(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763577
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】絶縁性シート
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
H02G1/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-76791(P2012-76791)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207989(P2013-207989A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 智史
(72)【発明者】
【氏名】狩野 太
(72)【発明者】
【氏名】森脇 信次
【審査官】
木村 励
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−62004(JP,A)
【文献】
特開2005−149917(JP,A)
【文献】
特開2010−176878(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/90544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2つの辺の中間部間を結ぶ第1の山折り線に沿って山折りすることにより、該第1の折り線の両側に位置する2つのシート側片の間で被防護物の少なくとも一部を覆う絶縁性シートであって、
前記第1の山折り線の一部により山折りされる第1のシート部と、前記第1の山折り線の他の一部により山折りされる第2のシート部と、該第1のシート部と該第2のシート部の端縁間を折り曲げ自在に連結する折り込みシート部と、を備え、
前記折り込みシート部は、前記第1の山折り線の一部と前記第1の山折り線の他部とが直線状に配置される直線姿勢と、前記第1の山折り線の一部と他部とが非直線状に交差する屈曲姿勢との間で姿勢変更できるように構成されていることを特徴とする絶縁性シート。
【請求項2】
前記折り込みシート部は、前記山折り線の両側に夫々配置された第1の折り込み部、及び第2の折り込み部を備え、
前記第1及び第2の折り込み部は、前記第1の山折り線上に共通の頂点を備え、且つ共通する一つの斜辺により折り曲げ自在に隣接する三角形状の三角シート片を備え、該共通する斜辺を谷折り線とし、且つ各三角シート片の他の斜辺と前記第1のシート部、又は前記第2のシート部とを接続する直線を山折り線としたことを特徴とする請求項1に記載の絶縁性シート。
【請求項3】
前記折り込みシート部は、前記山折り線の両側に夫々配置された第1の折り込み部、及び第2の折り込み部を備え、
前記第1及び第2の折り込み部は、前記第1の山折り線上に共通の頂点を備え、且つ共通する一つの斜辺により折り曲げ自在に隣接する三角形状の三角シート片を備え、該共通する斜辺を山折り線とし、且つ各三角シート片の他の斜辺と前記第1のシート部、又は前記第2のシート部とを接続する直線を谷折り線としたことを特徴とする請求項1に記載の絶縁性シート。
【請求項4】
前記第1のシート部と、前記第2のシート部には、前記山折り線と対向する辺寄りの位置でかつ前記辺とほぼ並行に被嵌入部材とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の絶縁性シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活線状態の配電設備工事等に用いられ、電線を被覆する絶縁性シートに関し、特に被覆される電線が張力のかかった直線状のものや、あるいは張力のかかっていない縁線のように曲線形状のものであっても簡単かつ確実に電線を被覆することができる絶縁性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電線路に通電した状態で工事を行う活線工事が一般的に行われ、特に高圧架空配電線路の活線工事など、配電線路に近接して作業を行う場合には、作業位置周辺の電線に絶縁シートをかぶせ、シートクリップまたはシートはさみで仮固定することで、作業者が誤って電線に触れて短絡したり感電する事故を防いでいる。
また、従来は作業者が絶縁のためのゴム手袋を装着し、高圧絶縁シートを電線に被覆する、いわゆる直接活線作業が行われていたが、近年は作業者の安全性をより高めるため、絶縁ヤットコ等の器具を用いて絶縁シートを電線に被覆する間接活線作業が主流になりつつあり、器具で絶縁シートを電線に被覆しやすくするためのシートやクリップが開発されている。
このような間接活線作業で用いられるシートやクリップとしては、特許文献1に記載されているように、二つ折りにしたシートの折り目に平行な辺寄りの位置に円筒状の被嵌入部材が設けられ、該シートを挟み込むクリップの先端部には前記円筒状の被嵌入部材に挿入される嵌入部材が設けられ、クリップとシートとを一体的に構成した間接工法用シートはさみ及び間接シートがある。
また、特許文献2には予めクリップを絶縁シートに取付け、被防護物に挟持せしめつつ巻き回して取り付ける防護用絶縁シート及びクリップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−62004公報
【特許文献2】特開平10−271628公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の間接工法用シート及びはさみは、張力が与えられた直線状の電線を被覆の対象としており、張力のかかっていない縁線等、電線が湾曲している場合には電線を確実に被覆できないという問題点があった。また特許文献2に記載の防護用絶縁シート及びクリップも引き下げ線等に用いられるものであり、電線は直線状のものが対象のため、曲がった電線に絶縁シートを確実に被覆することができないという問題点があった。そのため、従来、縁線等、湾曲した電線に絶縁シートを被覆する際には直接工法で用いられていた絶縁シート及びクリップを絶縁ヤットコ等の器具で装着する必要があり、間接工法用の器具、器材でないものを間接工法用の器具で装着しなければならないため、使い勝手が悪く、装着に手間や時間がかかる等の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明にかかる請求項1記載の絶縁性シートは、対向する2つの辺の中間部間を結ぶ第1の山折り線に沿って山折りすることにより、該第1の山折り線の両側に位置する2つのシート側片の間で被防護物の少なくとも一部を覆う絶縁性シートであって、前記第1の山折り線の一部により山折りされる第1のシート部と、前記第1の山折り線の他の一部により山折りされる第2のシート部と、該第1のシート部と該第2のシート部の端縁間を折り曲げ自在に連結する折り込みシート部と、を備え、前記折り込みシート部は、前記第1の山折り線の一部と前記第1の山折り線の他部とが直線状に配置される直線姿勢と、前記第1の山折り線の一部と他部とが非直線状に交差する屈曲姿勢との間で姿勢変更できるように構成されていることを特徴とする。
本発明にかかる請求項2記載の絶縁性シートは、前記請求項1記載の絶縁性シートにおいて、前記折り込みシート部は、前記山折り線の両側に夫々配置された第1の折り込み部、及び第2の折り込み部を備え、前記第1及び第2の折り込み部は、前記第1の山折り線上に共通の頂点を備え、且つ共通する一つの斜辺により折り曲げ自在に隣接する三角形状の三角シート片を備え、該共通する斜辺を谷折り線とし、且つ各三角シート片の他の斜辺と前記第1のシート部、又は前記第2のシート部とを接続する直線を山折り線としたことを特徴とする。
【0006】
本発明にかかる請求項3記載の絶縁性シートは、前記請求項1記載の絶縁性シートにおいて、前記折り込みシート部は、前記山折り線の両側に夫々配置された第1の折り込み部、及び第2の折り込み部を備え、前記第1及び第2の折り込み部は、前記第1の山折り線上に共通の頂点を備え、且つ共通する一つの斜辺により折り曲げ自在に隣接する三角形状の三角シート片を備え、該共通する斜辺を山折り線とし、且つ各三角シート片の他の斜辺と前記第1のシート部、又は前記第2のシート部とを接続する直線を谷折り線としたことを特徴とする。
請求項1乃至3の発明では、折り込みシート部を適宜折り込むことにより、第1の山折り線の形状を直線状又は非直線状に変形し、被防護物に沿わせて被覆することができる。
本発明にかかる請求項4記載の絶縁性シートは、前記請求項1乃至3の何れかに記載の絶縁性シートにおいて、前記第1のシート部と、前記第2のシート部には、前記山折り線と対向する辺寄りの位置でかつ前記辺とほぼ並行に被嵌入部材とを備えたことを特徴とする。
請求項4の発明では、被嵌入部材を設けたことにより、シートクリップ等、間接活線作業用の工具を装着することができるので、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、間接工法用の器具を用いて電線に絶縁性シートを被覆する際に、その絶縁性シートを被覆する対象が直線状の電線のみならず、縁線等、湾曲した電線であっても従来の絶縁シートと同様に確実かつ簡単に絶縁性シートを装着することができ、作業員の安全性を確実に確保できると共に作業の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明にかかる絶縁性シート展開斜視図である。
【
図2】本発明にかかる絶縁性シート1を山折り線13で山折りし、かつ折り込みシート部7を展開した状態を示す平面図である。
【
図3】本発明にかかる絶縁性シート1を防護対象物である電線31に被覆した状態を示す図である。
【
図4】本発明にかかる絶縁性シート1を電線に張力がかかっていない縁線等、非直線状の電線31に被覆した状態を示す図である。
【
図5】本発明にかかる絶縁性シートの他の実施例を示す斜視図である。
【
図6】本発明にかかる絶縁性シートの他の実施例を示す斜視図である。
【
図7】本発明にかかる絶縁性シートの他の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施例に基づいて説明する。
図1は本発明にかかる絶縁性シート展開斜視図であり、絶縁シートを被防護物側となる面から観察した図である。
図1に示すように絶縁性シート1は、第1シート部3と第2シート部5と折り込みシート部7とからなる。絶縁性シート1は、第1シート部3と第2シート部5の対向する2つの辺9、11の中間部間を結ぶ第1の山折り線13に沿って山折りでき、第1シート部3は第1の山折り線13の一部13aにより山折りされ、第2シート部5は第1の山折り線13の他の一部13bにより山折りされる。
これにより、絶縁性シートの第1の山折り線13の両側に位置する第1シート部3のシート側片15a、15b及び絶縁性シートの第1の山折り線13の両側に位置する第2シート部5のシート側片17a、17bの間に電線等の被防護物の少なくとも一部を覆うことができる。
【0010】
さらに、折り込みシート部7は山折り線13の両側に夫々配置された三角形状のシート片からなる第1の折り込み部19、及び三角形状のシート片からなる第2の折り込み部21を備え、第1の折り込み部19及び第2の折り込み部21は第1の山折り線13上に共通の頂点23を備えている。二つの三角形状シート片19、21の共通する一つの斜辺25を谷折り線とし、且つ三角形状のシート片19と第1のシート部3とを接続する他の斜辺26、又は、三角形状のシート片21と第2のシート部5とを接続する他の斜辺27を山折り線とすることで、折り込みシート部7が折り曲げ自在となっている。
このように折り込みシート部7を構成することで、第1シート部3と第2シート部5の端縁間(斜辺26、27間)を折り曲げ自在に連結し、第1の山折り線の一部13aと他部13bとが直線状に配置される直線姿勢と、非直線状に交差する屈曲姿勢との間で姿勢変更できるように構成している。
【0011】
図2は本発明にかかる絶縁性シート1を山折り線13で山折りし、かつ折り込みシート部7を展開した状態を示す平面図である。絶縁性シート1を山折り線13で山折りした状態において、第1シート部3及び第2シート部5の平面は四角形状であり、第1シート部3と第2シート部5との間に二つの三角形状シート片19、21を有している。上述のように、共通する斜辺25は谷折り線であり、他の斜辺26又は他の斜辺27は山折り線である。更に、第1シート部3または第2シート部5のいずれか(本実施例では第2シート部5上)に他の斜辺27を対称軸として斜辺25と対称となる位置に谷折り線としての斜辺29を設け、斜辺27と斜辺29とを有する部位を三角形状シート片28としている。すなわち、三角形状シート片21と三角形状シート片28は斜辺27を対称軸とする線対称な図形である。また、三角形状シート片19と三角形状シート片28は合同な図形である。
これにより、折り込みシート部7を斜辺27及び斜辺25にしたがって折り込むことで三角形状シート19の他の斜辺26が三角形状シート21の他の斜辺27と重なり、第1の山折り線の一部13aと他部13bとを直線状に配置することができる(
図3参照)。また、
図2に示したように折り込みシート部7をすべて展開することで第1の山折り線の一部13aと他部13bとが非直線状(V字状)となる。さらに、折り込みシート部7を山折り線26、27及び斜辺25、斜辺29にしたがって全て折り込むことでも第1の山折り線の一部13aと他部13bとが非直線状(逆V字状)となる(
図4参照)。
【0012】
図3は本発明にかかる絶縁性シート1を防護対象物である電線31に被覆した状態を示す図であり、折り込みシート部7を斜辺27及び斜辺25にしたがって折り込むことにより第1の山折り線の一部13aと他部13bとが直線状に配置された状態となっている。このように電線31に絶縁性シート1を被覆した状態でクリップ等を用いて絶縁性シートを固定することで電線31の絶縁状態を維持することができる。
【0013】
図4は本発明にかかる絶縁性シート1を電線に張力がかかっていない縁線等、非直線状の電線31に被覆した状態を示す図であり、折り込みシート部7を斜辺26、斜辺27及び斜辺25、斜辺29にしたがって折り込むことにより第1の山折り線の一部13aと他部13bとが非直線状に交差する屈曲姿勢となっている。また、電線への被覆状態の図示を省略するが、
図2に示したように折り込みシート部7をすべて展開した状態で電線に被覆することで第1の山折り線の一部13aと他部13bとが非直線状に交差する屈曲姿勢をとることも可能である。このような状態となった後、絶縁性シート1が電線31から外れないように絶縁ヤットコ等の器具を用いて図示を省略したシートクリップで固定することで電線31を絶縁状態に保つことができ、作業者の安全を確保することができる。また予め絶縁性シート1とシートクリップとを一体構造としたものを用いることで、より作業性が向上する。
【0014】
このように、本実施形態において折り込みシート部7は、第一のシート部3と第二のシート部5との間に配置された2つの三角形状のシート片19、21により形成されている。本実施形態では、各斜辺(25、26、27、29)に沿って折り込みシート部7を折り込む例を示したが、斜辺以外の部分で折りたたんでも構わない。
また、折り込みシート部7の形状は、少なくとも第一の山折り線13にて絶縁性シート1を2つ折りした時に、第一の山折り線13側から、第一の山折り線13に沿った辺(辺9、11と交わる辺)に向かって裾広がり状となるように形成すればよく、必ずしも複数の三角形を組み合わせた形状とする必要はない。例えば、折り込みシート部7の形状を扇形状や台形状としてもよい。
このように折り込みシート部7を裾広がり形状とすることで、折り込みシート部7を折り込まない状態で絶縁性シート1を第一の山折り線13に沿って2つ折りした時に、第一の山折り線13の一部13aと他部13bをV字状にすることができる。また、折り込みシート部7を折り込んだ状態で絶縁性シート1を第一の山折り線13に沿って2つ折りすれば、第一の山折り線13の一部13aと他部13bを直線状又は逆V字状にすることができる。従って、山折り線の一部13aと他部13bを電線に沿った形状とすることができ、直線状の電線であっても凹状又は凸状に湾曲した電線であっても、容易に被覆することができる。
【0015】
図5は本発明にかかる絶縁性シートの他の実施例を示す斜視図であり、絶縁性シートとシートクリップとを一体に構成した構造の一例を示す図である。同図に示すように、絶縁性シート1の第1のシート部3と第2のシート部5には、それぞれシートクリップ35a、35bが設けられている。
シートクリップ35aは絶縁性シート1に挟み込んだ電線を挟持するための挟持部37aと、絶縁ヤットコ等の器具でシートクリップ35aを操作する操作部39aとからなり、軸41aを中心に挟持部37aのそれぞれが回動可能に軸支されており、操作部39aを操作することでシートクリップ35aの先端部の動きを制御することができる。また、各挟持部37aの先端部には着脱自在な円柱状の嵌入部材43aが挟持部37aの長手方向と直交する方向に設けられている。該嵌入部材43aは例えば挟持部37aの先端付近に設けた穴に円柱状の棒を挿入することで着脱自在な構造となっている。
【0016】
一方、第1のシート部3には、第1のシート部3の山折り線13aと対向する辺14a、14bとほぼ並行であって、かつ辺14a、14b寄りの位置に円筒状の被嵌入部材16aが固定されている。円筒状の被嵌入部材16a内に円柱状の嵌入部材43aが挿入されることで、シートクリップ35aの挟持部37aの動きに応じて第1のシート部3の辺14aと14bとの間の距離を接近又は離間させる構成となっている。
また、絶縁性シート1の第2のシート部5にもシートクリップ35bの構造もシートクリップ35aと同様であり、操作部39bを絶縁ヤットコ等の器具で操作することでシートクリップ35bの先端部が開閉し、それにより第2のシート部5の山折り線13bと対向する辺18a、18b(18bは図示せず)との間の距離を接近又は離間可能な構成となっている。このように絶縁性シート1にシートクリップ35a、35bを予め装着しておくことで、作業性をより高めることが可能であると共に、作業を行わない時は円柱状の嵌入部材43a、43bを挟持部37a、37bから抜き取ることで、絶縁性シート1からシートクリップ35a、35bを取り外すことができるので、収納等にシートクリップが邪魔になることがない。
【0017】
図6(a)は本発明にかかる絶縁性シートの他の実施例を示す図であり、先の実施例における折り込みシート部7を蛇腹状部材45にしたものである。蛇腹状部材45は、絶縁シートを交互に連続的に山折り・谷折りしたものであり、蛇腹形成前の折り込みシート部7の絶縁シート形状は、矩形状でも三角形状であってもよい。このように蛇腹状部材45を用いることで、第1の山折り線の一部13aと他部13bとを直線状に配置することも可能であり、また(b)に示すように第1の山折り線の一部13aと他部13bとの成す角を自由に設定することができる。したがって、被覆すべき電線の曲がり具合に関わらず、絶縁性シート1を電線に沿わせて被覆することができるので、作業の安全性を高めることができる。なお、
図5に示したようなシートクリップを予め装着するための部材(
図5においては円筒状の被嵌入部材)を設けておいても良い。
なお、上記実施例では折り込みシート部7の構成において、斜辺25、29を谷折り線、斜辺26、27を山折り線として説明したが、谷折り線と山折り線とを入れ替えて、斜辺25、29を山折り線、斜辺26、27を谷折り線として折り込みシート部7を構成しても、同様の機能を有し、第1の山折り線の一部13aと他部13bとを直線状に配置し、あるいは非直線状に交差するよう配置することができる。
【0018】
また、上記実施例では、シートクリップ35a、35bを絶縁性シート1から着脱自在な構成を示して説明したが、着脱させずに常に一体的な構造のものとしても良い。また、シートクリップ35a、35bを着脱自在にするために挟持部37a、37bの先端に設けた円柱状の嵌入部材43a、43bと嵌合する被嵌入部材16a、16bを用いた例をあげたが、挟持部37a、37bの先端の動きと第1のシート部3および第2のシート部5の動きを連動させる構造であれば、他の構造を用いても良い。他の構造としては、
図7に示すように、絶縁性シート1の辺14a寄りの位置であって、シート部3および5に長手方向中間部に凹状構造を有する固定具47を取り付け、固定具47の凹部47aにシートクリップ35の挟持部37を挿入し、ボルト49等で挟持部37が固定具47から脱落しないようにすれば良い。
【0019】
以上説明したように、本発明にかかる絶縁性シートによれば、被覆対象たる電線が直線状、あるいは縁線等のように湾曲したものであっても確実かつ簡単に絶縁性シートを装着することができ、作業員の安全性を確保でき、更に絶縁性シートにシートクリップを固定した構造とすることで絶縁性シートの装着をより簡単にすることができるので、間接工法による作業において作業の効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0020】
1…絶縁性シート、3…第1シート部、5…第2シート部、7…折り込みシート部、13…第1の山折り線、13a…第1の山折り線の一部、13b…第1の山折り線の他部、16a、16b…被嵌入部材、19…第1の折り込み部、21…第2の折り込み部、23…頂点