(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の情報に対応する複数の設定画面のうち選択されたものをディスプレイに表示し、選択された前記設定画面に対応する設定情報の変更を実現する設定情報処理部が備えられている作業車の情報表示装置であって、
プッシュスイッチと、
前記プッシュスイッチの操作時間が設定時間未満である場合に第1操作情報の入力を判別し、前記プッシュスイッチの操作時間が設定時間以上である場合に第2操作情報の入力を判別する操作情報判別手段と、
制御信号に基づいて制御が行われる制御ユニットと、が備えられ、
前記設定情報処理部が、前記設定画面を前記ディスプレイに表示する設定画面表示手段と、前記設定画面が前記ディスプレイに表示された状態で前記設定情報の変更を可能にする設定情報変更手段とを備えて構成され、
前記設定画面表示手段は、前記操作情報判別手段が前記第1操作情報の入力を判別した場合に、入力を判別する毎に複数の前記設定画面の1つを順次切換えて前記ディスプレイに表示する遷移表示モードでの表示処理を行い、
前記設定情報変更手段は、前記遷移表示モードでの表示中に前記操作情報判別手段によって前記第2操作情報の入力を判別した場合に前記ディスプレイに表示されている前記設定画面に対応する前記設定情報の変更を可能にする情報変更モードへ移行し、この情報変更モードにおいて前記操作情報判別手段が前記第2操作情報の入力を判別した場合には、前記情報変更モードから遷移表示モードに復帰させる処理を行うようにされ、
前記情報変更モードにおける前記ディスプレイに表示されている前記設定画面に対応する前記設定情報の変更に基づいて、前記制御ユニットへ前記制御信号を出力するように構成されており、
前記情報変更モードにおいて、設定時間を超える無操作状態を判別した場合には、前記情報変更モードで変更された前記設定情報を記憶手段に記憶せずに、前記遷移表示モードに復帰させる処理を行う作業車の情報表示装置。
前記制御ユニットとして、DPF制御ユニット、変速制御ユニット、及び、クルーズ制御ユニットのうち少なくともいずれか一つが備えられている請求項1に記載の作業車の情報表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、走行機体Aに走行装置として左右一対の前車輪1と、左右一対の後車輪2とを備えると共に、走行機体Aの前部のエンジンボンネット3の内部にディーゼル型のエンジン4を備え、左右の後輪フェンダー5の中間位置に運転部を構成する運転座席6を配置し、この運転部を取り囲むキャビンBを備えてトラクタが構成されている。
【0025】
このトラクタでは、エンジン4の後部側にクラッチハウジング7と、静油圧式の無段変速装置8とミッションケース9とを、この順序で連結している。ミッションケース9は運転座席6の下側に配置され、このミッションケース9からの駆動力を左右の前車輪1と左右の後車輪2とに伝える伝動系が形成されている。これによりトラクタは4輪駆動型に構成されている。
【0026】
ミッションケース9の後端にリヤPTO軸11を備えており、ミッションケース9の下部にミッドPTO軸12を備え、ミッションケース9の上部位置に油圧型の昇降シリンダ13が備えられている。このミッションケース9の後端には昇降シリンダ13の作動により上下に揺動する左右一対のリフトアーム14が備えられている。図面には示していないが、このトラクタでは、走行機体Aの後端に3点リンク機構を介してロータリ耕耘装置、あるいは、プラウ等の対地作業装置を連結することにより、これらの対地作業装置を昇降シリンダ13の作動により昇降できるように構成されている。
【0027】
また、ロータリ耕耘装置を連結した場合にはリヤPTO軸11からの駆動力によりロータリ爪を駆動する耕耘作業が実現し、前車輪1と後車輪2との中間位置に芝刈装置等のミッドマウント型の対地作業装置を連結した場合には、ミッドPTO軸12からの駆動力により対地作業装置による対地作業が実現する。
【0028】
〔運転部〕
キャビンBは、上部にルーフを有し、前部にフロントガラスを備え、左右に開閉自在な透明ガラスや透明樹脂で成るドアを備え、後部にリヤガラスを備えた一般的な構造を有している。
図2に示すように、キャビンBの内部で運転座席6の前部位置に操向操作(操舵)を行うステアリングホイール21が配置され、このステアリングホイール21の下方位置の左側にはクラッチペダル22が配置され、右側には2つのブレーキペダル23と変速ペダル24とが配置されている。また、ステアリングホイール21の近傍位置には走行機体Aの前進と後進との選択を行う前後進切換レバー25と、走行機体Aの後端に連結される対地作業装置を作業レベルまで下降させる状態と、設定レベルまで上昇させる状態との選択を行う強制昇降レバー26とが備えられている。
【0029】
運転座席6の左側部には主変速レバー27と副変速レバー28とクルーズスイッチCSとが配置され、運転座席6の右側部にはリフトアーム14の対機体揺動角を設定するポジションコントロールレバー30と、リヤPTO軸11とミッドPTO軸12との駆動の選択を行うPTOスイッチ31と、複数の操作スイッチ32とが配置されている。
【0030】
クルーズスイッチCSは、
図5に示すように、単一の操作具45によって第1スイッチ46と第2スイッチ47とを人為操作できるように構成されている。操作具45は、軸芯Xを中心にして揺動自在に支持されると共に、非操作状態で中立姿勢を維持し、一方の端部(第1スイッチ46の側)を操作することで一方側に揺動し、他方の端部(第2スイッチ47の側)を操作することで他方側に揺動するようにシーソ式に揺動自在に支持されている。また、第1スイッチ46には突出付勢された第1操作体46Aを備え、第2スイッチ47には突出付勢された第2操作体47Aを備え、この第1操作体46Aと第2操作体47Aとが操作具45の裏面側に当接することで操作具45が中立姿勢に維持される。尚、操作具45を中立位置に付勢するバネを備えても良い。
【0031】
このクルーズスイッチCSは夫々の端部を軽く(浅く)操作することで第1スイッチ46又は第2スイッチ47の1段目のスイッチ部がON状態となり、強く(深く)操作することで2段目のスイッチ部がON状態となるように構成されている。このような構成から、操作具45の一方の端部を押し操作力を調整することで第1スイッチ46の1段目のスイッチ部と2段目のスイッチ部とのON操作が可能となり、操作具45の他方の端部を押し操作することで前述と同様に、第2スイッチ47の1段目のスイッチ部と2段目のスイッチ部とのON操作が可能となる。
【0032】
制御構成は図面に示してないが、無段変速装置8には、この無段変速装置8の変速操作軸を回転駆動する変速アクチュエータと、変速操作軸の回転操作量を計測する変速量センサとが備えられている。この変速量センサの信号がフィードバックし、アクチュエータを制御するように
図4に示すクルーズ制御ユニット59(例えば、変速ECU)
(「制御ユニット」の一例)が構成され、このクルーズ制御ユニット59は、前述した変速アクチュエータを制御する出力系を有し、変速量センサの信号がフィードバックし、第1スイッチ46と第2スイッチ47とからの信号、及び、情報表示装置50からの制御信号が入力する。
【0033】
また、走行機体Aを走行させる状態で、クルーズスイッチCSの操作具45の「UP」と記された端部側を強く(深く)操作することでクルーズ制御に移行し、操作具45の「DOWN」と記された端部側を強く(深く)操作することでクルーズ制御を停止するように制御形態が設定されている。また、クルーズ制御に移行した当初は予め設定されたクルーズ速度(
図4に示す記憶手段51に記憶されたクルーズ設定値に対応する速度)で走行を行い、このクルーズ制御時に操作具45の「UP」と記された端部側を軽く(浅く)操作することで、操作毎にクルーズ速度を設定値だけ上昇させ、操作具45の「DOWN」と記された端部側を軽く(浅く)操作することで、操作毎にクルーズ速度を設定値だけ低減させるようにクルーズ制御装置の制御形態が設定されている。
【0034】
図3に示すように、ステアリングホイール21の前方位置にメータパネルMPが配置され、このメータパネルMPには、左側にエンジン回転数メータ33が配置され、右側に冷却水温メータ34と燃料残量メータ35とが配置され、中央に情報を表示する液晶型のディスプレイ36が配置され、このディスプレイ36の下側に各種機器の状況をランプの点灯で報知する情報報知部37が形成されている。
【0035】
また、メータパネルMPの下方左側にハザードスイッチ38と、前照灯等を点灯させるランプスイッチ39と、プッシュスイッチ型の表示切換スイッチ40とが配置され、メータパネルMPの下方右側には、キースイッチ41が配置されている。このキースイッチ41は回転操作を行うことによりON位置に達して電気系に電力を供給し、更に操作することでスタート位置に達する一般的な構成のものである。
【0036】
図7に示すようにディスプレイ36は、上部に基本情報表示領域36Aが形成されると共に、下部に設定情報表示領域36Bが形成されている。基本情報表示領域36Aには主変速レバー27の設定位置を示す変速位置情報と走行機体Aの走行速度とが表示され、設定情報表示領域36Bには設定情報が表示される。この設定情報は、ディスプレイ36に表示される情報の単位、あるいは、変速制御のパラメータ等を含むものであり、前述した表示切換スイッチ40を短押しした(例えば5秒未満の時間だけ押した)場合には、この短押し毎に複数の設定情報に対応した設定画面を順次ディスプレイ36の設定情報表示領域36Bに表示するように遷移表示モードでの表示(
図7に示す複数画面の表示)が行われ、この遷移表示モードにおいて表示切換スイッチ40を長押しした(例えば5秒以上の時間押した)場合には情報変更モードに移行し、設定情報の変更を可能にする。この設定情報を変更する制御形態は後述する。
【0037】
〔情報表示装置〕
ディスプレイ36に情報を表示する情報表示装置50の構成の概要を
図4に示しており、この情報表示装置50は、マイクロプロセッサ等を有する制御系にEEPROM等の不揮発性メモリで成る記憶手段51を備えると共に、カレンダーとしても機能するタイマー52と、操作情報判別手段53と、設定画面表示手段54と、設定情報変更手段55と、設定画面生成手段56とを備えている。また、設定画面表示手段54と設定情報変更手段55とで設定情報処理部Pが構成され、この情報表示装置50は表示切換スイッチ40の情報を取得すると共に、ディスプレイ36に表示情報を出力し、情報取得系Sを介して情報を取得し、DPF制御ユニット57
(「制御ユニット」の一例)と、変速制御ユニット58
(「制御ユニット」の一例)と、クルーズ制御ユニット59とに制御信号を出力する。
【0038】
前述した操作情報判別手段53と、設定画面表示手段54と、設定情報変更手段55と、設定画面生成手段56とはソフトウエアで構成されるものを想定しているが、これらをハードウエアのみで構成することやハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって構成しても良い。
【0039】
記憶手段51には、トリップ値の情報と、燃費単位の情報と、エンジンオイルが交換されたオイル交換日の情報と、リヤPTO軸11とミッドPTO軸12とのうち表示すべき対象を設定するPTO表示対象情報と、変速ペダル24の踏み込み量に対する無段変速装置8の制御量を決める変速レスポンス情報と、エンジン4の排気ガスに含まれる粒子状物質を除去するPM除去装置DPF(図示せず)のDPF設定情報と、無段変速装置8の変速状態を設定する変速モード情報と、変速ペダル24の操作量の表示の可否を決める変速ペダル表示情報と、クルーズ制御時におけるクルーズ設定情報と、セッティング情報とを含む複数の情報が記憶される。
【0040】
操作情報判別手段53は、表示切換スイッチ40が押し操作された際の押し操作時間の判定を行う。具体的には、短押し(例えば5秒未満・第1操作情報の一例)であるか、長押し(例えば5秒以上・第2操作情報の一例)であるかの判定を行い、設定情報処理部Pに与える。尚、設定画面表示手段54と設定情報変更手段55とにおける表示処理については後述する。
【0041】
設定画面生成手段56は、設定画面表示手段54によってディスプレイ36に表示される設定画面(画像イメージ)を生成する。この設定画面生成手段56では設定画面として、アワーメータと、トリップメータと、燃費メータと、オイルメータと、PTOメータと、変速レスポンス設定画面と、DPF設定画面と、変速モード設定画面と、変速ペダル設定画面と、クルーズ設定画面と、セッティング画面との表示を実現する。
【0042】
情報取得系Sは、情報を取得して情報表示装置50に与えるセンサ類の総称であり、図面には具体的な構成は示していないが、走行機体Aの走行速度を取得する速度センサと、走行機体Aの走行距離を取得する走行距離センサと、主変速レバー27等の設定位置を取得する変速位置センサと、リヤPTO軸11とミッドPTO軸12との回転速度を個別に取得するPTO回転センサと、燃料タンク(図示せず)の燃料の残量を計測する燃料残量センサと、変速ペダル24の踏み込み量を計測する変速ペダルセンサと、無段変速装置8の変速軸の操作量を計測する変速量センサとの情報を取得する。
【0043】
DPF制御ユニット57は、PM除去装置(図示せず)に残留する粒子状物質の量を取得して情報表示装置50に与えると共に、情報表示装置50からの制御信号によりクリーニングを実行する。
【0044】
変速制御ユニット58は、変速ペダル24の踏み込み操作時に変速レスポンス情報に基づいて無段変速装置8の変速軸を回転操作し、変速モード情報で設定される情報に基づいて無段変速装置8の斜板角を設定する。この制御を実現するために変速軸を回転操作する変速モータ(図示せず)を備え、前述した変速量センサからのフィードバック信号により制御が行われる。
【0045】
クルーズ制御ユニット59は、クルーズスイッチCSの操作によりクルーズモードでの制御を実行した際には、無段変速装置8による変速目標を、記憶手段51に記憶されているクルーズ設定値に設定する。このクルーズ制御では、変速量センサの信号をフィードバックする状態で変速モータを作動させることで目標とするクルーズ速度を得る。尚、前述したようにクルーズ制御での走行時にクルーズスイッチCSを操作することでクルーズ速度の調節が可能であるが、記憶手段51に記憶されているクルーズ設定値は変更されない。
【0046】
〔制御形態〕
情報表示装置50による制御形態の概要を
図6のフローチャートに示し、この制御時において遷移モードでディスプレイ36に順次表示される画面を
図7に示している。
【0047】
つまり、キースイッチ41のON位置への操作により、走行機体Aの電気系に電力が供給され情報表示装置50が稼動した場合には、ディスプレイ36には
図7(a)に示す初期設定画面が表示され(#01ステップ)、遷移表示モードでの制御が実行される(#02ステップ)。この遷移表示モードにおいて表示切換スイッチ40が短押しされた場合には(#03ステップ)、短押しが行われる毎に設定画面を切換えて表示する(#04ステップ)ことで
図7(a)〜
図7(k)に示す設定画面が、この順序で表示される。
【0048】
また、遷移表示モードで設定画面が表示されている状態で表示切換スイッチ40が長押しされた場合には(#05ステップ)、ディスプレイ36に表示されている設定画面が実行処理の確認を行うものである場合には実行ルーチンに移行した後に遷移表示モードに復帰し(#06、#07ステップ)、設定画面が単純処理を行うものである場合には設定情報を切換えた後に設定情報を記憶手段51に記憶する(#08〜#010ステップ)。また、この実行処理を行わず単純処理でもない場合には、情報変更モードに移行し(#011ステップ)、この情報変更モードにおいて表示切換スイッチ40が短押しされた場合には(#12ステップ)、ディスプレイ36に表示されている設定画面に対応する設定情報の変更が行われる(#013ステップ)。この情報変更モードにおいて表示切換スイッチ40が長押しされた場合には(#014ステップ)、設定情報を記憶手段51に記憶し(#010ステップ)、遷移表示モードに復帰する。
【0049】
次に、フローチャートで説明した処理においてディスプレイ36に表示される設定情報等を具体的に説明する。
【0050】
遷移表示モードでの処理は、表示切換スイッチ40が短押しされる毎に設定画面表示手段54が、
図7(a)〜
図7(k)に示す設定画面を生成してディスプレイ36に表示する。この順序で設定画面を表示するために、設定画面生成手段56は、
図7(a)〜
図7(k)に示す設定画面にシリアルナンバー等を付しておき、表示切換スイッチ40が短押しされる毎に表示カウンタ値をインクリメントし、表示カウンタ値に対応するシリアルナンバーの設定画面を指定してディスプレイ36に表示する処理等の処理を行う。
【0051】
図7(a)には、初期設定画面となるアワーメータが設定情報表示領域36Bに表示された状態を示している。このアワーメータは制御系の稼動時間の積算値が表示されるものであり、アワーメータの数値は表示切換スイッチ40を長押ししてもクリヤできないように設定されている。尚、表示切換スイッチ40の長押しによりアワーメータの積算値をクリヤできるように構成しても良い。
【0052】
図7(b)には、設定画面としてのトリップメータが設定情報表示領域36Bに表示された状態を示している。このトリップメータが表示された状態で表示切換スイッチ40を長押しすることによりトリップメータの数値(積算時間)がクリヤされ、記憶手段51のトリップ値もクリヤされる。
図7(c)には設定画面としての燃費メータが設定情報表示領域に36Bに表示された状態を示している。この燃費メータが表示された状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより燃費メータの単位が「mile/galon」と「hour/galon」との何れかにセットされ、記憶手段51の燃費単位も切換られる。
図7(d)にはオイルメータが設定情報表示領域36Bに表示された状態を示している。このオイルメータが表示された状態で表示切換スイッチ40を長押しすることによりオイルメータの数値(積算時間)がクリヤされ、記憶手段51のトリップ値もクリヤされる。
【0053】
このように、
図7(b)、(c)、(d)の設定画面に対応する設定情報は、クリヤするか否か等の二者択一的な情報であるので、表示切換スイッチ40を長押しすることにより、直接的に設定情報が切換られ、記憶手段51に記憶した後に遷移表示モードに移行することになり、見掛け上では遷移表示モードが維持される。この処理が前述した#08〜#010ステップの処理に対応する。
【0054】
図7(e)には設定画面としてのPTOメータが設定情報表示領域36Bに表示された状態を示しており、このPTOメータには、リヤPTO軸11とミッドPTO軸12とのうち選択された一方の回転速度が表示される。
図8に示すように、このPTOメータが表示されている状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより情報変更モードに移行する。この情報変更モードでは、表示切換スイッチ40を短押しすることによりPTOメータの表示対象としてリヤPTO軸11を選択するONボタンと、表示対象としてリヤPTO軸11を選択しない(ミッドPTO軸12を選択する)OFFボタンとのうちの一方が黒抜きになることで、選択状態を視覚によって確認できる。また、選択が行われた後に表示切換スイッチ40を長押しすることにより、選択状態が確定し、記憶手段51のPTO表示対象情報が更新され、元の遷移表示モードに復帰する。
【0055】
図7(f)には設定画面としての変速レスポンス設定画面が設定情報表示領域36Bに表示された状態を示しており、この変速レスポンス設定画面には、変速ペダル24を踏み込み操作した場合の無段変速装置8の反応速度の設定状態が表示される。このレスポンス設定画面には反応速度を段階的に示す複数の設定指標36Pが白抜きでバーグラフ的に表示され、複数の設定指標36Pのうち現在の設定位置を示す1つ設定指標36Pが黒抜きで表示される。
【0056】
図9に示すように、この変速レスポンス設定画面が表示されている状態で表示切換スイッチ40を長押しすることより情報変更モードに移行する。この情報変更モードで表示切換スイッチ40を短押しすることにより、複数の設定指標36Pにおいて黒抜きで表示される設定指標36Pが一方(同図では右側)に順次に移動することになり設定状態を視覚によって確認できる。また、この移動により黒抜きで表示される設定指標36Pが一方の端部に達した状態で表示切換スイッチ40を短押しすると、次に、複数の設定指標36Pの他方の端部の設定指標36Pが黒抜きで表示され、この後には、表示切換スイッチ40を短押しする毎に前述と同様に黒抜きで表示される設定指標36Pが一方に順次移動する。
【0057】
特に、複数の設定指標36Pにおいて黒抜きで表示される設定指標36Pを移動させる処理形態として、複数の設定指標36Pに対して連続する数値を与えておき、表示切換スイッチ40を短押した場合にはカウンタ値をインクリメントすることやデクリメントすることでカウンタ値の増減を図り、このカウンタ値に対応した位置に黒抜きを表示するように処理形態が設定されている。この処理においてカウンタ値が設定指標36Pの数を超える値に達した場合にはカウンタ値に初期値を与えることで複数の設定指標36Pの端部に黒抜きが表示され、表示切換スイッチ40の短押しにより移動させることが可能となる。そして、設定が完了した時点で表示切換スイッチ40を長押しすることにより、設定状態が確定し、記憶手段51の変速レスポンス情報が更新され、元の遷移表示モードに復帰する。
【0058】
図7(e)、(f)の設定画面が表示された状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより、情報変更モードに移行し、この情報変更モードにおいて表示切換スイッチ40を短押しすることで設定情報を変更する処理を実現しており、このような処理形態により細やかな設定変更を可能にしている。これらの処理が前述した#011〜#014、#010ステップの処理に対応する。
【0059】
図7(g)には、設定画面としてのDPF設定画面が設定情報表示領域36Bに表示された状態を示しており、DPF設定画面には、PM除去装置(図示せず)に残留する粒子状物質の量が表示される。このDPF設定画面には粒子状物質の量を示す残量指標36Rが白抜きでバーグラフ的に表示され、複数の残量指標36Rのうち現在の残量を示すものが黒抜きで表示され、残量を示すパーセンテージが数値で表示される。運転者はDPF設定画面の表示に基づいてPM除去装置に残留する粒子状物質のクリーニングの要否の判断を行える。
【0060】
図10に示すように、DPF設定画面が表示されている状態で表示切換スイッチ40を長押しすることより情報変更モードに移行し、ディスプレイ36には確認画面が表示される。この確認画面では、初期状態でクリーニングを実行するYesボタンが選択(黒抜き表示)されている。この表示状態において表示切換スイッチ40を短押しすることによりクリーニングを実行しないNoボタンが選択(黒抜き表示)された復帰確認画面に切り換わり、この復帰確認画面でNoボタンを選択した状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより、PM除去装置に残留する粒子状物質の除去は行われず元の遷移表示モードに復帰する。
【0061】
また、確認画面でYesボタンを選択した状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより、排気温が上昇することを警告する警告画面が表示される。この警告画面では、初期状態でOKボタンが選択(黒抜き表示)されている。この表示において表示切換スイッチ40を短押しすることで、クリーニングを実行しないNoボタンが選択(される黒抜き表示に切換わる)された非実行確認画面に切り換わり、この非実行確認画面でNoボタンが選択(黒抜き表示)された状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより、PM除去装置に残留する粒子状物質の除去は行われず元の遷移表示モードに復帰する。
【0062】
また、警告画面でOKボタンが選択(黒抜き表示)されている状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより、実行画面が表示されると共にクリーニングが開始される。この実行画面ではクリーニングの実行状況を示す複数の処理指標36Sが初期状態で白抜き表示でバーグラフ的に表示され、クリーニングの進行に伴い複数の処理指標36Sが順次黒抜き表示に切り換わり(黒抜き表示が増大し)、処理のパーセンテージを示す数値も増大する。これによりPM除去装置に残留する粒子状物質の除去が実現し、除去が完了した場合に実行画面・完了が表示される。このようにクリーニングが完了した後に表示切換スイッチ40を長押しすることで元の設定画面に復帰する。
【0063】
これに対して、クリーニングを実行している際(実行画面が表示されている際)に、表示切換スイッチ40を短押しすることでクリーニングの実行が途中で停止し、前述した復帰確認画面が表示される。この復帰確認画面では、Noボタンが選択(黒抜き表示)された状態にあり、表示切換スイッチ40を長押しすることによりPM除去装置に残留する粒子状物質の除去が中断したまま元の遷移表示モードに復帰する。また、この処理が#06、#07ステップの処理に対応する。
【0064】
図7(h)には、設定画面としての変速モード設定画面が設定情報表示領域36Bに表示された状態を示している。
図11に示すように、変速モード設定画面が表示されている状態で表示切換スイッチ40を長押しすることより情報変更モードに移行し、ディスプレイ36にはモード設定画面が表示される。このモード設定画面にはストールガードのONボタンとOFFボタンとが表示されると共に、自動制御のONボタンとOFFボタンとが表示され、モード設定画面ではストールガードのONボタンとOFFボタンとの何れか一方が選択(黒抜き表示)された状態にあり、また、自動制御のONボタンとOFFボタンの何れか一方が選択(黒抜き表示)された状態にある。このモード設定画面が表示された状態において表示切換スイッチ40を短押しすることで、同図に示す如く、ONボタンとOFFボタンとの組み合わせが選択される結果、3種のモードの何れか1つの選択が実現する。この選択の後に表示切換スイッチ40を長押しすることにより、選択状態(設定状態)が確定し、記憶手段51の変速モード設定情報が更新され、元の遷移表示モードに復帰する。これらの処理が前述した#011〜#014、#010ステップの処理に対応する。
【0065】
図7(i)には、設定画面としての変速ペダル操作画面が設定情報表示領域36Bに表示された状態を示しており、この変速ペダル操作画面では、変速ペダル24の踏み込み操作量がグラフ的に表示され、この踏み込み操作量が視覚によって確認できるように構成されている。この変速ペダル操作画面が表示されている状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより変速ペダルの操作量を表示する状態と、表示しない状態との一方を選択する設定が可能となり、記憶手段51の変速ペダル表示情報も更新される。つまり、遷移表示モードにおいて、変速ペダル操作画面を表示した場合でも、変速ペダル24の踏み込み量を表示しない状態に設定される。そして、この処理が前述した#08〜#010ステップの処理に対応する。
【0066】
図7(j)にはクルーズ設定画面が設定情報表示領域36Bに表示された状態を示しており、クルーズ設定画面には、設定値を段階的に示す複数の設定指標が白抜きでバーグラフ的に表示されると共に、複数の設定指標のうち現在の設定位置を示す1つのものが黒抜きで表示される。つまり、クルーズスイッチCSの操作によりクルーズ制御が実行された際の無段変速装置8の変速値(走行速度)が表示されるのである。特に、クルーズ制御を実行した初期には、クルーズ制御ユニット59が、変速ペダル24の踏み込み操作を行わない状態でもクルーズ設定画面に黒抜きで表示される速度での走行を実現し、前述したように、操作具45の「UP」と記された端部側を軽く(浅く)操作することで、操作毎にクルーズ速度を設定値だけ上昇させると共に、設定指標の黒抜きの表示位置を1段だけ高速側に移動させる。これとは逆に、操作具45の「DOWN」と記された端部側を軽く(浅く)操作することで、操作毎にクルーズ速度を設定値だけ低減させると共に、設定指標の黒抜きの表示位置を1段だけ低速側に移動させる。
【0067】
このクルーズ設定画面が表示されている状態で表示切換スイッチ40を長押しすることより情報変更モードに移行する。この情報変更モードでは、表示切換スイッチ40を短押しすることにより、前述した変速レスポンス設定画面の制御(
図9を参照)と同様に、複数の設定指標において黒抜きで表示される設定位置が一方に順次に移動することになり設定状態を視覚によって確認できる。また、この移動により黒抜きで表示される設定位置が一方の端部に達した状態で表示切換スイッチ40を短押しすると、次に、他方の端部に黒抜きの設定位置が表示され、この後には、表示切換スイッチ40を短押しする毎に前述と同様に一方に順次移動する。
【0068】
特に、複数の設定指標において黒抜きで表示される設定位置を移動させる処理形態としては、前述した変速レスポンス設定画面での処理と同様に、複数の設定指標に連続する数値を与えておき、表示切換スイッチ40を短押した場合にはカウンタ値をインクリメントすることやデクリメントすることでカウンタ値の増減を図り、このカウンタ値に対応した位置に黒抜きの設定位置を表示するように処理形態が設定されている。この処理においてカウンタ値が設定指標の数を超える値に達した場合にはカウンタ値に初期値を与えることで複数の設定指標の端部に黒抜きの設定位置が表示され、表示切換スイッチ40の短押しにより移動させることが可能となる。そして、設定が完了した時点で表示切換スイッチ40を長押しすることにより、設定状態が確定し、記憶手段51のクルーズ設定値が更新され、元の遷移表示モードに復帰する。この処理が前述した#011〜#014、#010ステップの処理に対応する。
【0069】
図7(k)には設定画面としてのセッティング画面が設定情報表示領域36Bに表示された状態を示しており、このセッティング画面が表示されている状態で表示切換スイッチ40を長押しすることにより情報変更モードに移行する。この情報変更モードでは、複数のセッティング対象に対応する設定画面(図示せず)の選択が可能であり、設定画面を選択した状態で表示切換スイッチ40を短押しすることで設定情報を変更し、表示切換スイッチ40を長押しすることで設定情報を確定して、セッティング情報として記憶手段51に記憶する処理が行われる。
【0070】
図6のフローチャートには示していないが、PTOメータと、変速レスポンス設定画面と、DPF設定画面と、変速モード設定画面と、クルーズ設定画面との何れかが表示される状態から、情報変更モードに移行した後に、設定時間を超えて表示切換スイッチ40が長押しも短押しもされない場合には(無操作状態が設定時間を超える場合には)、設定情報を記憶手段51に記憶することなく遷移表示モードに復帰するように処理形態が設定されている。また、これらの処理において、情報変更モードに移行し、設定情報を変更した後であっても、表示切換スイッチ40が長押しされる以前に電源が遮断された場合には設定情報が記憶されることはなく、設定情報は情報変更モードに移行する以前の値が保存される。
【0071】
〔実施形態の作用・効果〕
このように、ディスプレイ36に表示される設定画面は初期状態において遷移表示モードで表示されており、表示切換スイッチ40を短押しすることで設定された順序で切り換える形態で表示される。
【0072】
複数の設定画面のうち、燃費メータと、オイルメータと、変速ペダル設定画面との何れかが表示される状態で表示切換スイッチ40を長押しした場合には、設定情報変更手段55が設定画面に対応した設定情報の切換(クリヤを含む)が行われ、この設定情報が記憶手段51に記憶される。これら処理では設定情報がON・OFFやクリヤの是非のように二者択一的な情報(例えば、1ビットで表わすことが可能な情報)であるので、情報変更モードに移行することなく遷移表示モードを維持したまま設定情報の変更を行い、記憶手段51に記憶する処理が行われる。
【0073】
また、複数の設定画面のうち、PTOメータと、変速レスポンス設定画面と、変速モード設定画面と、クルーズ設定画面との何れかが表示される状態で表示切換スイッチ40を長押しした場合には、情報変更モードに移行し、表示切換スイッチ40を短押しする毎に設定情報変更手段55が設定画面に対応する設定情報の変更が行われ、この変更の後に表示切換スイッチ40を長押しすることにより変更された設定情報が記憶手段51に記憶され、遷移表示モードに復帰する。
【0074】
このPTOメータと、変速レスポンス設定画面と、変速モード設定画面と、クルーズ設定画面との何れかが表示される状態では設定情報が3つ以上の状態の示す情報(例えば、複数ビットで表される情報)であるので、表示切換スイッチ40を長押しすることで、情報変更モードに移行し、この情報変更モードにおいて表示切換スイッチ40を短押しすることで設定情報の変更を行うように処理形態が設定されている。更に、変更の後に表示切換スイッチ40を長押しすることで、設定情報を記憶手段51に記憶し、遷移表示モードに復帰するように処理形態が設定されている。
【0075】
尚、DPF設定画面が表示される状態で表示切換スイッチ40を長押しした場合には、情報変更モードに移行するが、この情報変更モードにおいて表示切換スイッチ40の長押しによりクリーニングが実行されるだけであり、設定情報は変更されない。
【0076】
このように本発明では、単一の表示切換スイッチ40の操作時間の変更により2つのスイッチ類を備えずとも遷移表示モードと、情報変更モードとの選択を可能にするだけではなく、情報変更モードにおいて設定情報を変更した場合にも表示切換スイッチ40の操作によって設定情報を記憶手段51に記憶して遷移表示モードに復帰できるようにしており、単純な構成で単純な操作形態で設定情報の変更を実現している。
【0077】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0078】
(a)第1操作情報を入力するための第1スイッチと、第2操作情報を入力するための第2スイッチとを備える。第1スイッチと第2スイッチとは押しボタン式のもので良いが、操作情報判別手段53は第1スイッチが操作された場合には第1操作情報が入力されたと判別し、第2スイッチが操作された場合に第2操作情報が入力された判別することになる。このように2つのスイッチを備えることにより、簡単な操作で第1操作情報と第2操作情報との入力が可能となる。
【0079】
(b)単一の操作具によって操作され第1操作情報を入力するための第1スイッチと、第2操作情報を入力するための第2スイッチとを備える。操作具としては非操作状態で中立姿勢を維持するレバー型のものや、シーソ式に揺動可能なものでも良い。具体的には、クルーズスイッチCSのように、単一の操作具45と、第1スイッチ46と、第2スイッチ47とを備えたものを使用する。この構成では、操作具45が中立姿勢にある場合には、第1スイッチ46と第2スイッチ47とが非操作状態(OFF状態)に維持され、操作具45の一方の端部を操作することで第1スイッチ46をON操作して第1操作情報の入力を行い、他方の端部を操作することで第2スイッチ47をON操作して第2操作情報の入力を行う。
【0080】
このように、単一の操作具45によって第1スイッチ46と第2スイッチ47とを操作できるように構成することにより、離れた位置の2つのスイッチを操作する構成と比較して操作が容易で2種の操作情報の入力が可能となる。
【0081】
(c)設定情報変更手段55の処理形態として、第2操作情報の入力を判別した場合に、ディスプレイ36に対して新たに設定用画面を表示し(新たにウインドウを開き)、この設定用画面において設定情報の変更を可能にする等、情報変更モードにおいてディスプレイ36における情報の表示形態は任意に設定できる。