(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スライドファスナーと、前記袋体の外周部との間に、袋体に収納された洗濯物の端部を入れることができるポケット部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の洗濯ネット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近の洗濯機は、節水タイプのものが多くなっている。
このような節水タイプの洗濯機で、上述した従来の洗濯ネットのようなスライドファスナーが稜線部分に設けられている洗濯ネットを用いて洗濯すると、スライドファスナーが洗濯槽と摺擦しやすく、破損しやすくなるということが分かった。
本発明が解決しようとする課題は、スライドファスナーが破損しにくい洗濯ネットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の洗濯ネットは、
ネット素材からなる袋体を、中央部分
における折り線で二つ折り可能に構成し、該中央部分の内側に、洗濯物の出し入れ口を形成するスライドファスナーを設け、該スライドファスナーは、前記中央部分における折り線方向に対して湾曲状に設け
、該スライドファスナーを開けて袋体を二つ折り状態から展開した際に該スライドファスナーによって形成される洗濯物の出し入れ口が前記中央部分における折り線と直交する方向から見た平面視で円形に形成される構成としたことを特徴とする。
この洗濯ネットによれば、使用時、中央部分で二つ折りされたその中央部分の内側にスライドファスナーが配されるようにすることができるので、スライドファスナーは外部に露出しにくくなる。
したがって、洗濯ネット使用時に、スライドファスナーが洗濯槽と摺接しにくくなり、破損しにくくなる。
また、使用時、スライドファスナーが露出しにくくなるので、スライドファスナーが他の洗濯物と接触しにくくなる。
しかも、スライドファスナーは、前記中央部分における折り線方向に対して湾曲状に設けられているので、スライドファスナーを開けて、洗濯ネットを二つ折り状態から展開した際、洗濯物の出し入れ口が大きく形成されることとなる。
したがって、洗濯物の出し入れが行いやすくなる。
【0006】
この洗濯ネットにおいては、
前記スライドファスナーと、前記袋体の外周部との間に、袋体に収納された洗濯物の端部を入れることができるポケット部が形成されている構成とすることができる。
このように構成すると、ポケット部が袋体内における洗濯物の移動を抑制するように作用するため、洗濯時、袋体内において洗濯物が偏りにくくなる。
しかも、ポケット部が設けられている分だけ、スライドファスナーは、袋体の外周部から内側に入った位置に配置されることとなるため、スライドファスナーがより露出しにくくなる。
【0007】
この洗濯ネットにおいては、
前記スライドファスナーよりも前記袋体の外周部側において、前記ポケット部同士を連結するポケット連結部を設けた構成とすることができる。
このように構成すると、ポケット部を大きくしても、ポケット連結部でポケット部同士が連結されることにより、ポケット部同士の間が開きにくくなる。
したがって、ポケット部を大きくすることによって、袋体内における洗濯物の偏りを一層生じ難くすることができると同時に、スライドファスナーも一層露出しにくくすることができる。
【0008】
この洗濯ネットにおいては、
前記袋体は、前記折り線側と反対側の端部を湾曲状とすることができる。
このように構成すると、ブラジャーやカップ付きウエアーのカップ部が袋体内に収まりやすくなるため、特にブラジャーやカップ付きウエアーを好適に洗うことができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る洗濯ネットの実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0011】
図1、
図2に示すように、この実施の形態の洗濯ネット10は、ネット素材からなる袋体20を、中央部分21で二つ折り可能に構成し、中央部分21の内側に、洗濯物Bの出し入れ口22を形成するスライドファスナー30を設けたものである。スライドファスナー30は、中央部分21における折り線A方向に対して湾曲状に設けられている。
【0012】
この洗濯ネット10は、
図2に示すように、スライドファスナー30を開けて洗濯ネット10(袋体20)を二つ折り状態から展開し、出し入れ口22から洗濯物(例えばブラジャー)Bを袋体20内に入れた後、再び袋体20を
図1に示すように二つ折りにしてスライドファスナー30を閉じ、洗濯機に投入して洗濯物Bを洗うことができる。
【0013】
この洗濯ネット10によれば、使用時、
図1に示すように、中央部分21で二つ折りされたその中央部分21の内側にスライドファスナー30が配されるようにすることができるので、スライドファスナー30は外部に露出しにくくなる。
別言すれば、この洗濯ネット10は、折り線Aの両側に一対のフラップ20f、20fが袋体20によって形成されたような状態となっており、そのフラップ20f同士の内側にスライドファスナー30が配置されているので、
図1(b)に示すようにスライドファスナー30が袋体20(フラップ20f)の外周部23よりも外側には出にくい状態となる。
【0014】
したがって、洗濯ネット10の使用時に、スライドファスナー30が洗濯機の洗濯槽と摺接しにくくなり、破損しにくくなる。
また、使用時、スライドファスナー30が露出しにくくなるので、スライドファスナー30が他の洗濯物と接触しにくくなる。
しかも、スライドファスナー30は、中央部分21における折り線A方向に対して湾曲状に設けられているので、
図2に示すようにスライドファスナー30を開けて、洗濯ネット10を二つ折り状態から展開した際、洗濯物Bの出し入れ口22が大きく形成されることとなる。
したがって、洗濯物Bの出し入れが行いやすい。
【0015】
スライドファスナー30と、袋体20の外周部23との間には、袋体20に収納された洗濯物Bの端部B1(
図2(c))を入れることができるポケット部24が形成されている。
このように構成すると、ポケット部24が洗濯物Bの端部B1の動きを抑制して袋体20内における洗濯物Bの移動を抑制するように作用するため、洗濯時、袋体20内において洗濯物Bが偏りにくくなる。したがって、洗濯物Bを良好に洗うことが可能になる。
しかも、ポケット部24が設けられている分だけ、スライドファスナー30は、袋体20の外周部23から内側に入った位置に配置されることとなるため、スライドファスナー30がより露出しにくくなる。
【0016】
袋体20は、折り線A側と反対側の端部25が湾曲状となっている。
このように構成すると、ブラジャーやカップ付きウエアーのカップ部が袋体20内に収まりやすくなるため、特にブラジャーやカップ付きウエアーを好適に洗うことができるようになる。
【0017】
図3は他の実施の形態を示す図である。
同図に示す洗濯ネット10は、スライドファスナー30よりも袋体20の外周部23側において、ポケット部24同士を連結するポケット連結部11を設けたことを特徴としている。
このように構成すると、ポケット部24を大きくしても、
図4に示すように、ポケット連結部11でポケット部24同士が連結されることにより、ポケット部24同士の間が開きにくくなる。
したがって、ポケット部24を大きくすることによって、袋体20内における洗濯物Bの偏りを一層生じ難くすることができると同時に、スライドファスナー30も一層露出しにくくすることができる。
【0018】
この点についてさらに説明する。
ポケット部24を大きくすると、例えば
図3(c)に示すように、スライドファスナー30を設けた部位から袋外周までの距離L1が長くなるため、ポケット部24はスライドファスナー30を設けた部位を中心として矢印aで示すように外側に開きやすくなり、その分、スライドファスナー30が露出しやすくなるおそれがある。
これに対し、ポケット連結部11を設けることによって、ポケット部24を大きくしても、
図4に示すように、ポケット連結部11でポケット部24同士が連結されることにより、ポケット部24同士の間が開きにくくなる。
したがって、ポケット部24を大きくすることによって、袋体20内における洗濯物Bの偏りを一層生じ難くすることができると同時に、スライドファスナー30も一層露出しにくくすることができる。
【0019】
図示のポケット連結部11は、ポケット部24、24の端部に設けた舌片11c、11cと、この舌片11cに設けたホック11bで構成されているが、ポケット連結部11は適宜の構成とすることができる。例えば、面ファスナーで構成することもできる。設ける位置も、スライドファスナー30よりも袋体20の外周部23側であれば任意である。
【0020】
以上のような洗濯ネット10(
図1,
図3参照)は、
図5に示すように、目の粗い第1ネット部材41と、目の細やかな第2ネット部材42とを、弾力性を備えた無数の糸部材44で連結した立体的ネット素材(いわゆるダブルラッセル)40を用いた洗濯ネットである。
図6にも示すように、立体的ネット素材40は、目の細やかな第2ネット部材42が袋体20の外側に、目の粗い第1ネット部材41が袋体20の内側に位置するように配置し、目の粗い第1ネット部材41の内側に該第1のネット部材41より目の細やかな第3のネット部材43(
図6)を配置して、これら立体的ネット素材40と第3のネット部材43とで、洗濯物を入れる袋体20を構成している。
【0021】
この洗濯ネット10によれば,立体的ネット素材40を構成する目の粗い第1ネット部材41によって適度な保形性と通水性が得られると同時に、目の細やかな第2ネット部材42と第3のネット部材43とによって袋体20内部への糸くず等の侵入を防止することができる。袋体20内に収納された洗濯物Bと接触するのは目の細やかな第3のネット部材43であるから、洗濯物Bを傷めにくい。したがって、第3のネット部材43は目の細やかな第2ネット部材42より目の細かなものとすることが望ましい。
そして、立体的ネット素材40は、目の細やかな第2ネット部材42が外側に配置されるから、水に対する抵抗ないし水掻き作用が低下し、結果として、袋体20内への糸くず等の侵入を効果的に防止することができる。
【0022】
一般にダブルラッセルと称される立体的ネット素材40の保形性は、第1および/または第2ネット部材42の目の粗さを変えることで調整でき、目の粗さを大きくすれば保形性は増し、目の粗さを細かくすれば保形性は低減する。また、目の粗さを大きくすれば通水性は高くなり、目の粗さを細かくすれば通水性は低下する。
【0023】
袋体20に関する適度な保形性、通水性、および糸くず等の侵入防止性を考慮すれば、袋体20を構成するに際し、
図7、
図8に示すように、立体的ネット素材40は、目の細やかな第2ネット部材42が内側に、目の粗い第1ネット部材41が外側に位置するように配置し、目の細やかな第2ネット部材42の内側に該第2ネット部材42と同等またはより目の細やかな第3のネット部材43を配置した構成とすることも可能である。
【0024】
しかし、そのような構成の袋体20’を用いた洗濯ネットとした場合、本件出願人の実験によると、目の細やかな第2ネット部材42と第3のネット部材43との間S(
図8、
図9)に、綿埃状のもの(綿埃及び細い糸くず等)が入り込み、洗濯の回数を重ねると、第2ネット部材42と第3のネット部材43との間Sに、綿埃状のものが蓄積されるという問題が生じることが分かった。
【0025】
その理由は必ずしも明かとは言えないが、上記構成の袋体20’を用いた洗濯ネットで洗濯を行うと、目の粗い第1ネット部材41は通水性に優れており、かつその網目をなす枠部41b(
図7、
図9)と目の細やかな第2ネット部材42とが多数の糸部材44で連結されていることから、袋体20の’表面に、水が入り込みやすい多数の凹部45(
図7、
図9)が形成され、それらの凹部45が
図9に矢印Pで示すように水を掻く作用をなし、この水掻き作用によって凹部45内の水圧が高まり、その水圧によって、綿埃状のものが、矢印Dで示すように目の細やかな第2ネット部材42と第3のネット部材43との間Sに押し込まれるからである、と考えられる。
【0026】
これに対し、この実施の形態の洗濯ネット10によれば,第2ネット部材42と第3のネット部材43との間に、綿埃状のものが蓄積されるという現象は見られなかった。その理由は、立体的ネット素材40は、目の細やかな第2ネット部材42が外側に配置されるから、水に対する抵抗ないし上述した水掻き作用が低下し(
図6の矢印P’参照)、結果として、袋体20内への綿埃状のものの押し込み作用が低減されるからであると考えられる。
【0027】
なお、この実施の形態によると、袋体20の外側に配置されるネット部材は、目の細やかな第2ネット部材42であるので、洗濯ネット10外の洗濯物も傷めにくくなる。
【0028】
図1(f)(g)および
図2に示すように、袋体20は、上述したネット素材(40,43)からなる平面視トラック形状(楕円形状)の楕円部材26と、平面視三日月形状の三日月部材27との外周部23をそれぞれ内側に折り込んで、バイヤステープ28を添わせて逢着することによって形成され、三日月部材27の内周辺にバイヤステープ29を添わせてスライドファスナー30を逢着することによって洗濯物Bの出し入れ口22が形成されている。
図1に示すように、スライドファスナー30の閉じ側最終端には、スライドファスナー30のスライダー31を収容するようにして覆う布ゴムバンド32が設けられている。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。