【文献】
斎藤徳人、外5名,「非線形光学結晶の改良―光学特性の制御と波長変換への応用―」,電気学会研究会資料,2004年11月 5日,光・量子デバイス研究会OQD−04−32〜40,p.19-24,OQD−04−35
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの非発光層に対向する少なくとも1つの波長変換セラミック層上に積層された少なくとも1つのさらなる非発光層をさらに含む、請求項1に記載のセラミック複合積層体。
【発明を実施するための形態】
【0038】
多数の方法が、湿式化学共沈、熱水合成、超臨界合成、固相反応、燃焼、レーザー熱分解、フレーム溶射、スプレー熱分解、およびプラズマ合成を含む蛍光体用の発光材料の調製に利用可能である。これらのプロセスの中で、レーザー熱分解、フレーム溶射、スプレー熱分解、およびプラズマ合成などの流動系熱化学合成経路は、高純度で結晶欠陥がなく高効率な蛍光体の工業規模の合成に特に適切である。これらのプロセスのうち、プラズマ合成、特に、高周波(RF)誘導結合熱プラズマ合成は、可燃性ガス(フレーム溶射中のメタンなどの燃料)が使用されず、生成物が合成の間にどの電極とも接触しないので、最終生成物の純度は特に高くなる。国際公開第2008/112710号に教示するように、サイズが制御された高純度で高発光効率の蛍光体粒子は、前駆体溶液をRF熱プラズマトーチのホットゾーンに噴霧形態で通し、それによって、蛍光体粒子を核状にすることによって作製することができる。これらの粒子は、次いで、適切なフィルタ素子上に回収することができる。例えば、セリウムをドープした酸化イットリウムアルミニウム粒子は、硝酸イットリウム、硝酸アルミニウム、および硝酸セリウムの化学量論的量の水溶液を使用し、この溶液をRFプラズマトーチの中心に2流体噴霧によって噴霧し、それによって、前駆体を蒸発させて分解し、その後、Y−Al−O粒子の核形成をすることによって合成することができる。これらの粒子は、適切なろ過機構を使用して、排ガスから抽出することができる。回収された粒子は、1000℃より高い温度で適切な炉内で熱アニールを受けた場合、セラミック層またはシートの形態である場合に、少なくとも0.65の波長変換効率を備えた純相のセリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(Y
3A
15O
12)粒子に完全にまたは実質的に完全に変換することができる。ドーパントレベルは、所望の用途に応じて決定され、いかなる当業者も、必要以上の実験なく、またこの概念の原理から逸脱することなく、ドーパントレベルの変更を達成することができることを認識することができる。本発明者らは、
図8および9(実施例において後にさらに説明する)に示すような蛍光体合成の他の方法によって得られる材料を含むセラミックスと比較して、RFプラズマ合成された蛍光体を含むセラミック層が最も高い波長変換効率を有することを発見した。
【0039】
条件および/または構造が特定されていない本開示では、本技術分野の熟練者は、本開示を鑑みて、また必要に応じて、RF熱プラズマ合成を使用してセリウムをドープしたYAG粉末を作製するための国際公開第2008/112710号の開示(引用することによってその全体を含めるものとする)を鑑みて、日常的な実験の問題として、そのような条件および/または構造を容易に提供することができる。例えば、セリウムをドープしたYAG粉末から形成されるセラミック層を得て、少なくとも0.65の波長変換効率(WCE)を有するセラミック複合積層体を提供するために、セラミック内でのドーパントまたは活性剤の分散を、制御変数として使用することができる。分散が増加した場合には、積層体のWCEは、0.65以上であり、セラミック積層体は、驚いたことには、意外にも0.65未満のWCEと比較して改善される。本技術分野は、WCE値の重要性を認識せず、WCE値を制御することができず、少なくとも0.65のWCEを有するセラミック積層体を絶えず作製することができなかった。
【0040】
図3に示すように、本発明の一実施形態は、発光材料、層22を含む少なくとも1つの波長変換セラミック層22、および実質的に透明な材料の少なくとも1つの非発光層24(本明細書では、3つの層24a、24b、および24c)を含む少なくとも約0.650の波長変換効率を有する積層複合体20を提供し、ここで、前記非発光透明層24は、場合により、波長変換層22より大きい厚みを有していてもよい。波長変換および非発光層は、場合により、焼結セラミックテープキャスト層の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、各非発光層24は、YAG粉末だけでなくAl
2O
3粉末、Y
2O
3粉末、または他の酸化物粉末から形成されてもよく、これらはSSR(固相反応)合成などの安価なプロセスによって作製することができる。いくつかの実施形態では、非発光層は、別の素子でドープされていないか、または非発光特性を示す程度にドープされていてもよい。いくつかの実施形態では、各波長変換セラミック層22は、CeがドープされたYAG粉末から形成されることが好ましく、CeがドープされたYAG粉末は、発光層に高い波長変換効率(例えば、0.70、0.75以上を含めて0.65以上)を有効に付与するようにRF熱プラズマ合成によって作製することができる。いくつかの実施形態では、各波長変換セラミック層22および各非発光層24は、焼結セラミックテープキャスト層の形態である。いくつかの実施形態では、発光材料は、流動系熱化学合成された材料を含む。いくつかの実施形態では、発光材料は、高周波誘導結合熱プラズマ合成されたYAG:Ceを含む。
【0041】
一実施形態では、波長変換セラミック層22の厚みは、約10〜1000μmである。別の実施形態では、波長変換セラミック層22の厚みは、約15〜100μmである。別の実施形態では、波長変換セラミック層22の厚みは、約20〜80μmである。別の実施形態では、波長変換セラミック層22の厚みは、約30〜70μmである。さらに別の実施形態では、波長変換セラミック層22の厚みは、先の数値のうちのいずれかの2つの間であってもよい。いくつかの実施形態では、波長変換セラミック層22は、波長変換セラミック層の主要な元素に対して約0.05mol%〜約10.0mol%の濃度を有する活性化ドーパントを含み、実質的に透明なセラミック材料は、ノンドープのガーネット材料である。一実施形態では、ドーパント濃度(イットリウム含有量に対するmol%)は、厚みで約35μmのYAG:Ce層については約1.75%である。一実施形態では、ドーパント濃度は、厚みが約65μm〜約325μmのYAG:Ce層について約1.75%である。波長変換セラミック層22は、単層または複数の層とすることができ、各層は、記載された厚みを独立して有する。いくつかの実施形態では、ドーパント濃度(1.75%)は、所望の光発光特性を示す程度に、例えば5%〜50%変更されてもよい。一実施形態では、ドーパント濃度は、約35μm〜約40μmのYAG:Ce層について約1.75%〜2.0%であり、非発光層は、約350μm〜約600μmである。
【0042】
一実施形態では、非発光層24は、約30μm〜約1000μmである。別の実施形態では、非発光層の厚みは、約50〜750μmである。別の実施形態では、発光層の厚みは、約300〜500μmである。さらに別の実施形態では、非発光層の厚みは、先の数値のうちのいずれか2つの間のいずれかの数値であってもよい。非発光層24は、単層または複数の層とすることができ、各層は、記載された厚みを独立して有する。いくつかの実施形態では、
図3の個々の層24a、24b、および24cの合計厚みは、前述の厚みを有することができる。いくつかの実施形態では、非発光層の全体厚みは、波長変換セラミック層の全体厚みより大きい。いくつかの実施形態では、各非発光層は、各波長変換セラミック層より大きい厚みを有する。いくつかの実施形態では、各非発光層は、約50μm〜約200μm、約60μm〜175μm、または約85μm〜155μm、または先の数値のうちのいずれか2つの間の厚みを有することができるキャストテープ(ノンドープのホスト材料を含む)の形態である。一実施形態では、場合により、非発光層24に対する波長変換セラミック層22の厚みの比は、約1/1以下〜約1/250以下である。別の実施形態では、非発光層24に対する波長変換セラミック層22の厚みの比は、約1/5以下〜約1/20以下である。別の実施形態では、非発光層24に対する波長変換セラミック層22の厚みの比は、約35/420であり、別の実施形態では約40/450である。一実施形態では、非発光層24に対する波長変換セラミック層22の厚みの比は、約1/3以下である。別の実施形態では、非発光層24に対する波長変換セラミック層22の厚みの比は、約1/10以下である。別の実施形態では、非発光層24に対する波長変換セラミック層22の厚みの比が、先の比のうちのいずれか2つの間であってもよい。
【0043】
一実施形態では、選択された材料から形成された波長変換セラミック層22は、波長変換の高い有効性を有する。波長変換効率は、1つ以上の波長で放射線を吸収し、1つ以上の異なる波長で放射線を再照射する材料の効率として定義することができる。波長変換効率は、後に記載するように計算することができる。
【0044】
図7bに示すように、いくつかの実施形態では、本発明は、発光材料および散乱材料を含む少なくとも1つの波長変換セラミック層22aと、実質的に透明な材料の少なくとも1つの非発光層24(本明細書では、3つの層24a、24b、および24c)とを含む発光セラミック複合積層体20を提供する。本明細書で使用する場合、用語「散乱材料」は、発光材料の屈折率とは異なる屈折率を有し、実質的に透明である材料を称する。いくつかの実施形態では、散乱材料は、発光材料全体にわたって分散した複数の離散的な散乱中心に配置されている。いくつかの実施形態では、散乱材料としては、Al
2O
3、Y
2O
3、CaO、TiO
2、MgO、La
2O
3、CeO
2、Nd
2O
3、Tb
4O
7、Eu
2O
3、BaO、Gd
2O
3などが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、発光材料は、少なくとも1つの蛍光体材料を含み、散乱材料は、蛍光体発光材料に対応する少なくとも1つの金属酸化物を含む。いくつかの実施形態では、発光材料は、希土類金属でドープされたY
3Al
5O
12(例えば、Y
3Al
5O
12:Ce)を含んでいてもよく、一方、散乱材料は、Y
3Al
5O
12:Ceに対応する次の金属酸化物の少なくとも1つを含む:例えば、Y
2O
3、Al
2O
3、YAlO
3(イットリウムアルミニウムペロブスカイトまたはYAP)およびY
4Al
12O
9(イットリウムアルミニウム単斜晶またはYAM)。
【0045】
いくつかの実施形態では、発光材料の体積は、波長変換セラミック層の全体積の約85%〜約99.99%である。いくつかの実施形態では、散乱材料の体積は、波長変換セラミック層内の発光材料および散乱材料の総体積の約15%〜約0.01%である。いくつかの実施形態では、発光材料の体積%が、約90%〜約99.99%、約95%〜約99%、または約98%〜約99%であり、散乱材料の体積%は、約10%〜約0.01%、約7%〜約0.01%、約5%〜約0.01%、約3%〜約0.01%、約2%〜約0.01%、または約1%〜約0.01%である。
【0046】
いくつかの実施形態では、発光材料および散乱材料を含む複合体は、散乱材料に対する発光材料の体積割合が、発光材料において顕著に大きい、例えば、約85%の発光材料および約15%の散乱材料、約90%の発光材料および約10%の散乱材料、約95%の発光材料および約5%の散乱材料、約98%の発光材料および約2%の散乱材料、および約99%の発光材料および約1%の散乱材料の場合には、高い透明性と限定された後方散乱とのバランスを取ることに特に有効である。
【0047】
いくつかの実施形態では、波長変換セラミック層は、発光材料の約85体積%〜約99.99体積%および散乱材料の約15体積%〜約0.01体積%を含む。前記少なくとも1つの焼結セラミック積層体は、前記発光成分から照射された光の少なくとも一部を吸収することができ、第2のピーク波長の光を照射することができ、ここで、前記焼結セラミック積層体は、約40%より大きい第2のピーク波長で全光線透過率を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、複合体において、散乱材料に対する発光材料の体積割合が、散乱材料で顕著に大きく、例えば、約85%の散乱材料および約15%の発光材料、約90%の散乱材料および約10%の発光材料、約95%の散乱材料および約5%の発光材料、約98%の散乱材料および約2%の発光材料、および約99%の散乱材料および約1%の発光材料である。
【0049】
いくつかの実施形態では、波長変換セラミック層内の散乱材料に対する発光材料の体積割合は、約85体積%〜約99.99体積%の散乱材料および約15体積%〜約0.01体積%の発光材料を含む。前記少なくとも1つの焼結セラミックプレートは、前記発光成分から照射された光の少なくとも一部を吸収し、第2のピーク波長の光を照射することができ、ここで、前記焼結セラミック積層体は、約40%より大きい第2のピーク波長で全光線透過率を有する。
【0050】
理論によって限定されたくないが、発明者らは、波長変換セラミック層に散乱材料および/または散乱中心を組み込むことによって、散乱材料に入り、発光相材料と周囲環境、例えば、空気との間の中間の同じ屈折率を有する光が、波長変換セラミック層および/または非発光層と周囲環境との間の光学界面によってそれほど妨げられないようにすることを可能にする。一旦発光材料によって照射された光が散乱材料に入ると、それは、屈折率および反射角による波長変換セラミック層と空気との屈折率の差によって妨げられる程度が減少し、照射された光の抽出が改善すると考えられる。
【0051】
いくつかの実施形態では、
図7cに示すように、複合積層体20は、少なくとも1つの非発光層24jに対向する少なくとも1つの波長変換セラミック層22a上に積層された少なくとも1つのさらなる非発光層24
iをさらに含む。いくつかの実施形態では、非発光層は、発光層の屈折率未満であるが空気空隙または周囲環境より大きい屈折率を有する材料を含む。一実施形態では、非発光層は、約1.63の屈折率を有するAl
2O
3を含む。理論によって限定されたくないが、この実施形態では、屈折率の差が、発光層内で照射される光の配向をもたらし、散乱材料に向けられる光を増大させ、したがって、先に検討したような抽出を向上させると考えられる。別の実施形態では、非発光層は、ドーパントブロッキング元素を含み、ここで、ドーピングブロッキング元素は、発光層から非発光層に拡散するドーパント、例えばCeの量を実質的に低減する。いくつかの実施形態では、ドーパントブロッキング材料および非発光材料は、同じとすることができる。いくつかの実施形態では、ドーパントブロッキングおよび非発光材料とすることができる材料は、Al
2O
3を含む。
【0052】
実施例において後述する
図9に示すように、セラミック積層複合体は、プラズマ生成YAG:Ceなどの流動系熱化学合成された材料から作製された発光層を含み、少なくとも0.600、好ましくは0.650以上、いくつかの実施形態では少なくとも0.675、およびいくつかの実施形態では少なくとも0.700の波長変換効率(WCE)を有する。理論によって制限されたくないが、発明者らは、原子レベルで前駆体の分散の不均一性を少なくとも制御すること、および/または波長変換セラミック層22内でCeの拡散を増大させることによって、プラズマ生成YAG:Ceを含むセラミック積層複合体のWCEは、常に0.650以上とすることができると考えている(
図9では、プラズマ生成YAG:Ceのうち一部は、0.650未満のWCEを示し、これは、前駆体、特にドーパントまたは活性体元素、例えばCeが、発光材料の全体にわたって十分に均一に分散していないからである)。対照的に、固相反応(SSR)合成によって合成されたYAG:Ceで構成された発光層は、約0.625以下の波長変換効率を有する。さらに、共沈合成された蛍光体で構成された発光層は、0.200未満の波長変換効率を有する。
【0053】
一実施形態では、
図3に示すように、波長変換セラミック層22は、非発光層24下に配置されている。用語「下」は、非発光層および発光素子に対する発光層の相対的な位置決めを称し、例えば、発光層は、非発光層の「下」にあり、非発光層に対して光源に近位にある発光層を称し(発光層は、非発光層と光源との間に配置されている)、「上」は、非発光層に対して光源から遠位にあることを称する(非発光層は、発光層と光源との間に配置されている)。相対的な位置決めとしては、2つの層が互いに物理的に接している位置、2つの層が発光特性の点から互いに機能的に接している位置が挙げられる。
【0054】
一実施形態では、
図4に示すように、波長変換セラミック層22は、少なくとも2つの非発光層24d、24e間に配置または挟持されている。一実施形態では、積層複合体は、少なくとも1つの第1の非発光層(24d)に対向する少なくとも1つの波長変換セラミック層22上に積層された少なくとも1つのさらなる非発光層(24e)をさらに提供する。
【0055】
図5に示すように、一実施形態では、波長変換セラミック層22は、非発光層24に隣接し、光源(例えば、発光半導体)26に隣接して配置されている。一実施形態では、積層複合体20は、光源26によって照射された光28の経路に位置する。一実施形態では、光源26は、n型領域とp型領域との間に配置された発光層を含む半導体発光素子である。別の実施形態では、光源26は、陽極、陰極、およびそれらの間に配置された有機発光層または発光層を含む有機発光素子である。別の実施形態では、波長変換セラミック層22は、非発光層24上に配置されており、つまり、非発光層24は、
図6に示すように、波長変換セラミック層22と、光源26によって照射された光28の経路との間に配置されている。別の実施形態では、非発光層24fは、波長変換セラミック層22と光源26との間に配置されている。別の実施形態では、
図7aに示すように、波長変換セラミック層22は、非発光層24f、24g(両者は、光源26に対してそれぞれの非発光層24g、24fに近位および遠位にある)間で、光源26から照射された光28の経路に配置されている。ある場合には、発光層は、炉材料からの汚染物を含む焼結環境に非常に敏感となり得る。例えば、理論によって限定されたくないが、考えられる汚染材料は、層表面に堆積し得、好ましくない反応が起こる可能性があり、おそらく一つには不純物に弱いYAG結晶中のセリウムなどの希土類ドーパントによる発光効率の低下をもたらす。発光層保護の目的で、非発光層/発光層/非発光層の任意のサンドイッチ構造は、望まれない効率の低下を回避するために時として適切である。別の実施形態では、発光層は、2つ以上の非発光透明層間に前記発光層を挟持することによって、湿気および熱などの操作危険から保護することができる。非発光層240が波長変換セラミック層220上にある別の実施形態では、非発光層240は、1つの部材を示す
図12に示すように、実質的に半球凸状のセラミック部材を含む。当業者は、本明細書に記載された実施形態が、散乱中心を含む発光層を有する積層複合体を提供するように構成されることもできることを認識する。
【0056】
図12に移って、いくつかの実施形態では、非発光層240は、「実質的半球」であり、回転楕円面301が
図12A〜12Cに示すように平面310によって切断される場合に得られるより小さな形状305によって非発光層240の表面が形成されることを意味する。回転楕円面は、
図12Aにおけるような球形であってもよく、
図12Bにおけるような長球形、
図12Cにおけるような扁球形などであってもよい。または、いくつかの実施形態では、
図12Dに示すように、非発光層は、「カバー」とも称され、上端により小さな形状305を備えたシリンダ315を含む場合、「実質的半球」である。その一般的な形状以外にいくつかの変形例があってもよい。例えば、表面粗さ、不均一性またはテクスチャは変更することができ、一般的な実質的に半球の形状が当業者に認識可能である限り、配置された穴または凹部などの二次構造を表面に加えることができる。いくつかの実施形態では、実質的に半球状のカバーは、
図12Eを参照すると、円形基部を含み、これは回転楕円面301を備えた平面の交差によって形成された形状320が円であることを意味する。
【0057】
いくつかの実施形態では、
図12Eに示すように、用語「高さ」は、回転楕円面を切断する平面からより小さな形状305の上端までの距離340を称する。いくつかの実施形態では、用語「直径」は、形状320を横切る最長の距離を称する。いくつかの実施形態では、
図12Fに示すように、用語「高さ」は、シリンダ325の基部での平面からより小さな形状305の上端までの距離345を称する。いくつかの実施形態では、用語「直径」は、シリンダ325の基部の直径337を称する。いくつかの実施形態では、実質的に球状のカバーの高さ/直径比は、約0.2〜約2、約0.3〜約0.8、約0.4〜約0.6の範囲、または約0.5である。いくつかの実施形態では、実質的に半球状のカバーは、約4mm〜約9mmの範囲の直径を有する。
【0058】
図13に示す別の実施形態では、非発光層240の表面250(いずれかの表面界面)は、空気と透明セラミック層240との界面で全内部反射の影響を低減するためにテクスチャード加工することができる(例えば、
図13)。いくつかの実施形態では、発光素子の外側層は外面を含み、ここで、外面の少なくとも一部はテクスチャを有する。例えば、いくつかの実施形態では、テクスチャは、約0.5μm〜約100μmの範囲の深さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、テクスチャを有する外面は、外側層によって全内部反射による光の損失を低減するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、テクスチャは、規則的またはパターン化された微細構造を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、規則的またはパターン化された微細構造は、約100μm、または約10μm以下の繰り返し周期を有する。いくつかの実施形態では、セラミック蛍光体の表面のテクスチャは、半球状の表面におよそ垂直であってもよい微細表面を作り出し得る。いくつかの実施形態では、表面のテクスチャは、全内部反射が中断されるように、半球状の表面に対する角度で微細表面を作り出す。いくつかの実施形態では、テクスチャは、外側層またはセラミック蛍光体の外面上に形成された凹状および/または凸状部分を含む。いくつかの実施形態では、これらの凸状または凹状部分は、外面にわたって不規則に分布していてもよい。いくつかの実施形態では、これらの凸状または凹状部分は、外面にわたって周期的にまたは規則的に分布していてもよい。いくつかの実施形態では、凹状または凸状部分の平均周期は、約100μm以下、または10μm以下であってもよい。
【0059】
外面上の凹状および凸状部分のいずれかの突出形状を利用してもよい。いくつかの実施形態では、突出形状は、円形、卵形、波形、台形、長方形、三角形などとすることができる。いくつかの実施形態では、複数の形状を組み合わせてもよい。外面上の凹状および凸状部分のいずれの断面形状が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、断面は、波形、台形、長方形、三角形などであってもよい。いくつかの実施形態では、複数の形状を組み合わせてもよい。粒子を加工の間に型の外側に凝集させることによって、表面が荒くなった構造を使用することも可能である。当業者は、本明細書に記載された実施形態が、散乱中心を含む発光層を有する積層複合体を提供するように構成されることもできることを認識する。熟練者は、日常の実験によって、または例えば、本出願と同じ実体が所有する米国仮出願第61/183,025号(その開示は、引用することによってその全体を本明細書に含めるものとする)に開示された様式で上記変形例を容易に遂行することができる。
【0060】
一実施形態では、
図5に示すように、発光素子21は、n型領域とp型領域との間に配置された発光層を含む半導体発光源26と、発光源26によって照射された光28の経路に発光源26に隣接して配置された積層波長変換セラミック複合体20とを含み、積層波長変換セラミック複合体20は、発光材料(少なくとも約0.650の波長変換効率を有する波長変換セラミック層を含む複合積層体)の波長変換セラミック層22と、実質的に透明な材料の非発光層24とを含み、ここで、非発光透明層は、波長変換セラミック層より大きい厚みを有し、波長変換セラミック層および非発光層は、焼結セラミックテープキャスト層の形態である。この実施形態では、波長変換セラミック層22は、半導体発光源26に隣接して、例えば、非発光層24下で半導体発光源26上に配置されている。
【0061】
一実施形態では、
図6に示すように、発光素子21は、n型領域とp型領域との間に配置された発光層を含む半導体発光源26と、発光源26によって照射された光28の経路に発光源26に隣接して配置された積層波長変換セラミック複合体20(少なくとも約0.650の波長変換効率を有する積層体波長変換セラミック複合体)とを含み、積層発光複合体20は、発光材料の波長変換セラミック層22と、実質的に透明な材料の非発光層24とを含み、ここで、非発光透明層は、発光層より大きい厚みを有し、発光層および非発光層は、焼結セラミックテープキャスト層の形態である。この実施形態では、非発光層24は、半導体発光源26に隣接して、例えば、波長変換セラミック層22下で半導体発光源26上に配置されている。
【0062】
一実施形態では、
図7aに示すように、発光素子21は、n型領域とp型領域との間に配置された発光層を含む半導体発光源26と、発光源26によって照射された光28の経路に発光源26に隣接して配置された積層波長変換複合体20(少なくとも約0.650の波長変換効率を有する波長変換複合積層体)とを含み、積層波長変換複合体20は、発光材料の波長変換セラミック層22と、実質的に透明な材料の非発光層24fと、少なくとも1つのさらなる非発光層24gとを含み、ここで、さらなる非発光層24gは、他方の非発光層24fに対向する波長変換セラミック層22上に積層されている。場合により、非発光透明層24f、24gは、波長変換セラミック層22より大きな厚みを有し、波長変換セラミック層22および非発光層24f、24gは、焼結セラミックテープキャスト層の形態である。
【0063】
別の実施形態では、発光複合積層体は、本明細書に記載された方法のうちのいずれかによって作製することができる。
【0064】
別の実施形態では、発光素子は、本明細書に記載された方法のいずれかによって作製された発光複合積層体を含む。
【0065】
図10に示すように、いくつかの実施形態は、発光YAG:Ce複合積層体を製造する方法を提供し、この方法は、(i)非発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープおよび発光材料から形成され、少なくとも約0.650の波長変換効率を有する少なくとも1つのキャストテープを提供すること(ステップ1)、(ii)キャストテープの部分を積み重ねて、アセンブリを形成すること(ステップ2)、(iii)アセンブリを圧縮して、プリフォームを作製すること(ステップ3)、(iv)プリフォームを加熱して、グリーンプリフォームを製造すること(ステップ4)、(v)グリーンプリフォームを焼結して、発光YAG:Ce複合積層体を作製すること(ステップ5)を含む。いくつかの実施形態では、複合積層体は、焼結後に測定した場合に少なくとも約0.650の波長効率を有する。いくつかの実施形態では、ステップ(i)は、非発光材料から形成された少なくとも1つのキャストテープ、および発光材料および散乱材料から形成された少なくとも1つのキャストテープを提供することを含む。いくつかの実施形態では、複合積層体は、約40%〜約85%の全透過率を有する。いくつかの実施形態では、複合積層体は、約50%〜約70%の全透過率を有する。いくつかの実施形態では、非発光材料から形成されたキャストテープの提供は、Y
2O
33モル部、Al
2O
35モル部、分散剤、焼結助剤、および有機溶媒を混合すること、Y、Al、Ceを実質的に含んでいない材料のボールを使用して混合物をボールミル粉砕して、粉砕された第1のスラリーを作製すること、タイプ1およびタイプ2の可塑剤および有機バインダーを前記第1のスラリーと混合して、第2のスラリーを作製すること、第2のスラリーを粉砕して、粉砕された第2のスラリーを作製すること、粉砕された第2のスラリーをテープキャストして、非発光キャストテープを作製すること、非発光キャストテープを乾燥して、乾燥テープを作製すること、複数層の乾燥テープを加熱圧縮して、積層グリーンシートを形成すること、積層グリーンシートを加熱して、有機成分を取り除くこと、グリーンシートを焼結して、キャストテープとして使用される透明または半透明非発光セラミックシートを形成することを含む。いくつかの実施形態では、非発光材料から形成されたキャストテープの提供は、約3モル部より多いY
2O
3、または5モル部より多いAl
2O
3、または両者を混合することを含む。いくつかの実施形態では、非発光キャストテープは、YAG粉末を含み、キャストテープの各層は、約100〜約200μmの厚みを有する。いくつかの実施形態では、キャストテープの提供は、約30nm〜約500nmの粒子サイズを有する化学量論的に正確な蛍光体ナノ粒子の流動系熱化学合成を行うこと、ナノ粒子を、粒子サイズが増大した実質的にまたはほとんどすべてガーネット相の蛍光体ナノ粒子に実質的に変換するのに十分な温度で予備アニールすること、予備アニールされた蛍光体ナノ粒子、分散剤、焼結助剤、および有機溶媒を混合すること、粉砕される材料用の非酸素成分または潜在的ドーパントを含まない材料から構成されたボールを使用するボールミル粉砕を使用して混合物を粉砕して、粉砕された第1のスラリーを作製すること、タイプ1およびタイプ2の可塑剤および有機バインダーを前記第1のスラリーに混合して、第2のスラリーを作製すること、第2のスラリーを粉砕して、粉砕された第2のスラリーを作製すること、粉砕された第2のスラリーをテープキャストして、キャストテープを作製すること、キャストテープを乾燥して、乾燥テープを作製すること、複数層の乾燥テープを加熱圧縮して、積層グリーンシートを形成すること、積層グリーンシートを加熱して、有機成分を取り除くこと、グリーンシートを焼結して、キャストテープとして使用される透明または半透明発光セラミックシートを形成することを含む。いくつかの実施形態では、キャストテープを提供するステップは、化学量論的に正確でない蛍光体ナノ粒子の流動系熱化学合成を行うことを含む。いくつかの実施形態では、キャストテープを提供するステップは、化学量論的に正確な蛍光体ナノ粒子の流動系熱化学合成を行うこと、さらなる第2相材料を混合物に添加するステップを含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、流動系熱化学合成法によって合成されたセリウムをドープした酸化イットリウムアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、無線周波誘導結合熱プラズマを使用して合成されたセリウムをドープした酸化イットリウムアルミニウムである。いくつかの実施形態では、方法は、複合積層体内の体積または表面特徴を決めることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、複合積層体内の空隙特徴を決めることをさらに含み、空隙特徴は、複合積層体に完全に延在する開口、または複合積層体を不完全に延在している開口から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、複合積層体の表面上に外側に延在する表面特徴を作製することをさらに含む。
材料
【0066】
一実施形態では、発光材料は、蛍光体を含む。本開示を考慮して、熟練者は、異なるタイプの蛍光体の吸収および発光スペクトルを考慮することによって、いくつかの要因に基づいて焼結セラミックプレート基部の発光相のために、例えば、所望の白色点(つまり、色温度)のために蛍光体の種類を選択することができる。いくつかの実施形態では、半透明焼結セラミックプレートは、ガーネットを含む。ガーネットは、組成A
3B
5O
12を有していてもよく、ここで、AおよびBは、3価の金属から独立して選択される。いくつかの実施形態では、Aは、Y、Gd、La、Lu、およびTbを含む元素から選択することができるが、それらに限定されず、Bは、Al、Ga、Si、およびInを含む元素から選択することができるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、ガーネットは、少なくとも1つの元素、好ましくは、希土類金属でドープされる。いくつかの実施形態では、希土類金属は、Ce、Gd、La、Tb、Pr、Sm、およびEuを含む群から選択されるが、それらに限定されない。有用な蛍光体の例としては、Y
3Al
5O
12:Ce、(Y,Tb)
3Al
5O
12:Ce、および(Y,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12:Ceが挙げられるが、一実施形態では、蛍光体材料は、RF熱プラズマ合成されたY
3Al
5O
12:Ce
3+(YAG:Ce)を含む。いくつかの実施形態では、蛍光体材料は、非ガーネット材料、例えば、(Sr,Ca,Ba)
2SiO
4:Eu、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ce、Ba
3MgSi
2O
8:Eu、BaMgAl
10O
17:Eu、La
2O
2S:Eu、SrGa
2S
4:Eu、CaAlSiN
3:Eu、Ca
2Si
5N
8:Eu、およびCaSiAlON:Euとすることができる。
【0067】
一実施形態では、波長変換セラミック層は、0.050mol%〜約10.000mol%の濃度で活性化またはドーパント材料を含む。別の実施形態では、波長変換セラミック層は、0.125mol%〜約5.000mol%のドーパント濃度を含む。別の実施形態では、波長変換セラミック層は、0.125mol%〜約3.000mol%のドーパント濃度を含む。別の実施形態では、波長変換セラミック層は、限定されないが0.100、0.200、0.500、1.000、1.250、1.500、1.750、または2.000mol%、または先の数値のうちのいずれか2つの間のいずれかの数値を含めて、1.000mol%〜約2.750mol%のドーパント濃度を含む。
【0068】
一実施形態では、TEOS、SiO
2、Zr、または限定されないが、テトラエトキシシラン(TEOS)、コロイダルシリカ、およびそれらの混合物などのMgまたはCa珪酸塩およびフッ化物;限定されないが酸化リチウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化ホウ素、フッ化カルシウム、およびそれらの混合物などの酸化物およびフッ化物;好ましくは、テトラエトキシシラン(TEOS)などの焼結助剤を使用することができる。
【0069】
一実施形態では、フローレン、魚油、長鎖ポリマー、ステアリン酸;酸化メンハーデン魚油、ジカルボン酸、例えばコハク酸、エタン二酸、プロパン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、o−フタル酸、p−フタル酸、およびそれらの混合物などの分散剤を使用することができる。使用されてもよい他の分散剤としては、ソルビタンモノオレアート、好ましくは、酸化メンハーデン魚油(MFO)が挙げられる。
【0070】
一実施形態では、有機バインダーを使用することができ、PVB;限定されないがポリビニールブチラール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリアクリロニトリル、それらの混合物、およびそれらの共重合体、ポリエチレンイミン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、塩化ビニルアセテート、およびそれらの混合物などのビニル重合体、好ましくは、PVBが挙げられる。
【0071】
一実施形態では、可塑剤を使用することができ、一般にガラス転移温度(Tg)を低下させることができる、例えば、それをより柔軟にする可塑剤タイプ1、フタル酸(n−ブチル、ジブチル、ジオクチル、ブチルベンジル、
混合エステル、およびジメチル);より柔軟でより変形可能な層を可能にすることができ、積層物に起因する空隙量を低減することができると思われる可塑剤タイプ2、例えば、グリコール類(ポリエチレン;ポリアルキレン;ポリプロピレン;トリエチレン
);ジプロピルグリコールベンゾ
エー
トが挙げられる。
【0073】
可塑剤タイプ1の可塑剤は、限定されないが透明YAGを含む透明セラミック材料の製造に使用されてもよく、限定されないがフタル酸ブチルベンジル、限定されないがフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ビス(n−ブチル)、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、およびそれらの混合物などの限定されないフタル酸系可塑剤などのジカルボン酸/トリカルボン酸エステル系可塑剤;限定されないがアジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸モノメチル、アジピン酸ジオクチル、およびそれらの混合物などのアジピン酸系可塑剤;限定されないがセバシン酸ジブチルおよびマレイン酸塩などのセバシン酸系可塑剤が挙げられる。
【0074】
タイプ2の可塑剤は、限定されないがマレイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、およびそれらの混合物、限定されないがポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物などのポリアルキレングリコールが挙げられる。使用されてもよい他の可塑剤としては、ベンゾ
エート類、エポキシ化植物油、限定されないがN−エチルトルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドなどのスルホンアミド類、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、限定されないがトリエチレングリコールジヘキサノアート、テトラエチレングリコールジヘプタノアート、およびそれらの混合物などのグリコール類/ポリエーテル類などの有機リン酸エステル;限定されないがクエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、クエン酸トリメチル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、およびそれらの混合物などのクエン酸アルキルが挙げられる。
【0075】
発光層および非発光層の製造で使用されてもよい溶媒は、水、限定されないが、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、およびメチルエチルケトン、およびそれらの混合物、好ましくは、キシレンとエタノールの混合物などの低級アルカノールが挙げられる。
方法
【0076】
別の実施形態では、
図6に示すように、発光YAG:Ce複合積層体を製造する方法が記載されており、方法は、非発光材料から形成されたキャストテープを提供するステップと、発光材料から形成されたキャストテープを提供するステップと、キャストテープの部分を積み重ねて、アセンブリを作製するステップと、アセンブリを圧縮して、プリフォームを作製するステップと、プリフォームを加熱して、グリーンプリフォームを作製するステップと、グリーンプリフォームを焼結して、発光YAG:Ce複合積層体を作製するステップとを含む。別の実施形態では、提供された発光材料は、少なくとも約0.650の波長変換効率を有する。いくつかの実施形態では、キャストテープを提供するステップは、化学量論的に正確でない蛍光体ナノ粒子の流動系熱化学合成を行うことを含む。別の実施形態では、提供された発光材料は、製造方法の間に、例えば、焼結ステップによって、少なくとも約0.650の波長変換効率を有する材料に変換される。別の実施形態では、発光材料から形成されたキャストテープを提供するステップは、さらに、そこに散乱中心を設けることを含む。
【0077】
一実施形態では、非発光材料から形成された少なくとも1つのキャスト乾燥テープを提供するステップは、Y
2O
3約3モル部、Al
2O
35モル部、分散剤、焼結助剤、および有機溶媒を混合するステップと、YまたはAl材料と異なる材料の粉砕ボールを使用して混合物を粉砕して、粉砕された第1のスラリーを作製するステップと、タイプ1およびタイプ2の可塑剤および有機バインダーを前記第1のスラリーに混合して、第2のスラリーを作製するステップと、第2のスラリーを粉砕して、粉砕された第2のスラリーを作製して、非発光キャストテープを作製するステップと、粉砕された第2のスラリーをテープキャストして、非発光キャストテープを作製するステップと、非発光キャストテープを乾燥して、非発光乾燥テープを作製するステップとを含む。テープキャストのステップは、複数層の乾燥テープを加熱圧縮して、積層グリーンシートを形成すること、積層グリーンシートを加熱して、有機成分を取り除くこと、グリーンシートを焼結して、透明または半透明非発光セラミックシートを形成することを含むことができる。
【0078】
一実施形態では、発光材料から形成された乾燥キャストテープを提供するステップは、(i)流動系熱化学法を使用して、30nm〜約500nmの粒子サイズを有する化学量論的に正確な蛍光体ナノ粒子を合成するステップと、(ii)ナノ粒子を、実質的にまたはほとんどすべてガーネット相の蛍光体ナノ粒子に実質的に変換するのに十分な温度で蛍光体ナノ粒子を予備アニールするステップと、(iii)予備アニールされた蛍光体ナノ粒子、分散剤、焼結助剤、および有機溶媒を混合するステップと、(iv)イットリウムまたはアルミニウムを含んでいない材料の粉砕ボールを使用して混合物をボールミル粉砕して、粉砕された第1のスラリーを作製するステップと、(v)タイプ1およびタイプ2の可塑剤および有機バインダーを前記第1のスラリーに混合して、第2のスラリーを作製するステップと、(vi)第2のスラリーを粉砕して、粉砕された第2のスラリーを作製するステップと、(vii)粉砕された第2のスラリーをテープキャストして、少なくとも約0.650の波長変換効率を有する発光材料から形成されたキャストテープを作製し、その材料は、ガーネット相蛍光体ナノ粒子に由来するステップと、(viii)発光材料含有キャストテープを乾燥して、発光乾燥テープを作製ステップと、(ix)複数の乾燥テープを加熱圧縮して、積層グリーンシートを形成するステップと、(x)積層グリーンシートを加熱して、有機成分を取り除くステップと、(xi)グリーンシートを焼結して、透明または半透明発光セラミックシートを形成するステップとを含む。別の実施形態では、流動系熱化学合成法としては、上記ナノ粒子のRF熱プラズマ合成が挙げられる。いくつかの実施形態では、発光材料および散乱材料を含む発光層は、流動系熱化学法を使用して30nm〜約500nmの粒子サイズを有する化学量論的に正確でない蛍光体ナノ粒子を合成することによって同様に調製することができる。いくつかの実施形態では、発光材料および散乱材料を含む発光層は、流動系熱化学法を使用して30nm〜約500nmの粒子サイズを有する化学量論的に正確な蛍光体ナノ粒子を合成し、さらなる第2相材料を添加することによって同様に調製することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、30nm〜約5μmの粒子サイズを有する。別の実施形態では、粒子サイズは、30nm〜1μmである。さらに別の実施形態では、粒子サイズは、30μm〜500nmである。別の実施形態では、粒子サイズは、先の数値のいずれかの2つの間のいずれのサイズであってもよい。
予備アニール/粒子サイズ調整
【0080】
一実施形態では、ナノ粒子は予備アニールされて、ナノ粒子を、粒子サイズが付随して増大する実質的にまたはほとんどすべてガーネット相の蛍光体ナノ粒子に変換する。実質的にまたはほとんどすべてガーネットの蛍光体ナノ粒子は、実施形態におけるガーネット相であるナノ粒子の少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、および少なくとも99%、または意図する用途のためのガーネット蛍光体ナノ粒子のすべてと機能的に同等な程度を称する。実質的にまたはほとんどすべてのガーネット相は、XRDスペクトルと、公知の基準との比較によって識別することができる。いくつかの場合でのテープキャスト用の原料粒子は、ナノメーター範囲にある。溶媒の蒸発中に毛管力によって引き起こされるキャストテープのクラッキングを低減するために、Y
2O
3およびAl
2O
3の両方の粒子サイズを互いに一致させ、適正範囲となるように選択することができる。イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)またはY
2O
3およびAl
2O
3の粒子サイズは、限定されないがO
2、H
2、H
2/N
2を含む周囲空気中で真空中で、および/または800℃〜1800℃の温度範囲、好ましくは、900℃〜1500℃の範囲、より好ましくは、1000℃〜1400℃の範囲で空気中で粒子を予備アニールすることによって調整することができる。アニールされた粒子は、0.5〜20m
2/gの範囲、好ましくは、1〜10m
2/gの範囲、より好ましくは、3〜6m
2/gの範囲のBET表面積を有する。
スラリー作製(混合粉砕)
【0081】
いくつかの実施形態では、方法は、予備アニールされた蛍光体ナノ粒子、分散剤、焼結助剤、および有機溶媒を混合するステップと、ナノ粒子の非酸化物元素とは異なる、例えば、イットリウムまたはアルミニウムを含まない材料の粉砕ボールを使用して混合物をボールミル粉砕して、粉砕された第1のスラリーを作製するステップと、タイプ1およびタイプ2の可塑剤および有機バインダーを前記第1のスラリーに混合して、第2のスラリーを作製するステップと、第2のスラリーを粉砕して、粉砕された第2のスラリーを作製するステップとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらなる第2相材料を、予備アニールされた蛍光体ナノ粒子に、またはその粒子と混合するステップを含む。
【0082】
テープキャストによってイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)グリーンシートを作製するためのスラリーを作製する方法が、一例として本明細書に開示されている。限定されないが3価のセリウムイオンなどのプラズマ含有活性剤、または化学量論に基づいたY
2O
3およびAl
2O
3の混合物によって合成されたYAGの粒子は、分散剤、活性剤、焼結助剤、および溶媒と混合され、続いて、0.5〜100時間、好ましくは、6〜48時間、より好ましくは、12〜24時間ボールミルによって混合される。このボールミル混合されたスラリーは、限定されないがポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)(PVK)などの重合体バインダー、限定されないがフタル酸ベンジルn−ブチル(BBP)およびポリエチレングリコール(PEG)などの可塑剤と混合される。PEGの平均分子量は、100〜50000の範囲であることが好ましく、より好ましくは、400〜4000の範囲である。バインダーおよび可塑剤は、スラリーに直接添加および混合する、またはあらかじめ溶媒に溶解し、次いでスラリーに添加することができる。
【0083】
混合物は、0.5〜100時間、好ましくは、6〜48時間、さらに好ましくは、12〜24時間ホールミル粉砕することができる。粉砕ボールは、一実施形態では、ホスト材料の成分と異なる材料で構成されており、例えば、ホスト材料がYAGである場合、ボール材料は、ZrO
2を含むことができる。スラリーはフィルタを通されて、ボールとスラリーを分離する。スラリーの粘度は、10〜5000センチポアズ(cP)の範囲、好ましくは、100〜3000センチポアズ(cP)の範囲、さらに好ましくは、400〜1000センチポアズ(cP)の範囲で調整される。
テープキャスト
【0084】
いくつかの実施形態では、方法は、粉砕された第2のスラリーをテープキャストして、少なくとも約0.650の波長変換効率を有する発光材料から形成されたキャストテープを作製するステップを含む。
【0085】
テープキャストの方法を、一例として本明細書で説明する。適切な粘度を備えたスラリーを、調整可能な隙間を備えたドクターブレードで、リリース基板、例えば、シリコーン被覆Mylar(登録商標)(ポリエチレンテトラフタラート)基板上に成型する。キャストテープの厚みは、ドクターブレードの隙間、スラリー粘度、およびキャスト速度を変化することによって調整することができる。キャストテープは、基板の加熱でまたは加熱なしで周囲雰囲気で乾燥される。様々な厚みを備えたグリーンシートは、キャストテープからの溶媒の蒸発の後に得られる。ドクターブレードの隙間は、0.125〜1.25mmの範囲で、好ましくは、0.25〜1.00mmの範囲で、より好ましくは、0.375〜0.75mmの範囲で変化させることができる。キャスト速度は、好ましくは、約10cm/分〜約150cm/分の範囲、より好ましくは、30〜100cm/分の範囲、さらに好ましくは、40〜60cm/分の範囲にある。このように、グリーンシートの厚みは、20〜300マイクロメートルの範囲で調整することができる。当業者は、パラメータの適切なセットを選択して、開示された実施形態の範囲を越えることなく、特定のグリーンシート厚みを得ることができる。
積層
【0086】
一実施形態では、方法は、複数の乾燥テープを加熱圧縮して、積層グリーンシートを形成するステップを含む。
【0087】
積層によって発光および非発光グリーンシートの複合体を作製する方法が、一例として本明細書で説明される。発光および非発光材料を含むキャストテープを、所望の形状および寸法に切断し、次いで、単一グリーンシートをともに積み重ねることによって組み立てる。積み重ね時のグリーンシートの総数は、単一のグリーンシートの厚み、発光層中の活性剤濃度、および最終焼成後の複合体の所望の厚みに応じて、2〜100の範囲とすることができる。キャストテープの積み重ねは、ステンレス鋼などの金属からなる金属型間に設置される。積層グリーンシートに接触した金属型の表面は、剥離を容易にするために鏡状に研磨することができる。キャストテープ積み重ねは、バインダーのTg温度より高い温度に加熱され、次いで、1〜500MPa(メガパスカル)、好ましくは、30〜60MPaの範囲の圧力で一軸圧縮される。グリーンシート積み重ねに加えられる圧力および熱は、1〜60分間、好ましくは、30分間保持される。その後、圧力は解放される。さらなる態様では、グリーンシートにおけるパターンは、限定されないが、一方の表面から他方の表面に完全に延在する、またはグリーンシートに部分的に延在するが完全には延在しない直線またはブラインドホールが挙げられる。先細の穴が、
図15に説明するように積層の間または積層に続いて設計パターンを備えた型を使用することによってグリーンシート上に形成され、表面30を有するグリーンシート20は、グリーンシート20の積層を達成しながらダイローラ40を通り、ダイローラ40の1つは、表面30上に所望の凹状構造を形成するための突起部42を有する。表面粗さ向上パターンとしては、限定されないが、外側に延在するピラー、ピラミッド、または他の繰り返しまたは繰り返さない拡張部または突起部が挙げられ、
図14に説明するように、積層の間または積層に続いて設計パターンを備えた型を使用することによってグリーンシート上に形成することもでき、ここで、表面30を有するグリーンシート20は、ダイローラ40を通り、ダイローラ40の1つは、グリーンシート20の積層を達成しながら、表面30上に形成される表面粗さ向上パターン43を有する。そのようなパターンは、導波路効果によって、および横光伝播を低減することによって出力された光の所望の方向の光結合および抽出を向上させることができる。
焼成
【0088】
いくつかの実施形態では、方法は、積層グリーンシートを加熱して、有機成分を取り除くステップと、グリーンシートを焼結して、透明または半透明発光セラミックシートを形成するステップとを含む。用語「透明」および「半透明」は、実施形態では800nmで測定された、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の全透過率を有する積層体、または積層体の色にかかわらず意図する用途のために使用中の光が通る積層体を称する。
【0089】
積層グリーンシートを焼結して、密度が高いセラミックシートを得る方法が、一例として本明細書に説明される。まず、積層グリーンシートを、約40%の空孔率を備えたZrO
2(ZrO
2に限定されない)からなるカバープレート間に挟持して、脱バインダーおよび焼結の間のグリーンシートの曲がり、反り、およびたわみを低減する。脱バインダーは、実施形態における適切な温度での加熱による有機バインダーおよび溶媒の除去を称する。複数のグリーンシートを、もしくは、多孔性ZrO
2カバープレート間に積み重ねることができる。カバーシートの材質は、グリーンシートの材質と実質的に異なる材料、例えば、グリーンシートの金属酸化物と同じ金属元素を含んでおらず、加工温度に耐えてグリーンシートと同じ状態、相または構成に保持することができる材料を含むように選択することができる。グリーンシートを、空気中で加熱して、バインダー、可塑剤などの有機成分を分解する。グリーンシートを、300℃〜1000℃の範囲、好ましくは、500℃〜800℃、より好ましくは、600℃に、0.01〜10℃/分、好ましくは、0.01〜5℃/分、より好ましくは、1.5〜1.0℃/分の速度で加熱し、積層グリーンシートの厚みに応じて30〜300分間、最高温度で保持する。
【0090】
脱バインダー後、グリーンシートを、1時間〜100時間、好ましくは、2〜10時間、1200℃〜1900℃、好ましくは、1500℃〜1800℃、より好ましくは、1600℃〜1700℃の範囲の温度で、真空、H
2/N
2、H
2および/またはAr/H
2中で焼結する。脱バインダーおよび焼結は、所望の大気条件を受けて、別々にまたはともに行うことができる。還元性雰囲気で焼結された積層グリーンシートは、通常、焼結の間に酸素空孔などの欠陥の形成によって褐色または暗褐色である。空気または酸素雰囲気中の再酸化は、通常、セラミックシートを可視光線波長領域において非常に透明にするのに必要である。再酸化は、1〜20℃/分の加熱速度で1000℃〜1500℃の温度領域で30〜300分間、好ましくは、5℃/分で1400℃で2時間行う。
積層複合体の表面の修飾
【0091】
他の実施形態では、方法は、場合により、開口を決定し、または積層複合体の表面、好ましくは、複合積層体の遠位の表面をテクスチャード加工するステップをさらに含む。
図14、15に示すように、ローラ40のうちの1つは、繰り返しまたはパターン化された接触表面42(
図15)または43(
図14)を有しており、積層複合体20の表面30と接触する。
粉末の内部量子効率(IQE)についての評価方法
【0092】
蛍光体粉末の発光効率は、所定の強度を備えた基準励起光の照射下で蛍光体粉末からの発光を測定することによって、内部量子効率(IQE)として評価することができる。この粉末IQE値は、波長変換層の効率の非常に有用な表示をもたらすことができる。蛍光体の内部量子効率(IQE)は、蛍光体に実際に吸収される励起光の光子数に対する蛍光体から生成された光子数の比である。
【0093】
蛍光体材料のIQEは、下記式によって表すことができる。
【数1】
所定の波長λでは、E(λ)は、蛍光体に入射する励起スペクトルにおける光子数であり、R(λ)は、反射された励起光のスペクトルにおける光子数であり、P(λ)は、蛍光体の発光スペクトルにおける光子数である。このIQE測定の方法も、Ohkuboらの「Absolute Fluorescent Quantum Efficiency of NBS Phosphor Standard Samples」87〜93、J.Illum Eng Inst.Jpn.Vol.83、No.2、1999に提供されており、その開示は、引用することによってその全体を本明細書に含める。この方法は、反射されない励起光がすべて蛍光体に完全に吸収されると仮定する。
複合積層体の波長変換効率(WCE)についての評価方法
【0094】
蛍光体セラミック層を含む複合積層体の発光効率も、所定の強度の励起光を備えた照射において、複合積層体または蛍光体層から照射された光ルミネセンスを測定することによって、波長変換効率(WCE)として評価することができる。
【0095】
複合体または蛍光体層のWCEは、下記式によって表すことができる。
【数2】
いずれかの波長λで、P
Exc(λ)は、複合積層体または蛍光体層に入射する励起スペクトルの放射電力であり、P
Emi(λ)は、複合積層体または蛍光体セラミック層からの発光および励起光の結合したスペクトルにおける放射電力である。
【0096】
条件および/または構造が特定されていない本開示では、本技術分野の熟練者は、日常の実験から、本開示を考慮して、そのような条件および/または構造を容易にもたらすことができる。また、本開示では、特定の実施形態で適用された数値は、他の実施形態では少なくとも±50%の範囲で変更することができ、実施形態で適用される範囲は終点を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
実施例:IQE測定および粉末の比較
【0097】
本発明を、本発明を限定することを目的としない実施例を参照して詳細に説明する。
1.粉末合成
1.1 プラズマ生成YAG:Ce粉末合成
【0098】
イットリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.9%、Sigma−Aldrich)56.50g、硝酸アルミニウム九水和物(純度>98%、Sigma−Aldrich)94.92g、およびセリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.99%、Sigma−Aldrich)1.14gを、脱イオン水に溶解し、続いて30分間超音波処理を行って実質的に透明な溶液を調製した。
【0099】
2.0M濃度のこの前駆体溶液を、液体ポンプを使用して、噴霧プローブによって国際公開第2008/112710号に示すものに類似するプラズマ反応チャンバに運んだ。国際公開第2008/112710号で教示された原理、技術、および範囲を、引用することによってその全体を本明細書に含める。
【0100】
合成実験を、3.3MHzで作動するLepel RF電源(Lepel社、米国、ニューヨーク州、エッジウッド)から電力を供給されるRF誘導プラズマトーチ(TEKNA Plasma System社、PL−35、カナダ、ケベック州、シャーブルック)で行った。合成実験については、チャンバ圧力は、約25kPa〜75kPaの状態にし、RFジェネレータープレート電力は、10〜30kWの範囲であった。プレート電力およびチャンバ圧力の両方は、ユーザ制御パラメータである。アルゴンは、渦巻きシースガス(20〜100slm)および中心プラズマガス(10〜40slm)の両方としてプラズマトーチに導入した。シースガス流れを、水素(1〜10slm)を添加することによって補完した。反応物質注入を、2流体噴霧の原理で作動する放射噴霧プローブ(TEKNA Plasma System社、SDR−792−230)を使用して行った。プローブは、反応物質注入中にプラズマトーチの中心に位置した。反応物質を、合成の間に1〜50ml/分の液体送出速度でその場噴霧によってプラズマに供給した。噴霧ガスとしてのアルゴンを1〜30slmの流量で供給して、液体反応物質の噴霧を行った。反応物質は、RF熱プラズマのホットゾーンを通るに際して、蒸発、分解、および核形成の組み合わせを経た。核が形成された粒子を、フローストリームから適切な多孔性セラミックまたはガラスフィルタ上に回収した。この項で合成された粒子は、約300nm〜約600nmの平均粒子サイズを有しており、粒子は、1.75mol%のセリウム含有量を有するセリウムをドープしたYAG粉末によって構成されていた。
1.2 固相反応によるYAG:Ce粉末合成
【0101】
Y
2O
3粉末(99.99%、日本イットリウム株式会社)3.9142g、Al
2O
3粉末(99.99%、grade AKP−30、住友化学工業)2.998g、およびセリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.99%、Sigma−Aldrich)0.1341gを、ボールミルジャーに添加した。Al
2O
3、Y
2O
3、およびセリウム(III)硝酸塩六水和物の比を、2.94:5:0.06の化学量論比で維持した。スラリーを、24時間ボールミル混合によって、Y
2O
3粉末、Al
2O
3粉末、セリウム(III)硝酸塩六水和物、およびメタノールを混合することによって作製した。メタノールが完全に蒸発するまで、このスラリーを、70℃でめのう乳鉢内で乾燥した。粉末の乾燥混合物を、1400℃で10時間、空気中または3%H
2/97%N
2の混合物中でアニールした。
【0102】
この項で合成された粒子は、0.2〜0.5μmの平均粒子サイズを有しており、粒子は、1.75mol%のセリウム含有量を有するセリウムをドープしたYAG粉末によって構成された。
1.3 共沈法で生成されたYAG:Ce粉末合成
【0103】
YC1
3(純度99.9%、VWR)3.537molおよびCeCl
3(純度99.9%、Aldrich)0.063molを、窒素雰囲気でグローブボックス内で正確に量って、例えば、最終のセリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce)粒子中に1.75%のY:Ceの比率に対する化学量論混合(吸湿による)で生じる測定誤差を低減する。激しい加水分解によって引き起こされる瞬間的な水の沸騰を回避するために、両方の微量の塩化物粉末を、3.6Lの脱イオン水に常に撹拌しながら同時にゆっくり添加した。AlCl
3(純度>99.9%、Aldrich)6.0molも、窒素雰囲気下でグローブボックス内で正確に量り、それを、YおよびCe前駆体について上記したのと同様の方法で、別個の脱イオン水6.0Lに溶解した。これらの2つの水溶液を、次いで、三角フラスコ40L中で常に撹拌しながら混合した。YCl
3/CeCl
3およびAlCl
3溶液用の2つの容器を、脱イオン水で十分に洗浄し、洗浄水を、40Lのフラスコに混合して、金属塩化物溶液の量的移動および混合を確実にする。36N濃硫酸(H
2SO
4、純度95〜98%、Aldrich)0.4Lを、次いで、混合溶液にゆっくり添加して、常に撹拌しながらイットリウムアルミニウムセリウム原液を形成した。その後、電子pHメーターで測定した場合に溶液のpHが4.8になるまで、およそ12Lの重炭酸アンモニウム(NH
4HCO
3、純度99%、Aldrich)の飽和水溶液を原液に滴加した。この結果生じた白色沈殿を含む溶液を、室温で一晩連続的に撹拌した。次いで、pHが7.8になるまで、水酸化アンモニウム溶液(NH
3としてのNH
4OH29〜30%、Aldrich)を混合溶液に滴加し、結果として生じた溶液を、さらに2時間撹拌した。最後に、溶液を、真空濾過を使用してろ過して、白色固体を回収した。回収した白色固体を、真空濾過を使用して、脱イオン水で繰り返し6回洗浄した。洗浄した白色固体を120℃で48時間乾燥してYAG:Ce前駆体粒子を得た。
【0104】
この項で合成した粒子は、0.1〜0.2μmの平均粒子サイズを有しており、粒子は、1.75mol%のセリウム含有量を有するセリウムをドープしたYAG粉末によって構成されていた。
1.4 IQE測定用粉末の焼結
【0105】
各項1.1〜1.3で合成した蛍光体粒子(5グラム)を、高純度アルミナ燃焼ボート内で、3%H
2および97%N
2の流動気体混合物中で、1500℃で5時間管状炉(MTI GSL 1600)内で別々にアニールした。
1.5 蛍光体粉末のIQE測定結果
【0106】
IQE測定は、以下に説明するように、積分球、光源、モノクロメーター、光ファイバー、およびサンプルホルダーなどの必要な光学部品をともに備えた大塚電子MCPD7000多重チャンネル光検知器システム(日本国、大阪)で行った。
【0107】
得られた蛍光体粉末は、約1mmの厚みで領域15mm×15mmの正方形にタブレット化した。タブレット化されたYAG:Ceサンプルを、モノクロメーターを通った後に、450nmでXeランプ(150W、大塚電子L2274)で照射した。発光スペクトルは積分球にサンプルを設置することによって得た。次に、50%の反射率を備えた拡散反射率基準(Labsphere、Spectalon(登録商標))を、基準として積分球に設置した。その後、励起光のスペクトル(450nm)を得た。ハロゲンランプ源(150W、大塚電子MC2563)からの連続スペクトル光を、タブレットの照射に使用し、その後に反射スペクトルを得た。50%拡散反射率基準を、反射スペクトル測定用の基準として再び使用した。
【0108】
IQEは、上述のIQE式に基づいて得られたデータから計算した。粉末試料のIQEは、
図8に示すように、79.8%(プラズマ生成YAG)、69.2%(固相反応)、および39.7%(共沈法生成YAG)であると決定された。RFプラズマ合成蛍光体は、他の方法と比較して最も高い内部量子効率を有することが明らかであった。
2 セラミックタブレットWCE測定および比較
2.1 プラズマ合成粉末のセラミックタブレット
【0109】
項1.1で説明した方法と同様にして、イットリウムに対してセリウム0.125〜0.20mol%を含むプラズマ合成イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)粉末(5g)を得て、高純度アルミナ燃焼ボートに添加し、3%H
2および97%N
2の流動気体混合物中で1200℃で2時間管状炉(MTI GSL 1600)内でアニールした。アニールされたYAG:Ce粉末のBET表面積を測定した結果、約5.5m
2/gであった。
【0110】
アニールされたプラズマ合成イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)粉末(5g)を、直径3mmのZrO
2ボール15gを含む高純度アルミナボールミルジャーに添加した。ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)(0.25g)およびテトラエトキシシラン(TEOS)(0.2g)をエタノール(20ml)と一緒にボールミルジャーに添加した。混合物を、4時間ボールミル混合してスラリーを作製し、その後、エタノールが完全に蒸発するまで、70℃でめのう乳鉢内で乾燥した。
2.2 固体(SSR)合成粉末のセラミックタブレット
【0111】
Y
2O
3粉末(2.8428g、99.99%、日本イットリウム株式会社)およびAl
2O
3(2.1414g、99.99%、grade AKP−30、住友化学工業)を、直径3mmのZrO
2ボール15gを含む高純度アルミナボールミルジャーに添加した。Ce(NO
3)
3・6H
2O(0.0109g、純度99.99%、Sigma−Aldrich)、つまり、イットリウムに対して0.2mol%のセリウムを、同じジャーに添加した。ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)(0.25g)、テトラエトキシシラン(0.2g)、およびエタノール(20ml)をボールミルジャーに同時に添加した。混合物を、上記と同様にしてボールミル混合し、乾燥した。反応焼結用Y−Al−Ceの粉末混合物をこのようにして作製した。
2.3 共沈(湿式溶液)によって作製された粉末のセラミックタブレット
【0112】
上記項1.3で説明した方法と同様にして、イットリウムに対してセリウム0.175mol%を含む共沈合成イットリウムアルミニウムガーネット粉末(5g)を得て、高純度アルミナ燃焼ボートに添加し、3%H
2および97%N
2の流動気体混合物中で1250℃で2時間管状炉(MTI GSL 1600)内でアニールした。アニールされたYAG粉末のBET表面積を測定した結果、約5.7m
2/gであった。アニールされた共沈合成イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)粉末(5g)を、直径3mmのZrO
2ボール15gを含む高純度アルミナボールミルジャーに添加した。ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)(0.25g)およびテトラエトキシシラン(0.2g)を、エタノール(20ml)と一緒にボールミルジャーに添加した。混合物を、4時間ボールミル混合してスラリーを作製し、その後、エタノールが完全に蒸発するまで70℃でめのう乳鉢内で乾燥した。
2.4 セラミックタブレットWCE比較
【0113】
項2.1で説明した処理を経た後に、プラズマYAG:Ce粉末80mg、100mg、120mg、および140mgを使用する異なる4つのタブレットを、直径13mmの金属型を使用し、液圧プレス内で5メートルトンの一軸力下でプレスすることによって調製した。同様に、項2.2および2.3で調製した反応焼結用Y−Al−Ce粉末および共沈生成YAG:Ce粉末の混合物を、それぞれ、プラズマYAG:Ce粉末用の上記に示したものと同様の量の粉末を使用する4つのタブレットを調製するために使用した。異なる量の出発粉末を使用すると、プレスした後に様々な異なるタブレットの厚みとなった。脱バインダーについては、プレフォームされたタブレットを、箱形炉内で1℃/分の勾配速度で800℃に加熱し、空気中で2時間保持して、有機成分を取り除いた。脱バインダーに続いて、プリフォームタブレットを、5℃/分の加熱速度で1550℃で5時間、室温まで10℃/分の冷却速度で、10
−3Torrの真空中で焼結した。得られた褐色の焼結セラミックシートを、それぞれ10℃/分および20℃/分の加熱および冷却速度で、1400℃で2時間真空中で管状炉内で再アニールした。
【0114】
得られた焼結YAGプレートの透過率を、高感度多重チャンネル光検知器(MCPD 7000、大塚電子)によって測定した。まず、ガラスプレートを、ハロゲンランプ源(150W、大塚電子MC2563)からの連続スペクトル光で照射して、基準送信データを得た。次に、各YAGセラミックプレートを、基準ガラスに設置し、照射した。送信スペクトルは、各サンプルについて光検知器(MCPD)によって得た。この測定では、ガラスプレート上のYAGプレートを、ガラスプレートと同じ屈折率を有するパラフィン油で被覆した。光の800nm波長での透過率を、YAGセラミックスプレートの透明度の定量的指標として使用した。
【0115】
ダイサー(MTI、EC400)を使用して、各蛍光体プレートを2mm×2mmにダイスカットした後に、2つのWCE測定を、光ファイバー(大塚電子)、直径12インチの積分球(Gamma Scientific、GS0IS12−TLS)、全流量測定のために構成された較正光源(Gamma Scientific、GS−IS12−OP1)、励起光源(Cree blue LED chip、主波長455nm、C455EZ1000−S2001)などの必要な光学部品をともに備えた大塚電子MCPD7000多重チャンネル光検知器システムで、4枚のプレートのそれぞれに行った。
【0116】
455nmのピーク波長を備えた青色LEDを、積分球の中央の位置に設置し、25mAの駆動電流で操作した。まず、励起光としての裸青色LEDチップからの放射電力を得た。次に、エポキシなどの共通のカプセル化樹脂と同様の屈折率を有するパラフィン油で被覆したダイスカットされた蛍光体層を、LEDチップ上に搭載した。次いで、YAG蛍光体層および青色LEDの組み合わせの放射電力を得た。
【0117】
WCEを、上記説明したWCE式に基づいて得られたデータから計算した。プラズマYAG:Ce、共沈発生YAG:Ce、および反応焼結(固相反応)YAG:Ceから形成された透明または半透明セラミックタブレットについての波長変換効率を、様々なレベルのプレート透過率(調製法およびプレートの厚みに応じて)、例えば、5%〜約95%の透過率にわたって測定した。結果を
図9に示す(WCE値は、測定誤差ではなく主に製造誤差によりわずかに変動する)。プラズマYAG:Ceから形成されたほとんどのセラミックタブレットは、Y
2O
3およびAl
2O
3粉末とCeとの反応焼結からのセラミックタブレットからの最大でも0.625や、共沈生成粉末からなるYAG:Ceからの0.200未満と比較して、0.650を超える波長変換効率(WCE)を有していた。プラズマYAG:Ceから形成された、いくつかのセラミックタブレットは、0.650未満のWCEを示し、理論によって限定されたくないが、Ce分散の均一性は、SSRまたは共沈生成材料においてよりもプラズマ生成材料においてより大きい(不均一性は小さい)からであると考える。オペレーション変数として波長変換層内でドーパント分散の不均一性を少なくとも制御することによって、プラズマYAG:Ceから、少なくとも0.650のWCEを有するセラミックタブレットを、フィルム形態で絶えず得ることができると考えられる。いくつかの実施形態では、
図9に示すように、発光層は、少なくとも0.650のWCE、および50%〜80%(800nmの光に関して測定した場合)の透過率を有しており、実質的にまたはほとんど、含まれた唯一の光発光材料であるプラズマYAG:Ceによって構成されている。
3 積層複合体発光層
3.1 積層複合体用非発光層
【0118】
50mlの高純度Al
2O
3ボールミルジャーに、直径3mmのY
2O
3安定化ZrO
2ボール55gを充填した。次いで、20mlのガラスバイアル中では、分散剤(Flowlen G−700、Kyoeisha)0.153g、キシレン(Fisher Scientific、Laboratory grade)2ml、およびエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)2mlを、分散剤が完全に溶解するまで混合した。分散剤溶液および焼結助剤としてのテトラエトキシシラン(0.038g、Fluka)をボールミルジャーに添加した。
【0119】
4.6m
2/gのBET表面積を有するY
2O
3粉末(3.984g、99.99%、lot N−YT4CP、日本イットリウム株式会社)、および6.6m
2/gのBET表面積を有するAl
2O
3粉末(2.998g、99.99%、grade AKP−30、住友化学工業)を、ボールミルジャーに添加した。合計粉末重量は7.0gであり、Y
2O
3とAl
2O
3との比は、3:5の化学量論比であった。第1のスラリーを、24時間ボールミル混合によって、Y
2O
3粉末、Al
2O
3粉末、分散剤、テトラエトキシシラン、キシレン、およびエタノールを混合することによって作製した。
【0120】
バインダーと可塑剤の溶液を、キシレン(Fisher Scientific、Laboratory grade)12mlおよびエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)12mlに、ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)(Aldrich)3.5g、フタル酸ベンジルn−ブチル(98%、Alfa Aesar)1.8g、およびポリエチレングリコール(Mn=400、Aldrich)1.8gを溶解することによって調製した。第2のスラリーを、第1のスラリーにバインダー溶液4gを添加し、次いで、さらに24時間ボールミル混合することによって作製した。ボールミル混合が完了すると、第2のスラリーを、0.05mmの空孔サイズを有する注射器支援型金属スクリーンフィルタを通過させた。第2のスラリーの粘度は、室温で攪拌しながらスラリー中の溶媒を蒸発させることによって、400センチポアズ(cP)に調整した。スラリーを、次いで、30cm/分のキャスト速度で、調整可能なフィルム塗布器(Paul N.Gardner社)で、リリース基板、例えば、シリコーン被覆Mylar(登録商標)キャリア基板(Tape Casting Warehouse)上にキャストした。フィルム塗布器上のブレード隙間を、0.508mm(20mil)に設定した。キャストテープを、周囲雰囲気で一晩乾燥して、約140μmの厚みのグリーンシートを作製した。
3.2 発光層
3.2.1 プラズマ積層体
【0121】
約20m
2/gのBET表面積を有するイットリウムに対して2mol%のセリウムを含むプラズマ生成酸化イットリウムアルミニウム(化学量論Y:Al:O=3:5:12)粉末(5.2g)を、高純度アルミナ燃焼ボートに添加し、その後、空気または3%H
2/97%N
2中で2時間、1250℃に3〜5℃/分の加熱勾配で管状炉(MTI GSL−1600)内でアニールした。その後、それを、5℃/分の勾配で室温に冷却した。4.6m
2/gのBET表面積を有する黄色粉末を、アニール後に得た。
【0122】
50mlの高純度Al
2O
3ボールミルジャーに、直径3mmのY
2O
3安定化ZrO
2ボール24gを充填した。次いで、20mlのガラスバイアル中では、分散剤(Flowlen G−700、Kyoeisha)0.084g、キシレン(Fisher Scientific、Laboratory grade)2ml、およびエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)2mlを、分散剤が完全に溶解するまで混合した。分散剤溶液および焼結助剤としてのテトラエトキシシラン(0.045g、純度99.0%、Fluka)をボールミルジャーに添加した。4.6m
2/gのBET表面積を有するアニールされたプラズマYAG粉末(3.0g)を、ボールミルジャーに添加した。第1のスラリーを、24時間ボールミル混合によって、YAG粉末、分散剤、テトラエトキシシラン、キシレン、およびエタノールを混合することによって作製した。
【0123】
バインダーと可塑剤の溶液を、キシレン(Fisher Scientific、Laboratory grade)18mlおよびエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)18mlに、ポリ(ビニルブチラール−コ−ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)(Aldrich)5.25g、フタル酸ベンジルn−ブチル(98%、Alfa Aesar)2.6g、およびポリエチレングリコール(Mn=400、Aldrich)2.6gを溶解することによって調製した。第2のスラリーを、第1のスラリーにバインダー溶液1.2gを添加し、次いで、さらに24時間ボールミル混合することによって作製した。ボールミル混合が完了すると、第2のスラリーを、0.05mmの空孔サイズを有する注射器支援型金属スクリーンフィルタを通過させた。第2のスラリーの粘度は、室温で攪拌しながらスラリー中の溶媒を蒸発させることによって、400センチポアズ(cP)に調整した。スラリーは、次いで、30cm/分のキャスト速度で、調整可能なフィルム塗布器(Paul N.Gardner社)で、リリース基板、例えば、シリコーン被覆Mylar(登録商標)キャリア基板(Tape Casting Warehouse)上にキャストした。フィルム塗布器上のブレード隙間を、0.254mm(10mil)にセットした。キャストテープを、周囲雰囲気で一晩乾燥して、約35μmの厚みの黄色グリーンシートを作製した。
3.3 実施例:積層複合体
【0124】
アニールされたプラズマYAG:Ce粉末(65μmまたは35μmの厚み)またはアニールされたSSR粉末(約290μmの全体厚みを有する3片)を含む乾燥キャストテープと同様に、Y
2O
3およびAl
2O
3粉末を含む非発光(例えば、非ドープ)材料(95μmまたは140μmの厚み)の乾燥キャストテープを、金属穴あけ器で13mmの直径の円形に切断した。穴を開けられた円形の非ドープの非発光テープ片および発光キャストテープ片の数を変えて、いくつかの積層複合体を、表1に示すように構成した。
【0126】
表1において、[3−1]は、3つの非発光層および1つの発光層の積層物を称する。A(3−1−3)は、3つの非発光層、1つの発光層、および3つの非発光層の積層物を称する。B〜Eは、Aと同様の方法で定義した積層物を称する。
【0127】
穴を開けられた円形の非ドープのテープおよびプラズマYAG:Ceキャストテープのそれぞれの片を、鏡面研磨された表面を備えた円形金型間に設置し、ホットプレート上で80℃に加熱し、その後、5メートルトンの一軸圧力で液圧プレス中で圧縮をかけ、5分間その圧力で保持した。発光および非発光層の積層複合体をこのように作製したところ、それぞれ、発光および非発光側で黄色および白色を示した。
【0128】
脱バインダーについては、積層グリーンシートを、ZrO
2カバープレート(厚み1mm、grade 42510−X、ESL Electroscience社)間に挟持し、厚み5mmのAl
2O
3プレート上に設置し、次いで、600℃に0.5℃/分の勾配速度で空気中で管状炉内で加熱し、2時間保持して、グリーンシートから有機成分を取り除きプリフォームを生成した。
【0129】
脱バインダー後、プリフォームを、1℃/分の加熱速度で5時間10
−1Torrの真空中で1500℃でアニールして、限定されないが、アモルファスイットリウム酸化物、YAP、YAM、またはY
2O
3、およびAl
2O
3を含む非発光層中のY−Al−Oの非ガーネット相からイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)相への変換を完了し、最終YAG粒度を増大させた。
【0130】
最初のアニールに続いて、プリフォームを、さらに、5℃/分の加熱速度で1650℃で2時間10
−3Torrの真空中で焼結し、室温への10℃/分の冷却速度で焼結して、約0.45mmの厚みの透明YAGセラミックシートを作製した。積層グリーンシートを黒鉛ヒーターおよびカーボンフェルト内張りを備えた炉内でアニールすると、プリフォームは、1〜5μmの粒子サイズの犠牲未ドープYAG粉末に埋め込まれて、サンプルが、強還元雰囲気により構成金属に部分的に還元されることを防止する。褐色焼結セラミックシートを、10℃/分および20℃/分の加熱および冷却速度で1400℃で2時間真空下で炉内でそれぞれ再酸化した。焼結された積層複合体は、800nmで70%を超える透過率を示した。455nmにピーク発光波長を備えた青色LEDで照射すると、発光層と非発光層との間の明瞭な境界を観察することができ、それは、ドープしたプラズマYAG層からノンドープのYAG層までセリウムの著しい拡散が生じなかったことを示す。
3.4 比較例(SSR合成発光材料)
【0131】
比較例の発光層(SSR合成発光材料から形成された)を、Y
2O
3粉末(99.99%、日本イットリウム株式会社)3.976、Al
2O
3粉末(99.99%、grade AKP−30、住友化学工業)3.014、セリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.99%、Sigma−Aldrich)0.0793g、TEOS(0.0405g)、および分散剤0.141gをボールミルジャーに添加した以外は、項3.2と同様にして作製した。
【0132】
3つの発光SSRグリーンシート(0−3−0、つまり、3つのSSR発光層で非発光層なしであり、3つの発光層は、約290μmの焼結前合計厚みおよび約227μmの焼結後合計厚みを有する)の積層複合体を、サンプル[3−1]に対応して、項3.3と同様に形成した。光学的性質を、項2.5および3.5と同じ方法で評価した。結果を、
図11に「SSR」として表し、ここで、複数の波長変換セラミック層22を積層し、波長変換セラミック層22を、サブマウント10上に形成した光源26からの光路29に配置した。
3.5 WCE決定
【0133】
波長変換効率(WCE)を、上記項2.5で説明した手順に従って評価した。
図11に示すように、サンプルSSR(0−3−0、[約1.0mol%の[Ce]での第2の焼結後に約227μm])のWCEは、約0.60であった。
図11に示すように、サンプル[3−1]のWCEは、0.682であり、ここで、波長変換セラミック層22および非発光層24を積層し、波長変換セラミック層22は、サブマウント10上に形成された光源26に近位にあった。波長変換セラミック層22が光源26から遠位にあった場合(これは、逆にされたサンプル[3−1]、つまり1−3を称する)、
図11に示すように、逆にされたサンプル[1−3]のWCEは、約0.55であった。
4 変更構造
4.1 構造1
【0134】
ピラーを備えた型を積層物で使用して、配列穴がグリーンシートを貫通または部分的に貫通する積層グリーンシートを作製する以外、項3の手順に従うことができる。
【0135】
YAGセラミックシートを、脱バインダー、第1の焼結、第2の焼結について、項1の手順に従って作製する。
4.2 構造2
【0136】
スクリーン型を積層物で使用して、異なるアスペクト比を有するピラーを含む積層グリーンシートを作製する以外、項3の手順に従うことができる。YAGセラミックシートを、脱バインダー、第1の焼結、第2の焼結について、項1の手順に従って作製する。
4.3 構造3
【0137】
イットリウムに対して2.0mol%の活性剤としてCe
3+を含むプラズマYAG粉末から形成された35μmの1つのグリーンシートを、項1の手順によって作製する。活性剤を含むグリーンシートからなる積層グリーンシートを、項1と同様の手順に従い、その後、設計された曲率を備えたバルク半球状セラミックレンズに接合することによって作製し、それは、スリップキャスト、真空キャスト、遠心キャスト、乾燥プレス、ゲルキャスト、加熱加圧キャスト、加熱射出成形、押し出し成形、静水圧プレス成形、その後、高温および制御雰囲気での脱バインダーおよび焼結によって作製する。結合材料は、ポリマー、低融点ガラス、およびセラミックスを含む。
4.4 構造4
【0138】
各々140μmの厚みのAl
2O
3およびY
2O
3(活性剤を含まない)を含む複数のグリーンシートを、項3で説明した手順に従うことによって作製する。
イットリウムに対して2.0mol%の活性剤としてCe
3+を含むプラズマYAG粉末から形成された35μmのグリーンシート1枚を、項1の手順によって作製する。活性剤を含む、または活性剤を含まないグリーンシートからなる積層複合体シートを、雄雌面および設計された曲率を備えた型を使用する以外、項1と同様な手順に従うことによって作製する。ドーム形状のセラミックシートを、脱バインダー、第1の焼結、第2の焼結について、項1の手順に従って作製する。複数のドームを備えた複合体セラミックシートを、同じ手順に従って、多数の雄雌面を有する型で作製する。
4.5 構造5
【0139】
1対のローラを、
図14に示すようなグリーンシートの積層物で使用することを除いて、項3の手順に従う。積層グリーンシートの厚みを、ローラ間の隙間を調整することによって変更することができる。YAGセラミックシートを、脱バインダー、第1の焼結、第2の焼結について、項1の手順に従って作製する。
4.6 構造6
【0140】
一方または両方のローラが
図15に示すようなパターン化された表面を含むこと以外、項3および9の手順に従う。YAGセラミックシートを、脱バインダー、第1の焼結、第2の焼結について、項1の手順に従って作製する。
5.別の実施例
【0141】
多相焼結された発光層/テープ:サンプルを、RFプラズマ法を使用して、項1で説明する方法で作製する。前駆体溶液は、脱イオン水250mlにイットリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.9%、Sigma−Aldrich)、硝酸アルミニウム九水和物(純度99.97%、Sigma−Aldrich)、およびセリウム(III)硝酸塩六水和物(純度99.99%、Sigma−Aldrich)を溶解し、その後、30分間超音波処理を行って調製する。この前駆体溶液を使用して調製されたナノ粉末は、第2相を形成するためのさらなる材料Al
2O
3を有する。ナノ粉末を、H
2/N
2=3%/97%の周囲雰囲気で1200℃で2時間アニールする。温度の上昇率は、約5℃/分である。アニール後、黄色がかった粉末を得、イットリウムアルミニウムガーネット結晶相がXRDによって決定されることが予想される。Al
2O
3相の小さなXRDピークも、Alリッチ組成において第2相材料の量に従って検知される。
【0142】
項3に記載した焼結セラミック層を調製するための同じ手順に従う。異なる量のAl
2O
3を有するさらなるサンプルを、Y/Al比を変えることによって調製する。
【0143】
FEI Company Scanning Electron Microscope(米国、オレゴン州、ヒルスバロ)型Inspect Fの走査電子顕微鏡(SEM)を、10,000kvの加速電圧、5000倍の倍率でBSED検知器を使用して10.5mmのワークディスタンス、選択モードA+B、および9.07e−5Paでの真空圧力で利用する。様々なレベルの第2相材料を有する積層複合体、例えば、Al
2O
3を切断して、観察断面をもたらすことができる。異なるコントラストを備えた結晶粒状組織を、SEMによって観察し、より明るいコントラスト結晶粒がYAG結晶相として決定され、一方、より暗いものが、元素分析を使用することによってアルミナ相として決定された。画像プロセシング技術を使用することによって、YAG相に占めるアルミナ相の割合を、数値的に計算し、要約する。計算されたアルミナ第2相は、1%〜約10%であることが予想される。
【0144】
この結果によって、発光層内のAl
2O
3の散乱中心が透明非発光層と結合して、散乱中心の設けられていない発光層と比較してより高いレベルの透過率をもたらすことが証明されることが予想される。
【0145】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記のプロセスに様々な省略、追加、および変更がなされてもよいことが当業者によって認識され、すべてのそのような変更および改変は、本発明の範囲内であることが意図される。