特許第5763705号(P5763705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763705
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】積層セラミック部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20150723BHJP
   H01G 4/232 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   H01G4/30 301C
   H01G4/12 352
   H01G4/12 361
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-102820(P2013-102820)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2013-251538(P2013-251538A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2013年9月17日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0059916
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】イ・スン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジョン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ウン・ス
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−153486(JP,A)
【文献】 特開2000−269073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電極層と誘電体層が交互に積層された構造を有し、
前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有し、
焼結後、全体の共材の含量に対する前記内部電極層に残存する共材の含量比は0.006〜0.1である積層セラミック部品。
【請求項2】
内部電極層と誘電体層が交互に積層された構造を有し、
前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有し、
焼結後、全体の共材の含量に対する前記内部電極層に残存する共材の含量比は0.006〜0.1であり、
前記内部電極層に残存する共材は、内部電極層の厚さ方向を基準として中央から上下+20%以内の領域に残存する共材の分率をA(Center)とし、前記領域以外の内部電極層領域に残存する共材の分率をA(Interface)とすると、前記A(Center)/A(Interface)は10〜2を満足する積層セラミック部品。
【請求項3】
前記内部電極層は0.1〜0.5μmの厚さを有する請求項1または2に記載の積層セラミック部品。
【請求項4】
前記内部電極層はニッケル(Ni)または銅(Cu)からなる請求項1または2に記載の積層セラミック部品。
【請求項5】
前記共材はチタン酸バリウム(BaTiO)と金属酸化物を含む請求項1または2に記載の積層セラミック部品。
【請求項6】
前記金属酸化物の金属は、Y3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、及びLu3+からなる群から選択される1種以上のランタン族希土類元素である請求項に記載の積層セラミック部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の連結性に優れた積層セラミック部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ(Multilayer ceramic condenser;MLCC)は、成形された誘電体層シート上に伝導性ペーストをスクリーン、グラビアまたはその他の方式で印刷して電極層を形成し、内部電極層を印刷し、前記内部電極層が印刷されたシートを積層して製造される。
【0003】
小型の超高容量MLCCの場合、積層数を増やすために誘電体層と内部電極層が薄膜化されなければならず、容量に影響を与える有効電極面積(内部電極の連結性またはカバレージ(coverage))が重要である。
【0004】
前記伝導性ペーストは、主にニッケル(Ni)、銅(Cu)などの金属粉末とセラミック粉末(共材)などの無機物及び分散剤、樹脂、添加剤、溶剤などの有機物からなる。
【0005】
通常、内部電極ペーストに使用される前記Ni、Cuなどの金属粉末は誘電体層に使用されるセラミック粉末に比べて融点が低いため、焼結収縮が開始される温度が低い。従って、セラミック粉末などを共材として添加し、収縮開始温度が誘電体と最大限に類似するように高温に移動させ、内部電極層が焼成される過程で共材として使用されたセラミック粉末は誘電体層に吸収され、最終的には誘電特性に影響を与えるため、誘電体層と同一または類似した組成で設計される。通常、誘電体層の成分と同様なチタン酸バリウム(BaTiO)を共材の主成分として使用し、焼結開始温度をより増加させるために各種酸化物系の副成分を使用することもある。
【0006】
また、前記共材は金属粒子の間に分布して焼結を制限しなければならないため、金属粉末より小さい粒子を使用し、MLCCチップ(CHIP)の焼成温度に応じてその添加量を調節して使用する。
【0007】
この際、ニッケルに対してある程度以下の粒径を有するチタン酸バリウムを使用すると、その含量によって内部電極層の中央部に押し出され(squeeze out)ていない共材が存在する。このようにトラップ(trap)された共材は電極の電気的特性を妨害しない範囲で内部電極の焼結収縮を制御すると共に電極連結性の向上に影響を与え、MLCCチップの容量を高める。
【0008】
MLCCの製作において内部電極は次の過程で焼結される。
【0009】
(1)800〜1000℃にて金属粉末が収縮し、共材が押し出される段階、(2)1000〜1100℃にて誘電体層が収縮し、内部電極層が連結される段階、(3)1100℃以上で誘電体層の密度が高くなり、内部電極層が凝集する段階。
【0010】
焼結温度が高いほど前記内部電極層が連結されずに切れる電極切れが増加し、薄層化のために微粒の金属粉末を使用するほど電極切れがより増加する。
【0011】
従って、このような内部電極層の電極切れ現象を解決して電極連結性を向上することができる積層セラミック部品の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】日本特許公開第2008−277066号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、内部電極層に添加される共材の含量または大きさを調節し、前記共材の高い焼結駆動力を用いて前記内部電極の連結性を高めることができる多様な構造を有する積層セラミック部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1形態による積層セラミック部品は、内部電極層と誘電体層が交互に積層された構造を有し、前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第2形態による積層セラミック部品は、内部電極層と誘電体層が交互に積層された構造を有し、前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有し、焼結後、全体の共材の含量に対する前記内部電極層に残存する共材の含量比は0.006〜0.1であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第3形態による積層セラミック部品は、内部電極層と誘電体層が交互に積層された構造を有し、前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有し、焼結後、全体の共材の含量に対する前記内部電極層に残存する共材の含量比は0.006〜0.1であり、前記内部電極層に残存する共材は、内部電極層の中央から上下+20%以内の領域に残存する共材の分率をA(Center)とし、前記領域以外の内部電極層領域に残存する共材の分率をA(Interface)とすると、前記A(Center)/A(Interface)は10〜2を満足することを特徴とする。
【0017】
前記第1〜3形態において、前記内部電極層は0.1〜0.5μmの厚さを有することができる。
【0018】
前記第1〜3形態において、前記内部電極層はニッケル(Ni)または銅(Cu)からなることがある。
【0019】
前記第1〜3形態において、前記共材はチタン酸バリウム(BaTiO)と金属酸化物を含むことができる。
【0020】
前記金属酸化物の金属は、Y3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、及びLu3+からなる群から選択される1種以上のランタン族希土類元素であることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一形態によると、高温焼成時に内部電極層から押し出される共材の粒径及び添加量を制御することにより、前記内部電極の連結性を向上した積層セラミック部品を提供することができる。
【0022】
また、本発明の他の形態によると、内部電極層に含まれる共材の粒径及び添加量を制御して焼結した後、内部電極層から一定量の共材を押し出されないようにトラップ(trap)し、前記内部電極の内部で高温収縮挙動を制御することにより、前記内部電極層の電極連結性を向上することができる。
【0023】
また、本発明のまた他の形態によると、内部電極層に含まれる共材の粒径及び添加量を制御して焼結した後、内部電極層から一定量の共材を押し出されないようにトラップ(trap)し、前記内部電極層の中央部にトラップされた共材の含量を前記内部電極層と誘電体層の界面でトラップされた共材の含量より多く制御することにより、前記内部電極の内部で高温収縮挙動を制御し、前記内部電極層の電極連結性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミック部品の断面の一部構造を示す図面である。
図2】本発明の第3実施形態による積層セラミック部品の断面の一部構造を示す図面である。
図3】本発明の一実施形態による積層セラミック部品の断面の一部構造を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0026】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するために用いられ、本発明を限定しようとするものではない。本明細書に用いられたように、単数型は文脈上異なる場合を明白に指摘するものでない限り、複数型を含むことができる。また、本明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は言及された形状、数字、段階、動作、部材、要素、及び/またはこれらの組み合わせが存在することを特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、段階、動作、部材、要素、及び/またはこれらの組み合わせの存在または付加を排除するものではない。
【0027】
本発明は、内部電極層の電極連結性に優れ、高信頼性を有する積層セラミック部品に関する。
【0028】
図1は積層型電子部品であるMLCCの製作において一般的な共材の役割を示すものである。これを参照すると、誘電体層110a、110bの間に内部電極層120が形成された誘電体シートを焼結すると、(1)前記内部電極層120に含まれた共材121が内部電極層120の金属粉末として使用されたニッケル金属122の収縮開始を抑制して共材本来の役割を果たす。
【0029】
(2)次に、700〜900℃にて前記金属ニッケル粉末122の収縮が開始されると共に、前記金属ニッケル粉末122のネッキング(necking)が開始され、金属ニッケル粉末122同士、また共材121同士が凝集する状態となる。
【0030】
(3)最後に、900℃以上では共材121が前記内部電極層120から押し出されながら誘電体層110a、110bに移動して吸収されたり、または別の共材蓄積層130が生成される場合もある。前記誘電体層110a、110bは焼結が開始されて内部電極層120から流入された共材と反応する。従って、共材の組成が誘電体層の特性に影響を与える。
【0031】
本発明の明細書全般で使用される「共材」は前記内部電極層で金属粉末と共に使用され、前記金属粉末の焼成温度を低める役割をする物質を意味する。
【0032】
本発明の第1実施形態による積層セラミック部品は、内部電極層と誘電体層が交互に積層された構造を有し、前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有することを特徴とする。
【0033】
第1実施形態では内部電極層の焼結を遅延させるために含まれる共材の含量と粒径を金属粉末に対して特定の範囲に調節し、積層セラミック部品で内部電極の連結性を極大化させることを特徴とする。
【0034】
本発明による内部電極層は、内部電極として使用される金属粉末と焼結抑制剤として共材を含み、前記共材は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の含量で含まれることが好ましい。前記共材の含量が金属粉末の重量に対して0.01重量%未満である場合には、電極連結性向上の効果が充分でなく、また、12重量%を超える場合には、焼結時に前記共材が誘電体層に押し出されて誘電体層の厚さを過度に成長させ、むしろ容量を減少させる可能性があるため好ましくない。
【0035】
また、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内を有することが好ましい。前記共材の平均粒径が前記金属粉末の平均粒径に対して30%を超える大きさを有する場合、微量の添加量では内部電極の焼結収縮挙動を制御することができないという問題があり、信頼性を低下させるため好ましくない。
【0036】
前記共材は誘電体層を構成するチタン酸バリウムと同様な成分を使用し、内部電極層では金属粉末の収縮開始温度を最大限に高温に移動させる役割を果たし、前記内部電極が焼成される過程中に誘電体層に吸収れることが一般的である。
【0037】
しかし、前記のように共材の平均粒径と含量を調節すると、前記内部電極として使用された金属粉末の間の微細気孔(pore)に微粒の共材が閉じこめられ、焼結条件によって誘電体層に押し出されることができず、内部電極層の内部でトラップ(trap)される。このようにトラップされた共材は最終的に内部電極の内部で高温収縮挙動を制御し、結果的に高い連結性を示す電極を形成する。
【0038】
本発明による共材は、誘電体層と同様な材料であるチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分として使用し、金属酸化物を副成分として混合して使用する。前記金属酸化物の金属はY3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、及びLu3+からなる群から選択される1種以上のランタン族希土類元素であることができる。
【0039】
前記内部電極層の金属粉末は、ニッケル(Ni)または銅(Cu)を使用することが好ましく、前記内部電極層は0.1〜0.5μmの厚さを有することが好ましい。前記内部電極層の厚さが0.5μmを超える場合、同一のMLCCでチップの層数が減少して容量特性を具現するために好ましくない。
【0040】
また、本発明の第2実施形態による積層セラミック部品は、内部電極層と誘電体層が交互に積層された構造を有し、前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有し、焼結後、全体の共材の含量に対する前記内部電極層に残存する共材の含量比は0.006〜0.1であることを特徴とする。
【0041】
本発明の第2実施形態によると、共材の含量と粒径を調節して前記共材が誘電体層に一部押し出され、一部は内部電極層にトラップされて残存するようにすることで内部電極の連結性を向上したことを特徴とする。
【0042】
特に、全体の共材の含量に対する前記内部電極層に残存する共材の含量比は0.006〜0.1の範囲を有することが好ましく、前記含量比が0.006未満の場合には、電極連結性の低下により信頼性及び容量特性を具現することが難しく、また、0.1を超える場合には、過度な電極厚さを形成し、MLCCチップの厚さが増加する要因になるため好ましくない。
【0043】
前記のような範囲で内部電極層に残存する共材の含量を調節することは、使用される共材の粒径と含量を調節することにより達成されることができる。従って、本発明の第2実施形態による前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有することが好ましい。
【0044】
本発明の第2実施形態による共材は、誘電体層と同様な材料であるチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分として使用し、金属酸化物を副成分として混合して使用する。前記金属酸化物の金属はY3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、及びLu3+からなる群から選択される1種以上のランタン族希土類元素であることができる。
【0045】
前記内部電極層の金属粉末はニッケル(Ni)または銅(Cu)を使用することが好ましく、前記内部電極層は0.1〜0.5μmの厚さを有することが好ましい。前記内部電極層の厚さが0.5μmを超える場合、同一のMLCCでチップの層数が減少して容量特性を具現するために好ましくない。
【0046】
また、本発明の第3実施形態によると、積層セラミック部品は、内部電極層と誘電体層が交互に積層された構造を有し、前記内部電極層は金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有し、焼結後、全体の共材の含量に対する前記内部電極層に残存する共材の含量比は0.006〜0.1であり、前記内部電極層に残存する共材は、内部電極層の中央から上下+20%以内の領域に残存する共材の分率をA(Center)とし、前記領域以外の内部電極層領域に残存する共材の分率をA(Interface)とすると、前記A(Center)/A(Interface)は10〜2を満足することを特徴とする。
【0047】
本発明の第3実施形態によると、共材の平均粒径と含量を調節することにより、内部電極層に共材が一定含量でトラップされて残存するが、前記内部電極層に残存する共材が相対的に内部電極層の両側面より中央部により多く分布されるように調節することを特徴とする。
【0048】
即ち、図2のように、誘電体層110a、110bと内部電極層120が積層された構造を有し、前記内部電極層120は金属粉末の重量に対して12重量%以下の共材を含み、前記共材の平均粒径は前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさを有する。
【0049】
また、焼結後、全体の共材の含量に対する前記内部電極層120に残存する共材121の含量比は0.006〜0.1であり、前記内部電極層120に残存する共材121は内部電極層の中央Cから上下+20%以内の領域に残存する共材の分率をA(Center)とし、前記領域以外の内部電極層領域に残存する共材の分率をA(Interface)とすると、前記A(Center)/A(Interface)は10〜2を満足する。
【0050】
前記A(Center)/A(Interface)が前記範囲内にある場合、内部電極層の中央部に好適に共材をトラップさせることにより、内部電極の連結性を最大限に向上することができる。
【0051】
本発明の第3実施形態による共材は、誘電体層と同様な材料であるチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分として使用し、金属酸化物を副成分として混合して使用する。前記金属酸化物の金属はY3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、及びLu3+からなる群から選択される1種以上のランタン族希土類元素であることができる。
【0052】
前記内部電極層の金属粉末はニッケル(Ni)または銅(Cu)を使用することが好ましく、前記内部電極層は0.1〜0.5μmの厚さを有することが好ましい。前記内部電極層の厚さが0.5μmを超える場合、同一のMLCCでチップの層数が減少して容量特性を具現するために好ましくない。
【0053】
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。以下の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されると解釈してはならない。また、以下の実施例では特定化合物を用いて例示しているが、これらの均等物を使用する場合においても同等/類似した程度の効果を発揮することができることは当業者にとって自明である。
【0054】
実施例及び比較例
表1のように各組成、粒径及び含量を変化させながら、積層型電子部品(MLCC)を製造した。内部電極層の金属粉末はニッケル金属を使用し、共材はチタン酸バリウムを主成分とし、金属酸化物を副成分として含み、超高容量MLCC(誘電体厚さ0.5μm以下、内部電極0.3μm)を製造した。
【0055】
また、前記製造された超高容量MLCCの容量及び信頼性をBDV(breakdown voltage)加速寿命で測定し、電極連結性は光学顕微鏡及びイメージ分析で測定し、その結果を次の表1に示す。
【表1】
【0056】
前記表1の結果のように、内部電極層に使用される共材を金属粉末の重量に対して0.01〜12重量%の含量で含み、前記共材の平均粒径が前記金属粉末の平均粒径に対して30%以内の大きさで含まれる場合、前記内部電極層に前記微粒の共材が効果的にトラップされ、これにより高温焼結収縮制御がより容易になり、内部電極の連結性を向上することを確認した。
【0057】
また、前記内部電極層にトラップされて残存する共材の含量は添加される共材の含量が増加するほど増加することが分かる。
【0058】
また、前記内部電極層の中央部(A(Center))にトラップされた共材の含量と前記中央部以外の領域(A(Interface))にトラップされた共材の含量を金属粉末として使用したニッケルと共材との間の平均粒径の分率を調節することにより制御することができた。
【0059】
さらに、図3のように、本発明によって製造された超高容量MLCCの誘電体層をFE−SEMを用いて測定した結果、内部電極層の中央部に微粒の共材が多数トラップされて残存していることが確認できる。このような結果から、本発明でのように内部電極のニッケル粉末の間に微粒の共材をトラップさせ、前記トラップされた共材の分率が高いほど内部電極の連結性を向上することが分かる。
【符号の説明】
【0060】
120 内部電極層
110a、110b、110 誘電体層
122 金属粉末(Ni)
121 共材
C 内部電極層の中央
A(Center) 内部電極層の中央Cから上下+20%以内の領域に残存する共材の分率
A(Interface) 前記A(Center)領域以外の内部電極層領域に残存する共材の分率
図1
図2
図3