特許第5763307号(P5763307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763307
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】攪拌ボールミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/16 20060101AFI20150723BHJP
   B02C 17/18 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   B02C17/16 Z
   B02C17/18 Z
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-154211(P2010-154211)
(22)【出願日】2010年7月6日
(65)【公開番号】特開2011-16128(P2011-16128A)
(43)【公開日】2011年1月27日
【審査請求日】2013年6月27日
(31)【優先権主張番号】09164693.5
(32)【優先日】2009年7月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510187417
【氏名又は名称】ヴィリー アー.バッホーフェン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ランク ロナルド フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイダー マルク
(72)【発明者】
【氏名】イェーカー エーリッヒ
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−346942(JP,A)
【文献】 特開2005−034698(JP,A)
【文献】 特開2003−299983(JP,A)
【文献】 特開2000−354780(JP,A)
【文献】 特開平07−256133(JP,A)
【文献】 特許第3703148(JP,B2)
【文献】 実開平02−150024(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 17/16
B02C 17/18
B02C 13/286
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を微細に粉砕するまたは分散させるための攪拌ボールミルであって、
粉砕体を収容するための、及び、粉砕または分散されるべき前記材料を収容するための、円筒状のまたは円錐状の粉砕室と
粉砕または分散されるべき前記材料の入口であって、前記粉砕室の一方の端部に配置されている、入口と
軸方向において前記粉砕室内へと延在し、前記粉砕体、及び、粉砕または分散されるべき前記材料を、前記粉砕室で移動させるための攪拌手段を有する、攪拌機と
前記粉砕または分散された材料の製品排出口であって、前記粉砕室の他方の端部に配置されている、製品排出口と、を備え、
前記粉砕室の前記他方の端部であって前記製品排出口が配置された前記他方の端部における中央領域には、気体排出口が配置されており、該気体排出口を介して、粉砕体ではなく、気体成分が前記粉砕室から排出され得、前記粉砕室の前記他方の端部は排出端部を形成しており、
前記気体排出口は、入口及び出口を有して軸方向に延在する気体排出通路を備え、
軸方向に延在する前記気体排出通路は、終端壁を貫通して延在し、該終端壁は、前記排出端部に配置され、前記円筒状のまたは円錐状の粉砕室に連結する、終端壁であり、
前記粉砕または分散された材料のための前記製品排出口も、同様に、前記排出端部に配置された終端壁の中央領域に配置され、
前記製品排出口は、製品排出通路を備え、該製品排出通路は、前記排出端部の前記終端壁を貫通して前記軸方向に延在し、
前記製品排出通路及び前記気体排出通路は、互いに別体の排出通路として設計されている
ことを特徴とする、攪拌ボールミル。
【請求項2】
請求項に記載の攪拌ボールミルであって、
粉砕体を通過させない一方、粉砕または分散された材料を通過させ得る分離手段が、前記製品排出通路の上流に配置されており、それによって、前記粉砕または分散された材料は、前記分離手段を介して、実質的に径方向のみに通過することができ、その後、前記製品排出通路へと進入し得ることを特徴とする攪拌ボールミル。
【請求項3】
請求項に記載の攪拌ボールミルであって、
前記分離手段は、円筒状スクリーンカートリッジとして設計されており、前記気体排出通路は、前記スクリーンカートリッ内部における中心を通って、軸方向に延在することを特徴とする攪拌ボールミル。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の攪拌ボールミルであって、
スクリーンが、前記気体排出通路の入口に配置されており、前記スクリーンは、少なくとも前記粉砕体を前記粉砕室内で制止するように、設計されていることを特徴とする、攪拌ボールミル。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の攪拌ボールミルであって、
記気体排出通路の出口が、真空容器、および/または、真空ポンプ、に接続されていることを特徴とする、攪拌ボールミル。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の攪拌ボールミルであって、
前記攪拌機は、軸を有しており、該軸は、攪拌手段として、外輪、ディスク、あるいは、当該軸に固定されたピン、を備えることを特徴とする攪拌ボールミル。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、独立請求項に記載の攪拌ボールミルに関する。
攪拌ボールミルは、例えば、液相にある固体を粉砕あるいは分散させるために用いられ、具体的には、ナノテクノロジー製品のみならず、例えば、染料懸濁液、塗料、インク、農薬、充填剤懸濁液、化粧品、食品、医薬品、または、微生物に用いられる。
【0002】
粉砕されるべきまたは液中で分散されるべき材料は、粉砕室の一方の端部に配置された入口を介して粉砕室へ導入され、この粉砕室において粉砕または分散される。この場合、材料は粉砕室内を徐々に移動し、粉砕または分散された材料は、まず分離手段を通って(例えば、動的な分離ギャップを通って、あるいは、溝付スクリーンを通って)、それから、入口の逆側に位置する端部に配置された出口を通って、排出され得る。攪拌ボールミルが作動中の場合は、バッチ操作と循環操作とは基本的に区別される。
【0003】
バッチ操作中は、粉砕または分散されるべき材料は、攪拌ボールミルを通って第1の容器から第2の容器へと送り出される。粉砕または分散された製品の所望の微細度を達成するために、適切であれば、該製品を、もう一度第2の容器から汲み出して攪拌ボールミルを通してさらに別の容器等へと送り出す(多重パスバッチ操作)ことも可能である。
【0004】
循環操作中は、粉砕または分散されるべき材料は、粉砕または分散された製品の所望の微細度が達成されるまで、容器から攪拌ボールミルへと送り出されて、再び当該容器へと送り戻される。このような攪拌ボールミルの基本的な機能は周知であり、例えば、欧州特許第0 627 262号あるいは独国特許2 215 790号に記載されている。
【0005】
粉砕または分散された製品を粉砕体から分離するために、攪拌ボールミルは様々な分離技術を利用している。これらの技術の例は、回転子と固定子とを含む動的な分離ギャップや、例えば溝付スクリーンのようなスクリーンである。貫通通路の表面積が大きいため、スクリーンを用いてより高い処理能力を実現させることが、一般的に可能である。しかしながら、粉砕されるべき材料が粉砕室へ導入される前にガス抜きされていない場合には、気泡によって、溝付スクリーンの溝を通る貫通通路が塞がれることもある。また、気泡を含む空間を粉砕や分散のために使用できなくなり、気泡によって被膜が形成されたり、粉砕体、および/または、粉砕または分散されるべき材料が互いに固着したりする。これによって、粉砕容量が減少し、極端な場合には、攪拌ボールミルが停止してしまうこともある。材料に気泡が生じると、その気泡は、乱流及び粉砕体によってさらに細分化される。そのさらなる細分化によって、発泡が生じ、それゆえ、より顕著な場合には、スクリーンを塞いでしまうこともある。この場合、粉砕室の圧力が極度に上昇し、圧力が高くなり過ぎて、極端な場合には、攪拌ボールミルの作動を中断しなければならないこともある。
【0006】
それゆえ、本発明の目的は、前述の問題が全く起こらないか、あるいは、少なくとも前述の問題がかなり低減される程度までに、上述のタイプの攪拌ボールミルを改善することである。
【0007】
この目的は、本発明による、独立請求項に記載の機能を特徴とするような攪拌ボールミルによって達成される。本発明による攪拌ボールミルの有利な実施例は、従属請求項の主題を構成する。
【0008】
具体的には、材料を微細に粉砕または分散するための本発明による攪拌ボールミルは、円筒状または円錐状の粉砕室を備える。粉砕室は、粉砕体を収容するためのものであって、また、粉砕または分散されるべき材料を収容するためのものである。攪拌ボールミルは、また、粉砕または分散されるべき材料のための入口を備える。入口は、粉砕室の一方の端部に配置されている。また、攪拌ボールミルは攪拌機を備える。攪拌機は、軸方向において粉砕室内に延在しており、攪拌手段を有する。攪拌手段によって、粉砕体、及び、粉砕または分散されるべき材料は、粉砕室において移動される。さらに、攪拌ボールミルは、粉砕または分散された材料の製品排出口を備える。排出口は、粉砕室の他方の端部に配置されている。粉砕室の排出端部における中央領域には、気体排出部が配置されており、気体排出部を介して、粉砕体ではなく、気体成分が排出され得る。
【0009】
それゆえ、本発明は、粉砕室から気体成分を除去するための排出システムである。本発明において、攪拌手段を用いて攪拌機によって生じた遠心力は、気体成分を、具体的には気泡を、固体懸濁液から分離するために利用される。遠心力場では、固体懸濁液及び粉砕体は(気泡と比較して)高密度であるがゆえに、外側に遠心分離される。その一方で、気泡は、例えば空気泡は、中央領域(ほぼ中心)に滞留する。基本的に、攪拌機の攪拌手段の種類や形状に関わらず、このような分離が生じる。そのため、粉砕室の排出端部における中心に配置された気体排出部を通って、粉砕室から「気体が排出される」ことが可能である。この気体排出部の構成に応じて、粉砕体の流出を妨げるために、気体排出部にスクリーンを備えることが好ましい。
【0010】
設計上様々な方法で気体を排出することが可能である。基本的に、排気孔を備えれば十分であるが、本発明による攪拌ボールミルの実施例においては、気体排出部は軸方向に延在する気体排出通路を備える。
【0011】
本発明について多くの変形例が考えられる。従って、本発明による攪拌ボールミルの実施例において、攪拌機は軸を有している。この軸に、攪拌手段が固定されており、軸方向に延在する気体排出通路が、軸を貫通している。
【0012】
本発明による攪拌ボールミルのほかの実施例においては、軸方向に延在する気体排出通路は、終端壁を貫通して延出する。終端壁は、排出端部に配置され、円筒状または円錐状の粉砕室に連結する。本変形例は、設計が容易であって、以下説明されるように、多くのさらなる変形例が可能である。
【0013】
それゆえ、本発明による攪拌ボールミルの別の実施例においては、粉砕または分散された材料の製品排出口もまた、同様に、排出端部側終端壁の中央領域に配置され、本発明では排出端部側終端壁を通って軸方向に延在する製品排出通路を備える。この場合、製品排出通路及び気体排出通路を、それぞれ互いに別の排出通路として設計することも可能である。代替例として、気体排出通路の出口は、製品排出通路の出口より上流にある、製品排出通路へと、開口していてもよい。これによって、流出する製品に空気が混入され得るといった、一種のベンチュリ効果が達成され得る。
【0014】
本発明による攪拌ボールミルのさらに別の実施例においては、粉砕体は通過させない一方粉砕または分散された材料を通過させることができる分離手段(例えば、溝付スクリーン)が、製品排出口の上流、あるいは、製品排出通路の上流に配置されている。それによって、粉砕または分散された材料は、分離手段を介して、実質的に径方向のみに通過可能であり、その後、製品排出口あるいは製品排出通路へと進入し得る。そのため、遠心力によって径方向外側に配置されている粉砕または分散された製品は、製品排出口の方向に沿って分離手段を介して径方向に還流されることができる。製品排出口は、排出端部側終端壁の中心に配置されている。本実施形態では、粉砕体は、分離手段によって制止される。その一方で、所望の仕様(粒子径)を有する粉砕または分散された製品は、分離手段(例えば、溝付スクリーン)を介して製品排出口の方向に流れ得る。この場合、分離手段は、円筒状スクリーンカートリッジとして設計されていてもよく、気体排出通路は、当該スクリーンカートリッジの内部における中心を通って、軸方向に延在している。円筒状スクリーンカートリッジは、必要に応じて、容易に、取り替えあるいは洗浄され得る。
【0015】
本明細書の導入部で述べたように、攪拌ボールミルの実施例においては、スクリーンを、気体排出部または気体排出通路の入口に配置することも可能である。また、このスクリーンは、少なくとも粉砕体を粉砕室内で制止するように設計されている。
【0016】
気体の排出を促進するために、気体排出部の出口または気体排出通路の出口が、真空容器に接続されていてもよい。当該真空容器に吸引された製品は、分離されて、別々に攪拌ボールミルの入口へと戻される。
【0017】
上述のように、攪拌機の軸にある攪拌手段の種類や形状は、必要とされる目的に応じて最適に選択され得る。具体的には、攪拌機は、軸であって、攪拌手段として、外輪、ディスク、あるいは、当該軸に固定されたピン、を有する軸を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による攪拌ボールミルの、第1実施例を詳細に示す図である。
図2】本発明による攪拌ボールミルの、第2実施例を詳細に示す図である。
図3】本発明による攪拌ボールミルの、第3実施例を詳細に示す図である。
図4】本発明による攪拌ボールミルの、第4実施例を詳細に示す図である。
図5】気体排出通路に接続された真空容器を有する、本発明による攪拌ボールミルの第5実施例を詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による攪拌ボールミルのさらに有利な局面は、図面を参照しつつ、以下の実施例の説明から理解され得る。
図1は、本発明による攪拌ボールミル1の第1実施例の詳細(排出端部)を示す。本実施形態において、気体排出通路140は、粉砕室10の排出端部側終端壁100を貫通し引き出されている。別体の製品排出口または製品排出通路は、本実施例には図示されていない。ディスク形状に設計された攪拌手段131は、攪拌機13の軸130に配置されている。
【0020】
図2は、本発明による攪拌ボールミル1aの第2実施例の詳細(排出端部)を示しており、攪拌ボールミル1aは、攪拌機13aの軸130aを軸方向に貫通する気体排出通路140aを有する。本実施例では、気体排出通路140aは、粉砕室10aの排出端部側終端壁100aを貫通して外側に引き出されるのではなく、攪拌機の軸130aにおける外側に引き出される。本実施例の場合においても、攪拌手段131aは、図1の実施例と同様に、ディスク形状に設計されている。
【0021】
図3は、本発明による攪拌ボールミル1bの第3実施例の詳細(排出端部)を示しており、攪拌ボールミル1bは、粉砕室10bと攪拌機13bの軸130bとを備える。軸130bは攪拌手段131bを有し、攪拌手段131bは、外輪型の促進器として軸130bに配設されている。気体排出通路140bは、スクリーンカートリッジ150bの内部における中心を通り抜けているが、別体の気体排出通路140bとして粉砕室10bの外へ引き出されているのではなく、出口端部側終端壁100bの領域で製品排出通路120bへ向かって開口している。これによって、製品排出通路120bを通って送り出された固体懸濁液が、例えば気泡といった気体成分に混入するので、一種のベンチュリ効果を達成することができる。
【0022】
図4は、本発明による攪拌ボールミル1cの第4実施例の詳細(排出端部)を示す。本実施形態においては、外輪型の撹拌手段131c(促進器)に加えて、追加の撹拌手段131cが、攪拌機13cの軸130cにおける端部領域に備えられていることがわかる。さらには、本実施例においては、気体排出通路140cは、スクリーンカートリッジ150cと、排出端部側終端壁100cとをそれぞれ別に通って、粉砕室10cから外へ引き出される。すなわち、図3に基づく実施例と対照的に、気体排出通路140cは、製品排出通路120cに向かって開口していない。
【0023】
図5は、本発明による攪拌ボールミル1dの第5実施例の概略図を示しており、攪拌ボールミル1dは、真空容器2を有している。真空容器2は、攪拌ボールミル1dの気体排出通路140dに接続されている。本発明による攪拌ボールミル1dの第5の実施例は、また、円筒状の粉砕室10dと、入口11とを備える。入口11は、粉砕室10dの一方の端部に配置されており、例えば固体懸濁液のような、粉砕または分散されるべき材料に用いられることが意図される。粉砕または分散されるべき材料は、入口11を介して粉砕室10dへと供給され得る。粉砕室10dは、作動中、(典型的には球状の)粉砕体(図示されていない)を有する。粉砕体は、例えば、セラミック材料や、高い耐磨耗性を有する材料から構成される。また、粉砕室10dには、攪拌機13dが配置されている。攪拌機13dは、チャンバー軸、即ち回転軸101dに沿って回転し得るものであって、軸130dに固定された撹拌手段131dを有する。
【0024】
さらに、図5に基づく攪拌ボールミル1dの実施例では、製品排出口12が設けられている。製品排出口12は、粉砕室10dの他方の端部(排出端部)に配置されており、粉砕または分散された材料に使用されることが意図されている。製品排出口12は、製品排出通路120dを有する。製品排出通路120dは、粉砕室10dの排出端部側終端壁100dを貫通して延在しているが、ここでは、一例として、湾曲した管として示されている。図5は、また、気体排出通路140dの形態で気体排出部14を示す。気体排出通路140dは、粉砕室10dの排出端部における中心に配置されており、ここでは、一例として、製品排出通路120dの形態の管とは別に、粉砕室10dから外へ導かれている別体の管の形態で設計されている。
【0025】
また、図5において、粉砕室10dの排出端部の領域に、溝付スクリーン(図示されていない)を有する円筒状スクリーンカートリッジ150dの形態での分離手段15が備えられていることがわかる。溝付スクリーンを通って、粉砕または分散された材料だけが実質的に径方向に(外側から内側へ)通過することが可能であり、それによって、当該材料が、製品排出通路120dへ送り入れられ得る。しかしながら、基本的に、粉砕あるいは分散された材料、及び、粉砕体は、例えば、分離ギャップを回転させる、または、他の好適な方法を用いる等によって、他の方法でも分離することが可能である。
【0026】
図5に示される攪拌ボールミル1dの実施例においても、撹拌手段131dは外輪型の促進器として設計されているが、これは、粉砕体と、粉砕または分散されるべき材料とを、攪拌軸130dに対して径方向に推進させるためである。外輪型の撹拌手段131d(促進器)が回転することによって、粉砕体は、遠心力を受けることとなり、この遠心力によって、粉砕体は径方向外側へ進められる。
【0027】
本明細書の導入部で既に述べたように、材料中に気泡が発生すると、導入部で言及した問題(被膜が形成されること、及び、粉砕体、および/または、粉砕または分散されるべき材料が互いに粘着すること、粉砕容量が減少すること、攪拌ボールミルが停止する可能性があること、さらに著しく発泡すること、スクリーンが閉塞すること、粉砕室の圧力が上昇すること、作動が中断する可能性があること)を生じることがある。固体懸濁液の濃度は、他のいかなる気体成分、例えば気泡、の濃度よりも高いため、気泡は、粉砕室10dの中央領域で集まってしまう。この気泡は、気体排出通路140dを通り外側方向へ放出され得る(送り出され得る)。気体排出通路140dも、同様に、排出端部における中心に(すなわち、中央の領域に)配置されており、それによって、泡の発生が避けられるか、あるいは、いずれにしてもかなり低減され得る。
【0028】
気体排出通路140dは、粉砕室10dの排出端部側終端壁を貫通している。気体排出通路140dの出口は、本実施例においては、既に上述した真空容器2と接続し、その真空容器2の一部は真空ポンプ3に接続されている。いかなる粉砕体も共に粉砕室10dから流出できないようにするために、スクリーン(図示されていない)が、気体排出通路140dへの入口に配置されていてもよい。真空ポンプ3は、真空容器2において負圧を発生させる。その結果、気体成分は、気体排出通路140dを通って粉砕室10dから放出される(送り出される)。気体排出通路140dは、スクリーンカートリッジ150dの内部における中心を通り、軸方向に延在している。微量の固体懸濁液もまた、負圧によって粉砕室から吸引されて抽出された場合には、当該微量の固体懸濁液は、真空容器2で分離された後、搬出ポンプ4によって、粉砕または分散された材料に供給される。粉砕または分散された材料は、可能であれば入口11を介して、引き出され得るか、あるいは、粉砕室10d内へ(あるいは、混合容器へ)戻される(引き戻される)。
【0029】
本発明は、攪拌ボールミルについての上述の実施例を参照して説明されてきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものとして理解されるべきではない。上述の攪拌ボールミルの種々の変形例及び改良例は、本発明の技術的教示から逸脱することなく、考えられ得る。そのごく一例として、言及しておくが、たとえ説明された実施例の全てに上述の気体排出通路が備えられていたとしても、必ずしも気体排出口が通路を備えていなければならないというわけではなく、気体排出口が出口開口として設計されることも基本的には可能である。本発明の範囲は、それゆえ、以下の請求項によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5