(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透明基板の一面上に、第1方向に延在する透明な第1の電極パターンと、該第1の電極パターンと絶縁膜を介して交差して第2方向に延在する透明な第2の電極パターンと、を備え、静電容量を検出する静電容量型入力装置用電極基板において、
前記第1の電極パターン及び前記第2の電極パターン上を覆うオーバーコート層と、
該オーバーコート層を覆う屈折率調整層と、を有し、
前記オーバーコート層の上面から前記屈折率調整層の上面までの間には、前記透明基板側から前記屈折率調整層の上面側へ向かって、低屈折率から高屈折率に変わる界面を有し、
前記屈折率調整層は、
前記オーバーコート層上に形成される低屈折率層と、
該低屈折率層よりも屈折率が大きい材料からなり、前記低屈折率層上に形成される高屈折率層と、を有し、
前記オーバーコート層の屈折率をn1、前記低屈折率層の屈折率をn2、前記高屈折率層の屈折率をn3としたとき、
n2<n1<n3
であることを特徴とする静電容量型入力装置用電極基板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、特許文献1において開示された技術によれば、電極パターンを構成する透明導電膜の下に、低屈折率層と高屈折率層とによって構成されるアンダーコート層を形成することにより、電極パターンを視認しにくくすることができる。
また、特許文献2で開示された技術では、各電極パターンの交差部の幅を小さくすると共に透明導電膜で形成することにより、電極パターンの交差部を目立ちにくくすることができる。
さらに、特許文献3の技術によれば、直接、透明導電膜からなる電極パターンの上に、低屈折率誘電体層と高屈折率誘電体層とを交互に積層することにより、電極パターンを視認しにくくすることができる。
【0011】
しかし、特許文献1〜3で開示された技術では、透明基板上に形成される電極パターン、電極パターンの交差部、さらには、電極パターン以外に備えられる配線パターンについて、それぞれを視認しにくくする効果が得られるものの、実際の静電容量型入力装置用電極基板においては、基板全面にわたって均一にこのような効果を得ることが難しく、局所的には電極パターンが視認される場合があり、より均一に電極パターンや配線パターンを目立ちにくくする技術が求められていた。より詳細には、静電容量型入力装置用電極基板においては、電極パターンは全面にわたって厚さが均一ではなく、局所的に複数の層が積層する構成を備えており、厚み方向において段差部(凹凸部)が形成されるため、この段差部を視認しにくくすることができる技術が求められていた。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の層を積層して形成される電極の厚み方向における段差部が目立ちにくく、全面にわたって均一に高い透明性を備えた静電容量型入力装置用電極基板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、静電容量型入力装置用電極基板の透明性を向上させることにより、静電容量型入力装置用電極基板の下方に備えられる画像表示領域の視認性が極めて高い静電容量型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、本発明の静電容量型入力装置用電極基板によれば、透明基板の一面上に、第1方向に延在する透明な第1の電極パターンと、該第1の電極パターンと絶縁膜を介して交差して第2方向に延在する透明な第2の電極パターンと、を備え、静電容量を検出する静電容量型入力装置用電極基板
において、前記第1の電極パターン及び前記第2の電極パターン上を覆うオーバーコート層と、該オーバーコート層を覆う屈折率調整層と、を有し、前記オーバーコート層の上面から前記屈折率調整層の上面までの間には、前記透明基板側から前記屈折率調整層の上面側へ向かって
、低屈折率から高屈折率に変わる界面を有
し、前記屈折率調整層は、前記オーバーコート層上に形成される低屈折率層と、該低屈折率層よりも屈折率が大きい材料からなり、前記低屈折率層上に形成される高屈折率層と、を有し、前記オーバーコート層の屈折率をn1、前記低屈折率層の屈折率をn2、前記高屈折率層の屈折率をn3としたとき、n2<n1<n3であること、により解決される。
【0014】
このように、本発明の静電容量型入力装置用電極基板は、第1の電極パターン及び第2の電極パターンの上に、オーバーコート層を備え、さらにその上には屈折率調整層を備えている。そして、この屈折率調整層は、オーバーコート層の上面から屈折率調整層の上面までの間において、透明基板側から屈折率調整層の上面側へ向かって低屈折率から高屈折率に変わる界面を備えるように形成されている。すなわち、オーバーコート層と屈折率調整層との界面、または屈折率調整層の内部には、透明基板側から屈折率調整層の上面側へ向かって
、低屈折率から高屈折率に変化する界面が形成される。
そして、上記構成の屈折率を調整する層を備えることにより、第1の電極パターン、絶縁膜、第2の電極パターンが積層されて厚さ方向に凹凸を備える構成の静電容量型入力装置用電極であっても、電極パターンの凹凸が目立ちにくくなり、透明基板の全面にわたって均一な外観とすることができる。
本発明の静電容量型入力装置用電極基板は、各電極パターン上に直接屈折率調整層を形成するのではなく、各電極パターン上にオーバーコート層を設けてその上面を均一に平滑な状態とした上で、さらに上記の屈折率調整層を備えるため、電極パターンの凹凸に由来する局所的に大きな反射率により凹凸部が視認されることを解消することができる。
したがって、本発明の静電容量型入力装置用電極基板は、電極パターンを極めて目立ちにくくすることが可能となる。
【0015】
また、オーバーコート層上において、低屈折率層及び高屈折率層からなる屈折率調整層を形成することにより、屈折率調整層の内部に屈折率が変化する界面が形成される。したがって、オーバーコート層と、オーバーコート層よりも屈折率の大きい単層の屈折率調整層を備えることにより、屈折率が変化する界面を形成した場合と比較して、上記のように、複層からなる屈折率調整層を備えた方が、電極パターンがさらに視認されにくくなる。
そして、オーバーコート層、低屈折率層、高屈折率層の各屈折率について、上記式を満たすように各層の材料を選択することにより、電極パターンの凹凸をさらに視認されにくくすることができる。また、透明基板の上面(すなわち、屈折率調整層が形成された側)における光の全反射を抑制することができるため、静電容量型入力装置に本発明の静電容量型入力装置用電極基板が搭載された際、視認性を極めて向上させることができる。
【0016】
また、このとき、前記屈折率調整層は、前記低屈折率層と、前記高屈折率層とを交互に複数層備えてなると好適である。
このように、屈折率調整層において、透過率が低下しない程度で低屈折率層と高屈折率層とを交互に複数層にわたって積層させることにより、電極パターンを目立ちにくくする効果をさらに高めることができる。
【0017】
さらにこのとき、前記低屈折率層は酸化ケイ素からなり、前記高屈折率層は窒化ケイ素からなると好適である。
このように、低屈折率層及び高屈折率層を上記材料によって形成すると、電極パターンの凹凸を視認されにくくする効果が特に高くなる。また、これら材料は、入手が容易であり、均一に成膜しやすい点から、特に好適に用いられる。
【0018】
また、前記課題は、本発明の静電容量型入力装置によれば、画像表示装置と、該画像表示装置に重ねられて配設される静電容量型入力装置用電極基板と、を備えた静電容量型入力装置であって、前記静電容量型入力装置用電極基板は、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の静電容量型入力装置用電極基板であることにより解決される。
【0019】
上記のように、本発明の静電容量型入力装置用電極基板は、電極パターンによる凹凸が目立ちにくく、透明基板全面にわたって均一に高い透明性を備える。したがって、静電容量型入力装置用電極基板を介して画像表示装置の画像領域を目視する際、画像表示領域の視認性を極めて良好にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の静電容量型入力装置用電極基板は、オーバーコート層を設け、その表面を均一とした上に屈折率調整層を備えているため、複数の層を積層して形成される電極の厚み方向における段差部が目立ちにくく、全面にわたって均一に高い透明性を備える。
また、静電容量型入力装置に備えられる静電容量型入力装置用電極基板の透明性が極めて向上するため、静電容量型入力装置において、静電容量型入力装置用電極基板の下方に備えられる画像表示領域の視認性を極めて向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、材料、構成等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。また、以下、「静電容量型入力装置用電極基板」を単に「電極基板」と称し、さらに、特に説明がない場合、「屈折率」とは、真空(n=1)に対する各材料の屈折率、すなわち絶対屈折率を示すものとする。
【0023】
図1〜
図4は本発明の実施形態に係るものであり、
図1は静電容量型入力装置用電極基板を搭載した静電容量型入力装置の概略斜視図、
図2は静電容量型入力装置用電極基板のパターン図、
図3は静電容量型入力装置用電極基板のパターン図を一部拡大した説明図、
図4は
図3のA−A線に相当する概略断面図である。
【0024】
[静電容量型入力装置Dの構成]
本発明の実施形態に係る電極基板1は、
図1に示すように、画像表示装置2に重ねて組み合わされることにより、静電容量型入力装置Dを構成する。静電容量型入力装置Dは、少なくとも電極基板1と、画像表示装置2とフレキシブルフラットケーブル3を備えている。静電容量型入力装置Dにおいて、電極基板1は、画像表示装置2の目視側、すなわちユーザーが操作する側に重ねて配設され、電極基板1の表面には、ユーザーが入力操作を行うための入力部1aと、入力部1aからの信号を外部へ出力するための出力部1bが備えられている。なお、
図1では、入力部1a及び出力部1bを簡略化して図示しているが、これらは、後述のように、各種電極パターン又は配線パターンを備えている。
【0025】
そして、電極基板1の出力部1bに対し、入力された信号を出力するためのフレキシブルフラットケーブル3の一端が接続されている。一方、フレキシブルフラットケーブル3の他端は不図示の検出用駆動回路(検出部)に接続される。また、静電容量型入力装置Dの操作時に、操作に影響を及ぼさない領域であれば、駆動用ICがCOG(Chip On Glass)実装されていてもよく、適宜公知の手段が用いられる。
【0026】
静電容量型入力装置Dに搭載される画像表示装置2は、一般的な液晶パネル、有機ELパネル等を用いることができ、動画や静止画を表示する。
静電容量型入力装置Dにおいては、電流量の比率を計測することにより、その位置を判別する静電容量方式を採用している。以下、その操作を説明する。
【0027】
静電容量型入力装置Dは、電極基板1を備え、その操作時、ユーザーは画像表示装置2に表示された画像を、透明な電極基板1を介して視認し、対応する入力情報を確認する。そして画像表示装置2に表示された指示用画像に対応する位置を、電極基板1上で指等を用いて触れることにより、情報の入力を行う。この時、導体である指が触れると、電極基板1上に配設された検出電極(第1の電極パターン10、第2の電極パターン20)との間で静電容量を持つようになる。その結果として指で触れた位置の静電容量が低下し、その位置を不図示の検出用駆動回路(検出部)により算出することにより行われるものである。
【0028】
[電極基板1の構成]
(1.入力部1a及び出力部1bの構成)
電極基板1は、
図2のように、透明基板4上に、第1方向としてのx軸方向に延設される第1の電極パターン10、第2方向としてのy軸方向に延設される第2の電極パターン20を備えている。そして、第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20によって、入力部1aが形成される。また、各電極パターンに接続される配線パターン40、50、及び配線パターン40、50に備えられた接続端子40a、50aが透明基板4上に成膜されることにより、出力部1bが形成される。なお、
図2は電極基板1のパターンの一部を示している。
【0029】
このとき、透明基板4は、ガラス、フィルムを含む樹脂基板などの透明且つ絶縁性の材料を用いることができる。ガラス、樹脂基板は金属などの導電性のある基板のように、絶縁膜を形成する必要がないため、操作が煩雑になることが無く好適であるが、導電性基板上に、絶縁膜を形成したものを透明基板4として用いてもよい。また、フィルムは、電極基板1を可撓性のあるフレキシブルなものとすることができる。
なお、一般には、透明基板4上に、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、酸化ケイ素(SiO
2)等からなる屈折率調整層を設け、その上に第1の電極パターン10、第2の電極パターン20を成膜する構成が採用されるが、
図4では、この屈折率調整層を省略し、透明基板4上に直接第1の電極パターン10、第2の電極パターン20を成膜した構成を示している。
【0030】
(2.第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20の構成)
第1の電極パターン10は、x軸方向で隣り合って形成される複数の第1の電極部11と、隣り合う第1の電極部11、11を接続する第1の接続部12とを備えている。また、第2の電極パターン20は、y軸方向で隣り合って形成される複数の第2の電極部21と、隣り合う第2の電極部21、21を接続する第2の接続部22とを備えている。
【0031】
本実施形態において、第1の電極パターン10に備えられた第1の電極部11(
図3を参照)及び第2の電極パターン20に備えられた第2の電極部21は、操作面側から見てそれぞれ略菱形に形成されている。なお、第1の電極部11、第2の電極部21の形状は、菱形に限定されるものではなく、六角形等、透明基板4上を均一に隙間なく覆うことができる形状を採用することができる。ここで、菱形を採用した場合、その一辺の長さは4〜8mmとすると好ましい。
【0032】
第1の電極パターン10において、互いに隣り合う第1の電極部11、11は、隣り合う略菱形の頂点同士で第1の接続部12によって連続して形成され、結果としてx軸方向に連続した第1の電極パターン10を形成する。一方、第2の電極パターン20において、互いに隣り合う第2の電極部21、21は、隣り合う略菱形の頂点同士に備えられた絶縁膜60(
図4を参照)の接触孔61において、第2の接続部22によって電気的に接続され、結果としてy軸方向に連続した第2の電極パターン20を形成する。なお、第2の接続部22が第2の電極部21を電気的に接続するための構成に関しては、以下で詳述する。
【0033】
第1の電極パターン10と第2の電極パターン20とは、互いに交差部30において交差し、両者は絶縁膜60を介して交差することによって電気的に絶縁されている。なお、第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20が交わる角度は
図2のように垂直対応関係でもよいし、その他垂直でない角度で透明基板4上に配設されても良い。
なお、これら第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20上には、以下で詳述するように、絶縁膜60、オーバーコート層70、屈折率調整層80(低屈折率層81、高屈折率層82)が順に積層されている。
【0034】
さらに、第1の電極パターン10を形成する第1の電極部11及び第1の接続部12、第2の電極パターン20を形成する第2の電極部21及び第2の接続部22は透明な導電膜が用いられ、たとえばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminium Zinc Oxide)等を用いることができ、好ましくはITOを用いる。これら電極パターンにおいて、第1の電極部11、第1の接続部12、第2の電極部21、第2の接続部22の厚さは10〜20nm程度が好ましい。
【0035】
第1の電極パターン10(第1の電極部11及び第1の接続部12)、第2の電極パターン20(第2の電極部21及び第2の接続部22)を構成する上記透明導電膜の成膜方法としては、スプレー熱分解法、CVD法等の化学的成膜法と蒸着法、スパッタリング法等の物理的成膜法に大別することができる。なかでもスパッタリング法は、得られる膜の抵抗値及び透過率の経時変化が少なく、成膜条件の制御が容易であるため、好ましい。
【0036】
隣り合う第1の電極部11、11同士を接続する第1の接続部12は、その幅(
図3のy軸方向の長さ)を40〜200μmとすると好ましい。また、第2の電極部21、21同士を接続する第2の接続部22も同様の幅(
図3のx軸方向の長さ)で形成することができる。
【0037】
(3.配線パターン40、50の構成)
配線パターン40、50は、
図2のように、第1の電極パターン10(より詳細には第1の電極部11)及び第2の電極パターン20(より詳細には第2の電極部21)に対し、接するようにして形成される。このように、配線パターン40、50を可能な限り長く第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20に接する構成とすると、抵抗を小さくすることができるため好ましい。
【0038】
配線パターン40、50及び接続端子40a、50aは、透明基板4(又は絶縁膜60)上に、金属層の単層又は少なくとも1層以上の金属層を含む複層を備えた導電体によって形成される。配線パターン40、50は、それぞれ第1の電極パターン10、第2の電極パターン20と接続端子40a、50aとを電気的に接続しており、この接続端子40a、50aにおいて、フレキシブルフラットケーブル3に接続される。
【0039】
この時、接続端子40a、50a上に、異方導電性フィルム(ACF)、フレキシブルフラットケーブル3をこの順に重ねて140℃程度に加熱して熱圧着する。なお、ACFを用いて接続するだけでなく、はんだ接続等の他の接続方法で接続するものであっても良く、フレキシブルフラットケーブル3の代わりに金属導線を用いてもよい。金属導線をフレキシブルフラットケーブル3の代わりに用いる場合は、その接続方法をワイヤボンディング、はんだ、レーザー溶接などとすることができる。
【0040】
配線パターン40、50、接続端子40a、50aは金属層(金属薄膜)の単層又は少なくとも1層以上の金属層を含む複層を備えた導電体膜によって形成される。そして、金属層の材料としては金、銀、銅、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、アルミ(Al)等の金属を単体、あるいはそれぞれの合金を用いることができる。好ましくはエッチングによりパターニングしやすい銀、銅、銀合金、銅合金、MAM(MoもしくはMo合金/AlもしくはAl合金/MoもしくはMo合金の3層構造)より選択される何れかとするとよい。より詳細には、Mo合金はNbを含有するもの、Al合金はNdを含有するものとすると好ましい。Alを含有した材料を用いることにより、比較的安価に製造することができると共に、導通性を確保できるため好適である。
【0041】
また、配線パターン40、50等を構成する導電体膜は、上記材料からなる金属層と、金属酸化物層が交互に積層された構成とすると好ましい。
このような構成とすることにより、配線パターン40、50及び接続端子40a、50aにおける反射が抑制され、透明基板4の表側(すなわち、第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20が形成されている面)から目視した場合、配線パターン40、50等がより視認されにくくなるため好適である。
なお、金属酸化物層を構成する材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、Nb、V、Ta、Mo、Ga、Geを添加したITO、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGO(Indium Germanium Oxide)等のインジウム複合酸化物が挙げられる。
【0042】
配線パターン40、50、接続端子40a、50aを構成する導電体膜の厚さは30〜400nm程度(導電体膜が複層の場合はその合計が200〜500nm程度)、その短手方向の幅は4〜40μm程度であると好ましい。このような幅とすることにより、配線パターン40、50、接続端子40a、50aを構成する導電体膜を視認しにくくすることができる。
また、配線パターン40、50、接続端子40a、50aは、十分な導電性を得ることができれば、透明導電膜によって形成しても良い。配線パターン40、50等を透明導電膜で形成する場合には、上記の幅(4〜40μm)よりも大きく形成することも可能である。
【0043】
さらに、導電体膜において、透明基板4から最も近い位置に形成される層(すなわち、最下層)を金属酸化物層によって形成することにより、配線パターン40、50及び接続端子40a、50a及び導電部材51aにおける反射が抑制され、透明基板4の裏側(すなわち、第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20が形成されていない面)から目視した場合、より視認されにくくなるため好適である。
【0044】
(4.絶縁膜60の構成)
図3において、大面積を有する第1の電極部11及び第2の電極部21、さらに交差部30を含む透明基板4上には、絶縁膜60(ただし、
図3では不図示)が形成される。絶縁膜60は、第1の電極パターン10(第1の電極部11、第1の接続部12)及び第2の電極パターン20(第2の電極部21、第2の接続部22)だけでなく、これらの設けられていない部分(すなわち、各電極パターンの間の部分)においても設けられ、第1の電極パターン10と第2の電極パターン20との絶縁を維持するため、透明基板4のほぼ全面にわたって形成される。
ただし、絶縁膜60は、第2の電極パターン20において、第2の接続部22と第2の電極部21とを接続するため、絶縁膜60の一部において開口するように、接触孔61が形成される。また、配線パターン40、50及び接続端子40a、50aが形成された部分においても、絶縁膜60によって覆われた構成とするのが好ましいが、第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20に接続可能であれば、絶縁膜60上に配線パターン40、50等が設けられていても良い。
【0045】
そして、
図4に示すように、隣り合って形成された第2の電極部21、21同士を互いに電気的に接続するように、第2の接続部22が絶縁膜60上に架設されている。このとき、第2の接続部22の端部は、接触孔61、61を介して第2の電極部21、21に接触するように形成される。この構成により、第2の電極部21及び第2の接続部22が電気的に接続され、第2の電極パターン20を構成する。すなわち、離間して隣り合う第2の電極部21、21同士を、第2の接続部22が絶縁膜60上をブリッジするように形成することにより、複数隣り合って配設される第2の電極パターン20間を接続する。この時、第2の接続部22は、接触部22aにおいて、第2の電極部21と接触している。
【0046】
絶縁膜60を構成する材料としては透明な絶縁材料を用いるのが好ましく、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いることができ、その厚さは0.3〜3.0μm程度が好ましい。このとき、絶縁膜60をより薄くすることにより、第2の接続部22の端部付近における厚みを小さくすることができる。その結果、第2の接続部22の端部付近が視認されにくくなるため、絶縁膜60は、電気的な特性を満たすことができれば、可能な限り薄くするとよい。
【0047】
また、このような各電極パターンの視認されやすさは、絶縁膜60において、各電極パターンを覆う部分の接触孔61付近における厚さ方向の曲率(すなわち、第2の接続部22の端部側の厚さ方向の曲率)にも依存する。この曲率が小さく、絶縁膜60の端部がなだらかに傾斜しているほど、各電極パターン(特に接触孔61付近の第2の接続部22による凹凸部)を視認されにくくすることができる。
【0048】
絶縁膜60の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、ディッピング法、印刷法を用いることができる。そして絶縁膜60は、無機系の膜の場合はエッチングにより、樹脂を用いたときは必要部を硬化させた後の未硬化部の除去により、パターニングされて接触孔61を形成する。
【0049】
(5.オーバーコート層70の構成)
上記のように、交差部30において互いに電気的に絶縁された第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20上には、さらにオーバーコート層70が積層される。オーバーコート層70は、電極基板1において、各膜(第1の電極パターン10、第2の電極パターン20、配線パターン40、50、絶縁膜60)を積層させた透明基板4上の全面を覆うように形成されている。
【0050】
オーバーコート層70は透明基板4上に配設された各部材の耐環境性を高めると共に、電極基板1が外力により変形した際に懸念されるクラックの発生を防ぐ効果を有する。オーバーコート層70には、基本的に、上記絶縁膜60と同様の材料で形成することができ、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)などを蒸着法、スパッタリング法、ディッピング法等により形成してもよいし、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等をスクリーン印刷法によって形成してもよい。さらに、紫外線等で硬化する感光性樹脂を用いることも可能である。
【0051】
オーバーコート層70の厚さは、0.3〜3.0μm程度が好ましい。電極基板1全体の光の透過率を一定値以上に確保することができれば、オーバーコート層70の厚みを大きく形成するとよい。オーバーコート層70を厚く形成することにより、その下方に形成される各層(第1の電極パターン10,第2の電極パターン20等)による厚み方向における段差を緩和し、その表面をより均一に平滑な状態とすることができる。その結果、各電極パターンをより視認されにくくすることができる。
【0052】
そして、オーバーコート層70を形成する材料は、後述の屈折率調節層80との関係に依存して、特に光の屈折率が低い材料を用いると好ましい。例えば、酸化ケイ素(SiO
2)の光の屈折率は1.46、フッ化マグネシウム(MgF)の光の屈折率は1.38、アクリル樹脂の屈折率は1.49であるから、これら材料によってオーバーコート層70を形成すると特に好適である。なお、詳細は後述するが、このようにオーバーコート層70を屈折率の低い材料によって形成することにより、屈折率調節層80を構成する総数を削減することができるため、電極基板1全体としての透明性を向上させることができる。
【0053】
(6.屈折率調整層80の構成)
本発明の電極基板1において、オーバーコート層70の上方(上面70a上)には、さらに屈折率調整層80が形成される。屈折率調整層80は、透明基板4側から低屈折率層81、高屈折率層82の順に積層されることによって形成される。なお、十分な光の透過率を得ることができれば、低屈折率層81、高屈折率層82の順でさらに積層させても良い。
【0054】
このように、オーバーコート層70の上面70a上に、透明基板4側から、低屈折率層81、高屈折率層82を順に備えることにより、オーバーコート層70よりも下方(透明基板4側)に形成される各層を視認しにくくする効果を得ることができる。換言すると、透明基板4側から屈折率調整層80の上面(高屈折率層82の上面82a)側へ向かって低屈折率から高屈折率に変化する界面(すなわち、低屈折率層81の上面81aが界面となる)を備えることにより、各電極パターンを視認されにくくすることができる。
【0055】
このように、低屈折率層81、高屈折率層82からなる屈折率調整層80を各電極パターンの上に直接積層するのではなく、オーバーコート層70上を介してさらに積層することにより、各電極パターン(特に厚さ方向の凹凸部)を視認されにくくすることができる。
【0056】
低屈折率層81を構成する材料としては、光の屈折率が1.50以下の材料であるとよい。この条件を満たす材料として、酸化ケイ素(SiO
2)、フッ化マグネシウム(MgF)等が挙げられる。
また、高屈折率層82を構成する材料としては、光の屈折率が1.8以上の材料であるとよい。この条件を満たす材料として、窒化ケイ素(SiN)、チタン酸化物(TiO
2)、ジルコニウム酸化物(ZrO
2)、タンタル酸化物(Ta
2O
5)、ニオブ酸化物(Nb
2O
5)等が挙げられる。
【0057】
上記のように、低屈折率層81を形成する材料として挙げられる酸化ケイ素(SiO
2)の光の屈折率は1.46、フッ化マグネシウム(MgF)の光の屈折率は1.38であるから、低屈折率材料として好適である。
また、高屈折率層82を形成する材料として挙げられる窒化ケイ素(SiN)の光の屈折率は1.90、チタン酸化物(TiO
2)の光の屈折率は約2.3、ジルコニウム酸化物(ZrO
2)の光の屈折率は2.0、タンタル酸化物(Ta
2O
5)の光の屈折率は2.1、ニオブ酸化物(Nb
2O
5)の光の屈折率は2.3であり、高屈折率材料として好適である。
【0058】
そして、これらの材料の中でも、特に低屈折率層81を形成する材料として、酸化ケイ素(SiO
2)、高屈折率層82を形成する材料として、窒化ケイ素(SiN)を用いると好ましい。上記材料の組み合わせで屈折率調整層80を形成することにより、各電極パターンの厚さ方向の凹凸部を特に視認されにくくすることができる。
また、窒化ケイ素(SiN)は、耐熱性、耐摩耗性、耐食性が高いことから、高屈折率層82よりも下方に形成される各層を保護するという点でも有用である。
【0059】
このとき、上記オーバーコート層70をアクリル樹脂(屈折率:1.49)によって形成すると好適である。このように、透明基板4側からアクリル樹脂(屈折率:1.49)、酸化ケイ素(屈折率:1.46)、窒化ケイ素(屈折率:1.90)を積層させることにより、オーバーコート層70、低屈折率層81、高屈折率層82の屈折率をそれぞれn1、n2、n3としたとき、以下の式1を満たすことができる。
n2<n1<n3・・・・(式1)
【0060】
このように、式1の関係を満たす屈折率を備えたオーバーコート層70、低屈折率層81、高屈折率層82を形成することにより、各電極パターンの凹凸部をさらに視認されにくくすることができる。
【0061】
((他の実施形態))
さらに、上記オーバーコート層70の説明においても記載したように、オーバーコート層70を低屈折率材料(例えば、アクリル樹脂、SiO
2、MgF等)によって形成することにより、屈折率調整層80の構成を簡素化することができる。オーバーコート層70を低屈折率材料によって形成することにより、屈折率調整層80は、高屈折率層82のみを形成すれば足りる。すなわち、オーバーコート層70が低屈折率層81の役割を果たし、オーバーコート層70の上面70aが、低屈折率から高屈折率に変化する界面となるようにすることができる。このように、オーバーコート層70の上方に、高屈折率層82のみからなる屈折率調整層80を形成することによっても、透明基板4側から屈折率調整層80の上面(高屈折率層82の上面82a)側へ向かって低屈折率から高屈折率に変化する界面(すなわち、オーバーコート層70の上面70aが界面となる)が形成されるため、各電極パターンを視認されにくくする効果を得ることができる。
【0062】
このように、本発明の電極基板1において、各電極パターンや配線パターン40、50を均一に覆うオーバーコート層70の上方に、さらに屈折率調整層80を備えることにより、各電極パターン、さらには配線パターン40、50を視認されにくくすることができる。
【0063】
(7.接着層90、保護基板5、反射防止膜100の構成)
屈折率調整層80の上には、反射防止膜100を備えた保護基板5がさらに接着される。すなわち、屈折率調整層80の上には、さらに接着層90、保護基板5、反射防止膜100が順に備えられる。これら接着層90、保護基板5、反射防止膜100は公知の材料を用いることができる。接着層90としては、例えば、HBR樹脂等を用いることができ、保護基板5としては上記透明基板4と同じように、ガラス、樹脂基板などの透明且つ絶縁性の材料が用いられる。また、反射防止膜100を構成する材料としてはフッ化マグネシウム(MgF
2)や酸化ケイ素(SiO
2)等の無機化合物、フッ素樹脂等の有機化合物を用いることができる。
【0064】
[電極基板1の製造方法]
次に、本発明の実施形態に係る電極基板1に関し、その製造方法を具体的に説明する。
【0065】
(1.第1の電極パターン及び第2の電極部形成工程)
まず、透明基板4上に、第1の電極部11、第1の接続部12及び第2の電極部21を各部同時に成膜する。
電極基板1の透明基板4上において、全領域にわたって真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等を用いて透明導電膜を成膜する。その後、スピンコーターや吹きつけにより、フォトレジストを塗布し、成膜される第1の電極部11、第1の接続部12、第2の電極部21が透明基板4上の適切な位置に配設されるようにマスクを用いて露光する。なおこの時、操作面側から見て、菱形に形成された第1の電極部11、第2の電極部21の一辺がそれぞれ4〜8mm、第1の電極部11と第2の電極部21の間隔が40〜200μmとなるように設計する。
【0066】
露光後、透明導電膜が積層された透明基板4を現像液に浸すことにより、不要な部分(すなわち、第1の電極部11、第1の接続部12、第2の電極部21に相当しない部分)のフォトレジストを除去する。フォトレジストを除去した後、各膜が積層された透明基板4をエッチング溶液に浸すことにより、フォトレジストに覆われていない部分の透明導電膜を腐食させ、除去する。その後、溶剤を用いてフォトレジストを完全に除去することにより、第1の電極部11、第1の接続部12、第2の電極部21を形成する。
【0067】
第1の電極部11、第1の接続部12、第2の電極部21の成膜時、透明導電膜材料としてはITOを用い、透明基板4上にスパッタリングにより形成すると好ましい。
【0068】
また、露光に用いる光源として超高圧水銀灯、X線、KrFエキシマーレーザー、ArFエキシマーレーザー等を用いることができるが、より微細なパターニングを行うには、短波長のものが望ましい。本実施形態では、オーク製作所製ジェットプリンタ:光源CHM−2000(超高圧水銀灯)を用いた。
【0069】
さらにまた、フォトレジストとしてはポジ型レジストが用いられる。本実施形態ではAZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製AZRFP−230K2を用いた。東京応化製OFPR−800LBを採用しても良い。
また、現像液としては有機塩基溶液、無機塩基溶液を用いることができるが、無機塩基溶液の使用時は、金属イオンが混入する可能性があるため、有機塩基溶液を用いると好ましい。具体的には、TMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxyde)水溶液等が挙げられる。本実施形態では東京応化株式会社社製PMERを用いた。さらにこの時、エッチング溶液として、シアン系、王水系、ヨウ素系、シュウ酸系等のエッチング溶液を用いることができる。本実施形態では、硝酸、臭化水素酸、塩化第2鉄溶液を用いた。さらに、フォトレジストを洗浄する溶剤としてはアルカリ溶液が用いられ、好ましくはTMAHを用いる。本実施形態においてもTMAHを用いた。
【0070】
上述のフォトレジスト、現像液、エッチング溶液、溶剤はこの限りではなく、第1の電極部11、第1の接続部12、第2の電極部21を形成する材料に依存し、適宜選択することができる。
なお、本実施形態においては、比較的安価で大量生産が可能なウェットエッチングによる方法を示したが、ドライエッチングにより第1の電極部11、第1の接続部12、第2の電極部21をパターニングしてもよい。
【0071】
(2.絶縁膜成膜工程)
第1の電極部11、第1の接続部12、第2の電極部21を成膜した後、絶縁膜60を、電極基板1の透明基板4上において全領域にわたって成膜する。
【0072】
まず、電極基板1の透明基板4上の全領域にわたって真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等を用いて絶縁膜60を成膜する。その後、スピンコーターや吹きつけにより、フォトレジストを塗布し、接触孔61が透明基板4上の適切な位置に配設されるようにマスクを用いて露光する。露光後、各膜が積層された透明基板4を現像液に浸すことにより、不要な部分(すなわち、接触孔61に相当する部分)のフォトレジストを除去する。フォトレジストを除去した後、各膜が積層された透明基板4をエッチング溶液に浸すことにより、フォトレジストに覆われていない部分の絶縁膜を除去する。その後、溶剤を用いてフォトレジストを完全に除去することにより、接触孔61以外の部分に絶縁膜60が形成される。なお、このとき、接触孔61に相当する部分だけでなく、各電極パターンと、配線パターン40、50とが接続される部分においても開口するように絶縁膜60が形成される。
絶縁膜60として感光性の樹脂を用いることもできる。印刷あるいはディッピングによる樹脂の塗布の後、マスクを通しての露光により必要な部分を硬化させ、その後、不要な未硬化部分を除去する。感光性樹脂を用いることにより、製造工程としては、より簡略化することができる。
【0073】
上記のフォトレジスト、現像液、エッチング溶液、溶剤は、絶縁膜60を形成する材料に依存し、適宜選択することができる。
なお、本実施形態においては、比較的安価で大量生産が可能なウェットエッチングによる方法を示したが、ドライエッチングにより絶縁膜60に形成される接触孔61をパターニングしてもよい。
【0074】
(3.第2の接続部形成工程)
絶縁膜60を成膜、パターニングした後、第2の接続部22を形成する。第2の接続部22は、以下のようにエッチング工程を経ることにより形成する。
【0075】
まず、電極基板1の透明基板4上の、少なくとも第2の接続部22が形成される範囲において真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等を用いて透明導電膜を成膜する。その後、スピンコーターや吹きつけにより、フォトレジストを塗布し、成膜される第2の接続部22が透明基板4上(より詳細には、第2の電極部21上)の適切な位置に配設されるようにマスクを用いて露光する。
【0076】
露光後、各膜が積層された透明基板4を現像液に浸すことにより、不要な部分(すなわち、第2の接続部22に相当しない部分)のフォトレジストを除去する。フォトレジストを除去した後、各膜が積層された透明基板4をエッチング溶液に浸すことにより、フォトレジストに覆われていない部分の透明導電膜を腐食させ、除去する。その後、溶剤を用いてフォトレジストを完全に除去することにより、第2の接続部22を形成する。
【0077】
第2の接続部22の形成時、透明導電膜材料としてITOを用い、上記の透明基板4上にスパッタリングにより形成すると好ましい。
また、第2の接続部22は、透明導電体膜(ITO、AZO等)ではなく、導電体膜材料として例えば金、銀、銅、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、アルミ(Al)等の金属を単体、あるいはそれぞれの合金等を用いてもよい。このように、第2の接続部22を形成する材料として、透明導電体材料以外の金属を用いた場合、第2の接続部22の短手方向の幅を極めて小さくすることにより、第2の接続部22を目視されにくくすることができる。
【0078】
なお、フォトレジスト、現像液、エッチング溶液、溶剤は、第2の接続部22を形成する材料に依存し、適宜選択することができる。
なお、本実施形態においては、比較的安価で大量生産が可能なウェットエッチングによる方法を示したが、ドライエッチングにより第2の接続部22を形成してもよい。
【0079】
(4.オーバーコート層成膜工程)
上述のように第2の接続部22を形成した後、各膜を積層させた透明基板4上の全面にオーバーコート層70を成膜する。オーバーコート層70として、スクリーン印刷法により、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等の膜を形成する。また、蒸着法、スパッタリング法、ディッピング法等により酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、フッ化マグネシウム(MgF)等から構成される膜を形成しても良い。好ましくは、屈折率の低いアクリル樹脂によってオーバーコート層70を成膜するのがよい。
(5.屈折率調整層成膜工程)
【0080】
上述のようにオーバーコート層70を形成した後、オーバーコート層70上を覆うように屈折率調整層80を成膜する。このとき、屈折率調整層80を構成する低屈折率層81、高屈折率層82を、蒸着法、スパッタリング法、ディッピング法、スクリーン印刷法等によりオーバーコート層70上に順に形成する。
このとき、低屈折率層81構成する材料は、上記のように、酸化ケイ素(SiO
2)、フッ化マグネシウム(MgF)等から選択される。また、高屈折率層82を構成する材料は、窒化ケイ素(SiN)、チタン酸化物(TiO
2)、ジルコニウム酸化物(ZrO
2)、タンタル酸化物(Ta
2O
5)、ニオブ酸化物(Nb
2O
5)等から選択される。
【0081】
(6.保護基板接着工程)
屈折率調整層80を成膜した後、保護基板5を接着する。この保護基板5の接着工程は、公知の手法が用いられる。
例えば、保護基板5の一方側の面(静電容量型入力装置Dに搭載された際に目視される側)には、反射防止膜100が予め備えられており、他方側の面に接着層80を印刷法等の手法により形成し、上記屈折率調整層80上に接着する手法が用いられる。なお、保護基板5を接着層80によって接着した後、印刷法やスパッタリング法等の手法により、反射防止膜100を形成しても良い。
【0082】
上述のように、本発明の電極基板1は、第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20の上方にオーバーコート層70が形成され、このオーバーコート層70上に屈折率調整層80が備えられている。
一方、第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20の交差部30において電気的に絶縁されており、この交差部付近では、厚さ方向において凹凸部(段差部)が形成される。したがって、一般に、凹凸部が視認されやすいが、上記のように、オーバーコート層70によって第1の電極パターン10及び第2の電極パターン20を覆い、さらにオーバーコート層70の上方に屈折率調整層80を形成することにより、各電極パターン(特に厚さ方向における凹凸部)を視認されにくくすることができる。
【0083】
また、上記構成の電極基板1を備えることにより、本発明の静電容量型入力装置Dは、画像表示領域の視認性が極めて高くなる。
したがって、静電容量型入力装置Dは、携帯電話、電子手帳等の携帯端末(PDA、Personal Digital Assistant)、ゲーム機、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機、銀行の端末等の電子機器分野において有用であると期待される。