(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パーフルオロエラストマーが、TFEおよびMVEから誘導された繰り返し単位に加えて、1つ以上のパー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)から誘導された繰り返し単位を含む、請求項1に記載のパーフルオロエラストマー。
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパーフルオロエラストマーを含み、さらに前記パーフルオロエラストマーに対して、0.05〜10重量%の量で存在する少なくとも1つの過酸化物を含む、硬化性組成物。
前記過酸化物が、過酸化ジ−tert−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、過酸化ジクミル、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸ジ−tert−ブチルおよび炭酸ビス[1,3−ジメチル−3−(tert−ブチルパーオキシ)ブチル]からなる群から選択される、請求項7に記載の硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、「パーフルオロエラストマー」という用語によって、水素原子を実質的に含まないフルオロエラストマーを意味することが意図される。「水素原子を実質的に含まない」という用語は、パーフルオロエラストマーが、少なくとも1つのフッ素原子を含み、かつ水素原子を含まないエチレン性不飽和モノマー[パー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)]から誘導された繰り返し単位から実質的になることを意味するものと考えられる。
【0010】
水素を含む繰り返し単位から誘導された部分が、それらが、パーフルオロエラストマーの特性に実質的に影響しない限りは、少量存在していてもよい。TFEおよびMVEの合計モルに対して、1モル%を超えない(好ましくは、0.5モル%を超えない)量が、「パーフルオロエラストマー」挙動を満たすものと概して考えられる。
【0011】
パーフルオロエラストマーは、TFEおよびMVEから誘導された繰り返し単位に加えて、1つ以上のパー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)から誘導された繰り返し単位を含むことができる。
【0012】
パーフルオロエラストマーが、TFEおよびMVEとは異なるパー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)から誘導された繰り返し単位を含む場合、これらの繰り返し単位は、TFE、EVEおよびMVEの合計モルに対して、5%モルを超えない、好ましくは、3%モルを超えない量で典型的に含まれる。
【0013】
好適なパー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)の例は、これらに限定されないが、特に、
− C
3〜C
8パーフルオロオレフィン、例えば、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、
− ブロモ−および/またはヨードC
2〜C
8(ハロ)フルオロオレフィン、例えば、ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン、
− 一般式CF
2=CFOR
f3(式中、R
f3は、C
2〜C
6パー(ハロ)フルオロアルキルである)に従うパー(ハロ)フルオロアルキルビニルエーテル、例えば、場合によりヨウ素または臭素原子を含む−C
2F
5、−C
3F
7、
− 一般式CF
2=CFOX
01(式中、X
01は、パーフルオロ−2−プロポキシ−プロピル基のような1つ以上のエーテル基を有するC
1〜C
12パー(ハロ)フルオロオキシアルキルであり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)に従うパー(ハロ)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル、
− 一般式CF
2=CFOCF
2OR
f4(式中、R
f4は、−C
2F
5−O−CF
3のような1つ以上のエーテル基を有するC
1〜C
6パー(ハロ)フルオロアルキル、例えば、−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7またはC
1〜C
6パー(ハロ)フルオロオキシアルキルであり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)に従うパー(ハロ)フルオロ−メトキシ−アルキルビニルエーテル、
− 式
【化1】
のパー(ハロ)フルオロジオキソール(式中、互いに等しい、または異なるR
f3、R
f4、R
f5、R
f6は、それぞれ、独立に、フッ素原子、C
1〜C
6パー(ハロ)フルオロアルキル基であり、場合により1つ以上の酸素原子を含み、例えば、−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7、−OCF
3、−OCF
2CF
2OCF
3であり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)、好ましくは、上式に従うパー(ハロ)フルオロジオキソール(式中、R
f3およびR
f4は、フッ素原子であり、R
f5およびR
f6は、パーフルオロメチル基(−CF
3)[パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)])、または上式に従うパー(ハロ)フルオロジオキソール(式中、R
f3、R
f5およびR
f6は、フッ素原子であり、R
f4は、パーフルオロメトキシ基(−OCF
3)[2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソールまたはパーフルオロメトキシジオキソール(MDO)])である。
【0014】
場合により、パーフルオロエラストマーはまた、下の一般式(I)のビス−オレフィン
【化2】
(式中、
− 互いに同一または異なっていてよいR
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、HまたはC
1〜C
5アルキルであり、
− Zは、場合により酸素原子を含み、好ましくは、少なくとも部分フッ素化されている直鎖状または分枝状C
1〜C
18アルキレンまたはシクロアルキレン基であるか、あるいは(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であり、これらのビス−オレフィンの例は、例えば、1995年7月5日の欧州特許出願公開第0661304A号明細書(AUSIMONT SPA[IT])に記載されている)
から誘導された繰り返し単位も含む。
【0015】
これらのビス−オレフィンから誘導された鎖単位の量は、概して、TFEおよびMVE繰り返し単位の合計モルに対して、0.01〜1.0モル%、好ましくは、0.03〜0.5モル、より好ましくは、0.05〜0.2モル%でさえある。
【0016】
本発明のパーフルオロエラストマーは、過酸化物硬化性であり、すなわち、好適な条件および/または適切な成分と配合して、過酸化物ラジカル開始剤を用いて硬化され易い。
【0017】
このため、本発明のパーフルオロエラストマーは、
− 高分子の鎖および/または末端位置にヨウ素および/または臭素原子、および
− −CN型の官能基を含む硬化部位モノマーから誘導された繰り返し単位
のうち少なくとも1つを典型的に含む。
【0018】
しかし、本発明のパーフルオロエラストマーは、高分子の鎖および/または末端位置にヨウ素および/または臭素原子を含むのが概して好ましい。
【0019】
本発明のパーフルオロエラストマーは、概して、−CN基を含む硬化部位モノマーから誘導された繰り返し単位を含まない。
【0020】
本発明の好ましいパーフルオロエラストマーにおけるこれらのヨウ素および/または臭素原子の導入は、反応混合物に、臭素化および/またはヨウ素化コモノマー、その他、ヨウ素化および/または臭素化硬化部位コモノマーと呼ばれるものを添加することにより行ってもよく、ヨウ素および/または臭素原子を鎖に含むパーフルオロエラストマーが得られる。この実施形態のパーフルオロエラストマーは、典型的に、TFEおよびMVE繰り返し単位に加えて、上記の臭素化および/またはヨウ素化コモノマーから誘導された繰り返し単位を0.05〜5モル%含む。
【0021】
この臭素化および/またはヨウ素化コモノマーの例は、これらに限定されないが、特に、
− C
2〜C
10臭素および/またはヨウ素含有オレフィン、すなわち、少なくとも1つの水素原子が、臭素原子またはヨウ素原子にそれぞれ置換され、場合により残りの水素原子の1つ以上が、他のハロゲン、好ましくは、フッ素原子で置換されたオレフィンである。代表的な好適な臭素含有オレフィンとしては、ブロモトリフルオロエチレン、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1、臭化ビニル、1−ブロモ−1,2,2−トリフルオロエチレン、臭化パーフルオロアリル、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン、4−ブロモ−1,1,3,3,4,4−ヘキサフルオロブテン、4−ブロモ−3−クロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブテン、6−ブロモ−5,5,6,6−テトラフルオロ−ヘキセン、4−ブロモ−パーフルオロブテン−1および臭化3,3−ジフルオロアリルが挙げられる。代表的な好適なヨウ素含有オレフィンとしては、式CH
2=CH(CF
2)
xI(式中、xは2〜6)、より具体的には、ヨードエチレン、3−クロロ−4−ヨード−3,4,4−トリフルオロブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(ビニルオキシ)エタン、2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)プロパン、2−ヨードエチルビニルエーテル、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン、ヨードトリフルオロエチレン、および好ましくは、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1である。これらの硬化部位コモノマーのエラストマー製造における使用は、特に、米国特許第4035565号明細書(DUPONT)1977年7月12日、米国特許第4694045号明細書に記載されている。
− ヨードおよび/またはブロモ含有フッ素化ビニルエーテル。特に、米国特許第4745165号明細書(AUSIMONT)1988年5月17日および米国特許第4564662号明細書(MINNESOTA MINING&MFG[US])1986年1月14日に記載された化合物を挙げることができる。これらの化合物の好ましい部類は、特に、式CF
2=CF−O−R’
f−CX
2Z(式中、互いに等しいまたは異なるXはそれぞれ、HまたはFであり、ZはIまたはBrであり、R’
fは、二価のフルオロカーボン基、好ましくは、−(CF
2)
m−基、m=0〜5)に従うものである。
【0022】
上述したヨウ素化/臭素化硬化部位コモノマーの代替または組み合わせとして、本発明のパーフルオロエラストマーは、末端基にヨウ素および/または臭素原子を含んでもよい。これらのヨウ素および/または臭素原子は、パーフルオロエラストマーの製造中に、ヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤を存在させた重合により典型的に導入される。上記の連鎖移動剤のうち、(i)アルカリ金属またはアルカリ土類金属ヨウ化物および/または臭化物および(ii)ヨウ素および/または臭素を含有するフルオロカーボン化合物を挙げることができる。この観点から、好ましいヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤は、式R
f(I)
x(Br)
y(式中、R
fは、1〜8個の炭素原子を含有する(パー)フルオロアルキルまたは(パー)フルオロクロロアルキルであり、xおよびyは、0〜2の整数であり、1≦x+y≦2である)のものである。フルオロエラストマーを製造するのにこれらの化合物を使用することは、特に、米国特許第4243770号明細書(DAIKIN IND LTD)1981年1月6日および米国特許第4943622号明細書(NIPPON MEKTRON KK[JP])1990年7月24日に記載されている。
【0023】
本発明のパーフルオロエラストマーは、TFEおよびMVEから、そして場合により上述したビス−オレフィンから、誘導された繰り返し単位から実質的になるのが好ましく、さらに、末端基にヨウ素および/または臭素原子を含む。
【0024】
本発明のパーフルオロエラストマーは、TFEおよびMVEの合計モルに対して、26〜33モル%の量で、MVEから誘導された繰り返し単位を含むことが必須である。
【0025】
本発明の好ましいパーフルオロエラストマーは、
− TFEから誘導された繰り返し単位67〜74モル%、
− MVEから誘導された繰り返し単位26〜33モル%から実質的になり、
末端基にヨウ素および/または臭素(好ましくは、ヨウ素)をさらに含むものである。
【0026】
出願人は、パーフルオロエラストマーが、MVEから誘導された繰り返し単位を33%モルを超えて、または26%モル未満含むと、ムーニー粘度要件を満たしているという事実にも関わらず、実施例において圧縮永久歪み値に示されるとおり、許容できないシーリング特性が得られることを意外にも発見した。
【0027】
MVEから誘導された繰り返し単位の量は、TFEおよびMVEの合計モルに対して、28〜32%モル含まれるのが好ましい。
【0028】
パーフルオロエラストマーが、ASTM D1646規格に従って測定したとき、25〜140MUの121℃でのムーニー粘度(ML2+9)を有することも、本発明の他の必須の条件である。
【0029】
出願人は、パーフルオロエラストマーが、クレームされた範囲外のムーニー粘度を有すると、MVE含量を満たしているという事実にも関わらず、実施例において圧縮永久歪み値に示されるとおり、許容できないシーリング特性が得られることを意外にも発見した。
【0030】
パーフルオロエラストマーは、ASTM D1646規格に従って測定したとき、好ましくは、40〜120MU、より好ましくは、50〜120MUの121℃でのムーニー粘度(ML2+9)を有する。
【0031】
本発明のフルオロエラストマーの調製は、当該技術分野において周知された方法に従って、ラジカル開始剤(例えば、過硫酸、過リン酸、過ホウ酸または過炭酸アルカリ金属またはアンモニウム)を存在させて、場合により第一鉄、第一銅または銀塩、またはその他の易酸化性金属の塩と組み合わせて、水性乳剤中でのモノマーの共重合により行ってもよい。様々なタイプの界面活性剤も、通常、反応媒体中に存在し、中でも、フッ素化界面活性剤が特に好ましい。
【0032】
乳化重合の代替として、パーフルオロエラストマーを得るための重合反応を、バルクまたは懸濁液、または好適なラジカル開始剤が存在する有機液体中で、周知の技術に従って、行ってもよい。
【0033】
重合反応は、一般に、25〜150℃の温度で、10MPaまでの圧力で行われる。
【0034】
パーフルオロエラストマーの調製は、特に、米国特許第4789717号明細書(AUSIMONT SPA [IT])1988年12月6日および米国特許第4864006号明細書(AUSIMONT SPA [IT])1989年9月5日に記載されたとおり、パーフルオロポリオキシアルキレンのマイクロエマルションとして行うのが好ましい。
【0035】
本発明のパーフルオロエラストマーは、典型的に、過酸化物加硫により硬化される。
【0036】
過酸化物媒介加硫は、熱分解によりラジカルを生成できる好適な過酸化物の添加により、公知の技術に従って行うことができる。
【0037】
本発明のパーフルオロエラストマーを含む硬化性組成物は、このように、典型的に、少なくとも1つの過酸化物、好ましくは、少なくとも1つの有機過酸化物を含む。
【0038】
この過酸化物は、パーフルオロエラストマーに対して、0.05〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%の量で典型的に用いられる。
【0039】
中でも最も一般的に用いられる過酸化物としては、過酸化ジアルキル、例えば、過酸化ジ−tert−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、過酸化ジクミル、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸ジ−tert−ブチルおよび炭酸ビス[1,3−ジメチル−3−(tert−ブチルパーオキシ)ブチル]を挙げることができる。
【0040】
本発明のパーフルオロエラストマーを含む硬化性化合物は、概して追加の成分を含むことができ、
(a’)パーフルオロエラストマーに対して、概して、0.5重量%〜10重量%、好ましくは、1重量%〜7重量%の量の加硫助剤、
(b’)場合により、弱酸の塩、例えば、Ba、Na、K、PbまたはCaのステアリン酸塩、安息香酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩または亜リン酸塩と場合により結合した、好ましくは、二価の金属、例えば、Mg、Zn、CaまたはPbの酸化物および水酸化物から選択される、ポリマーに対して、1重量%〜15重量%、好ましくは、2重量%〜10重量%の量の金属化合物、
(c’)場合により、欧州特許第708797号明細書に記載されているような、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、オクタデシルアミン等のような金属非酸化物タイプの酸受容体、
(d’)場合により、その他従来の添加剤、例えば増粘フィラー、好ましくはカーボンブラック、シリカ、TFEホモポリマーまたはTFEと少なくとも1つのエチレンタイプの不飽和物を含有する1つ以上のモノマーとのコポリマーからなる半結晶フルオロポリマーを0.01モル%〜10モル%、好ましくは、0.05モル%〜7モル%の量で、顔料、酸化防止剤、安定剤等
からなる群から好ましくは選択される。
【0041】
加硫助剤の中でも、特に、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニル−メチルトリシロキサン、および上述した式(I)のビス−オレフィンを挙げることができる。シアノ(−CN)含有モノマーから誘導された繰り返し単位を含むパーフルオロエラストマーの場合には、芳香族ポリアミン化合物および/または有機スズ化合物を、加硫助剤として用いることができる。
【0042】
ポリアミン化合物の中でも、特に、式H
2N−Ar−NH
2の化合物を挙げることができ、Arは、
【化3】
の芳香族基および対応する、場合により置換された構造(例えば、さらにヒドロキシル基を含む)であり、Yは、−O−、−S−、−SO
2−、−CH
2−、−C(O)−、−C(CF
3)
2−、−C(CH
3)
2−、−(CH
2)
n−、−(CF
2)
n−であり、nは、0〜5の整数である。
【0043】
有機スズ化合物の中でも、特に、式Ar’
xSnY
4−xのものが挙げられ、式中、Ar’は、芳香族基であり、場合により縮合環を含み、Yは、炭素−炭素二重結合を含む有機基、好ましくは、アリル、アレニル、プロパルギル基であり、xは、0〜3の整数である。
【0044】
増粘フィラーの中でも、耐熱性および耐湿性を改善するにはシリカフィラーが好ましい。シリカフィラーの中でも、DIN ISO 787−9規格に従って求めたpH値が7より高いシリカおよび/または疎水性挙動を有するシリカが好ましい。これらのシリカフィラーのフルオロエラストマーにおける使用は、特に、国際公開第2008/003634号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS SPA [IT];)2008年1月10日および国際公開第2008/003635号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS SPA [IT];)2008年1月10日に記載されている。
【0045】
特に高温での改善された耐湿性が求められる場合には、カーボンブラックフィラー、特に、25〜35m
2/gのCTABを有するカーボンブラックフィラーが好ましい。これらのフィラーは、特に、国際公開第2008/003636号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS SPA [IT];)2008年1月10日に記載されている。
【0046】
本発明はまた、本発明のパーフルオロエラストマーから作製された硬化物品にも関する。
【0047】
本発明の硬化物品は、
− 上述したパーフルオロエラストマーと過酸化物を含む硬化性パーフルオロエラストマー組成物を提供し、
− その組成物を加硫成形して、成形プレフォームシーリング物品を与え、
− 場合により、その成形プレフォームシーリング物品を熱により後処理して、硬化物品を与えることを含むプロセスにより典型的に製造される。
【0048】
一般的に、硬化性パーフルオロエラストマー組成物は、射出成形、圧縮成形、または、押出し成形等の技術を用いて成形、そして同時に加硫される。
【0049】
加硫成形の温度は特に限定されないが、約50℃〜約250℃、好ましくは、約100℃〜約220℃の温度が概して用いられる。
【0050】
当業者であれば、選択した温度で、適切な硬化が得られるよう、適切な硬化/加硫レシピ(過酸化物、加硫助剤...)を選択するであろう。
【0051】
加硫成形後、加硫成形プレフォームシーリング物品に、続く熱による後処理工程を施すことができる。この処理は、一般に、好適な加熱装置、一般に、電気オーブンまたは対流オーブンで行う。
【0052】
熱による後処理は、一般に、少なくとも2分〜36時間、好ましくは、30分〜24時間、より好ましくは、1時間〜12時間の時間で実施される。
【0053】
かかる後処理の温度は、特に限定されない。一般に、この後処理(他に、後硬化として知られている)は、典型的に、150〜350℃、好ましくは、200〜300℃の温度で行われる。
【0054】
単なる例証であり、本発明の範囲を限定しようとするものではない以下の実施例を参照して、本発明をより詳細に説明していく。
【実施例】
【0055】
一般的な配合および硬化手順
後述するフルオロエラストマーは、以下に挿入される表に示された添加剤/成分と共に、またはなしで、処方された。この添加剤/成分の添加は、ASTM D3182規格に記載された配合手順に従って行った。同じ規格に記載された手順に従って硬化試料を調製した。
【0056】
ムーニー粘度の測定
ムーニー粘度は、ASTM D1646規格に従って、測定を実施するのに、2分および9分の遅延で、試料の初期(ロータ起動前)加熱時間で測定した。
【0057】
硬化試料の機械的およびシーリング特性の判断
引張り特性は、ASTM D412規格、方法Cに従って、板から打ち抜いた試料で求めた。
【0058】
M100は、100%伸びについてのMPaでの応力である。
T.S.は、MPaでの破断応力である。
E.B.は、%での破断伸びである。
【0059】
ショアA(3”)硬さ(HDS)は、ASTM D2240−タイプAデュロメータ規格に従って、25℃で求めた。
圧縮永久歪み(C−SET)は、ASTM D329およびD1414規格に従って、タイプ214のO−リングで求めた。
【0060】
実施例1
460rpmで動作するメカニカルスターラーを備えた22リットルのオートクレーブに、14リットルの脱塩水と、n/m=10および平均分子量600g/モルの式CF
2CIO(CF
2−CF(CF
3)O)
n(CF
2O)
mCF
2COOHのカルボキシ末端基を有する30.5mlのパーフルオロポリエーテルと、30.5mlのNH
4OHの30%v/v水溶液と、61mlの脱塩水と、n/m=20および分子量450g/モルの式C−F−
3−O−(−CF
2−CF(CF
3)O)
n(CF
2O)
mCF
3の18mlのGALDEN(登録商標)D02パーフルオロポリエーテルを混合することにより予め得られた140mlのマイクロエマルジョンとを入れた。リアクタを、80℃の設定温度まで加熱したら、45gの1,4−ジヨードパーフルオロブタン(C
4F
8I
2)を添加した後、最終圧力20バール(2MPa)まで、テトラフルオロエチレン(TFE)62%モル、パーフルオロメチルビニルエーテル(MVE)38%の組成を有するモノマー混合物を添加し、0.7gの過硫酸アンモニウム(APS)および22gのCH
2=CH−(CF
2)
6−CH=CH
2を、変換の際、それぞれ5%増加で、20回に分けて供給した。20バールの設定圧力を、TFE66%モル、MVE34%モルで構成されたモノマー混合物を供給することにより維持した。7.7kgのモノマー混合物を供給した後(374分の合計反応時間に対応)、リアクタを冷やし、382g
polymer/kg
latexを含むラテックスを回収した。欧州特許出願公開第1626068A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA[IT])2006年2月15日に記載された手順に従って、ラテックスを、凝固し、ゲルの形態で精製した。90℃で16時間乾燥した後、その特性を表1にまとめてあるMVE29%モル、TFE71%モルで構成されたポリマーが得られた。
【0061】
実施例2
54.6gのC
4F
8I
2、TFE58%モル、MVE42%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:65%モル、MVE:35%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を225分続けたところ、331g
polymer/kg
latexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE30%モル、TFE70%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表1にまとめてある。
【0062】
実施例3
54.2gのC
4F
8I
2、TFE53.7%モル、MVE46.3%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:64%モル、MVE:36%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を225分続けたところ、340g
polymer/kg
latexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE31%モル、TFE69%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表1にまとめてある。
【0063】
実施例4
49.3gのC
4F
8I
2、TFE50%モル、MVE50%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:62%モル、MVE:38%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を279分続けたところ、331g
polymer/kg
latexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE31.5%モル、TFE68.5%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表1にまとめてある。
【0064】
実施例5
53.4gのC
4F
8I
2、TFE45%モル、MVE55%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:63%モル、MVE:37%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を247分続けたところ、339g
polymer/kg
latexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE32.0%モル、TFE68.0%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表1にまとめてある。
【0065】
実施例6
実施例5で製造したのと同じポリマーを用いた。硬化化合物の特性は表2にまとめてある。
【0066】
比較例7
41gのC
4F
8I
2、25バールの設定点圧力まで、TFE35%モル、MVE65%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:60%モル、MVE:40%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を187分続けたところ、338g
polymer/kg
latexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE34.0%モル、TFE66.0%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表2にまとめてある。
【0067】
比較例8
TFE66%モル、MVE34%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、および設定点圧力を維持するために、TFE:71%モル、MVE:29%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を190分続けたところ、340g
polymer/kg
latexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE24.0%モル、TFE76.0%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表2にまとめてある。
【0068】
比較例9
75gのジC
4F
8I
2を用いた以外は、実施例4と同じ手順を繰り返した。このようにして得られたフルオロエラストマーの特性は表2にまとめてある。
【0069】
比較例10
28gのジC
4F
8I
2を用いた以外は、実施例4と同じ手順を繰り返した。このようにして得られたフルオロエラストマーの特性は表2にまとめてある。
【0070】
実施例11
実施例1と同じフルオロエラストマーを用いた。このようにして得られたフルオロエラストマーの特性は表3にまとめてある。
【0071】
実施例12
実施例1と同じフルオロエラストマーを用いた。このようにして得られたフルオロエラストマーの特性は表3にまとめてある。
【0072】
【表1】
【0073】
(1)121℃でのムーニー粘度(2+9)、(2)式CH
2=CH−(CF
2)
6−CH=CH
2のビス−オレフィン、(3)LUPEROX(登録商標)101XL:原液2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、(4)Evonik Ind.より市販のSIPERNAT(登録商標)シリカフィラー、(5)後硬化試料で実施、加硫成形および後硬化条件:硬化:175℃で20分、後硬化:290℃で(8+16)時間、(6)214番O−リングでのCS。
【0074】
【表2】
【0075】
(1)〜(6)は表1と同じ、(7)カーボンブラックMT N990(8)Coal Fillers Incorporatedより市販のAustinブラック325フィラー。
【0076】
【表3】
【0077】
(1)〜(3)は表1と同じ、(9)TAICROS(登録商標)TAIC:Evonikより市販の液体トリアリルイソシアヌレート、(10)後硬化試料で実施、加硫成形および後硬化条件:硬化:160℃で20分、後硬化:230℃で(8+16)時間、(11)214番のO−リングでのCS。
【0078】
上記したデータによれば、高温のシーリング特性(圧縮永久歪み値により示される)は、請求された要件のいずれにも従わない、すなわち、必要なムーニー粘度を持たない、かつ/または必要なMVE含量を有していないパーフルオロエラストマーに対して、本発明のパーフルオロエラストマーははるかに改善されている(低い値である)ことが分かる。