特許第5763262号(P5763262)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5763262エネルギー分配ネットワーク内でのデータ通信のための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763262
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】エネルギー分配ネットワーク内でのデータ通信のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/08 20060101AFI20150723BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20150723BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   H04L13/00 307D
   H04Q9/00 301Z
   G06F13/00 351Z
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-501058(P2014-501058)
(86)(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公表番号】特表2014-511074(P2014-511074A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】US2011063574
(87)【国際公開番号】WO2012128803
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2014年10月2日
(31)【優先権主張番号】13/070,351
(32)【優先日】2011年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フセイン、モシン
(72)【発明者】
【氏名】ラポルテ、ブロック
(72)【発明者】
【氏名】ウエベル、ウド
(72)【発明者】
【氏名】ジア、アフタブ
【審査官】 森谷 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−251346(JP,A)
【文献】 特開2008−176436(JP,A)
【文献】 特開2010−74414(JP,A)
【文献】 特開2005−309893(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0120723(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/038872(WO,A1)
【文献】 特表2008−527749(JP,A)
【文献】 特開2009−124322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/08
G06F 13/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー分配ネットワーク上で情報を通信するための装置であって、
通信ネットワークに接続するように構成されているネットワークアダプターと、
前記ネットワークアダプターを使用して、ローカルエリアネットワーク上で1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスから収集されたデータを示すデータ信号を、第1の時間間隔にて、前記通信ネットワークの第1のチャネルを介してコマンドセンターシステムに周期的に送信するように構成されているプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサが更に、コマンドの要求を、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、前記通信ネットワークの第2のチャネルを介して前記コマンドセンターシステムに周期的に送信するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記プロセッサが、ファイアウォールを通して、前記コマンドセンターシステムとの全通信を開始するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記データ信号を前記第2のチャネルを介して前記コマンドセンターシステムに周期的に送信しない、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記コマンドセンターシステムから遠隔のエネルギー生成プラントのためのローカルスーパーバイザーステーションである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の時間間隔が約5分間〜約15分間であり、前記第2の時間間隔が約0.01秒〜299秒である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記コマンドセンターシステムから受信した2つ以上のコマンドを、前記コマンドセンターシステムから受信した順序で実行するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサが更に、前記コマンドセンターシステムから追加のコマンドを受信し、前記追加のコマンドが前記2つ以上のコマンドのうちの少なくとも1つよりも高い優先度を有する場合、前記2つ以上のコマンドのうちの前記少なくとも1つに先立って前記追加のコマンドを実行するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサが更に、前記コマンドセンターシステムから追加のコマンドを受信し、前記追加のコマンドが前記2つ以上のコマンドのうちの少なくとも1つとコンフリクトする場合、前記2つ以上のコマンドのうちの前記少なくとも1つ、又は前記追加のコマンドを無効にするように構成されている、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
エネルギー分配ネットワーク内でデータを通信する方法であって、
ローカルスーパーバイザーステーションによって、データ信号を、第1の時間間隔にて、通信ネットワークの第1のチャネルを介して中央コマンドセンターシステムに周期的に送信する工程であって、前記データ信号が、前記ローカルスーパーバイザーステーションによって1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスから収集されたデータを示す、工程と、
前記ローカルスーパーバイザーステーションによって、前記1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスを制御するためのコマンドの要求を、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、前記通信ネットワークの第2のチャネルを介して前記中央コマンドセンターシステムに周期的に送信する工程と、
を含む、方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の方法を実施させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エネルギー分配ネットワークに関し、より詳細には、エネルギー分配ネットワーク内でのデータ通信に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気ネットワーク又は送電系統は、電気を遠隔の発電サイト(例えば発電所)から産業及び家庭の消費者に効果的に供給するように構成されている。近年、太陽光、風、水及び地熱などの様々なクリーンエネルギー源又は再生可能エネルギー源を利用するとともに、電気ネットワーク上で浪費される電気を低下させることに焦点を置いた様々な技術が開発されている。そのような技術は、一般に、電気ネットワーク内での様々なシステム及びデバイスによるエネルギー生成、分配及び消費の管理(例えば、制御及び監視)を必要とする。加えて、様々な状況に応じてエネルギーの生成及び分配を最適化するための、ネットワーク内のシステム及びデバイス間での情報又はデータの交換が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態において、エネルギー分配ネットワーク上で情報を通信するためのシステムは、通信ネットワーク上の第1のステーションであって、1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスからデータを収集するように構成されている、第1のステーションと、通信ネットワーク上の第2のステーションであって、1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスを制御するための1つ以上のコマンドを生成するように構成されている、第2のステーションと、を含む。第1のステーションは、データを示すデータ信号を、第1の時間間隔にて、通信ネットワークの第1のチャネルを介して第2のステーションに周期的に送信するように構成されている。第1のステーションは更に、コマンドの要求を、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、通信ネットワークの第2のチャネルを介して第2のステーションに周期的に送信するように構成されている。
【0004】
第1のステーションは、ファイアウォールを通して、第2のステーションとの全通信を開始するように構成されてもよい。第1のステーションは、データ信号を第2のチャネルを介して第2のステーションに周期的に送信しない。第1のステーションは、第2のステーションから遠隔のエネルギー生成プラントのためのローカルスーパーバイザーステーションであってもよく、第2のステーションは、中央コマンドセンターシステムであり得る。第1のステーションは、電力生成サイトにおけるローカル光起電(PV)スーパーバイザーデバイスであってよい。
【0005】
第2のステーションは、2つ以上のコマンドの優先度に少なくともある程度基づいて、所定の順序で、上記2つ以上の送信コマンドの列を作るように構成されてもよい。第2のステーションは更に、コマンドが上記2つ以上のコマンドよりも高い優先度を有する場合、上記2つ以上のコマンドに先立って上記コマンドを送信するように構成されてもよい。第2のステーションは更に、追加のコマンドを送信し、追加のコマンドが上記2つ以上のコマンドのうちの少なくとも1つとコンフリクトする場合、上記2つ以上のコマンドのうちの上記少なくとも1つを無効にするように構成されてもよい。第2のステーションは更に、コマンドを送信して、第1のステーションの状態を以前の状態に復元するように構成されてもよい。第2のステーションは更に、第2のステーションが第1のステーションからのコマンドの実行を示す確認応答を受容するまで、第1のステーションへのコマンドの送信を繰り返すように構成されてもよい。
【0006】
第1のステーションは、データ信号を第1のチャネルを介して周期的に送信するのに加えて、1つ以上のエネルギー生成デバイスの緊急状態を示すデータを、第2のチャネルを介して第2のステーションに直ちに送信するように構成されてもよい。第1のステーションは、1つ以上のエネルギー生成デバイスの挙動傾向、システムの状態傾向、又は第2のチャネルを介して送信されたコマンドの数に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間間隔を適合的に変更するように構成されてもよい。
【0007】
別の実施形態では、エネルギー分配ネットワーク上で情報を通信するための装置を提供する。装置は、ローカルエリアネットワーク上で1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスからデータを収集するように構成されているプロセッサと、通信ネットワークに接続するように構成されているネットワークアダプターと、を含む。プロセッサは更に、ネットワークアダプターを使用して、データを示すデータ信号を、第1の時間間隔にて、通信ネットワークの第1のチャネルを介してコマンドセンターシステムに周期的に送信するように構成されている。プロセッサは更に、コマンドの要求を、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、通信ネットワークの第2のチャネルを介してコマンドセンターシステムに周期的に送信するように構成されている。
【0008】
更に別の実施形態では、エネルギー分配ネットワーク内でデータを通信する方法は、ローカルスーパーバイザーステーションによって、データ信号を、第1の時間間隔にて、通信ネットワークの第1のチャネルを介して中央コマンドセンターシステムに周期的に送信することを含む。データ信号は、ローカルスーパーバイザーステーションによって1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスから収集されたデータを示す。ローカルスーパーバイザーステーションは、1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスを制御するためのコマンドの要求を、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、通信ネットワークの第2のチャネルを介して中央コマンドセンターシステムに周期的に送信する。
【0009】
更に別の実施形態では、データの通信方法は、ファイアウォールを通して通信を確立している間、ファイアウォールを通して通信する第1のステーションによって、データ信号を、第1の時間間隔にて、通信ネットワークの第1のチャネルを介して第2のステーションに周期的に送信することを含む。データ信号は、1つ以上のローカルデバイスから収集されたデータを示す。第1のステーションは、ファイアウォールを通して通信を確立している間、コマンドの要求を、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、通信ネットワークの第2のチャネルを介して第2のステーションに周期的に送信する。第1のステーションは、コマンドの要求を送信した後、ファイアウォールを通して通信を確立している間、通信ネットワークの第2のチャネルを介してコマンドを受信する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来のエネルギー分配ネットワークの概略ブロック図。
【0011】
図2A】一実施形態による、コマンドセンター及び光起電(PV)スーパーバイザーを含むエネルギー分配システムの概略ブロック図。
【0012】
図2B】一実施形態によるコマンドセンターの概略ブロック図。
【0013】
図2C】一実施形態によるPVスーパーバイザーの概略ブロック図。
【0014】
図3】一実施形態による、コマンドセンターとPVスーパーバイザーとの間の通信方法を図示するタイミング図。
【0015】
図4A】周期に従ってコマンドセンターとPVスーパーバイザーとの間でデータを交換する方法を図示するタイミング図。
図4B】周期に従ってコマンドセンターとPVスーパーバイザーとの間でコマンドを交換する方法を図示するタイミング図。
【0016】
図5A】一実施形態による、コマンドセンターによるコマンドの送信方法を図示するフローチャート。
【0017】
図5B】一実施形態による、PVスーパーバイザーデバイスによるコマンドの実行方法を図示するフローチャート。
【0018】
図6A】別の実施形態による、コマンドセンターによるコマンドの送信方法を図示するフローチャート。
【0019】
図6B】別の実施形態による、PVスーパーバイザーデバイスによるコマンドの実行方法を図示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
所定の実施形態の以下の詳細な説明は、本発明の特定の実施形態の様々な説明を提示する。しかしながら、本発明は、特許請求の範囲により定義及び包含されるように、数多くの異なる方法で具体化することができる。この記載では、同様の参照番号が同一の又は機能的に類似する要素を示す図面を参照する。
【0021】
本明細書に提示される明細書に使用される専門用語は、該用語が単に本発明の所定の特定実施形態の詳細な説明に関連して使用されているという理由から、限定又は制限として解釈されることを意図しない。更に、本発明の実施形態は多数の新規な特徴を含み得るが、そのどれもが不可欠なものではない。
【0022】
エネルギー分配システムの概要
図1を参照して、従来のエネルギー分配ネットワークを以下に説明する。図示したエネルギー分配ネットワーク100は、中央コマンドセンター110、通信ネットワーク120、及び複数のエネルギー生成/監視システム131〜134を含む。説明のために、エネルギー分配ネットワーク100は、4つのエネルギー生成/監視システムを有するよう示されているが、当業者は、エネルギー生成/監視システムの数は、1〜数百又は数千の範囲で広く変更できることを認識するであろう。
【0023】
中央コマンドセンター110は、第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134からデータを収集する役割を果たす。中央コマンドセンターデバイス110はまた、収集データ又は所定の緊急状態(例えば、システム131〜134のうちの1つ又は分配ネットワーク100の一部分の故障)に少なくともある程度基づいて、第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134にコマンドを提供して、システム131〜134を制御する役割を果たし得る。中央コマンドセンター110は、単一のコマンドセンターデバイスを含んでもよい。代替的に、中央コマンドセンター110は、コマンドセンターシステムを形成する2つ以上のコマンドセンターデバイスを含んでもよい。そのようなコマンドセンターデバイスは、いくつかの実施において、ネットワーク120を介して互いに接続されてもよい。本文書の文脈において、単一のコマンドセンターデバイス及びコマンドセンターシステムは、集合的に「コマンドセンター」又は「中央コマンドセンター」と称されてもよい。中央コマンドセンター110の他の詳細は、図2A、Bに関連して記載される。
【0024】
通信ネットワーク120は、コマンドセンター110と第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134との間の、及び第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134のうちの2つの間の通信経路を提供する役割を果たす。通信ネットワーク120の例には、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、電話ネットワーク、及び仮想プライベートネットワーク(VPN)のうちの1つ又は組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。所定の実施形態では、通信ネットワーク120の少なくとも一部は、無線ネットワークにより形成されてもよい。
【0025】
第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134のそれぞれは、エネルギーを生成し、及び/又はエネルギーの使用を監視する役割を果たす。本文書の文脈において、用語「エネルギー生成/監視システム又はデバイス」は、集合的に、エネルギー若しくは電気を生成し、及び/又はエネルギー若しくは電気の使用を監視するシステム又はデバイスを指す。例えば、第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134のそれぞれは、エネルギー生成/監視システム131〜134が太陽光発電所又は太陽光発電施設である例では、光起電(PV)スーパーバイザー計算デバイス又はステーション141〜144を含んでもよい。本文書の文脈において、用語「光起電スーパーバイザー計算デバイス又はステーション」は、「PVスーパーバイザー」と称されてもよい。エネルギー生成/監視システムが太陽放射以外の資源(例えば、風)を使用して電力を生成する別の実施形態では、エネルギー生成/監視システムは、PVスーパーバイザーの代わりにローカルエネルギー生成/監視スーパーバイザーを含み得る。PVスーパーバイザー又はローカルエネルギー生成/監視スーパーバイザーは、中央コマンドセンター110から遠隔に位置してもよい。一実施形態において、PVスーパーバイザー又はローカルエネルギー生成/監視スーパーバイザーと中央コマンドセンター110との間の距離は、少なくとも数メートル〜数キロメートル程度であってよい。
【0026】
第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134のそれぞれはまた、エネルギー生成及び/又は監視のための様々なエネルギー生成/監視デバイス151〜155、161〜165、171〜173、181〜185を含んでもよい。エネルギー生成/監視デバイスの例には、太陽光又は光起電(PV)パネル、太陽光又はPVインバーター、風力発電機、エネルギー貯蔵デバイス、(電気計器などの)エネルギー使用モニター又はセンサー、(風速、風向、湿度、周囲空気温度、セル温度、モジュール背面温度、降水量、及び放射照度(アレイ面及び地球上(global)面)のうちの1つ以上に関する)気象センサー、ビルディングオートメーションセンサー、スマートメーター、及びホームオートメーションセンサー(例えば、スマートサーモスタット)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、エネルギー生成/監視デバイスが、電力生成を監視及び最適化し、例えばパネル位置を調整し、エネルギー生成デバイスの所定の幾つかのブロック又は一続き(string)のエネルギー生成デバイスをオン又はオフにするのに有用な任意のデバイスを含み得ることを認識するであろう。
【0027】
第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134のそれぞれは、(ソーラーインバーターなどの)エネルギー生成デバイスのみ、又は(電気計器などの)エネルギー監視デバイスのみ、又はエネルギー生成デバイスとエネルギー監視デバイスとの組み合わせを含み得る。エネルギー生成/監視デバイス151〜155、161〜165、171〜173、181〜185は、有線及び/又は無線通信サブネットワーク、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)を介して、エネルギー生成/監視システム131〜134内のPVスーパーバイザー141〜144とデータ及び/又は制御信号を通信することができる。
【0028】
第1〜第4のエネルギー生成/監視システム131〜134のそれぞれ内のPVスーパーバイザー141〜144及びデバイス151〜155、161〜165、171〜173、181〜185は、互いに地理的に近接するよう位置してよい。例えば、スーパーバイザー141及びエネルギー生成/監視デバイス151〜155は、太陽光発電所サイト又はソーラーファームに位置してよい。
【0029】
動作中、エネルギー生成/監視デバイス151〜155、161〜165、171〜173、181〜185は、エネルギー生成及び/又はエネルギー監視に関する生データ又は情報を、各エネルギー生成/監視システム131〜134内のPVスーパーバイザー141〜144に提供する。PVスーパーバイザー141〜144は、生データ又は情報を処理して、コマンドセンター110に送信されるデータ又は情報を生成することができる。PVスーパーバイザー141〜144は、処理されたデータ又は情報を、エネルギー分配ネットワーク100の選択されたプロトコルに従って、通信ネットワーク120を介してコマンドセンター110に送信することができる。PVスーパーバイザー141〜144はまた、それらのエネルギー生成/監視システム131〜134内のエネルギー生成/監視デバイス151〜155、161〜165、171〜173、181〜185に制御信号を送信し、該デバイスからの応答を処理することができる。
【0030】
コマンドセンター110は、PVスーパーバイザー141〜144からのデータ又は情報を収集することができる。コマンドセンター110はまた、収集されたデータ又は情報に少なくともある程度基づいて、PVスーパーバイザー141〜144の1つ以上に1つ以上のコマンドを送信する必要があるか否かを決定して、システム131〜134の1つ以上の動作を制御又は調整することができる。送信する必要がある場合、コマンドセンター110は、通信ネットワーク120を介して、1つ以上のコマンドを適切なPVスーパーバイザー(1つ又は複数)141〜144に送信する。
【0031】
エネルギー分配ネットワーク100において、PVスーパーバイザー141〜144は、選択された時間間隔にて、例えば5〜15分毎に、データ又は情報をコマンドセンター110に周期的に送信する。PVスーパーバイザー141〜144のそれぞれには、PVスーパーバイザー141〜144の安全のためにファイアウォールが設けられてもよい。PVスーパーバイザー141〜144がデータ又は情報をコマンドセンター110に送信する間、ファイアウォールはデータ交換のために一時的に開放されるか又は無効にされる。ファイアウォールが開放されている間、必要であれば、コマンドセンター110もコマンドをPVスーパーバイザー141〜144に送信することができる。
【0032】
データ/コマンド送信の時間間隔は、コマンドセンター110とPVスーパーバイザー141〜144との間で大量のデータ(及び場合によりコマンド)を交換するために、ネットワーク120内のチャネルの制限された帯域幅を効率的に利用するよう選択される。しかしながら、データ/コマンド送信間の時間間隔は、交換の時間間隔よりも短い期間内でシステム131〜134による迅速な処置又は応答が必要な場合、長すぎる場合がある。
【0033】
より急速なコマンド送信を可能にするための1つの選択肢は、コマンドセンター110とPVスーパーバイザー141〜144との間で常に利用可能な専用接続である。しかしながら、そのような専用接続は、ネットワーク資源の見地から高価であり得、エネルギー生成/監視システムの数が増大する際に良好にスケールアップしない。したがって、中央コマンドセンター110への通常にスケジュールされたデータ送信よりも短い時間間隔にて、コマンドセンター110とPVスーパーバイザー141〜144との間のコマンドの効果的な交換を提供することができ、ネットワーク100の容易なスケールアップを可能にするとともに、ネットワーク資源の使用を有意に増大させないスキームが必要とされている。
【0034】
デュアルチャネル通信を有するエネルギー分配システム
一実施形態において、エネルギー分配ネットワークは、該エネルギー分配ネットワーク内のデバイス及び/又はシステム間でのデータ又は情報の交換に、通信ネットワークを使用し得る。エネルギー分配ネットワークは、通信ネットワーク上にコマンドセンター及び1つ以上のエネルギー生成/監視システムを含み得る。エネルギー生成/監視システムのそれぞれは、ローカルスーパーバイザーデバイス又はステーション、及び1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスを含み得る。スーパーバイザーデバイスは、エネルギー生成/監視システム内のエネルギー生成/監視デバイスからデータを収集し、エネルギー生成/監視デバイスの動作を制御することができる。コマンドセンターは、エネルギー生成/監視システムの動作を制御又は調整するための1つ以上のコマンドを生成することができる。
【0035】
スーパーバイザーデバイスは、収集されたデータを示すデータ信号を、第1の時間間隔にて、通信ネットワークの第1のチャネルを介してコマンドセンターに周期的に送信することができる。スーパーバイザーデバイスはまた、コマンドの要求を、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、通信ネットワークの第2のチャネルを介してコマンドセンターに周期的に送信することができる。コマンドセンターは、コマンドの要求を受信した後、コマンドをスーパーバイザーデバイスに送信することができる。デュアルチャネル構成を使用することにより、エネルギー分配ネットワークは、第1の時間間隔後に第1のチャネルのみを使用することによっては十分早く対処し得ない緊急の必要性が存在する場合、エネルギー生成/監視システムを効果的に制御することができる。更に、この構成は、システムの容易なスケールアップを可能にするとともに、限られたネットワーク資源の使用を有意に増大させない。
【0036】
図2A〜2Cを参照して、一実施形態によるエネルギー分配システムを以下に説明する。図2Aは、コマンドセンター210、ファイアウォール205及びPVスーパーバイザー241を含むエネルギー分配システム200の一部を示す。エネルギー分配システム200は、図1に関連して上述したように、複数のPVスーパーバイザーを含んでもよいが、図2Aは単一のPVスーパーバイザーを示す。一実施形態において、単一のスーパーバイザーが、多数のエネルギー生成/監視デバイスを管理することができる。別の実施形態では、複数のスーパーバイザーがともに構成されて、多数のエネルギー生成/監視デバイスを管理してもよい。
【0037】
コマンドセンター210及びPVスーパーバイザー241は、図1のネットワーク120などの通信ネットワーク上で互いに通信することができる。コマンドセンター210及びPVスーパーバイザー241は、第1のチャネル201及び第2のチャネル202を使用して、ネットワーク上にて互いにデータ及び/又はコマンドを交換してもよい。本文書の文脈において、第1のチャネル201は「データチャネル」とも称されることができ、第2のチャネル202は「制御チャネル」とも称されることができる。
【0038】
本文書の文脈において、用語「チャネル」とは、通信ネットワーク上にて2つのデバイス又はシステムの間で確立される論理通信経路を指す。例えば、通信ネットワークがインターネットである場合、チャネルは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)又はハイパーテキスト送信プロトコルセキュア(HTTPS)などのアプリケーションレベルプロトコルを使用して2つのデバイス間に確立され得る。別の実施形態では、チャネルは、シリアル通信プロトコルを使用して2つのデバイス間に確立され得る。別の実施形態では、チャネルは、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)ポートを使用して2つのデバイス間に確立され得る。そのような実施においては、2つの異なるチャネルが2つの異なるTCP/IPポートを使用して確立され得る。いくつかの実施形態では、第1のチャネル201及び第2のチャネル202のうちの1つ以上が所望通り機能しない場合に備えて、コマンドセンター210及びPVスーパーバイザー241に第1のバックアップチャネル203及び/又は第2のバックアップチャネル204が任意に設けられてもよい。
【0039】
図2Bを参照して、一実施形態によるコマンドセンターの詳細を以下に説明する。図示したコマンドセンター210は、1つ以上のコレクターサーバー211、データベース213、管理ツール214、ユーザーインターフェース215及びバッチジョブプロセッサ216を含む。コマンドセンター210の前述した構成要素は、記憶デバイス内のファームウェア及び/又はソフトウェア内に実装されてもよい。
【0040】
コレクターサーバー211は、第1のチャネル201及び第2のチャネル202を介して、1つ以上のPVスーパーバイザーとデータ及び/又はコマンドを交換する役割を果たし、データ及び/又はコマンドをキャッシュ212内に一時的に保存する。コレクターサーバー211は、キャッシュされたデータをデータベース213に提供して、データを永久に保存することもできる。
【0041】
コレクターサーバー211は、データベース213からのコマンドをチャネル201、202のいずれかを介して送信する前に、上記コマンドをキャッシュ212内に一時的に保存することもできる。コマンドを一時的にキャッシュ212内に保存することにより、動作中、コマンドの要求の受信後にリアルタイムでデータベース213をポーリングする必要性が低減され、このことは図3、4A、及び4Bに関連して詳細に説明される。いくつかの実施形態では、コマンドは、コレクターサーバー211の構成に応じて、上記コマンドが首尾よく送信されたら全てのコレクターサーバー211からパージされる。例えば、コマンドは、例えばスティッキーロードバランス(sticky load balancing)又はラウンドロビンロードバランス(round robin load balancing)によって、コレクターサーバー毎にいくつかのデバイス用に分割されてもよく、送信されたコマンドの少なくとも一部がコレクターサーバー211からパージされてもよい。
【0042】
データベース213は、コレクターサーバー211から提供されたデータを保存することができる。データベース213はまた、エネルギー生成/監視システムの動作を制御するための様々なコマンドを保存してもよい。コマンドの例は、以下の表1に列挙されている。当業者は、システム200(図2A)で使用され得るコマンドが、表1に列挙した例示的な例に限定されないことを認識するであろう。
【表1】
【0043】
ユーザーインターフェース215は、ユーザーからの入力を受信する役割を果たし、その結果、ユーザーは、管理ツール214を通してコマンドセンター210を手動で制御できる。管理ツール214は、必要に応じて、ユーザーがデータベース213内のコマンドにアクセスし、コマンドを使用して図1のシステム131〜134などのエネルギー生成/監視システムの1つ以上を制御することを可能にする。
【0044】
バッチジョブプロセッサ216は、エネルギー生成/監視システムから収集されたデータの自動化処理を提供する役割を果たす。エネルギー分配システム内のPVスーパーバイザーからデータを収集した後、バッチジョブプロセッサ216は、データを処理し、処理データに少なくともある程度基づいて、なんらかの作用を行うか否かの決定を自動的に行うことができる。バッチジョブプロセッサ216が処理を行うことを決定した場合、バッチジョブプロセッサ216はデータベース213から1つ以上のコマンドを選択し、上記コマンドを送信のためにコレクターサーバー211に送信することができる。
【0045】
コレクターサーバー211は、送信のためにチャネル201、202のいずれかを使用できるようになるまで、選択されたコマンドを一時的にキャッシュ212内に保存してもよい。一実施形態において、第2のチャネル202が利用可能な場合、コレクターサーバー211は、選択されたプロトコルに従って、コマンドを1つ以上のPVスーパーバイザーに送信することができる。別の実施形態では、コレクターサーバー211は、コマンドのタイプ及び/又はサイズに応じて第1のチャネル201又は第2のチャネル202のいずれかを介してコマンドを送信してもよい。例えば、コレクターサーバー211は、ファームウェア更新のためのコマンドを、第1のチャネル201を介して送信してもよく、第1のチャネル201は第2のチャネル202よりも重いトラフィックのために構成されていてもよい。
【0046】
図2Cを参照して、一実施形態によるPVスーパーバイザーを以下に説明する。図示した実施形態では、PVスーパーバイザー241は、中央処理装置(CPU)251、ネットワークアダプター252、イーサネット(登録商標)ポート253、ワイヤレスラジオ254、1つ以上のシリアルポート255、電力線通信ポート256、外部メモリスロット257、不揮発性メモリ258、揮発性メモリ259、ユーザーインターフェース260及びシリアルコンソール262を含む。当業者は、PVスーパーバイザー241の必要性及び構成に応じて、PVスーパーバイザーが任意の他の好適な構成要素を含み得ることを認識するであろう。
【0047】
CPU 251は、様々なデータ及びコマンドを処理し、またPVスーパーバイザー241の動作を制御する役割を果たす。CPU 251は、PVスーパーバイザー241が関連しているエネルギー生成/監視システム内の様々なエネルギー生成/監視デバイスからの生データを処理することができる。エネルギー生成/監視システム内のエネルギー生成/監視デバイスは、本文書の文脈にて「ローカル」エネルギー生成/監視デバイスと称することができる。
【0048】
ネットワークアダプター252は、CPU 251からの処理されたデータを、(例えば、イーサネット(登録商標)ポート253を経由して)例えば図1のネットワーク120のようなネットワーク上にて通信するのに適した形態に変換する役割を果たす。ネットワークアダプター252はまた、コマンドセンター210からの(イーサネット(登録商標)ポート253を経由した)コマンドをCPU 251による処理に適した形態に変換する役割を果たし得る。ネットワークアダプター252はまた、セルラーモデムを含んでもよい。
【0049】
CPU 251は、ローカルエネルギー生成/監視デバイスからの生データを、ワイヤレスラジオ251、シリアルポート255又は電力線通信ポート256のうちの1つ以上を介して受信し得る。ワイヤレスラジオ254は、例えば、IEEE 802.11(WiFi(登録商標)など)又はIEEE 802.15(ZigBee(登録商標)など)に従った任意の好適なワイヤレスラジオトランシーバーであってよい。シリアルポート255は、例えば、USBポートであってよい。電力線通信(PLC)ポート256は、任意の好適な電力線通信ポートであってよい。
【0050】
外部メモリスロット257は、セキュアデジタル(SD)カードなどの任意の好適な外部メモリを受容する役割を果たし得る。不揮発性メモリ258は、例えば、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブであってよい。揮発性メモリ259は、例えば、1つ以上のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAMs)であってよい。
【0051】
ユーザーインターフェース260は、PVスーパーバイザー241とユーザーとの間のインターフェースを提供する役割を果たす。ユーザーインターフェース260は、キーボード、キーパッド、キーボタン、タッチスクリーン、又はLCD若しくはCRTディスプレイのうちの1つ以上を含み得る。ユーザーインターフェース260は、発光ダイオード(LEDs)261を含んで、PVスーパーバイザー241の様々な動作状態を示してもよい。シリアルコンソール262は、PVスーパーバイザー241と汎用コンピューター(図示せず)との間のインターフェースを提供して、PVスーパーバイザー241を制御する役割を果たす。図示していないが、PVスーパーバイザー241はまた、電力供給装置と、電圧/電流を測定するためのアナログインターフェースとを含んでもよい。
【0052】
図2A、3、4A及び4Bを参照して、一実施形態によるPVスーパーバイザーとコマンドセンターとの間の通信方法を以下に説明する。図3は、例えば図2Aの第1のチャネル201及び第2のチャネル202のような第1及び第2のチャネル上におけるPVスーパーバイザーとコマンドセンターとの間のデータ及び/又はコマンドの交換を図示するタイミング図である。
【0053】
図3に示すように、PVスーパーバイザー241は、データを、第1の時間間隔I1にて、第1のチャネル201を通じてコマンドセンター210に周期的に送信し得る。第1の時間間隔I1は、ネットワーク資源、及びエネルギー分配ネットワーク内のPVスーパーバイザーの数に応じて、例えば、約5分〜15分であってよい。例えば、PVスーパーバイザー241は、データを図3のt1、t2、t3及びt4の時点から、送信し始めてよい。PVスーパーバイザーによる送信は第1の期間D1中に行われてもよく、その間、ファイアウォール205(図2A)は特にそのような送信のために開放している。一実施形態において、第1のチャネル201上の周期的送信の平均サイズは、約100バイト〜約5キロバイトであってよい。
【0054】
一実施形態において、第1のチャネル201は、PVスーパーバイザー241からコマンドセンター210へのデータ送信専用である。別の実施形態では、第1のチャネル201はまた、コマンドセンター210からPVスーパーバイザー241への所定のコマンドの送信に使用されてもよい。そのようなコマンドは、図4Aに示すように、コマンドセンター210によって1つ以上のPVスーパーバイザーから収集されたデータに少なくともある程度基づいて選択され、第1のチャネル201を通じて送信され得る。そのような実施形態では、PVスーパーバイザー241は、コマンドセンター210からコマンドを受信した後、コマンドセンター210に確認応答(ACK)を送信し得る。いくつかの実施形態において、PVスーパーバイザー241のプロセッサは、データ信号を、第2のチャネル202を介してコマンドセンター210に周期的に送信しない。別の実施形態では、PVスーパーバイザー241とコマンドセンター210との間の全通信は、PVスーパーバイザー241により開始され得る。
【0055】
再び図3を参照すると、PVスーパーバイザー241は、第1の時間間隔I1よりも短い第2の時間間隔I2にて、第2のチャネル201を通じてコマンドセンター210にコマンドの要求を周期的に送信し得る。第2の時間間隔I2は、例えば、ネットワーク資源、及びエネルギー分配ネットワーク内のPVスーパーバイザーの数に応じて、例えば、約0.01秒〜299秒の間であってよい。例えば、PVスーパーバイザー241は、図3に示すように、要求をt1、t11、t12、t13、...、t19及びt2の時点から送信し始める。
【0056】
PVスーパーバイザー241による送信は第2の期間D2中に行われてもよく、その間、ファイアウォール205(図2A)はそのような送信のために開放している。一実施形態において、第2のチャネル202上の周期的送信の平均サイズは、約50バイト〜約250バイトであってよい。第1のチャネル201上の平均送信サイズに対する第2のチャネル202上の平均送信サイズの比は、約0.01〜約1,000の範囲であり得る。
【0057】
所定の実施形態では、PVスーパーバイザー241は、1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスの挙動傾向、エネルギー分配システムの状態傾向、又は第2のチャネル202を介して送信されるコマンドの数のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、第2の時間間隔I2を適合的に変更してもよい。例えば、PVスーパーバイザーが、電力品質の変動、電圧閾値の接近、又は他のPVシステム若しくはグリッドの変動性を観察した場合、第2のチャネル202を通じて送信されるコマンドの数の増大、又はその可能性を予想して、第2のチャネル202の第2の時間間隔I2が短縮されてもよい(即ち、コマンド検査の頻度が増加されてもよい)。他の場合において、システムが安定した状態にあり、ネットワーク資源の使用、データ通信負荷、及び/又は費用を低減する場合、第2のチャネル202の第2の時間間隔I2が増大されてもよい(即ち、コマンド検査の頻度が低減されてもよい)。
【0058】
ここで図4Bを参照すると、PVスーパーバイザー241は、第2のチャネル202(図2A)上で、コマンドの要求をコマンドセンター210に周期的に送信することができる。PVスーパーバイザー241は、要求に応答した、コマンドセンター210からのコマンドを受信しなくてもよい。コマンドセンター210から送信される必要があるコマンドが存在する場合、コマンドは、ファイアウォールが開放している期間中に、要求に応答して、PVスーパーバイザー241に送信され得る。例えば、図4Bでは、時間t12にてコマンドの要求がPVスーパーバイザー241からコマンドセンター210に送信され、時間t12からの第2の期間D2中に、コマンドがコマンドセンター210からPVスーパーバイザー241に送信される。いくつかの実施形態では、コマンドは、図2Bに関連して上述したように、コマンドセンター210が要求をPVスーパーバイザー241から受信した直後にコマンドを送信できるように、コマンドセンター210のキャッシュ212(図2B)内に保存されているであろう。図示した例では、コマンドは、時間t11と時間t12との間でキャッシュされていてもよい。
【0059】
PVスーパーバイザー241は必要に応じて、コマンドセンター210からのコマンドを受信又は実行した後、コマンドの受信又は実行を示す確認応答(ACK)をコマンドセンター210に送信してもよい。いくつかの実施形態では、コマンドセンター210は、コマンドセンター210がPVスーパーバイザー241からコマンドの実行を示すACKを受信するまで、PVスーパーバイザー241へのコマンドの送信を繰り返してもよい。PVスーパーバイザー241がファイアウォール205を制御するため、そのような確認応答はいかなる時間に送信されてもよく、又はファイアウォール205の次のスケジュールされた開放(例えば、時間t13にて)を待ってもよい。
【0060】
一実施形態において、第2のチャネル202を通じて送信されたコマンドは、PVスーパーバイザー241による迅速処置を要求するものであり得、第1の時間間隔における第1のチャネル201を通じた通常のデータ及びコマンド交換により即座に対処しない場合がある。例えば、エネルギー分配ネットワーク上で電力使用が突然増大した場合、コマンドセンター210は、所定のエネルギー使用システムの停止を要求するコマンド、又は、エネルギー生成の増大を要求するコマンドを送信し得る。PVスーパーバイザー241は、第2のチャネル202上で、より頻繁にファイアウォールを開放するため、コマンドセンター210は、第2のチャネル202を通じてコマンドを送信する、より早い機会を有する。
【0061】
別の実施形態では、PVスーパーバイザー241によってエネルギー生成/監視システムにおける障害又は他の重大な状態が検出された場合、第2のチャネル202を使用して、障害又は状態に関する情報を、PVスーパーバイザー241からコマンドセンター210に送信することができる。例えば、インバーターが、他のエネルギー生成/監視システムによる迅速処置を必要とする障害又は他の緊急状態にあることが検出された場合、第2のチャネル202がPVスーパーバイザー241により直ちに起動されて、状態データをコマンドセンター210に送信することができる。
【0062】
更なる別の実施形態では、第2のチャネル202を使用して、より広範なシステム状態に関する情報を送信してもよい。例えば、分配回路上の電圧が閾値に接近していることをPVスーパーバイザー241が検出した場合、第2のチャネル202は直ちに起動されて、状態データをコマンドセンター210に送信することができる。
【0063】
複数のコマンドの送信及び実行
場合により、コマンドセンター210は、第1のチャネル201及び/又は第2のチャネル202のいずれかを通じて送信される2つ以上のコマンドを有し得る。一実施形態において、コマンドセンター210は、コマンドの優先度に少なくともある程度基づいて、それらのコマンドの列をある順序で作り(配列)、コマンドをその順序で送信し得る。
【0064】
しかしながら、コマンドの列が作られた後に、送信される必要がある追加のコマンドが存在した場合、コマンドセンター210は、図5Aに図示するように、一実施形態に従って上記コマンドを処理することができる。図5Aを参照すると、コマンドセンター210は、ブロック510aにおいて、コマンドの優先度に少なくともある程度基づいて、ある順序でコマンド1〜nの列を作ってもよい。nは、2以上の整数である。ブロック520aにおいて、コマンドセンター210は、任意の追加のコマンド、例えばコマンド1〜nのいずれよりも優先度が高いコマンドXが存在するか否かを決定することができる。回答が「いいえ」の場合、プロセスはブロック530aに進行し、ここではコマンド1〜nがその順序で送信され、コマンドXは、再配列を行うことなく単に列の最後に追加される。
【0065】
ブロック520aにおいて回答が「はい」の場合、コマンドセンター210は、コマンドXをブロック540aでのその優先度に基づいてコマンド1〜nの列中に挿入することにより、調整された順序を生成し得る。続いて、コマンドセンター210は、ブロック550aにおいて、コマンド1〜n及びコマンドXを、調整された順序で送信することができる。コマンドに関する優先度又は序列は、例えばルックアップテーブルから得ることができる。
【0066】
図5Bを参照して、別に実施形態による、PVスーパーバイザーデバイスにより複数のコマンドを実行するプロセスを以下に記載する。ブロック510bにおいて、PVスーパーバイザー241は、(例えばコマンドセンター210から)コマンド1〜nを受信し、コマンド1〜nの列をある順序で作り(配列)、図5Aでコマンドセンター210にて順序が調整されなかった場合は、続いてコマンドXを受信することができる。そのような場合、ブロック520bおいて、PVスーパーバイザーセンター241は、任意の追加のコマンド、例えばコマンド1〜nのいずれよりも優先度が高いコマンドXが存在するか否かを決定することができる。回答が「いいえ」の場合、プロセスはブロック530bに進行し、ここではコマンド1〜nがその順序で実行され、コマンドXは、再配列を行うことなく単に列の最後に追加される。
【0067】
ブロック520bにおいて回答が「はい」の場合、PVスーパーバイザー241は、コマンドXをブロック540bでのその優先度に基づいてコマンド1〜nの列中に挿入することにより、調整された順序を生成し得る。続いて、PVスーパーバイザー241は、ブロック550bにおいて、コマンド1〜n及びコマンドXを、調整された順序で実行することができる。
【0068】
図6Aを参照して、別の実施形態による、2つ以上のコマンドをコマンドセンターにより送信するプロセスを以下に記載する。コマンドセンター210は、ブロック610aにおいて、コマンドの優先度に少なくともある程度基づいて、ある順序でコマンド1〜nの列を作ってもよい(配列)。nは、2以上の整数である。ブロック620aにおいて、コマンドセンター210は、任意の追加のコマンド、例えばコマンド1〜nのいずれかとコンフリクトするコマンドYが存在するか否かを決定することができる。回答が「いいえ」の場合、プロセスは、ブロック630aに進行し、ここではコマンド1〜nがその順序で送信される。コンフリクトしていない任意のコマンドYは、例えば図5Aのように、順序内に組み込まれるか、又は列の最後に入れられてもよい。
【0069】
ブロック620aにおいて回答が「はい」の場合、コマンドセンター210は、ブロック640aにおいて、コマンドYとコンフリクトするコマンドをコマンド1〜nの列から取り消し、コマンドYをその優先度に基づいてコマンド1〜nの列中に挿入することにより(図5A参照)、調整された順序を生成することができる。現存するコマンドを取り消すために、コマンドセンター210は、現存するコマンド及びコマンドYの優先度/序列を調査することができる。場合により、コマンドYが、コマンドYとコンフリクトする現存するコマンドよりも低い優先度を有する場合、コマンドYが取り消され得る。続いて、コマンドセンター210は、ブロック650aにおいて、コマンドYとコンフリクトするコマンドを送信することなく、コマンド1〜n及びコマンドYを、調整された順序で送信することができる。
【0070】
図6Bを参照して、別に実施形態による、PVスーパーバイザーデバイスにより複数のコマンドを実行するプロセスを以下に記載する。ブロック610bにおいて、PVスーパーバイザー241は、コマンド1〜nを受信し及びコマンド1〜nの列をある順序で作り(配列)、続いてコマンドYを受信することができる。ブロック620bにおいて、コマンドセンター210にてコンフリクトしたコマンドが取り消されなかったと仮定して(図6B)、PVスーパーバイザー241は、コマンドYがコマンド1〜nのいずれかとコンフリクトするか否かを決定することができる。回答が「いいえ」の場合、プロセスは、プロセスはブロック630bに進行し、ここではコマンド1〜nがその順序で実行される。コンフリクトしていないコマンドYはいずれも、例えば図5Bのように、順序内に組み込まれるか、又は列の最後に入れられてもよい。
【0071】
ブロック620bにおいて回答が「はい」の場合、PVスーパーバイザー241は、ブロック640bにおいて、コマンドYとコンフリクトするコマンドをコマンド1〜nの列から取り消し、コマンドYをその優先度に基づいてコマンド1〜nの列中に挿入することにより(図5B参照)、調整された順序を生成することができる。現存するコマンドを取り消すために、PVスーパーバイザー241は、現存するコマンド及びコマンドYの優先度/序列を調査することができる。場合により、コマンドYが、コマンドYとコンフリクトする現存するコマンドよりも低い優先度を有する場合、コマンドYが取り消され得る。続いて、PVスーパーバイザー241は、ブロック650bにおいて、コマンドYとコンフリクトするコマンドを実行することなく、コマンド1〜n及びコマンドYを、調整された順序で実行することができる。
【0072】
別の実施形態では、コマンドセンター210は、必要であれば、図5A/5B及び6A/6Bの方法のいずれか又は両方が行われた後、PVスーパーバイザー241により実行されるコマンドの順序又は列を以前の状態に復元するようにコマンドを送信し得る。
【0073】
応用
上記の実施形態は、PVスーパーバイザーを含むエネルギー分配システムの文脈にて記載されている。別の実施形態では、エネルギー分配システムは、他の電気資源又はシステムを含んでもよい。そのような実施形態では、他の関連する又は相互作用する電気資源又はシステムは、例えば、電池コントローラー、コミュニティーエネルギー資源コントローラー、分配自動化機器、住宅若しくはビルディングオートメーションシステム、又はコマンドセンターからのコマンドを実行する必要がある自動化コンピューターシステムによる周囲環境の検出を含んでもよい。
【0074】
前述の記載及び特許請求の範囲は、要素又は特徴が互いに「接続され」又は「結合され」ていると言及することができる。本明細書で使用されるとき、特に明らかに述べない限り、「接続され」とは、ある要素/特徴が、必ずしも機械的にではなく、別の要素/特徴に直接又は間接的に接続されていることを意味する。同様に、特に明らかに述べない限り、「結合され」とは、ある要素/特徴が、必ずしも機械的にではなく、別の要素/特徴に直接又は間接的に結合されていることを意味する。それ故、図に示した様々な略図は、要素及び構成要素の代表的な配置を示しているが、実際の実施形態では、介在する追加の要素、デバイス、特徴又は構成要素が存在し得る。
【0075】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に適用された本発明の基本的な新規な特徴を示し、記載し、指摘してきたが、本発明の意図から逸脱することなく、説明されたシステムの形態及び詳細に様々な省略、置換及び変更を為し得ることが当業者には理解されるであろう。
【0076】
<項目1>
エネルギー分配ネットワーク上で情報を通信するための装置であって、
ローカルエリアネットワーク上で1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスからデータを収集するように構成されているプロセッサと、
通信ネットワークに接続するように構成されているネットワークアダプターと、
を含み、
上記プロセッサが更に、上記ネットワークアダプターを使用して、上記データを示すデータ信号を、第1の時間間隔にて、上記通信ネットワークの第1のチャネルを介してコマンドセンターシステムに周期的に送信するように構成され、
上記プロセッサが更に、コマンドの要求を、上記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、上記通信ネットワークの第2のチャネルを介して上記コマンドセンターシステムに周期的に送信するように構成されている、装置。
<項目2>
上記プロセッサが、ファイアウォールを通して、上記コマンドセンターシステムとの全通信を開始するように構成されている、項目1に記載の装置。
<項目3>
上記プロセッサが、上記データ信号を上記第2のチャネルを介して上記コマンドセンターシステムに周期的に送信しない、項目1に記載の装置。
<項目4>
上記装置が、上記コマンドセンターシステムから遠隔のエネルギー生成プラントのためのローカルスーパーバイザーステーションである、項目1に記載の装置。
<項目5>
上記装置が光起電(PV)スーパーバイザーデバイスである、項目4に記載の装置。
<項目6>
上記第1の時間間隔が約5分間〜約15分間であり、上記第2の時間間隔が約0.01秒〜299秒である、項目1に記載の装置。
<項目7>
上記第1のチャネル上の周期的送信の平均サイズが、約100バイト〜約5キロバイトである、項目1に記載の装置。
<項目8>
上記第2のチャネル上の周期的送信の平均サイズが、約50バイト〜約250バイトである、項目1に記載の装置。
<項目9>
上記プロセッサが、上記コマンドセンターシステムから受信した2つ以上のコマンドを、上記コマンドセンターシステムから受信した順序で実行するように構成されている、項目1に記載の装置。
<項目10>
上記プロセッサが更に、上記コマンドセンターシステムから追加のコマンドを受信し、上記追加のコマンドが上記2つ以上のコマンドのうちの少なくとも1つよりも高い優先度を有する場合、上記2つ以上のコマンドのうちの上記少なくとも1つに先立って上記追加のコマンドを実行するように構成されている、項目9に記載の装置。
<項目11>
上記プロセッサが更に、上記コマンドセンターシステムから追加のコマンドを受信し、上記追加のコマンドが上記2つ以上のコマンドのうちの少なくとも1つとコンフリクトする場合、上記2つ以上のコマンドのうちの上記少なくとも1つ、又は上記追加のコマンドを無効にするように構成されている、項目9に記載の装置。
<項目12>
上記プロセッサが更に、上記コマンドセンターシステムからコマンドを受信した後、上記装置の状態を以前の状態に復元するように構成されている、項目1に記載の装置。
<項目13>
上記プロセッサが更に、上記コマンドセンターシステムからのコマンドの受信又は実行を示す確認応答を送信するように構成されている、項目1に記載の装置。
<項目14>
上記プロセッサが、上記データ信号を上記第1のチャネルを介して周期的に送信することに加えて、上記1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスの緊急状態を示すデータを、上記第2のチャネルを介して上記コマンドセンターシステムに送信するように構成されている、項目1に記載の装置。
<項目15>
上記プロセッサが、上記1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスの挙動傾向、上記システムの状態傾向、又は上記第2のチャネルを介して送信されるコマンドの数のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、上記第2の時間間隔を適応的に変更するように構成されている、項目1に記載の装置。
<項目16>
エネルギー分配ネットワーク内でデータを通信する方法であって、
ローカルスーパーバイザーステーションによって、データ信号を、第1の時間間隔にて、通信ネットワークの第1のチャネルを介して中央コマンドセンターシステムに周期的に送信する工程であって、上記データ信号が、上記ローカルスーパーバイザーステーションによって1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスから収集されたデータを示す、工程と、
上記ローカルスーパーバイザーステーションによって、上記1つ以上のエネルギー生成/監視デバイスを制御するためのコマンドの要求を、上記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、上記通信ネットワークの第2のチャネルを介して上記中央コマンドセンターシステムに周期的に送信する工程と、
を含む、方法。
<項目17>
上記要求を送信した後、上記ローカルスーパーバイザーステーションによって、上記中央コマンドセンターシステムからのコマンドを上記第2のチャネルを介して受信する工程を更に含む、項目16に記載の方法。
<項目18>
上記ローカルスーパーバイザーステーションと上記中央コマンドセンターシステムとの間の全通信が、上記ローカルスーパーバイザーステーションにより開始される、項目16に記載の方法。
<項目19>
データの通信方法であって、
ファイアウォールを通して通信を確立している間、上記ファイアウォールを通して通信する第1のステーションによって、データ信号を、第1の時間間隔にて、通信ネットワークの第1のチャネルを介して第2のステーションに周期的に送信する工程であって、上記データ信号が、1つ以上のローカルデバイスから収集されたデータを示す、工程と、
上記ファイアウォールを通して通信を確立している間、上記第1のステーションによって、コマンドの要求を、上記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔にて、上記通信ネットワークの第2のチャネルを介して上記第2のステーションに周期的に送信する工程と、
上記コマンドの要求を送信した後、上記ファイアウォールを通して通信を確立している間、上記第1のステーションによって、上記通信ネットワークの上記第2のチャネルを介してコマンドを受信する工程と、
を含む、方法。
<項目20>
上記1つ以上のローカルデバイスが、エネルギー生成/監視デバイスを含む、項目19に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B