特許第5763626号(P5763626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特許5763626ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ
<>
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000002
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000003
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000004
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000005
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000006
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000007
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000008
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000009
  • 特許5763626-ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763626
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ミニスペクトロメータ用の高透過率及び広阻止帯域を有する干渉フィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20150723BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   G02B5/28
   G02B5/26
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-515597(P2012-515597)
(86)(22)【出願日】2010年6月11日
(65)【公表番号】特表2012-530271(P2012-530271A)
(43)【公表日】2012年11月29日
(86)【国際出願番号】IB2010052602
(87)【国際公開番号】WO2010146510
(87)【国際公開日】20101223
【審査請求日】2013年6月7日
(31)【優先権主張番号】09162972.5
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】メイエル,エドゥアルト ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ティンメリンフ,コルネリス ユースタティウス
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−144804(JP,A)
【文献】 特開2002−277326(JP,A)
【文献】 特開2007−171179(JP,A)
【文献】 米国特許第6859483(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/28
G02B 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を受ける干渉フィルタであって、当該干渉フィルタは前記入射光の光成分を選択して、フィルタリングされた光として当該干渉フィルタを透過させ、当該干渉フィルタは:
− 金属ミラー;
− 誘電体ミラー;及び
− 前記金属ミラーと前記誘電体ミラーとの間に配置されたスペーサ;
を有し、
前記金属ミラー及び前記誘電体ミラーは、前記スペーサ内での光学干渉を可能にして、前記入射光の前記光成分を選択して透過させるように構成されており、
前記金属ミラーは、基板上に配置され、且つ、該基板に面する面を除く全ての面で前記スペーサによって覆われている、
干渉フィルタ。
【請求項2】
前記スペーサの厚さ及び組成のうちの少なくとも一方が、前記入射光の前記光成分を選択して透過させるように定められる、請求項に記載の干渉フィルタ。
【請求項3】
前記入射光のうち140nmの範囲内の中心波長を有する前記光成分を選択して透過させるために、前記スペーサの厚さは60nmの範囲内で定められ、前記金属ミラーの厚さ及び前記誘電体ミラーの厚さは一定のままにされる、請求項に記載の干渉フィルタ。
【請求項4】
前記金属ミラーは基板上に配置され、当該干渉フィルタは更に、前記基板と金属層との間に配置された薄膜スペーサ層を有する、請求項1乃至の何れか一項に記載の干渉フィルタ。
【請求項5】
入射光を受け、且つ前記入射光の光成分のうちの1つ以上を検出するミニスペクトロメータであって:
− 請求項1乃至の何れか一項に記載の干渉フィルタである第1の干渉フィルタであり、前記入射光を受け、且つ前記入射光の第1の光成分を選択して、フィルタリングされた光として当該第1の干渉フィルタを透過させるように構成された、第1の干渉フィルタ;及び
− 前記第1の干渉フィルタによって透過された前記第1の光成分を検出するように構成された第1の光検出器;
を有し、
前記第1の干渉フィルタは、第1の金属ミラー、第1の誘電体ミラー、及び前記第1の金属ミラーと前記第1の誘電体ミラーとの間に配置された第1のスペーサを有し、且つ
前記第1の金属ミラー及び前記第1の誘電体ミラーは、前記第1のスペーサ内での光学干渉を可能にして、前記入射光の前記第1の光成分を選択して透過させるように構成されている、
ミニスペクトロメータ。
【請求項6】
前記第1のスペーサの厚さ及び組成のうちの少なくとも一方が、前記入射光の前記第1の光成分を選択して透過させるように定められる、請求項に記載のミニスペクトロメータ。
【請求項7】
前記入射光のうち140nmの範囲内の第1の中心波長を有する前記第1の光成分を選択して透過させるために、前記第1のスペーサの厚さは60nmの範囲内で定められ、前記第1の金属ミラーの厚さ及び前記第1の誘電体ミラーの厚さは一定のままにされる、請求項に記載のミニスペクトロメータ。
【請求項8】
− 前記入射光を受ける第2の干渉フィルタであり、且つ前記入射光の第2の光成分を選択して、フィルタリングされた光として当該第2の干渉フィルタを透過させるように構成された第2の干渉フィルタ;及び
− 前記第2の干渉フィルタによって透過された前記第2の光成分を検出するように構成された第2の光検出器;
を更に有し、
前記第2の干渉フィルタは、第2の金属ミラー、第2の誘電体ミラー、及び前記第2の金属ミラーと前記第2の誘電体ミラーとの間に配置された第2のスペーサを有し、且つ
前記第2の金属ミラー及び前記第2の誘電体ミラーは、前記第2のスペーサ内での光学干渉を可能にして、前記入射光の前記第2の光成分を選択して透過させるように構成され、前記第2の光成分は、透過される波長において、前記第1の光成分とは異なる、
請求項乃至の何れか一項に記載のミニスペクトロメータ。
【請求項9】
前記第1のスペーサは第1の厚さを有し;
前記第2のスペーサは第2の厚さを有し;
前記第1の金属ミラー及び前記第2の金属ミラーは第3の厚さを有し;且つ
前記第1の誘電体ミラー及び前記第2の誘電体ミラーは第4の厚さを有する;
請求項に記載のミニスペクトロメータ。
【請求項10】
請求項1乃至の何れか一項に記載の干渉フィルタである少なくとも第1の干渉フィルタを製造する方法であって、前記第1の干渉フィルタは、入射光を受け、且つ前記入射光の第1の光成分を選択して、フィルタリングされた光として前記第1の干渉フィルタを透過させ、当該方法は:
− 第1の金属ミラーを設ける工程;
− 前記第1の金属ミラー上にスペーサを設ける工程;及び
− 前記スペーサ上に誘電体ミラーを設ける工程;
を有し、
前記第1の金属ミラーと、前記第1の金属ミラーの実質的に上に設けられた前記スペーサの部分と、前記第1の金属ミラーの実質的に上に設けられた前記スペーサの前記部分の実質的に上に設けられた前記誘電体ミラーの部分とが、前記入射光を受け且つ前記入射光の前記第1の光成分を選択して透過させる前記第1の干渉フィルタを形成する、
方法。
【請求項11】
第2の金属ミラーを設ける工程を更に有する請求項10に記載の方法であって:
− 前記スペーサは更に前記第2の金属ミラー上に設けられ、前記第1の金属ミラーの実質的に上に設けられる前記スペーサの部分が第1の厚さを有し、且つ前記第2の金属ミラーの実質的に上に設けられる前記スペーサの部分が第2の厚さを有するようにされ;
− 前記誘電体ミラーは更に前記スペーサ上に設けられ;
− 前記第2の金属ミラーと、前記第2の金属ミラーの実質的に上に設けられた前記スペーサの部分と、前記第2の金属ミラーの実質的に上に設けられた前記スペーサの該部分の実質的に上に設けられた前記誘電体ミラーの部分とが、前記入射光を受け且つ前記入射光の第2の光成分を選択して透過させる第2の干渉フィルタを形成し、前記第2の光成分は、透過される波長において、前記第1の光成分とは異なる;
方法。
【請求項12】
− 前記第1の金属ミラーは、第1の光検出器を有する基板上に、当該第1の金属ミラーが該第1の光検出器の実質的に上に配置されるように設けられ;且つ
− 前記第1の光検出器は、前記第1の光成分を検出するように構成される;
請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の金属ミラーは、前記基板に面する面を除く全ての面で前記スペーサによって完全に覆われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
− 前記第1の金属ミラー及び前記第2の金属ミラーは第3の厚さを有し;且つ
− 前記第1の干渉フィルタを形成する前記誘電体ミラーの前記部分、及び前記第2の干渉フィルタを形成する前記誘電体ミラーの前記部分は、第4の厚さを有する;
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光フィルタに関し、より具体的には干渉フィルタ及び該干渉フィルタを有するミニスペクトロメータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の光源を含んだ照明システムが開発されている。そのような照明システムの一例は、構造物(例えば、部屋、ロビー又は車両)内に数組の光源を配置し、消費者がその構造物に所望の雰囲気を得ることを可能にするものである。例えば、発光ダイオード(LED)などの光源は、電気的に駆動されて、特定のスペクトルの光を生成する。個々の光源のスペクトルは、光源ごとに異なることがあり、経時的に変化することがあり、また、駆動レベルに依存することがある。故に、照明システムの適切な制御を実現するためには、光スペクトルの正確な測定が必要である。
【0003】
照明システムの光スペクトルを測定する1つの手法は、光検出器に結合された狭帯域カラーフィルタ群のアレイを含んだスペクトロメータ(分光計)を用いるものである。全ての光検出器が、対応するカラーフィルタによってフィルタリングされた、光の小さい部分を測定する。複数の光検出器からの個々の結果を用いて、スペクトル全体を再構築することができる。
【0004】
狭帯域カラーフィルタの1つのタイプは、スペーサ層によって離隔された2つの誘電体ミラーを含んだ干渉フィルタである。このようなフィルタは、所望の波長での比較的高い透過率と非常に狭い応答とを実現するが、この種のフィルタは、所望の波長に加えて、当該フィルタの阻止帯域外のその他の波長(すなわち、サイドバンド)が当該フィルタを透過するという特有の欠点を有する。サイドバンドを除去するため、該フィルタはハイパスフィルタ及びローパスフィルタと組み合わされなければならない。これは、複雑性を増すとともに、このようなフィルタを含んだ装置のコストを上昇させる。また、サイドバンドは、入射光のうちの透過されるべき光成分を選択するためにスペーサ層の厚さだけでなく誘電体ミラーの厚さをも変える必要があるという状況をもたらす。これは、スペクトロメータ用途にとって問題である。これらの用途では、スペクトルの可視部分内で必要な限りの多くの異なるフィルタ応答を、可能な限り小さいバラつきで得ることが望まれる。
【0005】
別の1つのタイプの狭帯域カラーフィルタは、スペーサ層によって離隔された2つの金属ミラーを含んだ干渉フィルタである。このようなフィルタは典型的に、誘電体ミラーに関して述べたサイドバンドの問題を有しない。また、金属ミラーの厚さを増大させることで応答を狭くすることができる。しかしながら、金属ミラーを厚くすることは所望の波長での透過率の低下をも生じさせるので、このようなフィルタの透過率は、誘電体ミラーを用いたときのものと同じほど高くはない。また、光学的な観点から最適な金属である銀は、環境条件において乏しい安定性を有する。故に、銀を保護するために、典型的に、更なるパッケージングが必要とされ、やはり、そのようなミラーを含む装置の複雑性及びコストを増大させてしまう。
【0006】
以上にて示されるように、所望の波長での高い透過率、狭い応答帯域、広い阻止帯域、及び環境条件内での良好な安定性、を有する干渉フィルタを提供することが技術的に望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、改善された、コスト効率の良好な干渉フィルタ、及びそのような干渉フィルタを組み込んだミニスペクトロメータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの目的は、金属ミラー、誘電体ミラー、及び金属ミラーと誘電体ミラーとの間に配置されたスペーサを含む干渉フィルタによって達成される。金属ミラー及び誘電体ミラーは、スペーサ内での光学干渉を可能にして、入射光の光成分を選択し、フィルタリングされた光として干渉フィルタを透過させるように構成される。金属ミラーは銀を有し得る。誘電体ミラーは、低屈折率材料が高屈折率材料上に配置された繰り返し単位を少なくとも1つ含む1/4波長スタックを有し得る。スペーサは、好ましくは不活性ガスであるガスで充填されたキャビティを有していてもよいし、あるいは、透過されるべき入射光の光成分に対して光学的に透明な非気体材料を有していてもよい。
【0009】
1つの誘電体ミラーと1つの金属ミラーとを組み合わせることは、これらミラーの厚さを一定に維持しながらスペーサの厚さのみを変化させることによって、背景技術の節で説明した金属ミラーベースのフィルタ及び誘電体ミラーベースのフィルタに対して、選択された光成分の一層高い透過率値を有することと、より広い波長範囲内で干渉フィルタの選択を調整することとを可能にする。
【0010】
このような干渉フィルタを含むミニスペクトロメータも開示される。ミニスペクトロメータは更に、干渉フィルタによって透過された光成分を検出するように構成された光検出器を含む。
【0011】
さらに、少なくとも、入射光を受け且つ入射光の第1の光成分を選択してフィルタリングされた光として当該干渉フィルタを透過させる第1の干渉フィルタ、を製造する方法が提供される。この方法は、第1の金属ミラーを設ける工程と、第1の金属ミラー上にスペーサを設ける工程と、スペーサ上に誘電体ミラーを設ける工程とを含む。第1の金属ミラーと、第1の金属ミラーの実質的に上に設けられたスペーサ部分と、第1の金属ミラーの実質的に上に設けられたスペーサ部分の実質的に上に設けられた誘電体ミラー部分とが、入射光を受け且つ入射光の第1の光成分を選択してフィルタリングされた光として当該干渉フィルタを透過させる第1の干渉フィルタを形成する。
【0012】
本発明の骨子は、スペーサによって離隔された金属ミラーと誘電体ミラーとを含めることによって、ハイブリッド光学干渉フィルタを提供することにある。金属ミラー及び誘電体ミラーの固定された厚さに対し、スペーサ厚を選択あるいは制御することによって、フィルタの所望のスペクトル応答が得られる。このように1つの金属ミラーと1つの誘電体ミラーとを用いることは、従来技術に係る手法に対して、フィルタ内の層の総数を削減し且つ透過されるサイドバンドを除去するのに必要な更なるフィルタの数を削減しながら、高いフィネス及び広い阻止帯域を有するスペクトル応答を達成することを可能にする。また、本発明の一実施形態によれば、金属ミラーをボトムミラーとして設け、金属ミラーをスペーサ及び誘電体ミラーで覆うことは、金属ミラーを劣化から保護することを可能にするとともに、金属ミラーの保護を保ちながら構造体のダイシングあるいはソーイングすることを容易にする。
【0013】
ここでは、用語“光”は、可視スペクトルの内側及び外側双方の光学的放射線を表す。
【0014】
請求項2及び7に係る実施形態は有利なことに、入射光のうちの透過させる光成分を、スペーサの厚さ又は組成の何れかを変更することによって選択することを可能にする。例えば、組成を変化させて屈折率を制御することにより、実効的な光学厚さが変化される。故に、こうすることは、透過させる入射光の光成分の選択を調整することを可能にする。
【0015】
請求項10及び15に係る実施形態は、透過される光成分を選択するために、金属ミラー及び誘電体ミラーの厚さを一定に保ちながら、スペーサの厚さが変更され得ることを特定している。請求項3及び8に係る実施形態は、金属ミラー及び誘電体ミラーの厚さが一定に維持されるときの、スペーサの厚さを変化させる範囲と、透過される入射光の光成分に関する範囲とを開示している。
【0016】
請求項4及び14に係る実施形態は、環境条件からの金属ミラーの保護を可能にする。
【0017】
請求項5に係る実施形態は、金属ミラーの下にスペーサを組み入れることを可能にする。
【0018】
請求項9に係る実施形態は、透過波長においてそれぞれ異なる2セット以上の、干渉フィルタ及び光成分を検出する光検出器をミニスペクトロメータに組み入れることを可能にする。
【0019】
請求項12に係る実施形態は有利なことに、2つの干渉フィルタを製造することを可能にする。特定の一実施形態において、スペーサ及び誘電体ミラーのうちの少なくとも一方は、双方のフィルタ上に同時に配設され得る。
【0020】
請求項13に係る実施形態は、少なくとも1つの干渉フィルタが、光検出器を含む基板上に製造され得ることを開示している。
【0021】
以下、本発明の実施形態を更に詳細に説明する。しかしながら、認識されるように、これらの実施形態は、本発明の保護範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
Applied Optics、2002年6月、Vol.41(16)、pp.3312-3318の科学文献に、2つのミラーを含み、それらの間に有機発光材料(トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム、略称Alq)の膜が堆積された、ファブリーペロー型マイクロキャビティ構造が記載されている。これらのミラーは共に、Ag(タイプA構造)、及び誘電性TiO−SiO多層材料(タイプB構造)からなることができる。タイプCのマイクロキャビティ構造は、Agからなる一方のミラーと、誘電性TiO−SiO多層材料からなる他方のミラーとを有する。これら3つの構造における有機発光層の光学特性が、相互に比較されるとともに、ベア(むき出し)のAlq膜と比較されている。この文献は、ベア膜におけるフォトルミネッセンス・ピーク(PL)の半値全幅(FWHM)が、その膜がマイクロキャビティ構造内に堆積される場合に低減されることを例証している。この低減はタイプB構造において最大である。また、Alq膜内で生成される放射光のフォトルミネッセンス・ピーク(PL)は、スペーサ厚さを変化させることによって制御され得る。これらの有機マイクロキャビティ構造の光源としての使用は将来のディスプレイに有用であると期待されることが記載されている。
この文献は、入射光を受け、且つ前記入射光の第1の光成分を選択して、フィルタリングされた光として当該干渉フィルタを透過させる干渉フィルタを教示あるいは示唆していない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に従ったハイブリッドフィルタを例示する模式図である。
図2A】長波長域の7層ハイブリッドフィルタのスペクトル応答を例示する図である。
図2B】様々なスペーサ厚の長波長域の7層ハイブリッドフィルタのスペクトル応答を例示する図である。
図3A】短波長域の7層ハイブリッドフィルタのスペクトル応答を例示する図である。
図3B】様々なスペーサ厚の短波長域の7層ハイブリッドフィルタのスペクトル応答を例示する図である。
図4A】本発明の一実施形態に従った2つのハイブリッドフィルタを有する装置を例示する模式図である。
図4B】本発明の他の一実施形態に従った2つのハイブリッドフィルタを有する装置を例示する模式図である。
図5】本発明の一実施形態に従ったミニスペクトロメータを例示する模式図である。
図6】本発明の一実施形態に従ったミニスペクトロメータの用途を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に従ったハイブリッド(複合型)金属−誘電体カラーフィルタ100の模式図である。図示のように、ハイブリッドフィルタ100は金属ミラー110及び誘電体ミラー130を含んでいる。金属ミラー110と誘電体ミラー130との間にスペーサ120が挟まれている。
【0024】
金属ミラー110は、例えば銀(Ag)又はアルミニウム(Al)など薄い金属層を有し得る。誘電体ミラー130は、低屈折率材料が高屈折率材料上に配置された繰り返し単位を1つ以上含んだ誘電体1/4波長リフレクタ(反射体)スタック(積層体)を有し得る。金属ミラー110及び誘電体ミラー130は、具体的用途の関心波長を有する光に対して半反射性である。
【0025】
スペーサ120は、関心波長を有する光に対して実質的に透明であれば、如何なる材料を有していてもよい。可視波長域において、スペーサ120は例えば、SiO、TiO、SiN、Ta又はZnSを有し得る。スペーサ120はまた、液体、空気又はガス、好ましくは不活性ガス、で充填されたキャビティ(空洞)を有していてもよい。
【0026】
以下の説明においては、基板上に金属ミラー110が配置され、スペーサ120は金属ミラー110上に配置された固体材料を有し、且つ該スペーサ上に誘電体ミラー130が配置されると仮定する。しかしながら、他の実施形態においては、誘電体ミラー130が基板上に配置され、金属ミラー110が、誘電体ミラー130及びスペーサ120を覆う頂部のミラーとして配置され、スペーサ120(ガス又は固体の何れか)が誘電体ミラー130と金属ミラー110との間に配置されてもよい。
【0027】
動作時、“入射光135”として図1に示すように、様々な波長の光がハイブリッドフィルタ100、具体的には、ハイブリッドフィルタ100の誘電体ミラー130に入射し得る。2つの半反射面(金属ミラー110及び誘電体ミラー130)によってスペーサ120内に生じる光学干渉により、特定の波長域の光成分のみがハイブリッドフィルタ100を通過することになる(すなわち、“フィルタリングされた光115”として図1に示すように、金属ミラー110から出て行くことになる)。ここでは、この特定の波長域を“透過帯域”と呼び、最大の透過率を有する透過帯域内の光の波長を、フィルタのスペクトル応答の“中心波長”と呼ぶ。ハイブリッドフィルタ100を通過しない光の波長のことは、ここでは、“阻止帯域”に属するものとして参照する。
【0028】
金属ミラー110は典型的に、フィルタリングされた光115を受けるように構成された、基板(図1に図示せず)及び/又は光検出器若しくはその他のデバイス(図1に図示せず)の上に配置される。そのような実施形態において、金属ミラー110は、スペーサ120によって完全に覆われていてもよく、すなわち、当該金属ミラー110が載置された基板、光検出器又はその他のデバイスに面する面を除く全ての面で、スペーサ120によって覆われていてもよい。このような構成は、金属ミラー110を劣化から防ぎ得る。
【0029】
ハイブリッドフィルタ100は、特定のスペクトル応答を提供する。スペクトル応答は、例えば、特定の透過率及び阻止帯域、応答の特定の中心波長、中心波長の光の特定の透過率値、及び/又は、フィルタリングされる光成分の特定の半値全幅(FWHM)の観点で記述され得る。特定の入射光に対して、ハイブリッドフィルタのスペクトル応答は、とりわけ、金属ミラー110、スペーサ120及び誘電体ミラー130の組成及び厚さに依存する。以下の各説明においては、金属ミラー110、スペーサ120及び誘電体ミラー130の組成は選択されて一定にされると仮定する。
【0030】
図2A、2B、3A及び3Bに示すように、金属ミラー110及び誘電体ミラー130の厚さを固定した場合、ハイブリッドフィルタ100の所望のスペクトル応答は、スペーサ120の適切な厚さを選定することによって得られる。
【0031】
図2Aは、スペーサ120の厚さが162nmであるときの、長波長域の7層ハイブリッドフィルタのスペクトル応答を例示している。本発明の一実施形態によれば、7層ハイブリッドフィルタは以下の7つの層を含み得る。金属ミラー110は30nm厚のAgの(ボトム)層を有し得る。スペーサ120はSiNの層を有し得る。誘電体ミラー130は、650nmのリファレンス波長に対して、TiO(高屈折率材料)及びSiO(低屈折率材料)の5つの1/4波長厚の層を有し得る。当業者に認識されるように、用語“リファレンス(参照)波長”は、誘電体ミラー130の反射性の中心がその波長付近に置かれる波長を意味する。
【0032】
図2Aのx軸は、nm単位で測定される波長を指し示すために用いられている。図2Aのy軸は、百分率(%)で表現される、フィルタリングされた光115の強度と入射光135の強度との比に比例する透過率を指し示すために用いられている。図2Aに示されるように、スペクトル応答は、比較的広い阻止帯域、(約700nmの)中心波長での高い透過率、及び狭いFWHM(すなわち、高いフィネス)によって特徴付けられる。
【0033】
図2Bは、スペーサ120の厚さを98nmと162nmとの間で変化させたときの、図2Aにて説明した7層ハイブリッドフィルタのスペクトル応答を例示している。図2Bに示されるように、スペーサ120の厚さを変化させることは、応答の中心波長をシフトさせる。550nmと900nmとの間の波長に関して、図示した応答の全てが、それらの中心波長における高い透過率と、狭いFWHMとを有している。550nm未満の波長における付加的な透過は、単一のハイパスガラスフィルタ又はハイパス誘電体フィルタを含めることによってフィルタリング除去され得る。このような透過帯域外での付加的な透過のことを、ここでは、“透過サイドローブ”と呼ぶ。
【0034】
本発明の他の一実施形態によれば、ハイブリッドフィルタ100は以下の7層を含み得る。金属ミラー110は30nm厚のAgの(ボトム)層を有し得る。スペーサ120はSiNの層を有し得る。誘電体ミラー130は、460nmのリファレンス波長に対して、TiO(高屈折率材料)及びSiO(低屈折率材料)の5つの1/4波長厚の層を有し得る。図3Aは、スペーサ120の厚さが133nmであるときの、このような短波長域の7層ハイブリッドフィルタのスペクトル応答を例示している。
【0035】
図3Aに示されるように、スペクトル応答は、この場合も、比較的広い阻止帯域、(約540nmの)中心波長での高い透過率、及び高いフィネスによって特徴付けられる。図3Bは、スペーサ120の厚さを58nmと133nmとの間で変化させたときの、図3Aにて説明した7層ハイブリッドフィルタのスペクトル応答を例示している。図3Bに示されるように、スペーサ120の厚さを変化させることは、スペクトル応答の中心波長をシフトさせる。400nmと550nmとの間の波長に関して、図3Bに示した応答の全てが、中心波長における高い透過率と、狭いFWHMとを有している。約550nmより長い波長における透過サイドローブは、1つ以上の更なるフィルタを含めることによってフィルタリング除去され得る。
【0036】
以上にて示したように、“ボトム(底部)”ミラーとしての金属ミラー110と、“トップ(頂部)”ミラーとしての誘電体ミラー130とを有するハイブリッドフィルタ100は、従来技術に係る手法に対して、透過サイドローブを除去するために必要な追加のフィルタの数を削減しながら、フィルタリングされる光の広い阻止帯域及び高いフィネスを達成することを可能にする。
【0037】
さらに、ハイブリッドフィルタ100は、スペーサ120の厚さを変化させるだけで(すなわち、金属ミラー110及び誘電体ミラー130の厚さを変化させることなく)スペクトル応答の中心波長をシフトさせることを可能にする。これは、背景技術の節で説明したオール(全)誘電体フィルタでは不可能である。当業者に認識されるように、広い阻止帯域を保ちながらオール誘電体フィルタの中心波長をシフトさせるためには、誘電体ミラーの厚さも変化させなければならない。スペーサ120の厚さを変化させるのみで中心波長をシフトさせることが可能であるという特徴は、後述のように、異なるスペクトル応答を有する2つ以上のフィルタを含む装置(例えば、スペクトロメータ、光センサ)の製造を単純化する。何故なら、さもなければ、フィルタごとに新たなスタックを堆積する必要があり、より多くの堆積の実行及びリソグラフィが生じるからである。
【0038】
図4Aは、本発明の一実施形態に従った、ハイブリッドフィルタ401とハイブリッドフィルタ402とを有する装置400Aを例示する模式図である。図示のように、ハイブリッドフィルタ401及び402は、例えばガラス又はサファイアなどの透明基板440上に配設されている。
【0039】
必要に応じて、ハイブリッドフィルタ401及び402と基板440との間に、薄膜スペーサ層450が配置され得る。スペーサ層450は、関心波長において実質的に透明であれば、如何なる材料を有していてもよい。可視波長域において、スペーサ層450は例えば、SiO、TiO、SiN、Ta又はZnSを有し得る。スペーサ層450の厚さは、ハイブリッドフィルタ401及び402の応答に影響を及ぼさないよう、関心波長のサブ波長レンジにあるように選定され得る。例えば、可視波長域において、スペーサ層450の厚さは5nmと50nmとの間にされ得る。スペーサ層450の厚さはまた、関心ある波長域にわたってスペーサ層450がフラットな透過を生み出すように選定されてもよい。この場合、可視波長域では、スペーサ層450の厚さはおよそ50nmとし得る。
【0040】
図4Aに更に示すように、ハイブリッドフィルタ401及び402の“ボトム”ミラーとして、構造化された金属ミラー410が使用され得る。このような構造化された金属ミラー410は、図1にて説明した金属ミラー110と類似であり、例えば、シャドウマスクを介して堆積され得る。他の例では、金属層がスパッタされた後に光リソグラフィによってパターニングされて、構造化された金属ミラー410が作り出されてもよい。故に、単一の一体化された金属ミラーも可能であるが、有利には、金属ミラーはパターニングされる。図1にて説明したスペーサ120に類似のスペーサ420の連続層が金属ミラー410上に堆積されるとき、金属ミラーをパターニングしておくことは、それらミラー部分の、スペーサによる完全な封止をもたらす。これは、例えば塩化物及び硫化物を含む空気/水分への露出の影響下での酸化などの劣化に対する保護を高める。また、パターニングされた金属ミラーを適用することは、金属層を切断する(やはり、金属層を環境に露出させることになる)必要なく製造物をダイシングすることを可能にする。スペーサ420の堆積中又は堆積後、ハイブリッドフィルタ401のスペーサ420とハイブリッドフィルタ402のスペーサ420とに、相異なる層厚が画成され得る。これは、例えば、階段状の構造を形成するように相異なる領域を相異なる時間だけエッチングすることによって達成され得る。他の例では、楔型構造を形成するように、連続的に傾斜された厚さのスペーサを得ることができる。製造の最後の工程として、スペーサ420上に誘電体ミラー430が堆積される。誘電体ミラー430は、図1にて説明した誘電体ミラー130と類似である。
【0041】
スペーサ420及び/又は誘電体ミラー430は、金属ミラー410の側面を含めて、金属ミラー410を完全に覆うことができ、故に、金属ミラー410の自動パッケージングを提供し得る。このような手法を用いるとき、その光学特性によりハイブリッドフィルタでの使用に好適であるが、環境条件で乏しい安定性を有する金属が、ハイブリッドフィルタ401及び402に使用されてもよい。また、金属ミラー410の完全な被覆は、金属ミラー410の保護を保ちながら装置400Aをダイシングあるいはソーイングする(例えば、ハイブリッドフィルタ401と402とを分離する)ことも可能にする。
【0042】
スペーサ420は、ハイブリッドフィルタ401及び402において相異なる厚さを有するので、これらのフィルタは相異なるスペクトル応答を提供する(すなわち、これらのフィルタは相異なる光成分を透過させる)。より具体的には、ハイブリッドフィルタ401のスペクトル応答の中心波長は、ハイブリッドフィルタ402のそれと異なる。同時に、金属ミラー410及び誘電体ミラー430の組成及び厚さは、双方のハイブリッドフィルタ401及び402で同じとし得る。1つの誘電体ミラー及び1つの金属ミラーを用いることは、選択された光成分に対して一層高い透過率値を有すること、及びスペーサ420の厚さのみを選択することによって(すなわち、ミラーの組成及び厚さを一定に維持しながら)、背景技術の節で説明したオール誘電体ミラーに基づく干渉フィルタを用いて可能なものより広い波長範囲内で、また、背景技術の節で説明したオール金属ミラーに基づく干渉フィルタより高い透過率で、スペクトル応答(すなわち、フィルタによって透過される光の成分)を選択することを可能にする。
【0043】
スペーサ420の厚さを変化させることのみによってスペクトル応答を選択する範囲は、フィルタの短波長側のサイドバンドのスペクトル位置に依存する。例えば、30nm厚の銀ミラーと、SiNスペーサと、SiO層及びTiO層を交互にした5つの層を含む誘電体ミラーとを含む干渉フィルタの場合、誘電体ミラー及び金属ミラーの組成及び厚さを一定に維持しながら、スペクトル応答の中心波長を560nmと700nmとの間で選択するために、スペーサ420の厚さは100nmから160nmまで変化され得る。故に、入射光のうち140nmの範囲内の中心波長を有する光成分を透過させるべく選択するために、金属ミラー410の厚さ及び誘電体ミラー430の厚さは一定にされたまま、スペーサ420の厚さが60nmの範囲内で定められ得る。このような場合、装置400は、30nm厚の銀層を有する金属ミラー410と、SiO及びTiOを交互にした5つの層を有する誘電体ミラー430と、干渉フィルタ401を形成するスペーサ420の第1部分で例えば100nmの厚さを有し、干渉フィルタ402を形成するスペーサ420の第2部分で例えば160nmの厚さを有するSiN層を有するスペーサ420とを含むように製造され得る。この構成では、干渉フィルタ401によって透過される光成分の中心波長は560nmとなり、干渉フィルタ402によって透過される光成分の中心波長は700nmとなり得る。故に、装置400は、可能な限り少ない労力及びレイヤ群の変更でスペクトルの可視部分に複数の異なるフィルタ応答を得ることが望まれる用途、例えばミニスペクトロメータ用途、で有利に使用され得る。上述のように装置400を製造することは、装置400が含められ得るシステムのコスト及び複雑性を低減することを可能にする。
【0044】
図4Bは、本発明の他の一実施形態に従った2つのハイブリッドフィルタ401及び402を有する装置を例示する模式図である。装置400Bは、金属ミラー410が、透明基板440に代わるシリコン基板460の上に配設されている点でのみ、装置400Aと異なっている。スペーサ層450は、この場合、シリコン基板内の光検出器から金属電極を電気的に絶縁する目的を果たし得る。図4Bに示すように、シリコン基板460は光検出器471及び472を含み得る。ハイブリッドフィルタ401及び402は光検出器471及び472の上に配置され、それにより、光検出器471は、ハイブリッドフィルタ401によってフィルタリングされた光を受けるように構成され、光検出器472は、ハイブリッドフィルタ402によってフィルタリングされた光を受けるように構成されている。上述のように、ハイブリッドフィルタ401及び402の各々は、特定の波長域の光のみを選択して透過させ、それにより、対応する光検出器471及び472による、2つのかなり狭い波長域での光強度の正確な測定がもたらされる。ハイブリッドフィルタ401及び402によって透過された光の検出から得られる電気信号が、制御電子装置によって処理され得る。これらもまた、シリコン基板460内に配設され得る(図4Bに図示せず)。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態に従ったミニスペクトロメータ500を例示する模式図である。図示のように、ミニスペクトロメータ500は、少なくともハイブリッドフィルタ501及び502を含み、必要に応じてハイブリッドフィルタ503−509を含む。ハイブリッドフィルタ501−509は、図4A及び4Bにて説明したハイブリッドフィルタ401及び402と同様に、堆積されて構造化され得る。ハイブリッドフィルタ501−509においてスペーサ420の厚さが変化され、ハイブリッドフィルタ501−509の各々からの様々なスペクトル応答が得られる。換言すれば、ミニスペクトロメータ500に入射する複数の波長の光から、ハイブリッドフィルタ501−509のうちの少なくとも2つが、異なる波長域を有する光成分を透過させるべく選択する。要するに、ハイブリッドフィルタ501−509からのスペクトル応答群が、入射光のスペクトル全体を構成し得る。例えば、ハイブリッドフィルタ501−509からのスペクトル応答群の和は、可視スペクトル全体をカバーし得る。
【0046】
ハイブリッドフィルタ501−509は、少なくとも光検出器571及び572を含み、必要に応じて光検出器573−579を含む基板上に置かれ得る。これらの光検出器は、ハイブリッドフィルタ501−509の各々によって透過される光の経路内(すなわち、図4Bに示したように、ハイブリッドフィルタ501−509の実質的に下)に配置されている。光検出器571−579の各々による、フィルタリングされた光の検出から得られる電気信号は、図5には示していない電気コンタクトを介して引き出され得る。
【0047】
図6は、本発明の一実施形態に従ったシステム600におけるミニスペクトロメータ500の適用を例示している。システム600は、遠隔制御(リモートコントロール)装置630と複数の照明器具620とを有する構造物内の、無線遠隔制御式の装置制御システム、すなわち、ターゲット装置が遠隔制御装置によって無線制御されるシステムである。人物Pは、遠隔制御装置630の使用を介して、照明器具620の動作を制御し得る。この制御は、例えば、照明器具620によって放射される光の色を制御することに関する。照明器具620の適切な制御を実現するため、ミニスペクトロメータ500が遠隔制御装置630内に含められ得る。図5にて説明したように、ミニスペクトロメータ500は、光検出器571−579に結合された狭帯域ハイブリッドフィルタ501−509のアレイを含んでいる。何れの光検出器571−579も、ハイブリッドフィルタ501−509のうちの対応する1つを介して透過された小さいスペクトル部分を測定する。複数の光検出器571−579からの個々の結果を用いて、遠隔制御装置630内の処理装置(図6に図示せず)が、遠隔制御装置630に入射した光のスペクトル全体を再構築し得る。
【0048】
以上は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明のその他の更なる実施形態が、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく考案され得る。例えば、本発明の態様は、ハードウェア若しくはソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにて実現され得る。故に、本発明の範囲は、以下の請求項によって決定されるものである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6