態は、従属請求項の主題を構成している。
【0006】
実施形態においては、本半導体チップは、半導体材料の半導体ボディと、放出方向において半導体ボディの下流に配置されている取り出し面と、ミラー層とを備えており、半導体ボディは、放射を生成することを目的とする活性層を備えている。ミラー層は、取り出し面とは反対側の半導体ボディの面に配置されている。半導体チップから放出される放射のパターンが順方向における好ましい方向を有するように、活性層によって取り出し面の方に放出された放射とミラー層において反射された放射とが干渉するように、活性層とミラー層との間の隙間が設定されている。ミラー層は、金属層(例えば銀の層)とすることができる。取り出し面もしくはミラー層またはその両方は、平坦な形状とすることができる。
【0007】
オプトエレクトロニクス半導体チップとは、特に、電子的に生成されるデータまたはエネルギを光放出に変換する、またはこの逆に変換することのできる半導体チップである。オプトエレクトロニクス半導体チップは、例えば、放射放出半導体チップである。
【0008】
放射パターンとは、主放出方向における光強度を基準としたときの光強度の角度依存性を記述するものである。主放出方向とは、活性層または半導体チップの横方向範囲(lateral extent)に対して垂直な方向である。
【0009】
この場合、活性層とミラー層との間の隙間は、半導体チップによって放出される放射が、順方向に、すなわち主放出方向に、特に、活性層の横方向範囲に対して垂直に、より強く導かれるようにされている。活性層とミラー層との間の隙間は、放射強度が順方向において最大であるように設定されていることが好ましい。設定されている隙間によって、活性層または半導体チップの側面に放出される放射が減少し、好ましくは防止される。したがって、本半導体チップは、ランバート放射パターンを有さない。このような調整は、当業者には「ビーム整形」としても公知である。
【0010】
順方向における好ましい方向は、特に、共振によって形成される。半導体ボディに形成される強度分布は、半導体チップの放射が、順方向に、すなわち半導体チップの横方向範囲に対して垂直に、特に主放出方向に、有利に放出されるような分布である。
【0011】
さらなる発展形態においては、半導体ボディの上にポッティング材料が配置されており、この材料は、半導体材料の屈折率より低い屈折率を有する。したがって、半導体ボディの取り出し面における屈折率の差異が比較的小さい。
【0012】
少なくとも一実施形態によると、本半導体チップはレーザではなく発光ダイオード、特に、「共振器型発光ダイオード(Resonant Cavity Light-emitting Diode)」(略してRC−LED)である。したがって、放出される放射のコヒーレンス長が比較的小さい。
【0013】
半導体チップから放出される放射は、実質的に半導体チップの取り出し面を通じて取り出されることが好ましい。好ましくは活性層において放出される放射の80%、特に好ましくは活性層によって放出される放射の90%が、取り出し面を通じて半導体チップから取り出される。
【0014】
ミラー層は、さらに半導体チップのp側コンタクトとしての役割を果たすことが好ましい。半導体チップのn側の接触も、取り出し面とは反対側の半導体チップの面において同様に形成することができる。例えば、n側コンタクトは、半導体チップとは反対側のミラー層の面に、電気的に絶縁された状態で配置されており、電気的に絶縁されたホール(すなわち「ビア」)によってミラー層を貫いて半導体チップのn側まで延びる。これに代えて、半導体チップの取り出し側、半導体ボディとポッティング材料との間にn側コンタクトを配置することができる。この場合、n側コンタクトは、放射に対して透過性の層(例えばTCOを含んだ層)である、または金属格子コンタクト(metal grid contact)として構成されていることが好ましい。
【0015】
さらなる発展形態においては、取り出し面は、半導体ボディの横方向範囲より小さい横方向範囲を有する。半導体ボディは、特に、ミラー層とは反対側に配置されている主面を備えており、主面はその一部に取り出し面を備えている。取り出し面は、主面の中央に配置されていることが好ましい。すなわち、特に、主面の周辺領域(取り出し面の横に配置されている)においては、実質的にまったく放射が取り出されない。周辺領域において取り出される放射は、活性層によって放出される放射の最大で10%であることが好ましい。
【0016】
したがって、半導体チップの平面視において、半導体チップは、複数の領域(すなわち「ピクセル」)を有する主面を備えている。ピクセルは例えば取り出し面を備えており、隣接するピクセルは取り出し面に横方向に隣接して配置されており、これらのピクセルを通じて放射はまったく、またはほとんど取り出されず、これは有利である。
【0017】
さらなる発展形態においては、次の式が成り立つ。
【0018】
【数1】
式中、p
1は、通電される活性層の半値(half value)、p
2は、取り出し面の半値、d
1は、半導体ボディの高さ、d
2は、ポッティング材料の高さ、d
3は、活性層とミラー層との間の隙間、n
1は、半導体材料の屈折率、n
2は、ポッティング材料の屈折率であり、0≦α
2<90°である。
【0019】
ここで、半値とは、横方向範囲の半分に対応する。
【0020】
通電される活性層が半値p
1を有する場合、対応する取り出し面の理想的な最小半値p
2は、上記の式を使用して計算することができる。半導体チップのコントラストは、特に、d
2*tan(α
2)の不確定性によって制限され、なぜなら、角度α
2が大きいとtan(α
2)は無限に近づくためである。このことは、コントラストを望ましい大きさとすることはできないことを意味し、なぜなら、つねに放射の一部が取り出し面に隣接する領域から取り出されるためである。さらに、半導体ボディの材料とポッティング材料との間の境界面においてフレネル反射が発生し、したがって、反射された光が半導体ボディの中に戻り、ミラー層において反射され、したがって、取り出し面に隣接する領域を通じて取り出される。
【0021】
さらなる発展形態においては、活性層と取り出し面との間にブラッグミラーが配置されている。ブラッグミラーは、λ/4層(例えば5つのλ/4層)からなることが好ましい。ブラッグミラーは、Al
xGa
(1−x)N層およびGaN層を備えていることが好ましい。このように配置されたブラッグミラーは、ビーム整形効果と、したがって半導体チップの効率を大幅に高め、これは有利である。特に、ブラッグミラーは、順方向における放射の放出を増幅する。
【0022】
ブラッグミラーは、順方向に放出される光線の強度を増大させ、横方向に放出される光線の強度を減少させることができ、これは有利である。
【0023】
取り出し面および半導体ボディは、垂直な対称軸線を有し、活性層の対称軸線と取り出し面の対称軸線は互いに重なり合っていることが好ましい。ブラッグミラーは、自身の対称軸線が活性層の対称軸線および取り出し面の対称軸線に一致するように配置されていることが有利である。ブラッグミラーは、半導体ボディの中に組み込まれていることが好ましい。
【0024】
さらなる代替発展形態においては、半導体ボディにブラッグミラーなどのミラーが存在しない。特に、活性層と取り出し面との間には、反射するように設計された中間層が存在しない。この場合、取り出し面の反射率は、例えば20%〜60%の範囲内(両端値を含む)または25%〜50%の範囲内(両端値を含む)とすることができる。このような低い反射率は、特に、ポッティング材料によって達成することができる。
【0025】
さらなる発展形態においては、半導体ボディとは反対側のポッティング材料の面に、変換層が形成されている。変換層は、透明なセラミック材料または半導体材料(例えばII−VI族半導体材料)を含んでいることが好ましい。
【0026】
変換層は、例えば変換粒子などの散乱中心を備えていないことが好ましい。これに代えて、変換層は、変換粒子が埋め込まれたマトリックス材料を備えており、変換粒子の屈折率とマトリックス材料の屈折率が同じであり、したがって変換粒子によって散乱中心が形成されない。
【0027】
変換層は、活性層によって放出される放射を別の波長の放射に変換するのに適している。変換層は、完全な変換が行われるように構成することができる。完全な変換とは、特に、活性層によって放出される放射の大部分を変換層が別の波長の放射に変換し、したがってチップが、変換された放射のみを実質的に放出することを意味するものと理解されたい。これに代えて、部分的な変換が行われる。部分的な変換とは、特に、活性層によって放出される放射の一部のみが別の波長の放射に変換されるように変換層が構成されており、したがってチップが、変換された放射と活性層によって放出される放射とからなる混合放射を放出することを意味するものと理解されたい。
【0028】
変換層は、ポッティング材料とは異なる屈折率を有する。変換層の屈折率は、半導体材料の屈折率に適合するようにされていることが好ましい。すなわち、変換層の屈折率は、半導体ボディの屈折率とほぼ同じである。変換層の屈折率と半導体ボディの屈折率との差は、できる限り小さく、好ましくは10%未満である。したがって、ポッティング材料と変換層との間の境界面においても、フレネル反射が同様に生じ、これにより、反射された光が半導体ボディの中に戻り、ミラー層において反射されて主面を介して取り出される。
【0029】
さらなる発展形態においては、本半導体チップはLEDであり、好ましくは薄膜LEDである。本出願の目的においては、LEDの製造中に、上に半導体ボディをエピタキシャル成長させた成長基板が好ましくは完全に剥離されている場合、そのLEDを薄膜LEDとみなす。
【0030】
半導体ボディ、特に半導体材料は、InGaN系、InGaAlP系、またはInAlGaAs系であることが好ましい。
【0031】
一実施形態において、本半導体チップはポッティング材料を含んでいない。この場合、変換層は、例えば半導体ボディと変換層のダイレクトボンディングによって、半導体ボディに直接接合されている。
【0032】
取り出し面は、100nm〜100μmの範囲内(両端値を含む)の横方向範囲を有する。取り出し面の横方向範囲は、2μm〜10μmの範囲内(両端値を含む)であることが好ましい。
【0033】
実施形態において、ディスプレイは、上述した半導体チップを複数備えており、これらの半導体チップは互いに横方向に隣り合って配置されている。半導体チップは、例えば、共通のキャリア基板上に互いに横方向に隣り合って配置されている。半導体チップは、間隔なしで互いに横方向に隣り合って配置されていることが好ましい。これに代えて、動作時に活性層が通電されない領域を半導体チップの間に配置することができ、したがって、これらの領域では動作時に放射が生成されない。
【0034】
半導体チップに関連して記載されている特徴は、ディスプレイにもあてはまり、逆も同様である。
【0035】
このような半導体チップを備えたディスプレイは、特に、高いコントラストを特徴とする。この高いコントラストを達成できるのは、ディスプレイの個々の半導体チップそれぞれが順方向における好ましい方向を有する放出パターンを有し、したがって、放出される放射のうち、隣接する半導体チップに入ってそこから取り出される放射が最大でもわずかな割合であることによる。
【0036】
本ディスプレイのさらなる発展形態においては、複数の半導体チップは、共通の半導体ボディを備えている。半導体ボディは活性層を備えており、活性層は、動作時に通電される、横方向に隔置された領域を備えている。動作時に通電される活性層の領域の間それぞれに1つの領域が配置されており、この領域においては、半導体ボディが、動作時に通電されない半導体材料を含んでいる。
【0037】
さらなる発展形態においては、隣り合う半導体チップの活性層の通電される領域と、取り出し面は、いずれも、それぞれ互いに横方向に距離をおいて配置されている。取り出し面それぞれは、通電される活性層の垂直上方に対称的に配置されていることが好ましい。
【0038】
さらなる発展形態においては、隣り合う半導体チップのポッティング材料の間それぞれに凹部が配置されており、この凹部は、約1の屈折率を有する気体を備えていることが好ましい。この場合、各半導体チップ、または半導体チップの各領域はポッティング材料を備えており、個々の半導体チップの間の領域における半導体材料の上にはポッティング材料が配置されておらず、代わりにこの領域には気体が封入されている。
【0039】
さらなる発展形態においては、動作時に通電される、隣り合う半導体チップの活性層の領域の間それぞれに、ポッティング材料とは反対の活性層の側に、吸収体層が配置されている。したがって、半導体ボディは、活性層の通電される領域の間に組み込まれている吸収体材料を備えており、この材料は、活性層の通電される領域によって放出される放射を吸収するのに適している。吸収体層と、気体で満たされた凹部は、垂直方向に互いに上下に位置するように配置されており、吸収体層と凹部との間には半導体ボディの半導体材料が配置されている。この半導体材料は、動作時に通電されない。凹部および吸収体層は、隣接する半導体チップの方向に半導体チップによって放出される放出光を排除し、これは有利である。隣接するチップの方向に放出される光線は、半導体材料の屈折率と気体の屈折率とが大きく異なる結果として、凹部において全反射され、次いで吸収体層に吸収される。これにより、これらの光線は隣接するチップからもはや取り出され得ず、これは有利であり、したがって、このようなディスプレイのコントラストが高まり、これは有利である。
【0040】
さらなる発展形態においては、変換層は、活性層によって放出される放射を異なる波長の放射に変換するのに適している複数の領域を備えている。したがって、変換層の平面視において、変換層は、活性層によって放出される放射を異なる波長の放射に変換するのに適している複数の領域を備えている。例えば、第1の領域は、活性層によって放出される放射が赤色放射に変換されるように構成されており、第2の領域は、活性層によって放出される放射が緑色放射に変換されるように構成されており、第3の領域は、活性層によって放出される放射が変化することなく通過できるように構成されている、または黄色放射に変換されるように構成されている。
【0041】
変換層の領域それぞれは、半導体チップの下流に配置されていることが好ましく、したがって、ディスプレイの平面視において、例えば、変換層の複数の異なる領域の行列状の配置が形成される。
【0042】
半導体チップのビーム経路に変換層を導入することによって、チップによって放出される放射の色を修正することができる。特に、異なる色が生成される領域を有する変換層によって、フルカラーのディスプレイを達成することができる。このようにして、例えば、RGB(赤、緑、青)ディスプレイを得ることができる。さらに、白色光に変換されるディスプレイは、ピクセル型ヘッドライトにおいて使用される。
【0043】
半導体チップを製造する方法は、以下の方法ステップ、すなわち、
− 放射を生成することを目的とする活性層を備えている、半導体材料の半導体ボディ、を形成するステップと、
− 半導体ボディの上にミラー層を配置するステップであって、半導体チップから放出される放射の放出パターンが順方向における好ましい方向を有するパターンとして生成されるように、活性層によって取り出し面の方に放出された放射とミラー層において反射された放射とが干渉するように、活性層とミラー層との間の隙間が設定される、ステップと、
を含んでいる。
【0044】
さらなる発展形態においては、本方法は、以下のステップ、すなわち、
− ミラー層とは反対側の半導体ボディの面にポッティング材料を配置するステップであって、ポッティング材料が、半導体材料の屈折率より低い屈折率を有する、ステップ、
を含んでいる。
【0045】
半導体チップに関連して記載されている特徴は、本方法にもあてはまり、逆も同様である。
【0046】
さらなる発展形態においては、上述した方法を使用して製造される半導体チップを複数備えているディスプレイが製造される。
【0047】
本発明のさらなる利点およびさらなる有利な発展形態は、
図1〜
図5を参照しながら以下に説明する例示的な実施形態によって明らかになるであろう。