(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機体横方向に並ぶ複数の機体前後向きの植付け駆動ケース及び前記複数の植付け駆動ケースの前端側を連結する機体横向きの連結部材を備えて構成される植付け機体フレームと、前記複数の植付け駆動ケースそれぞれの後端部に駆動自在に支持される苗植付け機構と、前記苗植付け機構による苗植付け箇所より機体前方側で圃場面に肥料供給する溝を形成する作溝器と、タンクから繰り出された肥料を搬送風によって前記作溝器に供給する肥料供給路とを備えた田植機であって、
前記肥料供給路に連通するエア抜き風路の排気口を、前記連結部材の上端より低い配置高さに位置するように、かつ前記肥料供給路の前方に前記肥料供給路と機体前後方向に重なって位置するよう配置し、
前記排気口に、風圧によって開き操作され、重力によって閉じ操作される蓋体を上下揺動開閉自在に設けるとともに、前記蓋体の全開き姿勢において前記蓋体に重力による閉じ方向外力が作用するように、前記蓋体の開き揺動を規制するストッパを設けてある田植機。
前記作溝器の上端部の外周側及び前記作溝器の上端部に連通する前記肥料供給路の終端部の外周側を覆うカバーによって前記エア抜き風路を形成し、前記排気口を前記カバーに形成してある請求項1記載の田植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンクから繰り出された肥料を作溝器に供給する肥料供給路として、搬送風による肥料供給を行なうものを採用したものにあっては、肥料供給路に連通するエア抜き風路を設けることにより、作溝器から流出する搬送風による施肥不良の発生を防止や抑制できる。すなわち、作溝器から流出する搬送風量が多くなると、作溝器によって圃場に供給される肥料が作溝器から流出する搬送風によって過剰に拡散する。しかし、肥料供給路での搬送風の抜け出しを可能に構成すれば、作溝器から流出する搬送風量を肥料供給路に送り込まれる搬送風量に比して少量に抑制でき、作溝器によって圃場に供給される肥料の搬送風による過剰な拡散を抑制できる。
ところが、肥料供給路での搬送風の抜け出しを可能に構成した場合、肥料供給路から抜け出る搬送風と共に肥料の粉末が流出することがあり、流出した肥料が飛散し、植付け機体フレームを構成する連結部材に落下して乗ったままになると、連結部材に錆が生じるなどの問題が発生することがある。
【0005】
本発明の目的は、肥料供給路における搬送風の抜け出しを可能にするものでありながら、上記した問題の発生を回避しやすいのみならず、これに起因する泥掛かりも回避しやすい田植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、機体横方向に並ぶ複数の機体前後向きの植付け駆動ケース及び前記複数の植付け駆動ケースの前端側を連結する機体横向きの連結部材を備えて構成される植付け機体フレームと、前記複数の植付け駆動ケースそれぞれの後端部に駆動自在に支持される苗植付け機構と、前記苗植付け機構による苗植付け箇所より機体前方側で圃場面に肥料供給する溝を形成する作溝器と、タンクから繰り出された肥料を搬送風によって前記作溝器に供給する肥料供給路とを備えた田植機において、
前記肥料供給路に連通するエア抜き風路の排気口を、前記連結部材の上端より低い配置高さに位置するように、かつ前記肥料供給路の前方に前記肥料供給路と機体前後方向に重なって位置するよう配置
し、
前記排気口に、風圧によって開き操作され、重力によって閉じ操作される蓋体を上下揺動開閉自在に設けるとともに、前記蓋体の全開き姿勢において前記蓋体に重力による閉じ方向外力が作用するように、前記蓋体の開き揺動を規制するストッパを設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、肥料供給路に送り込まれる搬送風量が多くても、一部がエア抜き風路から抜け出し、作溝器から抜け出る搬送風量が肥料供給路に送り込まれた搬送風量に比して少量になるようにできる。エア抜き風路の排気口を連結部材の上端より低い位置に配置して、エア抜き風路から搬送風とともに流出した肥料の連結部材までの舞い上がりを発生し難くしてあるから、流出した肥料の連結部材への落下を回避しやすい。エア抜き風路から流出した肥料が連結部材に落下し難くいように排気口を連結部材の上端より低く配置しても、排気口が肥料供給路の前方に肥料供給路と機体前後方向に重なって位置して、苗植え運動する苗植付け機構によって跳ね上げられた泥土を排気口に届き難くする遮蔽機能を肥料供給路が発揮するようにしてあるから、苗植付け機構による跳ね上がり泥土を排気口に付着し難くできる。
【0008】
従って、肥料供給路に送り込まれる搬送風量が多くても、作溝器から流出する搬送風に起因する肥料拡散などの施肥不良を防止や抑制できるものでありながら、エア抜き風路から流出する肥料による連結部材の錆発生や、苗植付け機構による跳ね上げ泥土による排気口の詰まりなどの問題を回避しやすい有利な田植機を得ることができる。
【0009】
【0010】
本第1発明の構成によると、風圧と重力とによって開閉される構造簡単な蓋体によって排気口を開閉させて、エア抜き風路による搬送風の抜け出しを支障なく行わせながら、排気口を泥水などが入りにくいように閉じることができる。
【0011】
重力によって閉じ操作される上下揺動自在な蓋体にあっては、死点を超えて開いてしまった場合、重力による下降操作を受けても閉じなくなる。これに対し、蓋体が抜け出る搬送風による強い開き操作や機体振動による衝撃的な開き操作を受けて全開き姿勢になることがあっても、その全開き姿勢は重力が閉じ方向外力として作用するものであり、蓋体は、開き操作が解除されるに伴い、重力による閉じ操作で確実に下降揺動して閉じ姿勢に戻る。
【0012】
従って、構造簡単な蓋体を採用するものでありながら、蓋体が強い風圧や振動などによって開いたままにならず、排気口を泥水などの入り込みにくいように確実に閉じることができる。
【0013】
本第2発明は、前記作溝器の上端部の外周側及び前記作溝器の上端部に連通する前記肥料供給路の終端部の外周側を覆うカバーによって前記エア抜き風路を形成し、前記排気口を前記カバーに形成してある。
【0014】
本第2発明の構成によると、作溝器及び肥料供給路を覆うカバーを風路形成手段に活用してエア抜き風路を形成することができる。
【0015】
従って、エア抜き風路から排出される肥料が植付け機体フレームの連結部材に落下しにくいように排気口が低い配置高さに位置するエア抜き風路を設けるのに、カバーを活用して安価にできる。
【0016】
本第3発明は、前記カバーを、前記排気口より低い配置高さの位置でかつ前記作溝器の外周側でカバー内を下方向きに開放する形状に形成してある。
【0017】
本第3発明の構成によると、肥料供給路から作溝器に流入してカバー内に抜け出た搬送風がエア抜き風路からカバー外に抜け出る他に、カバーと作溝器の間からもカバー外に抜け出るようにでき、肥料供給路に送り込まれる搬送風量が極多い場合でも、カバー外に抜け出る搬送風量が多くなって、作溝器から圃場に向けて流出する搬送風量を少量に抑制できる。また、エア抜き風路の排気口を小径化しても、作溝器から圃場に向けて流出する搬送風量を少量に抑制できる。
【0018】
従って、肥料供給路に送り込まれる搬送風量が極多い場合でも、作溝器から流出する搬送風に起因する肥料拡散などの施肥不良を良好に防止や抑制できる。また、エア抜き風路の排気口を泥水などが入りにくいように小型にすることができる。
【0019】
本第4発明は、前記カバーを弾性材によって構成し、当該カバーと前記作溝器との間に空隙を確保するよう前記作溝器に当接する突部を前記カバーに設けてある。
【0020】
本第4発明の構成によると、カバーによってエア抜き風路の形成するなどに起因してカバーの形状が複雑になる場合でも、成形が容易な弾性材によってカバーを容易に形成できる。
【0021】
カバーが泥水の押し寄せを受けるなどによって内部の作溝器に向かって弾性変形することがあっても、突部によってカバーと作溝器の間隙を確保でき、カバーの変形のためにエア抜き風路が狭くなることを抑制できる。
【0022】
従って、エア抜き風路をカバーによって形成し、かつカバーを弾性材によって容易に形成するものでありながら、カバーの変形が発生した場合でも、エア抜き風路が狭くなることを抑制して搬送風の抜け出しをスムーズに行わせることができる。
【0023】
本第5発明は、前記作溝器の内側上部位置に肥料詰まりを検出する詰まりセンサを設け、
前記肥料供給路を形成する筒体のうち前記作溝器に挿入された先端部を、前記詰まりセンサの側に位置する領域が最も長くなるように構成してある。
【0024】
本第5発明の構成によると、肥料供給路からの肥料を筒体の先端部の詰まりセンサ側の領域が最も長いことによる筒体の先端部によるガイドを受けて詰まりセンサから離れる側に拡散しながら作溝器の内部を流下するようにして、詰まりセンサが位置する側に肥料を流れ難くできる。
【0025】
従って、作溝器に詰まりセンサの電線を配備する切り欠きなどの開口を設けても、開口からの肥料の漏れ出しを回避し易い。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の実施例に係る田植機の全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例に係る田植機の全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係る田植機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪10,10と左右一対の駆動自在な後輪11,11とによって自走する乗用型の走行機体1の後部に、油圧シリンダ2の作動で昇降揺動するリンク機構3を介して苗植付装置4を連結して、かつ、走行機体1の運転座席13の後側に設けられたタンク21を備えた施肥装置5を設けて構成されている。
【0028】
走行機体1について説明する。
図1及び
図2に示すように、走行機体1は、その前部に搭載されたエンジン6からの動力を、ベルト式伝動装置7及び静油圧式無段変速装置8を介してギヤ式伝動装置9に伝達し、そのギヤ式伝動装置9からの走行用動力を左右の前輪10及び後輪11に伝達する四輪駆動形式に構成されている。走行機体1の後部側には、左右の前輪10を操向操作するステアリングホイール12や運転座席13などを備えた搭乗形の運転部14が形成されている。
【0029】
苗植付装置4について説明する。
図3は、苗植付装置4を示す側面図である。この図及び
図1,2に示すように、苗植付装置4は、リンク機構3を構成するアッパーリンク3a及びロワーリンク3bの後端部に連結フレーム3cを介して植付機体横方向での中間部が連結された植付機体横方向に長い連結部材28を備えて構成された植付け機体フレーム30を備えている。連結部材28は、縦断面形状が矩形に形成された中空の鉄鋼材によって構成されている。植付け機体フレーム30は、前記連結部材28を備える他、この連結部材28の長手方向での3箇所から植付機体後方向きに延出され、前端側が連結部材28によって連結された状態で植付機体横方向に所定間隔を隔てて並ぶ植付機体前後向きの3つの植付け駆動ケース29を備えて構成されている。
【0030】
苗植付装置4は、各植付け駆動ケース29の後端部の両横側に一つずつ駆動自在に設けられた6つの苗植付け機構18、植付け機体フレーム30の前端側の上方に下端側ほど植付機体後方側に位置する傾斜姿勢で設けられた苗載せ台17、各植付け駆動ケース29の下方に一つずつ位置する配置で植付機体横方向に並べて植付け機体フレーム30の下方に設けられた3つの接地フロート15を備えている。各苗植け機構18は、植付け駆動ケース29に駆動回転自在に支持される回転ロータ18aを備え、この回転ロータ18aが回転駆動されることにより、回転ロータ18aの両端部に分散させて設けてある一対の植付けアーム18b,18bによって交互に苗載せ台17の下端部から苗を取り出し、取り出した苗を圃場面に植え付けるように苗植え運動を行なうようにロータリ式に構成されている。
【0031】
図3,4に示すように、苗植付装置4は、走行機体1のギヤ式伝動装置9からの作業用動力が入力されるフィードケース16を連結部材28によって支持される状態で備え、作業用動力をフィードケース16から伝動ケース31に収容の伝動軸31aを介して各苗植え駆動ケース29に伝達して6つの苗
植付け機構18を駆動する。苗植付装置4は、フィードケース16に一端側が駆動回転自在に支持された苗横送り軸41を有した苗横送り機構40を備え、この苗横送り機構40によって苗載せ台17を苗植付け機構18の苗植え運動に連動させて植付機体横方向に往復移送する。これにより、苗載せ台17は、各苗植付
け機構18が苗載せ台17に載置されたマット状苗の下端部の横一端側から他端側に向けて順次に苗を取り出していくように、6つの苗載置部に載置されたマット状苗を苗植付
け機構18に対して
植付機体横方向に移送する。苗植付装置4は、フィードケース16に一端側が駆動回転自在に支持された苗縦送り軸46を有した苗縦送り機構45を備え、往復移送される苗載せ台17が左右のストロークエンドに到達すると、苗載せ台17の6つの苗載置部に設けてある苗縦送りベルト47を苗縦送り機構45によって所定ストロークだけ回転駆動し、苗載せ台17に載置されているマット状苗を苗植付け機構18による取り出し苗の縦方向での大きさに相当する量だけ苗植付け機構18に向けて縦送りする。
【0032】
従って、苗植付装置4は、油圧シリンダ2によるリンク機構3の昇降操作によって各接地フロート15が圃場面に下降して接地した下降作業状態と、各接地フロート15が圃場面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。下降作業状態に下降された苗植付装置4は、走行機体1の走行に伴い、走行機体1からフィードケース16に伝達される作業用動力によって各苗植付け機構18、苗横送り機構40及び苗縦送り機構45を駆動し、6つの苗植付け機構18によって6条の苗植え付けを行なう。各苗植付け機構18は、接地フロート15の滑走によって前もって整地された圃場面に苗植え付けする。
【0033】
施肥装置5について説明する。
図1,2に示すように、施肥装置5は、ホッパ形に形成されたタンク21と、このタンク21の底部に走行機体横方向に並べて設けた4つの繰出し機構20と、運転座席13の下方に走行機体1の機体フレームに支持される状態で設けたブロワ22と、苗植付装置4に植付機体横方向に並べて設けた6つの作溝器19とを備えて構成してある。
【0034】
4つの繰出し機構20は、苗植付装置4に作業用動力を伝達する伝動系からの動力で回転駆動される繰出しロール(図示せず)が内装された繰り出しケース(図示せず)を備え、タンク21に貯留された粉粒状の肥料を繰出しロールによって繰出しケースの下部に設けられた左右一対の送出部20a,20aに繰出すよう構成されている。
【0035】
ブロワ22は、電動モータによって駆動され、エンジン6の排気マフラ36の放熱や排気マフラ36の排気によって温度上昇している排気マフラ
36付近の空気を吸気ダクト35を介して吸引して常温よりも高温の搬送風を発生させ、発生させた搬送風を送風ダクト37を介して4つの繰出し機構20の各送出部20aに供給する。
【0036】
4つの繰出し機構20それぞれが備える左右一対の送出部20a,20aの一方あるいは両方からホース27などで形成される肥料供給路23を走行機体後方向きに延出し、4つの繰出し機構20から延出する計6本の肥料供給路23の延出端部を6つの作溝器19に各別に接続してある。
【0037】
図1,3,4,5に示すように、6つの作溝器19は、1つの苗植付け機構18の前方近くに1つずつ位置する配置で植
付機体横方向に一列に並べて接地フロート15に支持させてある。各作溝器19は、
植付機体上下方向視での形状が機体後方向きに開口する溝形になるように成形された折曲げ板金で成る供給部19aと、この供給部19aの下部の前側から前方に延出された作溝部19bとを備えて構成してある。各作溝器19は、作溝部19bを接地フロート15に連結することによって接地フロート15に支持させてある。
【0038】
繰出し機構20の送出部20aと作溝器19とを接続する肥料供給路23は、繰出し機構20の送出部20aから走行機体後方向きに延出するホース27と、このホース27の延出端部に上端部が連結された状態で苗載せ台17の裏側に植付機体上下向き姿勢で位置する連通パイプ24と、この連通パイプ24の下端部に上端部が連結され、下端部が作溝器19における供給部19aの上端部に連通している筒体25とによって形成してある。
【0039】
ホース27は、苗植付装置4の昇降に伴って撓むように可撓性ホースによって構成してある。連通パイプ24は、連通パイプ24に非可撓性を具備させる素材によって形成してある。連通パイプ24は、具体的には、半透明の合成樹脂材で形成してある。連通パイプ24は、これの上下両端部に一体形成した連結フック50,51と連通パイプ24の上端部に一端側が連結された係止ピン52とにより、植付機体側に設けた上下一対の植
付機体横向きの支持杆53,54に支持させてある。すなわち、
図3,4に示すように、連通パイプ24の上端側に位置する上向き開口の連結フック50を上側の支持杆53に下方から係合させ、連通パイプ24の下端側に位置する下向き開口の連結フック51を下側の支持杆54に上方から係合させてある。係止ピン52の他端側を上側の支持杆53に設けたピン孔に係入させ、係止ピン52によって連通パイプ24の支持杆53に対する植
付機体横方向での位置決めを行なってある。上側の支持杆53は、植付け機体フレーム30を構成する連結部材28から植付け機体上方向きに立設されて苗載せ台17の上端側を摺動自在に支持する左右一対の支柱26,26に架設してある。下側の支持杆54は、植付け機体フレーム30を構成する植付け駆動ケース29に架設されている。
【0040】
従って、施肥装置5は、苗植付装置4によって6条植えの苗植え作業が行なわれるに伴い、6条の植付け苗それぞれの横側近くに肥料供給する施肥作業を行なう。
すなわち、4つの繰出し機構20がタンク21に貯留された肥料をそれぞれの送出部20aに繰出し、6つの肥料供給路23それぞれが、送出部20aに繰り出された肥料をブロワ22によって送出部20aに供給されて送出部20aから肥料供給路23に流入する搬送風によって作溝器19の供給部19aに供給する。6つの作溝器19それぞれは、苗植付
け機構18による苗植付け箇所より
植付機体前方側において、作溝部19bによって圃場面に溝を形成していき、この溝に供給部19aによって肥料供給路23からの肥料を供給する。作溝器19による肥料供給を行なった後の溝は、作溝器19の後方に配置して接地フロート15に設けられた埋戻し板39による泥土の押し寄せによって埋められる。
【0041】
図5,8に示すように、作溝器19の供給部19aの内側上部に詰まりセンサSを設けてある。詰まりセンサSは、間隔を隔てて位置する一対の電極を備え、一対の電極にわたって肥料が付着し、両電極間の導通状態が良くなって抵抗値が小さくなることにより、肥料詰まりが発生したと検出作動する。詰まりセンサSは、検出作動した場合、検出情報を制御手段に出力することにより、運転部14に設けられた警報装置(図示せず)を作動させる。詰まりセンサSは、電線56によって制御手段に連係されている。電線56は、作溝器19における供給部19aの上部に設けた切り欠きでなる開口19cを通るように配備されている。
【0042】
肥料供給路23を形成する筒体25のうちの作溝器19の供給部19aに挿入された先端部25
Aを詰まりセンサSの側に位置する領域25Bが最も長くなるように形成してある。具体的には、先端部25Aの形状を、筒体25の軸芯25aに対して詰まりセンサSが位置する側に位置する領域25Bでの下端T1が、筒体25の軸芯25aに対して詰まりセンサSが位置する側とは反対側に位置する領域25Cでの下端T2より低い配置高さに位置するように先細り形状にしてある。つまり、先端部25Aに切り欠き部を設けて、先端部25Aの形状を段付き形状にしてある。切り欠き部は、筒体25の軸芯25aに沿う方向での切断と、筒体25の軸芯25aに直交する方向での切断とによって形成されている。
【0043】
従って、肥料供給路23からの肥料が筒体25の先端部25Aの先細り形状によって詰まりセンサSから離れる側に拡散しながら作溝器19の供給部19aの内部に流下し、肥料が詰まりセンサSが位置する側に流れて開口19cから供給部19aの外側に漏れ出ない構成になっている。
【0044】
図5は、6つの作溝器19それぞれにおける作溝器19と肥料供給路23とが連通する部位を示す縦断側面図である。
図6は、6つの作溝器19それぞれにおける作溝器19と肥料供給路23とが連通する部位を示す正面図である。
図8は、6つの作溝器19それぞれにおける作溝器19と肥料供給路23とが連通する部位を示す横断平面図である。これらの図に示すように、肥料供給路23に第1及び第2のエア抜き風路61,62を連通させ、肥料供給路23に供給された搬送風の一部が作溝器19の供給部19aの下端部に至るまでに第1及び第2のエア抜き風路61,62によって抜け出ることを可能にし、肥料供給路23から作溝器19の供給部19aに流入して供給部19aから肥料供給用の溝内や圃場面に吹き出る搬送風量をブロワ22によって肥料供給路23に供給される搬送風量に比して少量にできるように構成してある。
【0045】
第1及び第2エア抜き風路61,62は、作溝器19の上方に設けたカバー63によって形成してある。
【0046】
すなわち、カバー63は、作溝器19の供給部19aの上端部の外周側をその上端部に対して所定間隔を隔てて覆うように、かつ作溝器19の供給部19aの上端部に連通する肥料供給路23の終端部の外周側をその終端部に対して所定間隔を隔てて覆うように、さらに作溝器19の供給部19aの上端部の外周側の箇所であって、カバー63の上部に設けた排気口64aより低い配置高さに位置する箇所でカバー63の内部を下向きに開放する下向き開口66を備えるように形成してある。具体的には、カバー63は、肥料供給路23を形成する筒体25の上部箇所25Uから下方向きに延出し、延出端63bが作溝器19の供給部19aにおける上端部箇所の外側に位置し、延出端63bで下向きに開口するよう容器形状に形成してある。カバー63は、弾性材の一例としてのゴム材によって構成してある。カバー63と筒体25とは、ゴム材によって一体形成してある。
【0047】
作溝器19の供給部19aとこの供給部19aの上端部に挿入された筒体25の先端部25Aとの間に、作溝器19が接地フロート15と共に植付け機体フレーム30に対して昇降することを許容する隙間Cを設けてある。カバー63の上端部に排気口64aを
植付機体上方及び前方向きに備えた排気筒部64を設け、肥料供給路23の終端開口から出た搬送風が供給部19aの内壁面に沿って上方向きに流動して供給部19aと筒体25の隙間Cから供給部19aの外側に流出し、供給部19aの外側をさらに上方向きに流動した搬送風が排気筒部64に流入して排気口64aからカバー63の外部に抜け出るように第1のエア抜き風路61を形成してある。
【0048】
肥料供給路23の終端開口から出た搬送風が供給部19aの内壁面に沿って上方向きに流動して供給部19aと筒体25の隙間Cから供給部19aの外側に流出し、供給部19aの外側に出てからカバー63の内面に沿って下方向きに流動した搬送風がカバー63の下向き開口66からカバー63の外部に抜け出るように第2のエア抜き風路62を形成してある。
【0049】
図3に示すように、第1のエア抜き風路61の排気口64aは、植付け機体フレーム30を構成する連結部材28の上端28aより低い配置高さに位置するように配置してあり、第1のエア抜き風路61から搬送風と共に肥料粉末が出ても、第1のエア抜き風路61から出た肥料粉末が植付け機体フレーム30の上に落下する事態が発生しない。
【0050】
図3,6に示すように、第1のエア抜き風路61の排気口64aは、肥料供給路23の前方に肥料供給路23と
植付機体前後方向に重なって位置するよう配置し、苗植え運動する苗植付
け機構18による泥土の跳ね上げが発生しても、肥料供給路23を形成する連通パイプ24や筒体25が遮蔽機能を発揮し、跳ね上げられた泥土が排気口64aに付着しない構成になっている。
【0051】
第1のエア抜き風路61の排気口64aに蓋体70を設けてある。この蓋体70は、カバー63に一体形成して設けた支持部71に枢支されており、軸芯Pまわりに上下揺動して開閉するように、かつ排気口64aから抜け出る搬送風の風圧を受けると、この風圧によって開き操作されるように、さらに開き操作が解除されると、蓋体70に作用する重力による下降操作によって閉じ操作されるように支持されている。
【0052】
蓋体70に対するストッパ72を支持部71に一体形成して設けある。
図5に二点鎖線で示す蓋体70は、全開き姿勢での蓋体を示している。
図5,7に示すように、蓋体70は、上昇揺動して開き角度が増大していき、蓋体70の基端側部分がストッパ72に当接してこのストッパ72による揺動規制を受けた状態になると、開き限界である全開き姿勢になる。この全開き姿勢は、重力が閉じ方向外力として作用するよう上死点を超えない開き姿勢に設定してある。
従って、蓋体70は、全開き姿勢まで開き操作された場合でも、開き操作が解除されると、重力による閉じ操作によって確実に下降して閉じ姿勢に戻る。
【0053】
図6,7に示すように、カバー63の左右の横側壁部63aの内面側に突部73を設けてある。突部73は、作溝器19の供給部19a及び筒体25に沿う方向の突条によって構成してある。この突部73は、カバー63に一体形成してある。
【0054】
突部73は、カバー63の横側壁部63aが泥水の押し寄せを受けるなどによって内側に向かって弾性変形した場合、筒体25や供給部19aに当接して横側壁部63aのそれ以上の内側への弾性変形を規制するストッパとなり、横側壁部63aと筒体25及び供給部19aとの間に隙間を確保し、横側壁部63aの弾性変形によって第1及び第2のエア抜き風路61,62が狭くなることを抑制する。
【0055】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、エア抜き風路61をカバー63によって形成した例を示したが、肥料供給路23を形成する連通パイプ24や筒体25に連通状態で連結した筒体によって形成して実施してもよい。
【0056】
(2)上記した実施例では、カバー63を弾性材によって構成した例を示したが、板金などの各種の金属材によって構成して実施してもよい。
【0057】
(3)上記した実施例では、植付け機体フレーム30を構成する連結部材28として、フレーム専用の部材を採用した例を示したが、植付け駆動ケース29に動力伝達する伝動ケースを連結部材として採用して実施してもよい。
【0058】
(4)上記した実施例では、6条植え型の田植機に構成した例を示したが、5条植えや8条植えなど植え付け条数が各種異なる田植機に構成して実施してもよい。