【課題を解決するための手段】
【0006】
  上記課題を解決するため第1の構成(請求項1)に係る枠体は、表裏方向の開口を形成する枠状の部材であり、表裏一方の面側に所定の取付対象物を取り付けるための取付溝が形成されてなる枠本体と、前記枠本体の部材が固化される前の状態で透過可能なメッシュ状となっており、前記枠本体に前記開口を塞ぐように張られてなるシート部材と、前記枠本体の内周面から内側に突出する突出部と、を備えている。そして、前記突出部は、該突出部が形成される領域に、前記枠本体における内外方向および表裏方向の一方または両方に沿って前記シート部材の端部側を通過させた後、
該領域に前記突出部を形成すべく配置した型枠内に、前記枠本体の部材を固化前の状態で充填させて固化させることで、前記シート部材の前記枠本体に張った状態での固定を実現しており、前記シート部材は、その端部が、前記枠本体における内周面に沿って表面または裏面まで到達している。
【0007】
  このように構成された枠体では、シート部材の端部が本体における内周面に沿って表面または裏面に到達するようにシート部材が固定され、枠本体の内側でシート部材の端部側が隠されるような位置関係となり、この端部側が外部から視認されにくくなるため、これにより美観が損なわれることを防止することができる。
【0008】
  また、この構成では、シート部材の端部を、枠本体における内周面に沿って表面または裏面に到達させており、この端部が取付溝から突出する位置関係となっていないため、シート部材の端部が取付対象物に干渉して取付精度を低下させることもない。
【0009】
  このように、上記構成では、枠体としての美観が大きく損なわれないようにしつつ、枠体への取付対象物の取付を従来よりも精度よく行うことができる。
  なお、上記各構成における突出部は、枠本体における枠状の全周にわたって連続する1つのものとして設けられていてもよいし、枠本体における枠状の全周にわたって所定間隔で複数のものが設けられていてもよい。
【0010】
  また、上記構成における取付溝についても同様に、枠本体の全周にわたって形成された1つの連続する溝として構成してもよいし、全周にわたって所定間隔毎に形成された複数の溝として構成してもよい。
【0011】
  また、上記構成におけるシート部材は、その端部が、枠本体の内周面に沿って表面または裏面まで到達していればよく、その内周面に沿って表面または裏面に到達する過程で突出部を通過するような位置関係としてもよいし、シート部材の引っ張りに対する強度を高める意味で、はじめに突出部を通過してから内周面に沿って表面または裏面に到達するような位置関係としてもよい。
【0012】
  この後者のためには、特に、上記構成を以下に示す第2の構成(請求項2)のようにするとよい。
  第2の構成において、前記シート部材は、前記突出部に到達した端部側が、該端部側を前記枠本体における内外方向に沿って一定距離だけ通過してから、前記枠本体における内周面に沿って表側または裏側に向かうように配置されている。
【0013】
  この構成では、シート部材の端部側が少なくとも一定距離だけ内外方向に延びた位置関係となっているが、この位置関係であれば、シート部材の端部側が通過する方向とシート部材の引っ張り方向とが近似し(最も角度差が小さくなり)、シート部材が張られている状態においてシート部材の端部側が引き剥がされてしまうような方向の力が加わりにくくなるため、引っ張りによりシート部材が引き剥がされてしまうことを防止するのに好適である。これにより、シート部材と枠本体とをより強固に固定することができる。
【0014】
  なお、この構成において、シート部材の端部側が内外方向に通過する距離は、シート部材において発生しうる引っ張り力に応じて距離など、少なくとも必要な強度を確保できる程度の距離があればよい。
【0015】
  また、上記各構成における突出部は、枠本体の内周面から内側に突出するものとして、この内周面の表裏方向に沿った一部領域にわたって設けられていればよい。このとき、シート部材の端部が到達している面までにわたって設けられているとよく、このためには、上記各構成を、以下に示すようにするとよい。
【0016】
  具体的にいえば、前記突出部は、前記枠本体における内周面に沿って、少なくとも前記シート部材の端部が到達している面(表面または裏面)までにわたって形成されている、といった構成である。
【0017】
  この構成であれば、枠本体の表面または裏面までにわたって突出部が形成されていることから、シート部材の端部側が枠本体の内周面に沿って表面または裏面に到達するまで、この突出部の内部を通過することになり、その結果、枠本体の内側に位置するシート部材の端部側までも覆い隠すことができるため、より美観が損なわれることを防止することができる。
【0018】
  また、上記各構成における突出部は、シート部材の端部側を固定する機能を有していればよいが、その形状を工夫して別の機能を持たせることとしてもよい。
  具体的な例としては、例えば、第3の構成(請求項3)のように、前記突出部は、前記枠本体の内周面から内側に突出する突出片と、該突出片の先端側から前記内周面に沿って延出する延出片と、からなる、ようなものが考えられる。
【0019】
  この構成であれば、突出部における突出片と延出片とで形成されるリブ形状により、枠本体を曲げる方向の力に対抗できるようになるため、枠本体の枠としての強度を向上させることができる。
【0020】
  なお、この構成における突出部の延出片は、枠本体の強度に寄与できる程度の長さを有していればよいが、枠本体の内周面に沿って表面または裏面にまで到達する長さを有していると、枠本体の内側に位置するシート部材の端部側を覆い隠すことができるため、これによっても美観が損なわれることを防止することができる。
【0021】
  また、上記課題を解決するため第4の構成(請求項4)に係る金型装置は、第1〜第3のいずれかの構成に係る枠体を製造するための金型装置であって、前記枠本体のうち、前記シート部材の端部が到達する面(表面または裏面)側と反対の面側の形状が象られてなる第1型枠と、前記枠本体のうち、前記シート部材の端部が到達する面(表面または裏面)側の形状であって、該シート部材の端部が位置する領域よりも外側のみの形状が象られてなる第2型枠と、前記枠本体のうち、前記シート部材の端部が到達する面(表面または裏面)側の形状であって、該シート部材の端部が位置する領域よりも内側のみの形状が象られてなる第3型枠と、を備えている。
【0022】
  そして、前記第1型枠と前記第3型枠との間、および、前記第2型枠と前記第3型枠との間に前記シート部材を挟んだ状態で、前記第1型枠、前記第2型枠および前記第3型枠を組み合わせることにより、これら型枠で囲まれた領域により前記枠本体が象られるように構成されており、前記第3型枠は、前記第1型枠との間で前記シート部材を挟む面と、前記第2型枠との間で前記シート部材を挟む面との間が、前記シート部材の端部側を位置決めする位置決め部となっており、また、該位置決め部の一部に、前記枠本体における内外方向および表裏方向の一方または両方に向かう凹状部が形成されている。
【0023】
  このように構成された金型装置であれば、上述した各構成に係る枠体を製造するのに適している。
  また、上記課題を解決するため第5の構成(請求項5)に係る枠体の製造方法は、第1〜第3のいずれかの構成に係る枠体の製造方法であって、第4の構成に係る金型装置のうち、前記第1型枠と前記第3型枠との間、および、前記第2型枠と前記第3型枠との間に前記シート部材を挟んだ状態で、前記第1型枠、前記第2型枠および前記第3型枠を組み合わせた後、これら型枠で囲まれた領域に、前記枠本体の部材を固化前の状態で充填してから固化させることで、前記シート部材が前記枠本体に張った状態で固定された枠体を製造する。
【0024】
  このような製造方法であれば、上述した各構成に係る枠体を製造するのに適している。