【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明にかかる枠練り石鹸は、
ナトリウムを必須とし有機アミンおよびカリウムを任意とする対イオンで調製された脂肪酸塩ないしアシルアミノ酸塩を含む高温石鹸液を筒状冷却枠で冷却・固化して製造される、平均粒径100μm以下の気泡が10容量%以上均一に混入されたことを特徴とする。
また、前記石鹸において、脂肪酸石鹸部が組成物中25〜40質量%であり、脂肪酸組成中、イソステアリン酸が2〜10質量%、ステアリン酸が10〜25質量%であることが好適である。
また、前記石鹸において、対イオンは、ナトリウム:(有機アミン+カリウム)がモル比で10:0〜7:3であることが好適である。
【0009】
また、前記石鹸において、多価アルコール、グリセリン化合物、糖、糖アルコールを含む保湿剤部が35〜55質量%であり、水分が15〜25質量%であることが好適である。
また、前記枠練り石鹸において、高温石鹸液の凝固点は45〜60℃であることが好適である。
また、前記枠練り石鹸において、筒状冷却枠は、複数の樹脂製個装部が液路を介して連結された長尺状樹脂製容器であることが好適である。
【0010】
また、前記石鹸において、枠練り石鹸は50g以下の小型石鹸であることが好適である。
なお、本発明にかかる枠練り石鹸は、気泡が混入された高温石鹸液を筒状冷却枠に投入する際、石鹸液の注入配管吐出口近傍に配置されたミルにより気泡の微細・均一化を行いつつ冷却枠に投入して製造することができる。
【0011】
また、前記方法において、ミルは、配管と略同径の円筒状ステータと、該ステータと0.4mm以下の間隙を有し、流路と同軸で回転する外周にブレードを有したロータとを備えることが好適である。
また、前記方法において、前記円筒状ステータは直径が100〜200mmであり、ロータの回転数は2000〜4000rpmであることが好適である。
当該製法による石鹸は、溶解性と泡立ちが良好で、膨潤はしにくいことを特徴とする。
以下、本発明の構成についてさらに詳細に説明する。
【0012】
本発明にかかる枠練り石鹸は、筒状冷却枠に石鹸液を注入・冷却・固化させて製造される。このため、特に50g以下程度の小型石鹸に適用することが好適である。
【0013】
[石鹸部]
本発明における石鹸部としては、脂肪酸石鹸ないしN−アシル中性アミノ酸石鹸が好ましい。
ここで、本発明の枠練り石鹸で使用される、脂肪酸塩における脂肪酸としては、炭素原子数が好ましくは8〜20、より好ましくは12〜18の、飽和または不飽和の脂肪酸であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リシノレイン酸、リノール酸、リノレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等や、それらの混合物である牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等が挙げられる。
【0014】
N−アシル中性アミノ酸塩としては、N−アシルグリシン塩、N−アシルアラニン塩、N−アシル−β−アラニン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩及びN−アシルメチルタウリン塩などが例示される。
また、本発明にかかる枠練り石鹸は、対イオンとしてナトリウムが必須であり、その他の対イオンとしてカリウム及び/又は有機アミンが採用され得る。
【0015】
ここで、有機アミンとして具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン等が好適なものとして例示され、これらの中ではトリエタノールアミンが特に好ましい。有機アミンは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0016】
又、水酸化ナトリウムと、水酸化カリウムないし有機アミンとの割合はモル比で、10:1〜7:3が好ましい。
【0017】
本発明の枠練り石鹸は、通常の固形石鹸の製造法に従って製造することが出来る。例えば、脂肪酸又は動植物油とアルカリとをけん化させ、必要に応じてその他の成分を混合した混合物を加熱溶融して型に流し込み冷却固化させる枠練り法により製造することができる。
【0018】
本発明において、脂肪酸石鹸部100質量部あたり、イソステアリン酸石鹸が2〜10質量部、ステアリン酸石鹸が10〜25質量部であることが好ましく、この領域で冷却枠から石鹸素地棒を取り出した際の割れ、裂けを防止することができ、しかもべたつきも効果的に抑制できる。
【0019】
本発明の枠練り石鹸における、脂肪酸塩の含有量は、製品重量50g以下の小型石鹸とする場合、25〜40質量%以上、特に30〜37質量%であることが好ましい。この含有量が25質量%未満であると、凝固点が低くなるため、長期保存すると表面が溶融して、商品価値を損なうおそれがある。逆に、40質量%を超えると、摩擦溶解度が低下し、小型石鹸としての使用性が低下する傾向にある。
【0020】
[保湿剤部]
本発明において好適に用いられる糖・保湿剤としては、マルチトール、ソルビトール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、砂糖、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ポリオキシエチレンアルキルグルコシドエーテル等が例示され、組成物中35〜55質量部配合することが好適である。これらのうち、PEG1500を糖・保湿剤部中、5〜20質量部配合することが特に好ましい。PEG1500の配合により小型石鹸に特有に要求される高摩擦溶解度が改善される。
また、PEG−90Mを組成物中0.001〜0.01質量部程度配合することにより、気泡入り石鹸に見られる脆弱性を改善することができる。
【0021】
[ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤]
本発明にかかる枠練り石鹸にはヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤を添加することが好適であり、泡立ちの改善が認められる。
本発明において好適なヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤は下記構造(D)を有する。
【0022】
【化1】
【0023】
(式中、R
1は炭素原子数4〜34の飽和又は不飽和の炭化水素基を表し;X
1、X
2のいずれか一方は−CH
2COOM
1を表し、他方は水素原子を表し;M
1は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウム、低級アルカノールアミンカチオン、低級アルキルアミンカチオン、又は塩基性アミノ酸カチオンを表す。)
【0024】
式中、R
1は芳香族炭化水素、直鎖状又は分岐状脂肪族炭化水素のいずれでもよいが、脂肪族炭化水素、特にアルキル基、アルケニル基が好ましい。例えば、ブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルウンデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ウンデシルヘキサデシル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基等が好ましい例として挙げられ、中でもデシル基、ドデシル基が界面活性能力の面で優れている。
【0025】
また、式中、X
1、X
2のいずれか一方は−CH
2COOM
1で表されるが、M
1としては、水素原子、リチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0026】
具体的には、上記(A)ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤のうち、ドデカン−1,2−ジオールのいずれかのOH基のHが−CH
2COONaで置換されたドデカン−1,2−ジオール・酢酸エーテルナトリウムが本発明で最も好ましい。
なお、本発明においてヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤は、泡立ちを改善する観点から0.5〜15質量%、好ましくは0.7〜10質量%配合することができる。
【0027】
[キレート剤]
また、本発明にかかる洗浄組成物に、キレート剤を添加することが好適である。
【0028】
また、本発明において好適に用いられるキレート剤としては、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩が挙げられ、さらに好ましくは、ヒドロキシエタンジホスホン酸である。配合量としては、0.001〜1.0質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である。ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩の配合量が0.001質量%より少ない場合は、キレート効果が不十分となり、経時で黄変等の不都合を生じ、1.0質量%より多いと皮膚への刺激が強くなり、好ましくない。
【0029】
本発明の枠練り石鹸には、上記した作用を損なわない範囲内で、次のような成分を任意に配合することができる。この任意成分としては、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの洗浄補助剤、トリクロロカルバニリド、ヒノキチオール等の殺菌剤;ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ポリオキシエチレンアルキルグルコシドエーテル等の保湿剤;油分;香料;色素;エデト酸3ナトリウム2水和物等のキレート剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;グリチルリチン酸ジカリウム、オオバコエキス、レシチン、サポニン、アロエ、オオバク、カミツレ等の天然抽出物;非イオン性、カチオン性あるいはアニオン性の水溶性高分子;乳酸エステル等の使用性向上剤;アルキルエーテルカルボン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ジナトリウム、アルキルイセチオン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、アシルメチルタウリン、アシルサルコシン酸ナトリウム等の起泡性向上剤;等である。