特許第5763293号(P5763293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763293
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】画像配置支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20150723BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20150723BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   G06F3/12 C
   B41J21/00 Z
   H04N1/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2009-232578(P2009-232578)
(22)【出願日】2009年10月6日
(65)【公開番号】特開2011-81555(P2011-81555A)
(43)【公開日】2011年4月21日
【審査請求日】2012年9月18日
【審判番号】不服2014-6472(P2014-6472/J1)
【審判請求日】2014年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和範
【合議体】
【審判長】 和田 志郎
【審判官】 千葉 輝久
【審判官】 山田 正文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−90423(JP,A)
【文献】 特開2002−368976(JP,A)
【文献】 特開2003−219152(JP,A)
【文献】 特開2005−63321(JP,A)
【文献】 特開平10−124276(JP,A)
【文献】 特開2007−50664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J21/00
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる描画属性に関連付けられた複数の画像が1つの媒体に配置された状態を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記状態の検出に応じて、前記複数の画像のうちの少なくとも1つの画像が当該少なくとも1つの画像に関連付けられた描画属性で前記1つの媒体に形成されない旨の情報を出力する出力手段と、
前記複数の画像が前記1つの媒体に配置された状態を表す状態画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された前記状態画像のうち、前記出力手段により前記少なくとも1つの画像が当該少なくとも1つの画像に関連付けられた描画属性で前記1つの媒体に形成されない旨が示された状態画像について行った利用者の操作に応じて、前記複数の画像の各々に関連付けられた複数の描画属性が一致するように、当該複数の描画属性のうち少なくとも1つの描画属性を変更する変更手段とを備え、
前記検出手段は、前記複数の画像の各々に関連付けられた複数の描画属性が互いに異なっていても、異なることが前記状態画像によって目視で判断できない種類の描画属性でなければ、当該複数の描画属性を前記互いに異なる描画属性として特定しないことを特徴とする画像配置支援装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記複数の画像の各々に関連付けられた複数の描画属性が異なる度合いが予め定めた度合いを超えていなければ、当該複数の描画属性を前記互いに異なる描画属性として特定しないことを特徴とする請求項1に記載の画像配置支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像配置支援装置、画像処理装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製本印刷の場合、製本後のレイアウトでプレビュー表示を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の技術では、プレビューアによって印刷イメージのプレビュー表示を行う際、製本印刷が設定されていると、製本された見開きの状態・順序で各ページを表示したり、右開きや左開きといった開き方や製本単位もプレビュー画像で表現したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−136364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、互いに異なる描画属性に関連付けられた複数の画像を1つの媒体に配置する場合に、複数の画像のうち少なくとも1つの画像が意図した描画属性で形成されないことを、事前に知ることができる可能性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、互いに異なる描画属性に関連付けられた複数の画像が1つの媒体に配置された状態を検出する検出手段と、前記検出手段による前記状態の検出に応じて、前記複数の画像のうちの少なくとも1つの画像が当該少なくとも1つの画像に関連付けられた描画属性で前記1つの媒体に形成されない旨の情報を出力する出力手段と、前記複数の画像が前記1つの媒体に配置された状態を表す状態画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された前記状態画像のうち、前記出力手段により前記少なくとも1つの画像が当該少なくとも1つの画像に関連付けられた描画属性で前記1つの媒体に形成されない旨が示された状態画像について行った利用者の操作に応じて、前記複数の画像の各々に関連付けられた複数の描画属性が一致するように、当該複数の描画属性のうち少なくとも1つの描画属性を変更する変更手段とを備え、前記検出手段は、前記複数の画像の各々に関連付けられた複数の描画属性が互いに異なっていても、異なることが前記状態画像によって目視で判断できない種類の描画属性でなければ、当該複数の描画属性を前記互いに異なる描画属性として特定しないことを特徴とする画像配置支援装置である。
請求項2に記載の発明は、前記検出手段は、前記複数の画像の各々に関連付けられた複数の描画属性が異なる度合いが予め定めた度合いを超えていなければ、当該複数の描画属性を前記互いに異なる描画属性として特定しないことを特徴とする請求項1に記載の画像配置支援装置である
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、互いに異なる描画属性に関連付けられた複数の画像を1つの媒体に配置する場合に、複数の画像のうち少なくとも1つの画像が意図した描画属性で形成されないことを、事前に知ることができる可能性が高まる。
請求項2の発明によれば、描画属性の若干の違いが問題とならないような描画属性の種類を、意図した描画属性で画像が形成されないことを事前に知ることができる描画属性の種類から除外することができる
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態が適用されるコンピュータシステムの構成例を示した図である。
図2】本発明の実施の形態における動作の概要を説明するための図である。
図3】本発明の実施の形態における動作の概要を説明するための図である。
図4】本発明の実施の形態における動作の概要を説明するための図である。
図5】本発明の実施の形態における動作の概要を説明するための図である。
図6】本発明の実施の形態において競合定義情報を登録する際の画面の例を示した図である。
図7】本発明の実施の形態におけるラスタデータ管理部の機能構成例を示したブロック図である。
図8】本発明の実施の形態のラスタデータ管理部におけるサムネイル編集処理の動作例を示したフローチャートである。
図9】本発明の実施の形態のラスタデータ管理部における描画属性変更処理の動作例を示したフローチャートである。
図10】本発明の実施の形態を実現可能なコンピュータのハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるコンピュータシステムの構成例を示したものである。
図示するように、このコンピュータシステムは、ホスト装置10と、画像処理装置20と、画像形成装置40とを備えている。
【0009】
ホスト装置10は、紙等の記録媒体に形成される画像の元となる画像データを供給する装置であり、アプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」という)11と、プリンタドライバ12とを少なくとも含む。ここで、ホスト装置10は、例えば、PC(Personal Computer)で実現される。
アプリケーション11は、文書処理ソフトウェアや表計算ソフトウェア等であり、作成したデータの印刷を要求するコマンドをプリンタドライバ12に出力する。
プリンタドライバ12は、このコマンドを受け取り、プリンタの描画コマンドであるPDL(Page Description Language:ページ記述言語)のデータに描画属性を設定した印刷ジョブを生成する。ここで、描画属性とは、描画において用いられる属性データであり、例えば、色変換において用いられる色補正パラメータや、階調変換において用いられる階調補正パラメータ等である。
【0010】
画像処理装置20は、ホスト装置10が供給する画像データに対して画像処理を施す装置であり、ジョブ連結部21と、ラスタライズ部22と、ラスタデータ管理部23と、色変換部24と、ガンマ補正部25と、スクリーン処理部26とを含む。ここで、画像処理装置20は、例えば、プリンタ内部で実現される。
【0011】
ジョブ連結部21は、ホスト装置10から送られた複数の印刷ジョブをユーザの要求に応じて連結し、1つの印刷ジョブを生成する。尚、複数の印刷ジョブを連結するユーザの要求がなければ、印刷ジョブをそのまま後段へ受け渡す。本実施の形態では、描画命令の一例として、印刷ジョブを用いており、描画命令を取得する取得手段の一例として、ジョブ連結部21を設けている。
ラスタライズ部22は、ジョブ連結部21で連結された印刷ジョブを受け取り、その印刷ジョブに含まれるPDLデータを解釈してラスタライズ処理を行い、ラスタデータを生成する。このとき、PDLデータに含まれるRGB色信号はCMYK色信号に変換される。また、連結前の各印刷ジョブに設定された描画属性は、各印刷ジョブに基づいて生成されたラスタデータに対して引き続き設定される。本実施の形態では、描画命令に基づいて画像を生成する生成手段の一例として、ラスタライズ部22を設けている。
ラスタデータ管理部23は、ラスタライズ部22で生成されたラスタデータを描画属性に関連付けて管理する。
【0012】
色変換部24は、ラスタデータ管理部23で管理されるラスタデータの各画素の色を表すCMYK色信号を、画像形成装置40の特性に応じたCMYK色信号に変換する。
ガンマ補正部25は、C、M、Y、Kの各色信号についてガンマ補正を行う。
スクリーン処理部26は、ガンマ補正部25によるガンマ補正後のCMYK色信号(多値の色信号)に対し、ディザパターンを用いてスクリーン処理(二値化処理)を施し、スクリーン処理された色信号(二値の色信号)を画像形成装置40に出力する。
尚、本実施の形態では、描画属性で画像を描画する描画部の一例として、色変換部24、ガンマ補正部25、スクリーン処理部26を設けている。
【0013】
画像形成装置40は、スクリーン処理後の各色信号に対応するトナーを用いて、紙等の記録媒体に画像を形成する装置である。ここで、画像形成装置40は、例えばプリンタであり、感光体に付着させたトナーを記録媒体に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いるとよい。
【0014】
ところで、このような画像処理装置20において、ラスタデータ管理部23が管理するラスタデータに基づいてサムネイル画像を表示し、例えばサムネイル画像を操作することにより、ホスト装置10で作成された原稿の画像(以下、「原稿画像」という)を用紙の1ページに割り付ける操作(以下、「面付け」という)を行うことがある。
このとき、画像処理装置20のように複数の印刷ジョブを連結する機能を有していると、異なる描画属性が設定された印刷ジョブに基づいて生成された複数の原稿画像が用紙の1ページに面付けされる場合がある。
【0015】
かかる場合、幾つかの描画属性の種類については、異なる描画属性が設定された印刷ジョブに基づいて生成された複数の原稿画像が同じページに配置されると不具合が生じる。このような描画属性の種類としては、例えば、カラーモード、CMYK色補正パラメータ(以下、単に「色補正パラメータ」という)、トーンカーブ調整パラメータ、スクリーン指定パラメータ等が挙げられる。カラーモードについては、用紙の1ページにカラーと白黒が混在すると、課金に影響するからである。色補正パラメータについては、プリントする用紙種類用のパラメータが指定されるからである。トーンカーブ調整パラメータやスクリーン指定パラメータについては、ページ全面に調整をかける必要があるからである。これらの描画属性の種類については、異なる描画属性が設定された印刷ジョブに基づく複数の原稿画像が同じページに配置されると、何れか1つの描画属性に合わせることになる。そうなると、原稿画像の中には、面付けせずにプリントした場合と異なる出力結果になるものが出て来てしまう。
【0016】
この場合、例えば、カラーモードのようにサムネイル画像によって目視で確認できるものであれば、出力結果が意図したものでなくなることが事前に分かるので、さほど問題とはならない。しかしながら、例えば、異なる用紙種類用の色補正パラメータが指定された原稿画像を同一のページに面付けした場合は、同じ色補正パラメータに変更されてしまい、ディスプレイ上での確認は困難となる。
【0017】
そこで、本実施の形態では、描画属性の異なる原稿画像が用紙の1ページに配置されたことを検出する。そして、そのようなページのプレビューを表示し、プレビューを指定することによりそのページ上の描画属性の競合を解決する。即ち、互いに競合する複数の描画属性の少なくとも1つの描画属性を変更できるようにする。
その際、対象とする描画属性の種類は、予め登録された複数の描画属性の種類の中から指定できるようにする。例えば、カラーモードは、プレビューを見て判断できる類の描画属性であるので、対象とする描画属性の種類として登録しないようにする。
また、描画属性の種類によっては、多少異なっていても出力結果で違いが分からないものもあるので、そのような描画属性の種類については、予め定めた許容度を超えて異なる場合にのみ、異なる描画属性として扱うようにする。
【0018】
以下、図2図5を参照しながら、このような動作の概略について説明する。
図2は、2つの印刷ジョブを連結してラスタライズ処理を行う様子を示した図である。
図において、印刷ジョブ51aには描画属性52aが設定され、印刷ジョブ51bには描画属性52bが設定されている。そして、印刷ジョブ51aと印刷ジョブ51bとを連結して連結ジョブ53を作成すると、連結ジョブ53は1つの印刷ジョブとして扱われるようになる。その後、連結ジョブ53に基づいてラスタライズ処理を行うことにより、ラスタデータ54が生成される。
【0019】
図3は、ラスタデータ54に基づいて表示されるサムネイル画像の例を示した図である。
サムネイル画像を用いて編集を行うサムネイル編集処理を起動すると、図示するように、原稿画像のプレビューである原稿プレビューとして、サムネイル画像が一覧形式で表示される。具体的には、印刷ジョブ51aに基づく原稿画像を表すサムネイル画像55aと、印刷ジョブ51bに基づく原稿画像を表すサムネイル画像55b,55c,55dとが表示されている。また、印刷ジョブ51aに基づく原稿画像を表すサムネイル画像55aには、印刷ジョブ51aに設定された描画属性52aの一例として色補正パラメータAが関連付けられており、印刷ジョブ51bに基づく原稿画像を表すサムネイル画像55b,55c,55dには、印刷ジョブ51bに設定された描画属性52bの一例として色補正パラメータBが関連付けられていることも示されている(図では、「色補正A」、「色補正B」と表記)。
【0020】
図4は、面付けを行ったときに表示されるサムネイル画像の例を示した図である。
面付けを行うと、図示するように、図3の原稿プレビューに加え、原稿画像が用紙の1ページに面付けされた状態のプレビューである面付けプレビューとして、サムネイル画像が表示される。具体的には、サムネイル画像55d及びサムネイル画像55aが面付けされたページを表すサムネイル画像56aと、サムネイル画像55b及びサムネイル画像55cが面付けされたページを表すサムネイル画像56bとが表示されている。このとき、原稿プレビューとして表示されるサムネイル画像55a〜55dと、面付けプレビューとして表示されるサムネイル画像56a,56b内の原稿画像には、原稿画像の対応を示す番号が表示される。
【0021】
この状態で、競合定義情報(後述)に基づき、異なる描画属性に関連付けられた原稿画像が用紙の1ページに配置されているかどうかの判定がなされる。図では、サムネイル画像55aが表す原稿画像に色補正パラメータAが関連付けられており、サムネイル画像55dが表す原稿画像に色補正パラメータBが関連付けられているので、サムネイル画像56aが表すページには、競合する描画属性が関連付けられた原稿画像が配置されていることになる。このような場合、予め定めた規則に従い、これらの原稿画像の色補正パラメータを色補正パラメータA、Bの何れかに合わせた上で、警告を行う。ここで、警告としては、例えば、「色補正が競合しています。面付けページ1の色補正を変更しますか?」等のメッセージを表示することが考えられる。また、異なる描画属性に関連付けられた原稿画像が配置されたページを表すサムネイル画像56aは、他のページを表すサムネイル画像とは異なる態様で表示する。図では、サムネイル画像56aを他のページを表すサムネイル画像とは異なる色で表示することを、斜線ハッチングで示している。
【0022】
このように、異なる描画属性に関連付けられた原稿画像が配置されたページが分かると、ユーザは描画属性の競合を解決するための操作を行う。
図5は、ユーザがこのような操作を行ったときのサムネイル画像の例を示した図である。
まず、ユーザは、異なる色補正パラメータに関連付けられた原稿画像が面付けされた状態を表す面付けプレビューとして表示されたサムネイル画像56aを選択する。すると、描画属性変更処理が起動され、選択されたサムネイル画像56aに面付けされた複数の原稿画像の色補正パラメータを一致させる処理が行われる。
【0023】
ここで、色補正パラメータを一致させる方法には、次のようなものがある。
第一に、色補正パラメータを変更しないという方法である。この方法では、図4で合わせた色補正パラメータが採用される。
第二に、面付けされた原稿画像の色補正パラメータのうち何れかの色補正パラメータに合わせるという方法である。この方法では、図4で合わせた色補正パラメータではなく、図4とは異なる合わせ方で得られた色補正パラメータが採用される。例えば、図4で色補正パラメータAを変更して色補正パラメータBに合わせたとすると、これとは逆に色補正パラメータBを変更して色補正パラメータAに合わせるような方法である。
第三に、面付けされた原稿画像の色補正パラメータ以外の色補正パラメータに合わせるという方法である。
図では、色補正パラメータを一致させるために、サムネイル画像55dが表す原稿画像に関連付けられた色補正パラメータBが、色補正パラメータAに変更されたことが示されている。
【0024】
ここで、図4において異なる描画属性に関連付けられた原稿画像が用紙の1ページに配置されているかどうかを判定する際に参照した競合定義情報について説明する。
図6は、競合定義情報を設定する際の画面を示したものである。
この画面では、全部で7種類の描画属性について不一致を検出できるようになっているが、ユーザが、カラーモード、色補正パラメータ、トーンカーブ、シャープネス調整、RIP(Raster Image Processor)解像度という5種類の描画属性のみを、これらに対応するチェック欄57にチェックすることで、不一致の検出対象として選択している。また、描画属性の種類によっては、厳密に一致を検出しなくてよいものもある。図では、シャープネス調整と明るさ調整がそのような描画属性の例として示されており、これらの描画属性については、許容度設定欄58に許容度を設定できるようになっている。
尚、カラーモードのようにサムネイル画像に対する目視で判断できるものは不一致の検出対象から除外し、目視で判断できない描画属性を検出対象としてもよい。
【0025】
次に、このような動作を実現するためのラスタデータ管理部23について説明する。
図7は、ラスタデータ管理部23の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、ラスタデータ管理部23は、ラスタデータ記憶部31と、原稿プレビュー表示制御部32と、競合定義情報記憶部34と、競合判定部35と、面付け状態取得部33と、面付けプレビュー表示制御部36と、警告表示制御部37と、描画属性変更部38とを備えている。
【0026】
ラスタデータ記憶部31は、ラスタライズ部22が生成したラスタデータを記憶する。
原稿プレビュー表示制御部32は、ラスタデータ記憶部31に記憶されたラスタデータに基づいて原稿プレビューを生成し、例えば操作パネル上での原稿プレビューの表示を制御する。
面付け状態取得部33は、用紙の1つのページに複数の原稿画像を面付けする指示を受け、その指示によって面付けされた状態に関する情報を取得する。本実施の形態では、第1の画像と第2の画像とを1つの媒体に配置する指示を受け付ける受付手段の一例として、面付け状態取得部33を設けている。
競合定義情報記憶部34は、図6で説明した競合定義情報を記憶する。
競合判定部35は、用紙の1つのページに面付けされた複数の原稿画像に関連付けられた描画属性が、競合定義情報記憶部34に記憶された競合定義情報で定義された種類のものであり、同じく競合定義情報で定義された許容度を超えて異なっているかどうかを判定する。本実施の形態では、互いに異なる描画属性に関連付けられた複数の画像が1つの媒体に配置された状態を検出する検出手段との一例として、競合判定部35を設けている。
面付けプレビュー表示制御部36は、面付け状態取得部33が取得した情報と、競合判定部35による判定結果とに基づいて、面付けプレビューを生成し、例えば操作パネル上での面付けプレビューの表示を制御する。本実施の形態では、第1の画像と第2の画像とが1つの媒体に配置された状態を表す状態画像の一例として、面付けプレビューを用いており、状態画像を表示する表示手段との一例として、面付けプレビュー表示制御部36を設けている。
警告表示制御部37は、競合判定部35による判定結果に基づいて、警告メッセージを生成し、例えば操作パネル上での警告メッセージの表示を制御する。本実施の形態では、少なくとも1つの画像がそれに関連付けられた描画属性で1つの媒体に形成されない旨の情報を出力する出力手段、又は、第1の描画属性と第2の描画属性とが競合することを示す情報を出力する出力手段の一例として、警告表示制御部37を設けている。
描画属性変更部38は、ユーザが選択した方法によって、ラスタデータ記憶部31に記憶されたラスタデータに関連付けられた描画属性を変更し、面付けプレビュー表示制御部36の制御によって表示された面付けプレビューを変更する。本実施の形態では、描画属性を変更する変更手段の一例として、描画属性変更部38を設けている。
【0027】
次いで、ラスタデータ管理部23の動作について説明する。
ラスタデータ管理部23の動作は、図3図4に示したサムネイル編集処理と、図5に示した描画属性変更処理とがあるので、これらを分けて説明する。
図8は、ラスタデータ管理部23によるサムネイル編集処理の流れを示したフローチャートである。
サムネイル編集処理が起動されると、ラスタデータ管理部23では、まず、原稿プレビュー表示制御部32が、ラスタデータ記憶部31に記憶されたラスタデータに基づいて、原稿プレビューを生成し、原稿プレビューが例えば操作パネルに表示されるように制御する(ステップ301)。尚、ラスタデータ記憶部31に記憶されたラスタデータには、ラスタデータの元となる原稿画像を一意に識別する原稿IDが付与されているものとし、原稿プレビューとして表示されたサムネイル画像には元となるラスタデータに付与された原稿IDが関連付けられているものとする。
次に、面付け状態取得部33は、面付けの設定がなされているかどうかを判定する(ステップ302)。ユーザが面付けの設定を行うと、例えば、面付け対象のページのページ番号と、そのページに面付けされた原稿画像の原稿IDとの対応情報が記憶されるので、面付けの設定がなされているかどうかは、このような対応情報が記憶されているかどうかを調べることにより行えばよい。
【0028】
ここで、面付けの設定がなされていなければ、そのまま処理は終了するが、面付けの設定がなされていれば、面付け状態取得部33が、1つのページに面付けされた複数の原稿画像を特定する(ステップ303)。この複数の原稿画像の特定は、着目するページのページ番号をキーとして上記対応情報を検索することで得られた原稿IDによって行うとよい。
そして、競合判定部35が、特定された原稿画像に関連付けられた描画属性が競合しているかどうかを判定する(ステップ304)。尚、この場合、競合しているかどうかの判定は、ラスタデータ記憶部31に記憶されたラスタデータのうち、ステップ303で得られた原稿IDのラスタデータに設定された描画属性を照合することによって行う。また、どのような描画属性の種類を対象として描画属性が競合しているかを判定するか、或いは、描画属性がどの程度異なっていれば描画属性が競合していると判定するかは、競合定義情報記憶部34に記憶された競合定義情報に基づいて決定する。
【0029】
その結果、描画属性が競合していると判定された場合は、まず、競合判定部35が、面付けされたページのページ番号と、競合している描画属性の種類とを示す競合情報を図示しないメモリに記憶する(ステップ306)。尚、このとき、競合判定部35は、競合している描画属性が何れかの描画属性に一致するよう、ラスタデータ記憶部31に記憶されたラスタデータに関連付けられた描画属性に対して仮の変更を行っておく。そして、面付けプレビュー表示制御部36が、描画属性が競合していることを示す面付けプレビューを生成し、面付けプレビューが例えば操作パネルに表示されるように制御する(ステップ307)。尚、この場合、面付けプレビューとして表示されたサムネイル画像には、サムネイル画像が表すページのページ番号と、そのページに面付けされた原稿画像の原稿IDとが関連付けられているものとする。
一方、描画属性が競合していないと判定された場合は、面付けプレビュー表示制御部36が、描画属性が競合していないことを示す面付けプレビューを生成し、面付けプレビューが例えば操作パネルに表示されるように制御する(ステップ308)。
【0030】
その後、面付け状態取得部33は、面付けされたページが他にあるかどうか判定する(ステップ309)。そして、面付けされたページが他にあれば、ステップ303〜308の処理を繰り返し、他になければ、次の処理に移る。
即ち、競合判定部35は、図示しないメモリに競合情報が記憶されているかどうかを判定する(ステップ310)。ここで、競合情報がメモリに記憶されていなければ、処理を終了するが、競合情報がメモリ記憶されていれば、警告表示制御部37が、競合情報に含まれるページ番号と描画属性の種類とを明示して警告を行うメッセージを生成し、このメッセージが例えば操作パネルに表示されるように制御する(ステップ311)。
【0031】
図9は、ラスタデータ管理部23による描画属性変更処理の流れを示したフローチャートである。
異なる描画属性の原稿画像が1つのページに面付けされた状態を表すサムネイル画像が指定され、描画属性変更処理が起動されると、ラスタデータ管理部23では、まず、描画属性変更部38が、指定されたサムネイル画像が表すページのページ番号と、そのページに面付けされた原稿画像の原稿IDとを、面付けプレビュー表示制御部36から取得する(ステップ351)。
次に、描画属性変更部38は、描画属性を変更するかどうかをユーザに問い合わせる(ステップ352)。
【0032】
その結果、ユーザが描画属性を変更しない旨の応答を入力した場合は、ステップ356に進む。
一方、ユーザが描画属性を変更する旨の応答を入力した場合、描画属性変更部38は、ユーザが選択した描画属性の変更方法を取得する(ステップ353)。そして、ステップ351で取得した原稿IDで特定されるラスタデータに関連付けられた描画属性を、ステップ353で取得した変更方法で変更する(ステップ354)。また、描画属性変更部38は、面付けプレビュー表示制御部36に対して、面付けプレビューとして表示された面付け状態を示すサムネイル画像を、描画属性が競合していないことを示すサムネイル画像に変更するように指示し、面付けプレビュー表示制御部36が、サムネイル画像の変更を行う(ステップ355)。
【0033】
その後、描画属性変更部38は、面付け状態を表すサムネイル画像が他に指定されたかどうか判定する(ステップ356)。そして、他に指定されていれば、ステップ353〜355の処理を繰り返し、他に指定されていなければ、処理を終了する。
以上により、本実施の形態の説明を終了する。
【0034】
尚、本実施の形態では、異なる描画属性に関連付けられた原稿画像が用紙の1ページに面付けされた場合、描画属性を合わせた上で警告を行うようにした。しかしながら、必ずしもこのような形態に限るものではない。例えば、描画属性を合わせることなくユーザに描画属性の変更方法を問い合わせ、ユーザが指定した変更方法で描画属性を合わせるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、描画属性の変更はラスタデータに関連付けられた描画属性に対して行うようにした。しかしながら、これもこのような形態に限るものではない。例えば、連結前の印刷ジョブ又は連結後の印刷ジョブに対して変更後の描画属性を再設定し、再度ラスタデータを生成するようにしてもよい。
【0035】
ところで、本実施の形態における画像処理装置20は、プリンタ内で実現するようにしてもよいが、PC等の汎用のコンピュータ内でも実現可能である。但し、プリンタドライバでは、単一の描画属性しか指定できないため、プリンタドライバで面付けする場合に問題が起きることはない。従って、汎用のコンピュータ内で実現する場合には、その汎用のコンピュータが、例えば、プリンタドライバから印刷ジョブを受け付けて処理するコンピュータ(プリントサーバ等)であることが前提となる。
以下、このような汎用のコンピュータをコンピュータ90として、そのハードウェア構成について説明する。
【0036】
図10は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0037】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
10…ホスト装置、20…画像処理装置、23…ラスタデータ管理部、31…ラスタデータ記憶部、32…原稿プレビュー表示制御部、33…面付け状態取得部、34…競合定義情報記憶部、35…競合判定部、36…面付けプレビュー表示制御部、37…警告表示制御部、38…描画属性変更部、40…画像形成装置
図1
図2
図3
図4
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図7
図8
図9
図10