特許第5763552号(P5763552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763552
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】パーフルオロエラストマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 214/26 20060101AFI20150723BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20150723BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20150723BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   C08F214/26
   C08L27/18
   C08K5/14
   C09K3/10 M
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-549529(P2011-549529)
(86)(22)【出願日】2010年2月8日
(65)【公表番号】特表2012-518047(P2012-518047A)
(43)【公表日】2012年8月9日
(86)【国際出願番号】EP2010051505
(87)【国際公開番号】WO2010092021
(87)【国際公開日】20100819
【審査請求日】2013年1月17日
(31)【優先権主張番号】09152864.6
(32)【優先日】2009年2月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508305960
【氏名又は名称】ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミレーナ・スタンガ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア・マンツォーニ
(72)【発明者】
【氏名】マルゲリータ・アルバーノ
【審査官】 阪野 誠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−265733(JP,A)
【文献】 特表平04−505345(JP,A)
【文献】 特開平08−012726(JP,A)
【文献】 特開平09−255732(JP,A)
【文献】 特表2002−514241(JP,A)
【文献】 特開2003−137930(JP,A)
【文献】 特開2006−052399(JP,A)
【文献】 特開2006−009011(JP,A)
【文献】 特開平09−124870(JP,A)
【文献】 特表2009−541561(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/003635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00− 19/44
C08F 6/00−246/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− テトラフルオロエチレン(TFE)から誘導された繰り返し単位と、
− パーフルオロメチルビニルエーテル(MVE)から誘導された繰り返し単位と、下式の一般式(I)のビス−オレフィン
【化1】
(式中、
− 互いに同一または異なっていてよいR、R、R、R、RおよびRは、HまたはC〜Cアルキルであり、
− Zは、場合により酸素原子を含み、少なくとも部分フッ素化されている直鎖状または分枝状C〜C18アルキレンまたはシクロアルキレン基であるか、あるいは(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である)から誘導された繰り返し単位とを含む、
過酸化物硬化性パーフルオロエラストマーであって、
前記パーフルオロエラストマーが、
ASTM D1646規格に従って測定したとき、50〜120MUの121℃でのムーニー粘度(ML2+9)を有し、TFEおよびMVEの合計モルに対して、26〜33モル%の量で前記MVE繰り返し単位を含み、高分子の鎖および/または末端位置にヨウ素および/または臭素原子を含み、−CN基を含む硬化部位モノマーから誘導された繰り返し単位を含まない、過酸化物硬化性パーフルオロエラストマー。
【請求項2】
前記パーフルオロエラストマーが、TFEおよびMVEから誘導された繰り返し単位に加えて、1つ以上のパー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)から誘導された繰り返し単位を含む、請求項1に記載のパーフルオロエラストマー。
【請求項3】
前記パー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)が、
− C〜Cパーフルオロオレフィン、
− ブロモ−および/またはヨードC〜C(ハロ)フルオロオレフィン、
− 一般式CF=CFORf3(式中、Rf3は、C〜Cパー(ハロ)フルオロアルキルであり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)に従うパー(ハロ)フルオロアルキルビニルエーテル、
− 一般式CF=CFOX01(式中、X01は、1つ以上のエーテル基を有するC〜C12パー(ハロ)フルオロオキシアルキルであり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)に従うパー(ハロ)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル、
− 一般式CF=CFOCFORf4(式中、Rf4は、1つ以上のエーテル基を有するC〜Cパー(ハロ)フルオロアルキルまたはC〜Cパー(ハロ)フルオロオキシアルキルであり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)に従うパー(ハロ)フルオロ−メトキシ−アルキルビニルエーテル、
− 式
【化2】
のパー(ハロ)フルオロジオキソール(式中、互いに等しい、または異なるRf3、Rf4、Rf5、Rf6は、独立に、フッ素原子、C〜Cパー(ハロ)フルオロアルキル基であり、場合により1つ以上の酸素原子を含み、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)
からなる群から選択される、請求項2に記載のパーフルオロエラストマー。
【請求項4】
前記パーフルオロエラストマーが、TFEおよびMVEから、および式
【化3】
の前記ビス−オレフィン(式中、
− 互いに同一または異なっていてよいR、R、R、R、RおよびRは、HまたはC〜Cアルキルであり、
− Zは、場合により酸素原子を含み、少なくとも部分フッ素化されている直鎖状または分枝状C〜C18アルキレンまたはシクロアルキレン基であるか、あるいは(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であり、さらにヨウ素および/または臭素原子を末端基に含む)から誘導された繰り返し単位からなる、請求項1に記載のパーフルオロエラストマー。
【請求項5】
前記パーフルオロエラストマーが、
− TFEから誘導された繰り返し単位67〜74%モル、
− MVEから誘導された繰り返し単位26〜33%モル
からなり、ビスオレフィンから誘導された繰り返し単位ならびにヨウ素および/または臭素を末端基にさらに含む、請求項4に記載のパーフルオロエラストマー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパーフルオロエラストマーの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパーフルオロエラストマーを含み、さらに前記パーフルオロエラストマーに対して、0.05〜10重量%の量で存在する少なくとも1つの過酸化物を含む、硬化性組成物。
【請求項8】
前記過酸化物が、過酸化ジ−tert−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、過酸化ジクミル、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸ジ−tert−ブチルおよび炭酸ビス[1,3−ジメチル−3−(tert−ブチルパーオキシ)ブチル]からなる群から選択される、請求項7に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記組成物が、
(a’)前記パーフルオロエラストマーに対して、0.5重量%〜10重量%の加硫助剤、
(b’)場合によりBa、Na、K、PbまたはCaのステアリン酸塩、安息香酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩または亜リン酸塩から選択される弱酸の塩と結合したまたは結合していない、二価の金属の酸化物および水酸化物から選択される、前記ポリマーに対して、1重量%〜15重量%の量の金属化合物、
(c’)金属非酸化物タイプの酸受容体、
(d’) 0.01モル%〜10モル%の量のカーボンブラック、シリカ、TFEホモポリマーまたはTFEと少なくとも1つのエチレンタイプの不飽和物を含有する1つ以上のモノマーとのコポリマーからなる半結晶フルオロポリマーから選択される増粘フィラー;顔酸化防止剤;及び安定剤からなる群から選択される1つ以上の追加の成分
を含む、請求項7または8に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパーフルオロエラストマーから、または請求項7〜9のいずれか一項に記載の硬化性組成物から、作製された硬化物品。
【請求項11】
− 請求項8に記載の前記硬化性パーフルオロエラストマー組成物を提供し、
− 前記組成物を加硫成形して、成形プレフォームシーリング物品を与え、
− 場合により、前記成形プレフォームシーリング物品を熱により後処理して、前記硬化物品を与えることを含む、請求項10に記載の硬化物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された耐熱性を有する特定のパーフルオロエラストマー、製造方法およびそれから得られる硬化物品に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロエラストマーは、優れた耐化学性および耐熱性を備えた、厳しい環境における要求の厳しい業務用に設計された合成ゴムである。
【0003】
完全フッ素化されたフッ素化骨格を有し、典型的に、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロメチルビニルエーテル(MVE)とのコポリマーをベースとし、場合により硬化部位含有モノマーから誘導された繰り返し単位を含むパーフルオロエラストマーは、この分野におけるトップクラスの材料の典型であり、60年代後半から市場に導入された。
【0004】
一般に、これらのTFE/MVEコポリマーはおよそ、60/40モル/モル〜65/35組成を有しており、そのため必要なエラストマー挙動を達成できる。かかるコポリマーはまた、概して、硬化部位および/またはかかる硬化部位となる末端基を含むモノマーから誘導された繰り返し単位も含む。典型的に、過酸化物硬化は、それらの加硫および成形に用いられる好ましい技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0661304A号明細書
【特許文献2】米国特許第4035565号明細書
【特許文献3】米国特許第4694045号明細書
【特許文献4】米国特許第4745165号明細書
【特許文献5】米国特許第4564662号明細書
【特許文献6】米国特許第4243770号明細書
【特許文献7】米国特許第4943622号明細書
【特許文献8】米国特許第4789717号明細書
【特許文献9】米国特許第4864006号明細書
【特許文献10】欧州特許第708797号明細書
【特許文献11】国際公開第2008/003634号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2008/003635号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2008/003636号パンフレット
【特許文献14】欧州特許出願公開第1626068A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
30年来使われてきたにも関わらず、これらの材料の性能をさらに改善することが常に必要とされている。特に、高温での耐熱性は、新規なパーフルオロエラストマーの開発において努力が続けられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このように、本発明の目的は、
− テトラフルオロエチレン(TFE)から誘導された繰り返し単位と、
− パーフルオロメチルビニルエーテル(MVE)から誘導された繰り返し単位とを含む過酸化物硬化性パーフルオロエラストマーであって、このパーフルオロエラストマーが、
ASTM D1646規格に従って測定したとき、25〜140MUの121℃でのムーニー粘度(ML2+9)を有し、TFEおよびMVEの合計モルに対して、26〜33モル%の量でこのMVE繰り返し単位を含む過酸化物硬化性パーフルオロエラストマーである。
【0008】
出願人は、MVE繰り返し単位のこの比較的低く狭い濃度を、高分子量(MUで表わされる)と組み合わせて選択すると、特に、200℃を超える温度で、パーフルオロエラストマーの性能を大幅に改善でき有利であることを意外にも発見した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、「パーフルオロエラストマー」という用語によって、水素原子を実質的に含まないフルオロエラストマーを意味することが意図される。「水素原子を実質的に含まない」という用語は、パーフルオロエラストマーが、少なくとも1つのフッ素原子を含み、かつ水素原子を含まないエチレン性不飽和モノマー[パー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)]から誘導された繰り返し単位から実質的になることを意味するものと考えられる。
【0010】
水素を含む繰り返し単位から誘導された部分が、それらが、パーフルオロエラストマーの特性に実質的に影響しない限りは、少量存在していてもよい。TFEおよびMVEの合計モルに対して、1モル%を超えない(好ましくは、0.5モル%を超えない)量が、「パーフルオロエラストマー」挙動を満たすものと概して考えられる。
【0011】
パーフルオロエラストマーは、TFEおよびMVEから誘導された繰り返し単位に加えて、1つ以上のパー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)から誘導された繰り返し単位を含むことができる。
【0012】
パーフルオロエラストマーが、TFEおよびMVEとは異なるパー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)から誘導された繰り返し単位を含む場合、これらの繰り返し単位は、TFE、EVEおよびMVEの合計モルに対して、5%モルを超えない、好ましくは、3%モルを超えない量で典型的に含まれる。
【0013】
好適なパー(ハロ)フルオロモノマー(PFM)の例は、これらに限定されないが、特に、
− C〜Cパーフルオロオレフィン、例えば、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、
− ブロモ−および/またはヨードC〜C(ハロ)フルオロオレフィン、例えば、ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン、
− 一般式CF=CFORf3(式中、Rf3は、C〜Cパー(ハロ)フルオロアルキルである)に従うパー(ハロ)フルオロアルキルビニルエーテル、例えば、場合によりヨウ素または臭素原子を含む−C、−C
− 一般式CF=CFOX01(式中、X01は、パーフルオロ−2−プロポキシ−プロピル基のような1つ以上のエーテル基を有するC〜C12パー(ハロ)フルオロオキシアルキルであり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)に従うパー(ハロ)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル、
− 一般式CF=CFOCFORf4(式中、Rf4は、−C−O−CFのような1つ以上のエーテル基を有するC〜Cパー(ハロ)フルオロアルキル、例えば、−CF、−C、−CまたはC〜Cパー(ハロ)フルオロオキシアルキルであり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)に従うパー(ハロ)フルオロ−メトキシ−アルキルビニルエーテル、
− 式
【化1】
のパー(ハロ)フルオロジオキソール(式中、互いに等しい、または異なるRf3、Rf4、Rf5、Rf6は、それぞれ、独立に、フッ素原子、C〜Cパー(ハロ)フルオロアルキル基であり、場合により1つ以上の酸素原子を含み、例えば、−CF、−C、−C、−OCF、−OCFCFOCFであり、場合によりヨウ素または臭素原子を含む)、好ましくは、上式に従うパー(ハロ)フルオロジオキソール(式中、Rf3およびRf4は、フッ素原子であり、Rf5およびRf6は、パーフルオロメチル基(−CF)[パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)])、または上式に従うパー(ハロ)フルオロジオキソール(式中、Rf3、Rf5およびRf6は、フッ素原子であり、Rf4は、パーフルオロメトキシ基(−OCF)[2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソールまたはパーフルオロメトキシジオキソール(MDO)])である。
【0014】
場合により、パーフルオロエラストマーはまた、下の一般式(I)のビス−オレフィン
【化2】
(式中、
− 互いに同一または異なっていてよいR、R、R、R、RおよびRは、HまたはC〜Cアルキルであり、
− Zは、場合により酸素原子を含み、好ましくは、少なくとも部分フッ素化されている直鎖状または分枝状C〜C18アルキレンまたはシクロアルキレン基であるか、あるいは(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であり、これらのビス−オレフィンの例は、例えば、1995年7月5日の欧州特許出願公開第0661304A号明細書(AUSIMONT SPA[IT])に記載されている)
から誘導された繰り返し単位も含む。
【0015】
これらのビス−オレフィンから誘導された鎖単位の量は、概して、TFEおよびMVE繰り返し単位の合計モルに対して、0.01〜1.0モル%、好ましくは、0.03〜0.5モル、より好ましくは、0.05〜0.2モル%でさえある。
【0016】
本発明のパーフルオロエラストマーは、過酸化物硬化性であり、すなわち、好適な条件および/または適切な成分と配合して、過酸化物ラジカル開始剤を用いて硬化され易い。
【0017】
このため、本発明のパーフルオロエラストマーは、
− 高分子の鎖および/または末端位置にヨウ素および/または臭素原子、および
− −CN型の官能基を含む硬化部位モノマーから誘導された繰り返し単位
のうち少なくとも1つを典型的に含む。
【0018】
しかし、本発明のパーフルオロエラストマーは、高分子の鎖および/または末端位置にヨウ素および/または臭素原子を含むのが概して好ましい。
【0019】
本発明のパーフルオロエラストマーは、概して、−CN基を含む硬化部位モノマーから誘導された繰り返し単位を含まない。
【0020】
本発明の好ましいパーフルオロエラストマーにおけるこれらのヨウ素および/または臭素原子の導入は、反応混合物に、臭素化および/またはヨウ素化コモノマー、その他、ヨウ素化および/または臭素化硬化部位コモノマーと呼ばれるものを添加することにより行ってもよく、ヨウ素および/または臭素原子を鎖に含むパーフルオロエラストマーが得られる。この実施形態のパーフルオロエラストマーは、典型的に、TFEおよびMVE繰り返し単位に加えて、上記の臭素化および/またはヨウ素化コモノマーから誘導された繰り返し単位を0.05〜5モル%含む。
【0021】
この臭素化および/またはヨウ素化コモノマーの例は、これらに限定されないが、特に、
− C〜C10臭素および/またはヨウ素含有オレフィン、すなわち、少なくとも1つの水素原子が、臭素原子またはヨウ素原子にそれぞれ置換され、場合により残りの水素原子の1つ以上が、他のハロゲン、好ましくは、フッ素原子で置換されたオレフィンである。代表的な好適な臭素含有オレフィンとしては、ブロモトリフルオロエチレン、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1、臭化ビニル、1−ブロモ−1,2,2−トリフルオロエチレン、臭化パーフルオロアリル、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン、4−ブロモ−1,1,3,3,4,4−ヘキサフルオロブテン、4−ブロモ−3−クロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブテン、6−ブロモ−5,5,6,6−テトラフルオロ−ヘキセン、4−ブロモ−パーフルオロブテン−1および臭化3,3−ジフルオロアリルが挙げられる。代表的な好適なヨウ素含有オレフィンとしては、式CH=CH(CFI(式中、xは2〜6)、より具体的には、ヨードエチレン、3−クロロ−4−ヨード−3,4,4−トリフルオロブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(ビニルオキシ)エタン、2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)プロパン、2−ヨードエチルビニルエーテル、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン、ヨードトリフルオロエチレン、および好ましくは、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1である。これらの硬化部位コモノマーのエラストマー製造における使用は、特に、米国特許第4035565号明細書(DUPONT)1977年7月12日、米国特許第4694045号明細書に記載されている。
− ヨードおよび/またはブロモ含有フッ素化ビニルエーテル。特に、米国特許第4745165号明細書(AUSIMONT)1988年5月17日および米国特許第4564662号明細書(MINNESOTA MINING&MFG[US])1986年1月14日に記載された化合物を挙げることができる。これらの化合物の好ましい部類は、特に、式CF=CF−O−R’−CXZ(式中、互いに等しいまたは異なるXはそれぞれ、HまたはFであり、ZはIまたはBrであり、R’は、二価のフルオロカーボン基、好ましくは、−(CF−基、m=0〜5)に従うものである。
【0022】
上述したヨウ素化/臭素化硬化部位コモノマーの代替または組み合わせとして、本発明のパーフルオロエラストマーは、末端基にヨウ素および/または臭素原子を含んでもよい。これらのヨウ素および/または臭素原子は、パーフルオロエラストマーの製造中に、ヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤を存在させた重合により典型的に導入される。上記の連鎖移動剤のうち、(i)アルカリ金属またはアルカリ土類金属ヨウ化物および/または臭化物および(ii)ヨウ素および/または臭素を含有するフルオロカーボン化合物を挙げることができる。この観点から、好ましいヨウ素化および/または臭素化連鎖移動剤は、式R(I)(Br)(式中、Rは、1〜8個の炭素原子を含有する(パー)フルオロアルキルまたは(パー)フルオロクロロアルキルであり、xおよびyは、0〜2の整数であり、1≦x+y≦2である)のものである。フルオロエラストマーを製造するのにこれらの化合物を使用することは、特に、米国特許第4243770号明細書(DAIKIN IND LTD)1981年1月6日および米国特許第4943622号明細書(NIPPON MEKTRON KK[JP])1990年7月24日に記載されている。
【0023】
本発明のパーフルオロエラストマーは、TFEおよびMVEから、そして場合により上述したビス−オレフィンから、誘導された繰り返し単位から実質的になるのが好ましく、さらに、末端基にヨウ素および/または臭素原子を含む。
【0024】
本発明のパーフルオロエラストマーは、TFEおよびMVEの合計モルに対して、26〜33モル%の量で、MVEから誘導された繰り返し単位を含むことが必須である。
【0025】
本発明の好ましいパーフルオロエラストマーは、
− TFEから誘導された繰り返し単位67〜74モル%、
− MVEから誘導された繰り返し単位26〜33モル%から実質的になり、
末端基にヨウ素および/または臭素(好ましくは、ヨウ素)をさらに含むものである。
【0026】
出願人は、パーフルオロエラストマーが、MVEから誘導された繰り返し単位を33%モルを超えて、または26%モル未満含むと、ムーニー粘度要件を満たしているという事実にも関わらず、実施例において圧縮永久歪み値に示されるとおり、許容できないシーリング特性が得られることを意外にも発見した。
【0027】
MVEから誘導された繰り返し単位の量は、TFEおよびMVEの合計モルに対して、28〜32%モル含まれるのが好ましい。
【0028】
パーフルオロエラストマーが、ASTM D1646規格に従って測定したとき、25〜140MUの121℃でのムーニー粘度(ML2+9)を有することも、本発明の他の必須の条件である。
【0029】
出願人は、パーフルオロエラストマーが、クレームされた範囲外のムーニー粘度を有すると、MVE含量を満たしているという事実にも関わらず、実施例において圧縮永久歪み値に示されるとおり、許容できないシーリング特性が得られることを意外にも発見した。
【0030】
パーフルオロエラストマーは、ASTM D1646規格に従って測定したとき、好ましくは、40〜120MU、より好ましくは、50〜120MUの121℃でのムーニー粘度(ML2+9)を有する。
【0031】
本発明のフルオロエラストマーの調製は、当該技術分野において周知された方法に従って、ラジカル開始剤(例えば、過硫酸、過リン酸、過ホウ酸または過炭酸アルカリ金属またはアンモニウム)を存在させて、場合により第一鉄、第一銅または銀塩、またはその他の易酸化性金属の塩と組み合わせて、水性乳剤中でのモノマーの共重合により行ってもよい。様々なタイプの界面活性剤も、通常、反応媒体中に存在し、中でも、フッ素化界面活性剤が特に好ましい。
【0032】
乳化重合の代替として、パーフルオロエラストマーを得るための重合反応を、バルクまたは懸濁液、または好適なラジカル開始剤が存在する有機液体中で、周知の技術に従って、行ってもよい。
【0033】
重合反応は、一般に、25〜150℃の温度で、10MPaまでの圧力で行われる。
【0034】
パーフルオロエラストマーの調製は、特に、米国特許第4789717号明細書(AUSIMONT SPA [IT])1988年12月6日および米国特許第4864006号明細書(AUSIMONT SPA [IT])1989年9月5日に記載されたとおり、パーフルオロポリオキシアルキレンのマイクロエマルションとして行うのが好ましい。
【0035】
本発明のパーフルオロエラストマーは、典型的に、過酸化物加硫により硬化される。
【0036】
過酸化物媒介加硫は、熱分解によりラジカルを生成できる好適な過酸化物の添加により、公知の技術に従って行うことができる。
【0037】
本発明のパーフルオロエラストマーを含む硬化性組成物は、このように、典型的に、少なくとも1つの過酸化物、好ましくは、少なくとも1つの有機過酸化物を含む。
【0038】
この過酸化物は、パーフルオロエラストマーに対して、0.05〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%の量で典型的に用いられる。
【0039】
中でも最も一般的に用いられる過酸化物としては、過酸化ジアルキル、例えば、過酸化ジ−tert−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、過酸化ジクミル、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸ジ−tert−ブチルおよび炭酸ビス[1,3−ジメチル−3−(tert−ブチルパーオキシ)ブチル]を挙げることができる。
【0040】
本発明のパーフルオロエラストマーを含む硬化性化合物は、概して追加の成分を含むことができ、
(a’)パーフルオロエラストマーに対して、概して、0.5重量%〜10重量%、好ましくは、1重量%〜7重量%の量の加硫助剤、
(b’)場合により、弱酸の塩、例えば、Ba、Na、K、PbまたはCaのステアリン酸塩、安息香酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩または亜リン酸塩と場合により結合した、好ましくは、二価の金属、例えば、Mg、Zn、CaまたはPbの酸化物および水酸化物から選択される、ポリマーに対して、1重量%〜15重量%、好ましくは、2重量%〜10重量%の量の金属化合物、
(c’)場合により、欧州特許第708797号明細書に記載されているような、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、オクタデシルアミン等のような金属非酸化物タイプの酸受容体、
(d’)場合により、その他従来の添加剤、例えば増粘フィラー、好ましくはカーボンブラック、シリカ、TFEホモポリマーまたはTFEと少なくとも1つのエチレンタイプの不飽和物を含有する1つ以上のモノマーとのコポリマーからなる半結晶フルオロポリマーを0.01モル%〜10モル%、好ましくは、0.05モル%〜7モル%の量で、顔料、酸化防止剤、安定剤等
からなる群から好ましくは選択される。
【0041】
加硫助剤の中でも、特に、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニル−メチルトリシロキサン、および上述した式(I)のビス−オレフィンを挙げることができる。シアノ(−CN)含有モノマーから誘導された繰り返し単位を含むパーフルオロエラストマーの場合には、芳香族ポリアミン化合物および/または有機スズ化合物を、加硫助剤として用いることができる。
【0042】
ポリアミン化合物の中でも、特に、式HN−Ar−NHの化合物を挙げることができ、Arは、
【化3】
の芳香族基および対応する、場合により置換された構造(例えば、さらにヒドロキシル基を含む)であり、Yは、−O−、−S−、−SO−、−CH−、−C(O)−、−C(CF−、−C(CH−、−(CH−、−(CF−であり、nは、0〜5の整数である。
【0043】
有機スズ化合物の中でも、特に、式Ar’SnY4−xのものが挙げられ、式中、Ar’は、芳香族基であり、場合により縮合環を含み、Yは、炭素−炭素二重結合を含む有機基、好ましくは、アリル、アレニル、プロパルギル基であり、xは、0〜3の整数である。
【0044】
増粘フィラーの中でも、耐熱性および耐湿性を改善するにはシリカフィラーが好ましい。シリカフィラーの中でも、DIN ISO 787−9規格に従って求めたpH値が7より高いシリカおよび/または疎水性挙動を有するシリカが好ましい。これらのシリカフィラーのフルオロエラストマーにおける使用は、特に、国際公開第2008/003634号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS SPA [IT];)2008年1月10日および国際公開第2008/003635号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS SPA [IT];)2008年1月10日に記載されている。
【0045】
特に高温での改善された耐湿性が求められる場合には、カーボンブラックフィラー、特に、25〜35m/gのCTABを有するカーボンブラックフィラーが好ましい。これらのフィラーは、特に、国際公開第2008/003636号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS SPA [IT];)2008年1月10日に記載されている。
【0046】
本発明はまた、本発明のパーフルオロエラストマーから作製された硬化物品にも関する。
【0047】
本発明の硬化物品は、
− 上述したパーフルオロエラストマーと過酸化物を含む硬化性パーフルオロエラストマー組成物を提供し、
− その組成物を加硫成形して、成形プレフォームシーリング物品を与え、
− 場合により、その成形プレフォームシーリング物品を熱により後処理して、硬化物品を与えることを含むプロセスにより典型的に製造される。
【0048】
一般的に、硬化性パーフルオロエラストマー組成物は、射出成形、圧縮成形、または、押出し成形等の技術を用いて成形、そして同時に加硫される。
【0049】
加硫成形の温度は特に限定されないが、約50℃〜約250℃、好ましくは、約100℃〜約220℃の温度が概して用いられる。
【0050】
当業者であれば、選択した温度で、適切な硬化が得られるよう、適切な硬化/加硫レシピ(過酸化物、加硫助剤...)を選択するであろう。
【0051】
加硫成形後、加硫成形プレフォームシーリング物品に、続く熱による後処理工程を施すことができる。この処理は、一般に、好適な加熱装置、一般に、電気オーブンまたは対流オーブンで行う。
【0052】
熱による後処理は、一般に、少なくとも2分〜36時間、好ましくは、30分〜24時間、より好ましくは、1時間〜12時間の時間で実施される。
【0053】
かかる後処理の温度は、特に限定されない。一般に、この後処理(他に、後硬化として知られている)は、典型的に、150〜350℃、好ましくは、200〜300℃の温度で行われる。
【0054】
単なる例証であり、本発明の範囲を限定しようとするものではない以下の実施例を参照して、本発明をより詳細に説明していく。
【実施例】
【0055】
一般的な配合および硬化手順
後述するフルオロエラストマーは、以下に挿入される表に示された添加剤/成分と共に、またはなしで、処方された。この添加剤/成分の添加は、ASTM D3182規格に記載された配合手順に従って行った。同じ規格に記載された手順に従って硬化試料を調製した。
【0056】
ムーニー粘度の測定
ムーニー粘度は、ASTM D1646規格に従って、測定を実施するのに、2分および9分の遅延で、試料の初期(ロータ起動前)加熱時間で測定した。
【0057】
硬化試料の機械的およびシーリング特性の判断
引張り特性は、ASTM D412規格、方法Cに従って、板から打ち抜いた試料で求めた。
【0058】
M100は、100%伸びについてのMPaでの応力である。
T.S.は、MPaでの破断応力である。
E.B.は、%での破断伸びである。
【0059】
ショアA(3”)硬さ(HDS)は、ASTM D2240−タイプAデュロメータ規格に従って、25℃で求めた。
圧縮永久歪み(C−SET)は、ASTM D329およびD1414規格に従って、タイプ214のO−リングで求めた。
【0060】
実施例1
460rpmで動作するメカニカルスターラーを備えた22リットルのオートクレーブに、14リットルの脱塩水と、n/m=10および平均分子量600g/モルの式CFCIO(CF−CF(CF)O)(CFO)CFCOOHのカルボキシ末端基を有する30.5mlのパーフルオロポリエーテルと、30.5mlのNHOHの30%v/v水溶液と、61mlの脱塩水と、n/m=20および分子量450g/モルの式C−F−−O−(−CF−CF(CF)O)(CFO)CFの18mlのGALDEN(登録商標)D02パーフルオロポリエーテルを混合することにより予め得られた140mlのマイクロエマルジョンとを入れた。リアクタを、80℃の設定温度まで加熱したら、45gの1,4−ジヨードパーフルオロブタン(C)を添加した後、最終圧力20バール(2MPa)まで、テトラフルオロエチレン(TFE)62%モル、パーフルオロメチルビニルエーテル(MVE)38%の組成を有するモノマー混合物を添加し、0.7gの過硫酸アンモニウム(APS)および22gのCH=CH−(CF−CH=CHを、変換の際、それぞれ5%増加で、20回に分けて供給した。20バールの設定圧力を、TFE66%モル、MVE34%モルで構成されたモノマー混合物を供給することにより維持した。7.7kgのモノマー混合物を供給した後(374分の合計反応時間に対応)、リアクタを冷やし、382gpolymer/kglatexを含むラテックスを回収した。欧州特許出願公開第1626068A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA[IT])2006年2月15日に記載された手順に従って、ラテックスを、凝固し、ゲルの形態で精製した。90℃で16時間乾燥した後、その特性を表1にまとめてあるMVE29%モル、TFE71%モルで構成されたポリマーが得られた。
【0061】
実施例2
54.6gのC、TFE58%モル、MVE42%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:65%モル、MVE:35%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を225分続けたところ、331gpolymer/kglatexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE30%モル、TFE70%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表1にまとめてある。
【0062】
実施例3
54.2gのC、TFE53.7%モル、MVE46.3%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:64%モル、MVE:36%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を225分続けたところ、340gpolymer/kglatexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE31%モル、TFE69%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表1にまとめてある。
【0063】
実施例4
49.3gのC、TFE50%モル、MVE50%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:62%モル、MVE:38%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を279分続けたところ、331gpolymer/kglatexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE31.5%モル、TFE68.5%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表1にまとめてある。
【0064】
実施例5
53.4gのC、TFE45%モル、MVE55%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:63%モル、MVE:37%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を247分続けたところ、339gpolymer/kglatexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE32.0%モル、TFE68.0%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表1にまとめてある。
【0065】
実施例6
実施例5で製造したのと同じポリマーを用いた。硬化化合物の特性は表2にまとめてある。
【0066】
比較例7
41gのC、25バールの設定点圧力まで、TFE35%モル、MVE65%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、設定点圧力を維持するために、TFE:60%モル、MVE:40%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を187分続けたところ、338gpolymer/kglatexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE34.0%モル、TFE66.0%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表2にまとめてある。
【0067】
比較例8
TFE66%モル、MVE34%モルで構成されたモノマー混合物の初期供給、および設定点圧力を維持するために、TFE:71%モル、MVE:29%モルで作製された混合物の後の供給を用いた以外は、実施例1と同じ手順を繰り返した。反応を190分続けたところ、340gpolymer/kglatexの固形分を有するラテックスが得られた。上述したとおり凝固した後、MVE24.0%モル、TFE76.0%モルの組成を有するラテックスが得られた。その特性は表2にまとめてある。
【0068】
比較例9
75gのジCを用いた以外は、実施例4と同じ手順を繰り返した。このようにして得られたフルオロエラストマーの特性は表2にまとめてある。
【0069】
比較例10
28gのジCを用いた以外は、実施例4と同じ手順を繰り返した。このようにして得られたフルオロエラストマーの特性は表2にまとめてある。
【0070】
実施例11
実施例1と同じフルオロエラストマーを用いた。このようにして得られたフルオロエラストマーの特性は表3にまとめてある。
【0071】
実施例12
実施例1と同じフルオロエラストマーを用いた。このようにして得られたフルオロエラストマーの特性は表3にまとめてある。
【0072】
【表1】
【0073】
(1)121℃でのムーニー粘度(2+9)、(2)式CH=CH−(CF−CH=CHのビス−オレフィン、(3)LUPEROX(登録商標)101XL:原液2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、(4)Evonik Ind.より市販のSIPERNAT(登録商標)シリカフィラー、(5)後硬化試料で実施、加硫成形および後硬化条件:硬化:175℃で20分、後硬化:290℃で(8+16)時間、(6)214番O−リングでのCS。
【0074】
【表2】
【0075】
(1)〜(6)は表1と同じ、(7)カーボンブラックMT N990(8)Coal Fillers Incorporatedより市販のAustinブラック325フィラー。
【0076】
【表3】
【0077】
(1)〜(3)は表1と同じ、(9)TAICROS(登録商標)TAIC:Evonikより市販の液体トリアリルイソシアヌレート、(10)後硬化試料で実施、加硫成形および後硬化条件:硬化:160℃で20分、後硬化:230℃で(8+16)時間、(11)214番のO−リングでのCS。
【0078】
上記したデータによれば、高温のシーリング特性(圧縮永久歪み値により示される)は、請求された要件のいずれにも従わない、すなわち、必要なムーニー粘度を持たない、かつ/または必要なMVE含量を有していないパーフルオロエラストマーに対して、本発明のパーフルオロエラストマーははるかに改善されている(低い値である)ことが分かる。