(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記架橋剤が、エポキシド、イソシアネート、カルボジイミド、N−メチロール、オキサゾリン、シラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のインクジェットインク。
【発明を実施するための形態】
【0025】
特に明記しないまたは定義しない限り、本明細書に用いられるすべての専門用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。
【0026】
特に明記しない限り、すべての百分率、部、比などは重量による。
【0027】
量、濃度、または他の値もしくはパラメーターが、範囲、好ましい範囲または好ましい上限値および好ましい下限値のリストのいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているかどうかに関係なく、任意の範囲上限もしくは好ましい値と任意の範囲下限もしくは好ましい値との任意のペアから形成されるすべての範囲を具体的に開示するものと理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙される場合、特に明記しない限り、この範囲は、その終点、ならびにこの範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図される。
【0028】
用語「約」が値または範囲の終点を記載するのに用いられるとき、本開示は言及されるその具体的な値または終点を含むと理解されるべきである。
【0029】
本明細書で用いるところでは、上記のポリ
マーで製造される分散系は、粒子、とり
わけインクジェットインク用の顔料を分散させるために利用することができる。これらの
インクは、織物基材を含むすべての通常使用されるインクジェット基材上に印刷すること
ができる。
【0030】
本明細書で用いるところでは、用語「分散系」は、1つの相がバルク物質の全体にわたって分布する(多くの場合コロイドサイズ範囲の)細分された粒子から、分散された相または内相である粒子からなり、そしてバルク物質が連続相または外相である2相システムを意味する。
【0031】
本明細書で用いるところでは、用語「分散剤」は、多くの場合コロイドサイズの極めて微細な固体粒子の一様なおよび最大の分離を促進するために懸濁媒体に添加される表面活性剤を意味する。顔料のためには、分散剤はほとんどの場合ポリマー分散剤である。本明細書に記載されるポリ
マー分散剤は実際に分散系そのものである。
【0032】
本明細書で用いるところでは、用語「OD」は光学密度を意味する。
【0033】
本明細書で用いるところでは、用語「水性ビヒクル」は、水または水と少なくとも1つの水溶性、もしくは部分的に水溶性の(すなわち、メチルエチルケトン)、有機溶媒(共溶媒)との混合物を意味する。
【0034】
本明細書で用いるところでは、用語「イオン化できる基」は潜在的イオン基を意味する。
【0035】
本明細書で用いるところでは、用語「実質的に」は、かなりの程度のもの、ほとんどすべてであることを意味する。
【0036】
本明細書で用いるところでは、用語「MW」は平均分子量を意味する。
【0037】
本明細書で用いるところでは、用語「D50」は、粒度の分布の50パーセンタイル(中央値)の体積粒子径を意味する。
【0038】
本明細書で用いるところでは、用語「D95」は、粒度の分布の95パーセンタイルの体積粒子径を意味する。
【0039】
本明細書で用いるところでは、用語「側基である」は、置換基がポリマーの骨格に直接にまたは1〜10の原子の結合を介して結合していることを意味する。
【0040】
本明細書で用いるところでは、用語「NCO」はイソシアネートを意味する。
【0041】
本明細書で用いるところでは、用語「cP」は、センチポアズ、粘度単位を意味する。
【0042】
本明細書で用いるところでは、用語「mN.m
-1」は、1メートル当たりのミリニュートン、表面張力単位を意味する。
【0043】
本明細書で用いるところでは、用語「mPa.s」は、ミリパスカル秒、粘度単位を意味する。
【0044】
本明細書で用いるところでは、用語「プレポリマー」は、重合プロセスにおける中間体でありそしてポリマーと考えることができるポリマーを意味する。
【0045】
本明細書で用いるところでは、用語「AN」は、酸価、固体ポリマーの1g当たりのmg KOHを意味する。
【0046】
本明細書で用いるところでは、用語「PUD」は、本明細書に記載されるポリ
マー分散系を意味する。
【0047】
本明細書で用いるところでは、用語「BMEA」はビス(メトキシエチル)アミンを意味する。
【0048】
本明細書で用いるところでは、用語「DBTDL」はジブチルスズジラウレートを意味する。
【0049】
本明細書で用いるところでは、用語「DEA」はジエタノールアミンを意味する。
【0050】
本明細書で用いるところでは、用語「DMPA」はジメチロールプロピオン酸を意味する。
【0051】
本明細書で用いるところでは、用語「HDI」は1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを意味する。
【0052】
本明細書で用いるところでは、用語「IPDI」はイソホロンジイソシアネートを意味する。
【0053】
本明細書で用いるところでは、用語「TMDI」はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを意味する。
【0054】
本明細書で用いるところでは、用語「TMXDI」はm−テトラメチレンキシリレンジイソシアネートを意味する。
【0055】
本明細書で用いるところでは、用語「NMP」はn−メチルピロリドンを意味する。
【0056】
本明細書で用いるところでは、用語「TDI」は2,4−トルエンジイソシアネートを意味する。
【0057】
本明細書で用いるところでは、用語「MDI」は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを意味する。
【0058】
本明細書で用いるところでは、用語「H
12MDI」は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを意味する。
【0059】
本明細書で用いるところでは、用語「TODI」は3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートを意味する。
【0060】
本明細書で用いるところでは、用語「C
12DI」はドデカンジイソシアネートを意味する。
【0061】
本明細書で用いるところでは、用語「NDI」は1,5−ナフタレンジイソシアネートを意味する。
【0062】
本明細書で用いるところでは、用語「IPDI」はイソホロンジイソシアネートを意味する。
【0063】
本明細書で用いるところでは、用語「TEB」は、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、Dow Chemicalによって供給される試薬、を意味する。
【0064】
本明細書で用いるところでは、用語「スルホラン(Sulfolane)」はテトラメチレンスルホンを意味する。
【0065】
本明細書で用いるところでは、用語「TRB−2」は、Dainichiseika(登録商標)TRB−2、シアン顔料を意味する。
【0066】
本明細書で用いるところでは、Terathane(登録商標)650は、Invista(Wichita,KS)製のポリエーテルジオールである。
【0067】
本明細書で用いるところでは、Eternacoll(登録商標)UH−50は、宇部興産株式会社(東京、日本)製のポリカーボネートジオールである。
【0068】
本明細書で用いるところでは、Denacol(登録商標)321は、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、Nagase Chemicals Ltd.(大阪、日本)製の架橋剤である。
【0069】
本明細書で用いるところでは、Denacol(登録商標)313は、グリセロールポリグリシジルエーテル、Nagase Chemicals Ltd.(大阪、日本)製の架橋剤である。
【0070】
特に記載のない限り、上記の化学薬品は、Aldrich(Milwaukee,WI)または実験室化学薬品の他の同様な供給業者から入手された。
【0071】
さらに、単数形での言及にはまた、文脈が具体的にそうではないと述べない限り複数が含まれる(例えば、冠詞「a」および「an」は、1つ、または1つ以上を意味してもよい)。
【0072】
ポリ
マー分散剤
ポリマー、典型的にはポリウレタンポリマーは、本開示の目的のためには、ポリマー骨格が(例えば、ジ−またはより高官能性モノマー、オリゴマーまたはポリマーポリイソシアネートからの)イソシアネート基と(例えば、ジ−またはより高官能性モノマー、オリゴマーまたはポリマーポリオールからの)ヒドロキシル基との反応に由来するウレタン結合を含有するポリマーである。かかるポリマーは、ウレタン結合に加えて、ウレアなどの他のイソシアネート由来結合、ならびにポリイソシアネート成分またはポリオール成分中に存在する(例えば、エステルおよびエーテル結合などの)他のタイプの結合をまた含有してもよい。
【0075】
(式中、各Xは独立して、OH、SH、COOHまたはNHR
4であり;
各Yは独立して、O、SまたはNR
4であり;
各Wは、N
R4、OまたはSであり;
各R
1は独立して、C
1〜C
20アルキ
レン、C
3〜C
20置換アルキ
レン、C
6〜C
40アリー
レンまたはC
9〜C
40置換アリー
レンであり;
−W−R
2−W−の各単位は
、二官能性イソシアネート反応剤Z
1、Z
2およびZ
3から
誘導され、少なくとも1つのZ
1から誘導される単位、少なくとも1つのZ
2から誘導される単位、および少なくとも1つのZ
3から誘導される単位が存在
し、
Z2は、Z1またはZ3と同一であってもよく;
各R
3は独立して、C
1〜C
20アルキ
レンまたはC
3〜C
20置換アルキ
レンであり;
各R
4は独立して、−R
3−
OH、−R3−SH、−R3−CO2H、−R3−NH2、−R3NH(C1〜C20アルキル)、−R3NH(C3〜C20置換アルキル)、H、C
1〜C
20アルキルまたはC
3〜C
20置換アルキルであり;
nは、2〜30の整数であり;
Z
1は、水性分散部分で置換された二官能性イソシアネート反応剤であり;
Z
2は、1つ以上の架橋性部分で置換された二官能性イソシアネート反応剤であり;
Z
3は、3000未満のMWのポリオールである)
の一般式の少なくとも1つの化合物を含む。
【0076】
ポリ
マー分散剤の重要な特徴は、ポリマー骨格の側基
にある架橋性部分、及びポリマー鎖の末端にある架橋性部分である。用語「側基である」は、置換基がポリマーの骨格に直接にまたは1〜10の原子の結合を介して結合していることを意味する。典型的には、ポリマー骨格の側基である架橋性部分は、式IのR
2基中に存在する。具体的には、R
2中のZ
2成分が、1つ以上の架橋性部分で置換されたポリオールである。典型的にはこれらの架橋性部分は、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノまたはメルカプト基である。ポリマー鎖の末端にある架橋性部分は、式IのX基で表される。これらの架橋性部分は、架橋剤と反応すると、優れた特性を有する被架橋顔料分散系を提供する。
【0077】
式IのR
2基は、少なくとも1つのZ
1、少なくとも1つのZ
2および少なくとも1つのZ
3が存在する、二官能性イソシアネート反応剤Z
1、Z
2およびZ
3からなる。このR
2基は、顔料を分散させるのに有効であることができる疎水性セグメントの重要なエリアをポリ
マーに提供する。理論に制約されないが、疎水性セグメントのこれらのエリアは、顔料表面と結合する分散剤の一部として有効である可能性がある。ポリ
マー分散剤は、ポリウレタン
等のポリマーが水性分散部分、ならびにポリマー骨格の側基でありポリマー鎖の末端にある両方の架橋性部分を含有するという要件を満たすために、少なくとも1つのZ
1、少なくとも1つのZ
2および少なくとも1つのZ
3を持たなければならない。ポリ
マーでのZ
1、Z
2およびZ
3のブレンディングは、任意の順番であることができる。上に定義されたような、架橋性部分がZ
2上にある限り、ある種の状況では、Z
2はZ
1と同じものであることができ、幾つかの他の状況では、Z
2はZ
3と同じものであることができる。ポリ
マーの合成中の添加の順番に依存して、R
2成分(Z
1、Z
2およびZ
3の組み合わせ)はランダムまたはブロックであることができる。
【0078】
二官能性イソシアネート反応剤(Z
2)およびポリオール(Z
3)
多くの場合Z
2およびZ
3はポリオレフィンに由来し、それらは、KRATON LIQUID LとしてShellからおよびPOLYTAIL Hとして三菱化学から入手可能である。より具体的には、Z
2およびZ
3は、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルカーボネートジオールおよびポリアクリレートジオールに由来することができる。
【0079】
好適なポリエステルポリオールには、多価アルコール;三価アルコールが任意選択的に添加されてもよい二価アルコールと、多塩基性(典型的には二塩基性)カルボン酸との反応生成物が含まれる。三価アルコールは、幾らかの分岐は起こり得るが著しい架橋がまったく起こらないように多くとも約2重量%に制限され、NCOプレポリマーまたはポリウレタンの適度の分岐が望まれる場合に使用されてもよい。これらのポリカルボン酸の代わりに、相当するカルボン酸無水物、もしくは低級アルコールのポリカルボン酸エステル、またはそれらの混合物がポリエステルを製造するために使用されてもよい。
【0080】
ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族もしくは複素環式またはそれらの混合物であってもよく、それらは、例えば、ハロゲン原子で置換されていても、または不飽和であってもよい。次のものが例として挙げられる:単量体脂肪酸、ジメチルテレフタレートおよびビス−グリコールテレフタレートと混合されてもよい、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデシル二酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、オレイン酸などの二量体および三量体脂肪酸。
【0081】
典型的には、ポリエステルジオールは、ヒドロキシル末端ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,2−プロピレンアジペート)、ポリ(トリメチレンアジペート)、ポリ(トリメチレンスクシネート)、ポリ乳酸エステルジオールおよびポリカプロラクトンジオールとブレンドすることができる。他のヒドロキシル末端ポリエステルジオールは、ジオールおよびスルホン化ジカルボン酸に由来する繰り返し単位を含み、そして米国特許第6,316,586号明細書に記載されているように製造されるコポリエーテルである。
【0082】
ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートには、プロパンジオール−(1,3)、ブタンジオール−(1,4)またはヘキサンジオール−(1,6)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールなどのジオール、および高級ポリエーテルジオールとホスゲン、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートとの、またはエチレンもしくはプロピレンカーボネートなどの環状カーボネートとの反応から得られる生成物などの、公知のものが含まれる。上述のポリエステルまたはポリラクトンとホスゲン、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートまたは環状カーボネートとから得られるポリエステルカーボネートもまた好適である。
【0083】
ブレンディングのためのポリカーボネートジオールは、ポリエチレンカーボネートジオール、ポリトリメチレンカーボネートジオール、ポリブチレンカーボネートジオールおよびポリヘキシレンカーボネートからなる群から任意選択的に選択される。
【0084】
ヒドロキシル基を含有するポリ(メタ)アクリレートには、カチオン、アニオンおよびラジカル重合などの付加重合の技術分野で一般的なものが含まれる。例は、アルファ−オメガジオールである。これらのタイプのジオールの例は、ポリマーの末端にまたは末端近くに1つのヒドロキシル基の配置を可能にする「リビング」または「制御」または連鎖移動重合法によって製造されるものである。これらのジオールを製造するさらなる例については、米国特許第6,248,839号明細書および米国特許第5,990,245号明細書を参照されたい。
【0085】
上記のポリオールについてのMWは典型的には5000未満である。典型的にはZ
3(ポリオール)についてのMWは3000未満である。
【0086】
二官能性イソシアネート反応剤(Z
1)
式1の二官能性イソシアネート反応剤Z
1は、イオン性であるまたはイオン化できる水性分散部分を含有する。本開示との関連で、用語「イソシアネート反応剤」、または「イソシアネート反応性の」は、イソシアネートと反応することが関連技術分野の当業者によく知られている基を含み、ヒドロキシル、第一級アミノおよび第二級アミノ基を典型的に含むと見なされる。用語「二官能性」は、2つのイソシアネート反応性基を含有することを意味する。
【0087】
イオン性分散基の例には、カルボキシレート基(−COOM)、ホスフェート基(−OPO
3M
2)、ホスホネート基(−PO
3M
2)、スルホネート基(−SO
3M)、および第四級アンモニウム基(−NR
3Q)(式中、Mは、一価の金属イオン(例えば、Na
+、K
+、Li
+など)、H
+またはNR
4+などのカチオンであり;Qは、クロリドまたはヒドロキシドなどの一価のアニオンであり;各Rは独立して、アルキル、アラルキル、アリールまたは水素であることができる)が挙げられる。これらのイオン性分散基は典型的には、ポリ
マー骨格に
側基として垂れ下がって置かれる。
【0088】
イオン化できる基は、それらが(カルボキシル−COOHなどの)酸または(第一級、第二級または第三級アミン−NH
2、−NRH、または−NR
2などの)塩基形にあることを除いて、イオン基に一般に相当する。イオン化できる基は、下に議論されるように分散系/ポリマー製造プロセス中にそれらがそれらのイオン形に容易に変換されるようなものである。
【0089】
イソシアネート反応性基およびイオン基または潜在的イオン基を含有する化合物に関して、イソシアネート反応性基は典型的にはアミノおよびヒドロキシル基である。潜在的イオン基またはそれらの相当するイオン基は、カチオンまたはアニオンであってもよいが、アニオン基が好ましい。アニオン基の具体的な例には、カルボキシレートおよびスルホネート基が挙げられる。カチオン基の例には、第四級アンモニウム基およびスルホニウム基が挙げられる。
【0090】
アニオン基置換の場合には、この基は、カルボン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基およびホスホネート基であることができる。酸塩は、相当する酸基をNCOプレポリマーの形成前に、形成中にまたは形成後のいずれかに中和することによって形成される。
【0091】
カルボキシル基を組み入れるための好適な化合物は、米国特許第3,479,310号明細書、米国特許第4,108,814号明細書および米国特許第4,408,008号明細書に記載されている。カルボキシル基含有化合物の例は、式(HO)
pQ(COOH)
q(式中、QはC
1〜C
10アルキルであり、pは1または2であり、qは1〜3である)に相当するヒドロキシカルボン酸である。これらのヒドロキシカルボン酸の例には、クエン酸、酒石酸およびヒドロキシピバル酸が挙げられる。任意選択のジヒドロキシアルカン酸には、下式II:
【0093】
(式中、Q’は水素またはC
1〜C
8アルキルである)
の構造で表されるα,α−ジメチロールアルカン酸が含まれる。追加のα,α−ジメチロールアルカン酸は、構造式R
5C−(CH
2OH)
2−COOH(式中、R
5は水素またはC
1〜C
8アルキルである)で表される。これらのイオン化できるジオールの例には、ジメチロール酢酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、および2,2’−ジメチロール酪酸が挙げられるが、それらに限定されない。好適なカルボキシレートにはまた、H
2N−(CH
2)
4−CH(CO
2H)−NH
2、およびH
2N−CH
2−CH
2−NH−CH
2−CH
2−CO
2Naが含まれる。
【0094】
ポリ
マーへの組み入れのための典型的なスルホネート基には、米国特許第4,108,814号明細書に記載されているジオールスルホネートが含まれる。好適なジオールスルホネート化合物にはまた、ジオールとスルホン化ジカルボン酸との反応に由来する繰り返し単位を含むヒドロキシル末端コポリエーテルが含まれる。具体的には、スルホン化ジカルボン酸は5−スルホイソフタル酸であり、ジオールは1,3−プロパンジオールである。他の好適なスルホネートには、式H
2N−CH
2−CH
2−NH−(CH
2)
r−SO
3Na(式中、rは2または3である)で表されるものが含まれる。
【0095】
イオン性安定化基が酸であるとき、酸基は、ポリ
マーの1.0グラム当たり少なくとも6、典型的には少なくとも10、さらにより典型的には20ミリグラムKOHの酸価(1グラム固体ポリマー当たりmg KOH)として当業者によって知られる、ポリ
マーについての酸基含有率を提供するのに十分な量で組み入れられる。酸価(AN)についての上限は、約120、典型的には約100である。
【0096】
本開示の文脈内で、用語「中和剤」は、潜在的イオン基またはイオン化できる基をイオン基に変換するために有用であるすべてのタイプの試剤を包含することを意図される。アミンが中和剤として使用されるとき、ウレア停止を生み出す連鎖停止反応は典型的には、イソシアネート反応性基としてまた機能することができる中和剤の添加の前に完了される。
【0097】
プレポリマーへのその組み入れ前に、組み入れ中にまたは組み入れ後にアニオン基をその塩形へ変換するために、揮発性か非揮発性かのどちらかの塩基性物質がアニオン基の対イオンを形成するために使用されてもよい。揮発性塩基は、水性ポリ
マー分散系から水を除去するために用いられる条件下に、アニオン基の対イオンを形成するために使用される塩基の少なくとも約90%が揮発するものである。非揮発性塩基は、水性ポリ
マー分散系から水を除去するために用いられる条件下に、塩基の少なくとも約90%が揮発しないものである。
【0098】
潜在的アニオン基を中和するための好適な揮発性の塩基性有機化合物は、第一級、第二級または第三級アミンである。これらのアミンの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノール、2−メトキシエチルジメチルアミン(2−methoxyethyidimethyl amine)、N−ヒドロキシエチルピペラジン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノールおよび5−ジエチルアミノ−2−ペンタノンである。
【0099】
好適な非揮発性塩基には、一価金属、とりわけアルカリ金属、リチウム、ナトリウムおよびカリウムのアルコキシド、水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩が含まれる。
【0100】
ポリ
マー上のアニオン基が中和されるとき、それらは親水性をポリマーに提供し、顔料を水中に安定分散させることをより良く可能にする。しかしながら、中和度を調整することが望ましい場合もある。ポリ
マー上のアニオン基が部分中和されるとき、ポリ
マーはより疎水性になり、それ故顔料表面上へ吸着する。非吸着ポリマーの量を顔料分散系から減らすと、顔料表面上へ吸着する、ポリ
マー上の架橋性部分が、非吸着ポリ
マー上の架橋性部分との競合なしに架橋剤と反応する有利な条件を提供する。典型的には中和度は、ポリ
マーの酸価に依存して、40%〜100%、より典型的には50%〜70%である。
【0101】
ポリ
マーの封止
ポリ
マー鎖を停止するための封止剤は通常、第一級もしくは第二級アミン、アルコール、またはメルカプトである。式Iで、封止剤は、ポリ
マー上でX−R
3−Y−置換基として示されている。
【0102】
用いられる封止剤の量は、プレポリマー中の遊離イソシアネート基にほぼ等量であるべきである。封止剤中のアミンからの活性水素対プレポリマー中のイソシアネート基の比は、当量基準で、約1.0:1.0〜約3.0:1.0、より典型的には約1.0:1.0〜約1.5:1.0、さらにより典型的には約1.0:1.0〜約1.05:1.0の範囲にある。アミンで停止されていないいかなるイソシアネート基も他のイソシアネート反応性官能基または水と反応することができるが、封止剤対イソシアネート基の比は、ウレア停止を確実にするように選択される。ポリ
マーのアミン停止は、ウレア停止ポリ
マーにつながる封止剤の選択および量によって回避される。これは、粒子分散剤として使用されるときにより良好な分子量調整およびより良好な特性、ならびに調合物に添加されるときにハンドリングの容易さをもたらす。
【0103】
反応性イソシアネート基で置換された任意の第一級もしくは第二級アミンが連鎖停止剤として使用されてもよい。脂肪族第一級もしくは第二級モノアミン、またはジアミンがとりわけ有用である。ヒドロキシル、カルボキシル、およびメルカプトなどの反応性がより少ないイソシアネート基をまた使用することができよう。連鎖停止剤として有用なアミンの例には、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、イソプロパノールアミン、N−エチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、6−アミノカプロン酸、8−アミノカプリル酸、および3−アミノアジピン酸が挙げられるが、それらに限定されない。典型的なイソシアネート反応性連鎖停止剤はジエタノールアミンである。ジエタノールアミン上のヒドロキシル官能性は、ポリ
マー鎖の末端にある架橋部分としての機能を果たす。
【0104】
ポリイソシアネート成分
好適なポリイソシアネートは、イソシアネート基に結合した芳香族、脂環式または脂肪族基を含有するものである。これらの化合物の混合物がまた使用されてもよい。芳香族イソシアネートが使用される場合、脂環式または脂肪族イソシアネートがその上に存在することができる。
【0105】
ポリエーテルグリコール、ジオールまたはアミンとのその反応によってポリ
マーを製造するのに有用な任意のジイソシアネートを本発明に使用することができる。
【0106】
好適なジイソシアネートの例には、2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H
12MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI)、ドデカンジイソシアネート(C
12DI)、m−テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,4−ベンゼンジイソシアネート、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,6−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0107】
少量の、典型的にはジイソシアネートの重量を基準として約3重量%未満のモノイソシアネートまたはポリイソシアネートを、ジイソシアネートとの混合物で使用することができる。有用なモノイソシアネートの例には、オクタデシルイソシアネートなどのアルキルイソシアネートおよびフェニルイソシアネートなどのアリールイソシアネートが挙げられる。有用なポリイソシアネートの例は、トリイソシアナトトルエン、HDI三量体およびポリマーMDIである。
【0108】
分散剤の架橋
ポリ
マー分散剤は、ポリマー骨格の側基
及びポリマー鎖の末端にあ
る両方の架橋性官能部分を有する。分散剤は従って架橋化合物と反応することができる。ポリマー分散剤に存在する好適な架橋性官能基および架橋化合物に存在してもよいコンパニオン架橋基が下表で特定される。
【0110】
架橋性部分は、適切なZ
2の選択によってポリ
マー分散剤のポリマー鎖の末端にあることができるか(式Iの基X)または(式Iの)R
2基中へ組み入れることができる。これらの架橋性部分の混合物がまたポリ
マー分散剤中に存在してもよい。有用な架橋化合物は、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチロプロパンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、オキサゾリン−官能性ポリマー、水性ポリカルボジイミド樹脂、およびシランを含む、水性ビヒクルに可溶性または不溶性であるものである。
【0111】
架橋剤上の架橋基に対するポリマー鎖上の架橋性部分のモル比は、15:1〜1:1.5、典型的には9:1〜1:1.1,最も典型的には8:1〜1:1である。モル比を計算する際に、ポリマー鎖上のすべての架橋性部分および架橋剤上のすべての架橋基が含められる。
【0112】
着色剤
単独のまたは組み合わせた、多種多様な有機および無機顔料が、インク、とりわけインクジェットインクを製造するためにポリ
マー分散剤で分散されてもよい。用語「顔料」は本明細書で用いるところでは、分散剤で分散され、そして分散剤の存在下に分散条件下に処理されることを必要とする不溶性着色剤を意味する。着色剤にはまた、分散染料が含まれる。分散プロセスは、安定な分散した顔料をもたらす。本発明のポリ
マー分散剤で使用される顔料には、自己分散性顔料は含まれない。顔料粒子は、インクジェット印刷装置を通して、とりわけ約10ミクロン〜約50ミクロンの範囲の直径を通常有する噴出ノズルでインクの自由流れを可能にするために十分に小さい。粒径はまた、インクの寿命の全体にわたって決定的に重要であり、顔料分散安定性にも影響を及ぼす。極めて小さい粒子のブラウン運動は、粒子の凝集を防ぐのに役立つであろう。小さい粒子を最大色強度および光沢のために使用することがまた望ましい。有用な粒径の範囲は典型的には約0.005ミクロン〜約15ミクロンである。典型的には、顔料粒径は、約0.005〜約5ミクロン、最も典型的には約0.005〜約1ミクロンの範囲であるべきである。動的光散乱によって測定されるような平均粒径は約500nm未満、典型的には約300nm未満である。
【0113】
選択された顔料は乾燥形態または湿潤形態で使用されてもよい。例えば、顔料は通常水性媒体中で製造され、生じた顔料は水−湿潤プレスケーキとして得られる。プレスケーキ形態では、顔料は、それが乾燥形態にあるような程度には凝集しない。従って、水−湿潤プレスケーキ形態での顔料は、乾燥形態での顔料ほどプレミックスプロセスにおいて解凝集するために多くの混合エネルギーを必要としない。代表的な市販の乾燥顔料は、米国特許第5,085,698号明細書にリストされている。
【0114】
インクジェットインクに有用な色特性を持った顔料の幾つかの例には、Pigment Blue(顔料ブルー)15:3およびPigment Blue 15:4からのシアン顔料;Pigment Red(顔料レッド)122およびPigment Red 202からのマゼンタ顔料;Pigment Yellow(顔料イエロー)14、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 114、Pigment Yellow 128およびPigment Yellow 155からの黄色顔料;Pigment Orange(顔料オレンジ)5、Pigment Orange 34、Pigment Orange 43、Pigment Orange 62、Pigment Red(顔料レッド)17、Pigment Red 49:2、Pigment Red 112、Pigment Red 149、Pigment Red 177、Pigment Red 178、Pigment Red 188、Pigment Red 255およびPigment Red 264からの赤色顔料;Pigment Green(顔料グリーン)1、Pigment Green 2、Pigment Green 7およびPigment Green 36からの緑色顔料;Pigment Blue(顔料ブルー)60、Pigment Violet(顔料バイオレット)3、Pigment Violet 19、Pigment Violet 23、Pigment Violet 32、Pigment Violet 36およびPigment Violet 38からの青色顔料;TiO
2およびZnOなどの白色顔料;ならびに黒色顔料カーボンブラックが挙げられる。本明細書で用いられる顔料名および省略形は、Society of Dyers and Colourists(Bradford,Yorkshire,UK)によって確立され、そしてThe Color Index、第3版、1971年に公表されている顔料の「C.I.」名称である。
【0115】
有機顔料の場合、インクは、総インク重量を基準にして重量で、約30%以下、典型的には0.1%〜約25%、より具体的には0.25%〜10%の顔料を含有してもよい。無機顔料が選択される場合、無機顔料が一般に有機顔料より高い密度を有するので、インクは、有機顔料を用いる匹敵するインクでよりも高い重量百分率の顔料を含有する傾向があろう。
【0116】
ポリマー分散剤は典型的には、総インク組成物の重量を基準として重量で、0.1%〜20%、より具体的には0.2%〜約10%の範囲で存在する。
【0117】
ポリ
マー分散剤の製造
本発明のポリ
マー分散剤は、一工程混合法または段階的方法によって製造することができる。分散剤としてのその使用前のポリ
マーの物理的形態は、水性分散系である。一工程混合法では、イソシアネート末端ポリ
マーは、溶媒中でZ
1、Z
2およびZ
3を混合し、引き続きジイソシアネートを混合物に加えることによって製造される。この反応は、約40℃〜約100℃、典型的には約50℃〜約90℃で行われる。イソシアネート対イソシアネート反応性基(Z
1、Z
2およびZ
3)の比は、約1.3:1〜約1.05:1、より典型的には約1.25:1〜約1.1:1である。イソシアネート含有率の標的百分率に達したとき、第一級もしくは第二級アミン封止剤が加えられる。ポリ
マー溶液は次に、高剪断操作下に脱イオン水の添加によって水性分散系に変換される。揮発性溶媒は、存在する場合、減圧下に蒸留される。
【0118】
NCO−官能性プレポリマーは実質的に線状であるべきであり、これは、プレポリマー出発成分の平均官能性を2:1以下に維持することによって達成することができる。
【0119】
段階的方法では、ポリ
マーは、Z
1反応剤を溶媒に溶解させ、引き続きジイソシアネートを混合物に加えることによって製造される。いったんイソシアネート含有率標的の初期百分率に達したら、Z
2およびZ
3成分が加えられる。この反応は、約40℃〜約100℃、典型的には約50℃〜約90℃で行われる。イソシアネート対イソシアネート反応性基の典型的な比は、約1.3:1〜約1.05:1、より典型的には約1.25:1〜約1.1:1である。あるいは、Z
2およびZ
3反応剤が第1工程で反応させられてもよく、Z
1反応剤がイソシアネート含有率標的の初期百分率に達した後に加えられてもよい。イソシアネート含有率の最終標的百分率に達したとき、封止剤が加えられる。ポリ
マー溶液は次に、高剪断操作下に水の添加によって水性ポリ
マー分散系に変換される。揮発性溶媒は、存在する場合、減圧下に蒸留される。
【0120】
触媒はポリ
マーの製造のために必要ではないが、大規模製造プロセスでは利点を提供する可能性がある。最も広く使用される触媒は、第三級アミンおよびオクタン酸第一スス、ジブチルスズジオクトエートおよびジブチルスズジラウレートなどの有機スズ化合物である。
【0121】
分散系へのその後の変換のためのポリ
マーの製造は、溶媒を使用することによって容易にされる。好適な溶媒は、水と混和性であり、かつ、ポリ
マーを形成するのに用いられるイソシアネートおよび他の反応剤に対して不活性であるものである。溶媒を含まない分散系を製造することが望ましい場合、使用される溶媒は、蒸留によるその除去を可能にするのに十分な揮発度を有するべきである。本発明の実施に有用な典型的な溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、およびN−メチルピロリドンである。あるいは、ポリ
マーは、5%未満の溶媒の溶融体で製造することができる。
【0122】
混合NCO反応性基を有する化合物またはポリマーの混合物をまた、本発明のポリ
マーの製造に使用することができる。
【0123】
NCO含有プレポリマーを製造するための処理条件は、当業者によく知られている。完成NCO含有プレポリマーは、プレポリマー固形分の重量を基準として、約1〜約20重量%、典型的には約1〜約10重量%のイソシアネート含有率を有するべきである。
【0124】
上記のように、生じたポリ
マーが親水性と疎水性との適切なバランスを有することができるように十分な量のイオン基が中和されなければならない。典型的には中和度は、ポリ
マーの酸価に依存して、40%〜100%、より典型的には50%〜70%である。
【0125】
酸基を塩グループに変換するための好適な中和剤には、第三級アミン、アルカリ金属カチオンおよびアンモニアが含まれる。中和剤は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、ならびにトリエタノールアミンおよびジメチルエチルアミンなどの、トリアルキル置換第三級アミンであることができる。ジエチルエタノールアミンまたはジエタノールメチルアミンなどの置換アミンもまた有用な中和剤である。
【0126】
中和は、本方法の任意の時点で行われてもよい。典型的な手順には、プレポリマーの少なくとも幾らかの中和が含まれ、プレポリマーは次に追加の中和剤の存在下に水中で鎖延長される/連鎖停止される。
【0127】
ポリ
マー鎖を停止するための封止剤は通常、第一級もしくは第二級アミン、アルコール、またはメルカプトである。用いられる封止剤の量は、プレポリマー中の遊離のイソシアネート基とほぼ等量であるべきである。封止剤中のアミンからの活性水素対プレポリマー中のイソシアネート基の比は、当量基準で、約1.0:1.0〜約3.0:1.0、より典型的には約1.0:1.0〜約1.5:1.0、さらにより典型的には約1.0:1.0〜約1.05:1の範囲にある。
【0128】
上記の方法から得られたポリ
マーの水性分散系への変換は、脱イオン水の添加によって完了される。必要ならば、溶媒は次に、減圧下の蒸留によって部分的にまたは実質的に除去することができる。最終製品は、約60重量%以下、典型的には約10重量%〜約60重量%、より典型的には約20重量%〜約45重量%の固形分を有する安定な、水性ポリマー分散系である。しかしながら、分散系を所望の任意の最低固形分に希釈することは常に可能である。生じた分散系の固形分は、サンプルをオーブン中150℃で約2時間乾燥させ、乾燥前後の重量を比較することによって測定されてもよい。粒径は一般に約1.0ミクロン未満であり、典型的には約0.01〜約0.5ミクロンである。平均粒径は、約0.5ミクロン未満、典型的には約0.01〜約0.3ミクロンであるべきである。小さい粒径は、分散された粒子の安定性を高める。
【0129】
顔料入り分散系の製造
本発明に使用される顔料入り分散系は、当該技術分野で公知の任意の従来型ミリングプロセスを用いて製造することができる。ほとんどのミリングプロセスは、第1混合工程、引き続く第2粉砕工程を含む2工程プロセスを用いる。第1工程は、原料すべて、すなわち、顔料、分散剤、液体キャリア、中和剤およびブレンドされた「プレミックス」を提供するためのあらゆる任意選択の添加剤の混合を含む。典型的にはすべての液体原料は最初に、引き続き分散剤、最後に顔料が加えられる。混合は一般に撹拌混合容器で行われ、高速分散機(HSD)がこの混合工程のために特に好適である。HSDに取り付けられた、そして500rpm〜4000rpm、より典型的には2000rpm〜3500rpmで運転されるCowels型翼が所望の混合を達成するための最適剪断を提供する。十分な混合は通常、上記の条件下に15〜120分の期間混合した後に達成される。
【0130】
第2工程は、顔料入り分散系を生成するためのプレミックスの粉砕を含む。典型的には、粉砕は、他のミリング技法をまた用いることができるが、媒体ミリングプロセスを含む。本発明では、Eiger Machinery Inc.(Chicago,Illinois)によって製造された実験室規模のEiger Minimill(Model M250,VSE EXP)が用いられる。粉砕は、約820グラムの0.5YTZ(登録商標)ジルコニア媒体をミルに装入することによって成し遂げられた。ミルディスクは、2000rpm〜4000rpm、典型的には3000rpm〜3500rpmの速度で運転される。分散系は、200〜500グラム/分で、より典型的には300グラム/分でミルを通る典型的な流量の再循環粉砕プロセスを用いて処理される。ミリングは、溶媒の画分が粉砕物から除かれ、ミリングが完了した後に加えられる段階的手順を用いて行われてもよい。これは、粉砕効率を最大にする最適レオロジーを達成するために行われる。ミリングの間に除かれる溶媒の量は、分散系によって変動し、合計800グラムの回分サイズについて典型的には200〜400グラムである。典型的には、本発明の分散系は、合計4時間のミリングにかけられる。
【0131】
黒色分散系については、Microfluidizerを用いる別のミリングプロセスを用いることができる。微細流動化は、ミリングが高圧下のノズルによる顔料衝突によって行われる非媒体ミリングプロセスである。典型的には、顔料分散系は、ミルによって合計12時間400グラム/分の流量で、15,000psiで処理される。実施例において黒色分散系を製造する際に、ダイヤモンドZチャンバー付き実験室規模(Microfluidics of Newton(Massachusetts)から入手可能な、Model M−110Y)の高圧圧縮空気式Microfluidizerが用いられた。
【0132】
充填剤、可塑剤、顔料、カーボンブラック、シリカゾル、他のポリマー分散系および公知の均染剤、湿潤剤、消泡剤、安定剤、ならびに所望の最終用途向けに知られている他の添加剤がまた、分散系へ組み入れられてもよい。
【0133】
被架橋顔料分散系の製造
架橋工程では、架橋化合物が、上に製造された顔料入り分散系と6時間〜8時間の期間室温または高められた温度で混合される。架橋反応を容易にするために、触媒を添加することが望ましい場合もある。有用な触媒は、液体に可溶性か不溶性かのどちらかであるものであることができ、架橋反応に依存して選択することができる。幾つかの好適な触媒には、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、トリブチルアミン(「TBA」)およびジメチルドデシルアミンが含まれる。架橋反応が完了した後、被架橋分散系のpHは、必要ならば、少なくとも約8.0に、より典型的には8.0〜12.0、最も典型的には8.0〜11.0に調整することができる。任意選択的に、分散系は、当該技術分野で公知の従来の濾過手順を用いてさらに処理されてもよい。分散系は、分散系から共溶媒および他の汚染物質、イオンまたは不純物を除去する限外濾過技法を用いて処理されてもよい。各分散系は次に、pH、導電率、粘度および粒径について試験することができる。分散系安定性は、用いられる分散剤の有用性を実証することにとって重要であると見なされる。
【0134】
充填剤、可塑剤、顔料、カーボンブラック、シリカゾル、他のポリマー分散系および公知の均染剤、湿潤剤、消泡剤、安定剤、ならびに所望の最終用途向けに知られている他の添加剤がまた、分散系へ組み入れられてもよい。
【0135】
インクビヒクル
本開示の顔料入りインクは、水性キャリア媒体としても知られる、インクビヒクル、典型的には水性インクビヒクルと、水性分散系と任意選択的に他の原料とを含む。
【0136】
インクビヒクルは、水性分散系および任意選択の添加剤のための液体キャリア(または媒体)である。用語「水性インクビヒクル」は、水または水と共溶媒もしくは保湿剤と一般に言われる1つ以上の有機の、水溶性ビヒクル成分との混合物からなるインクビヒクルを意味する。好適な混合物の選択は、所望の表面張力および粘度、選択された顔料、顔料入りインクジェットインクの乾燥時間、ならびにインクが印刷される紙の種類などの、具体的な用途の要件に依存する。当該技術分野では、共溶媒が印刷された基材上でのインクの浸透および乾燥を助けることができるときに、それは浸透剤と言われることもある。
【0137】
水溶性有機溶媒および保湿剤の例には、アルコール、ケトン、ケト−アルコール、エーテルならびにチオジグリコール、スルホラン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびカプロラクタムなどのその他のもの;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコールおよびヘキシレングリコールなどのグリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのオキシエチレンまたはオキシプロピレンの付加ポリマー;グリセロールおよび1,2,6−ヘキサントリオールなどのトリオール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの、多価アルコールの低級アルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルまたはジエチルエーテルなどの、多価アルコールの低級ジアルキルエーテル;ウレアおよび置換ウレアが挙げられる。
【0138】
水と、ジエチレングリコールなどの、多価アルコールとの混合物が水性インクビヒクルとして典型的である。水とジエチレングリコールとの混合物の場合には、インクビヒクルは通常、30重量%水および70%ジエチレングリコール〜95%水および5重量%ジエチレングリコール、より典型的には60%水および40%ジエチレングリコール〜95%水および5%ジエチレングリコールを含有する。百分率は、インクビヒクルの総重量を基準としている。水とブチルカルビトールとの混合物もまた有効なインクビヒクルである。
【0139】
インク中のインクビヒクルの量は、インクの総重量を基準として重量で、典型的には70%〜99.8%、より典型的には80%〜99.8%の範囲にある。
【0140】
インクビヒクルは、界面活性剤またはグリコールエーテルおよび1,2−アルカンジオールなどの浸透剤を含めることによって速浸透性(速乾性)であるようにすることができる。グリコールエーテルには、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、およびジプロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテルが含まれる。典型的な1,2−アルカンジオールは、C
4〜C
6アルカンジオールであり、1,2−ヘキサンジオールが最も典型的である。好適な界面活性剤には、エトキシル化アセチレンジオール(例えば、Air Productsから商業的に入手可能なSurfynol(登録商標)シリーズ)、エトキシル化アルキル第一級アルコール(例えば、Shellから商業的に入手可能なNeodol(登録商標)シリーズ)およびエトキシル化アルキル第二級アルコール(例えば、Union Carbideから商業的に入手可能なTergitol(登録商標)シリーズ)、スルホスクシネート(例えば、Cytecから商業的に入手可能なAerosol(登録商標)シリーズ)、オルガノシリコーン(例えば、Witcoから商業的に入手可能なSilwet(登録商標)シリーズ)およびフルオロ界面活性剤(例えば、DuPontから商業的に入手可能なZonyl(登録商標)シリーズ)が含まれる。
【0141】
添加されるグリコールエーテルおよび1,2−アルカンジオールの量は典型的には、インクの総重量を基準として、1重量%〜15重量%、より典型的には2重量%〜10重量%の範囲にある。界面活性剤が、インクの総重量を基準として重量で、典型的には0.01%〜5%、より典型的には0.2%〜2%の量で使用されてもよい。
【0142】
殺生物剤が微生物の増殖を抑えるために使用されてもよい。
【0143】
顔料入りインクジェットインクは典型的には、25℃で約20mN.m
-1〜約70mN.m
-1の範囲の表面張力を有する。粘度は25℃で30mPa.sほどに高いものであることができるが、典型的には幾分より低い。インクは、広範囲の噴出条件、材料構成ならびにノズルの形状およびサイズに適合する物理的特性を有する。インクは、インクジェット装置において有意な程度に閉塞しないように長期間優れた貯蔵安定性を有するべきである。さらに、インクは、それが接触するインクジェット印刷装置の部品を腐食するべきではなく、それは、本質的に無臭および非毒性であるべきである。
【0144】
いかなる特定の粘度範囲またはプリントヘッドにも制限されないが、本開示のインクはより低粘度用途に特に好適である。従って、本開示のインクの(25℃での)粘度は、約7mPa.s未満、または約5mPa.s未満、さらにより有利には、約3.5mPa.s未満であってもよい。
【0145】
以下の実施例は、それらに限定されることなく、本発明を例示する。
【実施例】
【0146】
ポリ
マー反応の程度
ポリ
マー反応の程度は、イソシアネート含有率(NCO%)を検出するためのジブチルアミンでの滴定、ウレタン化学で用いられる一般的方法によって測定した。
【0147】
この方法では、イソシアネート含有プレポリマーのサンプルを既知量のジブチルアミン溶液と反応させ、残存アミンを水性HClで逆滴定する。
【0148】
粒径測定
ポリ
マー分散系、顔料およびインクについての粒径は、Honeywell/Microtrac(Montgomeryville PA)製のMicrotrac(登録商標)UPA 150分析計を用いる動的光散乱によって測定した。
【0149】
この技法は、粒子の速度分布と粒径との間の関係をベースとしている。レーザー発生光は、各粒子から散乱され、粒子ブラウン運動によってDopplerシフトする。シフトした光とシフトしていない光との間の周波数差を増幅し、デジタル化し、解析して粒度分布を導き出す。結果を、D50およびD95として報告する。
【0150】
固形分測定
溶媒を含まないポリ
マー分散系についての固形分は、Sartorius製の水分分析計、Model MA50で測定した。NMP、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、またはスルホランなどの、高沸点溶媒を含有するポリ
マー分散系については、固形分は、150℃オーブンにセットされたオーブン中での180分間ベーキング前後の重量差によって測定した。
【0151】
ポリ
マー分散剤の製造
下の表1にリストされる合計4つのポリウレタン分散剤を製造した。これらの分散剤は後で、顔料入り分散系および被架橋顔料分散系を製造するために使用した。
【0152】
【表2】
【0153】
ポリウレタン分散剤1(DEA末端TMXDI/Terathane650)
滴加漏斗、冷却器および攪拌機を備えた、乾燥したアルカリおよび酸を含まないフラスコに、窒素雰囲気下にTerathane(登録商標)650(135g)、DMPA(54g)、スルホラン(132g)およびDBTL(0.06g)を加えた。生じた混合物を60℃に加熱し、十分に混合した。この混合物にTMXDI(164g)を滴加漏斗によって加え、引き続き滴加漏斗中のあらゆる残存TMXDIをスルホラン(15g)でフラスコ中へリンスした。反応混合物のための温度を100℃に上げ、イソシアネート含有率が1.3%以下に達するまで100℃に維持した。温度を次に60℃まで冷やし、DEA(12.9g)を5分の期間にわたってフラスコに取り付けた滴加漏斗によって加え、引き続き滴加漏斗中の残存DEAをスルホラン(5g)でフラスコ中へリンスする間ずっと60℃に維持した。温度を60℃に1時間保持した後、水性KOH(376g、3重量%)を滴加漏斗によって10分の期間にわたって加え、これに脱イオン水(570g)が続いた。混合物を60℃に1時間維持し、室温に冷却して24%の固形分のポリウレタン分散剤を得た。
【0154】
ポリウレタン分散剤2(DEA末端TMXDI/Terathane650)
滴加漏斗、冷却器および攪拌機を備えた、乾燥したアルカリおよび酸を含まないフラスコに、窒素雰囲気下にTerathane(登録商標)650(100g)、DMPA(70g)、スルホラン(130g)およびDBTL(0.06g)を加えた。生じた混合物を60℃に加熱し、十分に混合した。この混合物にTMXDI(182g)をフラスコに取り付けた滴加漏斗によって加え、引き続き滴加漏斗中のあらゆる残存TMXDIをスルホラン(15g)でフラスコ中へリンスした。反応混合物のための温度を100℃に上げ、イソシアネート含有率が1.3%以下に達するまで100℃に維持した。温度を次に60℃まで冷やし、DEA(14.6g)を5分の期間にわたって滴加漏斗によって加え、引き続き滴加漏斗中の残存DEAをスルホラン(5g)でフラスコ中へリンスする間ずっと60℃に維持した。温度を60℃に1時間保持した後、水性KOH(487.5g、3重量%)を滴加漏斗によって10分の期間にわたって加え、これに脱イオン水(461g)が続いた。混合物を60℃に1時間維持し、室温に冷却して22%の固形分のポリウレタン分散剤を得た。
【0155】
ポリウレタン分散剤3(DEA末端IPDI/Terathane650)
滴加漏斗、冷却器および攪拌機を備えた、乾燥したアルカリおよび酸を含まないフラスコに、窒素雰囲気下にTerathane(登録商標)650(155g)、DMPA(54g)、スルホラン(237g)およびDBTL(0.06g)を加えた。生じた混合物を60℃に加熱し、十分に混合した。この混合物にIDPI(157g)をフラスコに取り付けた滴加漏斗によって加え、引き続き滴加漏斗中のあらゆる残存TMXDIをスルホラン(15g)でフラスコ中へリンスした。反応混合物のための温度を85℃に上げ、イソシアネート含有率が1.2%以下に達するまで85℃に維持した。温度を次に60℃まで冷やし、DEA(13.8g)を5分の期間にわたって滴加漏斗によって加え、引き続き滴加漏斗中の残存DEAをスルホラン(5g)でフラスコ中へリンスする間ずっと60℃に維持した。温度を60℃に1時間保持した後、水性KOH(526.5g、3重量%)を滴加漏斗によって10分の期間にわたって加え、これに脱イオン水(356g)が続いた。混合物を60℃に1時間維持し、室温に冷却して20.16%の固形分のポリウレタン分散剤を得た。
【0156】
ポリウレタン分散剤4(BMEA末端TMXDI/UH−50)
滴加漏斗、冷却器および攪拌機を備えた、乾燥したアルカリおよび酸を含まない、2リットルのフラスコに、窒素雰囲気下にEternacoll(登録商標)UH−50(351.1g)、DMPA(261.0g)およびスルホラン(663.8g)を加えた。内容物を30分間窒素ガスパージ下に115℃に加熱し、混合した。温度を次に60℃に下げ、DBTL(0.08g)加え、これにフラスコに取り付けた滴加漏斗によるTMXDI(713.6g)が続いた。滴加漏斗中の残存TMXDIをスルホラン(48.2g)でフラスコ中へリンスした。撹拌される反応マスを123℃まで発熱させた。発熱がゆっくりになり始めたとき、温度を、イソシアネート含有率が1.01%に達するまでそれを監視しながら102℃に維持した。追加のスルホラン(209.7g)を反応器に加え、温度を85.6℃に下げた。フラスコに、滴加漏斗によってBMEA(68.88g)を加え、引き続き滴加漏斗中の残存BMEAをスルホラン(15.24g)でフラスコ中へリンスした。混合物を85.3℃に90分間維持し、室温も冷却して59.81%の固形分および1gのポリマー当たり83.2mg KOHの測定酸価を有するポリウレタン分散系を得た。
【0157】
滴加漏斗、冷却器、攪拌機および窒素ガスラインを備えた、乾燥したアルカリおよび酸を含まない、2リットルのケトルに、上で製造されたポリウレタン固体(501.5g)およびフェニルグリシジルエーテル(22.88g)を加えた。混合物を加熱し、酸価が55.15mg KOH/g樹脂に達するまでそれを追跡しつつ撹拌しながら85℃に維持した。混合物に脱イオン水(766.6g)中のKOH(11.8g)の溶液を、撹拌を維持しながら10分の期間にわたって加えた。反応温度は、この水逆転工程の終わりに51.8℃に低下した。こうして製造されたポリウレタン分散剤は22.82%の固形分を有した。
【0158】
顔料入り分散系の製造
顔料入り分散系をマゼンタおよびシアン顔料で製造した。表2の実施例について、PR122(マゼンタ)およびTRB−2(シアン)を用いた。
【0159】
以下の手順を用いて表1にリストされるポリ
マー分散剤を使って顔料入り分散系を製造した。Eiger Minimillを用いて、プレミックスを典型的には20〜30%顔料ローディングで製造し、標的分散剤レベルを1.5〜3.0の顔料/分散剤(P/D)比で選択した。2.5のP/Dは、顔料に関して40%分散剤レベルに相当する。任意選択的に、共溶媒を、プレミックス段階での顔料濡れおよび分散剤の溶解ならびにミリング段階中の粉砕の容易さを促進するために全体分散系調合物の10%で添加した。他の同様な共溶媒が好適であるが、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(Dow Chemicalから供給されるようなTEB)が選り抜きの共溶媒であった。本発明のポリウレタン分散剤を、水への溶解度を高め、水への溶解を容易にするためにKOHかアミンかのどちらかで前もって中和した。プレミックス段階中に、顔料レベルを典型的には27%に維持し、その後、最適媒体ミル粉砕条件のために脱イオン水の添加によってミリング段階中に約24%に下げた。典型的には4時間であったミリング段階の完了後に、残りの降下(letdown)の脱イオン水を加え、十分に混合した。
【0160】
共溶媒で処理された顔料入り分散系をすべて、共溶媒を除去するために限外濾過法を用いて精製し、存在する可能性がある他の不純物を濾過して取り除いた。完了後に、分散系中の顔料レベルを約10〜15%に下げた。表2にリストされる合計4つの異なるマゼンタ(M1〜M4)および1シアン(C1)分散系を、本発明のポリ
マー分散剤を使用して製造した。
【0161】
【表3】
【0162】
被架橋顔料分散系の製造
架橋工程で、架橋化合物を、表2にリストされる顔料入り分散系の1つと混合し、6〜8時間効果的に撹拌しながら60℃〜80℃に加熱した。架橋反応が完了した後、必要に応じてpHを少なくとも約8.0に調整した。表3にリストされるような合計6つの被架橋顔料分散系を製造した。相当する顔料入り分散系、架橋性部分および架橋化合物をまた表3にリストする。
【0163】
【表4】
【0164】
インクの製造および安定性の試験
インクは、顔料入り分散系ならびに記載されたポリ
マー分散剤を使用して製造された被架橋顔料分散系を使用して当業者に公知の従来法によって製造した。インクを、インクジェットインク調合物に好適な所定の操作によって処理する。
【0165】
顔料入り分散系または被架橋顔料分散系を除いてすべての原料を先ず一緒に混合する。これらの原料を混合した後、顔料入り分散系、または被架橋顔料分散系を加える。インクは、表4にリストされるビヒクル原料と一緒に顔料入り分散系または被架橋顔料分散系を一緒に撹拌することによって製造した。各分散系を、最終インク中3%顔料固形分をもたらす量で加えた。
【0166】
【表5】
【0167】
表5にリストされるように、インク1〜5は、分散系M1〜M4およびC1を使用して製造し、インク1A、2A、3A〜B、4Aおよび5Aは、相当する被架橋分散系XL−M1、XL−M2、XL−M3−A、XL−M3−B、XL−M4およびXL−C1を使用して製造した。室温での各インクの粒径(D50およびD95)を測定した。分散系がインクへ調合された後の粒径の成長は、調合されたインクビヒクルでの分散系不安定性の指標である。架橋工程前後の顔料分散系についての粒径を測定し、表5にまとめた。
【0168】
【表6】
【0169】
表5に示されるように、本発明の被架橋分散系XL−M1、XL−M2、XL−M3−A、XL−M3−B、XL−M4およびXL−C1で製造されたインクは、それらがインクビヒクル中へ調合された後にいかなる粒径成長も示さなかった。いかなる架橋もなしの顔料入り分散系M1、M2、M3、M4およびC1で製造されたインクは、それらがインクビヒクル中へ調合された後に粒径の大きい成長を示した。従って、本発明の被架橋分散系は、それらの非架橋相当品と比較して向上したインク安定性を実証した。
以下、本明細書に記載の主な発明につき列記する。
[1]
水性インクビヒクルと水性顔料分散系とを含むインクジェットインクであって、前記水性分散系が着色剤およびポリウレタン分散剤を含み、
前記ポリウレタン分散剤が、
(a)水性分散部分、および
(b)架橋剤で架橋される架橋性部分であって、ポリマー骨格の側基でありポリマー鎖の末端にある前記架橋性部分、を持ったポリマーからなり、
前記ポリウレタン分散剤が式I:
【化1】
(式中、各Xは独立して、OH、SH、COOHまたはNHR4であり;
各Yは独立して、O、SまたはNR4であり;
各Wは、N、OまたはSであり;
各R1は独立して、C1〜C20アルキル、C3〜C20置換アルキル、C6〜C40アリールまたはC9〜C40置換アリールであり;
R2は、少なくとも1つのZ1、少なくとも1つのZ2および少なくとも1つのZ3が存在する、二官能性イソシアネート反応剤Z1、Z2およびZ3からなり;
各R3は独立して、C1〜C20アルキルまたはC3〜C20置換アルキルであり;
各R4は独立して、−R3−X、H、C1〜C20アルキルまたはC3〜C20置換アルキルであり;
nは、2〜30の整数であり;
Z1は、水性分散部分で置換された二官能性イソシアネート反応剤であり;
Z2は、1つ以上の架橋性部分で置換された二官能性イソシアネート反応剤であり;
Z3は、3000未満のMWのポリオールである)
の一般構造の少なくとも1つの化合物を含む、インクジェットインク。
[2]
前記架橋剤が、エポキシド、イソシアネート、カルボジイミド、N−メチロール、オキサゾリン、シラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上である、前記[1]に記載のインク。
[3]
Z1が、前記水性分散部分で置換されたポリオールである、前記[2]に記載のインク。
[4]
Z2が、1つ以上の架橋性部分で置換されたポリオールである、前記[3]に記載のインク。
[5]
前記水性分散部分が、1つ以上のカルボキシル基からなる、前記[4]に記載のインク。
[6]
前記架橋性部分が、1つ以上のカルボキシル基からなる、前記[5]に記載のインク。
[7]
YがNR4である、前記[6]に記載のインク。
[8]
XがOHである、前記[2]に記載のインク。
[9]
Z1が、水性分散部分で置換されたポリオールである、前記[8]に記載のインク。
[10]
Z2が、1つ以上の架橋性部分で置換されたポリオールである、前記[9]に記載のインク。
[11]
XがNHR4である、前記[2]に記載のインク。
[12]
Z1が、前記水性分散部分で置換されたポリオールである、前記[11]に記載のインク。
[13]
Z2が、1つ以上の架橋性部分で置換されたポリオールである、前記[12]に記載のインク。
[14]
YがNR4である、前記[2]に記載のインク。
[15]
R4が−R3−Xである、前記[2]に記載のインク。
[16]
各WがOである、前記[15]に記載のインク。
[17]
各WがNである、前記[15]に記載のインク。
[18]
前記架橋剤に対する前記架橋性部分のモル比が15:1〜1:1.5である、前記[2]に記載のインク。
[19]
前記架橋剤に対する前記架橋性部分のモル比が9:1〜1:1.1である、前記[18]に記載のインク。
[20]
前記架橋剤に対する前記架橋性部分のモル比が8:1〜1:1である、前記[19]に記載のインク。