(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光アクセスネットワークで用いられる光ファイバ接続部材において、光ファイバの端面間の大きな隙間は性能劣化の要因の一つである。
【0006】
光ファイバの端面間に、例えば、100μm程度の大きな隙間がある場合、光ファイバを接続した当初は、大きな隙間を整合材が満たすことで、光ファイバ接続部材での接続損失は1.5dB程度になる(
図12(b))。通常、光アクセスネットワークにおける伝送装置間の許容損失(ロス・バジェット)は、伝送装置間の光線路損失に対して、ある程度のマージンをもって設計されている。このため、上記のように光ファイバの端面間に大きな隙間が存在する光ファイバ接続部材が使用されたとしても、直ちに伝送装置間の光線路損失が許容損失を超えて通信断状態に至ることはなく、伝送装置間で正常に通信できてしまう場合が大半である。
【0007】
しかしながら、光ファイバ接続部材で用いられる整合材は油(オイル)状の材質であるため、時間経過に伴う温度変化により流動してしまう。これにより、光ファイバの端面間の大きな隙間内では空気層と整合材の混在した状態になりうる(
図12(c))。この現象が発生すると、光ファイバ接続部材の特性(接続損失、反射減衰量)が著しく劣化し(
図14、
図15)、接続損失は30dB以上に達する場合がある。このような著しく大きい接続損失が発生すると、伝送装置間の光線路損失が許容損失を大きく超過し、通信断状態に至る。
【0008】
また、上記のように光ファイバの端面間の大きな隙間内で、空気層と整合材の混在した状態は、温度変化とともに接続損失を大きく変動させる。このため、伝送装置間で、通信が可能となる状態と通信断となる状態を交互に繰り返す、時々断となるケースがある(
図14、
図15)。このような時々断では、一般的に故障箇所の特定が困難であり、結果として故障発生から故障回復までに要する時間が長くなるという問題点がある。
【0009】
以上により、光ファイバ接続を行う際は、光ファイバの端面間に大きな隙間が発生しないように接続することが重要である。しかしながら、現状では、光ファイバの端面間に大きな隙間が発生しても、上記で述べたように整合材が大きな隙間を充たすことで、接続特性は著しく劣化せず、接続損失の測定等では大きな隙間の発生を判断することはできない。
【0010】
また、もし大きな隙間の有無を確認する場合、大掛かりな測定器が必要であり、メカニカルスプライス等の光ファイバ接続部材が通常使用される屋外環境下では、接続当初に光ファイバの端面間に発生した大きな隙間の有無を確認することは非常に困難である。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、接続すべき光ファイバの端面間において、大きな隙間がある場合には必ず接続性能が劣化し、一定以下の隙間となった場合に接続性能が良好な状態となることで、接続当初に光ファイバの端面間に大きな隙間が発生したかどうかを判断することができ、これにより、未然に大きな隙間の発生を防止することが可能な光ファイバ接続部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、溝を有する基板と、前記溝に配置された2つの光ファイバの先端を内包する透光部材とを備え、一方の前記光ファイバの中心軸の延長線と透光部材の界面との交点において、当該透光部材の法線と当該コアの中心軸とのなす角度が0度より大き
い光ファイバ接続部材
であって、前記光ファイバ接続部材での接続損失は、前記光ファイバが後退するにしたがって増加し、前記先端が前記透光部材に内包されているときの増加率よりも前記先端が前記透光部材から離れるときの増加率の方が大きいことを特徴とする。
【0013】
例えば、前記透光部材は、弾力性を有する固体である。
【0014】
例えば、前記基板は、前記透光部材が配置される溝を有する。
【0015】
例えば、前記透光部材は、当該透光部材が配置される溝に当該透光部材を配置する際に把持される把持部と一体に構成されている。
【0016】
例えば、前記透光部材は、前記透光部材の原料を前記透光部材が配置される溝に塗布し、当該原料を硬化させたものである。
【0017】
例えば、前記透光部材は、対向する2つの前記光ファイバの中心軸と、当該各中心軸に交差する2つの界面を有する透光部材であり、一方の前記光ファイバの中心軸と前記透光部材の界面に対する法線とのなす角度と、他方の前記光ファイバの中心軸と前記透光部材の界面に対する法線とのなす角度とが相違する。
【0018】
例えば、前記光ファイバは空孔ファイバである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光ファイバ接続部材によれば、対向する光ファイバの中心軸(光軸)の延長線と、光ファイバの中間に配置された透光部材の界面(境界面)との交点において、透光部材の法線とコアの中心軸とのなす角度が0度より大きいので、光ファイバの端面間に大きな隙間がある場合は、必ず接続特性が悪化し、これにより、大きな隙間が発生していることがわかり、再度接続をやり直すことで接続当初に大きな隙間の発生を防止することが可能となる。また、弾力性を持ち、形状を維持し続ける透光部材を用いるので、光ファイバ接続が良好な場合は、その状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態に係る光ファイバ接続部材の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】光ファイバ接続部材による光ファイバ接続の第1段階を示す図である。
【
図3】光ファイバ接続部材による光ファイバ接続の第2段階を示す図である。
【
図4】光ファイバ接続部材による光ファイバ接続の第3段階を示す図である。
【
図5】光ファイバが接続された状態の光ファイバ接続部材を示す斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、
図4の状態における光ファイバA、Bと透光部材4を示す平面図であり、良好な状態の図である。
図6(b)は、良好でない状態の光ファイバA、Bと透光部材4を示す平面図である。
【
図7】
図6(b)に示す状態における角度θと接続損失の関係を示す図である。
【
図8】光ファイバA、Bの端面間の距離lと接続損失の関係を示す図である。
【
図9】変形例1に係る透光部材4の形状を示す図である。
【
図10】
図10(a)は、変形例1に係る光ファイバA、Bと透光部材4を示す平面図である。
図10(b)は、光ファイバBの先端が
図10(a)に示した透光部材4に内包され、かつ、光ファイバAと透光部材4の間に隙間Sがある状態を示す平面図である。
図10(c)は、光ファイバAの先端が
図10(a)に示した透光部材4に内包され、かつ、光ファイバBと透光部材4の間に隙間Sがある状態を示す平面図である。
【
図11】変形例3に係る光ファイバ接続の形態を示す斜視図である。
【
図12】従来の光ファイバ接続部材により接続された光ファイバの端面間を示す図である。
【
図13】従来の光ファイバ接続部材により光ファイバが接続される様子を示す部分的な斜視図である。
【
図14】温度サイクル試験時の光ファイバの端面間に間隙がある温度変化と接続損失の関係を示す図である。
【
図15】温度サイクル試験時の光ファイバの端面間に間隙がある温度変化と反射減衰量の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る光ファイバ接続部材の概略構成を示す斜視図である。
【0023】
本実施の形態に係る光ファイバ接続部材(以下、単に光ファイバ接続部材という)は、例えば、メカニカルスプライスのように、2つの光ファイバ(ここでは、光ファイバA、Bという)を光学的に接続する部材であり、基板1、2と、合わせた状態の基板1、2を挟んで固定する固定部材3と、
図1では省略するが、透光部材4とを備える。
【0024】
基板1、2における光ファイバの長手方向の長さLは、例えば、約4cmである。基板1、2における光ファイバの長手方向に垂直な幅Wは、例えば、約4mmである。基板1、2における光ファイバの長手方向に垂直な高さH1、H2は、例えば、約2mmである。
【0025】
図2は、光ファイバ接続部材による光ファイバ接続の第1段階を示す図であり、
図1の光ファイバ接続箇所Cを分解して示す斜視図である。
【0026】
基板1は、断面がV字型の溝Vと、溝Vに交差する溝Gとを有する。
【0027】
溝Gは、溝Vに対して直行しておらず、傾いて交差している。
【0028】
溝Gは、透光部材4に合わせた形状を有しており、透光部材4は溝Gに配置される。よって、容易に透光部材4を所定の位置に配置することができる。また、溝Gの寸法は透光部材4より若干大きい程度であり、ほぼ同じである。よって、光ファイバ接続部材内で透光部材4の移動を防止することができる。
【0029】
透光部材4は、光ファイバと同等の屈折率で光を透過させる性質を有しているが、従来の整合材のように流動性を有するものではなく、通常は、同一の形状を維持する。
【0030】
さらに詳しくは、透光部材4は、アクリル系やシリコン系の樹脂で作られたものであり、弾力性を有する。アクリル系やシリコン系の樹脂で作られた透光部材4は、一般には、長時間が経過しても形状を変えず、また、気泡を含まないように作ることができる。
【0031】
透光部材4の溝Vに交差する部分の幅4Wは、例えば、約115μmであり、透光部材4における溝Gの深さ方向の高さ4Hは、例えば、約500μmである。溝Gの深さは、例えば、透光部材4の高さ4Hより若干浅い。
【0032】
透光部材4は、透光部材4を溝Gに配置する際に把持される把持部41と一体に構成される。把持部41は、例えば、円形状であり、その直径41Dは、例えば、約1.44mmである。透光部材4が把持部41を有するので、溝Gの一部は、把持部41に合わせた形状を有している。
【0033】
透光部材4は把持部41を有するので、ピンセットなどで把持部41を把持することで、溝Gに対し透光部材4を容易に配置することができる。
【0034】
例えば、作業者は、そのようにして、透光部材4を溝Gに配置し、基板1、2を突き合わせる。
【0035】
図3は、光ファイバ接続部材による光ファイバ接続の第2段階を示す図であり、
図1の光ファイバ接続箇所Cを示す斜視図である。
【0036】
溝Gの深さは、透光部材4の高さより若干浅いので、透光部材4の上部が溝Gから突出している。
【0037】
光ファイバAは、作業者により、溝Vに挿入され、透光部材4へ一方の側から進んでくる。一方、光ファイバBも、作業者により、溝Vに挿入され、透光部材4へ他方の側から進んでくる。光ファイバA、Bの各コアの中心軸(光軸)は互いに一致している。
【0038】
図4は、光ファイバ接続部材による光ファイバ接続の第3段階を示す図であり、
図1の光ファイバ接続箇所Cを示す斜視図である。
【0039】
溝Vを透光部材4へ進んできた光ファイバA、Bの先端は、透光部材4に進入し、これにより、透光部材4が、光ファイバA、Bの先端(端面)を内包することとなる。
【0040】
光ファイバA、Bが接続されたことは、例えば、
図5に示すように光ファイバA、Bが撓むことで確認することができる。
【0041】
その後、
図1に示すように、作業者は、固定部材3で基板1、2を挟み込み、基板1、2の位置が固定される。また、基板1、2により、光ファイバA、Bは、移動しないように位置を固定される。
【0042】
図6(a)は、
図4の状態における光ファイバA、Bと透光部材4を示す平面図である。
【0043】
透光部材4は、コアACの中心軸の延長線と、透光部材4の界面4Sとの交点AIにおいて、透光部材4の法線4HとコアACの中心軸とのなす角度θが0度より大きくなるように配置されている。つまり、コアACに対し、透光部材4は斜めに配置される。光ファイバBについても同様である。
【0044】
かかる配置は、透光部材4が溝Gに配置されることで、安定的に維持することができる。
【0045】
光ファイバA、Bの先端は、透光部材4に進入し、透光部材4に内包されている。
【0046】
よって、光ファイバAと透光部材4の接触面A1は、すなわち、光ファイバAの端面であるから、光ファイバAのコアACに対してほぼ垂直である。光ファイバBについても同様である。
【0047】
コアACを進行してきた光Kは、接触面A1で進行方向を変えず、光ファイバBのコアに十分に入射する。つまり、同図は、良好な状態の図である。この良好な接続状態の中で、光ファイバの端面間が1μm以下の極わずかな隙間になった時の接続損失は波長1.31μmで、0.3dB以下になる。
【0048】
図6(b)は、良好でない状態の光ファイバA、Bと透光部材4を示す平面図である。
【0049】
光ファイバAの先端は透光部材4に内包されておらず、その間には間隙Sができている。光ファイバBについても同様である。
【0050】
前述のように、角度θは0度より大きいので、透光部材4の界面4S(AIを含む)は、コアACの延長方向、つまり、光Kの進行方向に対して傾いている。これにより、光Kは、透光部材4に入射する際、AI(入射位置)で進行方向を変える。その結果、光Kは、例えば、光ファイバBのコアBCに十分に入射せず、接続損失が増加する。
【0051】
つまり、本実施の形態では、図らずも間隙Sができてしまった場合においては、接続損失が大きく、つまり,接続時にこのような良好でない接続状態を判断することが可能になる。
【0052】
図7は、
図6(b)に示す状態における角度θと接続損失の関係を示す図である。この図から、角度θが大きくなると、接続損失も大きくなることが分る。よって、
図6(b)に示す状態の接続損失を意図的に大きくしたい場合は、角度θを大きく設計すればよく、接続損失の値は角度θを制御することで、変化させることができる。例えば、
図6(b)に示す、コアACの中心軸延長線上の透光部材4の厚さdが120μmの場合、角度θが15.1度なら、接続損失は20dB程度である。よって、角度θを16.0度に設定した場合、20dB以上の接続損失を測定したならば、逆に、
図6(b)に示す状態が発生していると判断すればよい。
【0053】
なお、接続損失は、厚さd、角度θに伴い変化するので、
図6(b)に示す状態が発生している場合は、厚さdと角度θに応じた接続損失が発生する。その場合には、
図6(b)に示す状態が発生していると判断すればよい。
【0054】
図8は、光ファイバA、Bの端面間の距離lと接続損失の関係を示す図である。
【0055】
距離lが短く、つまり、光ファイバA、Bの先端が、双方とも透光部材4に進入して内包されている場合は、接続損失は小さい。光ファイバAのコアを進行してきた光は、進行方向を変えず、光ファイバBのコアに十分に入射する。
【0056】
例えば、光ファイバA、Bの先端が、双方とも透光部材4に完全には進入しておらず、距離lが光ファイバA、Bの中心軸上にある透光部材4の厚さdと同一であった場合、そのような距離lを境に、接続損失は急激に増加する。光ファイバAのコアを進行してきた光は、進行方向を変えはじめる。
【0057】
そして、例えば、光ファイバAが、透光部材4に全く進入しておらず、光ファイバA、Bの端面間に大きな間隙ができている場合には、距離lはさらに長く、透光部材4の厚さdより長くなる。そのような距離lでは、接続損失は更に大きい。図示しないが、光ファイバAのコアを進行してきた光は、進行方向を変え、これにより、光ファイバBのコアには十分な光が入射しない。
【0058】
当該光ファイバ接続部材において、良好な接続状態と良好でない接続状態の各々で発生する接続損失を次のように設定することで、光ファイバの接続状態の良否を判断することができる。つまり、良好な接続状態で発生する接続損失は予め設定した閾値(例えば、2dB)以下とし、かつ、良好でない接続状態で発生する接続損失は、伝送装置間の許容損失を光線路損失が大きく超過するような値以上(例えば、20dB以上)とする。
【0059】
また、光ファイバA、Bの接続点での光の反射減衰量は、規定された反射減衰量の閾値以上である必要がある。反射減衰量とは、光ファイバの接続点での光の反射量の多さを示す指標である。現在使用されているメカニカルスプライスや現場組立光コネクタ、工場作製の光コネクタの反射減衰量は40dB以上であることが規定されている。
【0060】
図示しないが、光ファイバ同士の接続が良好な場合には、反射減衰量は40dB以上と極めて大きく、光ファイバ同士の接続が良好でない場合には、反射減衰量は14.7dB程度(空気のフレネル反射)であることが判っている。
【0061】
よって、反射減衰量とその閾値との比較によっても、光ファイバの接続状態の良否を判定することができ、その判定も、接続損失の場合と同様の閾値設定により行うことができる。
【0062】
(変形例1)
透光部材4の形状としては、本実施の形態の透光部材4のような形状の他に、例えば、
図9の(a)〜(f)に示すように、平行四辺形(台形でもよい)、三角形(直角三角形や二等辺三角形)、円形、半円形、楕円形であってもよい。
【0063】
図9の角度θは、
図6の角度θに相当するものであり、角度θが0度より大きくなるように透光部材4を配置すれば、同様の効果が期待できる。
【0064】
また、例えば、
図10(a)に示すように、コアACの中心軸と透光部材4の法線4HAとのなす角θAと、コアBCの中心軸と透光部材4の法線4HBとのなす角θBは0度以上の角度であるが、必ずしも同一の角度でなくてもよい。
【0065】
図10(a)に示すように、角度θAが0度に近く、角度θBが角度θAに比べ極めて大きい(90度以下)形状を考えると、光ファイバBが透光部材4に内包され、かつ、光ファイバAと透光部材4の間に隙間Sが発生している場合(
図10(b))と、光ファイバAが透光部材4に内包され、かつ、光ファイバBと透光部材4の間に隙間Sが発生している場合(
図10(c))とでは、発生する接続損失が異なる。
【0066】
これにより、例えば、光ファイバAから光ファイバBの方向に接続損失を測定した場合、
図10(b)の状態で測定される接続損失は、
図10(c)の状態で測定される接続損失よりも小さくなる。よって、光ファイバの接続箇所が確認できない場合でも、接続損失を測定することで、その値の大小から光ファイバの接続状態を予測することもできる。
【0067】
なお、透光部材4が配置される溝Gについては、こうした透光部材4の形状に合わせたものとすればよい。また、図示しないが、これらの形状を有する透光部材4についても、把持部41と一体に構成すれば、作業性を高めることができる。
【0068】
(変形例2)
また、予め一定の形状を有する透光部材4を溝Gに配置するのでなく、透光部材4の原料(例えば、オイル状である樹脂の原料)を溝Gに塗布し、紫外線照射による硬化、高温化による硬化、湿度による硬化、化学変化による硬化などの処理を行い、こうして、溝Gにおいて透光部材4を形成してもよい。この場合、透光部材4を把持する必要がないので、把持部41は不要であり、溝Gもそのような形状とすればよい。
【0069】
変形例2によれば、例えば、光ファイバ接続部材を大量に製造するにあたり、各透光部材4を置いておく場所を用意する必要がなく、好適である。
【0070】
また、原料は、例えばオイル状であるから、透光部材4を溝Gに密着させることが容易であり、この点でも好適である。
【0071】
(変形例3)
光ファイバ接続を行う形態として、例えば、メカニカルスプライス機構を有した現場組立型コネクタのように、一方の光ファイバ(例えば、光ファイバA)が、内蔵ファイバとして予めコネクタ内部のメカニカルスプライス機構内に
図11のように配置され、先端が透光部材4に内包されている。この状態で、他方の光ファイバ(例えば、光ファイバB)のみが作業者によりV字型の溝に挿入され、その結果、
図4のように配置される形態もあり得る。
【0072】
(変形例4)
当該光ファイバ接続部材で接続する対象の光ファイバは、現在使用されているシングルモードファイバや多モードファイバなどの石英系光ファイバだけでなく、フォトニック結晶ファイバやホーリーファイバなどの空孔ファイバやプラスチックファイバにも利用できる。
【0073】
特に、空孔ファイバの場合、従来のオイル状の整合材を空孔ファイバの接続部に用いると、整合材が当該ファイバ中の空孔にしみこんで、接続や伝送性能を劣化させる問題があった。弾力性を有する固体である透光部材を用いれば、上記の問題も解決できるため、より効果的である。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態の光ファイバ接続部材によれば、
図6(a)に示したように、コア(AC)の中心軸の延長線と、透光部材4の界面(4S)との交点(AI)において、透光部材4の法線(4H)とコア(AC)の中心軸とのなす角度(θ)が0度より大きいので、光ファイバ(A、B)の先端が透光部材4に内包された場合、つまり端面間の隙間が一定以下の場合には良好な接続特性が得られ、その良好な接続特性が継続し、一方、
図6(b)に示したように、光ファイバ(A、B)の先端が透光部材4に内包されない場合、つまり光ファイバ(A、B)の端面間に大きな隙間がある場合には、接続特性は必ず悪化するので、そのような接続状態は、接続損失等を測定すれば容易に判断することができる。
【0075】
また、透光部材4は、例示したように、例えば、アクリル系やシリコン系の樹脂であるので、長時間が経過しても形状を変えず、また、気泡を含まないように作ることができ、好適である。
【0076】
また、基板1は、透光部材4が配置される溝を有するので、透光部材4を所定の位置に容易に配置でき、また、透光部材4の移動を防止することができる。
【0077】
また、透光部材4は、透光部材4を溝Gに配置する際に把持される把持部41と一体に構成されているので、溝Gに対し透光部材4を容易に配置することができる。なお、把持部41を設けなくても、透光部材4を配置できるのであれば、把持部41は勿論必要ではない。
【0078】
また、透光部材4の原料を、透光部材4が配置される溝に塗布し、原料を硬化させることで、例えば、光ファイバ接続部材を大量に製造するにあたり、各透光部材4を置いておく場所を用意する必要がなく、好適である。また、原料は、例えばオイル状であるから、透光部材4を溝Gに密着させることが容易であり、好適である。