特許第5763602号(P5763602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763602
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ゲーム装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/45 20140101AFI20150723BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20150723BHJP
   A63F 13/812 20140101ALI20150723BHJP
【FI】
   A63F13/45
   A63F13/55
   A63F13/812 B
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-215801(P2012-215801)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-68726(P2014-68726A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2013年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滑 慶祐
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−191863(JP,A)
【文献】 特開2003−175283(JP,A)
【文献】 特開2004−077691(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/028690(WO,A1)
【文献】 ワールドサッカー ウイニングイレブン 2009,週刊ファミ通,日本,株式会社エンターブレイン,2008年12月12日,第23巻第50号,第121頁中央下「Q3」欄
【文献】 J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!6 Pride of J パーフェクトガイド,日本,株式会社エンターブレイン,2010年 2月 4日,初版,第383頁下段、第384頁下段
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 − 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザと第2ユーザの各々選手キャラクタを操作して対戦する、競技に関するゲームを実行するゲーム装置であって、
前記ゲームの状況を示すゲーム状況データを記憶する記憶手段に記憶される前記ゲーム状況データに基づいて、前記競技においてプレイが停止したか否かを判定する判定手段と、
前記競技においてプレイが停止した場合、選手キャラクタとは異なるキャラクタであって、かつ、前記競技を再開するための動作を行う中立キャラクタを前記第1ユーザ又は前記第2ユーザの何れに操作させるかを、前記ゲーム状データに基づいて決定する決定手段と、
前記競技においてプレイが停止している間において、前記決定手段により決定された前記第1ユーザ又は前記第2ユーザの何れかによって操作手段を介して行われる操作に応じて前記中立キャラクタを行動させる行動制御手段と、
前記競技においてプレイが停止した場合、前記決定手段により決定された前記第1ユーザ又は前記第2ユーザの何れかによって前記操作手段を介して行われる操作に応じて前記中立キャラクタが前記競技を再開するための所定動作を行った後に、前記ゲーム状況データに基づいて前記競技を再開する再開手段と、
を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記ゲームでは、前記競技が行われる競技場に、前記第1ユーザと前記第2ユーザとの何れかが関連付けられており、
前記決定手段は、
前記第1ユーザ又は前記第2ユーザの何れが前記競技場に関連付けられているかを示す前記ゲーム状況データに基づいて、前記中立キャラクタを前記第1ユーザ又は前記第2ユーザの何れに操作させるかを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
前記競技においてプレイが停止した場合の前記ゲーム状況データが示す戦況に基づいて、前記中立キャラクタを前記第1ユーザ又は前記第2ユーザの何れに操作させるかを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記再開手段は、
前記ゲーム状況データに基づいて、基準時間以上の間、前記中立キャラクタが前記所定動作をしていないか否かを判定する手段を含み、前記基準時間内に前記所定動作をしたと判定された場合、前記操作に応じて前記中立キャラクタが前記所定動作を行った後に前記競技を再開させ、前記基準時間以上の間前記所定動作をしていないと判定された場合、前記操作が行われなくても前記中立キャラクタに前記所定動作を行わせた後に前記競技を再開させる、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記行動制御手段は、
前記競技においてプレイが停止した場合、所与の行動パターンを示すデータを記憶する記憶手段に記憶される当該データに基づいて、前記中立キャラクタを動作させる手段と、
前記決定手段により決定された前記第1ユーザ又は前記第2ユーザの何れかによって前記操作手段を介して行われる操作の操作量に基づいて、前記行動パターンに基づいた前記中立キャラクタの動作の速さを制御する手段と、
を含むことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記ゲーム装置は、
前記競技においてプレイが停止した場合の前記ゲーム状データに基づいて、前記中立キャラクタに対する他のキャラクタの動作を制御する手段、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記ゲームは、移動物体を用いて行われる競技に関するゲームであり、
前記判定手段は、前記ゲーム状況データに基づいて、前記移動物体が所定領域から出たか否かを判定することによって、前記競技においてプレイが停止したか否かを判定し、
前記所定動作は、選手キャラクタに前記移動物体を渡す動作であり、
前記競技は、前記中立キャラクタが選手キャラクタに前記移動物体を渡した後に、前記移動物体を前記所定領域内に戻す動作が当該選手キャラクタにより行われることによって再開される、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載のゲーム装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、競技に関するゲームを実行するゲーム装置が知られている。例えば、特許文献1には、サッカーゲームにおいて、ユーザの操作に応じてサッカーの試合を進行し、試合終了タイミングが訪れるとゲームを終了させるゲーム装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−233734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなゲームにおいては、選手キャラクタの他に、競技の進行を支援する中立的な立場のキャラクタ(例えば、選手キャラクタにボールを渡すキャラクタ)が存在する。この中立的な立場のキャラクタを操作して競技の進み具合を変えることができれば、ユーザ又は対戦相手が有利になったり不利になったりするので、ゲームの戦略性を高めることができる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、競技に関するゲームの戦略性を向上させることが可能なゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るゲーム装置(10)は、ユーザと対戦相手とが対戦する、競技に関するゲームを実行するゲーム装置(10)であって、前記競技においてプレイが停止したか否かを判定する判定手段(74)と、前記競技においてプレイが停止した場合、選手キャラクタとは異なるキャラクタであって、かつ、前記競技を再開するための動作を行う中立キャラクタを前記ユーザ又は前記対戦相手の何れに操作させるかを、前記ゲームの状況に基づいて決定する決定手段(76)と、前記競技においてプレイが停止している間において、前記決定手段(76)により決定された前記ユーザ又は前記対戦相手の何れかの操作に応じて前記中立キャラクタを行動させる行動制御手段(78)と、前記競技においてプレイが停止した場合、前記決定手段(76)により決定された前記ユーザ又は前記対戦相手の何れかの操作に応じて前記中立キャラクタが前記競技を再開するための所定動作を行った後に、前記競技を再開する再開手段(80)と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るゲーム装置(10)の制御方法は、ユーザと対戦相手とが対戦する、競技に関するゲームを実行するゲーム装置(10)の制御方法であって、前記競技においてプレイが停止したか否かを判定する判定ステップ(74)と、前記競技においてプレイが停止した場合、選手キャラクタとは異なるキャラクタであって、かつ、前記競技を再開するための動作を行う中立キャラクタを前記ユーザ又は前記対戦相手の何れに操作させるかを、前記ゲームの状況に基づいて決定する決定ステップ(76)と、前記競技においてプレイが停止している間において、前記決定ステップ(76)により決定された前記ユーザ又は前記対戦相手の何れかの操作に応じて前記中立キャラクタを行動させる行動制御ステップと、前記競技においてプレイが停止した場合、前記決定ステップ(76)により決定された前記ユーザ又は前記対戦相手の何れかの操作に応じて前記中立キャラクタが前記競技を再開するための所定動作を行った後に、前記競技を再開する再開ステップ(80)と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るゲーム装置(10)の制御方法は、ユーザと対戦相手とが対戦する、競技に関するゲームを実行するコンピュータを、前記競技においてプレイが停止したか否かを判定する判定手段(74)、前記競技においてプレイが停止した場合、選手キャラクタとは異なるキャラクタであって、かつ、前記競技を再開するための動作を行う中立キャラクタを前記ユーザ又は前記対戦相手の何れに操作させるかを、前記ゲームの状況に基づいて決定する決定手段(76)、前記競技においてプレイが停止している間において、前記決定手段(76)により決定された前記ユーザ又は前記対戦相手の何れかの操作に応じて前記中立キャラクタを行動させる行動制御手段(78)、前記競技においてプレイが停止した場合、前記決定手段(76)により決定された前記ユーザ又は前記対戦相手の何れかの操作に応じて前記中立キャラクタが前記競技を再開するための所定動作を行った後に、前記競技を再開する再開手段(80)、として機能させる。
【0009】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【0010】
本発明によれば、競技に関するゲームの戦略性を向上させることが可能になる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記ゲームでは、前記競技が行われる競技場に、前記ユーザと前記対戦相手との何れかが関連付けられており、前記決定手段(76)は、前記ユーザ又は前記対戦相手の何れが前記競技場に関連付けられているかに基づいて、前記中立キャラクタを前記ユーザ又は前記対戦相手の何れに操作させるかを決定する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記決定手段(76)は、前記競技においてプレイが停止した場合の戦況に基づいて、前記中立キャラクタを前記ユーザ又は前記対戦相手の何れに操作させるかを決定する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記再開手段(80)は、基準時間以上の間、前記中立キャラクタが前記所定動作をしていないか否かを判定する手段(80)を含み、前記基準時間以上の間前記所定動作をしていないと判定された場合、前記競技を再開させる、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記行動制御手段(78)は、前記競技においてプレイが停止した場合、所与の行動パターンに基づいて、前記中立キャラクタを動作させる手段(78)と、前記決定手段(76)により決定された前記ユーザ又は前記対戦相手の何れかの操作量に基づいて、前記行動パターンに基づいた前記中立キャラクタの動作の速さを制御する手段(78)と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記ゲーム装置(10)は、前記競技においてプレイが停止した場合の前記ゲームの状況に基づいて、前記中立キャラクタに対する他のキャラクタの動作を制御する手段(82)、を更に含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記ゲームは、移動物体を用いて行われる競技に関するゲームであり、前記判定手段(74)は、前記移動物体が所定領域から出たか否かを判定することによって、前記競技においてプレイが停止したか否かを判定し、前記所定動作は、選手キャラクタに前記移動物体を渡す動作であり、前記競技は、前記中立キャラクタが選手キャラクタに前記移動物体を渡した後に、前記移動物体を前記所定領域内に戻す動作が当該選手キャラクタにより行われることによって再開される、ことを特徴とする。
【0017】
なお、上記では、本発明の理解を容易にするため図面に記載の符号を括弧書きで記載しているが、これにより本発明に係るゲーム装置等が図示の態様に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。
図2】ゲーム空間の一例を示す図である。
図3】ゲーム装置で実現される機能のうち、本発明に関連する機能を示す機能ブロック図である。
図4】ゲームの状況と、ユーザ又は対戦相手のうちでボールボーイの操作権限が与えられる方を示す情報と、の関連付けを示す図である。
図5】ゲーム装置が実行する処理を示すフロー図である。
図6】変形例(4)の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1.ゲーム装置のハードウェア構成]
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づき詳細に説明する。本発明の実施形態に係るゲーム装置は、例えば、家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯ゲーム機、携帯電話機(スマートフォン)、携帯情報端末又はパーソナルコンピュータ等によって実現される。ここでは、実施形態に係るゲーム装置を家庭用ゲーム機によって実現する場合について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。図1に示すゲーム装置10は、家庭用ゲーム機11、表示部32、音声出力部34、及び光ディスク36(情報記憶媒体)を含む。
【0021】
表示部32及び音声出力部34は、家庭用ゲーム機11に接続される。表示部32は、例えば、家庭用テレビ受像機又は液晶ディスプレイなどである。音声出力部34は、例えば、家庭用テレビ受像機に内蔵されたスピーカ又はヘッドホンなどである。
【0022】
家庭用ゲーム機11は、公知のコンピュータゲームシステムである。家庭用ゲーム機11は、バス12、制御部14、主記憶16、画像処理部18、入出力処理部20、音声処理部22、光ディスク再生部24、ハードディスク26、通信インタフェース28、及びコントローラ30を含む。
【0023】
制御部14は、一又は複数の制御部(例えば、CPU等)を含む。制御部14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステムや、光ディスク36から読み出されるプログラムに基づいて、家庭用ゲーム機11の各部を制御する処理や情報処理を実行する。また、制御部14は、リアルタイムクロックを含み、計時処理を実行する。
【0024】
主記憶16は、例えば、RAMを含む。光ディスク36から読み出されたプログラム及びデータは、主記憶16に書き込まれる。主記憶16は、制御部14の作業用メモリとしても用いられる。バス12は、アドレス及びデータを家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするためのものである。
【0025】
画像処理部18は、VRAMを含む。画像処理部18は、制御部14から供給される画像データに基づいてVRAM上にゲーム画面を描画する。VRAM上に描画されたゲーム画面は、ビデオ信号に変換されて所定のタイミングで表示部32に出力される。
【0026】
入出力処理部20は、制御部14が、音声処理部22、光ディスク再生部24、ハードディスク26、通信インタフェース28、及びコントローラ30にアクセスするためのインタフェースである。
【0027】
音声処理部22は、サウンドバッファを含む。音声処理部22は、光ディスク36からサウンドバッファに読み出された音声データを、音声出力部34から出力する。
【0028】
通信インタフェース28は、インターネットなどの通信ネットワークに、家庭用ゲーム機11を有線又は無線接続するためのインタフェースである。
【0029】
光ディスク再生部24は、光ディスク36に記録されたプログラムやデータを読み取る。本実施形態においては、プログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するために、光ディスク36が用られる場合を説明するが、メモリカード等の他の情報記憶媒体が用いられて、プログラムやデータが家庭用ゲーム機11に対して供給されるようにしてもよい。他にも例えば、通信ネットワークを介して遠隔地からプログラムやデータが家庭用ゲーム機11に供給されるようにしてもよい。
【0030】
ハードディスク26は、一般的なハードディスク装置(補助記憶装置)である。なお、本実施形態において光ディスク36に記憶されるものとして説明するプログラムやデータは、ハードディスク26に記憶されていてもよい。
【0031】
コントローラ30は、ユーザによる各種ゲーム操作を受け付けるための汎用操作手段である。家庭用ゲーム機11には、一又は複数のコントローラ30が有線又は無線接続される。入出力処理部20は、一定周期毎(例えば、1/60秒毎)にコントローラ30の各操作部材の状態をスキャンする。このスキャン結果を表す操作信号は、バス12を介して制御部14にされる。制御部14は、操作信号に基づいてユーザのゲーム操作を判定する。
【0032】
[2.ゲーム装置において実行されるゲーム]
ゲーム装置10は、光ディスク36から読み出したゲームプログラムを実行することによって、ユーザと対戦相手(コンピュータ又は他のユーザ)とが対戦する、競技(例えば、スポーツ)に関するゲームを実行する。本実施形態では、移動物体(例えば、ボール又はパック等)を用いて行われる競技に関するサッカーゲームが実行される場合を説明する。
【0033】
このサッカーゲームにおいては、架空の競技場において、ユーザが操作するチーム(以降、「ユーザチーム」という。)と、対戦相手が操作するチーム(以降、「対戦相手チーム」という。)と、の間でサッカーの試合が行われる。サッカーゲームが開始されると、例えば、ゲーム空間が主記憶16に構築される。
【0034】
図2は、ゲーム空間の一例を示す図である。図2に示すゲーム空間40は、互いに直交する三つの座標軸(Xw軸、Yw軸、及びZw軸)が設定された仮想的な3次元空間である。図2に示すように、ゲーム空間40には、サッカーフィールドを表すオブジェクトであるフィールド42が配置される。
【0035】
フィールド42上には、2本のゴールライン44a,44b、2本のタッチライン46a,46b、及びセンターライン48が表されている。2本のゴールライン44a,44b及び2本のタッチライン46a,46bによって囲まれたピッチ50及び当該ピッチ50の周囲(ゴールライン44a,44b又はタッチライン46a,46bに接するピッチ50外の所定領域)において、試合が行われる。
【0036】
フィールド42上には、サッカーのゴールを表すオブジェクトであるゴール52と、ユーザチームに所属するサッカー選手を表すオブジェクトである選手キャラクタ54と、対戦相手チームに所属するサッカー選手を表すオブジェクトである選手キャラクタ56と、サッカーボール(移動物体)を表すオブジェクトであるボール58と、が配置される。各オブジェクトの位置は、例えば、ワールド座標系(Xw−Yw−Zw座標系)の3次元座標で特定される。
【0037】
なお、図2では省略されているが、フィールド42上には、ユーザチームに所属する11体の選手キャラクタ54と、対戦相手チームに所属する11体の選手キャラクタ56と、が配置される。
【0038】
また、ゲーム空間40には、仮想カメラ60(視点)が設定される。ゲーム空間40を仮想カメラ60から見た様子を表すゲーム画面が、表示部32に表示される。ゲーム画面は、ゲーム空間40に配置された各オブジェクトの頂点座標が、所定の座標変換演算を用いてワールド座標系からスクリーン座標系に座標変換されることによって生成される。
【0039】
本実施形態では、ユーザチームに所属する選手キャラクタ54のうちの何れかが、ユーザの操作対象に設定される。ユーザの操作対象に設定された選手キャラクタ54は、ユーザの操作に基づいて行動する。例えば、ユーザは、コントローラ30を用いて方向指示操作を行うことによって、操作対象である選手キャラクタ54を移動させる。ユーザは、コントローラ30を用いて、選手キャラクタ54が移動する方向やボール58を蹴る方向を指示する。
【0040】
ゲーム空間40に配置される各選手キャラクタ54(56)のうちでユーザの操作対象とならないものは、所定の行動アルゴリズムに従って自律的に行動する。当該行動アルゴリズムは、ゲームプログラムに記述されている。即ち、ユーザの操作対象の選手キャラクタ54以外の選手キャラクタ54(56)は、コンピュータの操作に基づいて行動する。
【0041】
選手キャラクタ54(56)がドリブルしたりボール58を蹴ったりすると、ゲーム空間40内をボール58が移動する。試合中においてボール58がピッチ50の外に出ると、試合がいったん中断する。このときの状態をアウトオブプレイの状態と呼ぶ。ボール58がピッチ50の外に出た場合、直前にボール58を触った選手キャラクタ54(56)が属するチームではないチームの選手キャラクタ54(56)がピッチ50にボール58を投げ入れることで、試合が再開する。即ち、いわゆるスローインが行われることで試合が再開(アウトオブプレイの状態が解除)される。
【0042】
フィールド42上におけるピッチ50の外側には、試合を再開するために必要な状況を準備するキャラクタを表すオブジェクトであるボールボーイ62が配置される。なお、図2では、説明の簡略化のため、1体のボールボーイ62のみを示すが、複数体のボールボーイ62がフィールド42上に配置されているようにしてもよい。
【0043】
ボールボーイ62は、予備のボール58を持っている。このボールボーイ62は、ユーザ又は対戦相手の操作対象になり得るが、ボール58がピッチ50内にあり試合が進行するインプレイの状態では、ユーザ及び対戦相手はボールボーイ62を操作することができない。この場合、ボールボーイ62は、所定の行動アルゴリズムに従い、予備のボール58を保持したまま、ピッチ50の周囲の所定位置で待機したり、ピッチ50外に出たボール58を拾いに行ったりする。
【0044】
一方、ボール58がピッチ50外に出たアウトオブプレイの状態では、ユーザ又は対戦相手の何れか一方がボールボーイ62を操作することが可能になる。ユーザ又は対戦相手は、ボールボーイ62を操作することで、例えば予備のボール58を、選手キャラクタ54(56)の何れかに渡すことができる。
【0045】
ボールボーイ62からボール58を受け取った選手キャラクタ54(56)は、スローインを行うことになる。なお、スローインを行う選手キャラクタ54(56)は、スローインを行う権利のあるチームのうちで、ボール58がピッチ50から出た位置に最も近い選手キャラクタ54(56)が選出されるようにしてもよいし、ユーザ又は対戦相手が指定するようにしてもよい。
【0046】
上記のように、ゲーム装置10は、ユーザ又は対戦相手がボールボーイ62を操作することができるので、アウトオブプレイになった後すぐに、スローインを行う選手キャラクタ54(56)に予備のボール58を渡したり、なかなかボール58を渡さずに、しばらくの間、アウトオブプレイの状態を保持したりすることができる構成になっている。以下、本技術について、詳細に説明する。
【0047】
[3.ゲーム装置において実現される機能]
図3は、ゲーム装置10で実現される機能のうち、本発明に関連する機能を示す機能ブロック図である。図3に示すように、ゲーム装置10は、ゲームプログラムを実行することによって、ゲームデータ記憶部70、ゲーム制御部72、停止判定部74、決定部76、行動制御部78、及び、再開部80を実現する。ゲームデータ記憶部70は、主記憶16及び光ディスク36を主として実現され、他の各機能は、制御部を主として実現される。
【0048】
[3−1.ゲームデータ記憶部]
ゲームデータ記憶部70は、ゲームを実現するために必要なデータを記憶する。本実施形態においては、ゲームデータ記憶部70は、サッカーゲームの現在の状況を示すゲーム状況データを記憶する。
【0049】
例えば、下記に示すようなデータが、ゲーム状況データに含まれる。ゲーム状況データは、ゲームの進行に応じて適宜更新される。なお、ゲーム状況データに含まれるデータは、下記に限られない。他にも例えば、ボール58を保持する選手キャラクタ54(56)を識別するデータが含まれているようにしてもよい。
(1)各選手キャラクタ54(56)及びボールボーイ62の現在の状態(位置、姿勢、移動方向、及び移動速度等)を示すデータ
(2)ボール58の現在の状態(位置、移動方向、移動速度、及びボール58を保持する選手キャラクタ54(56)等)を示すデータ
(3)ホームチーム及びアウェーチーム(ビジターチーム)を識別するデータ
(4)仮想カメラ60の現在の状態(位置及び視線方向等)を示すデータ
(5)その他、試合の状況(例えば、両チームの得点や経過時間を識別する情報)を示すデータ
【0050】
ホームチームとは、ゲーム空間40において試合が行われている競技場を本拠地とするチームである。ここでは、ゲームにおいて用意された複数の競技場の各々に、ホームチームが関連付けられている。アウェーチームは、ホームチーム以外のチームであり、ホームチームと対戦するチームである。即ち、ユーザチームと対戦相手チームとの何れか一方がホームチームとなり他方がアウェーチームとなる。
【0051】
また、ゲームデータ記憶部70は、複数種類の競技場を示すデータを記憶する。これら競技場は、例えば、現実世界の競技場を模した競技場、又は、現実世界にはない架空の競技場である。当該データは、各競技場の名称、各競技場の形状を示すデータ、各競技場に関する画像データ等を含む。
【0052】
また、ゲームデータ記憶部70は、ユーザ又は対戦相手が使用可能なチームに関するデータを記憶する。当該データは、各チームの名称、各チームに所属する選手キャラクタ、各チームが本拠地とする競技場等を示す。
【0053】
なお、制御部14は、ゲームデータ記憶部70に記憶されたデータを取得又は更新する手段として機能する。また、ゲームデータ記憶部70に記憶されるデータは、上記の例に限られない。他にも例えば、ピッチ50の位置を示す情報(例えば、ピッチ50の四隅を示す3次元位置座標)やボールボーイ62がいるべきフィールド42上の位置に関する情報が、ゲームデータ記憶部70に記憶されているようにしてもよい。
【0054】
[3−2.ゲーム制御部]
ゲーム制御部72は、ユーザが操作する選手キャラクタ54と、対戦相手が操作する選手キャラクタ56と、に基づいて、競技(例えば、スポーツ。ここでは、サッカー)に関するゲームを実行する。
【0055】
ゲーム制御部72は、複数の選手キャラクタ54(56)の各々を、ユーザ又は対戦相手の操作に基づいて動作させたり、ゲームプログラムに定められた行動パターン(即ち、ゲーム制作者が定めた行動パターン)に基づいて動作させたりする。また、ゲーム制御部72は、ゲーム空間40内でボール58を移動させる。例えば、ゲーム制御部72は、選手キャラクタ54(56)がボール58に触れた場合に、ボール58を移動させる。
【0056】
なお、ゲーム制御部72は、インプレイの状態において、ボールボーイ62を所与の行動パターンに基づいて動作させるようにしてもよい。例えば、ゲーム制御部72は、ボールボーイ62が予備のボール58を保持していない場合には、ピッチ50外にあるボール58を取りに行くように行動させるようにしてもよい。
【0057】
また例えば、ゲーム制御部72は、ボールボーイ62が所定位置にいない場合には、当該所定位置に戻るように行動させるようにしてもよい。更に、ゲーム制御部72は、ボールボーイ62が所定位置にいて予備のボール58を保持している場合には、ボールボーイ62をその場で待機させるようにしてもよい。
【0058】
また、ゲーム制御部72は、所与の終了タイミングが訪れると、試合を終了する。例えば、ゲーム制御部72は、ゲーム状況データが示す試合の経過時間に基づいて、試合を終了させる。
【0059】
[3−3.停止判定部]
停止判定部74は、競技においてプレイが停止したか否かを判定する。競技においてプレイが停止するとは、競技が中断(一時停止)する状態(選手がプレイを一時停止する状態。即ち、選手が競技をプレイしてはいけない状態。)であり、例えば、競技が進行するインプレイの状態からアウトオブプレイの状態になることである。プレイが停止する条件は、競技の規則に基づいて決定される。停止判定部74は、ゲーム状況データに基づいて、当該条件が満たされるか否かを判定する。
【0060】
停止判定部74は、ゲーム状況データが示す状況が、競技においてプレイが停止するための所与の状況になったか否かを判定する。ここでは、停止判定部74は、ゲーム空間40の状態が所与の状態になったか否かを判定する。例えば、停止判定部74は、移動物体(例えば、ボール58)が所定領域(例えば、ピッチ50)から出たか否かを判定することによって、競技においてプレイが停止したか否かを判定する。停止判定部74は、ボール58の現在位置を示す座標が、ピッチ50内に含まれるか否かを判定する。
【0061】
[3−4.決定部]
決定部76は、競技においてプレイが停止した場合、選手キャラクタ54(56)とは異なるキャラクタであって、かつ、競技を再開するための動作を行う中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)をユーザ又は対戦相手の何れに操作させるかを、ゲームの状況に基づいて決定する。
【0062】
図4は、ゲームの状況と、ユーザ又は対戦相手のうちでボールボーイ62の操作権限が与えられる方を示す情報と、の関連付けを示す図である。図4に示す関連付けは、ゲームデータ記憶部70に記憶されており、数式形式であってもよいし、テーブル形式であってもよい。決定部76は、ゲーム状況データが示す状況が、図4の関連付けに示された所与の状況であるか否かを判定する。ゲーム状況データが示す状況が所与の状況であると判定された場合、決定部76は、ユーザ又は対戦相手のうちで当該所与の状況に関連付けられた方に、ボールボーイ62の操作権限を与える。
【0063】
ここでは、試合が行われる競技場に、ユーザと対戦相手との何れかが関連付けられており、決定部76は、ユーザ又は対戦相手の何れが競技場に関連付けられているかに基づいて、中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)をユーザ又は対戦相手の何れに操作させるかを決定する。なお、競技場を本拠地とするチームを操作することが、競技場に関連付けられていることに相当する。
【0064】
即ち、決定部76は、ユーザチーム又は対戦相手チームのどちらがホームチームであるかに基づいて、ボールボーイ62をユーザ又は対戦相手の何れに操作させるかを決定する。例えば、決定部76は、ユーザ又は対戦相手のうちホームチームを操作する方に、ボールボーイ62を操作させる。
【0065】
[3−5.行動制御部]
行動制御部78は、競技においてプレイが停止している間において、決定部76により決定されたユーザ又は対戦相手の何れかの操作に応じて中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)を行動させる。ここでは、コントローラ30からの操作内容と、ボールボーイ62の行動内容と、が関連付けられてゲームデータ記憶部70に記憶されている。行動制御部78は、ユーザ又は対戦相手の何れかが行った操作に関連付けられた行動内容に基づいて、ボールボーイ62を行動させる。
【0066】
例えば、ユーザ又は対戦相手の何れかが方向指示操作を行った場合、行動制御部78は、当該方向指示操作が示す方向にボールボーイ62を移動させる。また、ユーザ又は対戦相手の何れかが所与の操作(コントローラ30の所定ボタンを押下する操作)を行った場合、行動制御部78は、ボールボーイ62に、競技を再開するために必要な状況を準備するための所定動作をさせる。
【0067】
所定動作とは、選手キャラクタ54(56)が競技を再開させる動作を行うために必要な予備動作、又は、競技を再開する合図(詳細後述)となる動作であり、ここでは、スローインをする選手キャラクタ54(56)に、ボールボーイ62が予備のボール58を渡す動作が、競技を再開するための所定動作に相当する。
【0068】
[3−6.再開部]
再開部80は、競技においてプレイが停止した場合、決定部76により決定されたユーザ又は対戦相手の何れかの操作に応じて中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)が競技を再開するための所定動作を行った後に、競技を再開する。競技を再開するとは、中断した競技を再び選手にプレイさせることである。ここでは、アウトオブプレイの状態をインプレイの状態に変化させることが、競技を再開することに相当する。
【0069】
例えば、再開部80は、選手キャラクタ54(56)が所与の動作(例えば、スローイン)を行ったか否か、又は、中立キャラクタが再開の合図となる所与の動作(詳細後述)を行ったか否か、を判定し、これら所与の動作を行ったと判定された場合に、競技を再開する。
【0070】
ここでは、再開部80は、中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)が選手キャラクタ54(56)に移動物体(例えば、ボール58)を渡した後に、移動物体を所定領域内(例えば、ピッチ50内)に戻す動作(ここでは、いわゆるスローイン)が当該選手キャラクタ54(56)により行われた場合に、競技を再開させる。即ち、再開部80は、選手キャラクタ54(56)がボール58をピッチ50内に戻す動作をした場合に、各選手キャラクタ54(56)がボール58を用いてサッカーをプレイすることを許可する。
【0071】
[4.ゲーム装置において実行される処理]
図5は、ゲーム装置10が実行する処理を示すフロー図である。制御部14は、光ディスク36に記憶されたプログラムに従って、図5に示す処理を実行する。なお、図5に示す処理が実行されるにあたり、ユーザチーム及び対戦相手チームが選択されており、ホームチームが決定されているものとする。
【0072】
まず、図5に示すように、制御部14は、ゲームを開始し、主記憶16にゲーム空間40を構築する(S1)。制御部14は、コントローラ30の操作状態又は所与の行動パターンに基づいて、選手キャラクタ54(56)を行動させる(S2)。S2においては、制御部14は、選手キャラクタ54(56)の行動結果に基づいて、ゲーム状況データが示す各選手キャラクタ54(56)の状態を更新する。
【0073】
制御部14は、S2における選手キャラクタ54(56)の行動結果に基づいて、ボール58を移動させる(S3)。S3においては、制御部14は、ボール58の移動結果に基づいて、ゲーム状況データが示すボール58の状態を更新する。
【0074】
制御部14は、ボール58がピッチ50の外に出たか否かを判定する(S4)。S4においては、制御部14は、ボール58の現在位置を示す座標が、ピッチ50の内部に含まれるか外部に含まれるかを判定する。即ち、制御部14は、ゲームの現在の状況がアウトオブプレイの状態になったか否かを判定することになる。
【0075】
ボール58がピッチ50の外に出たと判定された場合(S4;Y)、制御部14は、直前にボールを触った選手キャラクタ54(56)に基づいて、ユーザチームと対戦相手チームとのうちで、スローインさせるチームを決定する(S5)。
【0076】
制御部14は、S5で決定されたチームに属する選手キャラクタ54(56)のうちからスローインをする選手キャラクタ54(56)を選出する(S6)。S6においては、制御部14は、スローインをする権限のあるチームの選手キャラクタ54(56)のうちで、ボール58がピッチ50から出た位置の最も近くにいる選手キャラクタ54(56)を選出する。
【0077】
制御部14は、スローインをする位置に向けて、S6で選出した選手キャラクタ54(56)を移動させる(S7)。S7においては、制御部14は、S6で選出した選手キャラクタ54(56)を、ボール58がピッチ50から出た位置に向けて移動させることになる。
【0078】
制御部14は、ユーザチームと対戦相手チームとのどちらがホームチームであるかに基づいて、ユーザと対戦相手とのうちでボールボーイ62の操作権限を付与する方を決定する(S8)。S8においては、制御部14は、ゲーム状況データを参照し、試合が行われている競技場のホームチームを特定する。そして、制御部14は、ユーザ又は対戦相手のうちホームチームを操作する方に、ボールボーイ62の操作権限を付与する。
【0079】
制御部14は、ユーザと対戦相手とのうち、S8において操作権限が付与された方の操作に基づいてボールボーイ62を行動させる(S9)。S9においては、ユーザ又は対戦相手が方向指示操作を行った場合、制御部14は、ボールボーイ62を移動させる。また、ユーザ又は対戦相手が所与の操作を行った場合、制御部14は、ボール58を選手キャラクタ54(56)に渡す動作をボールボーイ62にさせる。
【0080】
制御部14は、ボールボーイ62が選手キャラクタ54(56)にボール58を渡したか否かを判定する(S10)。S10においては、制御部14は、ユーザチームと対戦相手チームとのうちで、スローインをする権利を有するチームに属する選手キャラクタ54(56)に対してボールボーイ62がボール58を渡す動作をしたか否かを判定する。
【0081】
ボールボーイ62が選手キャラクタ54(56)にボール58を渡したと判定されない場合(S10;N)、S9の処理に戻る。この場合、選手キャラクタ54(56)がスローインをすることができないので、試合の再開が待機される。なお、この間においても、制御部14は、試合の経過時間を更新させる。即ち、ボールボーイ62が選手キャラクタ54(56)にボール58を渡さなくても、終了タイミングが訪れるまでの時間が近づくことになる。
【0082】
一方、ボールボーイ62が選手キャラクタ54(56)にボール58を渡したと判定された場合(S10;Y)、制御部14は、ボール58を受け取った選手キャラクタ54(56)がスローインをしたか否かを判定する(S11)。
【0083】
スローインをしたと判定された場合(S11;Y)、制御部14は、試合を再開させる(S12)。S12においては、ユーザ又は対戦相手の操作対象がボールボーイ62から選手キャラクタ54(56)に切り替わる。
【0084】
一方、ボール58がピッチ50の外に出たと判定されない場合(S4;N)、制御部14は、終了条件が満たされるか否かを判定する(S13)。終了条件は、本処理を終了させるために予め定められた条件であればよい。例えば、終了タイミングが訪れたか否か、又は、ユーザから終了指示が入力されたか否か等であってもよい。
【0085】
終了条件が満たされると判定された場合(S13;Y)、本処理は終了する。終了条件が満たされると判定されない場合(S13;N)、S2の処理に戻り、試合が進行する。
【0086】
以上説明したゲーム装置10によれば、ボール58がピッチ50の外に出た場合に、ユーザ又は対戦相手のうちホームチームを操作する方に、ボールボーイ62を操作させることができる。そのため、サッカーの試合が再開するまでの時間をユーザ又は対戦相手に調整させることが可能になり、サッカーゲームの戦略性を高めることができる。
【0087】
例えば、ホームチームが試合に負けている場合に、ピッチ50の外に出たボール58をボールボーイ62から選手キャラクタ54(56)に比較的早く渡すことによって、試合を素早く再開させることができる。試合を素早く再開させることで、ホームチームに逆転するための時間をより多く与えてホームチームを有利にすることができる。一方、例えば、ホームチームが試合に勝っている場合に、ピッチ50の外に出たボール58をボールボーイ62から選手キャラクタ54(56)になかなか渡さないようにすることによって、試合の再開を遅らせることができ、アウェーチームが逆転する時間を少なくすることでホームチームを有利にすることができる。
【0088】
[5.変形例]
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0089】
(1)例えば、実施形態においては、ユーザ又は対戦相手のうちでホームチームを操作する方にボールボーイ62の操作権限が付与される場合を説明したが、ゲームの状況に応じてボールボーイ62の操作権限が付与されるようにすればよい。他にも例えば、実行中のサッカーゲームの戦況に応じて、ボールボーイ62の操作権限が付与されるようにしてもよい。
【0090】
変形例(1)の決定部76は、競技においてプレイが停止した場合の戦況に基づいて、中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)をユーザ又は対戦相手の何れに操作させるかを決定する。競技においてプレイが停止した場合の戦況とは、競技においてプレイが停止したタイミング又は当該タイミングから所定時間以内のタイミングにおける戦況である。例えば、ボール58がピッチ50から出たタイミングにおける試合の戦況である。
【0091】
決定部76は、ゲーム状況データを参照して、競技においてプレイが停止した場合の戦況を特定する。決定部76は、当該特定された戦況に基づいて、ユーザ又は対戦相手のどちらが優勢であるか又は劣勢であるかを判定する。決定部76は、ゲーム状況データに含まれる戦況を示すパラメータに基づいて優勢又は劣勢を判定し、ここでは、ユーザチームの得点と、対戦相手チームの得点と、を比較する。決定部76は、ユーザチームと対戦相手チームとのうちで、得点が多い方を優勢とし、少ない方を劣勢とする。他にも例えば、ユーザチームと対戦相手チームとの各々がボール58を保有した時間に基づいて算出されるボール58の支配率が、戦況として用いられるようにしてもよい。
【0092】
決定部76は、ユーザチームと対戦相手チームとのうちで優勢な方に、ボールボーイ62を操作させると決定する。なお、決定部76は、ユーザチームと対戦相手チームとのうちで劣勢な方に、ボールボーイ62を操作させると決定するようにしてもよい。
【0093】
変形例(1)によれば、実行中のゲームの戦況に応じてボールボーイ62の操作権限を付与する方を決定することができる。例えば、ユーザ又は対戦相手のうちで優勢な方にボールボーイ62の操作権限を付与した場合には、優勢なチームの時間稼ぎをしやすくなるので、優勢の状態を保ったまま試合終了に持ちこませやすくなる。一方、ユーザ又は対戦相手のうちで劣勢な方にボールボーイ62の操作権限を付与した場合には、比較的すぐに試合を再開させやすくなるので、逆転するための時間を確保しやすくなる。
【0094】
(2)また例えば、スローインをする選手キャラクタ54(56)にボールボーイ62がボール58をなかなか渡さずに試合の再開を不当に遅らせた場合には、ボールボーイ62から選手キャラクタ54(56)にボール58を強制的に渡すようにして、試合を再開させるようにしてもよい。
【0095】
変形例(2)の再開部80は、基準時間(例えば、10秒)以上の間、中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)が所定動作をしていないか否かを判定する。再開部80は、アウトオブプレイの状態になった場合に計時を開始し、ボールボーイ62が選手キャラクタ54(56)にボール58を渡さない状態が基準時間以上継続したか否かを判定する。即ち、再開部80は、アウトオブプレイの状態が基準時間以上継続したか否かを判定する。なお、基準時間は、予め定められた長さの時間であってもよいし、ゲームの状況に応じて可変であってもよい。
【0096】
再開部80は、基準時間以上の間所定動作をしていないと判定された場合、競技を再開させる。再開部80は、ユーザ又は対戦相手の操作がなくとも、選手キャラクタ54(56)にボール58を渡す動作をボールボーイ62にさせる。なお、ボールボーイ62に所定動作をさせるためのモーションデータは、ゲームデータ記憶部70に予め記憶されている。再開部80は、当該モーションデータを再生することによって、スローインをする選手キャラクタ54(56)にボール58を強制的に渡して試合を再開させる。
【0097】
変形例(2)によれば、ユーザ又は対戦相手のうちでボールボーイ62の操作権限が付与された方が、不当に試合の再開を遅らせた場合に、強制的に試合を再開させることができるので、ユーザ又は対戦相手の何れかが有利になりすぎたり不利になりすぎたりすることを防止することができる。
【0098】
(3)また例えば、実施形態においては、ボールボーイ62の操作権限が付与された場合に、選手キャラクタ54(56)と同様に比較的自由にボールボーイ62を操作させる態様を説明したが、ボールボーイ62は、予め決められた行動パターンに基づいて、選手キャラクタ54(56)にボール58を渡す動作を順序立てて行うようにしてもよい。この場合、例えば、ユーザ又は対戦相手がコントローラ30の所与のボタンを連打した場合に、ボールボーイ62が機敏な動きをするようにしてもよい。
【0099】
変形例(3)の行動制御部78は、競技においてプレイが停止した場合、所与の行動パターンに基づいて、中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)を動作させる。所与の行動パターンとは、競技を再開させるための所定動作を行うための一連の動きである。行動パターンを示すデータ(モーションデータ)は、ゲームデータ記憶部70に予め記憶されている。行動制御部78は、アウトオブプレイの状態になった場合に、当該データを再生することによって、ボールボーイ62の動作を制御する。
【0100】
行動制御部78は、決定部76により決定されたユーザ又は対戦相手の何れかの操作量に基づいて、行動パターンに基づいた中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)の動作の速さを制御する。操作量とは、所与の操作が行われた回数、又は、所与の操作の強さ若しくは大きさである。例えば、コントローラ30の所与のボタンが押下された回数、又は、コントローラ30の所与のボタンが押下された押下力、若しくは、コントローラ30のスティックが傾けられた角度である。これら回数、押下力、又は角度が大きいほど、操作量が大きいことになる。
【0101】
例えば、行動制御部78は、操作量に関する条件と動作の速さとの関連付けに基づいて、ボールボーイ62の動作を制御する。当該関連付けは、ゲームデータ記憶部70に記憶されており、数式形式であってもよいし、テーブル形式であってもよい。行動制御部78は、ユーザ又は対戦相手の操作量が満たす条件に関連付けられた速さに基づいて、ボールボーイ62の動作を制御する。行動制御部78は、操作量が大きいほどボールボーイ62の動作が早くなるように制御する。例えば、行動制御部78は、操作量が大きいほどモーションデータの再生速度を早くする。
【0102】
変形例(3)によれば、比較的簡易な操作によって、試合を再開するまでの時間をユーザ又は対戦相手に調整させることができる。
【0103】
(4)また例えば、ボールボーイ62が選手キャラクタ54(56)にボール58をなかなか渡さない場合には、選手キャラクタ54(56)がボール58を要求するような動作をさせるようにしてもよい。
【0104】
図6は、変形例(4)の機能ブロック図である。図6に示すように、変形例(4)では、実施形態の機能に加え、アクション制御部82が実現される。アクション制御部82は、制御部14を主として実現される。
【0105】
アクション制御部82は、競技においてプレイが停止した場合のゲームの状況に基づいて、中立キャラクタ(例えば、ボールボーイ62)に対する他のキャラクタ(例えば、選手キャラクタ54(56))の動作を制御する。ボールボーイ62に対する選手キャラクタ54(56)の動作とは、選手キャラクタ54(56)がボールボーイ62に向けて行う動作であり、選手キャラクタ54(56)がボールボーイ62の方を向いて行う動作である。
【0106】
ボールボーイ62に対する選手キャラクタ54(56)の動作を示すモーションデータは、ゲームデータ記憶部70に予め記憶されているものとする。例えば、アクション制御部82は、モーションデータを再生することによって、選手キャラクタ54(56)が属するチームが劣勢である場合、ボールボーイ62に対して所定動作を早く行うように要求する動作を、選手キャラクタ54(56)に実行させる。
【0107】
変形例(4)によれば、ボールボーイ62がボール58をなかなか渡さなかった場合に、ボール58を要求するような動作を選手キャラクタ54(56)にさせることができるので、ゲームのリアリティを向上させることができる。
【0108】
(5)また例えば、実施形態においては、中立キャラクタの一例としてボールボーイ62を例に挙げて説明したが、中立キャラクタは、試合を再開するための動作を行うキャラクタであればよい。他にも例えば、中立キャラクタは、試合を再開するための合図(例えば、ホイッスルを鳴らしたり、所与のポーズをとったりすること)を審判キャラクタであってもよい。
【0109】
この場合、試合において反則が発生した場合に、停止判定部74は、競技においてプレイが停止したと判定する。そして、再開部80は、審判キャラクタが所定動作(例えば、ホイッスルを鳴らしたり、所定のポーズをとったりすること)をした場合に、競技を再開させる。行動制御部78は、反則が発生してアウトオブプレイの状態になった後に、ユーザ又は対戦相手の操作により、審判キャラクタを動作させることになる。ユーザ又は対戦相手が所与の操作を行うと、審判キャラクタが所定動作を行うことになる。
【0110】
また例えば、予め用意された複数種類の競技場の各々にホームチームが関連付けられている場合を説明したが、ゲームの開始時に、ユーザによりホームチームが選択されるようにしてもよい。この場合、ユーザの選択内容が主記憶16に保持され、ゲームの実行中において、当該選択内容が参照されることによって、ホームチームが特定されることになる。
【0111】
また例えば、実施形態においては、アウトオブプレイの状態であっても、試合の経過時間を更新する場合を説明したが、試合が中断している間は経過時間を更新しないようにしてもよい。経過時間を更新しなかったとしても、試合が再開するタイミングをユーザ又は対戦相手に調整させることによって、ユーザ又は対戦相手の何れかが有利になったり不利になったりする。
【0112】
例えば、あるチームの陣形が崩れている場合に、試合が再開するまでの時間を長くするほど、当該チームは陣形を整えやすくなるので有利になる。一方、試合が再開するまでの時間を短くするほど、当該チームは陣形を整えにくくなるので不利になる。また例えば、試合が再開するまでの時間を長くするほど、ユーザ又は対戦相手が戦術を考える時間が長くなるが、試合が再開するまでの時間を短くするほど、ユーザ又は対戦相手が戦術を考える時間が短くなるので、ユーザ又は対戦相手が有利になったり不利になったりする。
【0113】
また例えば、ゲーム空間40を、図2に示すような3次元空間として説明したが、本発明に係るゲーム空間は、選手キャラクタ54(56)やボール58の位置等が、2つの座標要素で管理されるような2次元ゲーム空間であってもよい。
【0114】
また例えば、本発明は、サッカーゲーム以外のゲームを実行するゲーム装置にも適用することができる。本発明は、競技に関するゲームに適用できる。例えば、バスケットボールゲーム、アイスホッケーゲーム、又は、アメリカンフットボールゲームなどを実行するゲーム装置にも、本発明を適用することができる。他にも例えば、ボクシングゲームやプロレスゲーム等を実行するゲーム装置にも適用することができる。各競技のルールに基づいて、競技のプレイが停止したか否かが判定されるようにすればよく、各競技の進行を支援する中立的な立場の人物を模したキャラクタを、ユーザ又は対戦相手の操作に基づいて動作させるようにすればよい。
【符号の説明】
【0115】
10 ゲーム装置、11 家庭用ゲーム機、12 バス、14 制御部、16 主記憶、18 画像処理部、20 入出力処理部、22 音声処理部、24 光ディスク再生部、26 ハードディスク、28 通信インタフェース、30 コントローラ、30a 表面、32 表示部、34 音声出力部、36 光ディスク、40 ゲーム空間、42 フィールド、44a,44b ゴールライン、46a,46b タッチライン、48 センターライン、50 ピッチ、52 ゴール、54,56 選手キャラクタ、58 ボール、60 仮想カメラ、62 ボールボーイ、70 ゲームデータ記憶部、72 ゲーム制御部、74 停止判定部、76 決定部、78 行動制御部、80 再開部、82 アクション制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6