特許第5763296号(P5763296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5763296活性物質ブプレノルフィンを投与するための経皮治療システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763296
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】活性物質ブプレノルフィンを投与するための経皮治療システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/485 20060101AFI20150723BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20150723BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20150723BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150723BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A61K31/485
   A61K9/70 401
   A61K47/12
   A61K47/32
   A61K47/34
   A61P25/04
   A61P29/00
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2009-537503(P2009-537503)
(86)(22)【出願日】2007年11月7日
(65)【公表番号】特表2010-510259(P2010-510259A)
(43)【公表日】2010年4月2日
(86)【国際出願番号】EP2007009622
(87)【国際公開番号】WO2008061625
(87)【国際公開日】20080529
【審査請求日】2010年11月1日
【審判番号】不服2013-19306(P2013-19306/J1)
【審判請求日】2013年10月4日
(31)【優先権主張番号】102006054731.4
(32)【優先日】2006年11月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヒレ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ホルストマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター・ミュラー
【合議体】
【審判長】 蔵野 雅昭
【審判官】 横山 敏志
【審判官】 渕野 留香
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−511936号公報
【文献】 特表2003−503445号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/485
A61K9/70
A61K47/12
MEDLINE
BIOSIS
CAPLUS
EMBASE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分不透過性の支持層、活性成分のブプレノルフィン及びレブリン酸を含む少なくとも1つの感圧接着性マトリックス層、並びに所望により使用前に剥離される保護層を含む、皮膚へブプレノルフィンを投与するための経皮治療システムであって、マトリックス層がポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づいて構築され、ブプレノルフィンがレブリン酸に溶解しており、そしてこの溶液がマトリックス層中に液滴の形態で分散していることを特徴とするシステム。
【請求項2】
マトリックス層がポリアクリレートに基づく自己接着性皮膚接触層と拡散可能な接触状態にあることを特徴とする請求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
ポリシロキサンがアミン抵抗性ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
ポリシロキサンがアミン抵抗性及び非アミン抵抗性ジメチルポリシロキサンの混合物であり、非アミン抵抗性ジメチルポリシロキサンが40質量%までの濃度で存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
カルボン酸が活性成分のブプレノルフィンよりも速やかに皮膚に拡散することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
ブプレノルフィン及びレブリン酸が同じ質量比で存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
ポリアクリレート接着剤が遊離カルボキシル基を有さないことを特徴とする、請求項2に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
疼痛治療に使用するための、請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックス層中におけるブプレノルフィンの溶解度を決定し、同じように吸収され得る少なくとも1つのカルボン酸を用いた、活性成分利用率の著しく増加した、疼痛治療のための経皮治療システムに関する。
【0002】
活性成分のブプレノルフィン(17−(シクロプロピル−メチル)−α−(1,1−ジメチルエチル)−4,5−エポキシ−18,19−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−α−メチル−6,14−エテノモルフィナン−7−メタノール)は、この種類の他の化合物に優るその利点が高い活性にある、部分合成の鎮静剤である。このことは、およそ1mgの一日量で、末期で非常に好ましくない診断を受けた癌又は腫瘍患者において、疼痛からの開放が達成し得ることを意味する。これに関連して、合成オピオイド及びその類似物に優るブプレノルフィンの特徴は、ブプレノルフィンの依存性がこれらの化合物より低いことである。その不利な点は、ブプレノルフィンの高い、即ち、467.64ダルトンの分子量のために、その経皮吸収を達成することが困難なことである。
【背景技術】
【0003】
それにも拘わらず、ブプレノルフィン(例えば、 Transtec(登録商標)又は Norspan(登録商標))を含有する経皮治療システムは、すでに市販されている。特許文献1は、それらの機能を記載している。この活性成分は、ポリアクリレートマトリックス中で均一溶液状態であり、カルボン酸は透過促進剤及び可溶化剤としての役割を果たしている。
【0004】
活性成分が均一溶液中に存在するシステムは、低い活性物質利用率によって一般に際立っている。その理由は、活性成分の送達を決定する活性成分の熱力学的活量が、活性成分負荷の低下の結果として、投与の過程で減少するためである。全投与時間にわたっての活性成分の均一な送達は、送達されるべき量と比較して相対的に高い活性成分の負荷を介してのみ達成可能である。欧州で市販されているTranstec(登録商標)35製品の公表データは、例えば、投与期間にわたって僅か17%の活性成分利用率を示唆している。ブプレノルフィンが高価な活性成分であるとすれば、高い活性成分利用率はコストの観点から実質的に有利であろう。
麻薬であるブプレノルフィンを用いた非常に低い負荷のシステム、及び使用されたこのシステムの適用後に結果として生じる最小残存含量は、更に安全性の観点から非常に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許公告公報第3939376(C1)号
【特許文献2】国際公開公報第2006/030030(A2)号
【特許文献3】欧州特許第1572167号
【特許文献4】国際公開公報第2003/079962(A2)号
【特許文献5】国際公開公報第2002/41878(A2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、経皮吸収を達成することが困難な活性成分のブプレノルフィンの経皮投与を可能にする、著しく高められた活性成分利用率を有するTTSを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によって、そして驚くべき方法で、ブプレノルフィンを皮膚へ投与するための経皮治療システムにより達成され、このTTSは、活性成分不透過性の支持層、活性成分のブプレノルフィン及び少なくとも1つのカルボン酸を含む少なくとも1つの感圧接着性マトリックス層、並びに所望により使用前に剥離される保護層を含む。マトリックス層はポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づいて構築される。ブプレノルフィンはカルボン酸又はカルボン酸類中に溶解した状態であり、この溶液はマトリックス層中に液滴の形態で分散している。このことは、ブプレノルフィンが、その既知の物理化学的性質、より具体的にはその難溶性、比較的高い216℃という融点、及び既述したようにその高い分子量のために、容易に結晶化傾向を示すという事実から考えても、一層驚くべきことである。この理由のために、少なくとも1つの酸性基を有する溶媒が、剤形の保存時におけるブプレノルフィンの結晶化を防ぐために使用される。ブプレノルフィンそれ自体及びカルボン酸はいずれも、ポリシロキサン又はポリイソブチレン中において極めて低い溶解度を有する。この結果として、ブプレノルフィンをカルボン酸に溶解すること、及びこの溶液を、基本ポリマーとしてのポリイソブチレン又はポリシロキサン、好ましくはアミン抵抗性ジメチルポリシロキサン、より好ましくはアミン抵抗性及び非アミン抵抗性ジメチルポリシロキサンの混合物に基づいて調製し、そして非アミン抵抗性ジメチルポリシロキサンが40質量%以下、好ましくは2質量%〜20質量%で存在するマトリックス層中に、液滴の形態でこの溶液を分散することが可能である。この場合、ブプレノルフィン及びカルボン酸又はカルボン酸類の混合物が液状であることが重要である。
【0008】
用いられるカルボン酸は一般的には接着剤の有機溶媒中に難溶性である。その結果として、ブプレノルフィン及びカルボン酸の混合液体は、接着剤の溶液に分散することができ、その分散は溶媒除去後に保持される。この種のマトリックス層では、ブプレノルフィンの溶解度は実質的にカルボン酸又はカルボン酸類の量に依存性である。分散した溶液の量は40質量%まで可能であり、20質量%を超えないことが好ましい。液滴のサイズ自体は、好ましくは50μmを超えるべきではない。好ましいサイズは、更にマトリックス層の厚さに依存性である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この種類の1層自己接着システムの図示を示す。
図2】皮膚接触層を有するシステムを描出する。
図3】トップパッチ(top patch)を有する多層システムを示す。
【0010】
これらの図において、参照番号の意味は以下のとおりである:
1 支持層;
2 ブプレノルフィン/カルボン酸溶液の分散液滴を有する、ポリシロキサンに基づくマトリックス層;
3 使用前に除去される保護層;
4 ポリアクリレート接着剤に基づく皮膚接触層;
5 ブプレノルフィンを含まない感圧接着層;
6 支持層(例えば、皮膚色に着色した)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
カルボン酸類は皮膚を介して同じように吸収され得ることから、システム中のそれらの量は適用の時間中低下し、従ってまたブプレノルフィンの飽和溶解度も低下する。この結果として、送達によって引き起こされるブプレノルフィンの熱力学的活量の減少が補填される。カルボン酸の選択は、ブプレノルフィンに比べて同等の速さの、好ましくはより速い皮膚を介する吸収によって誘導される。皮膚温度で液体のカルボン酸類を使用することが好ましい。カルボン酸又はカルボン酸類は、オレイン酸、レブリン酸、リノール酸及びリノレン酸から成るグループから選択される。適切な実施態様では、適用時間中に過飽和状態を達成することが可能である。過飽和系では、活性成分の熱力学的活量が、そしてそれ故単位面積当りの透過速度も過飽和要因に一致して増加する。結果として、有利なことに、送達面積及びシステムの面積も最小化することが可能である。保存時には、ブプレノルフィン及び酸のいずれもポリマーマトリックス中に残り、その結果、この期間中システムは飽和以下であり、そして活性成分の結晶化は排除される。
【0012】
本発明の更なる態様は、この種のシステムにおいて、酸の送達が速すぎる場合、熱力学的活性の上昇が適用後の透過速度の過剰な増加をもたらし得るという効果に関連する。その結果は、TTSの活性成分が過度に速い送達の結果として、尚早に使い尽くされるということになる。この種の作用は、ポリアクリレートに基づく更なる層を加えることによって防止されることが今や見い出された。この層は、好ましくは活性成分を含有するポリマーマトリックス層と皮膚の間に配置され、あるいは、マトリックス層と支持層との間に配置される。この追加の層は、好ましくは自己接着皮膚接触層として具体化される。
【0013】
ポリアクリレート中におけるブプレノルフィンの溶解度は、ポリシロキサン中又はポリイソブチレン中より顕著に高く、そして精密な組成に依存して、約10質量%までの範囲である。結果として、全システムはブプレノルフィンに対して高い飽和溶解度を有することから、酸の送達によって引き起こされる過飽和度は、マトリックス層からポリアクリレート層へのブプレノルフィンの再分配によって低下する。この結果として、活性成分の送達はより均一となり、そしてシステムの早期消耗が防止される。1つの好ましい実施態様では、所望する効果を達成するために、cm2当り約0.4mgのブプレノルフィン及びカルボン酸としてレブリン酸を負荷したマトリックス層を用いることにより、15〜30g/m2のコーティング質量を有する皮膚接触層で十分であることが見出された。
【0014】
ポリアクリレート接着剤を製造するために使用されるモノマーについては、基本的に制限はない。しかしながら、理論的考察に基づいた場合、遊離カルボキシル基のない接着剤の方が好ましい。何故なら、それらは塩の形成を介して塩基性のブプレノルフィンを固定化することができないからである。
【0015】
図2は、この種のシステムの図示を示す。その製造は実施例1に記載されている。マトリックス層及び皮膚接触層の厚さは、各場合において、マトリックス層中の選択された活性成分濃度及び単位面積当りの活性成分の量の関数として、それぞれ最適化する必要がある。マトリックス層中の酸の量又は濃度は、ブプレノルフィンに対するその溶解能に依存する。レブリン酸の好ましい使用の場合において、ブプレノルフィン及び酸は質量で均等な割合で使用される。質量で7%〜9%の両物質の選択される濃度が適切なことが証明されているが、TTSの性能に影響を及ぼすことなしにコーティング質量を選択する場合には、適切に注意を払いつつ異なる選択をすることもできる。
【0016】
実施例1による経皮治療システムを、参照システムとして既に市販されているTTSと、ヒトでの薬物動態研究で比較した。
【0017】
6.3mgのブプレノルフィン含量を有する実施例1の17cm2のシステムは、20mgの活性成分含量を有する25cm2の参照TTSに相当することが見出された。35μg/hのTTS参照製品の表示送達を基準にして、これは参照製品の場合17%の活性成分利用率を与え、また実施例1のTTSの場合53%の活性成分利用率を与える。このことは、実施例1の経皮システムを用いて、実質的に活性成分利用率の改善目的が達成されたことを明らかに示す。従って、活性成分としてブプレノルフィンを含有する本発明のTTSを用いて、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%のインビボ活性成分利用率を達成することが可能である。更に発生する利点は、高い透過速度のために、これらのシステムが参照システムよりおよそ30%小さい表面積で使用し得るという点である。
【0018】
特別な利点は、この改良された活性成分利用率が、麻薬ブプレノルフィンを用いたシステムへの負荷を更に低減することを可能にし、結果として、使用後に使用済みシステム中の残存ブプレノルフィン含量の更なる最小化を伴うことである。
【0019】
本発明の経皮治療システムは、異なる放出プロファイル及び異なる投薬量を用いて提供することができる。上述したように、例えば、活性成分放出プロファイルは、例えば、活性成分含有マトリックス及び/又は皮膚接触層の層厚の適切な変更により、又はマトリックス中の活性成分の濃度を変えることにより、影響を及ぼすことができる。本発明のTTSの投薬量は、例えば、このようにして異なる投薬量を得るために、マトリックス及び皮膚接触層の組成及び層厚を同じに維持したまま、活性成分含有マトリックスの表面積を変えることにより調節可能である。このようなやり方で、好ましくは、既に上市済みの経皮治療システムに匹敵する特性を有する経皮治療システムを得ることが可能である。
【0020】
異なる用量レベルのTTSの提供を通じて、患者が必要とする活性成分量を個々の患者に処方することが可能となる。更に、適切な投与計画により原理的に公知の方法で、患者が必要とする活性成分の量が患者に与えられるようなやり方で、患者に活性成分の送達を設定することが可能になる。このような計画において、患者に投与される活性成分の量は、例えば、異なる投薬量の経皮治療システムの逐次的な投与に従って増加される。活性成分の用量の逐次的増加は、活性成分のブプレノルフィンの投与の過程で起こり得ることが知られている副作用の、更なる低減を可能にする。適切な投与計画による活性成分の患者への送達の逐次適応化の例は、例えば、特許文献2及び特許文献3の特許出願に記載されている。それ故、本発明は、異なる投薬量を用いた2つ又はそれ以上の本発明のTTSを含むシステム、例えば、キットをも包含する。
【0021】
本発明の経皮治療システムが採用する形態は、TTSを種々のサブユニットに細分化することを可能にするようなものであっても良い。そのような可分性は、同様に、患者の個人的な活性成分の要求に対しTTSの更なる変更、又は適切な投与計画の実施のためのTTSの使用を可能にする。この場合、分割可能なTTSは、活性成分を含まない領域で空間的に分離された多様なポリマーマトリックス領域を有利に包含する。TTSは、次いで活性成分を含まない領域に沿って、例えば、切断によって分割することができ、その結果、1つ又はそれ以上のポリマーマトリックス領域がTTSの残りの部分から分離される。分割可能なTTSの変形の製作の例は、例えば、特許文献4及び特許文献5の特許出願に記載されている。
【0022】
本発明の経皮治療システムは、異なる投与の継続時間用に変更し使用することができる。本発明のTTSは、例えば、それぞれ少なくとも12時間又は24時間の間適用することができる。しかしながら、好ましくは、本発明のTTSは、少なくとも72時間、84時間又は96時間の各適用時間にわたって使用することができる。しかし、例えば、120時間、144時間又は168時間などのより長い適用時間も可能である。
【0023】
本発明を、以下の実施例によって説明するが、それによって本発明の範囲が制限されるものではない。
【0024】
〔実施例1〕

ステンレススチール容器中で、ブプレノルフィン(3.65kg)を、レブリン酸(3.65kg)とエタノール(2.6kg)中に懸濁した。撹拌しながら、74質量%の固形分を有するn−ヘプタン溶液の形態でのポリシロキサン接着剤(60.6kg)及びヘプタン(9.72kg)を加えた。混合物を、ブプレノルフィン塩基が完全に溶解するまで撹拌して、4.55%のブプレノルフィンを含み、そして64.8%の固形分を有するブプレノルフィン含有接着剤溶液(80.22kg)を得た(接着剤溶液1)。
【0025】

皮膚接触層として、2−エチルヘキシルアクリレート、ビニルアセテート及び2−ヒドロキシエチルアクリレートから調製したポリアクリレート接着剤を使用した。51質量%の固形分を有するこの接着剤の溶液(31.87kg)を、酢酸エチル(6.5kg)及び純品の形態の又は他の化合物との混合物としてのオレイン酸(1.91kg)と混合し、均質化後に活性成分を含まないポリアクリレート溶液(約40kg)を得た(接着剤溶液2)。
【0026】

当業者に公知の補助手段を用い、選択された接着剤に対して接着性となるように処理されているフィルムに、ブプレノルフィン含有接着剤溶液1をコーティングした。コーティング厚さは、溶媒を除去した結果マトリックス層のコーティング質量が55g/m2になるように選択した。この層中のブプレノルフィン及びレブリン酸の濃度は、それぞれ7質量%及び9質量%であった。次いで、それに続くシステムの支持層を、「乾燥した」マトリックス層上に積層した。
【0027】
接着剤溶液2を、同じように接着処理したフィルム上にコーティングし(システムを使用する前に除去されるべき後記の保護膜)、そして有機溶媒を除去した。得られた皮膚接触層のコーティング厚さは、溶媒除去後にほぼ20g/m2になるはずの量であった。次いで、接着処理したフィルムを、最初に作製したマトリックス層から除去し、そしてそのマトリックス層を皮膚接触層上に積層した。
【0028】
個々のシステムは、こうして得られた全積層物から打抜き可能となった。
【0029】
具体的な実施態様では、上記のTTSは、好ましくは丸い角を有し、活性成分を含まない、そして好ましくは皮膚色に着色した支持層を有する感圧接着性マトリックス層を含む、一回り大きい表面積のオーバープラスター(over-plaster)を用いて提供し得る。これは、その物理的特性のみに基づいて皮膚接触層が皮膚に十分接着しない場合、及び/又は、ブプレノルフィン含有マトリックス層が無駄を避ける目的ではっきりとしたかど(正方形又は長方形)を有する場合に有利である。
【0030】
〔実施例2〜5〕
マトリックス層の濃度及び層厚を表1に従って変更した以外は、実施例1と同じ方法で製造を行なった。
【0031】
〔実施例6〕
実施例6として、Gruenenthal GmbH社の市販の製品Transtec(登録商標)を使用した。
【0032】
【表1】
【0033】
これらのTTSを用い、当業者に公知のFranz拡散セルにより、完全なヒト皮膚の表皮を用いてインビトロ実験を実施した。この目的のため、2.54cm2の面積を有する型抜きを積層体から打ち抜き、そしてそれぞれ市販製品Transtec(登録商標)の型抜きと比較して試験を行った。Transtec(登録商標)は、3種の異なる投薬量のものが市販されているが、その投薬量はそれらの表面積に比例していた。Franzセルのアクセプター媒体中のブプレノルフィンの濃度を測定した(表2)。加えて、実験後にTTSのブプレノルフィン及びレブリン酸含量を分析した。実施例1の分析結果を、更なる実施例の分析結果と一緒に表とグラフ形式で示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表2の累積流出速度を互いに比較した場合、本発明のTTSの透過速度のすべてが、市販製品Transtec(登録商標)と同順位の大きさにあることが分かる。Franzセルが臨床治験の代替ではなく、異なるTTS処方間を識別するために代わりに使用されたものであるとしても、表2に示された結果は、インビトロ条件下で実施例1のTTSが、Transtec(登録商標)と全く同じ量のブプレノルフィンを送達することを示すと評価することができる。すでに上記したように、実施例1のTTSを、ヒトにおける薬物動態研究において、参照システムとして既に市販されているこのTTSと比較し、実施例1によるTTSの場合の53%の活性成分利用率と比較して、参照製品のTTSでは、17%の活性成分利用率が実証された。
【0036】
透過性の研究の後、本発明の実施例のTTSのすべてについて、それらの残存レブリン酸含量を分析した。残存量及び残存量から計算した送達されたレブリン酸の相対量を、表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
表3は、本発明の教示に従って、TTSが使用中にレブリン酸を消耗し、その結果、活性成分のブプレノルフィンの驚くべき高利用率をもたらすことを示す。
図1
図2
図3