【文献】
Br. J. Cancer, 73(1996) p.228-235
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発現ベクターが、請求項1〜13のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチド及び請求項14〜22のいずれか1項に記載の単離ポリヌクレオチドを含む、請求項26に記載の発現ベクター。
重鎖可変領域、軽鎖可変領域、及びFc領域を含む抗−EGFR抗原結合分子であって、体ポリペプチドをコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドであって、該Fc領域内のオリゴ糖の少なくとも20%が非フコシル化されており、該重鎖可変領域は、以下の:
(a)配列番号53、配列番号59、配列番号63、配列番号65、配列番号73、配列番号123、及び配列番号125から成る群から選択される重鎖相補性決定領域(CDR1);
(b)配列番号79の重鎖CDR2;並びに
(c)配列番号107の重鎖CDR3;
を含み、かつ、該軽鎖可変領域は、以下の:
(a)配列番号111又は配列番号113の軽鎖CDR1;
(b)配列番号115の軽鎖CDR2;並びに
(c)配列番号117の軽鎖CDR3;
を含む、前記抗原結合分子。
前記抗原結合分子が、配列番号15の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号45の配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項36〜38のいずれか1項に記載の抗原結合分子。
前記癌が、乳癌、膀胱癌、頭部及び頚部癌、皮膚癌、膵臓癌、肺癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、腎臓癌、及び脳癌から成る群から選択される、請求項48に記載の抗原結合分子。
β(1,4)‐N‐アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を発現するように遺伝子操作された宿主細胞であって、該発現は、該宿主細胞により生産される抗原結合分子のFc領域内のオリゴ糖を修飾するために十分な量であり、該抗原結合分子は、請求項36〜49のいずれか1項に記載の抗原結合分子である、前記宿主細胞。
前記宿主細胞は、該宿主細胞により生産される抗原結合分子のFc領域内のオリゴ糖を修飾するために十分な量で、マンノシダーゼII活性を有するポリペプチドをコードする核酸を発現するようにさらに遺伝子操作されている、請求項50に記載の宿主細胞。
EGFR−媒介性シグナル伝達を遮断することにより治療可能な細胞増殖障害の治療用医薬の製造のための、請求項36〜49のいずれか1項に記載の抗原結合分子の使用。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
EGFRおよび抗EGFR抗体
ヒト上皮細胞増殖因子受容体(HER‐1またはErb‐B1としても既知であり、本明細書中では「EGFR」として言及される)は、c‐erbB癌原遺伝子によりコードされる170 kDa膜貫通受容体であり、固有のチロシンキナーゼ活性を示す(Modjtahedi et al., Br. J. Cancer 73: 228-235 (1996);Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。SwissProtデータベース登録P00533は、EGFRの配列を提供する。EGFRのアイソフォームおよび変異体(例えば代替的RNA転写体、切頭化バージョン、多形体等)も存在し、例としては、SwissProtデータベース登録P00533-1、P00533-2、P00533-3およびP00533-4が挙げられるが、これらに限定されない。EGFRは、リガンド、例えば上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子‐α(TGf‐α)、アンフィレグリン、ヘパリン結合EGF(hb‐EGF)、ベータセルリンおよびエピレグリンと結合することが既知である(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002);Mendelsohn and Baselga, Oncogene 19: 6550-65 (2000))。EGFRは、チロシンキナーゼ媒介性シグナル伝達経路による多数の細胞プロセス、例えば細胞の増殖、分化、細胞生存、アポトーシス、新血管形成、有糸分裂誘発および転移を制御するシグナル伝達経路の活性化(これらに限定されない)を調節する(Atalay et al., Ann. Oncology 14: 1346-1363 (2003);Tsao and Herbst, Signal 4: 4-9 (2003);Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002);Modjtahedi et al., Br. J. Cancer 73: 228-235 (1996))。
【0003】
EGFRの過剰発現は、多数のヒト悪性状態、例えば膀胱、脳、頭部および頚部、膵臓、肺、乳房、卵巣、結腸、前立腺および腎臓の癌において報告されている(Atalay et al., Ann. Oncology 14: 1346-1363 (2003);Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002);Modjtahedi et al., Br. J. Cancer 73: 228-235 (1996))。これらの状態の多くにおいて、EGFRの過剰発現は、患者の不十分な予後と相関し、あるいは関連する(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002);Modjtahedi et al., Br. J. Cancer 73: 228-235 (1996))。EGFRは、正常組織、特に皮膚、肝臓および消化管の上皮組織の細胞中でも発現されるが、しかし一般的には、悪性細胞中よりも低レベルである(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。
【0004】
非接合モノクローナル抗体(mAb)は、進行性乳癌の治療(Grillo-Lopez, A.-J., et al., Semin. Oncol. 26: 66-73 (1999);Goldenberg, M.M., Clin. Ther. 21: 309-18 (1999))のためのトラスツズマブの;CD20陽性B細胞低悪性度または濾胞性非ホジキンリンパ腫の治療のためのリツキシマブ(Rituxan
TM、IDEC Pharmaceuticals, San Diego, CAおよびGenentech Inc., San Francisco, CA)の;再発性球性骨髄性白血病の治療のためのゲムツズマブ(Mylotarg
TM、Celltech/Wyeth-Ayerst)の;ならびにB細胞慢性リンパ性白血病の治療のためのアレムツズマブ(CAMPATH
TM、Millenium Phamaceuticals/Schering AG)の米国食品医薬品局の承認により実証されるように、癌の治療のための有用な薬剤であり得る。これらの製品の成功は、それらの効力だけでなく、それらの顕著な安全性プロフィールにもよっている(Grillo-Lopez, A.-J., et al., Semin. Oncol. 26: 66-73 (1999);Goldenberg, M.M., Clin. Ther. 21: 309-18 (1999))。これらの薬剤の業績にもかかわらず、非接合mAb療法により典型的にもたらされるものより高い特異的抗体活性を得ることに大きな関心が一般に存在する。
【0005】
多数の研究の結果は、Fc受容体依存性メカニズムが腫瘍に対する細胞傷害性抗体の作用に実質的に関与するということを示唆し、そして腫瘍に対する最適抗体が活性化Fc受容体と優先的に、そして抑制性相手FcγRIIBと最小度に結合する、ということを示す(Clynes, R.A., et al., Nature Medicine 6 (4): 443-446 (2000);Kalergis, A.M., and Ravetch, J.V., J. Exp. Med. 195 (12): 1653-1659 (June 2002))。例えば少なくとも1つの研究の結果は、FcγRIIIa受容体における多形性が、特に、抗体療法の効能に強く関連する、ということを示唆する(Cartron, G., et al., Blood 99 (3): 754-757 (February 2002))。その研究は、FcγRIIIaと同型接合性の患者は、リツキシマブに対して異型接合性患者より良好な応答を有する、ということを示す。優れた応答はFcγRIIIaに対する抗体のより良好なin vivo結合によるものであり、これがリンパ腫細胞に対するより良好なADCC活性を生じる、と著者等は結論づけた(Cartron, G., et al., Blood 99 (3): 754-757 (February 2002))。
【0006】
EGFRを標的化し、そしてEGFRシグナル伝達経路を遮断するための種々の戦略が報告されている。小分子チロシンキナーゼ阻害薬、例えばゲフィチニブ、エルロチニブおよびCI‐1033は、細胞内チロシンキナーゼ領域の自己リン酸化を遮断し、それにより下流シグナル伝達事象を抑制する(Tsao and Herbst, Signal 4: 4-9 (2003))。他方で、モノクローナル抗体はEGFRの細胞外部分を標的化し、これがリガンド結合の遮断を生じて、それにより細胞増殖のような下流事象を抑制する(Tsao and Herbst, Signal 4: 4-9 (2003))。
【0007】
そのような遮断をin vitroで達成するいくつかのネズミモノクローナル抗体が産生されており、これらはマウス異種移植モデルにおける腫瘍増殖に影響を及ぼすその能力に関して評価されている(Masui, et al., Cancer Res. 46: 5592-5598 (1986);Masui, et al., Cancer Res. 44: 1002-1007 (1984);Goldstein, et al., Clin. Cancer Res. 1: 1311-1318 (1995))。例えばEMD 55900(EMD Pharmaceuticals)は、ヒト類表皮癌細胞株A431に対して産生されたネズミ抗EGFRモノクローナル抗体であり、喉頭または下咽頭の進行性扁平上皮癌を有する患者の臨床的研究で試験された(Bier et al., Eur. Arch. Otohinolaryngol. 252: 433-9 (1995))。さらに、EGFRの細胞外ドメインと結合するラットモノクローナル抗体ICR16、ICR62およびICR80は、EGFおよびTGF‐α受容体の結合を抑制するのに有効であることが示されている(Modjtahedi et al., Int. J. Cancer 75: 310-316 (1998))。ネズミモノクローナル抗体425は、ヒトA431癌細胞株に対して産生された別のMAbであり、そしてヒト上皮細胞増殖因子受容体の外部ドメイン上のポリペプチドエピトープと結合することが判明した(Murthy et al., Arch. Biochem. Biophys. 252 (2): 549-560 (1987))。治療的処置におけるネズミ抗体の使用に伴う潜在的問題は、非ヒトモノクローナル抗体が外来タンパク質としてヒト宿主により認識され得ない点である;したがってこのような外来抗体の反復注射は免疫応答の誘導をもたらして、有害な過敏性応答を生じ得る。ネズミベースのモノクローナル抗体に関して、これはしばしば、ヒト抗マウス抗体応答、または「HAMA」応答、またはヒト抗ラット抗体または「HARA」応答として言及される。さらに、これらの「外来」抗体は、それらが、実際には、それらの標的部位に到達する前に中和されるよう、宿主の免疫系により襲撃され得る。さらに、非ヒトモノクローナル抗体(例えばネズミモノクローナル抗体)は典型的には、ヒトエフェクター機能性を欠き、即ちそれらは、とりわけ補体依存性溶解を媒介し得ないし、あるいは抗体依存性細胞毒性またはFc受容体媒介性貪食作用によりヒト標的細胞を溶解し得ない。
【0008】
2またはそれより多い異なる種(例えばマウスおよびヒト)からの抗体の一部を含むキメラ抗体は、「接合」抗体の代替物として開発されてきた。例えば米国特許第5,891,996号(Mateo de Acosta del Rio等)はEGFRに対して向けられるマウス/ヒトキメラ抗体R3を考察し、そして米国特許第5,558,864号はキメラおよびヒト化形態のネズミ抗EGFR MAb425の産生を考察する。さらにまた、IMC‐C225(エルビタックス(登録商標);ImClone)は、種々のヒト異種移植モデルにおける抗腫瘍効力を実証することが報告されているキメラマウス/ヒト抗EGFRモノクローナル抗体(マウスM225モノクローナル抗体を基礎とし、これがヒト臨床試験においてHAMA応答を生じた)である(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。IMC‐C225の効力は、EGFRシグナル伝達経路により、そしておそらくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)活性増大により調節される細胞事象の抑制を含めたいくつかのメカニズムに起因すると考えられる(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。IMC‐C225は、臨床試験に、例えば放射線療法と化学療法の組合せにも用いられた(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。近年、Abgenix, Inc.(Fremont, CA)は、癌療法のためのABX‐EGFを開発した。ABX‐EGFは、完全ヒト抗EGFRモノクローナル抗体である(Yang et al., Crit. Rev. Oncol./Hematol. 38: 17-23 (2001))。
【0009】
抗体グリコシル化
オリゴ糖構成成分は、治療用糖タンパク質の効力に関連した特性、例えば物理的安定性、プロテアーゼ襲撃に対する耐性、免疫系との相互作用、薬物動態および特異的生物学的活性に有意に影響を及ぼし得る。このような特性は、オリゴ糖の存在または非存在だけでなく、その特異的構造にもより得る。オリゴ糖構造および糖タンパク質間の何らかの汎化が成され得る。例えばある種のオリゴ糖構造は特定炭水化物結合タンパク質との相互作用により血流からの糖タンパク質の迅速クリアランスを媒介するが、一方、他のものは抗体により結合され、そして望ましくない免疫反応を誘発し得る(Jenkins et al., Nature Biotechnol. 14: 975-81 (1996))。
【0010】
哺乳類細胞は、ヒト適用のために最も適合可能形態でタンパク質をグリコシル化するそれらの能力のため、治療用糖タンパク質の産生のための好ましい宿主である(Cumming et al., Glycobiology 1: 115-30 (1991);Jenkins et al., Nature Biotechnol. 14: 975-81 (1996))。細菌は非常に稀にしかグリコシル化せず、そして他の種類の一般的宿主、例えば酵母、糸状真菌、昆虫および植物細胞と同様に、血流からの迅速クリアランス、望ましくない免疫相互作用、そしていくつかの特定の場合には、生物学的活性に関連したグリコシル化パターンを生じする。哺乳類細胞の間で、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞はここ20年間に最も一般的に用いられてきた。適切なグリコシル化パターンを提供するほかに、これらの細胞は、遺伝的に安定な、高生産性クローン細胞株の一貫した産生を可能にする。それらは無血清培地を用いて簡単なバイオリアクター中で高密度に培養され、そして安全且つ再現可能なバイオプロセスの開発を可能にする。その他の一般的に用いられる動物細胞としては、仔ハムスター腎臓(BHK)細胞、NS0‐およびSP2/0‐マウス骨髄腫細胞が挙げられる。さらに近年、トランスジェニック動物からの産生も試験されている(Jenkins et al., Nature Biotechnol. 14: 975-81 (1996))。
【0011】
抗体はすべて、重鎖定常領域中の保存位置に炭水化物構造を含有し、各アイソタイプはN結合型炭水化物構造の異なるアレイを保有し、これがタンパク質集合体、分泌または機能活性に可変的に影響を及ぼす(Wright, A., and Morrison, S.L., Trends Biotech. 15: 26-32 (1997))。付着されたN結合型炭水化物の構造はプロセシングの程度によってかなり変化し、そして高マンノース、多分枝鎖ならびに二分岐複合オリゴ糖を包含し得る(Wright, A., and Morrison, S.L., Trends Biotech. 15: 26-32 (1997))。典型的には、モノクローナル抗体でさえ多糖形態として存在するよう、特定グリコシル化部位に付着されるコアオリゴ糖構造のヘテロジニアス・プロセッシングが存在する。同様に、抗体グリコシル化における主な差は細胞株間に生じ、そして小さな差でさえ、異なる培養条件下で増殖される所定の細胞株に関して認められる、ということが示されている(Lifely, M.R. et al., Glycobiology 5 (8): 813-22 (1995))。
【0012】
簡単な産生過程を保持しながら、そして潜在的に有意の望ましくない副作用を回避しながら、効力の大きな増大を得るための一方法は、Umana, P. et al., Nature Biotechnol. 17: 176-180 (1999)および米国特許第6,602,684号(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されているように、それらのオリゴ糖構成成分を工学処理することにより、モノクローナル抗体の天然細胞媒介性エフェクター機能を増強することである。癌免疫療法で最も一般的に用いられる抗体であるIgG1型抗体は、各CH2度メイン中のAsn297に保存N結合型グリコシル化部位を有する糖タンパク質である。Asn297に付着される2つの複合二分岐オリゴ糖は、CH2ドメイン間に埋められて、ポリペプチド主鎖との広範な接触を形成し、そしてそれらの存在は、抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)のようなエフェクター機能を抗体が媒介するために不可欠である(Jefferis, R., et al., Immunol Rev. 163: 59-76 (1998);Wright, A. and Morrison, S.L., Trends Biotechnol. 15: 26-32 (1997))。
【0013】
Umana等は、二分岐オリゴ糖の形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(1,4)‐N‐アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(「GnTIII」)のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中での過剰発現は、工学処理CHO細胞により産生される抗神経芽細胞腫キメラモノクローナル抗体(chCE7)のin vitroADCC活性を有意に増大する、ということを前に示した(Umana, P. et al., Nature Biotechnol. 17: 176-180 (1999);国際公告WO 99/54342参照)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。抗体chCE7は、非接合mAbの大きなクラスに属し、これらは、高腫瘍親和性および特異性を有するが、しかしGnTIII酵素を欠く標準工業細胞株中で産生される場合に、効能が少なすぎて臨床的に有用でない(Umana, P. et al., Nature Biotechnol. 17: 176-180 (1999))。その研究は、ADCC活性の大きな増大がGnTIIIを発現するよう抗体産生細胞を工学処理することによって得られ、これは、定常領域(Fc)関連、二分岐オリゴ糖、例えば二分岐、非フコシル化オリゴ糖の比率の、天然抗体中で見出されるレベルを上回る増大ももたらす、ということを示す最初のものであった。
【0014】
霊長類、例えばヒト(これに限定されない)における細胞増殖性障害であって、EGFR発現、特に異常発現(例えば過剰発現)により特性化される障害、例えば膀胱、脳、頭部および頚部、膵臓、肺、乳房、卵巣、結腸、前立腺および腎臓の癌(これらに限定されない)の治療のためにEGFRをターゲッティングする増強された治療的アプローチに対する必要性が依然として存在する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の詳細な説明
用語は、以下のように定義されない限り、当該技術分野で一般的に用いられるように本明細書中で用いられる。
【0053】
本明細書中で用いる場合、抗体という用語は、全抗体分子、例えばモノクローナル、ポリクローナルおよび多重特異性(二重特異性)抗体、ならびにFc領域を有し、結合特異性を保有する抗体断片、ならびに免疫グロブリンのFc領域と等価の領域を含む、そして結合特異性を保有する融合タンパク質を含むよう意図される。結合特異性を保有する抗体断片、例えばVH断片、VL断片、Fab断片、F(ab‘)
2断片、scFv断片、Fv断片、ミニボディ、ディアボディ、トリアボディおよびテトラボディ(これらに限定されない)も包含される(例えばHudson and Souriau, Nature Med. 9: 129-134 (2003)参照)。ヒト化、霊長類化およびキメラ抗体も包含される。
【0054】
本明細書中で用いる場合、Fc領域という用語は、IgG重鎖のC末端領域を指すよう意図される。IgG重鎖のFc領域の境界はわずかに変化し得るが、しかしヒトIgG重鎖Fc領域は通常は、位置Cys226のアミノ酸残基からカルボキシル末端まで伸びると定義される。
【0055】
本明細書中で用いる場合、免疫グロブリンのFc領域と等価の領域という用語は、免疫グロブリンのFc領域の天然対立遺伝子変異体、ならびに置換、付加または欠失を生じるが、しかしエフェクター機能(例えば抗体依存性細胞性細胞傷害性)を媒介する免疫グロブリンの能力を実質的に低減しない変化を有する変異体を含むよう意図される。例えば1つまたは複数のアミノ酸は、生物学的機能の実質的損失を伴わずに、免疫グロブリンのFc領域のN末端またはC末端から欠失され得る。このような変異体は、活性に及ぼす最小作用を有するよう、当該技術分野で既知の一般原則に従って選択され得る(例えばBowie, J.U. et al., Science 247: 1306-1310 (1990)参照)。
【0056】
本明細書中で用いる場合、EGFRという用語は、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(HER‐1またはErb‐B1としても既知である)(Ulrich, A. et al., Nature 309: 418-425 (1984);SwissProt寄託番号P00533;二次寄託番号:O00688、O00732、P06268、Q14225、Q92795、Q9BZS2、Q9GZX1、Q9H2C9、Q9H3C9、Q9UMD7、Q9UMD8、Q9UMG5)、ならびに天然アイソフォームおよびその変異体を指す。このようなアイソフォームおよび変異体としては、EGFRvIII変異体、代替的スプライシング産物(例えばSwissProt寄託番号P00533-1、P00533-2、P00533-3、P00533-4により同定されるような)、変異体GLN‐98、ARG‐266、Lys‐521、ILE‐674、GLY‐962およびPRO‐988(Livingston, R.J. et al., NIEHS-SNPs, environmental genome project, NIEHS ES15478, Department of Genome Sciences, Seattle, WA (2004))、ならびに以下の寄託番号により同定される他のもの:NM_005228.3、NM_201282.1、NM_201283.1、NM_201284.1(参照配列mRNA);AF125253.1、AF277897.1、AF288738.1、AI217671.1、AK127817.1、AL598260.1、AU137334.1、AW163038.1、AW295229.1、BC057802.1、CB160831.1、K03193.1、U48722.1、U95089.1、X00588.1、X00663.1;H54484S1、H54484S3、H54484S2(MIPSアセンブリー);DT.453606、DT.86855651、DT.95165593、DT.97822681、DT.95165600、DT.100752430、DT.91654361、DT.92034460、DT.92446349、DT.97784849、DT.101978019、DT.418647、DT.86842167、DT.91803457、DT.92446350、DT.95153003、DT.95254161、DT.97816654、DT.87014330、DT.87079224(DOTSアセンブリー)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書中で用いる場合、EGFRリガンドという用語は、EGFRと結合するかおよび/または活性化するポリペプチドを指す。当該用語は、膜結合前駆体形態のEGFRリガンド、ならびにタンパク質分解的加工処理化可溶性形態のEGFRリガンドを含む。
【0058】
本明細書中で用いる場合、EGFRのリガンド活性化という用語は、EGFRリガンド結合により媒介されるシグナル伝達(例えばEGFR中のチロシン残基をリン酸化するEGFR受容体の細胞内キナーゼドメインまたは基質ポリペプチドにより引き起こされる)を指す。
【0059】
本明細書中で用いる場合、EGFRまたはEGFRリガンドの異常活性化または産生により特性化される疾患または障害、あるいはEGFR発現に関連した障害という用語は、当該疾患または障害を有するかまたは罹り易くされた被験者の細胞または組織中にEGFRおよび/またはEGFRリガンドの異常活性化および/または産生が生じている状態を指し、これは悪性疾患または癌を包含することもある。
【0060】
本明細書中で用いる場合、過剰発現する、過剰発現されるおよび過剰発現しているという用語は、EGFRを発現する細胞と関連して用いられる場合、同一組織型の正常細胞と比較して、測定可能的により高いレベルのEGFRをその表面に有する細胞を指す。このような過剰発現は、遺伝子増幅により、あるいは転写または翻訳増大により引き起こされ得る。EGFR発現(そしてそれゆえ、過剰発現)は、当該技術分野で既知である技法により、例えば免疫組織化学検定、免疫蛍光検定、免疫酵素検定、ELISA、フローサイトメトリー、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロット、リガンド結合、キナーゼ活性等により、細胞の表面にまたは細胞溶解物中に存在するEGFRのレベルを評価することにより、診断または予後検定で確定され得る(一般的には、CELL BIOLOGY: A LABORATORY HANDBOOK, Celis, J., ed., Academic Press (2d ed., 1998);CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE, Coligan, J.E. et al., eds., John Wiley & Sons (1995-2003)参照;Sumitomo et al., Clin. Cancer Res. 10: 794-801 (2004)(ウエスタンブロット、フローサイトメトリーおよび免疫組織化学を記載する)も参照)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。代替的にはまたは付加的には、例えば蛍光in situハイブリダイゼーション、サザンブロッティングまたはPCR技法により、細胞中のEGFRコード核酸分子のレベルを測定し得る。正常細胞中のEGFRのレベルは、EGFRが過剰発現されるか否かを確定するために、細胞増殖障害(例えば癌)による影響を受ける細胞のレベルと比較される。
【0061】
本明細書中で用いる場合、抗原結合分子という用語は、その最も広い意味で、抗原決定基と特異的に結合する分子を指す。さらに特定的には、EGFRと結合する抗原結合分子は、典型的には上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)と呼ばれるが、しかしHER‐1またはErbB1としても既知である170 kDaの膜貫通受容体と特異的に結合する分子である。「特異的に結合する」とは、結合が抗原に関して選択的であることを意味し、そして望ましくないかまたは非特異的な相互作用とは区別され得る。
【0062】
本明細書中で用いる場合、融合およびキメラという用語は、ABMのようなポリペプチドに関して用いられる場合、異なる種からの抗体の一部のような、2またはそれより多い異種ポリペプチド由来のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。例えばキメラABMに関して、非抗原結合構成成分は、広範な種々の種、例えば霊長類、例えばチンパンジーおよびヒト由来であり得る。キメラABMの定常領域は、最も好ましくは天然ヒト抗体の定常領域と実質的に同一である;キメラ抗体の可変領域は、最も好ましくはネズミ可変領域のアミノ酸配列を有する組換え抗EGFR抗体のものと実質的に同一である。ヒト化抗体は、融合またはキメラ抗体の特に好ましい形態である。
【0063】
本明細書中で用いる場合、GnTIII活性を有するポリペプチドとは、N結合型オリゴ糖のトリマンノシルコアのβ結合型マンノシドへのβ‐1‐4連結中のN‐アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基の付加を触媒し得るポリペプチドを指す。これは、特定の生物学的検定(用量依存性を伴ってまたは伴わずに)で測定した場合に、国際生化学分子生物学連合の命名委員会によりβ‐1,4‐マンノシル‐糖タンパク質4‐ベータ‐N‐アセチルグルコサミニル‐トランスフェラーゼ(EC 2.4.1.144)としても既知であるβ(1,4)‐N‐アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIの活性と類似するがしかし必ずしも同一ではない酵素活性を示す融合ポリペプチドを包含する。用量依存性が存在する場合、GnTIIIのものと同一である必要はなく、むしろ、GnTIIIと比較した場合、所定の活性における用量依存性と実質的に類似する(即ち、GnTIIIに比して、候補ポリペプチドはより大きな活性、または約25分の1以下、好ましくは約10分の1以下の活性、最も好ましくは約3分の1以下の活性を示す)。
【0064】
本明細書中で用いる場合、変異体(または類似体)という用語は、例えば組換えDNA技術を用いて作製されるアミノ酸挿入、欠失および置換による本発明の特定的に列挙されたポリペプチドとは異なるポリペプチドを指す。本発明のABMの変異体としては、抗原(例えばEGFR)結合親和性に実質的に影響を及ぼさないような方法で1つまたはいくつかのアミノ酸残基が置換、付加および/または欠失により修飾されるキメラ、霊長類化またはヒト化抗原結合分子が挙げられる。当該活性を無効にすることなくどのアミノ酸残基が取り替えられ、付加され、または欠失され得るかを決定するに際しての指針は、特定ポリペプチドの配列を相同ペプチドの配列と比較し、高相同性の領域(保存領域)中に作られるアミノ酸配列変化の数を最小限にすることにより、あるいはアミノ酸配列をコンセンサス配列と取り替えることにより、見出され得る。
【0065】
あるいはこれらの同一または類似ポリペプチドをコードする組換え変異体は、遺伝暗号の「冗長性」を用いることにより、合成されるかまたは選択され得る。種々のコドン置換、例えば種々の制限部位を生じるサイレント変化は、プラスミドまたはウイルスベクター中へのクローニングあるいは特定の原核生物または真核生物系中の発現を最適にするために導入され得る。ポリヌクレオチド配列中の突然変異は、ポリペプチドに付加されるポリペプチドまたは他のペプチドのドメインに反映されて、ポリペプチドの任意の部分の比率を修正し、リガンド結合親和性、鎖間親和性または分解/代謝回転率のような特質を変更する。
【0066】
好ましくはアミノ酸「置換」は、一アミノ酸を、類似の構造的および/または化学的特性を有する別のアミノ酸と取り替えた結果(即ち保存的アミノ酸置換)である。「保存的」アミノ酸置換は、包含される残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性における類似性に基づいて作製され得る。例えば非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが挙げられ;極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられ;正荷電(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リシンおよびヒスチジンが挙げられ;そして負荷電(酸性)アミノ酸としてはアスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。「挿入」または「欠失」は好ましくは、約1〜20アミノ酸、さらに好ましくは1〜10アミノ酸の範囲である。可能にされる変異は、組換えDNA技術を用いてポリペプチド分子中にアミノ酸の挿入、欠失または置換を系統的に作製し、そしてその結果生じる組換え変異体を活性に関して検定することにより、実験的に確定され得る。
【0067】
本明細書中で用いる場合、ヒト化されるという用語は、親分子の抗原結合特性を保有するかまたは実質的に保有するが、しかしヒトにおいて低免疫原性である非ヒト抗原結合分子由来の抗原結合分子、例えばネズミ抗体を指すために用いられる。これは、以下の:(a)ヒト定常領域上に全非ヒト可変ドメインをグラフトして、キメラ抗体を産生し、(b)重要フレームワーク残基(例えば良好な抗原結合親和性または抗体機能を保有するために重要であるもの)の保持を伴うかまたは伴わずに、ヒトフレームワークおよび定常領域上に非ヒトCDRのみをグラフトし、あるいは(c)全非ヒト可変ドメインを移植するが、しかし表面残基の置換によりヒト様部分でそれらを「覆う」ことを含めた種々の方法により達成され得る。このような方法は、Jones et al., Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 81: 6851-6855 (1984);Morrison and Oi, Adv. Immunol., 44: 65-92 (1988);Verhoeyen et al., Science, 239: 1534-1536 (1988);Padlan, Molec. Immun., 28: 489-498 (1991);Padlan, Molec. Immun., 31 (3): 169-217 (1994)(これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中で援用される)に開示されている。抗体の重鎖および軽鎖可変ドメインの各々に一般的に3つの相補性決定領域またはCDR(CDR1、CDR2およびCDR3)が存在し、これらは、抗体の重鎖および軽鎖可変ドメインの各々における4つのフレームワーク亜領域(即ちFR1、FR2、FR3およびFR4)により隣接される:FR1‐CDR1‐FR2‐CDR2‐FR3‐CDR3‐FR4‐CDR4。ヒト化抗体についての考察は、特に、米国特許第6,632,927号にそして公開済み米国特許出願第2003/0175269号(これらの記載内容はともに参照により本明細書中で援用される)に見出され得る。
【0068】
同様に、本明細書中で用いる場合、霊長類化されるという用語は、親分子の抗原結合特性を保有するかまたは実質的に保有するが、しかし霊長類において低免疫原性である非霊長類抗原結合分子由来の抗原結合分子、例えばネズミ抗体を指すために用いられる。
【0069】
当該技術分野内で用いられるかおよび/または受容される用語の2またはそれより多い定義が存在する場合、本明細書中で用いられるような用語の定義は、明白に別記されない限り、すべてのこのような意味を含むよう意図される。特定の一例は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非連続抗原結合部位を記載するための「相補性決定領域」(「CDR」)という用語の使用である。この特定の領域は、Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, “Sequences of Proteins of Immunological Interest” (1983)により、ならびにChothia et al., J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987)により(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)記載されており、この場合、当該定義は、互いに比較した場合、アミノ酸残基の重複またはサブセットを包含する。それにもかかわらず、抗体またはその変異体のCDRに言及するためのいずれかの定義の適用は、本明細書中で定義され、用いられるような用語の範囲内であるよう意図される。上記の引用参考文献の各々により定義されるようなCDRを包含する適切なアミノ酸残基は、比較として表1に以下で記述される。特定CDRを包含する的確な残基数は、CDRの配列およびサイズによって変わる。抗体の可変領域アミノ酸配列を仮定すると、どの残基が特定CDRを含むかを当業者はルーチンに確定し得る。
【0071】
Kabat等は、任意の抗体に適用可能である可変ドメイン配列に関するナンバリングシステムも定義した。配列それ自体異常に任意の実験データに頼ることなく、任意の可変ドメイン配列に「Kabatナンバリング」のこの系を非多義的に当業者は割り当て得る。本明細書中で用いる場合、「Kabatナンバリング」は、Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, “Sequences of Proteins of Immunological Interest” (1983)により記述されたナンバリングシステムを指す。別記しない限り、ABM中の特定アミノ酸残基位置のナンバリングへの言及は、Kabatナンバリング系に従う。配列表の配列(即ち配列番号1〜配列番号127)は、Kabatナンバリング系に従って番号を付されるわけではない。しかしながら上記のように、そこに提示されるような配列のナンバリングに基づいて配列表中の任意の可変領域配列のKabatナンバリングスキームを確定することは、当業者内では十分である。
【0072】
本発明の参照ヌクレオチド配列と例えば少なくとも95%「同一である」ヌクレオチド配列を有する核酸またはポリヌクレオチドとは、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の各々100ヌクレオチド当たり5までの点突然変異を含み得る以外は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は参照配列と同一であると意図される。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中のヌクレオチドの5%までが欠失されるかまたは別のヌクレオチドで置換され得るし、あるいは参照配列中の全ヌクレオチドの5%までの数のヌクレオチドが参照配列中に挿入され得る。
【0073】
実際問題として、任意の特定核酸分子またはポリペプチドが本発明のヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるか否かは、既知のコンピュータープログラムを用いて慣用的に確定され得る。クエリ配列(本発明の配列)および対象配列間の最良の全体的整合(全体的配列アラインメントとも呼ばれる)を確定するための好ましい方法は、Brutlag et al., Comp. App. Biosci. 6: 237-245 (1990)のアルゴリズムに基づいたFASTDBコンピュータープログラムを用いて確定され得る。配列アラインメントでは、クエリおよび対象配列はともにDNA配列である。RNA配列は、UをTに転換することにより比較され得る。上記の全体的配列アラインメントの結果は、同一性%である。同一性%を算定するためにDNA配列のFASTDBアラインメントに用いられる好ましいパラメーターを以下に示す:行列=ユニタリ、k-tuple=4、ミスマッチ・ペナルティ=1、連結ペナルティ=30、無作為化群長=0、カットオフ・スコア=1、ギャップ・ペナルティ=5、ギャップサイズ・ペナルティ=0.05、ウインドウサイズ=500または対象ヌクレオチド配列の長さ(いずれか短い方)。
【0074】
5’または3’欠失のため(内部欠失のためでなく)対象配列がクエリ配列より短い場合、結果に対してマニュアル補正がなされなければならない。これは、同一性%を算定する場合、FASTDBプログラムが対象配列の5’および3’切頭化を説明しないためである。5’または3’末端で切頭化される対象配列に関しては、クエリ配列に比して、同一性%は、クエリ配列の総塩基の%として、整合/整列されない対象配列の5’および3’であるクエリ配列の塩基数を算定することにより補正される。ヌクレオチドが整合/整列されるか否かは、FASTDB配列アラインメントの結果により確定される。次にこのパーセンテージは、特定パラメーターを用いて上記FASTDBプログラムにより算定される同一性%から差し引かれて、最終同一性%スコアに到達する。この補正スコアは、本発明の目的のために用いられるものである。クエリ配列と整合/整列されないFASTDBアラインメントにより表示されるような対象配列の5’および3’塩基の外側の塩基のみが、同一性%スコアをマニュアル調整する目的のために算定される。
【0075】
例えば90塩基対象配列は、同一性%を確定するために、100塩基クエリ配列と整列される。欠失は対象配列の5’末端で起こり、したがってFASTDBアラインメントは、5’末端の最初の10塩基の整合化/アラインメントを示さない。10非対合塩基は10%配列(整合されない5’および3’末端の塩基数/クエリ配列中の塩基の総数)を表わし、そこでFASTDBプログラムにより算定される同一性%スコアから10%が差し引かれる。残りの90塩基が完全に整合された場合、最終同一性%は90%である。別の例では、90塩基対象配列が100塩基クエリ配列と比較される。この時点で、欠失は内部欠失であり、したがってクエリと整合/整列されない対象配列の5’または3’上に塩基は存在しない。この場合、FASTDBにより算定される同一性%はマニュアル補正されない。さらにまた、クエリ配列と整合/整列されない対象配列の塩基5’および3’のみがマニュアル補正される。本発明の目的のためになされる他のマニュアル補正はない。
【0076】
本発明のクエリアミノ酸配列と例えば少なくとも95%「同一である」アミノ酸配列を有するポリペプチドとは、対象ポリペプチドのアミノ酸配列がクエリアミノ酸配列の各々100アミノ酸当たり5までのアミノ酸変化を含み得る以外は、対象ポリペプチドのアミノ酸配列はクエリ配列と同一であると意図される。言い換えれば、クエリアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、対象配列中のアミノ酸残基の5%までが欠失されるかまたは別のアミノ酸で置換され得る。参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸配列の網のまたはカルボキシ末端位置、あるいは参照配列中のあるいは参照配列内の1つまたは複数の連続群中の残基間に独立して差し入れられるそれらの末端位置間の何処かで起こり得る。
【0077】
実際問題として、任意の特定ポリペプチドが参照ポリペプチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるか否かは、既知のコンピュータープログラムを用いて慣用的に確定され得る。クエリ配列(本発明の配列)および対象配列間の最良の全体的整合(全体的配列アラインメントとも呼ばれる)を確定するための好ましい方法は、Brutlag et al., Comp. App. Biosci. 6: 237-245 (1990)のアルゴリズムに基づいたFASTDBコンピュータープログラムを用いて確定され得る。配列アラインメントでは、クエリおよび対象配列はともにヌクレオチド配列であるか、ともにアミノ酸配列である。上記の全体的配列アラインメントの結果は、同一性%である。FASTDBアミノ酸アラインメントに用いられる好ましいパラメーターを以下に示す:行列=PAM 0、k-tuple=2、ミスマッチ・ペナルティ=1、連結ペナルティ=20、無作為化群長=0、カットオフ・スコア=1、ウインドウサイズ=配列長、ギャップ・ペナルティ=5、ギャップサイズ・ペナルティ=0.05、ウインドウサイズ=500または対象アミノ酸配列の長さ(いずれか短い方)。
【0078】
N‐またはC‐末端欠失のため(内部欠失のためでなく)対象配列がクエリ配列より短い場合、結果に対してマニュアル補正がなされなければならない。これは、全体的同一性%を算定する場合、FASTDBプログラムが対象配列のN‐およびC‐末端切頭化を説明しないためである。N‐およびC‐末端で切頭化される対象配列に関しては、クエリ配列に比して、同一性%は、クエリ配列の総塩基の%として、対応する対象残基と整合/整列されない対象配列のN‐およびC‐末端であるクエリ配列の残基数を算定することにより補正される。残基が整合/整列されるか否かは、FASTDB配列アラインメントの結果により確定される。次にこのパーセンテージは、特定パラメーターを用いて上記FASTDBプログラムにより算定される同一性%から差し引かれて、最終同一性%スコアに到達する。この最終同一性%スコアは、本発明の目的のために用いられるものである。クエリ配列と整合/整列されない対象配列のN‐およびC‐末端塩基への残基のみが、同一性%スコアをマニュアル調整する目的のために考察される。
【0079】
例えば90アミノ酸残基対象配列は、同一性%を確定するために、100残基クエリ配列と整列される。欠失は対象配列のN‐末端で起こり、したがってFASTDBアラインメントは、N‐末端の最初の10残基の整合化/アラインメントを示さない。10非対合残基は配列の10%(整合されないN‐およびC‐末端の残基数/クエリ配列中の残基の総数)を表わし、そこでFASTDBプログラムにより算定される同一性%スコアから10%が差し引かれる。残りの90残基が完全に整合された場合、最終同一性%は90%である。別の例では、90残基対象配列が100残基クエリ配列と比較される。この時点で、欠失は内部欠失であり、したがってクエリと整合/整列されない対象配列のN‐またはC‐末端に残基は存在しない。この場合、FASTDBにより算定される同一性%はマニュアル補正されない。さらにまた、クエリ配列と整合/整列されない、FASTDBアラインメントで表示されるような、対象配列のN−およびC‐末端の外側の残基位置のみがマニュアル補正される。本発明の目的のためになされる他のマニュアル補正はない。
【0080】
本明細書中で用いる場合、本発明の核酸配列と「緊縮条件下でハイブリダイズする」核酸とは、50%ホルムアミド、5×SSC(750 mMNaCl、75 mMクエン酸ナトリウム)、50 mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート溶液、10%硫酸デキストランおよび20 μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩インキュベーションし、その後、約65℃で0.1×SSC中でフィルターを洗浄して、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。
【0081】
本明細書中で用いる場合、ゴルジ局在化ドメインという用語は、ゴルジ複合体内の位置にポリペプチドを固定するのに関与するゴルジ常在性ポリペプチドのアミノ酸配列を指す。一般的に、局在化ドメインは酵素のアミノ末端「尾部」を含む。
【0082】
本明細書中で用いる場合、エフェクター機能という用語は、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、Fc受容体結合親和性、抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞性貪食作用(ADCP)、サイトカイン分泌、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取込み、細胞表面受容体の下向き調節等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書中で用いる場合、工学処理する、工学処理される、工学処理およびグリコシル化工学処理という用語は、天然または組換えポリペプチドまたはその断片のグリコシル化パターンの任意の操作を含むとみなされる。グリコシル化工学処理としては、細胞のグリコシル化機構の代謝的工学処理、例えば細胞中で発現される糖タンパク質のグリコシル化変更を達成するためのオリゴ糖合成経路の遺伝子操作が挙げられる。さらに、グリコシル化工学処理は、グリコシル化に及ぼす突然変異および細胞環境の影響を包含する。一実施形態では、グリコシル化工学処理は、グリコシルトランスフェラーゼ活性の変更である。特定の実施形態では、工学処理は、グリコサミニルトランスフェラーゼ活性および/またはフコシルトランスフェラーゼ活性の変更を生じる。
【0084】
本明細書中で用いる場合、宿主細胞という用語は、本発明のポリペプチドおよび抗原結合分子を生成するよう工学処理され得る任意の種類の細胞系を網羅する。一実施形態では、宿主細胞は、修飾化糖鎖を有する抗原結合分子の産生を可能にするよう工学処理される。好ましい実施形態では、抗原結合分子は、抗体、抗体断片または融合タンパク質である。ある種の実施形態では、宿主細胞は、GnTIII活性を有する1つまたは複数のポリペプチドのレベル増大を発現するようさらに操作された。宿主細胞としては、少数の例を挙げれば、培養細胞、例えば哺乳類培養細胞、例えばCHO細胞、HEK293‐EBNA細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞またはハイブリドーマ細胞、酵母細胞、昆虫細胞および植物細胞が挙げられるが、しかしトランスジェニック動物、トランスジェニック植物または培養植物または動物組織内に含まれる細胞も挙げられる。
【0085】
本明細書中で用いる場合、Fc媒介性細胞性細胞傷害性という用語は、抗体依存性細胞性細胞傷害性、ならびにヒトFc領域を含有する可溶性Fc融合タンパク質により媒介される細胞性細胞障害性を包含する。それは、「ヒト免疫エフェクター細胞」による「抗体標的化細胞」の溶解をもたらす免疫メカニズムである。
【0086】
ヒト免疫エフェクター細胞は、抗体のまたはFc融合タンパク質のFc領域にそれらが結合するそれらの表面にFc受容体を表示し、そしてエフェクター機能を実施する白血球の集団である。このような集団としては、末梢血単核球(PBMC)および/またはナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
抗体標的化細胞は、抗体またはFc融合タンパク質により結合される細胞である。抗体またはFc融合タンパク質は、Fc領域に対してN末端のタンパク質部分を介して標的細胞と結合する。
【0088】
本明細書中で用いる場合、Fc媒介性細胞性細胞障害性増大という用語は、上記のFc媒介性細胞性細胞傷害性のメカニズムにより、所定時間で、標的細胞周囲の培地中の抗体のまたはFc融合タンパク質の所定濃度で溶解される「抗体標的化細胞」の数の増大、および/または、Fc媒介性細胞傷害性のメカニズムにより、所定時間に、所定数の「抗体標的化細胞」の溶解を達成するために必要とされる標的細胞周囲の培地中の抗体のまたはFc融合タンパク質の濃度の低減と定義される。Fc媒介性細胞性細胞傷害性の増大は、当業者に既知である同一標準産生、精製、処方および貯蔵方法を用いて、同一型の宿主細胞により産生されるが、しかし本明細書中に記載される方法によりグリコシルトランスフェラーゼGnTIIIを発現するよう工学処理される宿主細胞により産生されなかった同一抗体またはFc融合タンパク質により媒介される細胞性細胞傷害性に関連する。
【0089】
抗体依存性細胞性細胞傷害性増大を示す抗体(ADCC)とは、当該用語が本明細書中で定義される場合、当業者に既知の任意の適切な方法により確定されるようなADCC増大を示す抗体を意味する。一許容in vitroADCC検定を以下に示す:
1)検定は、抗体の抗原結合領域により認識される標的抗原を発現することが既知である標的細胞を用いる;
2)検定は、エフェクター細胞として無作為選択される健常ドナーの血液から単離されるヒト末梢血単核球(PBMC)を用いる;
3)検定は、以下のプロトコールに従って実行される:
i)PBMCは標準密度遠心分離手法を用いて単離され、RPMI細胞培地中に5×10
6細胞/mlで懸濁される;
ii)標的細胞は標準組織培養法により増殖され、90%より高い生存度で指数増殖期から収穫され、RPMI細胞培地中で洗浄され、100マイクロキュリーの51Crで標識され、細胞培地で2回洗浄され、105細胞/mlの密度で細胞培地中に再懸濁される;
iii)上記の100マイクロリットルの最終標的細胞懸濁液を96ウエル微量滴定プレートの各ウエルに移し;
iv)抗体を細胞培地中で4000 ng/mlから0.04 ng/mlに連続希釈し、その結果生じた抗体溶液50マイクロリットルを96ウエル微量プレート中の標的細胞に付加して、上記の全濃度範囲を網羅する種々の抗体濃度を三重反復実験で試験する;
v)最大放出(MR)制御のために、標識化標的細胞を含有するプレート中の3つの付加的ウエルは、抗体溶液(上記iv時点)の代わりに、非イオン性洗剤(Nonidet, Sigma, St. Louis)の2%(V/V)水溶液50マイクロリットルを入れる;
vi)自発的放出(SR)制御のために、標識化標的細胞を含有するプレート中の3つの付加的ウエルは、抗体溶液(上記iv時点)の代わりに、RPMI細胞培地50マイクロリットルを入れる;
vii)96ウエル微量滴定プレートは次に、50×gで1分間遠心分離され、4℃で1時間インキュベートされる;
viii)PBMC懸濁液(上記i時点)50マイクロリットルは各ウエルに付加されて、25:1のエフェクター:標的細胞比を生じ、そしてプレートは、37℃で4時間、5%CO
2大気下でインキュベーター中に置かれる;
ix)各ウエルからの無細胞上清を収穫し、そして実験的に放出される放射能(ER)はガンマ計数器を用いて定量される;
x)特異的溶解のパーセンテージは、式(ER‐MR)/(MR‐SR)×100(式中、ERはその抗体濃度に関して定量される平均放射能であり(上記ix時点参照)、MRはMR対照(上記v時点参照)に関して定量される平均放射能(上記ix時点参照)であり、そしてSRは、SR対照(上記vi時点参照)に関して定量される平均放射能(上記ix時点参照)である)により、各抗体濃度に関して算定される;
4)「ADCC増大」は、上記の試験される抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大パーセンテージの増大、および/または上記の試験される抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大パーセンテージの半分を達成するために必要とされる抗体の濃度の低減と定義される。ADCCの増大は、当業者に既知であるが、しかしGnTIIIを過剰発現するよう工学処理された宿主細胞により産生されなかった同一標準産生、精製、処方および貯蔵方法を用いて、上記の検定で測定され、同一抗体により媒介され、同一型の宿主細胞により産生されるADCCに比例する。
【0090】
一態様では、本発明は、ラットICR62の結合特異性を有する(即ち実質的に同一エピトープと結合する)抗原結合分子に、ならびにそれらのエフェクター機能がグリコシル化変更により増強され得るという発見に関する。一実施形態では、抗原結合分子はキメラ抗体である。好ましい実施形態では、本発明は、配列番号53〜108および/または配列番号122〜127のいずれかのCDRのうちの1つまたは複数を含むキメラ抗体またはその断片に向けられる。特定的には、好ましい実施形態では、本発明は、(a)配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号122および配列番号124から成る群から選択される配列;(b)配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106および配列番号126から成る群から選択される配列;ならびに(c)配列番号108を含む単離ポリヌクレオチドに向けられる。別の好ましい実施形態では、本発明は、(a)配列番号112および配列番号114から成る群から選択される配列;(b)配列番号116および配列番号118から成る群から選択される配列;ならびに(c)配列番号119を含む単離ポリヌクレオチドに向けられる。一実施形態では、これらのポリヌクレオチドはどれでも、融合ポリペプチドをコードする。
【0091】
別の実施形態では、抗原結合分子は、配列番号1または配列番号2によりコードされるラットICR62抗体またはその変異体のV
Hドメイン、ならびに非ネズミポリペプチドを含む。別の好ましい実施形態では、本発明は、配列番号43または配列番号44によりコードされるラット抗体またはその変異体のV
Lドメイン、ならびに非ネズミポリペプチドを含む抗原結合分子に向けられる。
【0092】
別の態様では、本発明は、ICR62の1つまたは複数の(例えば1、2、3、4、5または6)切頭化CDRを服務抗原結合分子に向けられる。このような切頭化CDRは、最小限で、所定のCDRに関する特異性決定アミノ酸残基を含有する。「特異性決定残基」とは、抗原との相互作用に直接関与する残基を意味する。概して、所定のCDR中の残基の約1/5〜1/3だけが抗原との結合に参加する。特定CDR中の特異性決定残基は、例えばPadlan et al., FASEB J. 9 (1): 133-139 (1995)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載された方法に従って、三次元モデリングからの原子間接触のコンピューター処理ならびに所定の残基位置での配列変異性の決定により同定され得る。
【0093】
したがって本発明は、ラットICR62抗体の少なくとも1つ(例えば1、2、3、4、5または6)の相補性決定領域あるいは上記相補性決定領域に関する少なくとも特異性決定残基を含有するその変異体または切頭化形態を含む単離ポリヌクレオチドであって、融合ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドにも向けられる。好ましくはこのような単離ポリヌクレオチドは、抗原結合分子である融合ポリペプチドをコードする。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、ラットICR62抗体の3つの相補性決定領域または上記3つの相補性決定領域に関する少なくとも特異性決定残基を含有するその変異体または切頭化形態を含む。一実施形態では、ポリペプチドは以下の表2〜5に記述されるCDRのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、キメラ(例えばヒト化)抗体の軽鎖または重鎖の全可変領域をコードする。本発明はさらに、このようなポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドに向けられる。
【0094】
別の実施形態では、本発明は、ラットICR62抗体の少なくとも1つ(例えば1、2、3、4、5または6)の相補性決定領域または上記相補性決定領域に関する少なくとも特異性決定残基を含有するその変異体または切頭化形態を含み、そして異種ポリペプチド由来の配列を含む抗原結合分子に向けられる。一実施形態では、抗原結合分子は、ラットICR62抗体の3つの相補性決定領域または上記3つの相補性決定領域に関する少なくとも特異性決定残基を含有するその変異体または切頭化形態を含む。一実施形態では、抗原結合分子は、以下の表2〜5に記述されるCDRのうちの少なくとも1つを含む。別の態様では、抗原結合分子は、抗体の軽鎖または重鎖の可変領域を含む。特定の有用な一実施形態では、抗原結合分子はキメラ、例えばヒト化抗体である。本発明は、このような抗原結合分子の製造方法、ならびにEGFRが発現される、特に同一細胞型の正常組織と比較してEGFRが異常に発現される(例えば過剰発現される)疾患、特に細胞増殖性障害の治療におけるその使用にも向けられる。このような障害としては、膀胱、脳、頭部および頚部、膵臓、肺、乳房、卵巣、結腸、前立腺、皮膚および腎臓の癌(これらに限定されない)が挙げられる。EGFR発現レベルは、当該技術分野で既知の方法および本明細書中に記載される方法により(例えば免疫組織化学検定、免疫蛍光検定、免疫酵素検定、ELISA、フローサイトメトリー、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロット、リガンド結合、キナーゼ活性等により)確定される。
【0095】
本発明は、EGFRを発現するin vivoまたはin vitro細胞をターゲッティングするための方法にも向けられる。EGFRを発現する細胞は、治療目的のために(EGFR媒介性シグナル伝達の崩壊により、例えばリガンド結合を遮断することにより、あるいは免疫系による破壊に関してEGFR発現細胞をターゲッティングすることにより、治療可能である障害を治療するために)ターゲッティングされ得る。一実施形態では、本発明は、被験者においてEGFRを発現する細胞をターゲッティングする方法であって、本発明のABMを含む組成物を被験者に投与することを包含する方法に向けられる。EGFRを発現する細胞は、診断目的のためにも(例えば、それらがEGFRを、正常に発現しているかまたは異常に発現しているかを確定するために)ターゲッティングされ得る。したがって本発明は、EGFRの存在を、あるいはin vitroまたはin vivoで、EGFRを発現する細胞を検出するための方法にも向けられる。本発明によるEGFR発現を検出する一方法は、ABMおよびEGFR間の複合体の形成を可能にする条件下で、試験されるべき試料を、任意に対照試料を用いて、本発明のABMと接触させることを包含する。次に複合体形成が検出される(例えばELISAまたは当該技術分野で既知のその他の方法により)。対照試料を試験試料とともに用いる場合、ABM‐EGFR複合体の形成における任意の統計学的有意差は、試験および対照試料と比較した場合、試験試料中のEGFRの存在を示す。
【0100】
いくつかのメカニズム、例えばEGFRと結合するリガンド(例えばEGF、TGF‐α等)の遮断、そしてその後のシグナル伝達経路の活性化、抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)および増殖停止または最終分化の誘導が、抗EGFR抗体の治療的効能に関与する、ということが既知である。
【0101】
ラットモノクローナル抗体ICR62(IgG2b)は、PCT公告WO 95/20045(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で考察されている。それはEGFRのCエピトープに向けられ、そしてリガンド結合を抑制し、EGFRを発現する扁平上皮癌のin vitro増殖を抑制し、そして無胸腺マウスにおける腫瘍の異種移植片の退縮を誘導することが示された(WO 95/20045;Modjtahedi et al., Br. J. Cancer 73: 228-235 (1996))。完全齧歯類抗体として、ICR62ラットモノクローナル抗体のヒトへの投与は、単一用量投与後でさえ、何人かの患者においてHARA応答を生じた(WO 95/20045;Modjtahedi et al., Br. J. Cancer 73: 228-235 (1996))。
【0102】
キメラマウス/ヒト抗体が記載されている(例えばMorrison, S.L. et al., PNAS 11: 6851-6854 (November 1984);欧州特許公告第173494号;Boulianna, G.L., et al., Nature 312: 642 (December 1984);Neubeiger, M.S. et al., Nature 314: 268 (March 1985);欧州特許公告第125023号;Tan et al., J. Immunol. 135: 8564 (November 1985);Sun, L.K. et al., Hybridoma 5 (1): 517 (1986);Sahagan et al., J. Immunol. 137: 1066-1074 (1986)参照)。(一般的には、Muron, Nature 312: 597 (December 1984);Dickson, Genetic Engineering News 5 (3) (March 1985);Marx, Science 229: 455 (August 1985);およびMorrison Science 229: 1202-1207 (September 1985)参照)。IMC‐C225(エルビタックス(登録商標);ImClone)は、EGFRに対して向けられる、そしてマウス可変領域およびヒト定常領域を有するキメラモノクローナル抗体である(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002)参照)。IMC‐225のネズミ部分はM225に由来するが、これは、EGFRを結合し、そしてEGF誘導性チロシンキナーゼ依存性リン酸化を抑制し、ならびにEGFRを過剰発現する腫瘍細胞株中にアポトーシスを誘導することが判明した(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。しかしながらM225は、I期臨床試験において抗体で治療される患者においてHAMH反応を引き出した(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。IMC‐225はin vivoおよびin vitroで試験されており、そして不十分な予後に関連したものを含めた多数の腫瘍型における放射線療法および化学療法と組合せて用いられてきた(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。しかしながらIMC‐225は、臨床試験においてIMC‐225抗体を投与される患者における毒性、例えばアレルギーおよび皮膚反応に関連している(Herbst and Shin, Cancer 94: 1593-1611 (2002))。
【0103】
特定の好ましい実施形態では、本発明のキメラABMはヒト化抗体である。非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば本発明のヒト化ABMは、米国特許第5,225,539号(Winter)、米国特許第6,180,370号(Queen等)、米国特許第6,632,927号(Adair等)または米国特許出願広告第2003/0039649号(Foote)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)の方法に従って調製され得る。好ましくは、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入される1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「輸入」残基と呼ばれ、これは典型的には「輸入」可変ドメインから得られる。ヒト化は、超可変領域配列をヒト抗体の対応する配列で置換することにより、Winterと共同研究者(Jones et al., Nature, 321: 522-525 (1986);Riechmann et al., Nature, 332: 323-327 (1988);Verhoeyen et al., Science, 239: 1534-1536 (1988))の方法に従って本質的には実施され得る。したがってこのような「ヒト化」抗体は、実質的により少ない無傷ヒト可変ドメインが非ヒト種からの対応する配列により置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかの超可変領域残基およびおそらくはいくつかのFR残基が齧歯類抗体中の類似部位からの残基により置換されるヒト抗体である。対象ヒト化抗EGFR抗体は、ヒト免疫グロブリンの定常領域を含む。
【0104】
ヒト化抗体の作製に用いられるべきヒト可変ドメイン(軽鎖および重鎖の両方)の選択は、抗原性を低減するために非常に重要である。いわゆる「ベスト・フィット」方法によれば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。次に齧歯類のものに最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク領域(FR)として受容される(Sims et al., J. Immunol., 151: 2296 (1993);Chothia et al., J. Mol. Biol., 196: 901 (1987))。ヒト・フレームワーク配列の別の選択方法は、全齧歯類フレームワークの各々の個々の亜領域(即ちFR1、FR2、FR3およびFR4)、あるいは個々の亜領域のいくつかの組合せ(例えばFR1およびFR2)の配列を、そのフレームワーク亜領域に対応する既知のヒト可変領域のライブラリー(例えばKabatナンバリングにより確定されるような)に対して比較し、そして齧歯類のものに最も近い各亜領域または組合せに関してヒト配列を選択することである(Leung,米国特許出願広告第2003/0040606A1号(2003年2月27日発行))(これらの記載内容はすべて参照により本明細書中で援用される)。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定の亜群のすべてのヒト抗体のコンセンサス配列由来の特定フレームワークを用いる。同一フレームワークは、いくつかの異なるヒト化抗体のために用いられ得る(Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 4285 (1992);Presta et al., J. Immunol., 151: 2623 (1993))(これらの記載内容はすべて参照により本明細書中で援用される)。
【0105】
さらに、抗体が、抗原に対する高親和性の保持およびその他の好ましい生物学的特性を伴ってヒト化される、ということは重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従って、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いた親配列および種々の概念的ヒト化産物の分析プロセスにより、ヒト化抗体が調製される。三次元免疫グロブリンモデルは、当業者に周知のコンピュータープログラム(例えばInsightII, Accelrys, Inc.(以前はMSI)またはhttp://swissmodel.expasy.org)を用いて作られ得る。これらのコンピュータープログラムは、選定候補免疫グロブリン配列の有望な三次元立体配座構造を例証し、表示し得る。これらの表示の精査は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の考え得る役割の分析、即ちその抗原を結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。このようにして、FR残基が選択され、所望の抗体特質、例えば標的抗原(単数または複数)に対する親和性増大が達成されるよう、レシピエントおよび輸入配列から併合され得る。概して、超可変領域残基は、直接的にそして最も実質的に、抗原結合に影響を及ぼすのに関与する。
【0106】
一実施形態では、本発明の抗体はヒトFc領域を含む。特定の一実施形態では、ヒト定常領域は、配列番号109および110に記載されるようなそして下記のようなIgG1である:
【0109】
しかしながら、ヒトFc領域の変異体およびアイソフォームも本発明に包含される。例えば本発明に用いるのに適した変異体Fc領域は、米国特許第6,737,056号(Presta)(1つまたは複数のアミノ酸修飾のためにエフェクター機能変更を示すFc領域変異体)に;あるいは米国特許出願第60/439,498号;第60/456,041号;第60/514,549号;またはWO 2004/063351(アミノ酸修飾のために結合親和性増大を示す変異体Fc領域)に;あるいは米国特許出願第10/672,280号またはWO 2004/099249(アミノ酸修飾のためにFcγRとの結合変更を示すFc変異体)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に教示された方法に従って産生され得る。
【0110】
別の実施形態では、本発明の抗原結合分子は、例えば米国特許出願第2004/0132066号(Balint等)(この全記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示された方法に従って、結合親和性増強を有するよう工学処理される。
【0111】
一実施形態では、本発明の抗原結合分子は、付加的部分、例えば放射能標識または毒素と接合される。このような接合ABMは、当該技術分野で周知である多数の方法により産生され得る。
【0112】
種々の放射性核種が本発明に適用可能であり、そしてどの放射性核種が種々の環境下で最も適しているか否かを容易に確定する能力を当業者は与えられる。例えば
131ヨウ素は、標的化免疫療法のために用いられる周知の放射性核種である。しかしながら
131ヨウ素の臨床的有用性は、例えば以下のいくつかの因子により限定され得る:8日の物理的半減期;血中および腫瘍部位の両方におけるヨウ素化抗体の脱ハロゲン化;ならびに腫瘍中の限局性線量沈着に関して次善的であり得る放射特質(例えば大ガンマ成分)。優れたキレート化剤の到来に伴って、金属キレート基をタンパク質に付着するための機会はその他の放射性核種、例えば
111インジウムおよび
90イットリウムを利用する機会を増大した。
90イットリウムは、放射線免疫療法的用途における利用に関していくつかの利益を提供する:
90イットリウムの64時間半減期は腫瘍による抗体蓄積を可能にするのに十分に長く、そして例えば
131ヨウ素と違って、
90イットリウムは、その崩壊に際してガンマ照射を伴わずに高エネルギーの純ベータエミッターであって、組織中の範囲は直径100〜1000細胞である。さらに最小量の透過性放射線は、
90イットリウム標識抗体の外来患者投与を可能にする。さらに、標識抗体のインターナライゼーションは細胞殺害のために必要ではなく、そして電離放射線の局所放射が標的抗原を欠く隣接腫瘍細胞に対して致死的であるべきである。
【0113】
90イットリウム標識抗EGFR抗体の有効単一治療投与量(即ち治療的有効量)は、約5〜約75 mCi、さらに好ましくは約10〜約40 mCiの範囲である。
131ヨウ素標識抗EGFR抗体の有効単一治療非骨髄除去投与量は、約5〜約70 mCi、さらに好ましくは約5〜約40 mCiの範囲である。
131ヨウ素標識抗EGFR抗体の有効単一治療除去投与量(即ち、自己由来骨髄移植を要し得る)は、約30〜約600 mCi、さらに好ましくは約50〜約500 mCi未満の範囲である。キメラ抗EGFR抗体と連係して、ネズミ抗体と比較してより長い循環半減期のために、
131ヨウ素標識キメラ抗EGFR抗体の有効単一治療非骨髄除去投与量は、約5〜約40 mCi、さらに好ましくは約30 mCi未満の範囲である。例えば
111インジウム標識に関するイメージング判定基準は、典型的には約5 mCi未満である。
【0114】
放射能標識抗EGFR抗体に関しては、治療はそのほかに、単一治療処置を用いて、または多処置を用いても生じ得る。放射性核種成分のため、処置前に、末梢幹細胞(「PSC」)または骨髄(「BM」)が放射線に起因する潜在的致死的骨髄毒を体験している患者に関して「採取」されるのが好ましい。BMおよび/またはPSCは標準技法を用いて採取され、次に浄化され、そして考え得る自家輸血のために凍結される。さらに、処置前に、診断的標識抗体を用いた(例えば
111インジウムを用いた)診断線量測定試験が患者に実行されるのが最も好ましく、この目的は、治療的標識抗体(例えば
90イットリウムを使用)が任意の正常器官または組織中で必ずしも「濃縮される」わけではないことを保証するためである。
【0115】
好ましい実施形態では、本発明は、以下の表7中のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドに向けられる。好ましい実施形態では、本発明は、以下の表6に示される配列を含む単離ポリヌクレオチドに向けられる。本発明はさらに、以下の表6に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である配列を含む単離核酸に向けられる。別の実施形態では、本発明は、表7中のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む単離核酸に向けられる。本発明は、保存的アミノ酸置換を有する表7中の構築物のいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含む単離核酸も包含する。
【0126】
別の実施形態では、本発明は、本発明の1つまたは複数の単離ポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよび/または宿主細胞に向けられる。
【0127】
一般的に、任意の種類の培養細胞株を用いて、本発明のABMを発現し得る。好ましい実施形態では、HEK293‐EBNA細胞、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞またはハイブリドーマ細胞、その他の哺乳類細胞、酵母細胞、昆虫細胞または植物細胞がバックグラウンド細胞株として用いられて、本発明の工学処理宿主細胞を生み出す。
【0128】
本発明のABMの治療的効能は、GnTIII活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに発現する宿主細胞中でそれらを産生することにより増強され得る。好ましい一実施形態では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインを含む融合ポリペプチドである。別の好ましい実施形態では、GnTIII活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現する宿主細胞中での本発明のABMの発現は、Fc受容体結合親和性増大およびエフェクター機能増大を示すABMを生じる。したがって一実施形態では、本発明は、(a)GnTIII活性を有するポリペプチドをコードする配列を含む単離核酸;ならびに(b)ヒトEGFRと結合するキメラ、霊長類化またはヒト化抗体のような本発明のABMをコードする単離ポリヌクレオチドを含む宿主細胞に向けられる。好ましい一実施形態では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、GnTIIIの触媒ドメインを含む融合ポリペプチドであり、そしてゴルジ局在化ドメインはマンノシダーゼIIの局在化ドメインである。このような融合ポリペプチドを生成するための、そしてエフェクター機能増大を有する抗体を産生するためにそれらを使用するための方法は、米国特許仮出願第60/495,142号および米国特許出願第2004/0241817 A1号(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に開示されている。別の好ましい実施形態では、キメラABMは、ラットICR62抗体の結合特異性を有するキメラ抗体またはその断片である。特に好ましい実施形態では、キメラ抗体はヒトFcを含む。別の好ましい実施形態では、抗体は霊長類化またはヒト化される。
【0129】
一実施形態では、本発明のABMをコードする1または数個のポリヌクレオチドは、構成性プロモーターまたは代替的には調節性発現系の制御下で発現され得る。適切な調節性発現系としては、テトラサイクリン調節性発現系、エクジソン誘導性発現系、lacスイッチ発現系、糖質コルチコイド誘導性発現系、温度誘導性プロモーター系およびメタロチオネイン金属誘導性発現系が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のABMをコードするいくつかの異なる核酸は、宿主細胞系内に含まれ、それらのうちのいくつかは、構成性プロモーターの制御下で発現され得るが、一方、他のものは、調節性プロモーターの制御下で発現される。最大発現レベルは、細胞増殖率に有意の悪影響を及ぼさない安定ポリペプチド発現の考え得る最高レベルであるとみなされ、そしてルーチンの実験を用いて確定される。発現レベルは、当該技術分野で一般的に既知の方法、例えばABMに特異的な抗体、またはABMと融合されたペプチドタグに特異的な抗体を用いるウエスタンブロット分析;ならびにノーザンブロット分析により確定される。さらなる代替的実施形態では、ポリヌクレオチドは、レポーター遺伝子と操作可能的に連結され得る;ラットICR62抗体の実質的に同一の結合特異性を有するキメラ(例えばヒト化)ABMの発現レベルは、レポーター遺伝子の発現レベルと相関させたシグナルを測定することにより確定される。レポーター遺伝子は、単一mRNA分子として上記の融合ポリペプチドをコードする核酸(単数または複数)と一緒に転写され得る;それらのそれぞれのコード配列は、内部リボソーム進入部位(IRES)により、またはキャップ非依存性翻訳エンハンサー(CITE)により連結され得る。レポーター遺伝子は、単一ポリペプチド鎖が形成されるよう、ラットICR62抗体の実質的に同一の結合特異性を有するキメラ(例えばヒト化)ABMをコードする少なくとも1つの核酸と一緒に翻訳され得る。本発明のAMBをコードする核酸は、単一プロモーターの制御下でレポーター遺伝子と操作可能的に連結され、したがって融合ポリペプチドおよびレポーター遺伝子をコードする核酸が2つの別個のメッセンジャーRNA(mRNA)分子に二者択一的にスプライスされるRNA分子に転写される;その結果生じるmRNAのうちの一方は、上記レポータータンパク質に翻訳され、そして他方は上記融合ポリペプチドに翻訳される。
【0130】
当業者に周知である方法は、ラットICR62抗体の実質的に同一の結合特異性を有するABMのコード配列を含有する発現ベクターを構築するために、適切な転写/翻訳制御シグナルと一緒に用いられ得る。これらの方法としては、in vitro組換えDNA技法、合成技法およびin vivo組換え/遺伝子組換えが挙げられる(例えばManiatis et al., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (1989)およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989)に記載された技法を参照)。
【0131】
本発明のABMのコード配列を発現するために、種々の宿主‐発現ベクター系が利用され得る。好ましくは、当該タンパク質のコード配列および融合ポリペプチドのコード配列を含有する組換えプラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞として、哺乳類細胞が用いられる。最も好ましくは、HEK293‐EBNA細胞、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞またはハイブリドーマ細胞、その他の哺乳類細胞、酵母細胞、昆虫細胞または植物細胞が宿主細胞系として用いられる。発現系および選択方法のいくつかの例は、以下の参考文献およびその中の参考文献に記載されている:Borth et al., Biotechnol. Bioen. 71 (4): 266-73 (2000-2001);Werner et al., Arzneimittelforschung/Drug Res. 48 (8): 870-80 (1998);Andersen and Krummen, Curr. Op. Biotechnol. 13: 117-123 (2002);Chadd and Chamow, Curr. Op. Biotechnol. 12: 188-194 (2001)および;Giddings, Curr. Op. Biotechnol. 12: 450-454 (2001)。代替的実施形態では、他の真核生物宿主細胞系、例えば本発明のABMのコード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母細胞、例えば米国特許出願第60/344,169号およびWO 03/056914(非ヒト真核生物宿主細胞中でのヒト様糖タンパク質の産生方法)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に教示された発現系;ラットICR62抗体の実質的に同一の結合特異性を有するキメラABMのコード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させるか、あるいは本発明のABMのコード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)で形質転換させた植物細胞系、例えば米国特許第6,815,184号(遺伝子工学処理ウキクサからの生物学的活性ポリペプチドの発現および分泌方法)、WO 2004/057002(グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の導入によるコケ植物細胞中でのグリコシル化タンパク質の産生)およびWO 2004/024927(コケ類プロトプラスト中での細胞外異種非植物タンパク質の生成方法)ならびに米国特許出願第60/365,769号、第60/368,047号およびWO 2003/078614(機能性哺乳類GnTIII酵素を含むトランスジェニック植物中での糖タンパク質プロセシング)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)(これらに限定されない)に教示された発現系;あるいは組換えウイルス発現ベクター(例えばアデノウイルス、ワクシニアウイルス)に感染させた動物細胞系、例えば二重微小染色体(例えばネズミ細胞株)中で安定的に増幅された(CHO/dhfr)かまたは不安定的に増幅されたラットICR62の実質的に同一の結合特異性を有するキメラABMをコードするDNAの多重コピーを含有するよう工学処理された細胞株が用いられ得る。一実施形態では、本発明のABMをコードするポリヌクレオチド(単数または複数)を含むベクターは、多シストロン性である。さらにまた、一実施形態では、上記のABMは、抗体またはその断片である。好ましい一実施形態では、ABMはヒト化抗体である。
【0132】
本発明の方法に関して、安定発現は、典型的にはより再現可能な結果を達成し、そして大規模生産により応じ易いため、一般的に一過性発現が選択される。複製のウイルス起源を含有する発現ベクターを用いるよりむしろ、宿主細胞は、適切な発現制御素子(例えばプロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)および選択可能マーカーにより制御されるそれぞれのコード核酸で形質転換され得る。外来DNAの導入後、工学処理細胞は濃化培地中で1〜2日間増殖させられ、次に、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミド中の選択可能マーカーは、選択に対する耐性を付与し、そしてそれらの染色体中にプラスミドを安定的に組込んだ、そして増殖して病巣を形成し、次にこれがクローン化されて、細胞株中に拡げられ得る細胞の選択を可能にする。
【0133】
多数の選択系が用いられ、例としては単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11: 223 (1977))、ヒポキサンチン‐グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48: 2026 (1962))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., Cell 22: 817 (1980))が挙げられる(これらに限定されない)が、これらはそれぞれtk‐、hgprt‐またはaprt‐細胞に用いられ得る。さらにまた、抗代謝産物耐性が、dhfr(メトトレキセートに対する耐性を付与する)(Wigler et al., Natl. Acad. Sci. USA 77: 3567 (1989);O’Hare et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 1527 (1981));gpt(ミコフェノール酸に対する耐性を付与する)(Mulligan & Berg, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 2072 (1981));neo(アミノグリコシドG‐418に対する耐性を付与する)(Colberre-Garapin et al., J. Mol. Biol. 150: 1 (1981));ならびにhygro(ヒグロマイシンに対する耐性を付与する)(Santerre et al., Gene 30: 147 (1984))遺伝子に関する選択の基礎として用いられる。近年、付加的選択可能遺伝子、即ちtrpB(トリプトファンの代わりにインドールを細胞に利用させる);hisD(ヒスチジンの代わりにヒスチノールを細胞に利用させる)(HARTMAN & Mulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 8047 (1988));グルタミンシンターゼ系;ならびにODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤、2‐(ジフルオロメチル)‐DL‐オルニチン、DFMOに対する耐性を付与する)(McConlogue,in:Current Communications in Molecular Biology, Cold Spring Harbor Laboratory ed. (1987))が記載されている。
【0134】
本発明はさらに、宿主細胞により産生される本発明のABMのグリコシル化プロフィールの修飾方法であって、本発明のABMをコードする核酸ならびにGnTIII活性を有するポリペプチドをコードする核酸、またはこのような核酸を含むベクターを宿主細胞中で発現することを包含する方法に向けられる。好ましくは修飾ポリペプチドは、Fc領域を含むIgGまたはその断片である。特に好ましい一実施形態では、ABMはヒト化抗体またはその断片である。
【0135】
本発明の宿主細胞により産生される修飾ABMは、修飾の結果として、Fc受容体結合親和性増大および/またはエフェクター機能増大を示す。特に好ましい実施形態では、ABMは、Fc領域を含有するヒト化抗体またはその断片である。好ましくはFc受容体結合親和性増大は、Fcγ活性化受容体、例えばFcγRIIIa受容体との結合増大である。エフェクター機能増大は、好ましくは以下のうちの1つまたは複数のものの増大である:抗体依存性細胞性細胞傷害性増大、抗体依存性細胞性貪食作用(ADCP)増大、サイトカイン分泌増大、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取込み増大、Fc媒介性細胞性細胞傷害性増大、NK細胞との結合増大、マクロファージとの結合増大、多形核細胞(PMN)との結合増大、単球との結合増大、標的結合抗体の架橋増大、直接シグナル伝達誘導性アポトーシス増大、樹状細胞成熟増大およびT細胞初回抗原刺激増大である。
【0136】
本発明は、宿主細胞中での修飾オリゴ糖を有する本発明のABMの産生方法であって、(a)本発明のABMの産生を可能にする条件下でGnTIII活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を発現するよう工学処理された宿主細胞を培養すること(この場合、GnTIII活性を有する上記ポリペプチドは上記宿主細胞により産生される上記ABMのFc領域中のオリゴ糖を修飾するのに十分な量で発現される);そして(b)上記ABMを単離することを包含する方法にも向けられる。好ましい一実施形態では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、GnTIIIの触媒ドメインを含む融合ポリペプチドである。特に好ましい実施形態では、融合ポリペプチドはさらにゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインを含む。
【0137】
好ましくはゴルジ局在化ドメインは、マンノシダーゼIIまたはGnTIの局在化ドメインである。あるいはゴルジ局在化ドメインは、マンノシダーゼIの局在化ドメイン、GnTIIの局在化ドメインおよびα1‐6コアフコシルトランスフェラーゼの局在化ドメインから成る群から選択される。本発明の方法により産生されるABMは、Fc受容体結合親和性増大および/またはエフェクター機能増大を示す。好ましくは、エフェクター機能増大は、以下のうちの1つまたは複数である:Fc媒介性細胞性細胞傷害性増大(抗体依存性細胞性細胞傷害性増大を含む)、抗体依存性細胞性貪食作用(ADCP)増大、サイトカイン分泌増大、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取込み増大、NK細胞との結合増大、マクロファージとの結合増大、単球との結合増大、多形核細胞との結合増大、直接シグナル伝達誘導性アポトーシス増大、標的結合抗体の架橋増大、樹状細胞成熟増大またはT細胞初回抗原刺激増大。Fc受容体結合親和性増大は、好ましくはFcγ活性化受容体、例えばFcγRIIIaとの結合増大である。特に好ましい実施形態では、ABMはヒト化抗体またはその断片である。
【0138】
別の実施形態では、本発明は、上記ポリペプチドのFc領域中の二分岐化オリゴ糖の比率増大を示す本発明の方法により産生されるラットICR2抗体の実質的同一結合特異性を有するキメラABMに向けられる。このようなABMはFc領域を含む抗体およびその断片を包含する、と意図される。好ましい一実施形態では、ABMはヒト化抗体である。一実施形態では、ABMのFc領域中の二分岐化オリゴ糖のパーセンテージは、総オリゴ糖の少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも90〜95%である。さらに別の実施形態では、本発明の方法により産生されるABMは、本発明の方法によるそのオリゴ糖の修飾の結果として、Fc領域中の非フコシル化オリゴ糖の比率増大を示す。一実施形態では、非フコシル化オリゴ糖のパーセンテージは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%〜70%、最も好ましくは少なくとも75%である。非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッドまたは複合体型のものであり得る。特に好ましい一実施形態では、本発明の宿主細胞および方法により産生されるABMは、Fc領域中の二分岐非フコシル化オリゴ糖の比率増大を示す。二分岐非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッドまたは複合体であり得る。特定的には、本発明の方法は、ABMのFc領域中のオリゴ糖の少なくとも15%、さらに好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも35%が二分岐非フコシル化されるABMを産生するために用いられ得る。本発明の方法は、ポリペプチドのFc領域中のオリゴ糖の少なくとも15%、さらに好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも35%が二分岐化ハイブリッド非フコシル化されるポリペプチドを産生するためにも用いられ得る。
【0139】
別の実施形態では、本発明は、本発明の方法により産生されるエフェクター機能増大および/またはFc受容体結合親和性増大を示すよう工学処理されたラットICR62抗体の実質的に同一の結合特異性を有するキメラABMに向けられる。好ましくはエフェクター機能増大は、以下のうちの1つまたは複数である:Fc媒介性細胞性細胞傷害性増大(抗体依存性細胞性細胞傷害性増大を含む)、抗体依存性細胞性貪食作用(ADCP)増大、サイトカイン分泌増大、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取込み増大、NK細胞との結合増大、マクロファージとの結合増大、単球との結合増大、多形核細胞との結合増大、直接シグナル伝達誘導性アポトーシス増大、標的結合抗体の架橋増大、樹状細胞成熟増大またはT細胞初回抗原刺激増大。好ましい一実施形態では、Fc受容体結合親和性増大は、Fcγ活性化受容体、最も好ましくはFcγRIIIaとの結合増大である。一実施形態では、ABMは、抗体、Fc領域を含有する抗体断片、または免疫グロブリンのFc領域と等価の領域を含む融合タンパク質である。特に好ましい一実施形態では、ABMはヒト化抗体である。
【0140】
本発明はさらに、本発明のABMならびに製薬上許容可能な担体を含む製剤組成物に向けられる。
【0141】
本発明はさらに、癌の治療方法におけるこのような製剤組成物の使用に向けられる。特定的には、本発明は、癌の治療方法であって、治療的有効量の本発明の製剤組成物を投与することを包含する方法に向けられる。
【0142】
本発明はさらに、Fc受容体結合親和性増大、好ましくはFc活性化受容体との結合増大を示し、および/またはエフェクター機能増大、例えば抗体依存性細胞性細胞傷害性増大を示す糖鎖形態の本発明のABMの産生のための宿主細胞の生成および使用のための方法を提供する。本発明のABMとともに用いられ得る糖鎖工学処理法は、米国特許第6,602,684号、米国特許出願公告第2004/0241817 A1号、米国特許出願公告第2003/0175884 A1号、米国特許仮出願第60/441,307号、WO 2004/065540(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)にさらに詳細に記載されている。本発明のABMは代替的には、米国特許出願公告第2003/0157108号(Genentech)に、あるいはEP 1 176 195 A1、WO 03/084570、WO 03/085119、ならびに米国特許出願公告第2003/0115614号、第2004/093621号、第2004/110282号、第2004/110704号、第2004/132140号(Kyowa)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に開示された技法に従って、Fc領域中のフコース残基低減を示すよう糖鎖工学処理され得る。本発明の糖鎖工学処理ABMは、米国特許出願公告第60/344,169号およびWO 03/056914(GlycoFi, Inc.)に、あるいはWO 2004/057002およびWO 2004/024927(Greenovation)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に教示されたような修飾糖タンパク質を産生する発現系でも産生され得る。
【0143】
グリコシル化パターン変更を示すタンパク質の産生のための細胞株の生成
本発明は、修飾グリコシル化パターンを有する本発明のABMの生成のための宿主細胞発現系を提供する。特に本発明は、治療値改善を示す糖鎖形態の本発明のABMの生成のための宿主細胞系を提供する。したがって本発明は、GnTIII活性を有するポリペプチドを発現するために選択されるかまたは工学処理される宿主細胞発現系を提供する。一実施形態では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、異種ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインを含む融合ポリペプチドである。特定的には、このような宿主細胞発現系は、構成性または調節性プロモーター系と操作可能的に連結されるGnTIIIを有するポリペプチドをコードする組換え核酸分子を含むよう工学処理され得る。
【0144】
特定の一実施形態では、本発明は、GnTIII活性を有し、異種ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を発現するよう工学処理された宿主細胞を提供する。一態様において、宿主細胞は、GnTIII活性を有し、異種ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子を含む核酸を用いて工学処理される。
【0145】
一般的には、任意の種類の培養細胞株、例えば上記の細胞株が、本発明の宿主細胞株を工学処理するためにバックグラウンドとして用いられ得る。好ましい一実施形態では、HEK293‐EBNA細胞、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞またはハイブリドーマ細胞、その他の哺乳類細胞、酵母細胞、昆虫細胞または植物細胞がバックグラウンド細胞株として用いられて、本発明の工学処理宿主細胞を生み出す。
【0146】
本発明は、GnTIII活性を有するポリペプチド、例えば本明細書中に記載されるゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインを含む融合ポリペプチドを発現する任意の工学処理宿主細胞を包含するよう意図される。
【0147】
GnTIII活性を有するポリペプチドをコードする1つまたはいくつかの核酸は、構成性プロモーター、あるいは調節性発現系の制御下で発現され得る。このような系は当該技術分野で周知であり、そして上記の系を含む。GnTIII活性を有し、異種ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインを含む融合ポリペプチドをコードするいくつかの異なる核酸が宿主細胞系内に含まれる場合、それらのいくつかは構成性プロモーターの制御下で発現され得るし、一方、他のものは調節性プロモーターの制御下で発現される。GnTIII活性を有する融合ポリペプチドの発現レベルは、当該技術分野で一般的に既知の方法、例えばウエスタンブロット分析、ノーザンブロット分析、レポーター遺伝子発現分析またはGnTIII活性の測定により確定される。あるいは、GnTIII活性を有するポリペプチドをコードする核酸で工学処理された細胞により産生される抗体により媒介されるFc受容体結合増大またはエフェクター機能増大を測定する機能的検定が用いられ得る。
【0148】
修飾グリコシル化パターンを有するタンパク質を発現するトランスフェクト体または形質転換体の同定
ラットICR62抗体の実質的同一結合特異性を有するキメラ(例えばヒト化)ABMのコード配列を含有し、そして生物学的活性遺伝子産物を発現する宿主細胞は、以下の少なくとも4つの一般的アプローチにより同定され得る:(a)DNA‐DNAまたはDNA‐RNAハイブリダイゼーション;(b)「マーカー」遺伝子機能の存在または非存在;(c)宿主細胞中のそれぞれのmRNA転写体の発現により測定されるような転写レベルの査定;ならびに(d)イムノアッセイによりまたはその生物学的活性により測定されるような遺伝子産物の検出。
【0149】
第一のアプローチでは、ラットICR62抗体の実質的同一結合特異性を有するキメラ(例えばヒト化)ABMのコード配列、ならびにGnTIII活性を有するポリペプチドのコード配列の存在が、それぞれ、それぞれのコード配列と相同であるヌクレオチド配列あるいはその一部または誘導体を含むプローブを用いて、DNA‐DNAまたはDNA‐RNAハイブリダイゼーションにより検出され得る。
【0150】
第二のアプローチでは、ある種の「マーカー」遺伝子機能(例えばチミジンキナーゼ活性、抗体に対する耐性、メトトレキセートに対する耐性、形質転換表現型、バキュロウイルス中の封入体形成等)の存在または非存在に基づいて、組換え発現ベクター/宿主系が同定されそして選択され得る。例えば、本発明のABMのコード配列またはその断片、ならびにGnTIII活性を有するポリペプチドのコード配列がベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入される場合、それぞれのコード配列を含有する組換え体はマーカー遺伝子機能の非存在により同定され得る。あるいはマーカー遺伝子は、コード配列の発現を制御するために用いられる同一のまたは異なるプロモーターの制御下で、コード配列とともにタンデムで配置され得る。誘導または選択に応答するマーカーの発現は、本発明のABMのコード配列ならびにGnTIII活性を有するポリペプチドのコード配列の発現を示す。
【0151】
第三のアプローチでは、本発明のABMのコード領域またはその断片、ならびにGnTIII活性を有するポリペプチドのコード配列に関する転写活性は、ハイブリダイゼーション検定により査定され得る。例えばRNAは、本発明のABMのコード配列またはその断片、ならびにGnTIII活性を有するポリペプチドまたはその特定部分のコード配列と相同のプローブを用いて、ノーザンブロットにより単離され、分析され得る。あるいは宿主細胞の全核酸が抽出され、このようなプローブとのハイブリダイゼーションに関して検定され得る。
【0152】
第四のアプローチでは、タンパク質産物の発現は、例えばウエスタンブロット、イムノアッセイ、例えば放射線免疫沈降、酵素結合イムノアッセイ等により免疫学的に査定され得る。しかしながら発現系の成功についての最終試験は、生物学的に活性な遺伝子産物の検出を包含する。
【0153】
抗体依存性細胞性細胞傷害性を含めたエフェクター機能増大を示すABMの生成および使用
好ましい実施形態では、本発明は、ラットICR62抗体の実質的同一結合特異性を有し、そして抗体依存性細胞性細胞傷害性を含めたエフェクター機能増大を示す糖鎖形態のキメラ(例えばヒト化)ABMを提供する。抗体のグリコシル化工学処理は、以前に記載されている(例えば米国特許第6,602,684号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)参照)。
【0154】
いくつかの種類の癌の治療のための非接合型モノクローナル抗体(mAb)の臨床試験は、近年、有望な結果を生じている(Dillman, Cancer Biother. & Radiopharm. 12: 223-25 (1997);Deo et al., Immunology Today 18: 127 (1997))。キメラ非接合型IgG1は、低段階または濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫に関して承認されている(Dillman, Cancer Biother. & Radiopharm. 12: 223-25 (1997))が、一方、固形乳房腫瘍をターゲッティングする別の非接合型mAb、ヒト化IgG1も、III期臨床試験において有望な結果を示されている(Deo et al., Immunology Today 18: 127 (1997))。これら2つのmAbの抗原は、それらのそれぞれの腫瘍細胞中で高度に発現され、そして抗体はin vitroおよびin vivoでエフェクター細胞による強力な腫瘍破壊を媒介する。それに反して、優れた腫瘍特異性を有する多数のその他の非接合型mAbは、臨床的に有用であるのに十分な効力を有するエフェクター機能を誘発し得ない(Frost et al., Cancer 80: 317-33 (1997);Surfus et al., J. Immunother. 19: 184-91 (1996))。これらの弱mAbのいくつかに関して、補助サイトカイン療法が一般に試験されつつある。サイトカインの付加は、循環リンパ球の活性および数を増大することにより、抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)を刺激し得る(Frost et al., Cancer 80: 317-33 (1997);Surfus et al., J. Immunother. 19: 184-91 (1996))。ADCCである抗体標的化細胞における溶解性襲撃は、白血球受容体と抗体の定常領域(Fc)との結合時に誘発される(Deo et al., Immunology Today 18: 127 (1997))。
【0155】
非接合型IgG1のADCC活性を増大するための、異なるがしかし補足的なアプローチは、抗体のFc領域を工学処理することである。タンパク質工学処理試験は、FcγRがIgG CH2ドメインのより低いヒンジ領域と相互作用する、ということを示している(Lund et al., J. Immunol. 157: 4963-69 (1996))。しかしながらFcγR結合は、CH2領域中の保存Asn297で共有結合されるオリゴ糖の存在も必要とする。Lund et al., J. Immunol. 157: 4963-69 (1996);Wright and Morrison, Trends Biotech, 15: 26-31 (1997)は、オリゴ糖およびポリペプチドがともに相互作用部位に直接的に関与するということ、あるいはオリゴ糖が活性CH2ポリペプチド立体配座を保持するために必要とされるということを示唆する。したがってオリゴ糖構造の修飾は、相互作用の親和性を増大するための一手段として探究され得る。
【0156】
IgG分子は、そのFc領域中に2つのN結合型オリゴ糖を保有する(各重鎖上に1つ)。任意の糖タンパク質と同様に、抗体は、同一ポリペプチド主鎖を共有するが、しかしグリコシル化部位に結合される異なるオリゴ糖を有する糖鎖形態の集団として産生される。血清IgGのFc領域中に普通に見出されるオリゴ糖は複合二分岐型のものであり(Wormald et al., Biochemistry 36: 130-38 (1997))、低レベルの末端サリチル酸および二分岐N‐アセチルグルコサミン(GlcNAc)ならびに可変程度の末端ガラクトシル化およびコア・フコシル化を伴う。いくつかの試験は、FcγR結合に必要とされる最小炭水化物構造はオリゴ糖コア内にある、ということを示唆する(Lund et al., J. Immunol. 157: 4963-69 (1996))。
【0157】
非接合型治療用mAbの製造のために産業界および大学で用いられるマウスまたはハムスター由来細胞株は、普通は必要なオリゴ糖決定基をFc部位に結合する。しかしながらこの細胞株中で発現されるIgGは、血清IgG中に少量で見出される二分岐GlcNAcを欠く(Lifely et al., Glycobiology 318: 813-22 (1995))。これに反して、ラット骨髄腫産生性ヒト化IgG1(CAMPATH‐1H)はその糖鎖のいくつかに二分岐GlcNAcを保有する、ということが最近観察された(Lifely et al., Glycobiology 318: 813-22 (1995))。ラット細胞由来抗体は、標準細胞株中で産生されるCAMPATH‐1H抗体として、しかし有意に低い抗体濃度で、類似の最大in vitroADCC活性に達する。
【0158】
CAMPATH抗原は普通はリンパ腫細胞上で抗のレベルで存在し、そしてこのキメラmAbは二分岐GlcNAcの非存在下で高ADCC活性を有する(Lifely et al., Glycobiology 318: 813-22 (1995))。N結合型グリコシル化経路では、二分岐GlcNAcはGnTIIIにより付加される(Schachter, Biochem. Cell Biol. 64: 163-81 (1986))。
【0159】
従来の研究は、外部調節方式で、異なるレベルのクローン化GnTIII遺伝子酵素を発現するよう予め工学処理された単一抗体産生CHO細胞を用いた(Umana, P., et al., Nature Biotechnol. 17: 176-180 (1999))。このアプローチは、GnTIIIの発現と修飾抗体のADCC活性との間の厳密な相関を、初めて確立した。したがって本発明は、GnTIII活性増大に起因するグリコシル化変更を示すラットICR62抗体の結合特異性を有する組換えキメラ抗体またはその断片を意図する。GnTIII活性増大は、二分岐オリゴ糖のパーセンテージ増大、ならびにABMのFc領域中のフコース残基のパーセンテージ低減を生じる。この抗体またはその断片は、Fc受容体結合親和性を増大し、そしてエフェクター機能を増大した。さらに本発明は、免疫グロブリンのFc領域と等価である量胃子を含む抗体断片および融合タンパク質に向けられる。好ましい実施形態では、抗体はヒト化される。
【0160】
本発明の方法により産生されるABMの治療的適用
最も広い意味で、本発明のABMは、EGFRを発現するin vivoまたはin vitroの細胞をターゲッティングするために用いられ得る。EGFRを発現する細胞は、診断的または治療的目的のためにターゲッティングされ得る。一態様では、本発明のABMは、試料中のEGFRの存在を検出するために用いられ得る。別の態様では、本発明のABMは、その表面にEGFRを発現する細胞中でのEGFR媒介性シグナル伝達を抑制するかまたは低減するために用いられ得る。EGFRは、同一細胞型の非腫瘍組織と比較して、多数のヒト腫瘍中で異常に発現される(例えば過剰発現される)。したがって本発明のABMは、腫瘍形成の防止、腫瘍の根絶ならびに腫瘍増殖の抑制に特に有用である。EGFRリガンドとEGFRの結合を遮断することにより、本発明のABMは、EGF依存性腫瘍細胞活性化、例えばEGFRチロシンリン酸化、細胞外酸性化率増大および細胞増殖を抑制する。本発明のABMは、細胞周期を静止し、標的細胞(例えば腫瘍細胞)のアポトーシスを引き起こし、そして標的細胞の新血管形成および/または分化を抑制するためにも作用する。本発明のABMは、EGFRを発現する任意の腫瘍を治療するために用いられ得る。本発明のABMを用いて治療され得る特定の悪性疾患としては、上皮細胞および扁平上皮細胞癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、頭部および頚部癌、ならびに腎細胞癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
本発明のABMは、in vivoで腫瘍細胞を標的化し、殺害するために単独で用いられ得る。ABMはまた、ヒト癌腫を治療するために、適切な治療薬と一緒に用いられ得る。例えばABMは、標準または慣用的治療方法、例えば化学療法、放射線療法と組合せて用いられ得るし、あるいは、癌腫の部位への治療薬の送達のために、治療薬または毒素と、ならびにリンフォカインまたは種様抑制増殖因子と接合されるかまたは連結され得る。最重要性を有する本発明のABMの接合体は、(1)免疫毒素(ABMおよび細胞傷害性部分の接合体)、ならびに(2)標識が、標識化ABMを含む免疫複合体を同定するための一手段を提供する標識化(例えば放射能標識化、酵素標識化または蛍光色素標識化)ABMである。ABMは、天然補体プロセスにより溶解を誘導するために、そして普通は存在する抗体依存性細胞傷害性細胞と相互作用するためにも用いられ得る。
【0162】
免疫毒素の細胞傷害性部分は、細菌または植物起源の細胞傷害薬あるいは酵素的活性毒素またはこのような毒素の酵素的活性断片(「A鎖」)であり得る。用いられる酵素的活性毒素およびその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌から)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、α‐サルシン、アブラギリタンパク質、ジアンシン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP‐S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ミトゲリン(mitogellin)、リストリクトシン、フェノマイシンおよびエノマイシンである。別の実施形態では、ABMは、小分子抗癌薬と接合される。ABMとこのような細胞傷害性部分の接合体は、種々の二機能性タンパク質カップリング剤を用いて作製される。このような試薬の例は、SPDP、IT、イミドエステルの二機能性誘導体、例えばジメチルアジピミデート、ビスアジド化合物、例えばビス(p‐アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン、ビス‐ジアゾニウム誘導体、例えばビス‐(p‐ジアゾニウムベンゾイル)‐エチレンジアミン、ジイソシアネート、例えばトリレン2,6‐ジイソシアネート、ならびにビス‐活性フッ素化合物、例えば1,5‐ジフルオロ‐2,4‐ジニトロベンゼンである。毒素の溶解部分は、ABMのFab断片に連結され得る。付加的な適切な毒素は、公開済み米国特許出願第2002/0128448号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で証明されたように、当該技術分野で既知である。
【0163】
一実施形態では、ラットICR62抗体の実質的同一結合特異性を有するキメラ(例えばヒト化)糖鎖工学処理ABMは、リシンA鎖に接合される。最も有益には、リシンA鎖は、組換え手段により脱グリコシル化され、産生される。リシン免疫毒素を作製する有益な方法は、Vitetta et al., Science 238, 1098 (1987)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
診断目的のためにin vitroでヒト癌細胞を殺害するために用いられる場合、接合体は典型的には、少なくとも約10 nMの濃度で細胞培地に付加される。in vitro使用のための処方物および投与方式は、重要ではない。培地または還流媒質と相溶性である水性処方物が、普通は用いられる。細胞傷害性は、癌の存在または程度を確定するために慣用的技法により読み取られ得る。
【0164】
上記のように、癌を治療するための細胞傷害性放射性医薬品は、放射性同位体(例えばI、Y、Pr)を、ラットICR62抗体の実質的同一結合特異性を有するキメラ糖鎖工学処理ABMと接合することにより作製され得る。「細胞傷害性部分」という用語は、本明細書中で用いる場合、このような同位体を含むよう意図される。
【0165】
別の実施形態では、リポソームは細胞傷害薬を充填され、そしてそのリポソームは本発明のABMで被覆される。EGFR発現悪性疾患細胞の表面には多数のEGFR分子が存在するため、この方法は、正しい細胞型への大量の薬剤の送達を可能にする。
【0166】
このような治療薬を抗体に接合するための技法は、周知である(例えばAmon et al., “Monoclonal Antibodies for Immunotargeting of Drugs in Cancer Therapy”, in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985);Hellstrom et al., “Antibodies For Drug Delivery”, in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987);Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”, in Monoclonal Antibodies ’84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985);およびThorpe et al., “The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates”, Immunol. Rev., 62: 119-58 (1982)参照)。
【0167】
本発明のABMに関するさらに他の治療的適用としては、プロドラッグを細胞傷害薬に転化し得る酵素との、例えば組換えDNA技術による、接合または連結、ならびに腫瘍部位でプロドラッグを細胞傷害薬に転化するためのプロドラッグと組合せた抗体‐酵素接合体の使用が挙げられる(例えばSenter et al., “Anti-Tumor Effects of Antibody-alkaline Phosphatase”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 4842-46 (1988);”Enhancement of the in vitro and in vivo Antitumor Activites of Phosphorylated Mitocycin C and Etoposide Derivatives by Monoclonal Antibody-Alkaline Phosphatase Conjugates”, Cancer Research 49: 5789-5792 (1989);およびSenter, “Activaton of Prodrugs by Antibody-Enzyme Conjugates: A New Approach to Cancer Therapy,” FASEB J. 4: 188-193 (1990)参照)。
【0168】
本発明のABMに関するさらに別の治療的使用は、補体の存在下で、非接合型で、あるいは抗体‐薬剤または抗体‐毒素接合体の一部として、癌患者の骨髄から腫瘍細胞を除去するための使用を包含する。このアプローチによれば、自系骨髄は抗体を用いた治療によりex-vivoでパージされ、骨髄は患者に注入し戻され得る[例えばRamsay et al., “Bone Marrow Purging Using Monoclonal Antibodies”, J. Clin. Immunol., 8 (2): 81-88 (1988)参照]。
【0169】
さらに、本発明は、ラットICR62抗体と実質的に同一の結合特異性を可能にする抗原結合ドメイン(例えばラットICR62抗体のCDRを含むポリペプチド)を含み、そしてさらに毒素ポリペプチドを含む1本鎖免疫毒素を含むことが意図される。本発明の1本鎖免疫毒素は、in vivoでヒト癌腫を治療するために用いられ得る。
【0170】
同様に、抗腫瘍活性を有する二次タンパク質例えばリンフォカインまたはオンコスタチンの少なくとも機能的活性部分と連結される本発明のABMの少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質は、in vivoでヒト癌腫を治療するために用いられ得る。
【0171】
本発明は、EGFRを発現する腫瘍細胞を選択的に殺害するための方法を提供する。この方法は、本発明の免疫接合体(例えば免疫毒素)を上記腫瘍細胞と反応させることを包含する。これらの腫瘍細胞は、ヒト癌腫からであり得る。
【0172】
さらに本発明は、in vivoで癌腫(例えばヒト癌腫)を治療する方法を提供する。この方法は、本発明の少なくとも1つの免疫接合体(例えば免疫毒素)を含有する薬学的有効量の組成物を被験者に投与することを包含する。
【0173】
さらなる一態様では、本発明は、EGFRが発現される、特にEGFRが異常に発現される(例えば過剰発現される)細胞増殖障害、例えば膀胱、脳、頭部および頚部、膵臓、肺、乳房、卵巣、結腸、前立腺、皮膚および腎臓の癌を治療するための改良型方法であって、治療的有効量の本発明のABMをそれを必要とするヒト被験者に投与することを包含する方法に向けられる。好ましい一実施形態では、ABMは、ラットICR62抗体のものと実質的に同一の結合特異性を有する糖鎖工学処理抗EGFR抗体である。別の好ましい実施形態では、抗体はヒト化される。本発明のABMにより治療され得る細胞増殖障害の例としては、以下の:腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭部および頚部、神経系(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、柔組織、脾臓、胸郭領域および尿生殖器系中で突き止められる新生物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
同様に、他の細胞増殖障害も、本発明のABMにより治療され得る。このような細胞増殖障害の例としては、高ガンマグロブリン血症、リンパ増殖性障害、パラプロテイン血症、紫斑病、類肉腫、セザリー症候群、ワルデンストロンのマクログロブリン血症、ゴーシェ病、組織球増加症、ならびに上記の器官系に見出されるその他の細胞増殖疾患、さらに新生物形成が挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
本発明の実行に従って、被験者はヒト、ウマ、ブタ、ウシ、ネズミ、イヌ、ネコおよび鳥類被験者であり得る。その他の温血動物も、本発明に含まれる。
【0176】
本発明はさらに、ヒト腫瘍細胞の増殖を抑制し、被験者における腫瘍を治療し、そして被験者における増殖型疾患を治療するための方法を提供する。これらの方法は、有効量の本発明の組成物を被験者に投与することを包含する。
【0177】
本発明はさらに、EGFRあるいは1つまたは複数のEGFRリガンドの異常活性化または産生により特性化される哺乳類における非悪性疾患または障害の治療方法であって、治療的有効量の本発明のABMを哺乳類に投与することを包含する方法に向けられる。被験者は一般に、本発明のABMが被験者内の細胞と結合し得るよう、例えばその疾患組織中にEGFR発現細胞を有する。
【0178】
EGFRまたはEGFRリガンドの異常活性化または発現は、被験者の細胞中で、例えば被験者の疾患細胞中で生じている可能性がある。EGFRの異常活性化は、EGFRおよび/またはEGFRリガンドの増幅、過剰発現または異所性産生に起因すると考えられる。本発明の一実施形態では、診断または予後検定は、EGFR(またはEGFRリガンド)の異常産生または活性化が被験者において生じつつあるか否かを確定するために実施される。例えばEGFRおよび/またはリガンドの遺伝子増幅および/または過剰発現が確定され得る。このような増幅/過剰発現を確定するための種々の検定が当該技術分野で利用可能であり、例としては、IHC、FISHならびに上記のshed抗原検定が挙げられる。代替的にまたは付加的に、試料中のまたは試料に関連したEGFRリガンド、例えばTGF‐αのレベルが、既知の手法により確定され得る。このような検定は、試験されるべき試料中のタンパク質および/またはそれをコードする核酸を検出し得る。一実施形態では、試料中のEGFRリガンドレベルは、免疫組織化学(IHC)を用いて確定され得る(例えばScher et al. Clin. Cancer Research 1: 545-550 (1995)参照)。代替的にまたは付加的に、例えばFISH、サザンブロッティングまたはPCR技法により、試験されるべき試料中のEGFRコード核酸のレベルを評価し得る。
【0179】
さらに、EGFRまたはEGFRリガンド過剰発現または増幅は、例えば検出されるべき分子を結合しそして検出可能標識(他と放射性同位体)でタグされる分子(例えば抗体)を投与し、標識の局在化に関して患者を外部走査することにより、in vivo診断検定を用いて評価され得る。
【0180】
あるいは、治療前に、患者における、他とその疾患組織中のEGFRへテロ二量体、特にEGFR‐ErbB2、EGFR‐ErbB3またはEGFR‐ErbB4ヘテロ二量体を検出し得る。非共有結合的タンパク質‐タンパク質相互作用を検出するか、そうでなければ当該タンパク質間の近接を示すための種々の方法が利用可能である。EGFRへテロ二量体を検出するための例示的方法としては、免疫親和性ベースの方法、例えば免疫沈降;蛍光共鳴エネルギー移動法(FRET)(Selvin, Nat. Struct. Biol. 7: 730-34 (2000);Gadella & Jovin, J. Cell Biol. 129: 1543-58 (1995);およびNagy et al., Cytometry 32: 120-131 (1998));標準直接または間接的免疫蛍光技法ならびに共焦点レーザー走査顕微鏡を用いるEGFRとErbB2またはErbB3との同時局在化;高処理量フォーマットでの、例えば微量ウエルプレート中での抗体結合EGFRとErbB2またはErbB3との同時局在化を検出するためのレーザー走査イメージング(LSI)(Zuck et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 11122-11127 (1999));あるいはeTag/m検定系(Aclara Bio Sciences, Mountain View, Calif.;および米国特許出願第2001/0049105号(2001年12月6日公開))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
したがって、本発明は、ヒト悪性疾患、例えば膀胱、脳、頭部および頚部、膵臓、肺、乳房、卵巣、結腸、前立腺、皮膚および腎臓の癌を治療するための製剤組成物、組合せおよび方法を包含する、ということは明らかである。例えば本発明は、薬学的有効量の本発明の抗体、および製薬上許容可能な担体を含むヒト悪性疾患の治療に用いるための製剤組成物を包含する。
【0182】
本発明のABM組成物は、慣用的投与方式、例えば静脈内、腹腔内、経口、リンパ内投与または種用への直接投与を用いて投与され得る。静脈内投与が好ましい。
【0183】
本発明の一態様では、本発明のABMを含有する治療用処方物は、凍結乾燥処方物または水溶液の形態で、所望程度の純度を有する抗体を、任意の製薬上許容可能な担体、賦形剤または安定剤と混合することにより(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 16
th edition, Osol, A. Ed. (1980))、貯蔵のために調製される。許容可能な担体、賦形剤または安定剤は、用いられる投与量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、例としては、緩衝剤、例えば燐酸塩、クエン酸塩およびその他の有機酸;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン;防腐剤(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3‐ペンタノール;およびm‐クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシン;単糖類、二糖類、およびその他の炭水化物、例えばグルコース、マンノースまたはデキストリン;キレート化剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えばZn‐タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばトゥイーン
TM、プルロニクス
TMまたはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
本発明のABMは、異常EGFRまたはEGFRリガンド活性により特性化される疾患または障害、例えば腫瘍を治療するために、単独で、または例えば化学療法薬および/または放射線療法との組合せ療法で、被験者に投与され得る。例示的抗EGFR抗体処方物は、Herbst and Shen, Cancer 94 (5): 1593-1611に記載されている。適切な化学療法薬としては、シスプラチン、ドキソルビシン、トポテカン、パクリタキセル、ビンブラスチン、カルボプラチンおよびエトポシドが挙げられる。
【0185】
皮下投与のために適合される凍結乾燥処方物は、WO 97/04801に記載されている。このような凍結乾燥処方物は、適切な希釈剤で高タンパク質濃度に再構成され、そして再構成処方物は、本明細書中で処理されるべき哺乳類に皮下投与され得る。
【0186】
本明細書中の処方物は、治療されるべき特定の適応症に必要であるような1つより多い活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものも含有し得る。例えば細胞傷害薬、化学療法薬、サイトカインまたは免疫抑制薬(例えばT細胞に作用するもの、例えばシクロスポリン、またはT細胞と結合する抗体、例えばLFA‐1と結合するもの)をさらに提供するのが望ましい。このような他の作用物質の有効量は、処方物中に存在するアンタゴニストの量、疾患または障害または治療の種類、ならびに上記のその他の因子によっている。これらは一般的に、本明細書中上記で用いられたのと同一の投与量および投与経路で、あるいは今まで用いられた投与量の約1〜99%で用いられる。
【0187】
活性成分は、例えばコアセルベーション技法によりまたは界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えばコロイド薬剤送達系(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)中の、またはマクロエマルション中の、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ‐(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中にも閉じ込められ得る。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16
th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
【0188】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の適切な例としては、アンタゴニストを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられるが、このマトリックスは、造形品、例えば皮膜またはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2‐ヒドロキシエチル‐メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L‐グルタミン酸およびγエチル‐L‐グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン‐酢酸ビニル、分解性乳酸‐グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOTTM(乳酸‐グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射用マイクロスフェア)、ならびにポリ‐D‐(−)‐3‐ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0189】
in vivo投与のために用いられるべき処方物は、滅菌性でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に成し遂げられる。
【0190】
本発明の組成物は種々の投与形態であり、例としては液体溶液または懸濁液、錠剤、ピル、粉末、座薬、高分子マイクロカプセルまたはマイクロベシクル、リポソーム、ならびに注射用または注入用溶液が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい形態は、投与方式および治療用途によっている。
【0191】
本発明の組成物は好ましくは、当該技術分野で既知の慣用的製薬上許容可能な担体およびアジュバント、例えばヒト血清アルブミン、イオン交換剤、アルミナ、レシチン、緩衝物質、例えば燐酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ならびに塩または電解質、例えば硫酸プロタミンも含む。
【0192】
本発明の製剤組成物に関する最も有効な投与方式および投与量レジメンは、疾患の重症度および経過、患者の健康および治療に対する応答ならびに治療医師の判断によっている。したがって組成物の投与量は、個々の患者に対して滴定されるべきである。それにもかかわらず、本発明の組成物の有効用量は、一般に、約0.01〜約2000 mg/kgの範囲である。一実施形態では、有効用量は約1.0 mg/kg〜約15.0 mg/kgの範囲である。さらに特定の実施形態では、用量は約1.5 mg/kg〜約12 mg/kgの範囲である。他の実施形態では、用量は約1.5 mg/kg〜約4.5 mg/kgまたは約4.5 mg/kg〜約12 mg/kgの範囲である。本発明の用量は、これらの範囲内の任意の用量であり、例えば1.0 mg/kg、1.5 mg/kg、2.0 mg/kg、2.5 mg/kg、3.0 mg/kg、3.5 mg/kg、4.0 mg/kg、4.5 mg/kg、5.0 mg/kg、5.5 mg/kg、6.0 mg/kg、6.5 mg/kg、7.0 mg/kg、7.5 mg/kg、8.0 mg/kg、8.5 mg/kg、9.0 mg/kg、9.5 mg/kg、10.0 mg/kg、10.5 mg/kg、11.0 mg/kg、11.5 mg/kg、12.0 mg/kg、12.5 mg/kg、13.0 mg/kg、13.5 mg/kg、14.0 mg/kg、14.5 mg/kgまたは15.0 mg/kgであり得るが、これらに限定されない。
【0193】
本明細書中に記載される分子は種々の剤形であり、例えば液体溶液または懸濁液、錠剤、ピル、粉末、座薬、高分子マイクロカプセルまたはマイクロベシクル、リポソーム、ならびに注射用または注入用溶液が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい形態は、投与方式および治療用途によっている。
【0194】
本発明の投与量は、いくつかの場合、予測的生体マーカーの使用により確定され得る。予測的生体マーカーは、腫瘍関連遺伝子またはタンパク質の、あるいは腫瘍関連シグナル伝達経路の細胞構成成分の発現および/または活性化のパターンを確定する(即ち観察しおよび/または定量する)ために用いられる分子マーカーである。腫瘍組織における標的化療法の生物学的作用を解明し、そしてこれらの作用と臨床応答を相関させることは、腫瘍中で作用する優勢な増殖および生存経路を同定するのを手助けし、それにより見込みのある応答者のプロフィールを確立し、そして逆に、抵抗性を克服するための戦略を計画するための理論的根拠を提供する。例えば抗EGFR療法のための生体マーカーは、細胞増殖障害をもたらすEGFR下流シグナル伝達経路に存在する分子、例えばAkt、RAS、RAF、MAPK、ERK1、ERK2、PKC、STAT3、STAT5(これらに限定されない)を含み得る(Mitchell, Nature Biotech. 22: 363-364 (2004);Becker, Nature Biotech 22: 15-18 (2004);Tsao and Herbst, Signal 4: 4-9 (2003))。抗EGFR療法に関する生体マーカーは、増殖因子受容体、例えばEGFR、ErbB‐2(HER2/neu)およびErbB‐3(HER3)も含み得るし、そして抗EGFR療法に対する患者応答の正または負の予測子であり得る。例えば増殖因子受容体ErbB‐3(HER3)は、抗EGFR抗体ABX‐EGFに関する負の予測的生体マーカーであることが確定された(米国特許出願公告第2004/0132097 A1号)。
【0195】
予測的生体マーカーは、当該技術分野で周知である細胞検定、例えば免疫組織化学、フローサイトメトリー、免疫蛍光、捕捉および検出検定、ならびに逆相検定および/または米国特許出願公告第2004/0132097 A1号に記述された検定(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)により測定され得るが、これらに限定されない。抗EGFR療法の予測的生体マーカーは、それ自体、米国特許出願公告第2003/0190689 A1号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記述された技法に従って同定され得る。
【0196】
一態様において、本発明は、EGFR関連障害の治療方法であって、EGFR関連障害、例えば癌に関する予測的生体マーカーの発現および/または活性化を検出する1つまたは複数の試薬による治療の前にヒト被験者からの試料を検定し、1つまたは複数の予測的生体マーカーの発現および/または活性化のパターンを確定する(この場合、パターンは抗EGFR療法に対するヒト被験者の応答を予測する)ことにより、治療を必要とするヒト被験者における抗EGFR療法に対する応答を予測し;そして抗EGFR治療に対して正の応答をすることが予測されるヒト被験者に、治療的有効量の本発明のABMを含む組成物を投与することを包含する方法を提供する。本明細書中で用いる場合、抗EGFR治療に対して正の応答をすると予測されるヒト被験者は、抗EGFRがEGFR関連障害に及ぼす測定可能な作用(例えば腫瘍退縮/縮小)を有する者、そして抗EGFR療法の利益が副作用(例えば毒性)を上まわる者である。本明細書中で用いる場合、試料は、1つまたは複数の細胞、例えば任意の起源、組織、あるいは乳房、肺、消化管、皮膚、子宮頚部、卵巣、前立腺、腎臓、脳、頭部および頚部のような器官、あるいは身体の任意のその他の器官または組織から切除された生検試料の単独細胞、ならびにその他の身体試料、例えば塗抹、痰、分泌物、脳脊髄液、胆汁、血液、リンパ液、尿および糞(これらに限定されない)を含む生物体、特にヒトからの任意の生物学的試料を意味する。
【0197】
本発明のABMを含む組成物は、良好な医学的実地と一致した様式で処方され、用量分けされ、投与される。この状況における考察のための因子としては、治療されている特定の疾患または障害、治療されている特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、疾患または障害の原因、作用物質の送達部位、投与方法、投与計画、ならびに開業医に既知のその他の因子が挙げられる。投与されるべき治療的有効量は、このような考察により支配される。
【0198】
一般命題として、用量当たり非経口的に投与される抗体の治療的有効量は、約0.1〜約20 mg/患者の体重1kg/日の範囲であり、用いられるアンタゴニストの典型的初期範囲は約2〜10 mg/kgである。一実施形態では、治療的有効用量は約1.0 mg/kg〜約15.0 mg/kgの範囲である。さらに特定の実施形態では、用量は約1.5 mg/kg〜約12 mg/kgの範囲である。他の実施形態では、用量は約1.5 mg/kg〜約4.5 mg/kgまたは約4.5 mg/kg〜約12 mg/kgの範囲である。本発明の用量は、これらの範囲内の任意の用量であり、例えば1.0 mg/kg、1.5 mg/kg、2.0 mg/kg、2.5 mg/kg、3.0 mg/kg、3.5 mg/kg、4.0 mg/kg、4.5 mg/kg、5.0 mg/kg、5.5 mg/kg、6.0 mg/kg、6.5 mg/kg、7.0 mg/kg、7.5 mg/kg、8.0 mg/kg、8.5 mg/kg、9.0 mg/kg、9.5 mg/kg、10.0 mg/kg、10.5 mg/kg、11.0 mg/kg、11.5 mg/kg、12.0 mg/kg、12.5 mg/kg、13.0 mg/kg、13.5 mg/kg、14.0 mg/kg、14.5 mg/kgまたは15.0 mg/kgであり得るが、これらに限定されない。
【0199】
好ましい一実施形態では、ABMは、抗体、好ましくはヒト化抗体である。このような非接合型抗体に関する適切な投与量は、例えば約20 mg/m
2〜約1000 mg/m
2の範囲である。例えば実質的に375 mg/m
2未満の抗体の1または複数の用量を患者に投与し得るが、例えばこの場合、用量は約20 mg/m
2〜約250 mg/m
2、例えば約50 mg/m
2〜約200 mg/m
2の範囲である。
【0200】
さらに、1または複数の初期用量(単数または複数)の抗体、その後、1または複数のその後の用量(単数または複数)を投与し得るが、この場合、その後の用量(単数または複数)における抗体のmg/m
2用量は、初期用量(単数または複数)における抗体のmg/m
2用量を上回る。例えば初期用量は、約20 mg/m
2〜約250 mg/m
2(例えば約50 mg/m
2〜約200 mg/m
2)の範囲であり、その後の用量は約250 mg/m
2〜約1000 mg/m
2の範囲であり得る。
【0201】
しかしながら、上記のように、ABMのこれらの示唆量は、多大の治療的裁量権を必要とする。適切な用量を選択性そして計画するに際して重要な因子は、上記のように、得られた結果である。例えば相対的に高い用量は、進行中のおよび急性の疾患の治療のために初期に必要とされ得る。最も効果的な結果を得るために、疾患または障害によって、できるだけ疾患または障害の最初の兆候、診断、出現または発生に近くで、あるいは疾患または障害の寛解中に、アンタゴニストが投与される。
【0202】
腫瘍を治療するために用いられる抗EGFR抗体の場合、最適治療結果は、一般に、標的細胞上のEGF受容体を完全に飽和させるのに十分である用量で達成された。飽和を達成するために必要な用量は、腫瘍細胞当たりで発現されるEGF受容体の数によっている(これは、異なる腫瘍型間で有意に変わり得る)。30 nMという低い血清濃度がいくつかの腫瘍を治療するのに有効であったが、一方、100 nMより高い濃度が他の腫瘍に関する最適治療効果を達成するために必要であり得る。所定の腫瘍に関する飽和を達成するために必要な用量は、ラジオイムノアッセイまたは免疫沈降によりin vitroで容易に確定され得る。
【0203】
概して、放射線との組合せ療法に関しては、適切な一治療レジメンは、100〜500 mg/m
2の初回負荷用量およびその後の100〜250 mg/m
2の維持用量で本発明の抗EGFR ABMを毎週8回注入し、そして毎日2.0 Gyの用量で70.0 Gyの量の放射線を照射することを包含する。化学療法との組合せ療法に関しては、適切な一治療レジメンは、3週間毎に100 mg/m
2の用量のシスプラチンと組合せて、100/100 mg/m
2、400/250 mg/m
2、または500/250 mg/m
2の毎週負荷/維持用量として本発明の抗EGFR ABMを投与することを包含する。あるいはゲムシタビンまたはイリノテカンが、シスプラチンの代わりに用いられ得る。
【0204】
本発明のABMは、非経口的、皮下、腹腔内、肺内および鼻内を含めた任意の適切な手段により、ならびに所望により、局所免疫抑制治療、病変内投与のために、投与される。非経口的注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内腹腔内または皮下投与が挙げられる。さらに、アンタゴニストは、例えば漸減用量のアンタゴニストを用いて、パルス注入により適切に投与され得る。好ましくは用量投与は、一部は、投与が短期であるか長期であるかによって、注射により、最も好ましくは静脈内または皮下注射により提供される。
【0205】
本明細書中のアンタゴニストとともに、他の化合物、例えば細胞傷害薬、化学療法薬、免疫抑制薬および/またはサイトカインを投与し得る。組合せ投与としては、別個の処方物または単一製剤処方物を用いる同時投与、ならびにいずれかの順序での連続投与(この場合、好ましくは両方(またはすべて)の活性作用物質がそれらの生物学的活性を同時に発揮する時間が存在する)が挙げられる。
【0206】
治癒を達成するために必要とされる本発明の組成物の用量は計画最適化に伴ってさらに低減され得る、ということは明らかである。
【0207】
本発明の実地に従って、製剤担体は脂質担体であり得る。脂質担体は、リン脂質であり得る。さらに脂質担体は、脂肪酸であり得る。さらにまた脂質担体は、界面活性剤であり得る。本明細書中で用いる場合、界面活性剤は、液体の表面張力を変える、一般的にはそれを低下させる任意の物質である。
【0208】
本発明の一例では、界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり得る。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリソルベート80(トゥイーン80または(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)としても既知)、Brij、およびトリトン(例えばトリトンWR‐1339およびトリトンA‐20)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0209】
あるいは界面活性剤は、イオン性界面活性剤であり得る。イオン性界面活性剤の一例としては、臭化アルキルトリメチルアンモニウムが挙げられるが、これに限定されない。
【0210】
さらに、本発明に従って、脂質担体はリポソームであり得る。本出願中で用いる場合、「リポソーム」とは、本発明の任意の分子またはその組合せを含有する任意の膜結合小胞である。
【0211】
さらに別の実施形態では、本発明は、薬として用いるための、特に癌の治療または予防に用いるための、あるいは前癌状態または病変に用いるための本発明によるABMに関する。例えば癌は、肺癌、非小細胞肺(NSCL)癌、細気管支肺胞細胞肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頚部の癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、胃体癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜癌、子宮頚部癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、上皮小体癌、副腎癌、柔組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞癌、胆道癌、慢性または急性白血病、リンパ球性白血病、中枢神経系(CNS)の新生物、軸椎腫瘍、脳幹神経膠腫、未分化神経膠芽腫、星状細胞腫、シュワン細胞腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮細胞癌、下垂体腺腫(上記癌のいずれかの難治性バージョン、あるいは上記癌の1つまたは複数の組合せを含む)であり得る。前癌状態または病変としては、例えば口腔白斑症、光線性角化症(日光性角化症)、結腸または直腸の前癌性ポリープ、胃上皮異形成、腺腫性異形成、遺伝性非ポリープ性結腸癌症候群(HNPCC)、バレット食道、膀胱異形成ならびに前癌性子宮頚部状態から成る群が挙げられる。
【0212】
好ましくは上記癌は、乳癌、膀胱癌、頭部および頚部癌、皮膚癌、膵臓癌、肺癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、腎臓癌および脳癌から成る群から選択される。
【0213】
さらに別の実施形態は、癌の治療または予防のための薬剤の製造のための本発明によるABMの使用である。癌は、上記と同様である。
【0214】
好ましくは上記癌は、乳癌、膀胱癌、頭部および頚部癌、皮膚癌、膵臓癌、肺癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、腎臓癌および脳癌から成る群から選択される。
【0215】
さらにまた好ましくは、上記抗原結合分子は、約1.0 mg/kg〜約15 mg/kgの治療的有効量で用いられる。
【0216】
さらにまた好ましくは、上記抗原結合分子は、約1.5 mg/kg〜約12 mg/kgの治療的有効量で用いられる。
【0217】
さらにまた好ましくは、上記抗原結合分子は、約1.5 mg/kg〜約4.5 mg/kgの治療的有効量で用いられる。
【0218】
さらにまた好ましくは、上記抗原結合分子は、約4.5 mg/kg〜約12 mg/kgの治療的有効量で用いられる。
【0219】
最も好ましくは、上記抗原結合分子は、約1.5 mg/kgの治療的有効量で用いられる。
【0220】
さらにまた最も好ましくは、上記抗原結合分子は、約4.5 mg/kgの治療的有効量で用いられる。
【0221】
さらに最も好ましくは、上記抗原結合分子は、約12 mg/kgの治療的有効量で用いられる。
【0222】
別の実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳類におけるEGFR関連障害の治療方法であって、本発明のABMを哺乳類に投与することを包含する方法であり、治療が少なくとも4週間の期間、約1〜約500 μg/mlの上記ABMの血清濃度を生じ、そして治療が上記哺乳類において臨床的有意レベルの毒性を生じない方法に向けられる。その他の実施形態では、血清濃度は、約1 μg/ml、約25 μg/ml、約50 μg/ml、約100 μg/ml、約200 μg/ml、約300 μg/ml、約400 μg/ml、約500 μg/ml、約1〜約100 μg/ml、約1〜約200 μg/ml、約1〜約300 μg/ml、約1〜約400 μg/mlならびに約1〜約500 μg/mlから成る群から選択される量である。好ましい一実施形態では、哺乳類はヒトである。一実施形態では、ABMは抗体である。好ましい一実施形態では、抗体は糖鎖工学処理され、そして非糖鎖工学処理形態の抗体と比較してFcγRIII結合増大を示す。
【0223】
製品
本発明の別の実施形態では、上記障害の治療のために有用な物質を含有する製品が提供される。製品は、容器、ならびに容器の上のまたはそれに関連したラベルまたは包装挿入物を含む。適切な容器としては、例えばビン、バイアル、注射器等が挙げられる。容器は、当該状態を治療するために有効である組成物を保持し、そして滅菌性入口を有し得る(例えば容器は、静脈内溶液袋または皮下注射用針により貫通可能な栓を有するバイアル)。組成物中の少なくとも1つの活性作用物質は、抗EGFR抗体である。ラベルまたは包装挿入物は、EGFR受容体および/またはEGFRリガンドの異常活性化または産生を包含する非悪性疾患または障害、多徒良性過増殖性疾患または障害といった選択範囲の状態を治療するために用いられる、ということを示す。さらに製品は、(a)その中に含入される組成物を有する第一容器(この場合、組成物は、EGFRと結合し、EGFRを過剰発現する細胞の増殖を抑制する一次抗体を含む);ならびに(b)そこに含入される組成物を有する第二容器(この場合、組成物は、EGFRを結合し、EGFR受容体のリガンド活性化を遮断する)を含み得る。本発明のこの実施形態における製品はさらに、一次および二次抗体組成物が上記定義の節におけるこのような疾患または障害のリストからの非悪性疾患または障害を治療するために用いられ得る、ということを示す包装挿入物を含み得る。さらに包装挿入物は、抗体を用いた療法ならびに前節に記載された補助療法(他と化学療法薬、EGFR標的化薬、抗新血管形成薬、免疫抑制薬、チロシンキナーゼ阻害薬、抗ホルモン化合物、心臓保護薬および/またはサイトカイン)のいずれかを組合せることを組成物(EGFRを結合し、EGFR受容体のリガンド活性化を遮断する抗体を含む)の使用者に説明し得る。代替的にまたは付加的に、製品はさらに、製薬上許容可能な緩衝剤、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸塩緩衝生理食塩水、リンガー溶液およびデキストロース溶液を含む第二(または第三)容器を含み得る。それはさらに、商業的および使用者の見地から望ましいその他の物質、例えばその他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針および注射器を包含し得る。
【0224】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明する。以下の調製物および実施例は、当業者が本発明をより明瞭に理解し、実行し得るために提供される。しかしながら本発明は、例示実施形態により範囲を限定されず、本発明の単一態様の例証として意図されるだけであり、機能的に等価である方法は、本発明の範囲内である。実際、前記の説明および添付の図面から、本明細書中に記載されたもののほかに、本発明の種々の修正が当業者に明らかになる。このような修正は、添付の特許請求の範囲内であるよう意図される。
【0225】
本出願中で引用された特許、出願および出版物はすべて、これらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。
【実施例】
【0226】
実施例
別記しない限り、以下の実施例中の特定アミノ酸残基位置のナンバリングへの言及は、Kabatナンバリング系に従っている。別記しない限り、これらの作業例に記載された抗体を作製するために用いられる材料および方法は、米国特許出願第10/981,738号(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)の実施例に記述されたものに従っている。
【0227】
実施例1
材料と方法
高相同性アクセプターアプローチ
ラットICR62タンパク質配列をヒト生殖系列配列のコレクションと整列させて、すべての標準残基を機能レベルに保存しながら、最高配列同一性を示したヒト配列を選択することにより、高相同性抗体アクセプター・フレームワーク検索を実施した。ここで、VBaseデータベース内のVH1ファミリーからの配列1‐eを重鎖フレームワークアクセプター配列として選択し、そしてVBaseデータベースのVK1ファミリーからのA30配列を軽鎖のためのフレームワークアクセプターであると選択した。これら2つのアクセプター・フレームワークに関して、3つの相補性決定領域(CDR)および/またはラットICR62重さおよび軽鎖可変ドメインのそれらのCDRの特異性決定残基をグラフトした。フレームワーク4領域は生殖系列遺伝子の可変領域の一部ではないため、その位置に関するアラインメントを独立して実施した。JH6領域を重鎖に関して選択し、JK2領域を軽鎖に関して選択した。設計される免疫グロブリンドメインの分子モデリングは、CDRの外側のヒトアミノ酸残基の代わりにネズミアミノ酸残基を潜在的に必要とするKabatCDR1の外側の1つの位置を明示した。ヒトフレームワーク中へのネズミアミノ酸残基の再導入は、いわゆる「復帰突然変異」を生じる。例えばKabat位置27のヒトアクセプターアミノ酸残基(1‐e中のグリシン)をチロシン残基に復帰突然変異させた。抗原結合に関する残基の重要性を示すために、復帰突然変異を包含するかまたは省くヒト化抗体変異体を設計した。ヒト化抗体軽鎖は、いかなる復帰突然変異も必要としなかった。タンパク質配列を設計後、これらのタンパク質をコードするDNA配列を、以下で詳述するように合成した。
【0228】
混合フレームワークアプローチ
ヒトアクセプター・フレームワークの重要位置(良好な抗原結合親和性または抗体機能を保持するために重要)に復帰突然変異を導入する必要性を回避するために、機能的ヒト化抗体のフレームワーク領域1(FR1)、フレームワーク領域1(FR1)および2(FR2)が一緒に、またはフレームワーク領域3(FR3)が、天然ヒト生殖系列配列中の重要な残基位置にドナー残基または機能的にドナー残基と機能的に等価であるアミノ酸残基をすでに有するヒト抗体配列により取り替えられ得るか否かを調べた。この目的のために、ラットICR62 VH配列のVHフレームワーク1、2および3を、独立して、ヒト生殖系列配列と整列させた。ここで、アクセプター・フレームワークを選択するために最高配列同一性を用いなかった;代わりに、いくつかの重要な残基のマッチングを実施した。それらの重要残基は、いわゆる標準残基、ならびに位置27、28および30(Kabatナンバリング)のそれらの残基(KabatによるCDR1定義外であるがしかししばしば抗原結合に関与する)を含む。さらに、重要残基は、分子モデリングを用いて確定され得るように、CDRとの重要な相互作用を示すものである。IMGT配列IGHV1‐58(寄託番号M29809)、IGHV5‐51(寄託番号M99686)、ならびにVH1ファミリーからのVBase配列1‐02を、FR1、2または3に代わる適切なものとして選択した。要するに、IGHV1‐58は、Kabat位置27〜30における有望なパターンを示したが、しかし標準位置71に関する判定基準を満たさない。IGHV5‐51はマッチング残基71を有し、したがってそのFR3を用い得た。さらにまた、そのFR1は所望のFR1配列に近い。
【0229】
VH1の1‐eは、位置27と別に、すべての判定基準を満たした。配列1‐02はFR1およびFR2領域に許容可能であるとみなされたが、しかしFR3では復帰突然変異を要する。
【0230】
タンパク質配列設計後、これらのタンパク質をコードするDNA配列を、以下に詳述するように合成した。このアプローチを用いると、良好なレベルの抗原結合を保持するため、復帰突然変異は重鎖の構築物のほとんどで必要でなかった。混合フレームワーク構築物の順序および理由は、結果の節で説明する。
【0231】
抗体遺伝子の合成
ヒト化抗体V領域のアミノ酸配列を設計した後、DNA配列を生成した。個々のフレームワーク領域のDNA配列データは、ヒト生殖系列配列に関するデータベース(例えばIMGTまたはVBase)中に見出された。CDR領域のDNA配列情報を、ラットICR62抗体の発表済み配列から得た(例えばPCR公告WO 95/20045参照)。これらの配列を用いて、全DNA配列を事実上組み立てた。このDNA配列データを有して、無症候性突然変異を導入し、制限エンドヌクレアーゼに関する認識部位を作製することにより、診断制限部位を実際の配列中に導入した。物理的DNA鎖を得るために、遺伝子合成を実施した(例えばWheeler et al. 1995参照)。この方法では、一連のオリゴヌクレオチドがコード鎖に由来し、他のシリーズが非コード鎖に由来するよう、当該遺伝子からオリゴヌクレオチドを設計する。各オリゴヌクレオチドの3’および5’末端(列中の極先端および最終端を除く)は常に、反対鎖由来の2つのプライマーに対して相補的配列を示す。任意の熱安定性ポリメラーゼに適した反応緩衝液中にこれらのオリゴヌクレオチドを入れ、Mg
2+、dNTSおよびDNAポリメラーゼを付加すると、各オリゴヌクレオチドはその3’末端から伸長される。次に一プライマーの新規形成3’末端は反対鎖の次のプライマーとアニーリングし、そして鋳型依存性DNA鎖伸長に適した条件下でさらに、その配列を伸長する。大腸菌中での増殖のために、最終産物を慣用的ベクター中にクローン化した。
【0232】
抗体産生
キメラ(即ち全ラットV領域およびヒトC領域)およびヒト化抗EGFR軽鎖および重鎖発現ベクターの構築のために、ヒト重鎖および軽鎖リーダー配列(分泌のために)を可変領域DNA配列の上流に付加した。標準分子生物学的技法を用いて、可変領域の下流に、重鎖に関するIgG1の定常領域を付加し、そして軽鎖に関するカッパ定常領域を付加した。その結果生じた全抗体重鎖および軽鎖DNA配列を、MPSVプロモーターの制御下で、合成ポリA部位の上流で、哺乳類発現ベクター(1つは軽鎖用、1つは重鎖用)中でサブクローニングした(各ベクターはEBV OriP配列を保有する)。
【0233】
リン酸カルシウム‐トランスフェクションアプローチを用いて、哺乳類抗体重鎖および軽鎖発現ベクターでHEK293‐EBNA細胞を同時トランスフェクトすることにより、抗体を産生した。指数関数的に増殖するHEK293‐EBNA細胞を、リン酸カルシウム法によりトランスフェクトした。非修飾抗体の産生のために、抗体重鎖および軽鎖発現ベクター(1:1比)のみで細胞をトランスフェクトした。糖鎖工学処理抗体の産生のために、4つのプラスミド(2つは抗体発現用、1つは融合GnTIIIポリペプチド発現用、そして1つはマンノシダーゼII発現用。それぞれ4:4:1:1比)で細胞を同時トランスフェクトした。10%FCSを補足したDMEM培地を用いてTフラスコ中で接着単一層培養として細胞を増殖させ、それらが50〜80%集密になったら、トランスフェクトした。T75フラスコのトランスフェクションのために、トランスフェクションの前に、FCS(最終濃度10%V/Vで)、250 g/mlネオマイシンを補足したDMEM培地14 ml中に800万細胞を植え付けて、細胞を37℃で5%CO
2大気を有するインキュベーター中に一晩入れた。トランスフェクトされるべき各T75フラスコに関しては、軽鎖および重鎖発現ベクター間に等しく分配される総プラスミドベクターDNA47 μg、1 MCaCl
2溶液235 μlを混合し、水を付加して最終濃度を469 μlとすることにより、DNA、CaCl
2および水の溶液を調製した。この溶液に、469 μlの50 mMHEPES、280 mMNaCl、1.5 mMNa
2HPO
4溶液、pH7.05を付加し、直ちに10秒間混合して、室温で20秒間放置した。2%FCSを補足したDMEM12 mlで懸濁液を希釈し、現存する培地の代わりにT75に付加した。細胞を37℃、5%CO
2で約17〜20時間インキュベートし、次に培地を12mlのDMEM、10%FCSと取り替えた。状態調節化培地をトランスフェクション後5〜7日目に収穫し、1200 rpmで5分間遠心分離した後、4000 rpmで10分間、2回目の遠心分離をして、4℃に保持した。
【0234】
プロテインAアフィニティークロマトグラフィーと、その後の陽イオン交換クロマトグラフィーならびにSuperdex 200カラム(Amersham Pharmacia)上での最終サイズ排除クロマトグラフィー工程により処理し、緩衝液を燐酸塩緩衝生理食塩水に交換し、そして純単量体IgG1抗体を収集することにより、分泌抗体を精製した。280 nmでの吸光度から分光光度計を用いて、抗体濃度を概算した。25 mMリン酸カルシウム、125 mM塩化ナトリウム、100 mMグリシン溶液、pH6.7中で、抗体を処方した。
【0235】
GnT‐IIIグリコシルトランスフェラーゼ発現ベクターと一緒に、あるいはGnT‐III発現ベクター+ゴルジマンノシダーゼII発現ベクターと一緒に、抗体発現ベクターの同時トランスフェクションにより、ヒト化抗体の糖鎖工学処理変異体を産生した。糖鎖工学処理抗体を精製し、非糖鎖工学処理抗体に関して上記したように処方した。抗体のFc領域に結合されるオリゴ糖を、下記のようにMALDI/TOF‐Mにより分析した。
【0236】
オリゴ糖分析
PNGアーゼF消化により抗体からオリゴ糖を酵素的に放出させたが、抗体はPVDF膜上に固定されるかまたは溶液中に存在した。
【0237】
放出オリゴ糖を含有するその結果生じた消化溶液は、MALDI/TOF‐MS分析のために直接調製するか、あるいはEndoHグリコシダーゼでさらに消化した後、MALDI/TOF‐MS分析のために試料を調製した。
【0238】
PVDF膜固定抗体に関するオリゴ糖放出方法
PVDF(Immobilon P, Millipore, Bedford, Massachusetts)膜で作製された96ウエルプレートのウエルを100 μlメタノールで湿らせて、マルチスクリーン真空多岐管(Millipore, Bedford, Massachusetts)に適用される真空を用いて、PVDF膜を通して液体を抜き取った。PVDF膜を水300 μlで3回洗浄した。次にウエルを50 μlのRCM緩衝液(8 M尿素、360 mMトリス、3.2 mMEDTA、pH8.6)で洗浄した。10 μlのRCM緩衝液を含有するウエル中に30〜40 μgの抗体を入れた。真空を適用することにより膜を通してウエル中の液体を抜き取り、その後、膜を50 μlのRCM緩衝液で2回洗浄した。RCM中の0.1 Mジチオトレイトール50 μlを付加し、37℃で1時間インキュベートすることにより、ジスルフィド架橋の還元を実施した。
【0239】
還元後、真空を適用してジチオトレイトール溶液をウエルから除去した。ウエルを300 μlの水で3回洗浄した後、RCM緩衝液中の0.1 Mヨード酢酸50 μlを付加し、暗所で30分間、室温でインキュベートすることにより、システイン残基のカルボキシメチル化を実施した。
【0240】
カルボキシメチル化後、ウエルを真空で抜き取り、その後、300 μlの水で3回洗浄した。次に、室温で1時間、ポリビニルピロリドン360の1%水溶液100 μlをインキュベートすることにより、PVDF膜を遮断して、エンドグリコシダーゼの吸着を防止した。次に、静かに真空処理し、その後、300 μlの水で3回洗浄することにより、遮断試薬を除去した。
【0241】
2.5 mUペプチド‐N‐グリコシダーゼF(組換えN‐グリカナーゼ、GLYKO, Novato, CA)および0.1 mUシラシダーゼ(GLYKO, Novato, CA)を付加して、任意の電位荷電単糖残基を取り出すことにより、20 mMNaHCO
3、pH7.0中で最終容積25 μl中に、N結合型オリゴ糖を放出させた。
【0242】
溶液中の抗体に関するオリゴ糖放出方法
40〜50 μgの抗体を、25 μlの最終容積中の2 mMトリス、pH7.0中の2.5 mUのPNGアーゼF(Glyko, U.S.A.)と混合し、混合物を37℃で3時間、インキュベートした。
【0243】
MALDI/TOF‐MS中性オリゴ糖ピークへのハイブリッド二分岐オリゴ糖構造の割り当てのためのPNGアーゼF放出オリゴ糖のエンドグリコシダーゼH消化の使用
PNGアーゼF放出オリゴ糖を、その後、エンドグリコシダーゼH(EC 3.2.1.96)で消化した。EndoH消化のために、15 mUのEndoH(Roche, Switzerland)をPNGアーゼF消化物(上記方法の溶液中の抗体)に付加して、30μlの最終容積を得て、混合物を37℃で3時間インキュベートした。EndoHは、N‐結合型オリゴ糖のキトビオースコアのN‐アセチルグルコサミン残基間を切断する。酵素はオリゴマンノースおよびほとんどのハイブリッド型グリカンのみを消化し得るが、一方、複合型オリゴ糖は加水分解されない。
【0244】
MALDI/TOF‐MSのための試料調製
酢酸を付加して採集濃度を150 mMとした後、放出オリゴ糖を含有する酵素消化物を室温でさらに3時間インキュベートし、その後、ミクロ・バイオ・スピンクロマトグラフィーカラム(BioRad, Switzerland)中に充填された陽イオン交換樹脂(AG50W‐X8樹脂、水素形態、100〜200メッシュ、BioRad, Swtzerland)0.6 mlを通過させて、陽イオンおよびタンパク質を除去した。その結果生じた試料1 μlをステンレススチール標的プレートに適用し、プレート上でsDHBマトリックス1 μlと混合した。エタノール/10 mM水性塩化ナトリウム 1:1(v/v)1 ml中に2 mgの2,5‐ジヒドロキシ安息香酸+0.1 mgの5‐メトキシサリチル酸を溶解することにより、sDHBマトリックスを調製した。試料を風乾氏、0.2 μlのエタノールを適用し、試料を空気中で最終的に再結晶化させた。
【0245】
MALDI/TOF‐MS
質量スペクトルを得るために用いたMALDI‐TOF質量分光計は、Voyager Elite(Perspective Biosystems)であった。20 kVの加速度および80 ns遅延で、線状立体配置で、計器を操作した。オリゴ糖を用いる外部較正を、イオンの質量割当のために用いた。200レーザーショットからのスペクトルを合計して、最終スペクトルを得た。
【0246】
抗原結合検定
フローサイトメトリーベースの検定を用いて、A431ヒト上皮細胞株上のヒト上皮細胞増殖因子受容体(EGFR、HER‐1またはErbB1としても文献中で言及される)との結合に関して、精製単量体ヒト化抗体変異体を試験した。FACS緩衝液(2%FCSおよび5 mMEDTAを含有するPBS)180 μl中の200,000細胞(例えばヒトA431細胞株から)を、5 mlポリスチレン試験管に移し、20 μlの10倍濃縮抗EGFR抗体(第一抗体)試料(最終濃度1〜5000 ng/ml)またはPBSのみを付加した。試料を静かに混合した後、試験管を暗所で4℃で30分間インキュベートした。その後、試料をFACS緩衝液で2回洗浄し、300×gで3分間ペレット化した。上清を吸引して、細胞を50 μlのFACS緩衝液中に取って、2 μlの二次抗体(抗Fc特異的F(ab’)2‐FITC断片(Jackson Immuno Research Laboratories, USA))を付加し、試験管を4℃で30分間インキュベートした。試料をFACS緩衝液で2回洗浄し、フローサイトメトリーによる分析のためにFACS500 μl中に取った。抗体濃度に対する幾何平均蛍光をプロットすることにより、結合を確定した。
【0247】
単量体IgG1糖変異体とFcγRIIIA発現COH細胞株との結合
FcγRIIIA‐Val158 α鎖およびγ鎖をコードする発現ベクターを用いて電気穿孔(280 V, 950 μF, 0.4 cm)により、CHO細胞をトランスフェクトした。6 μg/mlプロマイシンの付加によりトランスフェクト体を選択し、そして106細胞に対して10 μlのFITC接合抗FcγRIII 3G8モノクローナル抗体(BD Biosciences, Allschwil/Switzerland)を用いて、FACSにより安定クローンを分析した。IgG1とFcγRIIIA‐Val158発現CHO細胞との結合を実施した。要するに、抗FcγRIIIA 3G8 F(ab‘)2断片(Ancell, Bayport, MN/USA)を10 μg/mlの濃度で付加して抗体糖変異体(3 μg/ml)の結合を完了した。結合抗体変異体を指す蛍光強度を、FACSCalibur(BD Biosciences, Allschwil/Switzerland)で確定した。
【0248】
ADCC検定
ヒト末梢血単核球(PBMC)をエフェクター細胞として用い、そして、本質的にメーカーの使用説明書に従って、Histopaque-1077(Sigma Diagnostics Inc., St. Louis, MO63178 USA)を用いて調製した。要するに、健常有志から、ヘパリン処理注射器を用いて静脈血を採取した。血液をPBS(Ca
++またはMg
++を含有しない)で1:0.75〜1.3希釈して、Histopaque-1077上に層化した。勾配を、破壊を伴わずに室温で30分間、400×gで遠心分離した。PBMCを含有する界面を収集し、PBS(2つの勾配からの細胞当たり50 ml)で洗浄して、室温で10分間、300×gでの遠心分離により収穫した。PBSでペレットを再懸濁後、PBMCを計数し、室温で10分間、200×gでの遠心分離により2回目の洗浄をした。次に、その後の手順のために、細胞を適切な培地中に再懸濁した。
【0249】
ADCC検定のために用いられるエフェクター対標的比は、PBMCおよびNK細胞に関して、それぞれ25:1および10:1であった。丸底96ウエルプレートのウエル当たり50 μlを付加するために、適切な濃度でAIM‐V培地中でエフェクター細胞を調製した。標的細胞は、10%FCSを含有するDMEM中で増殖させたヒトEGFR発現細胞(例えばA431、EBC‐1またはLN229)であった。標的細胞をPBS中で洗浄し、計数して、100 l/マイクロウエル中の30,000細胞を付加するために、0.3×10
6/mlでAIM‐V中に再懸濁した。抗体をAIM‐V中に希釈し、50 μl中で予備プレート化標的細胞に付加し、室温で10分間、標的と結合させた。次にエフェクター細胞を付加し、5%CO
2を含有する保湿大気中で37℃で4時間、プレートをインキュベートした。細胞傷害性検出キット(Roche Diagnostics、Rotkreuz, Switzerland)を用いた損傷細胞からのラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)放出の測定により、標的細胞の殺害を査定した。4時間インキュベーション後、プレートを800×gで遠心分離した。各ウエルからの上清100 μlを新しい透明平底96ウエルプレートに移した。キットからの発色基質緩衝液100 μlを、ウエル当たりで付加した。SOFTmaxPROソフトウエア(Molecular Devices, Sunnyvale, CA94089, USA)を用いて、少なくとも10分間、490 nmでELISA読取機で、発色反応物のVmax値を確定した。標的およびエフェクター細胞のみを含有し、抗体を含まないウエルから、自発性LDH放出を測定した。標的細胞および1%トリトンX‐100のみを含有するウエルから、最大放出を確定した。特異的抗体媒介性殺害のパーセンテージを、以下のように算定した:(x−SR)/(MR−SR)
*100(式中、xは特異的抗体濃度でのVmaxの平均であり、SRは自発性放出のVmaxの平均であり、そしてMRは最大放出のVmaxの平均である)。
【0250】
実施例2
結果および考察
キメラICR62軽鎖と、あるいはICR62軽鎖(I‐KA、I‐KBまたはI‐KC)および親キメラ抗体ch‐ICR62と複合された抗体変異体I‐HHA、I‐HHB、I‐HHC、I‐HLA、I‐HLB、I‐HLC、I‐HLA1、I‐HLA2、I‐HLA3、I‐HLA4、I‐HLA5、I‐HLA6、I‐HLA7、I‐HLA8、I‐HLA9、I‐HHD、I‐HHE、I‐HHFおよびI‐HHGのヒトEGF受容体との結合の比較は、すべての抗体が1 log単位内に同様のEC50値を有する、ということを示す。I‐HHAのみは、結合活性の強力な減少を示す(
図2参照)。
図1は、それぞれヒト化構築物I‐HHCおよびI‐KBと組合された場合の、個々のキメラICR62(ch‐ICR62)ポリペプチド鎖の機能的活性を示す。この実験では、ch‐ICR62の軽鎖、重鎖のいずれかまたは両鎖を同時に、上記のヒト化構築物により取り替えた。これは、VH/VL界面形成が齧歯類抗体中で、ならびにヒト化構築物中で同様に働くように思われる、ということを示す。
【0251】
図2に示したように、ヒト化重鎖I‐HHAは、I‐KAまたはI‐KB軽鎖との結合活性を回復し得なかった。I‐HLAはI‐KAおよびI‐KBの両方との結合を示さなかったため、I‐HHAの重鎖は抗原結合に機能的でない、と本発明人等は結論づけた。
図1および2は、
図3と組合せて、軽鎖構築物I‐KA、I‐KBおよびI‐KCが齧歯類対応物とは区別可能な結合行動を有する、ということを示す。変異体I‐KCはいかなる復帰突然変異も保有せず、そして残基24〜29がヒトアクセプター配列(上記のように、VK1のA30)に由来し得る付加的に部分的にヒト化されたそのCDR1を有する。
【0252】
シリーズI‐HHA、I‐HHBおよびI‐HHCでは、後者2つの変異体のみが申し分ない結合行動を示した(
図2および3)。I‐HHAの配列分析は、この行動に関与する3つの潜在的アミノ酸残基:Lys33、His35およびTyr50を明示した。チロシンと取り替えられたLys33を有する構築物は、トリプトファンと取り替えられたTyr50を有する構築物と同様、良好な結合を示した。これら2つの残基がそれぞれアラニンおよびグリシンにより取り替えられた場合のみ、その結合は失われた。I‐HHCはI‐HHBより良好な結合を示さなかったため、残基Asn60、Glu61、Lys64およびSer65は齧歯類起源のものである必要はない:あるいはそれらはそれぞれAla、Gln、GlnおよびGlyにより取り替えられ得る、と本発明人等は結論づけた。この手順は、アミノ酸位置60〜65がKabatCDR定義の一部であるが、しかしこの抗体に関して齧歯類ドナー残基をグラフトする必要はないため、CDR2がよりヒト化される構築物をもたらす。
【0253】
図4および5は、シリーズI‐HLA1、I‐HLA2、I‐HLA3、I‐HLA4、I‐HLA5およびI‐HLA6の構築物を比較する。最良の結合行動は構築物ch‐ICR62、I‐HLA1およびI‐HLA2において観察され、EC50値は約300 ng/mlであった。他の構築物は、この値が2つのうちの一因子により増大され、したがって結合活性のわずかな低減を示した。このデータからの第一の結論は、KabatCDR1内では、Lys33TyrおよびIle34Met置換が耐容された、ということである。これら2つの位置はCDR1のKabat定義内に存在するが、しかしChotiaCDR境界の外側である(配列分析というよりむしろ構造に基づいた)。CDR1の後者部分では、その場合、少なくとも多少の混合状態が許される。
【0254】
第二の結論は、CDR2内では、非ドナー残基による残基Asn60およびGlu61の上記の取替えのほかに、KabatCDR内のAsn60Ser、Glu61ProおよびLys62Ser非ドナー置換も可能にされた、ということである。これらの残基は、FR3アクセプター配列として用いられるヒト生殖系列IGHV5‐51アクセプター配列に由来する。構築物I‐HLA3およびI‐HLA4は、Phe27Tyr復帰突然変異の除去によってのみ、I‐HLA1およびI‐HLA2と異なり、そしてI‐HLA3およびI‐HLA4構築物はともに、それらの親構築物と比較して、親和性を失う。したがってI‐HLA1、I‐HLA2、I‐HLA3、I‐HLA4、I‐HLA5およびI‐HLA6の比較についての第三の結論は、CDR1のループ立体配座の修飾による、直接または間接的な、抗原結合におけるPhe27の関与である。
【0255】
変異体I‐HLA5およびI‐HLA6は、天然に存在するPhe27が別の生殖系列アクセプター配列により取り替えられたそれぞれI‐HLA1およびI‐HLA2のFR1を有する(即ちIGHV1‐58)。これは、いくつかのその他の突然変異:Val12Met、Ala9ProおよびAla16Thrを同時的に導入することによってのみ達成され得た。そうすることにより、Phe27を(再)導入することの有益な作用が再び阻止された。
【0256】
I‐HLA7構築物を査定して、I‐HLA6構築物の重鎖CDR1およびCDR2中の付加的ドナー残基の回復が、ICR62と比較して、十分な結合活性を回復するか、否かを確定した。
図6に示したように、これは事実でなかった。
【0257】
図7および8に示したように、2つの付加的構築物I‐HLA8およびI‐HLA9を試験して、ch‐ICR62と比較して完全な結合活性が達成されたか否かを確定した。I‐HHB構築物から出発して、FR1領域を、ChotiaCDR1領域内に最大相同を有するFR1領域に取替えた。I‐HLA8構築物はIGHV1‐58配列のFR1を有し、そしてI‐HLA9はIGHV5‐51 FR1領域を有する。両構築物は少なくともch‐ICR62抗体と同様に抗原を結合した。I‐HLA8構築物は、実際、より良好でさえあり、2つのうちの一因子により低減されたEC50を有した。I‐HLA8構築物は、I‐HLA5およびI‐HLA6構築物と同一のFR1配列を有し、したがって同一非ドナー残基(即ちVal2Met、Ala9ProおよびAla16Thr)を有したが、このことは、これら非ドナー残基の存在が結合に負の作用を及ぼさない、ということを示唆する。I‐HLA5および6に生じる非有益突然変異は、VH5 FR3と対合されたVH1 FR1の組合せから生じ、これは潜在的に、同一VHファミリーのFR1およびFR3を有することにより補償され得る。
【0258】
図8に示したのは、CDR内に非ドナー残基を含有する構築物である。したがってこれらの構築物は、非ドナー残基がこれらの構築物に関して選択されたヒトフレームワーク領域で生じるため、CDR内でさらにヒト化されることさえある。I‐HHE(His35Ser)、I‐HHF(Thr58Asn)およびI‐HHG(Ser57Ala)構築物はすべて、ヒト化されるCDR1またはCDR2内の1つの残基を有する(I‐HHB構築物と比較)。構築物I‐HHD(Gly24Ala)も検定した。I‐HHFは結合低減を示したが、これは、Thr58の重要性を示す。KabatCDR残基58と対比して、Ser57Ala突然変異は明らかに結合に影響を及ぼさないため、アミノ酸57は置換に対してより耐容性である(
図8)。
【0259】
IGHV5‐51のFR3領域はI‐HLA1および2構築物中で有望な特性を示すと思われるため、同一生殖系列配列のFR1はI‐HLA9構築物中で有用であることを立証し、IGHV5‐51のFR1、FR2およびFR3を、ループグラフティングのためのアクセプターとして一緒に用いられるよう設計した。
【0260】
ヒト化ICR62構築物中の標準残基の分析の要約
VL:Kabat位置2:Ileがおそらくは必要。
Kabat位置71:IleまたはPheが可能。
VH:位置24:Gly、Thr、Ala、Val、Serが可能。
:位置26:Glyが可能。
:位置29:Phe、Ile、Leu、Val、Serが可能。
:位置34:Ile、Met、Leu、Val、Trp、Tyr、Thrが可能。
:位置71:Ala、Leu、Val、Thrが可能。
:位置94:Arg、Gly、Asn、Lys、Ser、His、Thr、Alaが可能。
【0261】
ADCC実験の結果
図9は、種々の糖鎖形態のキメラICR62抗体に関して、ならびにヒト化変異体I‐HLA4に関して示される抗体媒介性細胞性細胞傷害性(ADCC)の比較を示す。非糖鎖工学処理(WT)、糖鎖形態1(G1)または糖鎖形態2(G2)を示す標識により、異なる糖鎖形態をマークする。「G1」は、GnTIIIとの同時発現による抗体の糖鎖工学処理を指す。「G2」は、GnTIIIおよびManIIとの同時発現による抗体の糖鎖工学処理を指す。「WT」は、糖鎖工学処理されなかった抗体を指す。ヒト化構築物すべてに関する軽鎖は、I‐KC変異体であり、明白に標識されなかった。
【0262】
2つの異なる糖鎖工学処理アプローチにより、キメラならびにヒト化抗体を、それらの潜在能および効能において改良した。ch‐ICR62構築物は、それぞれ野生型または糖鎖形態に関してI‐HLA4よりわずかに良好に成し遂げた。
図4で観察されるように、それらの抗原に対する2つの抗体の親和性を比較した場合、ch‐ICR62は2分の1のEC50値を有した。親和性のこの差は、ここでは、効能の差に反映される。
【0263】
図10は、ヒト化ICR62抗体構築物I‐HHBおよびI‐HLA7の非糖鎖工学処理(「野生型」)およびG2糖鎖形態に関する抗体媒介性細胞性細胞傷害性(ADCC)の比較を示す。同一抗体を2つの異なる標的細胞株に適用した。
図10のパネルAでは、標的細胞株LN229を用いた;そして
図10のパネルBでは、細胞株A431を用いた。A431細胞は、LN229細胞より、抗体媒介性細胞殺害に対して明らかにより感受性である。さらに重要なのは、糖鎖工学処理が両抗体の潜在能を増強したことである。この作用は、I‐HHBに関してより、I‐HLA7に関してより顕著であると思われた。I‐HHBに関する最大抗体濃度での細胞殺害のパーセンテージは、LN229標的細胞株を用いる場合、G2糖鎖工学処理変異体を導入することにより〜30%から〜40%にシフトされ得る。A431細胞株を用いる場合、この値は明らかに変わらなかった。この行動は、I‐HLA7に関して完全に異なった。最大抗体濃度での標的細胞殺害は、G2糖鎖工学処理変異体を導入することにより、LN229細胞に関しては約10%から約50%に、そしてA431細胞に関しては約40%から約70%にシフトされた。この場合、I‐HHBに比してI‐HLA7に関して非糖鎖工学処理交代においてより低い活性を有するにもかかわらず、活性の順位付けは糖鎖工学処理に関して逆にされる。
図11および12も、キメラICR62ならびにヒト化ICR62抗体構築物I‐HHBおよびI‐HLA7の非糖鎖工学処理(WT)およびG2糖鎖形態の比較を示す。
【0264】
実施例3
カニクイザルへの静脈内(ボーラス)投与による予備毒性試験---生体分析的分析
序論
糖鎖工学処理抗EGFR検定
この生体分析的分析は、本明細書中で下記のような抗EGFR(上記のような重鎖I‐HHBおよび軽鎖I‐KC遺伝子を保有する抗体発現ベクターを有する培養中のトランスフェクト化哺乳類細胞から産生され、上記のように精製される組換え糖鎖工学処理抗EGFR抗体)の静脈内(ボーラス)投与後のカニクイザル起源の試料中の抗EGFRの測定を説明する。総数78のサル血清試料を、使用するまで約−20℃で凍結保存した。
【0265】
抗EGFRの確定のために用いられる生体分析法は、ELISA法を用いて、抗EGFRの血清濃度を測定した。許容性判定基準を、精度および不正確度に関して±20%(±25%低QC)に設定した。
【0266】
材料および方法
目的:本試験の目的は、カニクイザルへの糖‐mAb(抗EGFR)静脈内(ボーラス)投与とその後の8週間回復期間の全身性毒性能力の査定であった。
【0267】
【表16】
【0268】
【表17】
【0269】
投与量レベル選択の論理的根拠
1.5〜7.5 mg/kgがヒト試験に関する予測範囲である(7.5 mg/kgはヒトにおける類似化合物に関する対応用量である)。
【0270】
【表18】
【0271】
【表19】
【0272】
【表20】
【0273】
【表21】
【0274】
【表22】
【0275】
【表23】
【0276】
【表24】
組織学
【0277】
【表25】
【0278】
【表26】
【0279】
イムノアッセイ手順
プレートを100 μl/ウエルのコーティング溶液(5 μlヒツジ抗ヒトIgG(サル吸着IgG、the Binding Site, UK)を11495 μlの重炭酸塩緩衝液(0.05 M, pH9.6)に付加し、室温で約2時間インキュベートした。プレートを400 μl/ウエルの洗浄溶液(PBS(Sigma Chemical Co. UK)0.01(v/v)トリトン‐X100(Sigma Chemical Co. UK))で3回洗浄した)で被覆し、タップ乾燥した。
【0280】
検定緩衝液(1%w/vBSA、Sigma Chemical Co. UK)を200 μl/ウエルで付加し、室温で約1時間インキュベートした。プレートを400 μl/ウエルの洗浄溶液で3回洗浄し、タップ乾燥した。
較正標準、品質対照(QC)および/または試料を100 μl/ウエルで付加し、室温で約2時間インキュベートした後、プレートを400 μl/ウエルの洗浄溶液で3回洗浄し、タップ乾燥した。
【0281】
接合溶液(6 μlのヤギ抗ヒトIgGカッパ‐HRP接合体(Bethyl Laboratories Inc., USA)を12 ml検定緩衝液に付加)を100 μl/ウエルで付加し、室温で約1時間インキュベートした。プレートを400 μl/ウエルの洗浄溶液で3回洗浄し、タップ乾燥した。
【0282】
トリメチルベンジジン(TMB:Europa Bioproducts, Ely, UK)を100 μl/ウエルで付加した。プレートを被覆して、室温で約15分間インキュベートした。次に100 μlの停止溶液(0.5 MHCl、Fisher, UK)を各ウエルに付加した。DYNATECH MRX微量プレート読取機(Mettler Instruments, UK)で450 NM(参照フィルター630 nm)で吸光度を読み取った。
【0283】
結果および考察
試験試料分析
本明細書中で上記したプロトコールに従って作製した78サル血清試料で、イムノアッセイ法(ELISA)により抗EGFRの濃度を測定した。これらの結果を、以下の表19〜21に示す。
【0284】
【表27】
【0285】
【表28】
【0286】
【表29】
【0287】
実施例4
カニクイザルへの静脈内(ボーラス)投与による予備毒性試験---毒物動態
要約
抗EGFRに対する動物の全身性曝露を査定するために、28日の毒性試験の1、8、15および22日目に、カニクイザル(雄1匹および雌1匹/群)の3群に抗EGFRの静脈内ボーラス用量を投与した。一次用量投与後672時間までに収集された試料中の抗EGFRの血清濃度を、イムノアッセイ法により確定した。血清濃度‐時間データの薬物動態学的分析は、以下の薬物動態パラメーターを生じた:
【0288】
【表30】
【0289】
血清抗EGFR濃度‐時間曲線した面積(AUC
168)および1日目用量レベル間の関係を、以下に提示する:
【0290】
【表31】
【0291】
AUC
168により特性化される抗EGFRへのサルの全身曝露の率および程度は、1.5〜4.5 mg/kg/事例の用量範囲を上回るが、しかし1日目の用量範囲4.5〜12 mg/kg/事例を上回る比例的用量増大以上までの用量増大に伴って、ほぼ比例的に増大した。最高用量(12 mg/kg /事例)で、AUC
168は、線状関係により予測されるものより約2.8倍高かった。
【0292】
抗EGFRへの雌サルの全身曝露の程度(AUC
168)は一般に、雄サルにおける曝露と類似した。
【0293】
反復静脈内用量投与後、抗EGFRの用量投与前血清濃度は一般に、1回用量投与後の値より高く、このことは、試験期間中の血清中の抗EGFRの蓄積を示した。
【0294】
全動物に関して最終半減期は適切に概算されなかったが、しかしそれが概算され得る場合には、32.5〜63.1時間の範囲であり、雄動物における用量に伴って増大すると思われた。抗EGFRの総血清クリアランスは、1.5〜4.5 mg/kg/事例の範囲を上回る用量と無関係であると思われたが、しかし雄および雌サルにおいて最高用量レベルでは低減された。
【0295】
要するに、抗EGFRへのカニクイザルの全身曝露の程度は、静脈内毒性試験の1日目の1.5〜12 mg/kg/事例という用量範囲を上回る非線状(用量依存性)動力学により特性化されると思われた。4.5 mg/kg/事例を上回る抗EGFRの用量増大は、線状関係から予測されるより高い全身性曝露を生じると考えられるが、これは、抗EGFRの排除に関する容量限定プロセスの可能性と一致する。
【0296】
さらに当該試験は、概して、抗EGFRへの雄および雌サルの全身性曝露における差は認められなかったという、そして反復静脈内投与後に蓄積が認められたという証拠も提供した。
【0297】
序論
カニクイザルの雄1匹および雌1匹の3群に、予備毒性試験の1、8、15および22日目に、1.5、4.5および12 mg/kg/事例の用量レベルで、静脈内ボーラス注射により抗EGFRを投与した。1日目の投与後、以下の時点:用量投与後1、4、12、24、72および120時間に、各動物から血液試料を採取した。さらに、用量投与前、8、15および22日目の用量投与後1時間目、ならびに1日目の最初の用量投与後672時間目に、試料を採取した。分離血清を、イムノアッセイ法による抗EGFRの血清濃度の分析前に、約−20℃で凍結した。
略語
AUC: 血清濃度‐時間曲線下面積対無限時間
AUC
168: 168時間用量投与期間中の血清濃度‐時間曲線下面積
BLQ: 定量限界以下
ca: 約
CL: 総血清クリアランス
Cmax: 最大血清濃度
F: 雌
k: 最終速度定数
M: 雄
t
1/2: 最終半減期
Tmax: Cmaxが生じた時間
Vss: 定常状態での分布容積
【0298】
試験に用いられる抗体
Fc‐FcγRIII受容体結合親和性増大ならびにADCC増大のためにFc工学処理された抗EGFR抗体である糖‐mAb(抗EGFR)を、上記のように産生し、精製し、特性化した。要するに、I‐HHB抗体重鎖、I‐KC抗体軽鎖、GnT‐IIIおよびManIIの発現のために、プラスミドDNAベクターを用いたHEK‐293‐EBNA細胞の同時トランスフェクションにより、抗体を産生した。上記のトランスフェクション法の線状スケールアップバージョンを用いて、Tフラスコの代わりにローラーボトル中で、トランスフェクト細胞単一層培養した。上記のサイズ排除クロマトグラフィー・ステップ直前に、Q‐セファロース・マトリックスを用いた付加的フロースルー陰イオン交換クロマトグラフィー・ステップを精製工程に含めた。
【0299】
酵素的放出Fc由来オリゴ糖のMALDI/TOF‐MS分光測光を用いて、Fc工学処理抗体のグリコシル化パターンを上記のように分析した。オリゴ糖プロフィールを、
図23に示す。
【0300】
それぞれA431およびCOS‐7細胞を用いた上記のような全細胞結合、ならびにFACSベースの分析により、ヒトEGFRおよびサルEGFRとの結合を実証した。結合曲線を、それぞれ
図24および25に示す。
【0301】
ヒトFcγRIIIの表面発現のために工学処理されたCHO細胞との全細胞結合、ならびにFACSベースの分析を用いて、適用Fc工学処理に起因するFcγRIII受容体結合増大を上記のように実証した。結果を
図26に示す。さらに、工学処理抗体は、他の箇所に記載された(Ferrara, C. et al., J Biol Chem. 2005 Dec 5;[印刷前の電子出版]「糖‐2」抗体(Fc‐オリゴ糖に関する75%が非フコシル化型のものである)と等程度のFc工学処理を有する。このようなFc工学処理抗体は、標準非Fc工学処理抗体に比して、ヒトFcγRIIIに対する結合親和性の50倍までの増大を示す(ヒト受容体の158Vおよび158F多形変異体に関する15および150 nMの平衡解離定数対同一受容体変異体に関するそれぞれ750および5000 nM(非Fc工学処理ヒトIgG1抗体と結合する場合))。
【0302】
2つの標的細胞株:A549ヒト肺癌細胞およびCYNOM‐K1カニクイザルケラチノサイト細胞を用いて、上記のようにADCCを測定した。結果を、それぞれ
図27および28に示す。
【0303】
データ処理
コンピュータープログラムWinNonlin Proバージョン3.3(Pharsight Corporation, USA)を用いて、薬物動態パラメーターを算定した。
【0304】
この試験の一部として与えられる全血清濃度を、4有効数字または3小数位に報告した。薬物動態パラメーターを以下のように報告した:Cmax、AUC
168、CLおよびVss(有効数字4);k(小数位4);t1/2(小数位1)。
【0305】
BLQ(<0.195 μg/mL)である値をゼロとして薬物動態的処理に入れた。
【0306】
毒物動態
抗EGFRの最大血清濃度(Cmax)およびそれらの発生時間(Tmax)は、観察値であった。168時間用量投与間隔内の血清抗EGFR濃度‐時間曲線下面積(AUC
168)を、線状台形方式により概算した。AUC
168値の算定に際して、最初の2つの試料採取時間に基づいた対数線状回帰分析を用いて逆外挿により、ゼロ時間での血清抗EGFR濃度を概算下が、しかしながら血清濃度がこの期間中に減少しなかった場合には、ゼロ時間での血清濃度は最初の試料採取時での濃度と等価であるとみなされた。血清抗EGFR濃度‐時間曲線下面積(対無限時間)(AUC)を、以下の式により概算した:
AUC=AUC
168+Clast/k
(式中、Clastは最終定量可能試料点での予測血清濃度であり、そしてkは最終速度定数である)。
【0307】
時間に対する対数濃度の線状回帰を適合することにより、最終速度定数(k)を概算した。信頼できるとして許容されるべきkの概算のために、以下の判定基準を課した:
1. 最終データ点を、単一直線に関して明らかに無作為に分布させた(視覚的検査で)。
2. 最低3データ点が回帰に関して利用可のであった。
3. 回帰計数は≧0.95であり、そして割合を占める分散の分画は≧0.90であった。
4. 回帰に関して選択されるデータ点を含む間隔は半減期それ自体の少なくとも2倍であった。
【0308】
最終半減期(t1/2)をIn2/kとして算定した。総血清クリアランス(CL)を、用量/AUCとして算定した。定常状態での分布の容積(Vss)を、用量.AUMC/AUC2として算定した。蓄積(R)は、最終用量投与(22日目)後の最低値濃度対初回用量投与(1日目)後の最低値濃度の比として、即ち、672時間での血清濃度/168時間での血清濃度(8日目の予備用量投与)として、蓄積(R)を査定した。
【0309】
結果および考察
毒性試験中、1日目の用量投与後120時間まで;用量投与前ならびに8、15および22日目の用量投与後1時間目、ならびに1日目の用量投与後672時間目に、血液試料を採取して、試験の1、8、15および22日目に1.5、4.5および12 mg/kg/事例の用量レベルでの静脈内ボーラス投与後の抗EGFRへの雄および雌サルの全身曝露を査定した。用量投与後168時間までに採取した試料中の抗EGFRの血清濃度を表27〜29に示し、そして平均血清濃度‐時間プロフィールを
図18および19に示す。
【0310】
抗EGFRの薬物動態パラメーターを表50に提示し、そしてAUC
168値を以下に要約する:
【0311】
【表32】
【0312】
最大血清濃度が生じる時間(Tmax)は一般に、用量投与後1時間(第一試料時点)であったが、しかし雌2F462(4.5 mg/kg)および3F612(12 mg/kg)では用量投与後4時間(第二試料時点)に生じた。しかしながらこれらの両方の雌に関しては、用量投与後4時間での濃度は用量投与後1時間での濃度と非常によく似ており、おそらくは検定の可変性内であった。したがってTmaxの見かけの遅延は、いかなる意義も有さないと思われる。
【0313】
次の用量投与前の抗EGFRの血清濃度は、22日目の雄2M461(4.5 mg/kg/事例用量レベル)を除いて、すべての動物中で定量可能であり、したがって、概して用量投与期間中は抗EGFRの定量可能の濃度に動物を連続曝露した。
【0314】
血清抗EGFR濃度‐時間曲線下面積(AUC
168)および1日目の用量レベル間の関係を、以下に示す:
【0315】
【表33】
【0316】
AUC
168により特性化される抗EGFRへのサルの全身曝露の率および程度は、1.5〜4.5 mg/kg/事例の用量範囲を上回るが、しかし1日目の用量範囲4.5〜12 mg/kg/事例を上回る比例的用量増大以上までの用量増大に伴って、ほぼ比例的に増大した。最高用量(12 mg/kg /事例)で、AUC
168は、線状関係により予測されるものより約2.8倍高かった(
図20)。
【0317】
抗EGFRへの雌サルの全身曝露の程度(AUC
168)は一般に、雄サルにおける曝露と類似した。
【0318】
反復静脈内用量投与後、抗EGFRの用量投与前血清濃度は一般に、1回用量投与後の値より高く(
図21〜22)、このことは、試験期間中の血清中の抗EGFRの蓄積を示した。この蓄積は一般に、最高用量レベル以外は、雄より雌においてより低かった。22日目の最終用量投与(1日目用量投与後672時間)後の最低値(用量投与前)濃度対1日目の初回用量投与後の最低値濃度の比を、以下の表26に示す:
【0319】
【表34】
【0320】
1日目の抗EGFRの最終速度定数(k)および対応する最終半減期(t1/2)を、表30に示す。全動物に関して最終半減期は適切に概算されなかったが、しかしそれが概算され得る場合には、32.5〜63.1時間の範囲であり、雄動物における用量に伴って増大すると思われた。抗EGFRの総血清クリアランスは、1.5〜4.5 mg/kg/事例の範囲を上回る用量と無関係であると思われたが、しかし雄および雌サルにおいて最高用量レベルでは低減された。
【0321】
要するに、抗EGFRへのカニクイザルの全身曝露の程度は、静脈内毒性試験の1日目の1.5〜12 mg/kg/事例という用量範囲を上回る非線状(用量依存性)動力学により特性化されると思われた。4.5 mg/kg/事例を上回る抗EGFRの用量増大は、線状関係から予測されるより高い全身性曝露を生じると考えられるが、これは、抗EGFRの排除に関する容量限定プロセスの可能性と一致する。
【0322】
さらに当該試験は、概して、抗EGFRへの雄および雌サルの全身性曝露における差は認められなかったという、そして反復静脈内投与後に蓄積が認められたという証拠も提供した。
【0323】
【表35】
【0324】
【表36】
【0325】
【表37】
【0326】
【表38】
【0327】
血液化学および血液学的知見
1、8、15および22日目に糖MAB抗EGFRの静脈内ボーラス注射を投与したカニクイザルの大腿静脈から、血液試料を採取した。食物から一晩隔離(死亡者なし)後、用量投与のために用いられない足から試料を採取した。前処理、2回目用量投与後3日目、ならびに終了時に、抗凝血剤としてリチウムヘパリンを用いて、以下のパラメーターに関して試料を検査した:
アルカリ性ホスファターゼ
アルカリ性アミノトランスフェラーゼ
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
ビリルビン(総)
尿素
クレアチニン
グルコース
コレステロール(総)
トリグリセリド
ナトリウム
カリウム
塩化物
カルシウム
リン
総タンパク質
タンパク質電気泳動図
アルブミン/グロブリン比
【0328】
平均正常カニクイザル血液化学分析データを、表31に示す。
【0329】
【表39】
【0330】
【表40】
【0331】
【表41】
【0332】
【表42】
【0333】
1、8、15および22日目に糖MAB抗EGFRの静脈内ボーラス注射を投与したカニクイザルの大腿静脈から、血液学的末梢血分析のための試料を採取した。食物から一晩隔離(死亡者なし)後、用量投与のために用いられない足から試料を採取した。前処理、2回目用量投与後3日目、ならびに終了時に、以下のパラメーターに関して試料を検査した:
1)抗凝血剤としてEDTAを使用:
ヘマトクリットヘモグロビン濃度
赤血球数
網状赤血球
平均血球ヘモグロビン
平均血球ヘモグロビン濃度
平均血球容積
総白血球数
鑑別血球数
血小板数
血液形態学の異常
赤血球不同症
小赤血球症
大赤血球症
低色素性
高色素性
2)抗凝血剤としてクエン酸塩を使用
プロトロンビン時間
活性化部分トロンボプラスチン時間
【0334】
平均正常カニクイザル血液学的分析データを、表32に示す。
【0335】
【表43】
【0336】
【表44】
【0337】
サルに関する生化学的累積個体値を、以下の表33a〜hに示す:
【0338】
【表45】
【0339】
【表46】
【0340】
【表47】
【0341】
【表48】
【0342】
【表49】
【0343】
【表50】
【0344】
【表51】
【0345】
【表52】
【0346】
【表53】
【0347】
【表54】
【0348】
サルに関する血液学的累積個体値を、以下の表34a〜lに示す:
【0349】
【表55】
【0350】
【表56】
【0351】
【表57】
【0352】
【表58】
【0353】
【表59】
【0354】
【表60】
【0355】
【表61】
【0356】
【表62】
【0357】
【表63】
【0358】
【表64】
【0359】
【表65】
【0360】
【表66】
【0361】
【表67】
【0362】
【表68】
【0363】
【表69】
【0364】
【表70】
【0365】
顕微鏡的病理学‐処置関連知見
12 mg/kg/日で用量投与した雌サルにおいて胆管周囲炎(胆管周囲の結合組織の炎症)が観察されたが、しかし任意の他の雌または雄においては観察されなかった。この知見は、糖‐mAb(抗EGFR)による処置に関連し得るが、しかしこのような小数の動物に関しては有意性は不明である。他のすべての知見は、偶発的なものであり、毒物学的有意性を有さないとみなされた。
【0366】
肉眼的病理学および組織病理学
試験した全動物に関する組織病理学的知見の要約を、以下の表35に記述する:
【0367】
【表71】
【0368】
【表72】
【0369】
【表73】
【0370】
【表74】
【0371】
全動物に関する個々の知見
個々の動物に関する病理学観察を、以下の表36に記述する:
【0372】
【表75】
【0373】
【表76】
【0374】
【表77】
【0375】
【表78】
【0376】
【表79】
【0377】
カニクイザルの個々の体重を、以下の表37に示す:
【0378】
【表80】
【0379】
結論
注射部位での処置の作用ならびに糖‐mAb(抗EGFR)による処置に関連しているとみなされる臨床知見は認められなかった。体重変化は、正常予測範囲内であった。肉眼的検査で処置に関連するとミン指される知見は認められず、そして動物の器官重量は正常予測範囲内であった。要するに、1.5、4.5または12 mg/kg/事例での処置は、全身性毒性の明白な知見を伴わずに良好に耐容された。
【0380】
EGFRは、それが種々の正常組織の、例えば肝臓、腎臓および皮膚の表面に存在するため、腫瘍特異的標的ではない。ヒトIgG1 Fc領域を有する抗EGFR抗体は以前にヒトに投与されており、そして耐容可能副作用プロフィールを示されている(Vanhoefer, U. et al., Clin. Oncol. 2004 Jan 1: 22(1): 175-84;Needle MN, Semin Oncol. 2002 Oct; 29 (5 Suppl 14): 55-60)。明らかに、重要な正常組織、例えば肝臓、腎臓および皮膚に対して表示され得る殺害活性増強のため、ADCCの有意の増大を伴う抗EGFR抗体のヒトまたは他の動物への投与は有意の関心事であった。意外にも、哺乳類へのin vivoでの、上記のように工学処理され、ADCC活性の1000倍までの増大を示すような抗EGFR抗体Fcの投与は有意の毒性をもたらさない、ということを本発明は見出した。抗体の濃度を、少なくとも4週間、約1μg/mlより高く(そして数匹の動物に関しては100 μg/mlより高く)保持した。このような曝露レベルは、動物療法に関しては典型的である。この試験の動物に関する最大ADCCは、1μg/mlの濃度ですでに達成される。ヒト癌患者への抗EGFR抗体(親ラットICR62抗体)の40および100 mgの用量の単一用量投与は、in vivoでの首相の特異的ターゲッティングを示した(Modjtahedi, H. et al., Br J Cancer. 1996 Jan; 73 (2): 228-35)。カニクイザルエフェクター細胞は、高相同性FcγRIII受容体を有し、そしてFc工学処理抗体を用いて(そしてFc領域中の非フコシル化オリゴ糖のレベル増大のために糖鎖工学処理された抗体を用いて)ADCC増強を媒介することが示されている。ADCC増大のレベルは、ヒトエフェクター細胞(PBMC)で観察されるものと非常によく似ている。
【0381】
要約すると、Fc‐FcγRIII結合親和性増大のために、そして、有意の毒性をもたらすことなくin vivoで標的細胞上の抗体の有意の蓄積に通常は関連する薬剤曝露を生じるために、少なくとも4週間、ADCC増大のために工学処理された抗EGFR抗体Fcが哺乳類に投与されて、1 μgを上回る抗体/血清1 ml濃度を得る、ということをわれわれは見出した。
【0382】
本発明の抗原結合分子の毒性は、本明細書中に上記された方法および/またはパラメーター(例えば血液化学値、組織病理学的指標等)のいずれかを用いて、あるいは当業者に既知の任意の手段により、測定されおよび/または確定され得る。毒性の臨床的有意レベルは、臨床的に投与される抗体に関して米国食品医薬品局に一般的に許容されたレベルを超えるレベルである、と当業者に理解される。
【0383】
実施例5
軽鎖CDRの修飾
上記の方法を用いて、I‐KC軽鎖可変領域構築物(配列番号43および配列番号45)から抗EGFR軽鎖可変領域変異体を生成したが、この場合、ラットICR62 CDR中の種々の位置でのアミノ酸残基をコードする配列を、ヒト生殖系列可変遺伝子配列からの対応するアミノ酸残基と取り替えた。表38は、I‐KC軽鎖可変領域構築物(配列番号45)のCDR内に作製された置換を示す。
【0384】
【表81】
【0385】
上記で同定された置換残基はすべて、ヒトVK1_6アクセプター配列に由来したが、但し、Y32W交換は、関連ヒト生殖系列配列のWを配列番号45中の位置32でYと置換した。
【0386】
I‐KC変異体構築物(I‐KC1〜I‐KC9)の各々を、構築物I‐HHD(配列番号16および配列番号15)を含む重鎖可変領域と対合させ、前の実施例に記載した方法に従って結合検定を実施した。構築物I‐KC1〜I‐KC9を、A431標的細胞中でのEGFRとの結合親和性に関して、I‐KC構築物(配列番号46および配列番号45)と比較した(
図29)。
図29で分かるように、残基34のその対応するヒト配列への修飾(N34G)のみが、結合親和性のわずかな低減を生じた(EC50値は10のうちの一因子により増大された)。他の構築物はすべて、I‐KC構築物(配列番号45)に匹敵する結合活性を保持した。したがって、EGFRに特異的なキメラ(例えばヒト化)重鎖構築物と対合させると、軽鎖は完全にヒトであり(例えばヒト軽鎖V遺伝子配列から)、そして依然としてEGFRに対する特異的結合を保持する。特に、CDR2およびCDR3は、完全にヒト生殖系列形態であり得る。
【0387】
EGFR特異的CDRを含む抗原結合分子
したがって本発明は、軽鎖可変領域と対合されたEGFR特異的CDRを含むキメラ(例えばヒト化)重鎖可変領域を含む抗原結合分子を意図するが、この場合、軽鎖可変領域は10より少ない非ヒトアミノ酸残基を有する。他の実施形態では、軽鎖可変領域は、9より少ない、8、7、6、5、4、3、2、1個の非ヒトアミノ酸残基(単数または複数)を有する。好ましい実施形態では、軽鎖可変領域は、2つより少ない、または1つより少ない(即ちゼロ)非ヒトアミノ酸残基を有する。一実施形態では、軽鎖可変領域は、1つまたは複数のヒト生殖系列可変領域遺伝子配列を含む。軽鎖可変領域をコードするヒト生殖系列可変領域遺伝子配列は当該技術分野で既知であり、例えばIMGTデータベース(http://imgt.cines.fr/home.htmlで入手可能)に見出され得る。好ましい実施形態では、ヒト生殖系列配列は、VK1_6生殖系列配列に由来する。他の実施形態では、ヒト生殖系列軽鎖可変領域アミノ酸配列内のアミノ酸残基は、別のヒト生殖系列軽鎖可変領域配列からの1つまたは複数の残基で置換され得る。
【0388】
一実施形態では、本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39および配列番号121から成る群から選択される配列、ならびに1つまたは複数のヒト生殖系列可変遺伝子配列によりコードされるポリペプチドを含む軽鎖を含む抗原結合分子に向けられる。好ましい一実施形態では、ヒト生殖系列配列は、VK1_6生殖系列配列に由来する。
【0389】
別の実施形態では、本発明は、(a)配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号122および配列番号124から成る群から選択される配列;(b)配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106および配列番号126から成る群から選択される配列;(c)配列番号108;ならびに(d)1つまたは複数のヒト生殖系列遺伝子配列によりコードされるヒト軽鎖可変領域を含むポリペプチドを含む抗原結合分子に向けられる。特定の実施形態では、ヒト生殖系列配列はVK1_6生殖系列配列に由来する。別の実施形態では、ヒト生殖系列可変領域遺伝子配列は、異なるヒト生殖系列軽鎖可変領域遺伝子配列からの配列による1つまたは複数のアミノ酸コドンの置換を有するVK1_6生殖系列遺伝子配列を含む。
【0390】
他の実施形態では、本発明の抗原結合分子は、本発明のEGFR特異的重鎖可変領域、および配列番号45の変異体を含む。一実施形態では、配列番号45の変異体は、相補性決定領域(CDR)中の1つまたは複数の位置にアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、置換は、以下の:配列番号45のアミノ酸位置30;配列番号45のアミノ酸位置32;配列番号45のアミノ酸位置34;配列番号45のアミノ酸位置50;配列番号45のアミノ酸位置51;配列番号45のアミノ酸位置52;配列番号45のアミノ酸位置53;配列番号45のアミノ酸位置56;配列番号45のアミノ酸位置94;ならびにその置換の任意の組合せからなる群から選択される位置のアミノ酸残基の置換である。さらに特定の実施形態では、配列番号45中の置換は、以下の:配列番号45の位置30のアスパラギン(N)に対するアルギニン(R)の置換;配列番号45の位置32のチロシン(Y)に対するトリプトファン(W)の置換;配列番号45の位置34のアスパラギン(N)に対するグリシン(G)の置換;配列番号45の位置50のアスパラギン(N)に対するトレオニン(T)の置換;配列番号45の位置51のトレオニン(T)に対するアラニン(A)の置換;配列番号45の位置52のアスパラギン(N)に対するセリン(S)の置換;配列番号45の位置53のアスパラギン(N)に対するセリン(S)の置換;配列番号45の位置56のトレオニン(T)に対するセリン(S)の置換;配列番号45の位置94のフェニルアラニン(F)に対するチロシン(Y)の置換;ならびにその任意の組合せから成る群から選択される。特定の実施形態では、配列番号45中のアミノ酸残基のこれらの置換のすべてが、単一軽鎖変異体中に組入れられる。好ましい実施形態では、ICR62 CDRに関するアミノ酸置換を有する軽鎖変異体を含む抗原結合分子は、軽鎖変異体が本発明の重鎖可変領域を含むポリペプチドと対合される場合、EGFRとの特異的結合を保持する(配列番号45の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合分子と比較して)。
【0391】
本発明は、上記ポリペプチドおよび/または抗原結合分子のいずれかをコードするポリヌクレオチドにも向けられる。本発明はさらに、製薬上許容可能な担体を伴う上記の抗原結合分子に向けられる。
【0392】
すべての出版物、例えば教科書、季刊誌、GenBankまたはその他の配列データベース登録、公開済み出願、ならびに本明細書中に記述された特許出願は、個々の出版物または特許出願の各々が特定的にそして個別に参照により含まれることが示されたのと同程度に、参照により本明細書中で援用される。