(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の位置において、前記針の先端が、前記器具チャネルの遠位端と同心状に方向付けられ、少なくとも部分的に遠位端内に配置される、請求項1に記載の手術装置。
前記キャップアセンブリは、少なくとも一つの固着された取付ブラケットを有し、前記リンク機構は、前記取付ブラケットに枢動自在に連結される第1の接続部材を含む、請求項1、2、13のいずれか1項に記載の手術装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、開閉角度を大きくすることで針の大きな組織穿刺力を生み出す一方で送出しに適した小型形状を可能にする構造を有し、体内での組織の隣接縫合(tissue approximation)や縫合等の外科手術を行う内視鏡手術装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の形態によれば、体外で操作しながら体内に手術を施すために使用される内視鏡手術装置が提供される。該手術装置は、体外での操作に用いる近位ハンドルアセンブリに連結される可撓性部材と、内視鏡の遠位端に係合するように構成される遠位キャップアセンブリとを有する。可撓性部材は、リンク機構に接続されており、キャップアセンブリに連結された針保持アームと針とを有する針アセンブリを組織を穿刺する方向及び組織から抜去する方向に移動させるように作動される。
【0005】
本発明の別の形態によれば、内視鏡と共に使用される内視鏡手術システムが提供され、該システムは、内視鏡の遠位端に配置されるキャップアセンブリを有し、該キャップアセンブリは、少なくとも一つの固着された取付ブラケットを有する。可撓性構造を有する伝達部材は、体内に挿入される遠位端部を有し、ハンドルアセンブリに連結される近位部によって体外から操作することができる。プッシュロッドは、伝達部材の遠位端部に連結される。針保持アームを有する接続部材は、プッシュロッドに連結されると共に取付ブラケットに枢結される。取り外し可能な針は、針保持アームに接続され組織を穿刺するように構成される。プッシュロッドが伝達部材によって作動されると、接続部材は針保持アームを組織を穿刺する方向又は組織から抜去する方向に移動させる。細長い針捕捉装置は、内視鏡の器具チャネル内に配置されており、針を受容し捕捉するように構成される遠位端とハンドルアセンブリに連結される近位端とを有する。
【0006】
本発明の別の形態によれば、針先端部材と針基部部材とを有する取り外し可能な針アセンブリが提供される。針先端部材は、組織を穿刺するように構成される鋭利端と、針基部部材を受容する中空端とを有する。針先端部材は更に孔を含み、該孔は、中空端に隣接した壁を貫通する長手方向スロットの形状をとってもよく、該スロットより縫合糸を延在させるように構成される。針基部部材は、針先端部の中空端に係合するように構成される第1の端と、針保持アームに着脱可能に係合するように構成される第2の端とを有する。針基部部材は更に、針保持アームとの連結時に針基部が針保持アームに挿入される深さを制限する止め部材を含む。一定長さの縫合糸材を針アセンブリに固定し、針先端部材の中空端に隣接した孔を通過して同縫合糸材を延在させるように針先端部材と針基部部材の第1の端とが連結係合される。
【0007】
本発明のまた別の形態によれば、第1及び第2の端を有する針クリップアセンブリが提供され、該第1の端には組織を穿刺するための針先端部が配置され、該第2の端には組織止め部が配置される。針クリップアセンブリは、拘束された第1の形態と拘束されない第2の形態とを有し、第1の形態から第2の形態へと移行するように弾性的に付勢される。拘束された第1の形態は、略直線状の細長部材の形状であってもよい。拘束されない第2の形態は、ループ状、螺旋状又は略閉ループ状の形状であってもよい。
【0008】
本発明の更に別の形態によれば、内視鏡と共に使用される内視鏡手術システムが提供され、該システムは、内視鏡の遠位端に配置されるキャップアセンブリを有し、該キャップアセンブリは、二対の固着された取付ブラケットを有する。可撓性構造を有する伝達部材は、体内に挿入される遠位端部を有し、体外から操作することができる。プッシュロッドは、伝達部材の遠位端部に連結される。針保持アームを有する接続部材は、プッシュロッドに連結され、外側の一対の取付ブラケットに枢結される。二つの端を有するリンク部材は、その一端において内側の一対の取付ブラケットに枢結され、他端において針保持アームに枢結される。取り外し可能な針は、針保持アームに接続され組織を穿刺するように構成される。プッシュロッドが伝達部材によって作動されると、接続部材は針保持アームを組織を穿刺する方向又は組織から抜去する方向に移動させる。細長い針捕捉装置は、内視鏡の器具チャネル内に配置されており、近位ハンドルと、針を受容し捕捉するように構成される遠位端とを有する。
【0009】
本発明の更に別の形態によれば、伝達部材の動きを操作して針アームの開閉を行うと共に、針捕捉装置を操作して針の捕捉及び解放を行うように構成される複合ハンドルアセンブリが提供される。該ハンドルアセンブリは、内視鏡の器具チャネルに係合するように構成された内視鏡チャネル連結部に連結されるハンドル主要本体を含む。細長い針捕捉装置は、ハンドル主要本体に着脱可能に連結される近位ハウジングと、内視鏡チャネル連結部を介して器具チャネルの一端内に配置される遠位端とを含む。作動可能なトリガーレバーは、ハンドル主要本体に連結され、伝達部材を軸方向に前進又は後退させるように伝達部材を操作する。
【0010】
本発明の別の形態によれば、組織捕捉部材を更に含む内視鏡手術システムが提供される。組織捕捉部材は、近位端と遠位端とを有する細長部材の形状をとり、内視鏡のチャネル内に配置される。組織捕捉部材の遠位端は、螺旋体又は先細の螺旋体の形状を有してもよく、所望部位において組織に近接したとき螺旋体を回転させることにより螺旋体を組織に実質的に係合させて組織を引き寄せることができる。
【0011】
本発明のまた別の形態によれば、組織捕捉部材を更に含む内視鏡手術システムが提供される。組織捕捉部材は、近位端と遠位端とを有する細長部材の形状をとり、内視鏡のチャネル内に配置される。組織捕捉部材の遠位端は、一対の顎部の形状であってもよく、所望部位において組織に近接したとき顎部を操作することにより顎部を組織に実質的に係合させて組織を引き寄せることができる。
【0012】
本発明の別の形態によれば、体外で操作しながら体内に手術を施すために使用される内視鏡手術装置が提供される。該手術装置は、体外での操作に用いる近位ハンドルアセンブリに連結される可撓性部材と、内視鏡の遠位端に係合される遠位キャップアセンブリとを備える。キャップアセンブリは細長いチャネルロック部材を含み、該チャネルロック部材は、キャップアセンブリに固着された一端を有し、内視鏡のチャネルを通って延在し内視鏡チャネルの近位端に着脱可能に固定される。チャネルロック部材は、小径の可撓性ワイヤアセンブリ又はワイヤ編組アセンブリの形状を有してもよい。
【0013】
本発明の更に別の形態によれば、内視鏡と共に使用される内視鏡縫合システムが提供され、該システムは、内視鏡の遠位端に配置されるキャップアセンブリを有し、該キャップアセンブリは取付位置を定める。可撓性構造を有する伝達部材は、体内に挿入される遠位端部を有し、体外から操作することができる。プッシュ部材は、伝達部材の遠位端部に任意に連結される。ギア部を有するリンク部材は、プッシュ部材又は伝達部材に連結され更に第1の取付位置に枢結される。ギア部と一端に針保持アームとを有する接続部材は、リンク部材と接続部材のギア部同士が噛み合うように第2の取付位置に枢結される。
【0014】
本発明の別の形態によれば、内視鏡と共に使用される内視鏡縫合システムが提供され、該システムは、内視鏡の遠位端に配置されるキャップアセンブリを有し、該キャップアセンブリは細長い針保護部を含む。針保護部は概ねキャップ基部から内視鏡端部へと遠位方向に延びる。好適には、針保護部は内視鏡の軸線と平行して遠位方向に延在する。針保護部は、針先端部が開放位置にあり組織が縫合のために位置決めされている間、組織が誤って針先端部に接触するのを防ぐように構成される。
【0015】
本発明の別の形態によれば、内視鏡と共に使用される内視鏡縫合システムが提供され、該システムは、内視鏡の遠位端に配置されるキャップアセンブリを有し、該キャップアセンブリは細長いチャネル保護部を含む。チャネル保護部は、概ねキャップ基部から内視鏡端部へと遠位方向に延び、針捕捉装置によって使用される内視鏡チャネルと同軸である。チャネル保護部は、組織を内視鏡チャネルの端部から十分に離間させて位置付けることにより可視化を向上させると共に縫合手術中に組織を支える面を提供することにより縫合作業を支援するように構成される。好適には、チャネル保護部の遠位端を傾斜させて面を設け、針先端部が針縫合経路に沿って該面と交わるとき針先端部に対して該面が略垂直となるようにする。好適には、チャネル保護部のキャップからの最小長さは、内視鏡からの視野に関連して、組織が縫合に適した位置に配置された状態において十分な組織を可視化し得るように構成される。
【0016】
本発明の別の形態によれば、体外で操作しながら体内に手術を施すために使用される内視鏡手術装置が提供される。該手術装置は、体外での操作に用いる近位ハンドルアセンブリに連結される可撓性部材と、内視鏡の遠位端に係合される遠位キャップアセンブリとを有する。キャップアセンブリは細長いチャネルロック部材を含み、該チャネルロック部材は、キャップアセンブリに固着された一端を有し、内視鏡のチャネルを通って延在し引張アセンブリによって内視鏡チャネルの近位端に着脱可能に固定される。チャネルロック部材は、小径の可撓性ワイヤアセンブリ又はワイヤ編組アセンブリの形状を有してもよい。好適には、チャネルロック部材は、各端にしっかりと固定された保持部材を含む。引張アセンブリは、内視鏡に設けられたバヨネット爪部に係合するように構成されたバヨネットロック継手と、ハウジング部材と、タブ部材を備える回転ホイール部材と、テンショナ部材とを含む。チャネルロック部材の近位端は、ホイールが回転するとチャネルロック部材に既定の張力が加えられるように回転ホイールのタブ部材に固定される。引張アセンブリのハウジング部材は、好適にはばねから形成されるテンショナ部材と共同して内視鏡の通常屈曲動作中の圧縮に抵抗することによりチャネルロック部材にかかる張力を保つ。
【0017】
本発明の内視鏡手術システムの別の形態によれば、シンチ(cinch)送出装置とシンチ装置とを含むシンチシステムが提供される。シンチ送出装置は、ハンドルアセンブリに連結される近位端と、遠位端とを有する細長い円筒部材の形状を有する。シンチ送出装置の遠位端はシンチ装置に着脱可能に連結される。シンチ装置は、組織内に配置された縫合糸を捕捉するための縫合糸捕捉フックをその遠位端に内蔵するハウジングを有する。シンチプラグは、シンチハウジング内に配置され、縫合糸を定位置に固定するためにハンドルアセンブリの操作により第1の縫合糸非保持位置から第2の縫合糸保持位置まで移動することができる。縫合糸がシンチプラグによってシンチハウジング内に固定されたら、ハンドルアセンブリを操作してシンチ装置をシンチ送出ツールから分離してもよい。
【0018】
本発明のまた別の形態によれば、内視鏡縫合システムを用いた縫合方法が提供される。この方法は:
(1)ガイドチューブ及び/又は内視鏡を、内視鏡及び/又はガイドチューブに連結された縫合装置と共に体内に挿入する段階と、
(2)取り外し可能な針を有する縫合装置の針アームを開く段階と、
(3)所望の縫合部位において針を組織に押し当てる段階と、
(4)縫合装置の針アームを閉じる段階と、
(5)組織を針で穿刺する段階と、
(6)針捕捉装置を用いて針を回収する段階と、
(7)針を組織から抜去する段階と、
(8)針アームを開いて同針アームを組織から抜去する段階と、
(9)針アームを閉じる段階と、
(10)縫合装置を体内から取り出す段階と
を含む。
【0019】
本発明の更に別の形態によれば、組織捕捉器を含む内視鏡縫合システムを用いた縫合方法が提供される。この方法は、
(1)ガイドチューブを体内に挿入する段階と、
(2)内視鏡に連結された縫合装置をガイドチューブ内及び体内に挿入する段階と、
(3)取り外し可能な針を有する縫合装置の針アームを開く段階と、
(4)組織捕捉器を用いて所望の縫合部位に隣接する組織に係合する段階と、
(5)所望の縫合部位において針を組織に押し当てる段階と、
(6)縫合装置の針アームを閉じる段階と、
(7)組織を針で穿刺する段階と、
(8)針捕捉装置を用いて針を回収する段階と、
(9)針を組織から抜去する段階と、
(10)針アームを開いて同針アームを組織から抜去する段階と、
(11)組織を組織捕捉器から解放する段階と、
(12)針アームを閉じる段階と、
(13)縫合装置を体内から取り出す段階と
を含む。
【0020】
本発明の別の形態によれば、内視鏡縫合システムを用いてランニングステッチを行う縫合方法が提供される。この方法は、
(1)ガイドチューブを体内に挿入する段階と、
(2)内視鏡に連結された縫合装置をガイドチューブ内に挿入し更に同縫合装置を体内に挿入する段階と、
(3)取り外し可能な針を有する縫合装置の針アームを開く段階と、
(4)所望の縫合部位において針を組織に押し当てる段階と、
(5)縫合装置の針アームを閉じる段階と、
(6)組織を針で穿刺する段階と、
(7)針捕捉装置を用いて針を回収する段階と、
(8)針を組織から抜去する段階と、
(9)針アームを開いて同針アームを組織から抜去する段階と、
(10)針アームを閉じる段階と、
(11)針捕捉装置を用いて内視鏡下で針を針アーム内に挿入する段階と、
(12)必要に応じて(3)乃至(11)の段階を遂行する段階と
を含む。
【0021】
本発明のまた更に別の形態によれば、予め付勢された弾性の針クリップと、組織捕捉器とを含む内視鏡縫合システムを用いて組織を固定する方法が提供される。この方法は、
(1)ガイドチューブを体内に挿入する段階と、
(2)内視鏡に連結された縫合装置をガイドチューブ内に挿入し更に同縫合装置を体内に挿入する段階と、
(3)取り外し可能な針クリップを有する縫合装置の針保持アームを開く段階と、
(4)組織捕捉器を用いて所望の縫合部位に隣接する組織に係合する段階と、
(5)所望の縫合部位において針クリップを組織に押し当てる段階と、
(6)縫合装置の針保持アームを閉じる段階と、
(7)組織を針クリップで穿刺する段階と、
(8)針捕捉装置を用いて針クリップ先端部を捕捉する段階と、
(9)針保持アームを開いて同針保持アームを組織から抜去する段階と、
(10)針クリップを針捕捉装置から解放する段階と、
(11)組織を組織捕捉器から解放する段階と、
(12)針保持アームを閉じる段階と、
(13)縫合装置を体内から取り出す段階と
を含む。
【0022】
本発明の利点は、以下の記載中に説明されており、一部分はその記載により明らかになるであろう。あるいは本発明を実施することにより理解され得る。本発明の利点は、特に以下に指摘する手段及び組み合わせにより実現及び獲得され得る。
【0023】
本明細書に組み込まれて明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、上記の包括的な説明及び下記の実施形態の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態による内視鏡縫合システムを内視鏡システムと共に示す説明図である。
【
図2】
図1に示す内視鏡及び内視鏡縫合システムの近位部の拡大図である。
【
図3】縫合装置の作動アームを閉じた状態における、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムの遠位端の拡大斜視図である。
【
図4】縫合装置の作動アームを開いた状態における、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムの遠位端の拡大斜視図である。
【
図5】縫合装置の作動アームを開いた状態における、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムの遠位端の別の拡大斜視図である。
【
図6】縫合装置の作動アームを閉じた状態における、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのキャップアセンブリの拡大斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態による内視鏡縫合装置と共に使用される針アセンブリの説明図である。
【
図9】本発明の別の実施形態による内視鏡縫合装置と共に使用される針アセンブリの説明図である。
【
図10】本発明の実施形態による内視鏡縫合システムと共に使用される内視鏡クリップの図である。
【
図11】
図10の優先的に付勢された弾性内視鏡クリップの非拘束状態における図である。
【
図12】本発明の別の実施形態による内視鏡縫合システムと共に使用される内視鏡クリップの図である。
【
図13】
図12の優先的に付勢された弾性内視鏡クリップの非拘束状態における図である。
【
図13A】
図13の優先的に付勢された弾性内視鏡クリップの変更例を非拘束状態において示す図であり、本例は鋭利な先端部を越えて延びるコイルを有する。
【
図15】螺旋状組織捕捉器の遠位端の拡大図である。
【
図16】シンチ装置及びシンチ送出装置の上面図である。
【
図17】シンチ装置及びシンチ送出装置の側面図である。
【
図18】シンチ及びシンチ送出装置の遠位端の拡大分解図である。
【
図19】シンチ装置の開放形態における拡大図である。
【
図20】シンチ装置の閉鎖形態における拡大図である。
【
図22】内視鏡ガイドチューブの内腔内に配置される内視鏡縫合システムの部分断面図である。
【
図23】内視鏡ガイドチューブの遠位端から延出する内視鏡縫合システムの部分断面図である。
【
図24】
図24乃至
図34は、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムを用いた外科縫合手術の手順を示しており、
図24は、内視鏡縫合装置が所望手術部位において創傷に近接して位置付けられる段階を示す。
【
図25】組織捕捉器が所望手術部位において創傷に近接して延出される段階を示す。
【
図26】組織を内視鏡に近付けるために、組織捕捉器を組織に係合させて僅かに後退させる段階を示す。
【
図27】
図26とは別に、組織を内視鏡に接触させるために、組織捕捉器を組織に係合させて大きく後退させる段階を示す。
【
図29】針保持アームを組織から引き抜いて縫合糸を組織内に配置する段階を示す。
【
図30】組織捕捉器を組織から離脱させる段階を示す。
【
図31】針を針保持アーム内に再び装填する段階を示す。
【
図32】シンチ装置が縫合糸を捕捉する段階を示す。
【
図33】シンチ装置を用いて縫合糸を締め付けることにより創傷を閉鎖する段階を示す。
【
図34】シンチ送出装置から解放されたシンチ装置を示す。
【
図35】
図35乃至
図38は、本発明の別の実施形態による内視鏡縫合システムを用いた外科縫合手術の手順を示しており、
図35は、内視鏡縫合装置が所望手術部位において針を送り出し組織を貫通させた段階を示す。
【
図36】シンチ装置が縫合糸を捕捉する段階を示す。
【
図37】シンチ装置を用いて縫合糸を締め付けることにより創傷を閉鎖する段階を示す。
【
図38】シンチ送出装置から解放されたシンチ装置を示す。
【
図39】
図39乃至
図42は、本発明の更に別の実施形態による内視鏡縫合システムを用いた外科縫合手術の手順を示しており、
図39は、針クリップを有する内視鏡縫合装置が所望手術部位に位置付けられる段階を示す。
【
図41】針保持アームを組織から引き抜いて針クリップを組織内に配置する段階を示す。
【
図42】組織捕捉器を組織から離脱させ針クリップにより創傷を閉鎖する段階を示す。
【
図43】本発明の別の実施形態によるチャネルロック部材を備えた内視鏡縫合システムの説明図である。
【
図44】縫合装置の作動アームを閉じた状態における、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのキャップアセンブリの拡大斜視図である。
【
図45】縫合装置の作動アームを開いた状態における、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのキャップアセンブリの拡大斜視図である。
【
図46】本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのキャップアセンブリの拡大分解斜視図である。
【
図47】縫合装置の作動アームを閉じた状態における、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのキャップアセンブリの別の拡大斜視図である。
【
図48】縫合装置の作動アームを閉じた状態における、本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのキャップアセンブリのまた別の拡大斜視図である。
【
図49】本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのキャップアセンブリの更に別の拡大斜視図である。
【
図50】本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのキャップアセンブリのまた更に別の拡大斜視図である。
【
図51】本発明の実施形態によるチャネルロックテンショナアセンブリの第1の形態における拡大斜視図である。
【
図52】本発明の実施形態によるチャネルロックテンショナアセンブリの第2の形態における拡大斜視図である。
【
図53】本発明の実施形態による針アセンブリの説明図である。
【
図54A】本発明の実施形態による針アセンブリの構成要素の組立手順を示す。
【
図54B】本発明の実施形態による針アセンブリの構成要素の組立手順を示す。
【
図54C】本発明の実施形態による針アセンブリの構成要素の組立手順を示す。
【
図55】本発明の実施形態による針捕捉装置の説明図である。
【
図56A】通常の閉鎖形態における針捕捉アセンブリを示す、針捕捉装置の遠位端の部分拡大断面図である。
【
図56B】開放形態における針捕捉アセンブリを示す、針捕捉装置の遠位端の部分拡大断面図である。
【
図57】本発明の実施形態による針アセンブリと連結係合する針捕捉アセンブリの部分拡大断面図である。
【
図58】本発明の実施形態による内視鏡縫合システムのハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図59A】
図58のハンドルアセンブリの閉位置における断面図であり、該ハンドルアセンブリ内の所定位置に捕捉アセンブリのハンドルアセンブリがロックされている。
【
図59C】
図58のハンドルアセンブリの開位置における斜視図であり、該ハンドルアセンブリ内の所定位置に捕捉アセンブリのハンドルアセンブリがロックされている。
【
図60A】取り外し可能な針シールドタブを含む成形された縫合糸ディスペンサの斜視図である。
【
図60B】針シールドタブが取り外され針保持部材へのアクセスが可能になった状態における縫合糸ディスペンサの斜視図である。
【
図60C】成形された縫合糸ディスペンサの構成要素を示す分解斜視図である。
【
図61B】取り外し可能な針アセンブリを固定する針保持部材の部分拡大断面図である。
【
図62A】縫合糸ディスペンサと係合する針捕捉装置を示す斜視図である。
【
図62B】縫合糸ディスペンサの針保持部材内に配置された取り外し可能な針アセンブリと連結係合する針捕捉アセンブリの部分拡大断面図である。
【
図63】
図63乃至
図69は、本発明の別の実施形態による内視鏡縫合システムを用いた外科縫合手術の手順を示しており、
図63は、内視鏡縫合装置が所望手術部位において創傷に近接して位置付けられる段階を示す。
【
図64】組織捕捉器が所望手術部位において創傷に近接して延出される段階を示す。
【
図65】組織を内視鏡に近付けるために、組織捕捉器を組織に係合させて僅かに後退させる段階を示す。
【
図66】
図65とは別に、組織を内視鏡に接触させるために、組織捕捉器を組織に係合させて大きく後退させる段階を示す。
【
図69】針保持アームを組織から引き抜いて縫合糸を組織内に配置する段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示すように、内視鏡12、映像表示ユニット14、画像処理装置16、光源17及び吸引装置18を備える内視鏡システム10は、本発明の一実施形態による内視鏡手術システムの一部としての内視鏡縫合装置20と共に使用される。
図2及び
図3は夫々、内視鏡12及び内視鏡縫合装置20の近位部及び遠位部を示す。内視鏡縫合装置20は、第1の器具チャネル24において内視鏡12に着脱可能に連結される操作ハンドル22を有する。組織の引き寄せに使用される組織捕捉器26は、内視鏡12の第2の器具チャネル28内に配置されて示されている。内視鏡縫合装置20は、細長い針捕捉装置30を含み、該針捕捉装置は、ハンドル22に着脱可能に連結され、内視鏡12の遠位端へと延びて器具チャネル24内にスライド自在に配置される。内視鏡縫合装置20は、伝達アセンブリ32に近位側で連結されるハンドル22によって操作され、該伝達アセンブリは、挿入チューブ34の外面に沿って内視鏡12の遠位端36まで遠位方向に延在する。伝達アセンブリはその遠位端において、内視鏡12の遠位端36を覆うように配置されるキャップアセンブリ38に連結される。
図3は、器具チャネル24及び28から夫々延出する針捕捉装置30の遠位端40及び組織捕捉器36の遠位端螺旋状先端部42を示す。縫合糸46に接続された針アセンブリ44は、針捕捉装置の遠位端40に近接して位置付けられる。針アセンブリ44は、針保持アーム48内に着脱可能に挿入される。伝達アセンブリ32は、好ましくは可撓性コイルから形成されるアウターシース50と、アウターシースの内腔内に配置されてその遠位端から延出するプッシュロッド52とを備える。アウターシース50は、キャップアセンブリ38に固着される。プッシュロッド52は、軸ピン56を介して接続部材54に連結されるが、随意にプッシュ部材52aを介在させてロッド52と軸ピン56とを連結してもよい。接続部材54は更に、軸ピン60を介して一対の外側取付ブラケット58に接続される。取付ブラケット58は、キャップアセンブリ38に固着される。一対の内側取付ブラケット62は、キャップアセンブリ38に固着され、軸ピン66を介してリンク部材64の一端に枢結される。リンク部材64の他端は、軸ピン68を介して針保持アーム48に接続される。針保持アーム48は、軸ピン69を介して接続部材54に連結される。
【0026】
図3、
図4及び
図5に示すように、接続部材54及びリンク部材64を夫々外側取付ブラケット58及び内側取付ブラケット62に枢動自在に接続しているため、プッシュロッド52を軸方向に前進又は後退させると針保持アーム48の回動が許容される。
図4においてキャップアセンブリ38は、プッシュロッド52を前進させた開放形態で示されている(プッシュロッド52を後退させた閉鎖形態においてキャップアセンブリを示す
図3と比較せよ)。
図5は、開放形態における内視鏡縫合装置20を、夫々一対の外側及び内側取付ブラケット58及び62がよく見えるように別の角度から示したものである。
【0027】
図6は、内視鏡から外したキャップアセンブリ38を示す。キャップアセンブリ38は、固着された挿入ガイド部70を含み、該挿入ガイド部は、可撓性のチャネルロック部72に連結される。挿入ガイド部70は、キャップアセンブリ38から延びる筒状突出体であり、その末端が内視鏡器具チャネルの内腔内に配置されるように構成される。細長い可撓性のチャネルロック部72は、挿入ガイド部70から器具チャネルを通って延在し器具チャネルの近位端に固定される。チャネルロック部72は、キャップアセンブリ38が内視鏡の遠位端から意図せずに外れてしまうことを防ぐ。チャネルロック部72は、主に金属やポリマーから形成される単一の又は複数本をより合わせた小径ワイヤ又はケーブルの形状であることが好ましい。加えて、チャネルロック部72は小径であるため内視鏡の器具チャネル内に配置されるべき他の器具のために空間が許容される。
【0028】
図7は、針本体部74、針先端部76及び縫合糸46を有する針アセンブリ44を示す。縫合糸46は、ナイロン、ポリオレフィン、PLA、PGA、ステンレス鋼、ニチノール等といった外科用縫合糸に一般に使用可能な任意の材料から形成することができる。
図8は、針アセンブリ44の二つの構成要素の詳細な分解図である。針先端部76は、鋭利な遠位端と、側壁を貫通する縫合糸スロット78を有する中空の近位端とを有する。針本体部74は、針保持アーム内に嵌合するように構成された丸みのある又は尖っていない先細の近位端74aを有し、該近位端74aは、端74aと針本体部74の残りの部分との間に肩部79を有する。針本体部74の遠位端74bは、縫合糸スロット80を有し、針先端部76と同心状に係合するように構成される。可撓性の縫合糸材は、針本体部74の遠位端に配置され一直線上に並ぶ縫合糸スロット78及び80を抜けて延びる。針先端部76及び針本体部74は、好適な生体適合物質から形成されており、ナイロン、PEEK、PLA、PGA、PLGA等のポリマーや、ステンレス鋼、ニチノール、チタン等の金属から作ることができる。これらの構成要素は、熱接合、超音波溶接、レーザー溶接、接着剤、機械的圧着等の標準的な結合技術を用いて結合することができる。
図9は、針尾部84と針先端部86とを有する別の針アセンブリ82を示す。針先端部86は、鋭利な遠位端と、縫合糸孔88と、針尾部84を受容する中空の近位端とを有する。縫合糸90は、針先端部86の中空端内に配置され孔88を抜けて延びる。針尾部84及び縫合糸90は、上記の結合技術のいずれかを用いて針先端部86の中空端内に固定される。針尾部84は、ニチノールのような弾性材料から真っ直ぐな形状に形成されることが好ましい。針尾部84は、湾曲した針保持アーム内に配置されると撓んで針保持アームの内壁に力を加え、針アセンブリ82をしっかりと所定位置に保持する。
【0029】
図10乃至
図13Aは、組織欠損の閉鎖に使用される針アセンブリの別の型を示す。
図10は、直線状に伸ばした形態における針クリップ92を示し、該針クリップは、本体部94とビード付き(beaded)近位端96と穿刺先端部98とを有する。針クリップ92は、ニチノールその他の弾性材料から形成され、略円形形状に付勢されるのが好ましい。針クリップ92は、略直線状の形態に拘束され得るが、拘束が解かれると
図11に示すような付勢された略円形の形態へと変形する。
図12は、別の針クリップ100を示し、該針クリップは、近位のビード部(bead)102と、穿刺先端部104と、外側コイルカバー106と、近位端と遠位端とを接続する本体部108とを有する。針クリップ100は更に、コイル106の少なくとも一部を本体部108に固着するための固定部材110を含む。針クリップ100は、ニチノールその他の弾性材料から成り、略円形形状に付勢されるのが好ましい。針クリップ100は、略直線状の形態に拘束され得るが、拘束が解かれると
図13に示すような付勢された略円形の形態へと変形する。コイル106は、例えば、ナイロン、ポリエステル、PEEK、PLA、PGA、PLGA等のポリマーや、ステンレス鋼、ニチノール、チタン、プラチナといった金属等の好適な生体適合物質から形成することができる。コイル106は、組織内殖及び被包形成(tissue in growth and encapsulation)に適した表面領域を増大させると共に組織欠損を閉鎖する際に組織にかかる力を分散させる。
図13Aは、コイル106が鋭利な穿刺先端部を覆うように延在する針クリップ100を示し、このような形態にすることで先端部を保護し周囲組織を誤って損傷してしまうことを防ぐ。
【0030】
図14は、近位ハンドル部108と細長い軸部材110と螺旋状先端部42とを有する組織捕捉器26を示す。軸部材110は、ワイヤ又は複数本をより合わせたケーブルその他の、内視鏡の操作性能を損なわない可撓性を提供する任意のトルク伝達構造体から形成される。
図15は、組織捕捉器26の遠位端の拡大図である。軸部材110は、先端部連結部材112により螺旋状先端部42に連結される。先端部連結部材112は、上記の連結技術のいずれかを用いて螺旋状先端部42及び軸部材110に強固に結合されてもよい。
【0031】
図16及び
図17は、組織欠損部位に配置された縫合糸を固定するためのシンチ配置システム114を示す。シンチ配置システム114は、シンチアセンブリ116とシンチ送出装置118とを備える。シンチ送出装置118は、細長い可撓性の円筒軸120を有し、該円筒軸は、その遠位端においてシンチアセンブリ116に着脱可能に連結され、近位端においてハンドル部材122に固着される。ハンドル部材122は、摺動可能な指リングアセンブリ124と親指リング126とを含む。プッシュロッド128は、円筒軸120の内腔内に摺動自在に配置される。プッシュロッド128は、円筒軸120の遠位端から近位端まで延在し摺動可能な指リングアセンブリ124に固定ねじ130によって連結されているため、親指リング126に対して指リングアセンブリを動かすことによりプッシュロッド128を円筒軸120の内腔内において軸方向に移動させる。シンチ配置システム114の遠位端の部分分解図を
図18に示す。図示されるように、プッシュロッド128は、円筒軸120からラッチアセンブリ129を通って延びる。ラッチアセンブリ129は、円筒軸120に固着され、ラッチタブ134を遠位端に具備する二つのラッチアーム132を有する。ラッチアーム132は、円筒軸120の中心長手軸線に向かって内側に付勢される。ラッチアセンブリ129は、ラッチ連結部136の内腔内に配置されしっかりと固定される。ラッチ連結部136は、ラッチアーム132がシンチ116の近位内腔内に延在するように、その遠位端においてシンチ116の近位端に係合する。プッシュロッド128がラッチアセンブリ129内に位置付けられると、ラッチアーム132は、ラッチタブ134がシンチタブ孔138にロック係合するように外側に押し出される。プッシュロッド128がラッチアセンブリ129から軸方向に引き抜かれると、ラッチアーム132は内側へ移動して付勢された形態に戻り、それに伴いラッチタブ134はシンチタブ孔138とのロック係合を解除してシンチアセンブリ116を解放する。
図19は、開放形態におけるシンチアセンブリ116を示す。シンチアセンブリ116は、筒状のハウジング部材139を有し、該ハウジング部材は、近位端に配置されたシンチタブ孔138と、遠位端に固着された縫合糸フック140とを有する。固定留め金142は、ハウジング部材139の内腔内に摺動自在に配置される。保持タブ144は、好適には、ハウジング部材139の壁から形成され、その遠位端においてハウジング部材139の中心軸線に向かって内側に付勢される。縫合糸が縫合糸フック140によって捕捉されたら、プッシュロッド128を前進させることにより固定留め金142をハウジング部材139から突出させて縫合糸フック140に係合させることで、縫合糸をシンチアセンブリ116内に固定してもよい。固定留め金142が突出した形態にあるとき、保持タブ144は内側へ移動して付勢された形態に戻り、固定留め金142の近位方向への移動を制限することで縫合糸を所定位置に固定する。
【0032】
図21は、内視鏡手術に使用されるガイドチューブ146を示す。ガイドチューブ146は、内腔150を含む近位端148を有し、該内腔は遠位端152まで延びる。概してガイドチューブ146は、患者の体内に配置され所望部位へと至る導管を提供する一方で、周囲組織を誤って損傷しないように保護する。
図22及び
図23は、内腔150内に内視鏡縫合装置20が配置されたガイドチューブ146を示す。ガイドチューブ146が体内の所望の手術部位に配置されたら、内視鏡縫合装置20の遠位端を、ガイドチューブ146の遠位端から突出させてもよい。
【0033】
図24乃至
図34は、本発明の内視鏡縫合装置20を用いて縫合手術を行う方法を示す。
図24に示すように、内視鏡縫合装置20は、閉鎖すべき組織欠損156を有する組織154に近接して位置付けられる。内視鏡縫合装置20は開放形態にある。
図25は、螺旋状先端部42が組織欠損156に近接するように内視鏡器具チャネルから延出された組織捕捉器26を示す。組織捕捉器26を回転させることにより、螺旋状先端部42を組織欠損156に隣接する組織154にしっかりと係合させる。
図26に示すように、組織捕捉器26を内視鏡の器具チャネル内に僅かに後退させることにより、組織154を内視鏡の近くへ引き寄せてもよい。組織をどの程度引き寄せるかは、ステッチの大きさ及び位置に関係する。例えば、より大きな組織を縫合するには、
図27に示すように組織154を組織捕捉器によって内視鏡に接触させてもよい。針保持アーム48を操作して閉位置へと動かすことにより、針アセンブリ44を組織154に穿刺する。縫合糸46は、
図28に示すように組織内に引き込まれる。組織の引き寄せ量を制御することで医師は組織壁内における一部層のステッチを行うことも、組織壁を貫通する全層のステッチを行うことも可能となる。針捕捉装置は、針アセンブリの肩部79(
図7参照)を把持することにより針アセンブリ44を捕捉し、針保持アーム48から針アセンブリを取り外す(図示せず)。
図29は、開放形態へと移動され組織154から抜かれた針保持アーム48を示す。縫合糸46は組織に貫通された状態で残されている。
図30は、針アセンブリ44を針捕捉装置内に保持しながら内視鏡縫合装置20を後退させることにより、組織154に貫通された縫合糸46を延伸する様子を示す。医師が更なるステッチを行うことを望む場合、
図31に示すように、針保持アーム48を閉鎖形態へ移動させ、針捕捉装置を前進させることにより針アセンブリ44を針保持アーム48内に再び挿入する。医師が更なるステッチを行うことを望まない場合、縫合糸を備えた針アセンブリを内視鏡のチャネルを通して後退させることが可能であり、縫合糸の両端を用いて結び目を作りその結び目を内視鏡チャネルを通して手術部位まで押し下げて組織を固定することができる。また、縫合糸は、シンチ配置システムを用いて固定することも可能である。
図32に示すように、シンチアセンブリ116及びシンチ送出装置118を用いて縫合糸46を捕捉することができる。縫合糸46を引き締めることで組織欠損156をしっかりと閉鎖することができる。
図33に示すように、組織欠損156が十分に閉鎖されたらシンチアセンブリ116を閉鎖形態へ移動させて、縫合糸46を固定することができる。シンチ送出装置118は、
図34に示すようにシンチアセンブリ116を解放することができ、縫合糸46はその後、はさみ等の任意の標準切断手段を用いて切断されてもよい。シンチアセンブリは、縫合糸を固定後に切断する手段を内蔵してもよいと考えられる。
【0034】
図35乃至
図38は、組織欠損を閉鎖して縫合糸を固定する別の方法を示す。
図35は、針アセンブリ44(概略的に示す)及び縫合糸46を送り出して組織欠損156に隣接する組織154に貫通させた後の内視鏡縫合装置20を示し、同図において針アセンブリ44は組織154の表面付近にある。
図36は、シンチアセンブリ116とシンチ送出装置118とを有するシンチ配置システムを示し、該システムは縫合糸46の一部を捕捉している。針アセンブリにより縫合糸46の端部が組織154から抜けるのを防ぎながら、縫合糸を引き締めて組織欠損156を閉鎖する。
図37に示すように、組織欠損156が十分に閉鎖されたらシンチアセンブリ116を閉鎖形態へ移動させて縫合糸46を固定することができる。シンチ送出装置118は、
図38に示すようにシンチアセンブリ116を解放することができ、縫合糸46はその後、はさみ等の任意の標準切断手段を用いて切断されてもよい。
【0035】
図39乃至
図42は、組織欠損をしっかりと閉鎖する更に別の方法を示す。
図39は、針クリップ100を有する内視鏡縫合装置20を開放形態において示し、該針クリップは、近位のビード部102と穿刺先端部104とを有し針保持アーム48に配置される。組織捕捉器26の螺旋状先端部42は、組織欠損156に隣接する組織154に係合して組織を内視鏡の方へ引き寄せている。
図40は、閉鎖形態において組織内に挿通された針保持アーム48を示し、針クリップ100の穿刺先端部104は、組織を貫通して突き抜けている。
図41は、針クリップ100の穿刺先端部を捕捉している針捕捉装置を示し、針保持アーム48は開放形態にあり組織154から引き抜かれた状態である。針クリップ100の近位のビード部102は、穿刺先端部によって最初に穿刺された組織部位の近くに位置付けられている。
図42は、組織154が組織捕捉器から解放され、弾性針クリップ100が予め付勢された略円形形状となることで組織欠損156を閉鎖する様子を示す。理解され得るように、組織欠損の閉鎖を促進するために組織シーラント又は組織接着剤を使用してもよい。
【0036】
図43は、本発明の他の実施形態による内視鏡縫合装置320を示す。内視鏡縫合装置320は、内視鏡の遠位端に係合するように構成されるキャップアセンブリ322と、キャップアセンブリ322から随意に取り外し可能な細長いチャネルロック部材324と、アウターシース326と、インナーシース328と、細長い可撓性の伝達部材330とを含む。
図44に見られるように、キャップアセンブリ322は更に、固着されたチャネルロック受容部332と、内視鏡チャネル挿入ガイド部334と、細長い組織保護部336と、キャップアセンブリ322の基部から遠位方向に延びる細長い針保護部338とを含み、該針保護部は、
図44に示されるような針保持アーム340に回転運動を与える機械的アセンブリを収容する。チャネル挿入ガイド部334は、キャップアセンブリ322から延びる筒状突出体であり、その末端が内視鏡器具チャネルの内腔内に配置されるように構成される。細長い可撓性のチャネルロック部材324は、チャネルロック受容部332から器具チャネルを通って延び、器具チャネルの近位端において固定される。チャネルロック部材324は、キャップアセンブリ322が内視鏡の遠位端から意図せずに外れてしまうことを防ぐ。チャネルロック部材324は、主に金属やポリマーから形成される単一の又は複数本をより合わせた小径ワイヤ又はケーブルの形状であることが好ましい。加えて、チャネルロック部324が小径であることで内視鏡の器具チャネル内に配置される他の器具のための空間が許容される。
図44及び
図45は夫々、針アーム340が閉じた形態及び針アームが開いた形態におけるキャップアセンブリ322を示す。
【0037】
制限目的ではなく例証のためだけに示すが、図示される実施形態において、キャップアセンブリ322は、約13.5mmの内径と約14.2mmの外径と2mm強の高さとを有するキャップ又はリング要素332aと、1mmから2mmの間の縁幅(rim width)を有する部分322bとを有する。
【0038】
制限目的ではなく例証のためだけに示すが、図示される実施形態において、細長い組織保護部336は、その外側面336aにおいて約50°のリング332aに外接し、その中央部においてリング要素322aの上面の上方に約9mm垂直延在する。細長い組織保護部336の内側面336bは、略半円形で(これにより側面336dの画定を助け)、約4mm〜5mmの開口部を画成し、該開口部は、キャップアセンブリの小リング322c(
図48参照)の上方及び、(
図55〜
図57を参照しながら以下に説明される)針捕捉装置がその内部に配置されることになる内視鏡チャネルの上方に延在する。このチャネルは、以下に説明されるようにチャネル挿入ガイド部334が挿入される内視鏡チャネルと同一であってもよい。細長い組織保護部336の上面336dは、約45°の角度の傾斜がつけられている。提供された構成によれば、
図63〜
図39を参照しながら以下に述べるように、組織保護部336は、縫合の為の組織の折り畳みを支援すると共に、キャップアセンブリ内に引き込まれた組織が内視鏡チャネルを詰まらせて縫合を妨げるのを防ぐ役目を果たす。
【0039】
制限目的ではなく例証のためだけに示すが、図示される実施形態において、細長い針保護部338は、約18mmから19mmの間の高さを有し、二つのアーム部338aと338bとの間にアーチ状の開口を形成する。該二つのアーム部は、相互に約5mm離間された外側面と相互に約3.7mm離間された内側面とを有する。これらのアーム部は、上部アーチ部338cと、上部アーチ部338cの下に配置される任意の横材(止め具)338dとによって結合される。二つのアーム部の間且つ横材338dの下には、以下に説明されるギアリンク機構342がある。更に、湾曲した針保持アーム340は、完全に開いた位置において針を保持するとき、好適には針の先端部がアーチ338cの下且つアーム部338a、338bの間に配置されるように設けられる。そして保持アーム340は、ギアリンク機構の上方においてアーチ状開口を通過して閉位置へと回動することができる。各アーム部338a、338bは、約6.4mmの幅と約2.5mmの半径方向厚みを有する。
【0040】
図46は、キャップアセンブリ322の詳細な分解図である。針保持アーム340は、針アセンブリと摩擦係合するように構成された第1の端340aと、針アームのギアリンク342に(例えば同ギアリンクに画成される受容孔342a内において)固着される第2の端340bとを含む。制限目的ではなく例証としてのみ示すが、針保持アーム340は、約90°の円弧を介して曲がっている。ギアリンク342は、針保護部のアーム部338a、338bとの間に取り付けられ、ギア部344と、アーム部すなわち延在部343とを含み、該ギア部は、ギアリンク342の取付孔346に通される軸ピン345によって針保護部338のハウジング(アーム部)に画成された取付孔(第1の取付位置)347に取り付けられる。ギア部344は横方向のギア歯344aを含む。同様に、プッシュ部材のギアリンク348は、ギア歯344aに噛み合う横方向のギア歯350bを備えたギア部350aと、アーム部350cとを含む。ギアリンク348は、取付孔352に通される軸ピン351によって、針保護部338のハウジング(アーム部)に画成された取付孔(第2の取付位置)353に取り付けられる。ギアリンク348は更に、アーム部350cの取付孔354を介してプッシュ部材結合部356に軸ピン357及び取付ブラケット358を用いて連結される。プッシュ部材結合部356は、伝達部材330に固定して連結される。
図47及び
図48は、伝達部材330を前進させるとギアリンク348が回転しそのギア部がギアリンク342のギア部を回転させることで針保持アーム340を閉位置に移動させるように、ギアリンク348のギア部とギアリンク342のギア部とを互いに噛み合わせた状態で組み立てられたキャップアセンブリ322を示す。閉位置において、ギアリンク342のアーム部343は、ギアリンク348を囲んでその上方に延び、更に横材338dとアーチ338cとの間に延びる。開位置(
図45)において、ギアリンク342のアーム部343は、針保護部のアーム部338a、338bに対して半径方向外側に延び、アーム部350cの背部は、ギア運動の停止部として機能し得る横材338dの縁部と係合させてもよい。
【0041】
キャップアセンブリ322はまた、
図48に示すような洗浄液デフレクタ360を含んでもよい。洗浄液デフレクタは、内視鏡から排出される流体の向きを変えて、ギア機構を洗浄しデブリ(debris)を除去する。上記の構成要素は全て、ステンレス鋼やチタン等の生体適合性金属から製造されることが好ましいが、高強度ポリマーの中にも適性を有するものがある。針保護アーム部338a、338bに取付孔347及び353を縦方向に配置することによりキャップアセンブリ322の外形を縮小し、内視鏡縫合装置320を手術部位に送り込み易くする。
【0042】
内視鏡の遠位端におけるキャップアセンブリ322の保持を支援するために、
図49及び
図50に例示されるキャップアセンブリ322においては、チャネルロック部材324がチャネルロック保持部材362によってチャネルロック受容部332内に任意に着脱可能に固定されている。好ましくは保持部材362は、チャネルロック部材324の遠位端がしっかりと固定される大きなビード部から形成され、一方、チャネルロック受容部332はビード部の幅よりも小さな幅を有する溝部333を画成する。必要に応じて、チャネルロックワイヤ又はケーブル324を、チャネルロック受容部332又はキャップアセンブリの他の部分に溶接したり、他の方法によりそれらに固定したりすることもできる。キャップアセンブリの内視鏡遠位端への保持を強化するための更なる機構を
図50に示す。同図においてチャネル挿入ガイド部334は、部分的に分離された構造を有する(すなわち、一つ以上の長手方向スリット335が設けられる)。分離された二つの部分を、内視鏡の器具チャネル内に配置されたときに同チャネルの内壁に外向きの力を加えるように外側に付勢することで、キャップアセンブリの内視鏡遠位端への保持を助けてもよい。
図51及び
図52は、どのようにしてチャネルロック部材324に張力が与えられ、またどのようにしてこの張力が内視鏡近位端においてチャネルロックテンショナ365により維持されるかを示す。該チャネルロックテンショナは、チャネルロック部材の近位端に固着される近位チャネルロック保持部材366を固定する。チャネルロックテンショナ365は、内視鏡器具チャネルとばね372とに連結されるバヨネットロックコネクター370を含み、該ばねは、タブ部材378を備えた回転引張ホイール376に連結されるテンショナハウジング374を支持する。チャネルロック部材324の近位端は、テンショナハウジング374内に通され、同ハウジングの頂部に設けられたバルブを通過してタブ受け部380内に配置される。タブ受け部380は、チャネルロック保持部材366を引張ホイール376に固定する。そして引張ホイール376をチャネルロック部材に適切な張力を与えるように(例えば時計回りに)回転させてから同ホイールを固定要素(図示せず)によって所定位置に固定することができる。ばね372は、圧縮することにより、内視鏡の曲げを吸収してチャネルロック部材にかかる張力を一定に保つために使用される。あるいは、ばね372をバヨネットロック部370とテンショナハウジング374との間に設ける代わりに、ばねをホイール376に設けて、同ホイールに所望位置(例えば
図51の位置)に向けてばね荷重を掛けることも可能である。チャネルロック部材324が蛇行した通路内で内視鏡と共に曲げられると、ホイール376は、ばね力に逆らって回転しチャネルロック部材324にかかる所望の張力を保つことができる。
【0043】
図53は、縫合糸402、針先端部404、ロック溝405及び針本体部406を有する針アセンブリ400を示す。縫合糸402は、ナイロン、ポリオレフィン、PLA、PGA、ステンレス鋼、ニチノール等といった外科用縫合糸に一般に使用可能な任意の材料から形成することができる。
図54A乃至
図54Cは、針アセンブリ400の構成要素を示す詳細な分解図である。針先端部404は、鋭利な遠位端部と、スエージリップ(swage lip)408を備えた中空の近位端とを有する。針本体部406は、針保持アーム340内に嵌合する近位端と、縫合糸スロット410を有する遠位端とを有する。針本体部406は、針先端部404と同心状に係合し、ロック溝を形成するように構成される。可撓性の縫合糸材402は、針本体部406の遠位端に配置され縫合糸スロット410を抜けて延在する。針先端部404及び針本体部406は、好適な生体適合物質から形成されており、ナイロン、PEEK、PLA、PGA、PLGA等のポリマーや、ステンレス鋼、ニチノール、チタン等の金属から作ることができる。これらの構成要素は、熱接合、超音波溶接、レーザー溶接、接着剤、機械的圧着等の標準的な結合技術を用いて結合することができる。
【0044】
図55は、細長いカテーテル又はチューブ452を含む針捕捉装置450を示し、該カテーテル又はチューブは、遠位端において針捕捉アセンブリ454を有し、近位端においてハンドルアセンブリ458と連結されるボタンアクチュエータ456を有する。制限目的ではなく例証としてのみ示すが、針捕捉装置450は、チューブ452及び遠位端の針捕捉アセンブリ454の直径が好適には最大で3mmであることから、3mmのツールとする。ハンドルアセンブリ458は、使い勝手を良くする為に、内視鏡縫合装置320の針保持アームを操作するハンドルアセンブリに連結されることが好ましい。そのため、ハンドルアセンブリ458には偏向歯ロック部(deflecting tooth lock)459aと略剛性歯459bとが設けられ、これらは
図58及び
図59A〜
図59Cを参照しながら以下に説明する縫合装置320のハンドルアセンブリ600内の往復キャビティ(reciprocal cavity)及びロック要素に係合するように配置される。
【0045】
図56A及び
図56Bは、夫々閉鎖形態及び開放形態における針捕捉アセンブリ454及びチューブ452の遠位端460の部分拡大断面図である。チューブ452の内腔内に摺動自在に配置されるプッシュロッド又はケーブル462は、ボタンアクチュエータ456に機械的に連結される近位端と、アクチュエータピン464に連結される遠位端とを有する。アクチュエータピン464は、レバーアーム部466に画成された傾斜スロット465内に配置され、固定軸ピン468に近接する。レバーアーム部466の遠位端には連結構造(interlock feature)470が設けられる。針捕捉アセンブリ454の遠位内側部は針受け部472を形成する。ボタンアクチュエータ456は、プッシュロッド462に張力負荷を与えるばねアセンブリを内蔵することで、レバーアーム部466を
図56Aに示すような係合形態又は閉鎖形態に保つ。ボタンアクチュエータ456を押し込むと、プッシュロッド462は前進して、レバーアーム部466及び連結構造470を
図56Bに示すような係合解除形態又は開放形態へと動かす。
図57は、針捕捉アセンブリ454の針受け部472内に配置された針アセンブリ400を示す。図示されるように、針アセンブリ400は、連結構造470とロック溝405との連結係合により所定位置に固定される。この構成において、針捕捉装置450は、針を内視鏡の器具チャネルを通して送り込み、針アセンブリを針保持アーム340内に装填するために用いることができる。
【0046】
内視鏡縫合装置320のためのハンドルアセンブリ600を
図58及び
図59A〜
図59Cに示す。ハンドルアセンブリ600は、第1の固定ハンドル604と、ピボット軸612により固定ハンドルに回転自在に連結される第2の回転ハンドル608とを含む。回転ハンドル608は、両ハンドル間に配置固定されたばね614により
図58に示す開位置にばね付勢される。固定ハンドル604は、針捕捉装置450のハンドルアセンブリ458を受容するための近位キャビティ616を画成する。固定ハンドル604から延びるチューブ618は、ポート620において終端する。ポート620は、流体バルブ622と、内視鏡の近位端に連結するための機械式バヨネットロック部624とを含む。同様に固定ハンドルから延びるシース328は、伝達ワイヤ330を収容する。第2のハンドル608は、指把持部626と、その近位端にラチェットロック要素628とを形成する。以下に述べるように、回転可能な第2のハンドル608は伝達ワイヤ330に連結される。回転ハンドルを固定ハンドルの方向に動かすと、伝達ワイヤ330は軸方向に移動(後退)する。回転ハンドルを固定ハンドルから離れる方向に動かすと、伝達ワイヤ330は反対方向に軸方向移動(突出)する。
【0047】
次に
図59A〜
図59Cを参照しながら、どのようにして針捕捉装置450のハンドルアセンブリ458が内視鏡縫合装置320のハンドルアセンブリ600と相互に作用するかに加えて、ハンドルアセンブリ600の更なる詳細を示す。
図59Aにおいて詳細に示されるように、駆動ピボット要素634が軸ピン632によって第1のハンドル604の内側に枢結される。伝達ワイヤ330は、ばね638によって駆動ピボット要素634の第2の位置636に連結され、該ばねは、固定ハンドル604に画成されるキャビティ639内で所定距離内を移動可能である。また回転ハンドル608は、ブラケット642によって駆動ピボット要素634の第3の位置640に連結され、該ブラケットは、ピン644によって回転ハンドル608に連結される。その結果、ハンドル608を
図59Aの閉位置へと回転させる(すなわち、握り締める)と、ブラケット642が駆動ピボット要素634の位置640を引き下げる。位置640の下方への移動に伴い、今度は駆動ピボット要素634が軸ピン632の周りを時計回りに回転し、ひいてはばね638と駆動ピボット要素634の位置636との間の接続部が後方に(時計方向に)移動する。ばね638の後方への移動により伝達ワイヤ330が後方に引っ張られる。
【0048】
図59Aはまた、ハンドルアセンブリ600と、針捕捉装置450のハンドルアセンブリ458との相互作用を示す。より詳細には、固定ハンドル604は、キャビティ616内に延びるキャッチ部648を備えており、該キャッチ部は、針捕捉装置のハンドルアセンブリ458の可撓性歯(ラッチ)459aに係合するように設計される。更に、キャビティ616は、剛性歯459bを受容するための棚状突起部(ledge)650を近位の底部に有する。固定ハンドル604から延出するチューブ618は、ばね656を収容する固定ハンドル604の筒状キャビティ654内に延在することで外向きのばね荷重を受ける。
【0049】
その遠位部に針捕捉アセンブリ454を有する針捕捉装置450を内視鏡内に延在させることが望まれる場合、針捕捉アセンブリの遠位端を、固定ハンドル604のキャビティ616、筒状キャビティ654、チューブ618、ポート620内に順次通してから内視鏡内に挿通される。針捕捉アセンブリ454は、ハンドル458が固定ハンドル604のキャビティ616に係合するまで押し進められる。可能な限り押し進められると、剛性歯459bが棚状突起部650に合致し、更に可撓性ラッチ459aがキャッチ部648に係合することで、針捕捉装置450が所定位置に固定される。シース452を備えた針捕捉装置450のケーブル462は、ボタンアクチュエータ−457から延び、筒状キャビティ654、チューブ618及びポート620内を順次通過して同ポート620から延出する。針捕捉アセンブリを作動させるには、既に述べたようにボタン456を押す。針捕捉装置450をハンドルアセンブリ600から取り外すには、ハンドル458のラッチ459aに隣接する削り下げられた部分(relieved portion)459cを押し下げてラッチとキャッチ部648との係合を解除し、ハンドル458を近位方向に引っ張る。
【0050】
図59B及び
図59Cに最もよく示されるように、針捕捉装置のハンドル458は、ラチェットロック延長部又は(かぎ状)歯部459dを備えることが好ましい。針捕捉アセンブリ450が内視鏡縫合装置のハンドルアセンブリ600内の所定位置にあるとき、
図59Cに最もよく示されるように、回転ハンドル608のラチェットロック要素又は歯部628と、(固定ハンドル604内に係止されている)針捕捉アセンブリ450の同様のラチェットロック延長部又は歯部459dとを係合させることにより、ハンドル604及び608を閉位置に係止してもよい。理解されるように、歯部628及び459dは概ね横方向にずれているが、それらはかぎ状部を含んでおり、該かぎ状部同士が互いに通り過ぎた後に係合又は把持し合うことで所定位置に係止される。ハンドルの一方又は双方に相対的な横方向への力を加えることにより係合を解除することができる。
【0051】
ディスペンサ本体502と着脱可能な針シールドタブ504とを有する革新的な縫合糸ディスペンサ500を
図60Aに示す。
図60Bに示される縫合糸ディスペンサ500は、針シールドタブ504がディスペンサから取り外され針保持部材506が露出された状態である。縫合糸ディスペンサ500をさらに説明するために、
図60Cに構成要素の分解斜視図を示す。縫合糸ディスペンサ500は、下部本体508と上部本体510とを含み、両本体は共に、縫合糸402を含む縫合糸スプール512と針シールド504と針保持部材506とを収容するキャビティを形成する。好適には、下部及び上部本体508、510は、スプール512がキャビティ内において最小限の摩擦で回転できるようにスプール512の下面及び中央部を支持するリブ508a、508b(図示しないが上部本体にも同様のリブあり)を含む。また好適には、下部及び上部本体508、510は、針保持部材506を所定位置に保持しながら針シールドタブ504の取り外しを可能にする壁513a、513b、513c(下部本体508についてのみ
図60Cに示す)を夫々備える。より詳しく見ると、壁513aが針保持部材に対し後壁を形成しているのがわかる。壁513aは、針保持部材(及び針)の後部を受容するための切抜部又は孔513dを含み、外壁513cに結合する部分513eにおいて傾斜している。壁513bは、壁513aと壁513cとの間に位置する低い壁であり、壁513aの傾斜部513eに接続される。壁513bは、針保持部材506を着座させ所定位置に保持する第1の溝、及び針シールドタブ504の一部を着座させる第2の溝、の二つの溝を効果的に形成する。ただし針シールドタブは、外壁513cの半径方向の開口又は孔から延出しており、完全に引き抜いて(すなわち引出し可能)針保持部材506の受容キャビティ514を露出させることができる。外壁513cは更に、受容キャビティ514の前に開口又は孔513fを備える。縫合糸ディスペンサ500及びその構成要素の大半は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の適切なポリマー、射出成形、及び好適には、スナップ係合する設計(例えば下部本体508におけるラッチ508c及び中空受容ポスト508d、並びに上部本体510におけるキャッチ部510c及びポスト(図示せず))を用いることにより少ないコストで容易に製造される。
【0052】
図60Bに示すように、針シールド504は、突起部504aを備えるのが好ましい。突起部は、針シールド504を所定位置に保持するために、下部及び上部本体508、510から延びるリブ(図示せず)の間に押し込まれる。ただし突起部は弾力性を有するため、針シールド504のタブ部504bに力を加えると、針シールド504をディスペンサ本体502から取り外すことができる。
【0053】
既に述べたが、針保持部材506は、
図61A及び
図61Bに示すように、取り外し可能な針アセンブリ400が保持される針受容キャビティ514を含む。
図61Bの部分断面図に示すように、針本体部406は、保持部材506の本体内に画成される孔514a内に摩擦保持され(ほぼ同じ方法で針本体部は針保持アーム340(
図46参照)内に摩擦保持される)、針は縫合糸スプールに巻かれた縫合糸402に接続される。針先端部404は、針受容キャビティ514を通して針捕捉アセンブリ454にアクセスすることができる。すなわちキャビティは、針捕捉アセンブリがキャビティ内に進入し針をつかむことができるように、針先端部の周囲に空間を提供する。また
図61Bに示すように、針保持部材506は、横方向に細長い上部及び下部フランジ514bを有し、該フランジは、縫合糸ディスペンサ500の上部及び下部本体508、510の壁513a、513bにより形成される溝内に受容配置される。針保持部材の本体は、内壁513aの孔513dを抜けて後方に延在する円筒部を有する。
【0054】
図62A及び
図62Bは、針捕捉装置450の針捕捉アセンブリ454を受容している縫合糸ディスペンサ500を示す。
図62Bは、針をディスペンサから取り外すために針に連結係合された針捕捉アセンブリ454の部分断面図である。
【0055】
図63乃至
図69は、本発明の内視鏡縫合装置320を用いて縫合手術を行う方法を示す。
図63に示すように、内視鏡縫合装置320は、閉鎖すべき組織欠損156を有する組織154に近接して位置付けられる。内視鏡縫合装置320は開放形態にあり、針アセンブリ400の先端部は針保護部338により覆われる。
図64は、螺旋状先端部42が組織欠損156に近接するように組織捕捉器26が内視鏡の器具チャネルから延出される様子を示す。組織捕捉器26を回転させることにより、螺旋状先端部42を組織欠損156に隣接する組織154にしっかりと係合させる。
図65に示すように、組織捕捉器26を内視鏡の器具チャネル内に僅かに後退させることにより、組織154を内視鏡の近くに引き寄せてもよい。組織を引き寄せている間、針保護部338は、針アセンブリ400の先端部に組織が引っ掛かるのを防ぐことで不注意による組織の損傷を減らす。組織をどの程度引き寄せるかは、ステッチの大きさ及び位置に関係する。例えば、より大きな組織を縫合するためには、
図66に示すように組織捕捉器によって組織154を内視鏡の近くに引き寄せてもよい。大きな組織を縫合しようとするとき、組織保護部336の傾斜した遠位端部の姿勢が、針保護部338と連携して、縫合に備えた組織の折り曲げを支援し、好適には、組織を近づけ過ぎることによる針捕捉装置の閉塞の防止に役立つ。針保持アーム340を操作して閉位置へと移動させることにより、針アセンブリ400を組織154に穿刺する。
図67に示すように、組織保護部336の傾斜部により組織が支えられることで、針がより簡単に組織を貫通できるようになる。縫合糸402は、
図68に示すように組織内に引き込まれる。組織の引き寄せ量を制御することで医師は組織壁内における一部層のステッチを行うことも、組織壁を貫通する全層のステッチを行うことも可能となる。針捕捉装置は、針アセンブリ400を捕捉して針保持アーム340から抜き取る(図示せず)。
図69は、開放形態へと移動され組織154から抜かれた針保持アーム340を示す。縫合糸402は組織に貫通された状態で残されている。ランニングステッチを続けるためには、既に述べたように体内から内視鏡縫合装置を抜かずに、針アセンブリを針保持アームに再装填することができる。1ステッチのみが必要とされる場合、縫合糸を外科結びで結紮したり、シンチ装置を用いて縫合糸を固定することにより、組織欠損を閉鎖してもよい。
【0056】
本発明を、様々な図面に示される好適な実施形態に関連して説明した。しかしながら、他の同様の実施形態を用いることで本発明の実施形態と同一の機能を実現可能であること、上記の実施形態を修正可能であること、又は他の実施形態を追加可能であることは明らかである。それ故本発明は、任意の一つの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述された各手術装置は、可撓性の内視鏡と同様に、剛性の内視鏡やトロカール等と共に使用することもできる。また、特定の実施形態のエンドキャップ、針保護部、組織保護部等に関し、特定の大きさ及び形状を記載したが、その他の大きさ及び形状であっても使用することができる。「実質的に」又は「約」という用語が使用される明細書や請求項を理解するために、これらの用語は、プラスマイナス20%の範囲を許容するものであると解するべきである。例えば、「約180°」の角度は、144〜216°の範囲の角度を含むと解するべきである。「実質的に2mm」の大きさは、1.6〜2.4mmの範囲の大きさを含むと解するべきである。更に、各実施形態の様々な形態は、他の実施形態と共に使用することができると理解すべきである。例証としてのみ示すが、
図55及び
図58〜59Cを参照しながら説明した針捕捉装置及び内視鏡縫合装置のためのハンドルアセンブリは、第1の実施形態(
図1)の針捕捉装置及び内視鏡縫合装置と共に使用することもできる。従って、本発明の精神及び請求の範囲から逸脱することなく本発明に更に別の修正を施し得ることが当業者により理解されるであろう。