特許第5763574号(P5763574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763574
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】照明の点灯パターン設定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   H05B37/02 D
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-62034(P2012-62034)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-196886(P2013-196886A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 将芳
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 功介
(72)【発明者】
【氏名】南田 宗佑
(72)【発明者】
【氏名】金子 洋介
(72)【発明者】
【氏名】竹中 友哉
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−504283(JP,A)
【文献】 特開2010−123532(JP,A)
【文献】 特開2010−049445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋と照明の情報を入力する入力部と、
前記入力部に入力された情報と、仮に設定された照明の点灯または消灯からなる点灯パターンとに基づく前記部屋の領域の照度が、予め設定された条件を満たす照度に対応するように、前記点灯パターンを選択する点灯パターン選択部と、
前記点灯パターン選択部で選択された前記点灯パターンを表示する表示部と、
を備え
前記点灯パターン選択部は、
前記仮に設定された点灯パターンを設定する仮点灯パターン設定部と、
前記入力部からの情報と前記仮に設定された点灯パターンとに基づいて、前記部屋の各領域の照度を算出する照度算出部と、
前記照度算出部により算出された各領域の照度の中から予め設定された条件を満たす照度と、この条件を満たす照度の領域に対応した照明とを抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された照明の状態を変更し、この変更した状態を前記仮点灯パターン設定部に反映させる状態変更反映部と、
を有し、
前記仮点灯パターン設定部の各点灯パターンと前記照度算出部の各領域の照度とをそれぞれ対応させて、前記点灯パターンを選択する、
とを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項2】
請求項に記載の点灯パターン設定装置において、
前記仮点灯パターン設定部は、全ての照明が点灯している状態を初期の点灯パターンとして設定し、
前記抽出部における前記予め設定された条件は、最も高い照度であり、
前記状態変更反映部は、前記抽出部により抽出された照明の状態を消灯へ変更し、この消灯状態を反映させ、前記仮点灯パターン設定部における仮の点灯パターンが、1つの照明のみが点灯している状態になるまで、変更する状態を反映し、
前記表示部は、前記初期の点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき照度である目標照度を満たす点灯パターンまでを、前記状態変更反映部により反映された順番に並べて表示する、
ことを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項3】
請求項に記載の点灯パターン設定装置において、
前記仮点灯パターン設定部は、任意の1つの照明のみが点灯している状態を初期の点灯パターンとして設定し、
前記抽出部における前記予め設定された条件は、最も低い照度であり、
前記状態変更反映部は、前記抽出部により抽出された照明の状態を点灯へ変更し、この点灯状態を反映させる、
ことを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項4】
請求項に記載の点灯パターン設定装置において、
前記状態変更反映部は、前記仮点灯パターン設定部における仮の点灯パターンが、全ての照明が点灯している状態になるまで、変更する状態を反映し、
前記表示部は、最後の点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき照度である目標照度を満たす点灯パターンまでを、前記状態変更反映部により反映された順番とは逆に並べて表示する、
ことを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項5】
請求項またはに記載の点灯パターン設定装置において、
前記点灯パターン選択部は、前記仮点灯パターン設定部の各パターンにおける消費電力をそれぞれ算出し、
前記表示部は、点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき消費電力である目標消費電力を満たす点灯パターンまでを並べて表示する、
ことを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項6】
請求項に記載の点灯パターン設定装置において、
目標消費電力を満たす点灯パターンになるように照明を制御する、
ことを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1つに記載の点灯パターン設定装置において、
前記表示部は、各点灯パターンを前記部屋のレイアウトにそれぞれ対応させて表示する、
ことを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項8】
請求項に記載の点灯パターン設定装置において、
前記表示部は、部屋のレイアウトに最低照度とその領域を表示する、
ことを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1つに記載の点灯パターン設定装置において、
前記部屋の情報は、部屋の大きさとその部屋における照明の配置とに関する情報を含み、
前記照明の情報は、照明の配光に関する情報を含む、
ことを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項10】
部屋と照明の情報を入力する入力ステップと、
前記入力ステップで入力された情報と、仮に設定された照明の点灯または消灯からなる点灯パターンとに基づく前記部屋の領域の照度が、予め設定された条件を満たす照度に対応するように、前記点灯パターンを選択する点灯パターン選択ステップと、
前記点灯パターン選択ステップで選択された点灯パターンを表示する表示ステップと、
を有し、
前記点灯パターン選択ステップは、
前記仮に設定された点灯パターンを設定する仮点灯パターン設定ステップと、
前記入力ステップからの情報と前記仮に設定された点灯パターンとに基づいて、前記部屋の各領域の照度を算出する照度算出ステップと、
前記照度算出ステップにより算出された各領域の照度の中から予め設定された条件を満たす照度と、この条件を満たす照度の領域に対応した照明とを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された照明の状態を変更し、この変更した状態を前記仮点灯パターンに反映させる状態変更反映ステップと、
を有し、
前記仮点灯パターン設定ステップの各点灯パターンと前記照度算出ステップの各照度とをそれぞれ対応させて、前記点灯パターンを選択する、
とを特徴とする点灯パターン設定方法。
【請求項11】
請求項10に記載の点灯パターン設定方法において、
前記仮点灯パターン設定ステップは、全ての照明が点灯している状態を初期の点灯パターンとして設定し、
前記抽出ステップにおける前記予め設定された条件は、最も高い照度であり、
前記状態変更反映ステップは、前記抽出ステップにより抽出された照明の状態を消灯へ変更し、この消灯状態を反映させ、前記仮点灯パターン設定ステップにおける仮の点灯パターンが、1つの照明のみが点灯している状態になるまで、変更する状態を反映し、
前記表示ステップは、前記初期の点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき照度である目標照度を満たす点灯パターンまでを、前記状態変更反映ステップにより反映された順番に並べて表示する、
ことを特徴とする点灯パターン設定方法。
【請求項12】
請求項10に記載の点灯パターン設定方法において、
前記仮点灯パターン設定ステップは、任意の1つの照明のみが点灯している状態を初期の点灯パターンとして設定し、
前記抽出ステップにおける前記予め設定された条件は、最も低い照度であり、
前記状態変更反映ステップは、前記抽出ステップにより抽出された照明の状態を点灯へ変更し、この点灯状態を反映させる、
ことを特徴とする点灯パターン設定方法。
【請求項13】
請求項12に記載の点灯パターン設定方法において、
前記状態変更反映ステップは、前記仮点灯パターン設定ステップにおける仮の点灯パターンが、全ての照明が点灯している状態になるまで、変更する状態を反映し、
前記表示ステップは、最後の点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき照度である目標照度を満たす点灯パターンまでを、前記状態変更反映ステップにより反映された順番とは逆に並べて表示する、
ことを特徴とする点灯パターン設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋に配置された複数の照明の点灯パターンを設定する照明点灯パターン設定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギ及び節電対策などによって、複数の照明が配置されている部屋の照度又は照明の消費電力を下げる場合、一般的に、その対策を行う実施者が経験と感覚を頼りに照明を間引いていた。
【0003】
照明を間引く手順は、次のようなものである。すなわち、実施者により、間引く照明が任意に決定され、その照明が間引かれる。そして、実施者により室内の照度又は消費電力が計測され、その計測値が、目標とすべき値を満たすか否かが確認される。計測値が、目標値に届かない場合、さらに実施者により任意の照明が間引かれる。そして、部屋の照度が目標とすべき照度になった時点で、照明の間引きが終了する。または、部屋の消費電力が目標とすべき消費電力になった時点で、照明の間引きが終了する。
【0004】
下記特許文献1には、部屋に設けられた複数の照明の光度を制御して、任意の位置の照度を所望の照度にする照明制御システムが記載されている。この照明制御システムでは、任意の位置で検出される照度が、その位置の目標とすべき照度になるように、複数の照明のそれぞれの光度を変更制御により増加または減少させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−56668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のような照明を間引く手順では、実施者が照明の間引きと照度又は消費電力の計測とを交互に行う必要があり、時間と手間がかかってしまうという問題があった。また、実施者の経験や感覚を頼りに間引かれる照明が決定されるので、間引き後の最終的な照明の点灯パターンによる部屋の照度に大きなムラが生じてしまうという問題があった。つまり、目標とすべき照度または消費電力を満たしているものの、部屋のある位置と他の位置とでは、照度の値に大きな差が生じてしまうという問題があった。照度のムラが大きいと、その部屋を利用する利用者からの苦情が寄せられ、間引いた照明を取り付けるなどの作業が生じてしまう。
【0007】
上記特許文献1に記載の照明制御システムのように、検出された照度に基づいて、変更制御により照明の光度を変更し、目標とすべき照度に設定する方法も考えられる。しかしながら、例えば照明に調光機能がない場合、照明の変更制御を行うためには、各照明に調光機能を有する調光器がそれぞれ配置されていなければならず、調光器の取り付け工事に大幅なコストがかかってしまう。
【0008】
本発明の目的は、複数の照明が配置された部屋において、少なくとも、その部屋の目標とすべき照度に対応する最適な照明の点灯パターンを容易に設定することができる照明の点灯パターン設定装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、部屋と照明の情報を入力する入力部と、前記入力部に入力された情報と、仮に設定された照明の点灯または消灯からなる点灯パターンとに基づく前記部屋の領域の照度が、予め設定された条件を満たす照度に対応するように、前記点灯パターンを選択する点灯パターン選択部と、前記点灯パターン選択部で選択された前記点灯パターンを表示する表示部と、を備え、前記点灯パターン選択部は、前記仮に設定された点灯パターンを設定する仮点灯パターン設定部と、前記入力部からの情報と前記仮に設定された点灯パターンとに基づいて、前記部屋の各領域の照度を算出する照度算出部と、前記照度算出部により算出された各領域の照度の中から予め設定された条件を満たす照度と、この条件を満たす照度の領域に対応した照明とを抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された照明の状態を変更し、この変更した状態を前記仮点灯パターン設定部に反映させる状態変更反映部と、を有し、前記仮点灯パターン設定部の各点灯パターンと前記照度算出部の各領域の照度とをそれぞれ対応させて、前記点灯パターンを選択することを特徴とする。
【0011】
また、前記仮点灯パターン設定部は、全ての照明が点灯している状態を初期の点灯パターンとして設定し、前記抽出部における前記予め設定された条件は、最も高い照度であり、前記状態変更反映部は、前記抽出部により抽出された照明の状態を消灯へ変更し、この消灯状態を反映させ、前記仮点灯パターン設定部における仮の点灯パターンが、1つの照明のみが点灯している状態になるまで、変更する状態を反映し、前記表示部は、前記初期の点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき照度である目標照度を満たす点灯パターンまでを、前記状態変更反映部により反映された順番に並べて表示することができる。
【0012】
また、前記仮点灯パターン設定部は、任意の1つの照明のみが点灯している状態を初期の点灯パターンとして設定し、前記抽出部における前記予め設定された条件は、最も低い照度であり、前記状態変更反映部は、前記抽出部により抽出された照明の状態を点灯へ変更し、この点灯状態を反映させることができる。
【0013】
また、前記状態変更反映部は、前記仮点灯パターン設定部における仮の点灯パターンが、全ての照明が点灯している状態になるまで、変更する状態を反映し、前記表示部は、最後の点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき照度である目標照度を満たす点灯パターンまでを、前記状態変更反映部により反映された順番とは逆に並べて表示することができる。
【0014】
また、前記点灯パターン選択部は、前記仮点灯パターン設定部の各パターンにおける消費電力をそれぞれ算出し、前記表示部は、点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき消費電力である目標消費電力を満たす点灯パターンまでを並べて表示することができる。
【0015】
また、目標消費電力を満たす点灯パターンになるように照明を制御することができる。
【0016】
また、前記表示部は、各点灯パターンを前記部屋のレイアウトにそれぞれ対応させて表示することができる。
【0017】
また、前記表示部は、部屋のレイアウトに最低照度とその領域を表示することができる。
【0018】
また、前記部屋の情報は、部屋の大きさとその部屋における照明の配置とに関する情報を含み、前記照明の情報は、照明の配光に関する情報を含むことができる。
【0019】
また、もう1つの発明は、部屋と照明の情報を入力する入力ステップと、前記入力ステップで入力された情報と、仮に設定された照明の点灯または消灯からなる点灯パターンとに基づく前記部屋の領域の照度が、予め設定された条件を満たす照度に対応するように、前記点灯パターンを選択する点灯パターン選択ステップと、前記点灯パターン選択ステップで選択された点灯パターンを表示する表示ステップと、を有し、前記点灯パターン選択ステップは、前記仮に設定された点灯パターンを設定する仮点灯パターン設定ステップと、前記入力ステップからの情報と前記仮に設定された点灯パターンとに基づいて、前記部屋の各領域の照度を算出する照度算出ステップと、前記照度算出ステップにより算出された各領域の照度の中から予め設定された条件を満たす照度と、この条件を満たす照度の領域に対応した照明とを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された照明の状態を変更し、この変更した状態を前記仮点灯パターンに反映させる状態変更反映ステップと、を有し、前記仮点灯パターン設定ステップの各点灯パターンと前記照度算出ステップの各照度とをそれぞれ対応させて、前記点灯パターンを選択することを特徴とする。
【0021】
また、前記仮点灯パターン設定ステップは、全ての照明が点灯している状態を初期の点灯パターンとして設定し、前記抽出ステップにおける前記予め設定された条件は、最も高い照度であり、前記状態変更反映ステップは、前記抽出ステップにより抽出された照明の状態を消灯へ変更し、この消灯状態を反映させ、前記仮点灯パターン設定ステップにおける仮の点灯パターンが、1つの照明のみが点灯している状態になるまで、変更する状態を反映し、前記表示ステップは、前記初期の点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき照度である目標照度を満たす点灯パターンまでを、前記状態変更反映ステップにより反映された順番に並べて表示することができる。
【0022】
また、前記仮点灯パターン設定ステップは、任意の1つの照明のみが点灯している状態を初期の点灯パターンとして設定し、前記抽出ステップにおける前記予め設定された条件は、最も低い照度であり、前記状態変更反映ステップは、前記抽出ステップにより抽出された照明の状態を点灯へ変更し、この点灯状態を反映させることができる。
【0023】
また、前記状態変更反映ステップは、前記仮点灯パターン設定ステップにおける仮の点灯パターンが、全ての照明が点灯している状態になるまで、変更する状態を反映し、前記表示ステップは、最後の点灯パターンである全ての照明が点灯している状態から、目標とすべき照度である目標照度を満たす点灯パターンまでを、前記状態変更反映ステップにより反映された順番とは逆に並べて表示することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の照明の点灯パターン設定装置及び方法によれば、複数の照明が配置された部屋において、少なくとも、その部屋の目標とすべき照度に対応する最適な照明の点灯パターンを容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る点灯パターン設定装置の構成を示す図である。
図2】部屋と照明のレイアウトの一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る点灯パターン設定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4図3の動作時における仮の点灯パターンを示す図である。
図5】別の態様の点灯パターン設定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6図5の動作時における仮の点灯パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る点灯パターン設定装置の実施形態について、図1,2を用いて説明する。一例として、1つの部屋を挙げ、この部屋の照明の点灯パターンを設定する点灯パターン設定装置について説明する。なお、本発明は、この態様に限らず、建物にある複数の部屋を対象にすることができる。
【0027】
図1は、本実施形態に係る点灯パターン設定装置10の構成を示す図であり、図2は、部屋12と照明14のレイアウトの一例を示す図である。
【0028】
点灯パターン設定装置10は、省エネルギ及び節電対策時に、対象となる部屋12に配置された、複数の照明14の点灯パターンを設定する装置である。この点灯パターン設定装置10は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
【0029】
部屋12とは、利用者が利用する居室であり、例えばオフィスビルなどの建物の執務スペースや会議室のことである。照明14は、部屋12の天井に16個設置される。本実施形態の照明14には、調光機能が備えられていない。よって、照明14に接続されるスイッチ(図示せず)が、例えば部屋12の壁面に設置され、複数台の照明を点灯及び消灯(ON/OFF)を行う。なお、本発明は照明12の数16個に限定されず、その他の複数個とすることができる。なお、本実施形態においては、照明14には、調光機能が備えられていない場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、後述する点灯パターン設定時に調光機能を使用しなければ、調光機能が備わった照明にも適用することができる。
【0030】
点灯パターン設定装置10は、情報を入力する入力部16と、入力部16の情報に基づいて照明14の点灯パターンを選択する点灯パターン選択部18と、点灯パターン選択部18で選択された点灯パターンを表示する表示部20と、各種情報を記憶する記憶部22とを有する。
【0031】
入力部16は、マウスやキーボードなどの入力インターフェイスである。これを用いて、各種情報が点灯パターン設定装置10内に入力される。入力部16から入力される情報は、部屋12の情報と、照明14の情報と、目標とすべき照度と、目標とすべき消費電力とを含む。部屋12の情報は、この部屋12の大きさ(縦・横・高さ)と、照明14の配置(本数と配置間隔を含む)と、内装の色とを含む。照明14の情報は、照明の配光に関する情報、すなわち照明の種別及び各種別に対応する光度特性の情報と、汚れや劣化具合に基づく保守率とを含む。照明の種別には、埋込み形下面開放、埋込み形ルーバー付、グリット天井、直付け形逆富士、直付け形下面開放などがある。そして、目標とすべき照度は、省エネルギ及び節電対策を行う時に、その部屋12において目標とされ、許容される最低限の照度である。また、目標とすべき消費電力は、省エネルギ及び節電対策を行う時に、その部屋12において目標とされる照明14の消費電力であり、削減量とすることもできる。これらの情報は、記憶部22に記憶される。
【0032】
点灯パターン選択部18は、仮点灯パターン設定部24と照度算出部26と抽出部28と状態変更反映部30とを有し、これらの構成要素により複数設定された仮の点灯パターンと、各照度とをそれぞれ対応させて、照明14の点灯パターンを選択する。つまり、点灯パターン選択部18は、適切な照明14の点灯パターンをシミュレーションで選択し、その選択結果を表示部20に出力する。
【0033】
仮点灯パターン設定部24は、仮の点灯パターンを設定する。仮の点灯パターンとは、点灯パターン選択部18内における演算で設定される複数の点灯パターンである。本実施形態においては、仮点灯パターン設定部24においては、全ての照明14が点灯している状態が初期の点灯パターンとして設定されている。
【0034】
また、仮点灯パターン設定部24は、後述する状態変更反映部30からの反映により、仮の点灯パターンが、1つの照明14のみが点灯している状態になるまで、設定作業を行う。また、仮点灯パターン設定部24で設定された各点灯パターンは、それぞれ、記憶部22に記憶される。
【0035】
照度算出部26は、入力部16からの情報と仮点灯パターン設定部24で設定される仮の点灯パターンとに基づいて、部屋12の照度を算出する。具体的には、図2に示されるように、照度算出部26は、室内を破線でメッシュ状に16箇所区切り、この区切られた領域の照度をそれぞれ算出する。各領域の照度は、上述の部屋と照明の情報に基づいて逐点法という周知の算出法により算出することができる。本実施形態においては、部屋12の区切りの領域が16箇所である場合について説明したが、本発明はこの数に限定されず、区切りの領域の数が16箇所より大きくても小さくてもよい。また、本実施形態では、上記領域が照明14の配置に対応するように設定されているが、本発明はこの構成に限定されず、照明14の配置と上記領域とが対応していなくてもよい。
【0036】
照度算出部26は、仮点灯パターン設定部における仮の点灯パターンが、1つの照明14のみが点灯している状態になるまで、算出作業を行う。そして、照度算出部26における各算出結果は、それぞれ、記憶部22に記憶される。
【0037】
抽出部28は、照度算出部26により算出された各領域の照度の中から予め設定された条件を満たす照度を抽出する。本実施形態における予め設定された条件は、最も高い照度である。よって、抽出部28は、算出された各照度の中から最も高い照度を抽出する。さらに、抽出部28は、抽出された照度の領域に最も近くに位置する照明14を1つ抽出する。最も高い照度が複数の領域である場合、それぞれに対応する照明14を抽出し、以後の演算を分けることもできる。
【0038】
また、抽出部28は、仮点灯パターン設定部24における仮の点灯パターンが、1つの照明14のみが点灯している状態になるまで、抽出作業を行う。そして、抽出部28における各抽出結果は、それぞれ、記憶部22に記憶される。
【0039】
状態変更反映部30は、抽出部28により抽出された照明14の状態を変更し、この変更した状態を仮点灯パターン設定部24に反映させる。本実施形態の状態変更反映部30は、抽出部28により抽出された照明14の状態を点灯から消灯へと変更し、この消灯状態を仮点灯パターン設定部24に反映させる。このように、最も高い照度の領域に最も影響を与える照明14を消灯させることで、室内のムラが大きくなることを抑制した点灯パターンを設定することができる。
【0040】
また、状態変更反映部30は、仮点灯パターン設定部24における仮の点灯パターンが、1つの照明14のみが点灯している状態になるまで、変更する状態を反映する。つまり、上述した点灯パターン選択部18内における一連の演算は、照明14の数がn個である場合、n−1回繰り返される。
【0041】
表示部20は、点灯パターン選択部18で選択された点灯パターンを表示する。本実施形態の表示部20は、初期の点灯パターンである全ての照明14が点灯している状態から、入力部16から入力された目標照度を満たす点灯パターンまでを、状態変更反映部30により反映された順番に並べて表示する。目標照度を満たす点灯パターンとは、領域内の最低照度が目標照度以上である点灯パターンのことである。このように点灯パターンが照度の降順に並べられることにより、省エネルギ及び節電対策を行う実施者は、照度のムラが生じにくい、照明14の間引きの手順を容易に把握することができる。仮に、部屋12の利用者から照度が足りないと苦情があった場合でも、この点灯パターンの順番を参考にすることで、直ちにその苦情を解消することができる。
【0042】
また、表示部20は、各点灯パターンを部屋12のレイアウトにそれぞれ対応させて表示することもできる。これにより、視認性が向上し、部屋12で実際に照明14を間引く際の作業効率が向上する。また、表示部20は、部屋12のレイアウトに最低照度とその領域を表示することもできる。これにより、その部屋12の最低照度の場所を容易に把握でき、実際に照度を測定する際の作業効率が向上する。
【0043】
次に、本実施形態に係る点灯パターン設定装置10の動作について、図3,4を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る点灯パターン設定装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、図4は、図3の動作時における仮の点灯パターンを示す図である。
【0044】
まず、ステップS101において、入力部16により、各種情報が入力され、ステップS102で、仮点灯パターン設定部24により、仮の点灯パターンが設定される。この時点では、全ての照明14が点灯している状態である初期の点灯パターンが設定される。
【0045】
そして、ステップS103において、照度算出部26により、ステップS102で設定された点灯パターンに基づく部屋12の各領域の照度が算出される。ステップS104では、抽出部28により、ステップS103で算出される照度の中から最も高い照度と、この照度の領域に最も近い照明14とが抽出される。
【0046】
そして、ステップS105において、ステップS104で抽出された照明14が、点灯している最後の照明14であるか否かが判断される。最後の照明14である場合、ステップS106に進む。一方、ステップS105において、最後の照明14ではなく、まだ他に点灯している照明14があると判断された場合、ステップS107に進む。ステップS107では、状態変更反映部30により、ステップS104で抽出された照明14の状態を消灯へ変更し、この変更した状態を、ステップS102で設定される点灯パターンに反映させる。
【0047】
ステップS106では、表示部20により、点灯パターン選択部18で適宜選択された点灯パターンが表示され、動作が終了する。
【0048】
このような動作により、点灯パターン設定装置10には、図4に示されるような点灯パターン(1)〜(n−1)がそれぞれ設定される。そして、図に示される点灯パターン(1),(2),(3),(4),(n−1)における最低照度は、照度算出部26により、例えば850lux,750lux,700lux,680lux,0luxとそれぞれ算出され、これらの最低照度に対応する領域とこの領域に最も近い照明14も把握が可能となる。これらの情報を、表示部20により点灯パターンとともに表示することで、照明14の間引き作業の前に、間引きによる影響を事前に把握することができる。
【0049】
本実施形態の点灯パターン設定装置10によれば、調光機能を使用しなくても、複数の照明が配置された部屋において、少なくとも、その部屋の目標とすべき照度に対応する最適な照明の点灯パターンを容易に設定することができる。
【0050】
本実施形態においては、仮点灯パターン設定部24で設定される初期の点灯パターンが、全ての照明14が点灯している状態である場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。初期の点灯パターンを、任意の照明14が点灯している状態とすることもできる。
【0051】
以下に、初期の点灯パターンが、任意の1つの照明14のみが点灯している状態である場合における点灯パターン設定装置10の各機能について説明する。なお、上記実施形態において既に説明した構成及び機能については、その詳細な説明は省略する。
【0052】
仮点灯パターン設定部24は、上述のように、任意の1つの照明14のみが点灯している状態が初期の点灯パターンとして設定されている。また、仮点灯パターン設定部24は、状態変更反映部30からの反映により、仮の点灯パターンが、全ての照明14が点灯している状態になるまで、設定作業を行う。照度算出部26は、仮点灯パターン設定部24における仮の点灯パターンが、全ての照明14が点灯している状態になるまで、算出作業を行う。
【0053】
この実施形態において抽出部28で予め設定された条件は、最も低い照度である。よって、抽出部28は、算出された各照度の中から最も低い照度を抽出する。さらに、抽出部28は、抽出された照度の領域に最も近くに位置する照明14を1つ抽出する。また、抽出部28は、仮点灯パターン設定部における仮の点灯パターンが、全ての照明14が点灯している状態になるまで、抽出作業を行う。
【0054】
この実施形態の状態変更反映部30は、抽出部28により抽出された照明14の状態を消灯から点灯へと変更し、この点灯状態を仮点灯パターン設定部24に反映させる。このように、最も低い照度の領域に最も影響を与える照明14を点灯させることで、室内のムラが大きくなることを抑制した点灯パターンを設定することができる。
【0055】
また、状態変更反映部30は、仮点灯パターン設定部における仮の点灯パターンが、全ての照明14が点灯している状態になるまで、変更する状態を反映する。つまり、上述した点灯パターン選択部18内における一連の演算は、照明14の数がn個である場合、n−1回繰り返される。
【0056】
この実施形態の表示部20は、最後の点灯パターンである全ての照明14が点灯している状態から、入力部16から入力された目標照度を満たす点灯パターンまでを、状態変更反映部30により反映された順番とは逆に並べて表示する。これにより点灯パターンが照度の降順に並べられることにより、上記実施形態と同様、省エネルギ及び節電対策を行う実施者は、室内の照度にムラが生じにくい、照明14の間引き手順を容易に把握することができる。
【0057】
次に、この実施形態に係る点灯パターン設定装置10の動作について、図5,6を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る点灯パターン設定装置10の動作の一例を示すフローチャートであり、図6は、図3の動作時における仮の点灯パターンを示す図である。
【0058】
まず、ステップS201において、入力部16により、各種情報が入力され、ステップS202で、仮点灯パターン設定部24により、仮の点灯パターンが設定される。この時点では、任意の1つ照明14のみが点灯している状態である初期の点灯パターンが設定される。
【0059】
そして、ステップS203において、照度算出部26により、ステップS202で設定された点灯パターンに基づく部屋12の各領域の照度が算出される。ステップS204では、抽出部28により、ステップS203で算出される照度の中から最も低い照度と、この照度の領域に最も近い照明14とが抽出される。
【0060】
そして、ステップS205において、ステップS204で抽出された照明14が、既に点灯している照明14であるか否かが判断される。既に点灯している照明14である場合、ステップS206に進む。一方、ステップS205において、既に点灯している照明14ではないと判断された場合、ステップS207に進む。ステップS207では、状態変更反映部30により、ステップS204で抽出された照明14の状態を点灯へ変更し、この変更した状態を、ステップS202で設定される点灯パターンに反映させる。
【0061】
ステップS206では、表示部20により、点灯パターン選択部18で適宜選択された点灯パターンが表示され、この動作が終了する。
【0062】
このような動作により、点灯パターン設定装置10には、図6に示されるような点灯パターン(1)〜(n−1)がそれぞれ設定される。そして、図に示される点灯パターン(1),(2),(3),(4),(n−1)における最低照度は、照度算出部26により、例えば10lux,15lux,30lux,50lux,850luxとそれぞれ算出され、これらの最低照度に対応する領域とこの領域に最も近い照明14も把握が可能となる。これらの情報を、表示部20により点灯パターンとともに表示することで、照明14の間引き作業の前に、間引きによる影響を事前に把握することができる。
【0063】
この実施形態の点灯パターン設定装置10においても、複数の照明が配置された部屋において、少なくとも、その部屋の目標とすべき照度に対応する最適な照明の点灯パターンを容易に設定することができる。
【0064】
この実施形態においては、初期の点灯パターンが、任意の1つの照明14のみが点灯している状態である場合における点灯パターン設定装置10の動作について説明したが、本発明はこれに限定されない。点灯パターン設定装置10は、この動作に加え、さらに、初期の点灯パターンが、他の任意の1つの照明14が点灯している状態を設定し、一連の演算を行うことができる。また、点灯パターン設定装置10は、部屋12に配置される照明14全てが、初期の点灯パターンで点灯状態となる1個の照明14に該当するまで、演算を繰り返すこともできる。このように初期の点灯パターンを変更することにより、照明14の間引きに最適な点灯パターンを設定することができる。
【0065】
上記2つの実施形態においては、表示部20は、全ての照明14が点灯している状態から、目標照度を満たす点灯パターンまでを順番に並べて表示する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。表示部20は、全ての照明14が点灯している状態から、目標消費電力を満たす点灯パターンまでを順番に並べて表示することもできる。これにより、照度とともに消費電力を考慮した最適な点灯パターンを把握することができる。
【0066】
上記2つの実施形態においては、点灯パターン設定装置が、目標照度又は目標消費電力を満たす照明の点灯パターンを設定する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。点灯パターン設定装置によって設定された点灯パターンに基づいて実際に照明の動作を制御してもよい。具体的には、点灯パターン設定部は、さらに、照明の点灯及び消灯の動作を制御する制御部を有し、この制御部が、外部(入力部)からの目標照度又は目標消費電力に関する情報に基づき設定された最適な点灯パターンになるように、実際の照明を制御してもよい。なお、点灯パターン設定部に制御部が設けられる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、照明の動作が制御可能であれば、制御部は別体の外部の制御装置であってもよい。この場合、点灯パターン設定部は、設定された点灯パターンに関する情報を制御装置に出力し、その制御装置が、実際の照明がその点灯パターンになるように制御する。
【符号の説明】
【0067】
10 点灯パターン設定装置、12 部屋、14 照明、16 入力部、18 点灯パターン選択部、20 表示部、22 記憶部、24 仮点灯パターン設定部、26 照度算出部、28 抽出部、30 状態変更反映部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6