特許第5763516号(P5763516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763516
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】X線液面検査装置用試験缶
(51)【国際特許分類】
   G01F 25/00 20060101AFI20150723BHJP
   G01F 23/288 20060101ALI20150723BHJP
   G01N 23/04 20060101ALI20150723BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   G01F25/00 A
   G01F23/288
   G01N23/04 310
   B65B57/10 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-273587(P2011-273587)
(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-124921(P2013-124921A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 將平
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−185490(JP,A)
【文献】 特開2010−243369(JP,A)
【文献】 特開平10−062232(JP,A)
【文献】 特開2003−042828(JP,A)
【文献】 特開2010−178989(JP,A)
【文献】 特開2001−149363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 25/00
B65B 57/10
G01F 23/288
G01N 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶容器内の液面レベルが許容範囲内に入っているか否かを検査するX線液面検査装置での合否判定の基準となる入味量の確認試験を行なうための試験缶であって、
底部に連なって形成された中空円筒状の缶胴を有するとともに、前記缶胴が巻締めされる開口部側に向けて縮径した形状を有する製品とされる缶容器と、該缶容器内に挿入される被検査体とを備え、
前記被検査体は、前記缶容器の軸線に沿って組み込まれる円柱状の中心部材と、円環状部材が複数に分割されてなり前記中心部材と前記缶胴との間の空間を充填するように組み込まれる外周部材とを有し、前記中心部材は、その円柱状の上面が、認識される液面レベルに対応する第一の検出面とされていることを特徴とするX線液面検査装置用試験缶。
【請求項2】
前記中心部材には、前記第一の検出面の中央に、円盤状の突起部材が設けられ、該突起部材の上面が、認識される液面レベルに対応する第二の検出面とされていることを特徴とする請求項1に記載のX線液面検査装置用試験缶。
【請求項3】
前記中心部材および外周部材は、プラスチック製であり、前記突起部材は、金属製であることを特徴とする請求項2に記載のX線液面検査装置用試験缶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールやジュース等の液体が充填、密封された缶容器にX線を照射して該缶容器内の液面レベルを検査するX線液面検査装置に係り、特に、この種のX線液面検査装置での合否判定の基準となる入味量の確認試験を行なうための試験缶に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビールを製造する工程は、製麦工程、仕込工程、発酵・貯酒工程、ろ過工程、およびパッケージング工程を含む。パッケージング工程は、ろ過工程を経たビールを缶や瓶などの容器に所定量ずつ充填する工程である。この際、容器に所定量のビールが充填された製品のみを出荷するために、容器に充填されたビールの実際の容量(入味量)が適正であるかどうかを検査する入味検査が実施されている。
【0003】
この入味検査においては、ビールを充填する容器が缶である場合には、入味検査機を用いた自動化が進んでいる。例えばX線を用いた非破壊検査機であるX線液面検査装置では、缶容器内の液面レベルが許容範囲内に入っているか否かを検査し、許容範囲内にあるもの(合格製品)は次の工程に移して梱包し、許容範囲以外のもの(不合格製品)は排斥装置で生産ラインから排斥される。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されているX線液面検査装置は、被検査容器にX線を照射し、該容器を透過したX線をX線可視化パネルとCCDカメラからなる撮像手段で撮像し、画像処理装置で前記撮像手段からの撮像データを処理して被検査容器内の液面レベルを検出し、検出した液面レベルが許容範囲内にあるか否かを判定してその結果をディスプレイ装置に表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3420895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種のX線液面検査装置での合否判定の基準となる入味量の確認試験を行なうための試験缶は、通常、実際に製品とされるアルミ製の缶容器自体を用い、これに炭酸水やビールを規定量封入し、重さを量って規定量が入っているかを確認して作成されていた。
しかしながら、炭酸水を封入した試験缶は、缶を振って内圧をかけた場合と、全く振らずにそのままX線液面検査装置を通した場合とでは判定値が変わってしまうことがあった。また、炭酸水を封入した試験缶は、缶胴がアルミ製のため、入味量の確認試験に繰り返し使用すると、次第に缶胴に凹みが生じ、缶容器内の液面レベルが上昇するなど変化してしまう。一方、X線液面検査装置で設定する基準となる入味量の高さは、NG用の試験缶(不合格製品)を排斥するように液面レベルの許容範囲を調整するため、缶容器内の液面レベルが上昇した試験缶で入味量の基準値を設定してしまうと、通常稼働時に無駄な排斥が発生してしまい、連続排斥等によりラインの停止につながってしまうことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、缶容器内の液面レベルを検査するX線液面検査装置における、入味量の確認試験を行なうための試験缶において、通常稼働時の誤排斥を低減して生産ラインの生産性を向上し得るX線液面検査装置用試験缶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述のような問題を解決するためには、入味量として認識させる液面レベルに対応する部分の高さを正確に維持可能な被検査体を用いてX線液面検査装置の機能を確認すれば、より正確にX線液面検査装置を管理できると考えた。
一方、生産ラインに近い状態としつつX線液面検査装置で入味量を正確に試験する上では、製品とされる缶容器を可及的に用いて確認試験を行なうことも重要である。X線液面検査装置のX線量が変化した際に、出荷される製品と同様の変化を確認できるからである。
【0009】
ここで、実際に製品とされる缶容器は、底部と、この底部に連なって形成された中空円筒状の缶胴とを有し、その缶胴が巻締めされる開口部側に向けて縮径した形状を有する。そのため、このような缶容器を試験用として使用するには、缶容器の縮径した開口部側から上記被検査体を挿入するとともに、開口部よりも径が大きな缶胴の部分の凹みを防止するように缶内に被検査体を充填するように配置することが望ましい。
【0010】
そこで、このような考察に基づき、本発明者は、被検査体を、缶容器の中央部分に配置される円柱状の中心部材と、その中心部材を囲繞し且つ複数に分割された外周部材とから構成し、入味線として認識される液面レベルに対応する所定高さを正確に維持可能な検出面を円柱状の中心部材の上面に設け、これら複数の外周部材および中心部材を缶容器内部に組み込むことで試験缶を構成した。
【0011】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るX線液面検査装置用試験缶は、缶容器内の液面レベルが許容範囲内に入っているか否かを検査するX線液面検査装置での合否判定の基準となる入味量の確認試験を行なうための試験缶であって、底部に連なって形成された中空円筒状の缶胴を有するとともに、前記缶胴が巻締めされる開口部側に向けて縮径した形状を有する製品とされる缶容器と、該缶容器内に挿入される被検査体とを備え、前記被検査体は、前記缶容器の軸線に沿って組み込まれる円柱状の中心部材と、円環状部材が複数に分割されてなり前記中心部材と前記缶胴との間の空間を充填するように組み込まれる外周部材とを有し、前記中心部材は、その円柱状の上面が、認識される液面レベルに対応する第一の検出面とされていることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係るX線液面検査装置用試験缶によれば、製品とされる缶容器内に被検査体を組み込んだ試験缶としたので、X線液面検査装置のX線量が変化した際に、出荷される製品と同様の変化を確認することができる。そして、この試験缶によれば、被検査体は、中心部材と缶胴との間の空間を充填するように外周部材が組み込まれるので、缶胴部分の凹みが抑制される。さらに、認識される液面レベルに対応する第一の検出面が円柱状の中心部材の上面によって構成されているので、缶容器が凹んでも液面レベルに対応する部分の高さが変化しない。そのため、試験缶の強度を維持するとともに入味量に対応する部分の高さの精度を向上させることができ、安定した確実な確認試験ができる。したがって、通常稼働時の誤排斥を低減して生産ラインの生産性を向上させることに寄与することができる。
【0013】
ここで、本発明の一態様に係るX線液面検査装置用試験缶において、前記中心部材には、前記第一の検出面の中央に、円盤状の突起部材が設けられ、該突起部材の上面が、認識される液面レベルに対応する第二の検出面とされていることは好ましい。
このような構成であれば、X線液面検査装置で入味量を判定している搬送方向の検査範囲にズレが生じていないかの確認が同時に可能となり、液面レベルの補正が正しく行われているか否かが一層正確に判る。
その理由は、通常のX線液面検査装置は、缶胴の中心を含む所定範囲を検査範囲としており、その検査範囲の平均値を最終判定値として出力する。そのため、何らかの要因により、検査範囲が缶胴の中心からずれて第二の検出面を検出できなくなると、最終判定値が第一の検出面のレベルに下がることになる。そのため、容易に検査範囲のずれを判断することができるからである。
【0014】
なお、本発明の一態様に係るX線液面検査装置用試験缶において、前記中心部材および外周部材は、プラスチック製であり、前記突起部材は、金属製であることは好ましい。
つまり、被検査体は、製品とされる内容物に近い比重が望ましいと考えられるので、被検査体を主にプラスチック部材から構成すれば、比重をビール等と近くすることができ、また、プラスチック部材は入手および加工が容易なので被検査体の素材として好適だからである。また、第二の検出面を構成する突起部材を金属製とすれば、この部分でのX線の吸収率を良くすることができるので、検査範囲のずれを判断する上で好適である。
【発明の効果】
【0015】
上述のように、本発明によれば、通常稼働時の誤排斥を低減して生産ラインの生産性を向上し得るX線液面検査装置用試験缶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るビール製造ラインの一実施形態の工程図である。
図2図1の検査工程に配置されるX線液面検査装置を説明する模式図である。
図3】本発明に係る試験缶の第一実施形態(R缶:350ml缶)を説明する図であり、同図は試験缶の正面図において缶容器のみを破断した状態で示している。
図4】第一実施形態の被検査体を分解した状態の説明図であり、同図(a)は中心部材の正面図を示し、(b)は外周部材の平面図を示している。
図5】本発明に係る試験缶の第二実施形態(H缶:500ml缶)を説明する図であり、同図は試験缶の正面図において缶容器のみを破断した状態で示している。
図6】本発明に係る試験缶の第三実施形態(M缶:250ml缶)を説明する図であり、同図は試験缶の正面図において缶容器のみを破断した状態で示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。図1は本発明に係る実施形態のビール製造ラインの工程図である。
図1に示すように、このビール製造ラインは、缶蓋及び缶体を供給する供給工程を行うブロック101と、フィラーによりビールを缶体に注入し、シーマーにより缶体に缶蓋を装着する缶詰め工程を行うブロック102と、ビールが詰められた製品を検査する検査工程を行うブロック103と、検査後の製品を加温機により加温する工程を行うブロック104と、製品の入味を検査する検査工程を行う及びブロック105と、入味検査後に分岐して製品を6本(マルチ)パックに梱包した上で24本入りカートンに梱包する工程又は製品を個別のまま(ルーズ等)他の形態で24本入りカートンに梱包する工程を行うブロック106,107と、カートンの印字を検査する工程を行うブロック108と、カートンの重量を検査する工程を行うブロック109と、カートンを搬出する工程を行うブロック110とを有する。
【0018】
ここで、上記検査工程を行なうブロック105では、順次搬送されてくる缶容器に充填された液体の容量が所定量であるかどうかを検査するために、X線を用いて缶容器に充填されたビールの容量(入味量)の検査を行なっている。
図2に示すように、ブロック105に配備されるX線液面検査装置は、被検査容器となる缶容器CにX線を照射する検査装置本体20と、その検査装置本体20に付設された制御装置21と、検査装置本体20内を通るトンネル部22に缶容器Cを搬送可能に設けられたコンベア23とを有する。X線液面検査装置は、検査装置本体20の上流にある、X線ON用センサー24にて缶容器Cが検出されたらX線の照射を開始するようになっている。
【0019】
そして、制御装置21は、検査装置本体20内にある位置検出センサー(不図示)にて缶容器Cの缶胴が検出されたら、コンベア23の設定速度と缶径に基づいて一つの缶容器Cに対する入味量の検査を行なうようになっている。制御装置21は、一つの缶容器Cに対して計算された時間だけ入味量の検査を継続して平均値を算出し、その平均値を最終の判定値として出力し当該一つの缶容器Cに対してNG缶(不合格製品)又はOK缶(合格製品)の入味判断を行う。なお、本実施形態では、静止状態での検査装置本体20の検出精度は±0.3mmである。
【0020】
ここで、このX線液面検査装置では、合否判定の基準となる入味量の確認試験を、朝の最初の稼働前、昼および稼働後の3回行なっている。また、生産される缶容器Cの種類の切替(上記生産ラインでは、第一ないし第三実施形態の缶容器が対応)が発生した場合には、その都度、合否判定の基準となる入味量の確認試験を対応する確認試験用の試験缶によって実施している。
【0021】
ここで、確認試験用の試験缶は、生産される缶種毎にNG缶(不合格製品)とOK缶(合格製品)を組として確認試験を実施しており、NG缶が排斥されない場合は、X線液面検査装置の基準となる入味量の高さを適切な側に変更し、NG缶を排斥させるように設定している。以下、上記確認試験に用いる本発明に係る試験缶の実施形態について詳しく説明する。
【0022】
図3に示すように、この第一実施形態(R缶:350ml缶)の試験缶10は、製品とされる缶容器Cと同様の缶容器1と、その缶容器1内に組み込まれる被検査体14とを備えて構成されている。
缶容器1は、底部2と、その底部2に連なって形成された中空円筒状の缶胴3とを有する。缶胴3は、巻締めされる開口部5側に向けて縮径した縮径部(4段ネック部)4を有する。なお、試験缶10として用いる缶容器1の開口部は、巻締めしない(以下同じ)。
【0023】
被検査体14は、主にプラスチック製である。本実施形態では、プラスチックとしてMCナイロン(日本ポリペンコ株式会社製(登録商標))を使用している。MCナイロン(登録商標)は、比重が水よりも重いものの金属材料等に比べれば軽いので、比較的にビールと近い比重であり、入手および加工が容易なので被検査体の素材として採用する上で好適である。なお、被検査体14の素材は、プラスチック製に限定されず種々の材料を採用可能である。例えば木製とすることもできるが、防虫対策等の観点からはプラスチック製とすることが好ましい。
【0024】
被検査体14は、図4(a)に示す、上記缶容器1の軸線に沿って組み込まれる円柱状の中心部材12と、図4(b)に示す、プラスチック製の円環状部材が複数に分割されてなり、前記中心部材12と缶胴3との間の空間を充填するように組み込まれる外周部材11とを有する。
図4(a)に示すように、中心部材12は、その円柱状の上面が、認識される液面レベルに対応する第一の検出面12kとなるように円柱の高さHが設定されている。本実施形態の例では、後述する検査範囲に第一の検出面12kの大きさ(搬送方向での長さ)を対応させるために、中心部材12の上部に円環状の鍔部12tを形成している。なお、第一の検出面12kの大きさが検査範囲に対応すれば、鍔部12tを形成せずに、単に円柱状とした中心部材12の上面を第一の検出面12kとしてもよい。
【0025】
また、この中心部材12には、第一の検出面12kの中央に、ステンレス鋼(SUS材)製の円盤状の突起部材13が設けられている。この突起部材13の上面が、認識される液面レベルに対応する第二の検出面13kとされている。詳しくは、第二の検出面13kを設けるための円盤状の突起部材13は、直径をφ11mmとしており、中心部材12の中心部分に下部を2mmほど埋め込んでいる。突起部材13の突出高さtは2.4mmとしている。第二の検出面13kをステンレス鋼製とした理由は、直径がφ11mmと小径な突起部材13をプラスチック製とすると、プラスチックはX線の吸収が弱いので不安定となるため、検出性を向上させるために、X線の吸収率の良いステンレス鋼によって第二の検出面13kを設けている。なお、本実施形態では、突起部材13をステンレス鋼製とした例であるが、これに限らず、突起部材13を他の金属材料(例えば、鉄鋼材料)から形成してもよい。しかし、錆の発生を防ぐ上では突起部材13をステンレス鋼製とすることが好ましい。
【0026】
第二の検出面13kを設けた理由であるが、X線液面検査装置は、コンベア23の速度と缶径とを制御装置21内部で計算し、缶胴3の端をセンサーで検出後、缶胴3の1/3が通過した後から、更に1/3が通過するまでを搬送方向での検査範囲としている。このため、φ66mmの缶胴の検査範囲は、中心振り分けで22mmの範囲になる。そこで、その検査範囲の半分をステンレス鋼(SUS材)製の突起部材13で検査させることを意図し、プラスチック製の中心部材12の中心部にφ11mmの突起部材13を入れている。そして、突起部材13上面の第二の検出面13kを中心部材12上面の第一の検出面12kよりも突出高さt(2.4mm)だけ高くしたのは、搬送方向での検査範囲のずれを検出するためである。つまり、X線液面検査装置は、搬送方向での検査範囲の平均値を最終判定値として出力するので、何らかの要因により、検査範囲がφ66mmの缶胴の中心の突起部材13からずれて第二の検出面13kをX線液面検査装置が検出できなくなると、最終判定値が第一の検出面12kのレベルまで下がることになる。そのため、容易に検査範囲のずれを判断することができるからである。
【0027】
一方、外周部材11は、図3に示すように、第一実施形態では、缶容器1の底部2側から2段に積み上げられる。2段に積み上げられたときの上側の外周部材11の上面は、中心部材12の第一の検出面12kよりも低くされている。これは、分割された外周部材11の組み込みを容易にするためであり、また、第一の検出面12kとの干渉を防止するためである。
【0028】
各段の外周部材11は、図4(b)に示すように、円環状の部材を二分割したものを組として構成されている。つまり、各段の外周部材11は、半割れの外周部材片11A,11Bからなる。半割れの外周部材片11A,11Bは、缶容器1の開口部から缶内に挿入可能なように分割される。本実施形態では、分割面とは直交する方向に二面幅Mが形成されており、これにより、缶容器1の開口部からの挿入性を一層容易にしている。各組を対向させて環状とした外周部材11は、その内径が中心部材12の外径よりも僅かに大きく、また、外周部材11の外径は、缶容器1の缶胴3部分の内径よりも僅かに小さく形成されている。これにより、外周部材11の各組を対向させて環状となるように缶胴3内で組み合わせ、環状に組み合わせた外周部材11中心部の空隙部に中心部材12を挿入したときに、缶胴3部分の径方向に被検査体14が充填された状態となる。これにより、缶胴部分の凹みが抑制されるようになっている。
【0029】
次に、上記第一実施形態(R缶:350ml缶)の試験缶10における缶容器1に対する被検査体14の組み込み方法について説明する。
この試験缶10の組み込み方法は、缶容器1の内部に先に上記複数に分割された外周部材11を開口部から順次に入れる。このとき、図4(b)に示す、半割れの外周部材片11A,11Bを、図3に示すように、各組を対向させて環状となるように組み合わせ、これを2段に積み上げる。次いで、環状に組み合わせた外周部材11中心部の空隙部に中心部材12を下端部側から挿入する。これにより、試験缶10内に円筒状の中心部材12の第一の検出面12kを配し、その中央にステンレス鋼製の突起部材13による第二の検出面13kを設けることができる。このように組み込まれたときに、第一の検出面12kおよび第二の検出面13kの高さを、第一実施形態(R缶:350ml缶)の所定の液面レベルに対応する高さに予め設定することで、その上端部を液面レベルとしてそれぞれX線液面検査装置に認識させることができる。
【0030】
ここで、各検出面の設定高さは、ビールの入味量の不足の「判定値」を基準としており、高い位置にある第二の検出面13kが、本実施形態のX線液面検査装置での判定値で「+3」に相当し、また、低い位置にある第一の検出面12kが判定値で「−3」に相当するように作成している。つまり、本実施形態のX線液面検査装置において、判定値「1」は、高さにして0.4mmに相当する。そのため、判定値で「−3」から「+3」の検査範囲は6×0.4mm=2.4mmなので、本実施形態では、上記突起部材13の突出量を2.4mmに設定している。そして、突起部材13の最上部である第二の検出面13kを液面レベルとして認識させており、制御装置21のモニタ画面に判定値を表示するとともに画像での表示でも確認している。なお、X線液面検査装置自体は、判定値で「+10〜−10」の21段階で検査しており、21×0.4mm=8.4mmの検査範囲で検査している。検査OKの判定範囲(液面の許容範囲)はこの中の13段階で設定している。
【0031】
次に、この試験缶の作用・効果について説明する。
上述の試験缶10によれば、製品とされる缶容器1内に、主にプラスチック製である被検査体14を組み込んだ試験缶10としたので、これを用いて確認試験を行なえば、X線液面検査装置のX線量が変化した際に、出荷される製品と同様の変化を確認することができる。また、この試験缶10によれば、被検査体14は、外周部材11が、中心部材12と缶胴3との間の空間を充填するように組み込まれているので、缶胴3の部分の凹みが抑制されている。
【0032】
また、認識される液面レベルに対応する第一の検出面12kが円柱状の中心部材12の上面によって構成されるので、缶容器1が凹んでも液面レベルに対応する部分の高さが変化しない。そのため、本発明の試験缶10では、缶底部が大きく凹まない限り缶胴3の凹みがあっても、試験缶10の強度を維持するとともに入味量に対応する部分の高さの精度を向上させることができ、安定した確実な確認試験ができる。したがって、通常稼働時の誤排斥を低減して生産ラインの生産性を向上させることに寄与することができる。
【0033】
さらに、この試験缶10によれば、中心部材12には、第一の検出面12kの中央に、ステンレス鋼製の円盤状の突起部材13が設けられ、該突起部材13の上面が、認識される液面レベルに対応する第二の検出面13kとされているので、X線液面検査装置で入味量を判定している検査範囲にズレが生じていないかの確認が同時に可能となり、液面レベルの補正が正しく行われているか否かが一層正確に判る。
なお、本発明に係るX線液面検査装置用試験缶は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であり、例えば、本発明の試験缶は、ビール以外の液体の飲料容器での確認試験用の試験缶としても適用できることは勿論である。
【0034】
また、上記実施形態では、試験缶10として、第一実施形態(R缶:350ml缶)の例で説明したが、確認試験用の試験缶はこれに限らず、生産される缶容器Cの種類の切替が発生した場合には、対応する試験缶を使用することは勿論である。具体的には、図5に示す試験缶10(H缶:500ml缶(第二実施形態))や、図6に示す試験缶10(M缶:250ml缶(第三実施形態))等が、生産される缶種の切り替えの都度、対応するものが使用される。
【0035】
なお、第二および第三実施形態は、上述した第一実施形態に対して以下の点のみが異なり他の構成は同様である。つまり、図5に示す第二実施形態の試験缶10は、上述した第一実施形態に対し、生産される缶容器Cに対応する缶容器1を用い、外周部材11が3段重ねとされている点、および中心部材12の高さが、500ml缶に対応するビールの入味量に合わせて高くなっている点が異なっている。また、図6に示す第三実施形態の試験缶10は、上述した第一実施形態に対し、生産される缶容器Cに対応する缶容器1を用い、外周部材11が1段重ねとされている点、および中心部材12の高さが、250ml缶に対応するビールの入味量に合わせて低くなっている点が異なっている。
【0036】
また、上記実施形態では、第一の検出面12kに加え、更に第二の検出面13kを設けた例で説明したが、これに限らず、第二の検出面13kを設けずに、第一の検出面12kのみによって試験缶10を構成してもよい。この場合の試験缶10は、合格製品の入味判断を行う「OK缶」として、第一の検出面12kの設定高さ(円柱の高さH)を設定する。そして、メーカーのメンテナンス等で入味量を静止状態において設定する場合等に用いることが好ましい。なお、メーカーメンテナンス用としてこのような試験缶を採用する理由は、第二の検出面13kを設けることによって、逆に設定値がばらつくおそれがあるからである。
【符号の説明】
【0037】
1 缶容器
2 底部
3 缶胴
4 縮径部
5 (巻締めされる)開口部
10 試験缶
11 外周部材
12 中心部材
12k 第一の検出面
13 突起部材
13k 第二の検出面
14 被検査体
図1
図2
図3
図4
図5
図6