特許第5763273号(P5763273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5763273静電インク組成物、インク容器、印刷装置及び印刷方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763273
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】静電インク組成物、インク容器、印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/12 20060101AFI20150723BHJP
   C09D 11/52 20140101ALI20150723BHJP
【FI】
   G03G9/12
   C09D11/52
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-519431(P2014-519431)
(86)(22)【出願日】2011年7月13日
(65)【公表番号】特表2014-520921(P2014-520921A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2011062013
(87)【国際公開番号】WO2013007307
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2014年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】596097844
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード・インデイゴ・ビー・ブイ
【氏名又は名称原語表記】Hewlett−Packard Indigo B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】モル,イラニト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルディン,バシル
(72)【発明者】
【氏名】テイシェフ,アルバート
(72)【発明者】
【氏名】リラ,ロイ
(72)【発明者】
【氏名】グリンヴァルト,ヤロン
(72)【発明者】
【氏名】クライン,ナヴァ
(72)【発明者】
【氏名】マソウド,エマド
【審査官】 中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−536750(JP,A)
【文献】 特表平07−509074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置の中間転写部材上においてネガティブ光学濃度メモリ作用を起こさないよう印刷された基材を得るための静電インク組成物における電荷制御剤の使用であって、該静電インク組成物は、
キャリア液体;
トナー粒子;及び
第1の塩のナノ粒子と、当該ナノ粒子を包囲する式MAn[式中、Mが金属であり、nがMの価数であり、Aが有機イオンである]のミセルとを含む電荷ダイレクタを含み、
ここで、
式1:
【化1】




[式中、Rは、分枝又は非分枝のC〜C18アルキル基であり、Rは、環式、分枝又は非分枝のC〜Cアルキル基であり、R、Rは、水素及び環式、分枝又は非分枝のC〜Cアルキル基から選択される]に基づく電荷制御剤は、該電荷制御剤として使用される、使用。
【請求項2】
前記有機イオンが、式2:
−O−C(O)CHCH(SO)C(O)−O−R 式2
[式2中、R及びRのそれぞれが、置換された又は非置換のアルキル基である]に基づくイオンである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記式2中のR及びRが、個々に、C〜C25の直鎖、分枝又は環式アルキル基から選択され、当該C〜C25の直鎖、分枝又は環式アルキル基が、F、Cl、Br、I、OH、Cアルコキシ、Cアルキルスルホネート、C〜Cフッ素化アルキル、CF及びNOから選択される少なくとも1つの官能基で置換されていてよい、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記置換された又は非置換のアルキル基が、少なくとも8個の炭素原子の直鎖を含む、請求項2に記載の使用。
【請求項5】
式1中のR及びRの少なくとも1つが、環式、分枝又は非分枝のC〜Cアルキル基である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
式1中のRがドデシル基である、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
式1中のR及びRが、水素基であり、Rが、イソプロピル基、非分枝ブチル基、分枝ブチル基及びシクロヘキシル基からなるリストから選択される、請求項1に記載の使用
【請求項8】
前記電荷制御剤が、式3:
【化2】




に基づく電荷制御剤である、請求項5に記載の使用。
【請求項9】
前記電荷制御剤の量が、トナー粒子の全重量に対し0.1〜2%の範囲にある、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
Mが、Na、K、Cs、Ca及びBaから選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記第1の塩が、Mg2+、Ca2+、Ba2+、NH4+、tert−ブチルアンモニウム、Li、Al3+からなる群又はその任意の小群から選択されるカチオン、並びにSO2−、PO3−、NO、HPO2−、CO2−、アセテート、トリフルオロアセテート、Cl、BrClO及びTiO4−からなる群又はその任意の小群から選択されるアニオンを有する、請求項1に記載の使用。
【請求項12】
前記第1の塩が、BaSO及びBaHPOからなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
印刷装置の中間転写部材上におけるネガティブ光学濃度メモリ作用を起こさないよう印刷された基材を得る方法であって、
該方法は、第1の媒体を、画像に基づくパターンに帯電させ;
静電インク該第1の媒体に、トナー粒子該画像を確定するように塗布し;
画像を中間転写部材へと静電的に転写し;
画像を中間転写部材から基材へとリリースする
ことを含み、ここで該静電インクは、
キャリア液体;
該トナー粒子;
第1の塩のナノ粒子と、当該ナノ粒子を包囲する式MAn[式中、Mが金属であり、nがMの価数であり、Aが有機イオンである]のミセルとを含む電荷ダイレクタ;及び
式1:
【化3】

[式中、Rは、分枝又は非分枝のC〜C18アルキル基であり、Rは、環式、分枝又は非分枝のC〜Cアルキル基であり、R、Rは、水素及び環式、分枝又は非分枝のC〜Cアルキル基から選択される]に基づく電荷制御剤を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電インク(エレクトロスタティックインク)組成物、インクカートリッジ、及びこのようなエレクトロインク組成物を含む印刷装置、並びにこのような静電インク組成物を使用する印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの印刷システムでは、光導電表面(感光表面)を使用することによって画像のハードコピーを生成することが慣例の手法となっている。光導電表面は、画像領域及び背景領域を有する静電潜像(潜在的な静電画像)により選択的に帯電される。液体現像剤、つまり、キャリア液体中の帯電したトナー粒子を含む静電インクが、選択的に帯電した上記光導電表面と接触する。帯電したトナー粒子は、潜像の画像領域に付着し、一方、背景領域は清浄な状態が保たれる(トナー粒子が付着しない)。
【0003】
静電画像転写のための様々な技術が知られている。1つの方法は、中間転写部材(中間転写胴)の使用を含む。インク粒子が分散せしめられた液体キャリアを含む液体の画像は、光導電部材又はドラムへと、さらに当該光導電部材又はドラムから中間転写部材の表面、例えばリリース層(release layer)又はブランケットへと転写される。液体画像は、光導電表面から中間転写部材の表面へと静電的に引き寄せられる。液体キャリアは、中間転写部材の表面から除去され、インク粒子は、表面上で画像構造(image configuration)として圧縮される。その後、インク粒子は、中間転写部材の表面から基材へと上記画像構造の形態として転写される。
【0004】
近年の液体トナー静電画像形成は、ElectroInk(エレクトロインク)(商標)と呼ばれる新しい類のトナーの発明によって始まった。この種のトナーは、そのトナーの、キャリア液体中に分散されているトナー粒子であって、トナー粒子が、コアとコアから延伸する繊維状延長部とを有する樹脂、つまりポリマーを含むものによって特徴付けられる。トナー粒子が、キャリア液体中に低濃度で分散している場合には、粒子はばらばらに保たれている。理論に縛られることは意図しないが、トナーが静電画像を現像する際には、トナー粒子の濃度は増大して、上記の繊維状延長部がかみ合って結合する。
【0005】
典型的には、トナーは、トナー粒子(ここでは、インク粒子とも呼ぶ)のためのベースとしての熱可塑性樹脂(ポリマー)と、トナー粒子が分散せしめられるキャリア液体としての非極性液体とを含む。概括的には、トナー粒子は着色剤、例えば顔料を含有する。このようなトナーの例は、例えば、米国特許第5,923,929号中に見出すことができる。
【0006】
電荷制御剤又は画像形成剤とも呼ばれる電荷ダイレクタ(charge director)も、粒子上に電荷を導入するために分散体に添加される。多くの従来の電荷ダイレクタは、異なる科学的性質を有するいくつかの電荷ダイレクタ成分の混合物である。このような電荷ダイレクタの例は米国特許第5,346,796号中に開示されており、当該文献では、液体インクは、電荷ダイレクタの電気的特性を安定化するために、キャリア液体中に可溶な非第四級アミン塩、例えば、イソプロピルアミンドデシルベンゼンスルホネートをさらに含む。
【0007】
電荷ダイレクタとして材料の混合物を使用することについて考え得る不都合な点は、特定の電荷ダイレクタ成分がインク粒子の表面に選択的に吸着される可能性があるということである。これによって、インク粒子との親和度に基づく成分の欠乏の差異が生じ得る。したがって、電荷ダイレクタの組成の制御不能な変化が、連続式印刷プロセスにおいて予測され得る。これは、電荷ダイレクタの長期で見た性質に悪影響を及ぼすし、印刷品質の低下に影響を及ぼす。
【0008】
このような問題は、特定の種類のミセルベースの電荷ダイレクタ、例えば、国際公開第2007/130069(A1)号パンフレット中に開示されている電荷ダイレクタによって克服されている。当該電荷ダイレクタは、複数の電荷ダイレクティング成分(電荷方向付け成分)を有する電荷ダイレクタと比較して改善された印刷品質を提供する。このような電荷ダイレクタは、インク組成物が、電荷ダイレクタとして単一の複合化合物のみを含むので、しばしば単一電荷ダイレクタ(SCD)と呼ばれる。
【0009】
本願の発明者により、単一電荷成分のみを有するいくつかの電荷ダイレクタは、特に顕著には(単色)画像を含むいくつかの種類の画像の高周波数印刷の際に、中間転写部材から生じるネガティブな光学濃度メモリ(optical density memory)作用を起こし得ることが見出されている。ネガティブ光学濃度メモリは、それによって、基材上で測定される固体の光学濃度が印刷プロセスにわたり低下する現象である。極端な例では、これによって、基材上で観察されるインク層中に孔の発現が起こり得る。
【発明の概要】
【0010】
本発明のいくつかの態様の1つの観点は、紙上に見られ且つ写真画像版と中間転写部材との間のインクの不完全な転写によって生じるネガティブ光学濃度メモリの作用を少なくとも減ずるための電荷制御剤を含む静電インク組成物の提供である。
【0011】
本発明のいくつかの態様の1つの観点では、静電インク組成物は、ミセルベースの電荷ダイレクタをさらに含む。本発明のいくつかの態様の1つの観点では、ミセルベースの電荷ダイレクタは、第1の塩のナノ粒子及び当該ナノ粒子を包囲する式MAのミセル[式中、Mは金属であり、nはMの価数であり、Aは有機イオンである]を含む。
【0012】
本発明のいくつかの態様の1つの観点では、有機イオンは、式2:
−O−C(O)CHCH(SO)C(O)−O−R 式2
[式中、R及びRのそれぞれは、置換された又は非置換のアルキル基である]
に基づくイオンである。
【0013】
本発明のいくつかの態様の1つの観点では、電荷制御剤は、式1:
【0014】
【化1】
【0015】
[式中、Rは、分枝の又は非分枝のC〜C18アルキル基であり、Rは、環状の、分枝の又は分枝していないC〜Cアルキル基であり、R及びRは、水素、及び環状の分枝の又は非分枝のC〜Cアルキル基から選択される]
による電荷制御剤である。
【0016】
本発明のいくつかの態様の1つの観点では、印刷された基材を得る方法は、画像に基づくパターンで第1の媒体を帯電させ;トナー粒子が上記画像を画定するように、電荷制御剤を含む静電インクを上記第1の媒体に塗布し;上記画像を静電的に中間転写部材に転写し;当該中間転写部材から基材上へと画像をリリースする(引き渡す)ことを含む。
【0017】
本発明の態様を、添付の図面を参照して、より詳細に非限定的な例によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のいくつかの態様に基づく静電インク組成物の使用のために適した印刷装置を概略的に描画した図である。
図2】本発明のいくつかの態様に基づく静電インク組成物を使用した印刷実験の様々な評価の結果の1つを示す。
図3】本発明のいくつかの態様に基づく静電インク組成物を使用した印刷実験の様々な評価の結果の1つを示す。
図4】本発明のいくつかの態様に基づく静電インク組成物を使用した印刷実験の様々な評価の結果の1つを示す。
図5】本発明のいくつかの態様に基づく静電インク組成物を使用した印刷実験の様々な評価の結果の1つを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面は概略的なものにすぎず、正確な縮尺で描かれたものではないことを理解されたい。いくつかの参照番号が全図面を通じて、同じ又は類似の部分を指示するために使用されていることも理解されたい。
【0020】
図1に、本発明のいくつかの態様に基づくインクのような静電インクを用いて使用するのに適した印刷装置100を概略的に示す。図1に示された印刷装置100は、本発明が任意の液体トナープリンタ又はコピー機で実施できることを示すための、概略的なものにすぎない。本発明の静電インク(トナーとも呼ばれる)は、1つの色分解成分ごとにトナーを最終基材へと転写する任意のシステムに適用することができるし、全ての分解成分を中間転写部材へと転写し、その後に色分解の群を最終基材へと一緒に転写する印刷装置にも適用することができる。さらに、現像の正確なモードは、本発明の実施には重要ではなく、現像は、高濃度トナーのバイナリ式(層ごとの)転写によって又は電気泳動現像によってトナーを潜像と接触させるために知られている任意の方法を使用してなされるものであってよい。
【0021】
印刷装置100は、従来の構成要素、例えば、感光体画像形成胴118であって、当該胴に感光体が取付け又は結合されており且つ当該胴が回転する中心となる軸を有するものを含み、さらに、感光体118の周囲にわたって、現像された画像を基材へと転写するための中間転写部材124、帯電装置120、及び潜像を感光体118上に生成するための走査レーザビームを提供するレーザユニット114、潜像を現像するための現像機112、並びに任意に、清浄ステーション122が配置されている。図1に関連して説明された要素が設けられている印刷装置は、参照により本願にその全体が組み込まれる国際公開第2007/130069(A1)号パンフレットに開示されている電荷ダイレクタ材料、例えば電荷コレクタ材料を含むトナー又はインクと共に用いると有用である。このような印刷装置100によって実行される印刷プロセスはしばしば、液体電子印刷(liquid electroprinting)と呼ばれる。
【0022】
このような印刷装置100は、例えば、エレクトロインク(ElectroInk)(商標)のようなトナー組成物と組み合わせて使用することができる。エレクトロインクは樹脂及び顔料の複合体であって、当該顔料が当該樹脂複合体中の充填材となっている。着色された樹脂複合体粒子は、キャリア液体中に分散している。液体電子印刷では、感光体118に付着されたインクは、中間転写部材124のブランケット上へと電子写真技術により転写され、その後、インク中の固体トナー粒子が溶融して粘着性のあるフィルムとなるが、その際、層分離によるキャリア液体の抽出がなされ、キャリア液体が蒸発し、ブランケットのリリース表面を利用して上記固体フィルムが媒体へと転写される。
【0023】
このプロセスは多くの利点を提供し、例えば、濡れた画像の迅速な溶融及び乾燥は高い印刷品質を可能にするし、粘着性のある乾燥画像を温度の高い中間転写部材124から媒体へと転写することにより、実に様々な基材(媒体の範囲)の使用が可能となる。印刷プロセスにおいて加熱したブランケット上でホットメルト樹脂を溶融した後、複合トナー粒子の樹脂は、基材上で、現像された画像のバインダとして働く。
【0024】
例示的な本発明の態様においては、制御部102が印刷装置内に設けられ、印刷装置のエレメントに命令を発し、データを印刷装置のエレメントから受容し、印刷装置エレメントのデータを処理し、且つ/又は印刷装置の操作を制御するようになっている。任意に、印刷装置のエレメントは、書き込みパラメータ制御エレメント、例えば現像機112及び/又はレーザ114を含む。任意に、印刷装置は、印刷材料を保管するためのリザーバタンク、例えばトナーリザーバ106を含む。このような印刷装置のさらなる説明は、例えば、米国特許出願第5,749,032号、第4,504,138号及び第4,690,539号に見出すことができる。
【0025】
感光体118上の潜像を画定するエリアにトナー粒子が付着することができるようトナー粒子上に電荷を付与するための特定の種類の電荷ダイレクタを有するトナー又はインクが、ネガティブ光学濃度メモリ作用を起こし得ることが見出されている。当該ネガティブ光学濃度メモリ作用は、特に印刷装置100が、単色又は二色画像を印刷するために高周波数で使用される場合に、中間転写部材124への不完全な転写から生じる。理論に縛られることを望んでいないが、このような印刷条件下で、残留電荷が中間転写部材124のブランケット上に残り、この残留電荷が、感光体118から中間転写部材124への後続の画像の転写において電界をスクリーニングする(遮蔽する)ことになり、よって、感光体118から中間転写部材124へのインクの完全な転写を妨げると考えられる。印刷周波数が高いことによって、2つの後続の画像の転写間の上記残留電荷を、例えば中間転写部材124へ散逸させるための時間が不十分となっており、これが、上記の電解遮蔽作用を生じさせていると考えられる。
【0026】
例えば、特に適した単一成分電荷ダイレクタは、第1の塩のナノ粒子と、上記ナノ粒子を包囲する式MA[式中、Mは金属であり、nはMの価数であり、Aは有機イオンである]のミセルとを含む。第1の塩は、好ましくは、単塩、つまり、それ自体ミセルを形成しない塩であるが、ミセルを形成する塩と共にミセルのためのコアを形成してよい。
【0027】
一態様では、第1の塩は、Mg2+、Ca2+、Ba2+、NH、tert−ブチルアンモニウム、Li、Al3+からなる群又はその任意の小群から選択されるカチオンと、SO2−、PO3−、NO、HPO2−、CO2−、アセテート、トリフルオロアセテート、Cl、Br、I、ClO及びTiO4−からなる群又はその任意の小群から選択されるアニオンとを有する。
【0028】
一態様では、第1の塩は、CaCO、BaTiO、Al(SO、Al(NO、Ca(PO、BaSO、BaHPO、Ba(PO、CaSO、(NHSO、NHOAc、臭化tert−ブチルアンモニウム、NHNO、LiTFA、LiClO及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0029】
一態様では、第1の塩は、BaSO及びBaHPOから選択される。別の態様では、単一成分電荷ダイレクタは、塩基性バリウムペトロネートをさらに含む。ミセル形成塩のために適した有機アニオンの態様は、式2:
−O−C(O)CHCH(SO)C(O)−O−R 式2
[式中、R及びRのそれぞれはアルキル基である]
に基づくスルホスクシネートイオンであり、中間転写部材124のブランケット上で、例えば、レシチン、塩基性バリウムペトロネート及びアルキルアリールスルホネートを含む多成分電荷ダイレクタと比較して、より長い放電時間を有することが見出された。本出願の背景では、単一成分電荷ダイレクタは、単一の粒子種及び組成、好ましくは、第2の材料のミセルによって囲まれている第1の材料のコアを有する粒子を含む電荷ダイレクタであることに留意されたい。
【0030】
一態様では、ミセル形成塩の金属カチオンは、Na、K、Cs、Ca及びBaからなる金属の群又はその任意の小群から選択される。
【0031】
式2では、R及びRは、C〜C25の直鎖、分枝又は環状アルキル基から選択することができ、当該C〜C25の直鎖、分枝又は環状アルキル基は、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルスルホネート、C〜Cフッ素化アルキル、CF及びNOから選択される少なくとも1つの官能基で置換されていてよい。R及びRのそれぞれが、少なくとも8個の炭素原子の直鎖を有するアルキル基を有していると、特に有利である。
【0032】
一態様では、単一成分電荷ダイレクタは、第2のミセルを形成する物質をさらに含んでいてよい。
【0033】
このような単一成分電荷ダイレクタを含む静電インクへ、一般式1:
【0034】
【化2】
【0035】
[Rは分枝又は非分枝のC〜C18アルキル基であり、R及びRの少なくとも1つは環状、分枝又は非分枝C〜Cアルキル基である]
の電荷制御剤を添加することによって、印刷装置100の中間転写部材124のブランケット上でのネガティブ光学濃度メモリ作用の発生を効果的に低減するか又は抑制さえすることが見出されている。
【0036】
好ましくは、電荷制御剤の量は、静電インク組成物中のインクトナー粒子の全重量に対し0.1〜2%の範囲から選択される。電荷制御剤の量が、0.1wt%より低い場合には、ブランケット上でのネガティブ光学濃度メモリ作用が十分に抑制できない。電荷制御剤の量が2wt%より高い場合には、電荷制御剤が通常の印刷プロセスを妨げ得る。
【0037】
アルキルアミンドデシルベンゼンスルホネートによって特に有望な結果を得ることができるが、式1中のRの性質は、式1の帯電制御剤のブランケット帯電制御特性に対して制約された作用しか有さないことが予測される、つまり、ドデシル基以外のアルキル基について同様の作用が得られることが予測される。
【0038】
式1中のアミニウムイオン中のアルキル基は、有利には、イソプロピル、分枝又は非分枝のブチル及びシクロヘキシルから選択されるが、他のアルキル基も使用することができることが予測されることが見出されている。好ましくは、式1中において、R=イソプロピルであり、R、R=Hである。より好ましくは、帯電制御剤は、式3:
【0039】
【化3】
【0040】
に基づく薬剤である。
【0041】
式3中では、スルホニルアニオンのアルキル鎖は、C12直鎖アルキル鎖として示されているが、C12〜C14直鎖アルキル鎖を有するスルホニルアニオンの混合物がそれぞれ実施可能でもあることを理解されたい。
【0042】
静電インクの別の組成物は、任意の適切な組成物が考えられるので、特定の態様に制限されない。例えば、キャリア液体は、非限定的に、トナー粒子のための媒体として使用される低誘電率の非極性液体を含み得る。キャリア液体は通常、約10オーム−cmを上回る抵抗値を有し且つ約3.0より低い誘電率を有する化合物を含むことができる。しかし、プレスでのより好ましくない用途又は他の用途での作業点では、より高い導電性を使用することができる。
【0043】
キャリア液体は、非限定的に、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、環式炭化水素、官能化された炭化水素を含むことができ、ここで、官能化には、アルコール、酸、エステル、エーテル、スルホン酸、スルホン酸エステル、及びこれらに類するものを含み得る。炭化水素は、非限定的に、脂肪族炭化水素、異性化された脂肪族炭化水素、分枝鎖状脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びこれらの組合せを含み得る。
【0044】
例示のキャリア液体は、非限定的に、脂肪族炭化水素、イソパラフィン系化合物、パラフィン系化合物、脱芳香族化炭化水素化合物、及びこれらに類するものを含む。特に、キャリア液体は、非限定的に、それぞれEXXON CORPORATIONから販売されている、Isopar−G(商標)、Isopar−H(商標)、Isopar−L(商標)、Isopar−M(商標)、Isopar−K(商標)、Isopar−V(商標)、Norpar 12(商標)、Norpar 13(商標)、Norpar 15(商標)、Exxol D40(商標)、Exxol D80(商標)、Exxol D100(商標)、Exxol D130(商標)、及びExxol D140(商標);それぞれ日本石油株式会社から販売されている、Teclen N−16(商標)、Teclen N−20(商標)、Teclen N−22(商標)、Nisseki Naphthesol L(商標)、Nisseki Naphthesol M(商標)、Nisseki Naphthesol H(商標)、#0 Solvent L(商標)、#0 Solvent M(商標)、#0 Solvent H(商標)、Nisseki Isosol 300(商標)、Nisseki Isosol 400(商標)、AF−4(商標)、AF−5(商標)、AF−6(商標)及びAF−7(商標);それぞれ出光石油化学株式会社から販売されている、IP Solvent 1620(商標)及びIP Solvent 2028(商標);それぞれAMERICAN MINERAL SPIRITS CORP.から販売されている、Amsco OMS(商標)及びAmsco 460(商標);並びに、ECOLINKから販売されている、electron、positron、new II、purogen HF(100%合成のテルペン)を含み得る。一態様では、キャリア液体は、インクトナー粒子の全重量に対して約55〜99%である。
【0045】
同様に、任意の適したトナー粒子を使用することができる。トナー粒子は、非限定的に、熱可塑性プラスチックトナー樹脂を含み得る。特に、樹脂は、非限定的に、エチレン酸コポリマー;エチレンアクリル酸コポリマー;メタクリル酸コポリマー;エチレンビニルアセテートコポリマー;エチレン(80〜99.9%)、アクリル酸又はメタクリル酸(20〜0.1%)/メタクリル酸又はアクリル酸のアルキル(C〜C)エステル(0.1〜20%)のコポリマー;ポリエチレン;ポリスチレン;アイソタクチックポリプロピレン(結晶);エチレンエチルアクリレート;ポリエステル;ポリビニルトルエン;ポリアミド;スチレン/ブタジエンコポリマー;エポキシ樹脂;アクリル樹脂(例えば、アクリル酸又はメタクリル酸と、アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも1つのアルキルエステル(アルキルが1〜約20の炭素原子である)とのコポリマー、例えば、メチルメタクリレート(50〜90%)/メタクリル酸(0〜20%)/エチルヘキシルアクリレート(10〜50%));エチレン−アクリレートターポリマー:エチレン−アクリルエステル−無水マレイン酸(MAH)又はグリシジルメタクリレート(GMA)ターポリマー;低分子量エチレン−アクリル酸アイオノマー、並びにこれらの組合せを含み得る。
【0046】
一態様では、樹脂は、樹脂のNucrelのシリーズ、例えば、E.I. du PONTから販売されているNucrel 403(商標)、Nucrel 407(商標)、Nucrel 609HS(商標)、Nucre l908HS(商標)、Nucrel 1202HC(商標)、Nucrel 30707(商標)、Nucrel 1214(商標)、Nucrel 903(商標)、Nucrel 3990(商標)、Nucrel 910(商標)、Nucrel 925(商標)、Nucrel 699(商標)、Nucrel 599(商標)、Nucrel 960(商標)、Nucrel RX76(商標)、Nucrel 2806(商標)、Bynell 2002、Bynell 2014、及びBynell 2020;樹脂のAclynのシリーズ、例えば、Aaclyn 201、Aclyn 246、Aclyn 285、及びAclyn 295、並びに、Arkemaから販売されている樹脂のLotaderのシリーズ、例えば、Lotader 2210、Lotader 3430、及びLotader 8200を含み得る。一態様では、樹脂は、インクトナー粒子全重量に対して約5%〜100%である。
【0047】
存在するのであれば、着色剤は、非限定的に、シアン着色剤、マゼンタ着色剤、イエロー着色剤、ヴァイオレット着色剤、オレンジ着色剤、グリーン着色剤着色剤、ブラック着色剤、及びこれらの組合せを含み得る。ElectroInk(登録商標)をベースとするシステムと関連させて使用される着色剤は、当分野で知られている。一態様では、顔料は、インクトナー粒子の全重量に対し約0%〜80%である。
【0048】
静電インクは、追加的な成分、例えば、任意の適した電荷補助剤をさらに含んでいてよい。静電インク及びその成分は、任意の適した手法、例えば、国際公開第2007/130069(A1)号パンフレットに開示されている電荷ダイレクタを製造する方法、及び国際公開第96/31808(A1)号及び米国特許第7,736,828号に開示されているインク調製法で製造することができる。米国特許第7,736,828号に開示されているように、印刷された画像の耐性を改善するために、ワックス粒子を添加することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の態様を、次の実験例の助けを借りてより詳細に説明する。これらの例は、本発明の範囲の限定を意図したものでなく、本開示に基づき当業者によって容易に想到される代替的な態様及び同等物の全体の内容が含まれることも意図されていることを理解されたい。
【0050】
実験例1
ブラックElectroInk(商標)4.5(HP Indigoから市販されている)に、第1の塩として単一電荷ダイレクタ(SCD)BaHPO及びミセルとしてBaTRが提供された。TR有機アニオンの式は、以下に示すとおりである:
【0051】
【化4】
【0052】
このようなSCDは、例えば、国際公開第2007/130069(A1)号に開示されているように準備することができる。典型的な実験は、上記インクを使用して、標準(Gemini)ブランケットを有するHP Indigo 7000プリンタにおいて一連の画像印刷(impressions)を行うことを含むものであり、先のバックグラウンドエリアの光学濃度から先の画像の光学濃度を引いたものとして定義されるネガティブ光学濃度(NOD)信号を、印刷回数の関数として測定した。一連の画像印刷は、次のシーケンスからなっていた。まず、ベタのブラック及びベタのシアンカラーで隔置された小さなキューブ状画像からなる50部を印刷した(ブラック及びシアンは、プリンタブランケットの異なるエリアへと転写されることに留意されたい)。これらのコピー後、10部の印刷物は、紙の全印刷表面をカバーする完全なブラック画像からなっていた。多くの印刷回数を経た後、式3の電荷制御剤(以降、GTと呼ぶ)の所定の量をインクに添加し、その後、さらに一連の画像印刷を行った。実験は、異なる量の式3の電荷制御剤について繰り返された。
【0053】
これらの実験の結果を図2に示す。図2では、第1の一連の画像印刷(試験1と名付ける)によるGTなしでの結果によれば、数百回のみの印刷後にNODが明確に生成し、NOD信号が引き続き約0.20のレベルで残っていることが示されている。10.5mg/gトナー粒子に相当する1.05gGTのインクへの添加、及び続いて1.6gGTの添加の後、NOD信号は、20,000印刷回にわたって消失していた。NOD信号が戻った後、1.6gGTを添加すると、このNOD信号は直ちに排除された。
【0054】
第2の一連の画像印刷(試験2と名付ける)も、数百回のみの印刷の後、NOD信号の顕著な生成を示した。この一連の印刷では、10.5mg/gトナー粒子に相当する1.05gGTを添加し、これは、直ちに、少なくとも20,000回にわたるNOD信号の消失をもたらした。
【0055】
第3の一連の画像印刷(試験3と名付ける)も、数百回のみの印刷の後、NOD信号の顕著な生成を示した。この一連の印刷では、10.5mg/gトナー粒子の相当する1.05gGTを添加し、これは、直ちに、少なくとも15,000回にわたるNOD信号の消失をもたらした。NODの再出現後の上記試験のそれぞれにおいてのGTのさらなる添加は、NOD作用を、さらなる数千の印刷回数にわたり効果的に排除している。このことは、本発明の電荷制御剤が、転写ブランケットから生じるNOD作用を数千の印刷回数にわたり抑制することができることを明確に示している。
【0056】
印刷試験のそれぞれについて、電荷制御化合物の添加後の現像剤112によってもたらされる電圧DRVへの衝撃は、最小であることが見出され、よってこのGTの添加は、印刷装置100の感光体画像形成胴118上での印刷プロセスに影響を与えないことを示していることに留意されたい。
【0057】
実験例2
この実験では、実験例1で使用したものと同じインク及び電荷制御剤を含む同じ実験設定を使用した。この実験では、NOD信号を、GTなしのインクを使用した場合の複数の一連の画像印刷について、中間転写部材124に異なるバイアス電圧を印加して測定し(図3を上枠を参照)、8mg/gトナー粒子に相当する0.8gGTを含むインクについて測定した(図3の下枠を参照)。
【0058】
図3に示す結果は、次のように名付けられている。ODex−Imは、小キューブの1つによって先に被覆されたブランケットの領域に相当する箇所での紙(最後の10部)上でのブラックパッチの光学濃度であり;ODex−Bgndは、キューブ印刷試験の際のブランケットのバックグラウンド領域に相当する紙上でのブラックパッチの光学濃度であり;ODIm200%は、キューブ印刷作業の最終部における小キューブ(100%ブラック及び100%シアンからなる)の光学濃度であり;NODは、ODex−BgndとODex−Imとの差である、つまり、キューブ印刷作業の先の印刷物におけるバックグラウンドである領域と画像である領域との間での紙上での光学濃度の差であり;NODspecは、NODによって生じる結果が目に見えて認識でき且つ後続の印刷物が目に見える損傷が生じ始めるNODの閾値レベルである。
【0059】
図の各枠のx軸は、反復回数、並びに中間転写部材(ITM)バイアス電圧(各実験は、構成間でのノイズを評価するために2回繰り返した)を示す。荷制御剤なしのインクにおいてNOD信号の生成を回避するためには高バイアス電圧(〜500V)を使用しなくてはならないが、一方、0.8gGTのインクへの添加した場合には、そのような信号の生成は、約200Vの低さのバイアス電圧で回避することができることが、図3から直ちに明らかとなろう。
【0060】
実験例3
この実験では、実験例2で使用したものと同じ実験の設定を使用したが、異なる種類の静電インクを使用した(ブラック、Coral Rev0インク)という点で相違する。当該インクは、キャリア流体と、顔料と、少なくとも15重量%の酸含有量及び少なくとも8,000ポアズ(800Pa・s)の粘性を有する高い溶融粘度のエチレンアクリル酸コポリマー樹脂とを有する液体電子写真インクであって、当該インクが、実験例1のSCDによって帯電され、少なくとも15重量%の全樹脂の酸性度及び少なくとも20,000ポアズ(2,000Pa・s)の全樹脂の溶融粘度を有するものである。
【0061】
このようなインクは、例えば、高溶融粘度のエチレンアクリル酸コポリマー樹脂(DuPont(商標)Co.のNucrel(登録商標)925を700g)、高酸性エチレンアクリル酸コポリマー樹脂(DuPont(商標)Co.のNucrel(登録商標)2806を300g)、及びイソパラフィン(Exxon Mobile Corp.のIsopar L(登録商標)を1500g)を、ダブルプラネタリミキサ(double planetary mixer)で、高溶融粘度エチレンアクリル酸コポリマー樹脂と高酸性度エチレンアクリル酸コポリマー樹脂との比それぞれ70/30w/wで、不揮発性固体が約40重量%となるように混合することによって得ることができる。このペーストを混合中130℃の温度に加熱し、3時間にわたって室温(約22℃)に冷却し、続いて、適したブラック顔料79g、ポリエチレンワックス19g、帯電補助剤6g及びIsopar L(登録商標)1426gと粉砕機中で混ぜ合わせる。この混合物を、1.5時間にわたり50℃(高温段階)で、その後10.5時間、37℃(低温段階)で、250rpmで磨砕して、インクを得る。
【0062】
中間転写部材124のブランケットのための所要のバイアス電圧でのGTの添加の作用について研究した。結果を図4に示す。図5中の曲線は、図3について前述したものと同じ方式で名付けられている。上枠は、GTなしのインクについて、ブランケットの異なるバイアス電圧で検出されたNOD信号を示し、一方、下枠は、12mg/gトナー粒子に相当する1.2gGTが添加されたインクについて検出されたNOD信号を示す。実験例2の場合に比べて目立たないが、GTのこのインクへの添加がNOD信号を著しく低減し、より低いバイアス電圧、つまり図4から導かれる結果より約100V低いバイアス電圧で中間転写部材124のブランケットの操作を可能にすることが明かである。
【0063】
このような実験は、より大きな総合試験という意味で繰り返し、当該試験は、異なる種類の印刷されたジョブ(カスタマー及びシンセティック)を含み、NOD以外の様々なパラメータを監視するものであった。これらの実験の際、SCDで帯電させたCoral Rev0 YMCK及び1グラムトナー粒子当たり7mgGTの平均量を使用した場合には、数十万の印刷回数にわたり、NOD信号が観察されたなかった(500VのITMバイアスで)。同じ構成ではあるがGTなしの予備実験では、大きなNOD信号が観察された。
【0064】
実験例4
この実験では、実験例3で使用されたのと同じ実験設定が使用されたが、シクロヘキシルアミンドデシルベンゼンスルホネート、プロピルアミンドデシルベンゼンスルホネート、N−ブチルアミンドデシルベンゼンスルホネート及びD、L sec−ブチルアミンドデシルベンゼンスルホネートを電荷制御剤としてそれぞれ使用したという点で相違している。全てのこれらの化合物は、ブランケットのための500Vのバイアス電圧でNOD作用を低減することに成功すると共に、NODメモリ作用を回避することが見出された。加えて、プロピルアミンドデシルベンゼンスルホネートの場合には、200Vの低いバイアス電圧でNOD作用は観察されなかった。N−ブチルアミンドデシルベンゼンスルホネートでは、300Vの低いバイアス電圧でNOD作用は観察されず、バイアス電圧を200Vへとさらに低下させることができたが、同時に低下したNOD作用が得られている。実験例1のSCDで帯電させたブラックCoral Rev0を、実験例1のSCDで帯電させたシアンCoral Rev0エレクトロインクで置き換えた場合、電荷制御剤として−ブチルアミンドデシルベンゼンスルホネートを使用した場合、200Vの低いバイアス電圧で、NOD作用は観察されなかった。
【0065】
実験例5
この実験では、実験例2で使用したのと同じ実験設定を使用したが、異なるリリース層の化学的性質を有するブランケットである2つの異なる種類のブランケット、RL61(商標)及びGemini(商標)についてなされた。SCDで帯電させたブラックCoral Rev0中でGTを電荷制御剤として使用した場合のNOD作用の防止に対するブランケットの作用を、ブランケットの異なるバイアス電圧で調べた。結果を図5に示す。図5では、図3について前述したのと同様にラベル付けがされている。上枠は、標準の(Gemini)ブランケットでの結果、下枠は、RL61ブランケットでの結果を示す。RL61ブランケットは、そのバイアス電圧が、Geminiブランケットと比較して少なくとも300Vシフトダウンしているので、NOD信号生成に対する感応性がより低いことが直ちに明かとなろう。この実験を繰り返し、この実験は、異なるインク配合について、RL61ブランケットがNOD信号生成に対し、より影響が少ないことを矛盾することなく示している。この実験は、ブランケットから生じるNOD作用を、ブランケット材料の最適化によっても低減又は防止することができることを示す。このことは、未来の印刷装置の開発に有用であるが、現存の印刷装置のブランケットをそのような最適化されたブランケットに置き換えることは、実際的には、つまり経済的に実行可能ではない。
【0066】
最後に、本発明の態様の静電インク組成物が、任意の適切な容器、例えば、カートリッジ又はフラスコ中に入れられて入手可能であることに留意されたい。
【0067】
上述の態様は、本発明を制限するのではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲を逸脱することがなければ、多くの代替的な態様の設計ができるであろうことに留意されたい。特許請求の範囲では、括弧内に記載の任意の参照番号は、特許請求の範囲を制限するものとは考えるべきではない。「含む(comprising)」という語は、請求項に列記されたもの以外のエレメント又はステップの存在を排除するものではない。要素の前に記載された「a」又は「an」なる語(単数形を表す語)は、そのような要素の複数の存在を排除するものではない。本発明は、いくつかの異なるエレメントを含むハードウェアを用いて実施することができる。いくつかの手段を列挙した装置に係る請求項では、そのような手段のいくつかを、ハードウェアの1つの同じアイテムによって具現化することができる。特定の手段が、互いに異なる従属項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないということを指すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5