【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
<デンドリマーAの合成>
上記の式(I)におけるR
1が、下記の式(E1)で表されるデンドリマーを次のようにして合成した。
【0061】
【化10】
【0062】
6−[4−(4−ヘキシルフェニルジアゼジル)フェノキシ]ヘキサノールの合成
200mlの三口フラスコに、4−(4−ヘキシルフェニルジアゼニル)フェノール(5.0g、17.7mmol)、6−ブロモヘキサノール(4.9g、18mmol)、炭酸カリウム(2.45g、17.7mmol)及びエタノール(20ml)を入れて溶解し、48時間加熱還流した。加熱還流が終了した後、減圧下でエタノールを除去して得られた残渣をジエチルエーテルに溶解し、この溶液を水で3回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸ナトリウムを加えて水分を除去した後、ジエチルエーテルを減圧下で留去し、得られた残渣をn−ヘキサンで再結晶させることで、橙色の針状結晶を収量3.9g(収率58%)で得た。この針状結晶は、IRにより、3289cm
-1(OH)、2919cm
-1(C−H)、1473cm
-1(N=N)、1253cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。
【0063】
6−[4−(4−ヘキシルフェニルジアゼジル)フェノキシ]ヘキシルアクリレートの合成
100mlの三口フラスコに、6−[4−(4−ヘキシルフェニルジアゼジル)フェノキシ]ヘキサノール(3.5g、9.2mmol)、トリエチルアミン(0.92g、9.2mmol)及びTHF(30ml)を入れて溶解し、氷で0℃に冷却した。この溶液に塩化アクリロイル(1.2g、14mmol)を注射器を用いて加え、室温で24時間撹拌した。生じた白色固体をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(固定相:シリカゲル、移動相:クロロホルム)により精製し、黄色固体を収量3.4g(収率85%)で得た。この黄色固体は、IRにより、2935cm
-1(C−H)、1716cm
-1(C=O)、1473cm
-1(N=N)、1261cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。また、この黄色固体の元素分析値は、C
27H
36N
2O
3として計算した値と0.5%の範囲内で一致した。(計算値〜C:74.28%、H:8.31%、N:6.42%、実測値〜C:74.48%、H:8.61%、N:6.35%)
【0064】
デンドリマーAの合成
100mlのナスフラスコに、アルドリッチ社製DAB−Am−8(0.39g、0.51mmol)、6−[4−(4−ヘキシルフェニルジアゼジル)フェノキシ]ヘキシルアクリレート(4.9g、11mmol)及びTHF(20ml)を入れ、50℃で72時間加熱した。次に、この溶液を減圧下で濃縮した後、残渣を少量のTHFに溶解して400mlのヘキサンに加え、上澄みをデカンテーションによって除去し、沈殿物を回収した。この操作を2回繰り返すことによって精製し、ペースト状の橙色固体を収量3.9g(収率98%)で得た。この橙色固体は、IRにより、2931cm
-1(C−H)、1735cm
-1(C=O)、1457cm
-1(N=N)、1253cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。また、この橙色固体の元素分析値は、C
472H
672N
46O
48として計算した値と0.5%の範囲内で一致した。(計算値〜C:73.07%、H:8.73%、N:8.30%、実測値〜C:72.86%、H:8.49%、N:8.40%)さらに、この橙色固体のDSC測定を行ったところ、昇温過程においては−13℃にTg、33℃及び83℃に吸熱ピークが観測され、また、降温過程においては81℃及び28℃に発熱ピーク、−29℃にTgが観測された。
【0065】
<デンドリマーBの合成>
上記の式(I)におけるR
1が、下記の式(E2)で表されるデンドリマーを次のようにして合成した。
【0066】
【化11】
【0067】
6−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ヘキサノールの合成
200mlのナスフラスコに、4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシフェノール(10g、41mmol)、6−ブロモヘキサノール(8.8g、49mmol)、炭酸カリウム(11g、80mmol)及び2−ブタノン(50ml)を入れて溶解し、60時間加熱還流した。加熱還流が終了した後、減圧下で2−ブタノンを除去して得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、この溶液を水で3回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸ナトリウムを加えて水分を除去した後、酢酸エチルを減圧下で留去し、得られた残渣をn−ヘキサンで再結晶させることで、白色結晶を収量6.2g(収率44%)で得た。この白色結晶は、IRにより、3340cm
-1(OH)、2922cm
-1(C−H)、1245cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。
【0068】
6−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ヘキシルアクリレートの合成
200mlの三口フラスコに、6−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ヘキサノール(6.0g、17mmol)、トリエチルアミン(2.2g、22mmol)及びTHF(50ml)を入れて溶解し、氷で0℃に冷却した。この溶液に塩化アクリロイル(1.9g、21mmol)を注射器を用いてゆっくり加え、室温で12時間撹拌した。生じた白色固体をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した後、得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、100mlの水で3回洗浄した。次に、有機相に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、減圧下で濃縮した。次に、残渣をカラムクロマトグラフィー(固定相:シリカゲル、移動相:ヘキサン/クロロホルム(容積比率50:1))により精製し、無色透明な液体を収量6.4g(収率93%)で得た。この液体は、IRにより、2920cm
-1(C−H)、1716cm
-1(C=O)、1245cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。
【0069】
デンドリマーBの合成
20mlのナスフラスコに、アルドリッチ社製DAB−Am−8(0.16g、0.21mmol)、6−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ヘキシルアクリレート(4.0g、10mmol)及びTHF(5ml)を入れ、50℃で72時間加熱した。次に、この溶液を減圧下で濃縮した後、残渣を少量のクロロホルムに溶解して100mlのメタノールに加え、上澄みをデカンテーションによって除去し、沈殿物を回収した。この操作を2回繰り返すことによって精製し、ペースト状の淡黄色固体を収量0.45g(収率30%)で得た。この淡黄色固体は、IRにより、2921cm
-1(C−H)、1736cm
-1(C=O)、1247cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。また、この淡黄色固体の元素分析値は、C
456H
736N
14O
48として計算した値と0.5%の範囲内で一致した。(計算値〜C:76.25%、H:10.33%、N:2.73%、実測値〜C:76.09%、H:10.52%、N:2.80%)また、この淡黄色固体のMALDI−TOF−MSによる分子量を測定したところ、理論値m/Z=7183(M+H)に対して、実測値m/Z=7181.2(M+H)であった。さらに、この淡黄色固体のDSC測定を行ったところ、昇温過程においては−24℃にTg、14℃及び73℃に吸熱ピークが観測され、また、降温過程においては69℃及び15℃に発熱ピーク、−26℃にTgが観測された。
【0070】
<デンドリマーCの合成>
上記の式(I)におけるR
1が、下記の式(E3)で表されるデンドリマーを次のようにして合成した。
【0071】
【化12】
【0072】
3−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]プロパノールの合成
300mlのナスフラスコに、4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノール(15g、61mmol)、3−ブロモ−1−プロパノール(10g、73mmol)、炭酸カリウム(17g、122mmol)及び2−ブタノン(80ml)を入れて溶解し、60時間加熱還流した。加熱還流が終了した後、減圧下で2−ブタノンを除去して得られた残渣を300mLの酢酸エチルに溶解し、この溶液を100mLの水で3回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸ナトリウムを加えて水分を除去した後、酢酸エチルを減圧下で留去し、得られた残渣をヘキサンで再結晶させることで、白色結晶を収量12.2g(収率66%)で得た。この白色結晶は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、7.2〜7.0ppm(d,2H,ArH)、6.9〜6.8ppm(d,2H,ArH)、4.1ppm(t,2H,OCH
2)、3.85ppm(q,2H,PhCH
2)、2.4ppm(m,1H,ArCH)、1.9〜1.2ppm(m,20H,CH
2)、0.85ppm(t,3H,CH
3)のδが観測された。また、IRにより、3340cm
-1(OH)、2922cm
-1(CH)、1245cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。
【0073】
3−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]プロピルアクリレートの合成
300mlのナスフラスコに、3−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]プロパノール(10g、33mmol)、トリエチルアミン(3.4g、33mmol)及びTHF(100ml)を入れて溶解し、氷で0℃に冷却した。この溶液に塩化アクリロイル(4.4g、49mmol)を注射器を用いて加え、室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧除去して得られた残渣を300mLの酢酸エチルに溶解し、この溶液を100mLの水で3回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、減圧下で濃縮させた。そして、残渣をカラムクロマトグラフィー(固定相:シリカゲル、移動相:クロロホルム)により精製し、白色固体を収量8.6g(収率73%)で得た。この白色固体は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、7.2〜7.0ppm(d,2H,ArH)、6.9〜6.8ppm(d,2H,ArH)、6.4〜5.8ppm(m,3H,OCHCH
2)、4.3ppm(t,2H,OCH
2)、4.0ppm(q,2H,PhCH
2)、2.4ppm(m,1H,ArCH)、1.9〜1.2ppm(m,20H,CH
2)、0.85ppm(t,3H,CH
3)のδが観測された。また、IRにより、2920cm
-1(C−H)、1715cm
-1(C=O)、1245cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。
【0074】
デンドリマーCの合成
200mlの二口フラスコに、アルドリッチ社製DAB−Am−8(0.48g、0.57mmol)、3−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]プロピルアクリレート(6.5g、18mmol)及びTHF(10ml)を入れ、窒素雰囲気下、50℃で7日間攪拌した。次に、この溶液を減圧下で濃縮した後、残渣を少量のクロロホルムに溶解してメタノールに加え、上澄みをデカンテーションによって除去し、沈殿物を回収した。この操作を3回繰り返すことによって精製し、淡黄色固体を収量2.1g(収率57%)で得た。この淡黄色固体は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、7.2〜6.7ppm(m,64H,ArH)、4.2ppm(t,32H,OCH
2)、3.95ppm(t,32H,PhOCH
2)、2.74ppm(t,32H,N−CH
2)、2.6〜2.2ppm(t,100H,N−CH
2,CH
2C=O,ArCH)、1.9〜0.9ppm(m,332H,CH
2)、0.85ppm(t,48H,CH
3)のδが観測された。また、IRにより、2923cm
-1(C−H)、1735cm
-1(C=O)、1243cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。また、この淡黄色固体のMALDI−TOF−MSによる分子量を測定したところ、理論値m/Z=6531.82(M+Na)に対して、実測値m/Z=6531.69(M+Na)であった。さらに、この淡黄色固体の元素分析値は、C
408H
640N
14O
48として計算した値と0.5%の範囲内で一致した。(計算値〜C:75.28%、H:9.91%、N:3.01%、実測値〜C:75.26%、H:10.10%、N:2.85%)また、この淡黄色固体のDSC測定を行ったところ、昇温過程においては17℃及び78℃に吸熱ピークが観測され、また、降温過程においては74℃及び15℃に発熱ピークが観測された。
【0075】
<デンドリマーDの合成>
上記の式(I)におけるR
1が、下記の式(E4)で表されるデンドリマーを次のようにして合成した。
【0076】
【化13】
【0077】
12−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ドデカノールの合成
300mlのナスフラスコに、4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノール(15g、61mmol)、12−ブロモ−1−ドデカノール(19g、73mmol)、炭酸カリウム(17g、122mmol)及び2−ブタノン(100ml)を入れて溶解し、60時間加熱還流した。加熱還流が終了した後、減圧下で2−ブタノンを除去して得られた残渣を300mLの酢酸エチルに溶解し、この溶液を100mLの水で3回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸ナトリウムを加えて水分を除去した後、酢酸エチルを減圧下で留去し、得られた残渣をヘキサンで再結晶させることで、白色結晶を収量21.5g(収率82%)で得た。この白色結晶は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、7.2〜7.0ppm(d,2H,ArH)、6.9〜6.8ppm(d,2H,ArH)、3.9ppm(t,2H,OCH
2)、3.6ppm(q,2H,PhCH
2)、2.4ppm(m,1H,ArCH)、1.9〜1.2ppm(m,38H,CH
2)、0.86ppm(t,3H,CH
3)のδが観測された。また、IRにより、3340cm
-1(OH)、2922cm
-1(CH)、1245cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。
【0078】
12−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ドデシルアクリレートの合成
300mlのナスフラスコに、12−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ドデカノール(15g、35mmol)、トリエチルアミン(3.5g、35mmol)及びTHF(150ml)を入れて溶解し、氷で0℃に冷却した。この溶液に塩化アクリロイル(4.7g、52mmol)を注射器を用いて加え、室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧除去して得られた残渣を400mLの酢酸エチルに溶解し、この溶液を200mLの水で3回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、減圧下で濃縮させた。そして、残渣をカラムクロマトグラフィー(固定相:シリカゲル、移動相:クロロホルム)により精製し、白色固体を収量9.2g(収率55%)で得た。この白色固体は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、7.2〜7.0ppm(d,2H,ArH)、6.9〜6.8ppm(d,2H,ArH)、6.4〜5.8ppm(m,3H,OCHCH
2)、4.3ppm(t,2H,OCH
2)、4.0ppm(q,2H,PhCH
2)、2.4ppm(m,1H,ArCH)、1.9〜1.2ppm(m,38H,CH
2)、0.85ppm(t,3H,CH
3)のδが観測された。また、IRにより、2923cm
-1(CH)、1717cm
-1(C=O)、1244cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。
【0079】
デンドリマーDの合成
200mlの二口フラスコに、アルドリッチ社製DAB−Am−8(0.26g、0.34mmol)、12−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ドデシルアクリレート(8.0g、17mmol)及びTHF(15ml)を入れ、窒素雰囲気下、50℃で7日間攪拌した。次に、この溶液を減圧下で濃縮した後、残渣を少量のクロロホルムに溶解してメタノールに加え、上澄みをデカンテーションによって除去し、沈殿物を回収した。この操作を3回繰り返すことによって精製し、淡黄色固体を収量1.1g(収率38%)で得た。この淡黄色固体は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、7.2〜6.7ppm(m,64H,ArH)、4.05ppm(t,32H,OCH
2)、3.9ppm(t,32H,PhOCH
2)、2.75ppm(t,32H,N−CH
2)、2.6〜2.2ppm(t,100H,N−CH
2,CH
2C=O,ArCH)、1.9〜0.9ppm(m,640H,CH
2)、0.85ppm(t,48H,CH
3)のδが観測された。また、IRにより、2921cm
-1(C−H)、1733cm
-1(C=O)、1245cm
-1(PhO−)の特性吸収が観測された。また、この淡黄色固体のMALDI−TOF−MSによる分子量を測定したところ、理論値m/Z=8552.08(M+Na)に対して、実測値m/Z=8552.12(M+Na)であった。さらに、この淡黄色固体の元素分析値は、C
552H
928N
14O
48として計算した値と0.5%の範囲内で一致した。(計算値〜C:77.73%、H:10.97%、N:2.30%、実測値〜C:77.48%、H:11.02%、N:2.29%)また、この淡黄色固体のDSC測定を行ったところ、昇温過程においては74℃及び82℃に吸熱ピークが観測され、また、降温過程においては79℃及び72℃に発熱ピークが観測された。
【0080】
<デンドリマーEの合成>
上記の式(I)におけるR
1が、下記の式(E5)で表されるデンドリマーを次のようにして合成した。
【0081】
【化14】
【0082】
300mlのナスフラスコに、アルドリッチ社製DAB−Am−8(0.28g、0.31mmol)、甲陽化学工業株式会社製4−メトキシフェニル−6−ヘキシロキシアクリルベンゾエート(6.0g、15mmol)及びTHF(10ml)を入れ、窒素雰囲気下、50℃で7日間攪拌した。次に、この溶液を減圧下で濃縮した後、残渣を少量のクロロホルムに溶解してヘキサンに加え、上澄みをデカンテーションによって除去し、沈殿物を回収した。この操作を3回繰り返すことによって精製し、ペースト状の淡黄色固体を収量1.7g(収率76%)で得た。この淡黄色固体は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、8.2〜8.1ppm(d,32H,ArH)、7.1ppm(d,32H,ArH)、6.9ppm(t,64H,ArCH)、4.1ppm(t,32H,OCH
2)、4.0ppm(t,32H,PhOCH
2)、3.8ppm(s,48H,OCH
3)、2.74ppm(t,32H,N−CH
2)、2.6〜2.2ppm(t,84H,N−CH
2,CH
2C=O)、1.9〜0.9ppm(m,284H,CH
2)のδが観測された。また、IRにより、2944cm
-1(C−H)、1732cm
-1(C=O)、1250cm
-1(C−O−C)、1198cm
-1及び1169cm
-1(C(C=O)OC)の特性吸収が観測された。また、この淡黄色固体のMALDI−TOF−MSによる分子量を測定したところ、理論値m/Z=7170.57(M+Na)に対して、実測値m/Z=7172.48(M+Na)であった。
【0083】
<デンドリマーFの合成>
上記の式(I)におけるR
1が、下記の式(E6)で表されるデンドリマーを次のようにして合成した。
【0084】
【化15】
【0085】
300mlのナスフラスコに、アルドリッチ社製DAB−Am−8(0.33g、0.43mmol)、甲陽化学工業株式会社製6−(4−(4−フルオロフェニル)フェニロキシ)ヘキシルアクリレート(7.0g、20mmol)及びTHF(10ml)を入れ、窒素雰囲気下、50℃で7日間攪拌した。次に、この溶液を減圧下で濃縮した後、残渣を少量のクロロホルムに溶解してメタノールに加え、上澄みをデカンテーションによって除去し、沈殿物を回収した。この操作を3回繰り返すことによって精製し、淡黄色固体を収量1.9g(収率72%)で得た。この淡黄色固体は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、7.5〜7.2ppm(m,64H,ArH)、7.1ppm(t,32H,ArH)、6.9ppm(d,32H,ArCH)、4.1ppm(t,32H,OCH
2)、3.9ppm(t,32H,PhOCH
2)、2.74ppm(t,32H,N−CH
2)、2.6〜2.2ppm(t,84H,N−CH
2,CH
2C=O)、1.9〜0.9ppm(m,284H,CH
2)のδが観測された。また、IRにより、2940cm
-1(C−H)、1732cm
-1(C=O)、1235cm
-1(C−O−C)、1182cm
-1(C−F)、1160cm
-1(C(C=O)OC)の特性吸収が観測された。さらに、この淡黄色固体のDSC測定を行ったところ、昇温過程においては56.90℃に吸熱ピークが観測され、また、降温過程においては49.51℃に発熱ピークが観測された。
【0086】
<デンドリマーGの合成>
上記の式(I)におけるR
1が、下記の式(E7)で表されるデンドリマーを次のようにして合成した。
【0087】
【化16】
【0088】
300mlのナスフラスコに、アルドリッチ社製DAB−Am−8(0.25g、0.32mmol)、甲陽化学工業株式会社製6−(4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)フェニロキシ)ヘキシルアクリレート(6.0g、15mmol)及びTHF(10ml)を入れ、窒素雰囲気下、50℃で7日間攪拌した。次に、この溶液を減圧下で濃縮した後、残渣を少量のクロロホルムに溶解してヘキサンに加え、上澄みをデカンテーションによって除去し、沈殿物を回収した。この操作を3回繰り返すことによって精製し、淡黄色固体を収量1.3g(収率59%)で得た。この淡黄色固体は、
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)により、7.5〜7.2ppm(d,32H,ArH)、7.1ppm(t,32H,ArH)、6.9ppm(d,32H,ArCH)、4.1ppm(t,32H,OCH
2)、3.9ppm(t,32H,PhOCH
2)、2.74ppm(t,32H,N−CH
2)、2.6〜2.2ppm(t,84H,N−CH
2,CH
2C=O)、1.9〜0.9ppm(m,284H,CH
2)のδが観測された。また、IRにより、2943cm
-1(C−H)、1732cm
-1(C=O)、1243cm
-1(C−O−C)、1182cm
-1(C−F)、1118cm
-1(C(C=O)OC)の特性吸収が観測された。さらに、この淡黄色固体のDSC測定を行ったが、昇温過程及び降温過程のいずれにおいてもピークが観測されなかった。
【0089】
<デンドロンの合成>
下記の式(E8)で表されるデンドロンを次のようにして合成した。
【0090】
【化17】
【0091】
2−[N,N−ビス(2−シアノエチル)アミノ]エタノールの合成
200mLのナスフラスコに、水(60mL)、2−アミノエタノール(10g、0.17mmol)及びアクリロニトリル(22g、0.42mol)を入れ、80℃で1時間攪拌した後、減圧下でアクリロニトリル及び水を留去した。次に、残渣をクロロホルムに溶解し、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、クロロホルムを減圧下で除去することによって無色透明な液体を収量27g(収率97%)で得た。この液体のIRを測定したところ、3492cm
-1(OH)、2248cm
-1(CN)の特性吸収が観測された。
【0092】
2−[N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミノ]エタノールの合成
300mLの三口フラスコに、水素化リチウムアルミニウム(6.9g、0.18mol)及びTHF(160mL)を入れ、室温で30分攪拌した。次に、この溶液に−5℃で濃硫酸(3.6mL、0.068mol)を加え、さらに1時間攪拌した。次に、この溶液に2−[N,N−ビス(2−シアノエチル)アミノ]エタノール(5.0g、0.03mol)のTHF溶液(30mL)を加え、さらに室温で8時間攪拌した。次に、氷浴中で、この混合溶液に注射器を用いて水(9.7mL)を加えた。生成した固体をろ過することによって分離した後、固体をメタノールで24時間ソックスレー抽出した。次に、抽出液と、ろ過によって分離したろ液とを混合した後、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した。次に、減圧下で溶媒を除去することによって、黄色の液体を収量2.9g(収率54%)で得た。この液体のIRを測定したところ、3285cm
-1(OH)の特性吸収が観測された。
【0093】
デンドロンの合成
50mLのナスフラスコに、2−[N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミノ]エタノール(0.18g、1.0mmol)、6−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ヘキシルアクリレート(2.1g、5.1mmol)及びTHF(1.0mL)を入れ、窒素雰囲気下で3日間攪拌した。次に、減圧下でTHFを除去した後、残渣をクロロホルムに溶解し、この溶液を水で三回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、減圧下でクロロホルムを除去した。次に、残渣を少量のクロロホルムに溶解した後、この溶液を100mLのメタノールに加え、上澄みをデカンテーションによって除去することによって沈殿物を回収した。この操作を6回繰り返すことによって精製を行い、淡黄色固体を収量0.85g(収率49%)で得た。
【0094】
この淡黄色固体の
1H−NMR(CDCl
3,400MHz)を測定したところ、7.12〜6.79ppm(m,ArH,16H)、4.07ppm(t,COOCH
2,8H)、3.91ppm(t,PhOCH
2,2H)、3.53ppm(t,HOCH
2,2H)の特性吸収が観測された。また、この淡黄色固体のMALDI−TOF−MSによる分子量を測定したところ、理論値m/Z=1777.37(M+H)に対して実測値m/Z=1778.27(M+H)であった。また、この淡黄色固体のDSC測定を行ったところ、昇温過程においては14℃及び63℃に吸熱ピークが観測され、また、降温過程においては19℃及び58℃に発熱ピークが観測された。
【0095】
次に、上記の合成によって得られたデンドリマー又はデンドロンをそれぞれフッ素系混合液晶ZLI−4792(P型、メルク株式会社)と混合することによって液晶組成物を調製した。ここで、各液晶組成物中のデンドリマー又はデンドロンの配合量は1.0質量%とした。
次に、上記で得られた各液晶組成物を用い、
図3に示す液晶表示装置を作製した。
まずITO櫛型電極(弊社内製、電極間距離10μm、電極面積1cm
2)を備えた100mm×100mm×0.7mmのガラス基板7、偏光板6(日東電工株式会社製)を準備した。次に、ガラス基板7上に、高さ3μmのスペーサ4をフォトリソグラフィーによって形成した。次に、液晶注入口部となる部分を除くガラス基板7の周囲にディスペンサーを用いてUV硬化性樹脂(スリーボンド製3052)を塗布した後、スペーサ4を形成したガラス基板7と偏光板6とを重ね合わせ、偏光板6側を下にしてガラス基板7側からUV照射することによって接着させた。次に、上記で得られた液晶組成物を液晶注入口から真空注入し、上記のUV硬化性樹脂によって液晶注入口を封止した。その後、クロスニコル状態となるように他方の偏光板6をガラス基板7裏面上に配置した。
【0096】
次に、上記で作製した各液晶表示装置の垂直配向性を評価するために、輝度計(株式会社トプコン製、BM−5)を用いて評価した。具体的には、液晶表示装置をバックライトの上におき、液晶表示装置を挟んで反対側に輝度計を配置した。輝度の測定は、5箇所(中央部、上部、下部、左部及び右部)で行った。また、この評価において、一般的に、垂直配向が均一であれば、どの測定箇所においても等しく且つ輝度の値は小さくなるが、垂直配向が不十分であれば、光漏れによって輝度の値が大きくなる。
測定の結果、上記で作製した液晶表示装置では、いずれの測定箇所においても輝度の値が、垂直配向が不十分な場合に比べて明らかに小さく、垂直配向が均一であることを確認した。
【0097】
以上の結果からわかるように、本発明によれば、配向膜を形成することなく液晶分子の配向制御を行うことによって、配向膜の形成に起因する様々な問題を防止すると共に、当該技術分野において一般的に公知の安価なフレキシブル基板を用いることによって、軽量化、薄型化及びコストダウンが可能な液晶表示装置を提供することができる。