(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エッチング処理された前記シリコン表面が、350〜1000ナノメートルの範囲の波長において10パーセント未満の反射率となるまで前記エッチングが行われる請求項2記載の方法。
前記基板が、n型をドープされた、またはリンを拡散されたウエハーを含み、前記エッチング中に、光で前記シリコン表面を照射するために光源を操作することをさらに含む請求項2記載の方法。
【背景技術】
【0003】
新規および異種の材料を用いて、さらに良好な太陽電池を作製する試みが数多くなされているにも拘わらず、太陽光市場は、今なお、典型的なシリコンウエハー系太陽電池である初期または第一世代の太陽電池によって占められている。多くの太陽電池製造業者は、シリコンウエハー系太陽電池を製造する設備を備え、かつ、製造コストを法外に増大させることなく、より高い変換効率を実現することができるシリコン系太陽電池を設計する研究を継続しており、例えば、この研究の目的は、多くの場合、市場生産に適したワット当りのコストが最も低い太陽電池を実現することである。太陽電池の使用に加え、シリコンウエハー、基板上の他のシリコン層およびシリコン表面を有する物質が他の多くの用途、例えば、電子素子、通信デバイス、コンピュータおよびさらにはバイオまたは医学用途に使用されており、これらの用途が、具体的な品質または特性、例えば起伏のある、テクスチャ加工の、またはナノ粒子構造化された表面を有するシリコンウエハーおよびシリコン表面の製造方法の研究を推進している。
【0004】
太陽電池または他のオプトエレクトリックデバイスの性能には、反射率の高さが原因となる光量の損失が直接関連する。未処理のシリコンウエハー上にあるものなどの平坦なシリコン表面では天然の反射率が高く、これは別法を使用してシリコン太陽光デバイスにより電気エネルギーに変換することができる太陽スペクトル全域にわたる。効率の高い太陽電池を製造するために、研究者は、反射による損失を最小限にする方法を探している。ある一般的な手法として、典型的に干渉に基づいて選択される反射防止膜(ARCs)がある。例えば、SiO
x、TiO
x、ZnO、ITOまたはSi
3N
4などの材料の四分の一波長の透明層をシリコン表面上のARCsとして使用する。いくつかの場合、酸化シリコン由来のARCsを電気化学エッチングにより形成することができる。このようなARC膜は、全て共鳴構造であり、限られたスペクトル範囲においてのみ、かつ特定の入射角に対してのみ性能が向上するが、太陽スペクトルは、広範囲の波長に及び、入射角は1日のうちで変化する。単一層のARCsを用いて得られた典型的な結果として、表面反射の低下は約8〜15パーセントであった。さらに異なる2層のARC膜を用いると、反射率は約4パーセント減少する可能性があるが、この種の膜は使用するには高価であり、太陽光モジュールのガラスの下に配置すると効果がない。
【0005】
研究者により、広域のスペクトル領域の反射を効率よく抑制するには、表面のテクスチャ加工を深くすることで実現することができることが示された。これに関し、エッチングを滑らかな、または研磨されたシリコン表面上で使用し、数マイクロメートルまたはさらには10マイクロメートルの典型的な大きさを有する凹凸で起伏のある表面を生成することができ、このような起伏のある表面は、その反射および吸収特性により反射率を低下させる。一実施例において、KOH/C
2H
5OH混合物中のシリコンの異方性エッチングでは、黒く見える高密度に凝縮されたピラミッドが生成される。しかし、このようなエッチングでは、典型的には<1,0,0>の表面配向を有する単一の結晶シリコンに限定されており、太陽電池の設計は、大きな透過性ピラミッドによって、より複雑になっている。このテクスチャ加工もまた、右の入射角とともに急速に反射率が増加する。
【0006】
ごく最近では、研究者達により、ナノメートルスケール上の微細表面テクスチャ加工を利用して、シリコン表面の反射率を制御することができることが確定した。具体的には、光の波長より小さいという特徴を有するテクスチャ加工された表面が反射率の制御に効果的な媒体であり、太陽電池用途に関する試験では、微細テクスチャは、深さ約300〜500ナノメートルに過ぎず、かつシリコン密度および表面からバルクまでの屈折率の段階的勾配を与え、この勾配は、バンドギャップ上の利用可能な光子エネルギーのスペクトル領域内のシリコン表面の反射率を抑制するのに十分なものである。このようなテクスチャ加工の表面は、反射防止表面としてそれ自体を挙動する波長下構造化された表面であると考えることができ、反射防止表面の段階的なテーパー状の密度が広域のスペクトルバンド幅にわたり、および入射光の広い入射角を通して反射を抑制する。あるグループの研究者達はシリコン表面のナノスケールテクスチャ加工の方法を開発し、これは湿式化学エッチングを利用し、結晶シリコンに対して太陽の全波長で5パーセント以下の表面反射による光学的損失を少なくする。
【0007】
簡単に言えば、シリコン表面のテクスチャ加工には、3ステップのプロセスのブラックエッチングがある。1つ目に、厚さが約1〜2ナノメートルの不連続な金(Au)層を熱蒸発または他の蒸着技術で蒸着させる。この最初の金属膜をAuクラスターまたはアイランドで作製し、これは続くステップで触媒作用または機能を与える。2つ目に、シリコン材料の湿式化学エッチングをフッ化水素酸(HF)および過酸化水素(H
2O
2)の水溶液を使用して行う。この溶液は、シリコン表面の清潔な、または被覆されていない部分を、非常に時間をかけてエッチングするが、Auアイランド周辺近く、または周辺では、最大500ナノメートルの深さのテクスチャ加工は非常に速い速度で、例えば約330ナノメートル/分のエッチング速度で形成する(これらの研究者がAuクラスターまたはアイランドの触媒作用を示したものである)。3つ目に、金はシリコン表面内の有害な不純物質であるため、残存する金をテクスチャ加工のシリコン表面から、例えばヨウ素およびヨウ化カリウムの水溶液の室温エッチングにより除去する。これらの研究者達により、金属または触媒層の蒸着を含む複数のステップのプロセスを結晶、多結晶および非晶形ならびにn型、p型および固有のドーピングなどの様々なドーピングなどの形態を含む様々なシリコン表面で行うことができることが示された。吸収した光量は、ブラックエッチング処置とともに増加し、結果としてシリコン被検物質の光吸収の高い範囲では、2〜5パーセントほどの低い反射率を示した。
【0008】
このようなエッチングプロセスが、高い無反射率または「黒い」シリコン表面を生成する一方で、このようなプロセスが広く普及するには妨げとなる恐れのある多数の欠点がある。金の蒸着が法外な費用となる恐れがある(例えば、太陽電池または他のオプトエレクトロニクスデバイスの生産コストまたは価格の望ましくない増加)。コストには、純金の薄層の蒸着に関連した材料コストが含まれ、かつさらに、真空蒸着およびプロセスの金属蒸着ステップで使用される他の装置の購入、操作および維持に関連した主要な装置の高額なコストを含む。プロセスには、製造の複雑性および作製時間が増大するエッチングまたはテクスチャ加工を与える2つ以上のステップを必要とする。それゆえ、シリコンウエハーのブラックエッチングを円滑にする方法を含め、エッチングシリコン表面を得るための安価で、複雑でなく(例えば、よりステップが少なく、装置が少ないプロセス)、かつ効率的な技術に対する要望に未だ答えられていない。
【0009】
関連技術の前述の例およびそれに関連する制限は、図式的なものであり、それだけに限定されないことが意図される。他の関連技術の制限は、明細書を読み、図を解釈する上で当業者に明らかとなるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、反射率を大きく低下させるために(例えば、太陽電池で使用することができるシリコンウエハー上に反射防止表面を作製するために)、テーパー状の密度の表面を作製するなど、シリコン表面をエッチングまたはテクスチャ加工する例示的方法およびシステムを記載する。一般に、エッチング方法には、酸化剤−エッチング剤溶液(例えば、HFおよびH
2O
2などのエッチング剤および酸化剤の水溶液)および触媒金属を含有する分子またはイオン種源(例えば、エッチング溶液中で金を含む水溶液中の、塩化金酸などの酸または、銀などを与える水溶液中のAgF)から作製される一定量のエッチング溶液中にシリコン表面を位置決めすることが含まれる。エッチング溶液バスまたはエッチング溶液量を、ある時間(またはエッチング時間)で混合または撹拌し、所望の量/深さのシリコン表面のテクスチャ加工を実現し、これがシリコン表面上に無反射層またはテクスチャ加工された層を形成すると考えられることができる。次いで、金または他の金属触媒をシリコン表面から洗浄または剥離後、シリコン表面またはこのような表面を有するウエハーもしくは基板を使用して、太陽電池などのデバイス、バイオメディカルデバイス、オプトエレクトリカルな構成要素などを製造することができる。
【0019】
本明細書に記載のエッチング法には、安価な化学物質を使用することができるエッチングシリコンに対する溶液に基づいた手法を提供する(例えば、酸化剤−エッチング剤溶液中でのイオン性もしくは分子化合物形態の金、白金、銀または他の触媒金属の触媒量に基づいた反応は、非常に安価に作製される)。エッチング法は、酸化剤−エッチング剤溶液および金属イオン性溶液または分子溶液の存在下において、超音波および他の撹拌を使用してエッチングが生じるという意味では、複数のステップというよりむしろ「1ステップ」である。エッチング法は、その簡易さおよび速度、つまりエッチング時間が相対的に短く、蒸着/被覆を行う予備エッチングを必要せず、部分的に有利である。さらに、エッチング法は、広域のスペクトルにわたり反射率が低いテクスチャ加工されたシリコン表面を生成し、これらの無反射層またはテクスチャ加工されたシリコン表面は反射防止の受光角が大きい場合に望ましい。さらに、(複数の)エッチング法は、多結晶シリコンを含むシリコンのほぼ全表面に適用可能である。今後示されるように、得られるシリコン表面は、太陽光または太陽電池において非常に望ましい可能性が高い。例えば、触媒溶液として、またはその一部として供給されるHAuCl
4を用いたエッチング法は、利用可能な太陽スペクトルのほとんどが1%以下の反射率の400nm波長時の約0.3%から1000nm波長時の約2.5%の範囲の反射率を<1,0,0>の結晶シリコンウエハー上で供給するのに使用されている。触媒溶液がAgFを含んでいた場合、エッチング溶液法では、100個の結晶シリコンウエハー上に約5%未満の反射を得ることができた。
【0020】
今後明らかとなるように、多数の触媒溶液または触媒金属源を使用してエッチングプロセスを実施することができる。一実施形態では、金の分子種またはイオン種(例えば、塩化金酸(HAuCl
4)水溶液)を与えるよう選択された触媒溶液を使用するが、別の例示的実施例では、銀の分子種またはイオン種を与えるよう触媒溶液(例えば、AgFを含む溶液)を使用する。一般に、このような触媒を含有する分子種もしくはイオン種または触媒溶液を、HFなどのエッチング剤と混合し、さらにH
2O
2などの酸化剤と混合する。他の実施形態では、触媒溶液を、白金などのエッチング溶液中の遷移金属および/または希金属などの他の金属の分子および/またはイオン種を与えるよう選択することができ、これは、エッチング費用のさらなる削減に有用である可能性があり、このような金属の一部が金に比べシリコン内に有害な不純物が少なくなり得るものとして望ましい可能性がある。
【0021】
一般に、シリコン表面は研磨された表面であるが、いくつかの場合、エッチング技術を他の反射防止技術と組み合わせて行うことができる。例えば、シリコン表面は、異方性のピラミッドテクスチャ加工されたSi<1,0,0>表面(または他のテクスチャ加工されたSi表面)であってよく、これは、その後、(触媒金属の金属含有分子またはイオン種を有する)触媒溶液、エッチング剤および酸化剤を含むエッチング溶液中にSi<1,0,0>表面(またはSi表面/層を有する基板/ウエハー/デバイス)を入れることにより1ステップのエッチングプロセスで処理される。独立して、または他の表面加工プロセスとともに使用される場合、エッチング溶液を超音波撹拌または音波処理などを用いて一定時間(例えば、所定のエッチング時間)で混合または撹拌する。
【0022】
以下の説明では、反射を制御(すなわち、低下または最小化)する場合に使用されるエッチングシリコン表面における触媒溶液の使用について重点を置くが、本明細書に記載のエッチング技術は、特定の表面の起伏または平滑でない位相を有するシリコン表面を与えることが望ましいほぼ全ての用途、たとえば太陽光デバイス、バイオメディカルデバイスなどのシリコンのテクスチャ加工に使用することができる。
図1〜3を参照してエッチングプロセスの一般的概略から説明を始める。次いで、
図4を参照して、一デバイス、すなわち、説明済みのテクスチャ加工法で作製された反射防止表面を有するシリコン基板またはウエハーで形成することができる太陽電池の例を提供する。次に、太陽電池の効率を向上させるよう(例えば、シリコンの太陽光デバイスにおける光子吸収の増加)、反射率を低下させ、または概ね排除することを特に視野にいれた有用な結果を実現するための手段(例えば、このような溶液が与えることができる触媒溶液および触媒金属の割合および具体的な種類、エッチング剤、酸化剤、シリコン表面、撹拌方法、エッチング時間など)およびプロセスの例について説明する。
【0023】
図1は、一実施形態のテクスチャ加工またはエッチングシステム100を示す。システム100は、一供給源の、または定量のシリコン表面を有するウエハー、基板またはデバイス110を含む。これらのウエハー、基板またはデバイスは、太陽電池、オプトエレクトニクスまたはその他の製品で使用されるSiウエハーであってよい。シリコン被検物質112上のシリコン表面116は、単結晶性、多結晶性、非晶性などであってよく、ドーピングの種類は、種々のレベル(例えば、約0.25Ω−cm〜約50Ω−cmなど)のn型またはp型ドーピングとなるように変更することができる。ウエハー、基板またはデバイス110は、システム100の操作中にエッチングされる1個のシリコン表面または2個以上のシリコン表面を有することができる。システム100は、金属蒸着ステーションを必要としないが、代わりに、システム100は、湿式エッチング容器またはコンテナ122を有するエッチング組み立て部品120を備える。操作中、1つまたは2つ以上のSiウエハー110または基板112上のSi層を、一定量のエッチング溶液124を添加する前後に容器122に入れる。
図1において、単一基板112は、シリコン表面116を浸漬させた容器内を図示しているが、当然ながら、複数のこのような表面116を同時にエッチングすることができる。
【0024】
組み立て部品120は、エッチング開始時および/またはエッチング中に溶液124を撹拌または混合する機構126を備える。機構126は、機構または磁気系混合デバイスであってよく、その一方でいくつかの場合の、強化された、またはより反復可能である結果が、音波処理によるエッチング溶液124などの反応物質または溶液を混合/撹拌する超音波撹拌器を用いて得られた。組み立て部品120は、1つまたは2つ以上の所望の温度範囲内でエッチング溶液124の温度を維持または上昇させるヒーター128を備え、表面116のエッチングを円滑にすることができる。温度測定器つまり温度計130を備え、溶液の温度をモニターすることができ(場合により、ヒーター128に制御フィードバック信号を送る)、また、タイマー134を備え、エッチングまたは剥離ステップに関して組み立て部品120のオペレータに視覚的および/または音声的指標を送ることができる。
【0025】
システム100は、さらに触媒金属の金属含有分子またはイオン種などの触媒金属の供給または供給源を供給する触媒溶液140を含む。この供給源は、金、銀、白金、パラジウム、銅、ニッケル、コバルトなどの定量の遷移金属または貴金属などの定量の触媒をエッチング溶液124に供給する。典型的には、HAuCl
4、AgFおよびこのような金属の金属含有分子またはイオン種を放出する同様な酸または材料を含有する溶液を、容器122内のエッチング溶液124中の酸化剤−エッチング剤溶液と混合した場合、良好な結果が得られる。一般に、金属触媒を有するこの触媒溶液を容器122に添加し、エッチング溶液124の一部分を作製するが、他の場合において、溶液(または触媒金属の金属含有分子またはイオン種の他の供給源)140を最初に酸化剤−エッチング剤溶液146(またはその構成要素142、144の1つ)に添加し、その後、容器122にSi基板112を用いて挿入する。具体的な触媒溶液およびその調製について、以下にさらに詳述する。
【0026】
シリコン表面116のエッチングを実現するため、システム100は、エッチング剤142および酸化剤144の供給源を含む。これらは、特に、シリコンのテクスチャ加工/エッチング用に選択され、エッチング剤142は、HF、NH
4Fまたは同様のエッチング剤であってよい。酸化剤は、H
2O
2または他の剤、例えば触媒溶液140で得られた金属で触媒したその分解物を有するものであってよい。例えば、酸化剤144は、H
2O
2、O
3、CO
2、K
2Cr
2O
7、CrO
3、KJO
3、KBrO
3、NaNO
3、HNO
3、KMnO
4など、またはその混合物を含むことができる。このような剤(またはその溶液)142、144を個別に容器122に添加し、触媒溶液140とともにエッチング溶液124を形成することができ、または示されたように、酸化剤−エッチング剤溶液146は、エッチング剤142と酸化剤144を混合することで最初に形成された後、この溶液を容器122に入れることができる。次いで、組み立て部品120を例えば機構126を介して撹拌し、ヒーター128を用いて一定時間(「エッチング時間」)で加熱するなどして操作し、表面116をテクスチャ加工する。エッチング時間が経過後、溶液124を除去し、(または基板112を別のコンテナまたは金属剥離用の容器に移し)、シリコンに望ましくない不純物質が存在する可能性がある場合、残りの金属触媒を除去する。このために、システム100は、容器122に添加される金属剥離溶液150の供給源を含み、材料140由来の金属全てまたは実質的に全てを表面116から除去するまで、機構126を用いて混合し、または撹拌(および場合によりヒーター128で加熱)することができる。次いで、基板またはウエハー112をそのままで、または太陽電池または太陽光デバイス、オプトエレクトロニクスデバイス、バイオメディカルデバイスなどのより大きなデバイスの構成要素または層として使用することができる。
【0027】
図2は、本明細書に記載のエッチングプロセスの処理後のシリコンウエハー200を示す。示されたように、ウエハー200は、一定時間またはエッチング時間で、エッチング溶液に浸漬されていた表面上部またはSi表面210を含む。Si表面210は反射率を大きく低下させるナノスケールの起伏を有する。本明細書に記載の触媒溶液の使用は、金、銀、またはin situもしくはエッチング溶液(例えば、触媒溶液の調製に応じた2〜30nmの金粒子、2〜30nmの銀粒子など)において、表面210に複数のくぼみまたはトンネル214を生じさせる他の材料を生成するよう作用し、この場合、エッチングはナノ粒子の存在により、さらに急速に生じている(
図2に示さず)と大いに考えられる。酸化剤−エッチング剤溶液と組み合わせて触媒溶液を使用し得られたエッチング結果と他の機構が完全に、または部分的関連する可能性がある。(複数の)作用機構に関わらず、各トンネル124は、直径Diam
Tunnelおよび深さD
tunnelの表面210で開口部216を有し、これは、典型的にウエハー200の厚さであるT
waterの約300マイクロメートルに比べ小さい(例えば、最大約99.91%以下など)。例えば、トンネルの直径であるDiam
Tunnelは、5〜10nmのナノ粒子がエッチング溶液に存在する場合、約21〜約23nmなど粒子径よりわずかに大きくなってよい。トンネルの深さであるD
Tunnelは、所望の物理的特性(例えば、反射と干渉)を得られるよう選択することができ、約50〜約300nmのシリコン表面(層)210で反射を制御する場合(例えば、一試験で250〜280nmの範囲の深さのトンネルを示す)、所望の深さは、具体的なエッチング溶液用の時間と温度を制御することにより選択可能または制御可能である。
図2からわかるように、触媒金属源(および一部の場合において、このような金属のナノ粒子)を供給する触媒溶液を含むエッチングプロセスは、反射率を低下させるのに望ましいテーパー状の密度を有するナノスケールの起伏または構造を提供する場合に有効である。
【0028】
図3は、溶液系エッチングまたはテクスチャ加工プロセス、あるいは所望の特性、例えばこれに限定されないが、反射を低下させ、または黒い表面を作製するテーパー状の表面を得るためにシリコン表面をプロセッシングする方法300の一実施形態を示す。プロセス300は、305で、シリコン層およびシリコン表面を有するシリコンウエハーもしくは基板またはデバイスなどのテクスチャ加工されるシリコン表面の種類、特定の結晶表面またはその作製、および特定の種類のドーピングを計画し、または選択することから始まる。ステップ305では、シリコン表面のテクスチャ加工またはエッチングにおける手段またはステップ毎の設計の選択を含むことができ、これは、触媒金属および金属、シリコン表面用のエッチング剤(例えば、HFなど)および酸化剤(例えば、H
2O
2、O
3、CO
2、K
2Cr
2O
7など)などの分子もしくはイオン種源、これらの2種類の成分を含む酸化剤−エッチング剤溶液中に得られるそれぞれの割合、撹拌/混合の種類および量、エッチングで得られる所望の表面透過度およびエッチングの時間および温度(当然ながら、従来の測定/パラメータに基づいて変更される)の選択を含むことができる。
【0029】
テクスチャ加工/エッチング法300は、(複数の)ウエハー(または基板/デバイス)とともに310に進み、シリコン表面を選択後、反応容器またはエッチング容器に位置決めする。320で、エッチング剤および酸化剤(またはその溶液)を結合または混合することで酸化剤−エッチング剤溶液を形成するが、いくつかの実施形態において、このステップは行われず、これらの2剤を同時に、またはほぼ同時に容器に単に添加する。方法300は、ステップ330および340の実行に進み、これを、どちらかが最初に行われる事前設定時間内(例えば、各ステップの実行の間で約5分未満、またはさらに典型的には約2分未満)にあるように同時に、またはほぼ同時に行うことができる。330で、酸化剤−エッチング剤溶液を、シリコン表面が入った容器に添加し、または投入し、340で、触媒溶液を容器に添加する(金、銀、白金、パラジウム、銅、コバルト、ニッケル、別の貴金属または遷移金属、あるいは別の触媒金属/材料を含有する分子(またはイオン種)源として作用する酸または酸の水溶液)。一部の場合において、粒子は、「乾燥」または同様な形態で供給されるが、他の場合において、金属含有分子(または酸化剤−エッチング剤溶液の存在下においてこのような分子またはイオン種を供給する材料)は、脱イオン水中、または水溶液(または適切な他の媒体)に含有され、340で、一定量のこのような溶液を容器に添加する。
【0030】
350で、方法300は、機械的混合デバイスまたはより典型的には超音波混合技術または音波技術などを用いた容器内のエッチング溶液の混合または撹拌を含む。360で、方法300は、場合によりエッチングプロセスを促進するよう選択された所定の温度範囲で容器内の溶液の加熱(または熱を加えて、所望の温度範囲で酸化剤−エッチング剤の開始温度の維持)を含むことができる。365で、方法300は、エッチング反応/プロセスを円滑にし、または促進する光量を用いたエッチング溶液および/またはウエハーあるいはシリコン表面の照射を含むことができる。例えば、深さのあるn型ドープの表面などの特定のシリコン表面は、エッチング時間を減少させることができる高強度の光量の下で照射されることで有利となることができる(例えば、いくつかの場合では8分以下であり、20〜30%は、強く照射しなくても実現したが、例えば約5%未満の反射に向上させる)。370で、方法300は、事前設定のエッチング時間が経過したかどうかの決定を含む(例えば、試験を通して、シリコン表面の種類、触媒金属および酸化剤−エッチング剤溶液の組成物に基づいたエッチングの所望の深さ、または量を得るために予め決定される時間)。経過していなかった場合、方法300は、350に進む。
【0031】
エッチング時間が経過した場合、370で、方法300は容器からエッチング溶液を除去し、または376で、容器から(複数の)Siウエハーを除去することを含む。380で、触媒金属を、例えば触媒溶液の組成に基づいて選択された剥離溶液を使用するなどして、ここでテクスチャ加工されたシリコン表面から除去する(例えば、異なる剥離溶液を金、銀、白金などに使用することができる)。388で、方法300は、太陽電池、バイオメディカルデバイス、オプトエレクトロニクスデバイス、家庭用電化製品デバイスなどの、テクスチャ加工/エッチング処理されたシリコン表面を使用するデバイスを作製するテクスチャ加工のウエハーのさらなるプロセッシングを含むことができる。390で、方法300を終了する(またはステップ305に戻ることで繰り返し、この場合、同じ方法を本明細書に記載の異なる「手段」の1つを使用するなど繰り返し、または変更することができる)。
【0032】
上述のように、本明細書に記載のプロセスによってシリコン表面をエッチングすることが望ましい1つの理由に、反射のほとんどない、または全くないシリコン系太陽電池を形成する場合に使用するシリコン基板の形成がある(例えば、ARCの塗布またはさらなるプロセッシングを必要としない)。太陽電池設計のほぼ全ての種類にエッチングプロセスを使用することができることが理解され、この説明は、設計の異なる多様な太陽電池を包含するのに十分に広範囲であることを表す。しかし、現時点で、1つの有用な太陽電池の配置について少なくとも記載し、続いて1つの有用な作製技術の簡単な説明を行うことは有用であり、次いで、これらの説明を、太陽電池および本明細書に記載のテクスチャ加工されたシリコン表面を有する他のデバイスの作製に使用することができる。
【0033】
図4は、相対的に単純な太陽電池400を示す。示されたように、例示の太陽電池400は、本明細書に記載の触媒ナノ材料系エッチングプロセスを用いて(例えば、
図1のシステム100または
図3の方法300を使用して)、テクスチャ加工され、または起伏のある少なくとも表面上部を有するシリコン基板410を含む。このような技術により、基板の反射を約20%以下、より典型的には約10%未満および多くの場合、約0.3〜2.5%または最大約5%以上に制御することができる。例えば、基板410は、ボロン−ドープ型、p型シリコン表面または太陽電池で有用な他のほぼ全てのシリコン表面であってよい。このような場合、電池400は、シリコン基板410のテクスチャ加工または表面上部に備えられることができるn型エミッタ層420をさらに含むことができる。複数の電気接触(例えば、銀または他の接触材料)430をエミッタ層420上に位置決めすることができ、電池400はさらに、追加の層/構成要素を含むことができ、裏面領域層440(例えば、アルミニウムまたは類似の金属層)および接触層450(例えば、アルミニウムまたは類似の材料層)などの所望の機能性を提供することができる。エッチング処理された表面を有するシリコン基板410は、エッジ規定の膜フィード成長(EFG)シリコンウエハー、ストリングリボンシリコン(string ribbon slicon)、浮遊帯(FZ)シリコン、チョクラルスキー(CZ)成長シリコン、キャスト法の多結晶シリコン(mc−Si)、単結晶シリコン、エピタキシャル成長シリコン層または別のシリコン構造もしくは種類などの多くの形態をとることができる。
【0034】
いくつかの場合、テクスチャ加工/エッチングシリコンウエハーから太陽電池を形成するには、以下のプロセスまたは当業者が公知の他のプロセスを含むことができる。エミッタの形成は、エッチング処理された表面を通して、リンまたは同様の材料の拡散を含むことができる(例えば、スピンオンドーパント由来)。濃縮HFなどにおいてさらにエッチングすることによりドープ源を除去することができ、拡散の結果により、n型領域を形成することができる。表面の不動態化は、酸化(例えば、O
2を用いて)およびアニーリング(例えば、N
2を用いて)により得ることができ、これは、シリコンに対してアニーリング処理されたインターフェースを有する乾燥オキサイド層を提供し、高濃度のドープ化されたエミッタで表面の再結合を低下させることができる。次いで、裏面下部の接触を、シリコンウエハーまたは基板の裏面から不動態化したオキサイドを除去後、真空蒸着などによりこれらの裏面にアルミニウムまたは他の類似の金属および銀もしくは類似の金属の層を塗布することにより形成することができる。次に、前部の接触グリッドを、ウエハー/基板の前部またはテクスチャ加工された表面側に不動態化したオキサイド内に一列のスリットを開口し、その後、例えば真空蒸着などによりTiなどを用いてこれらのスリットを被覆し、光レジストをリフトオフすることにより形成することができる。太陽電池をさらに、他のセルを用いてプロセス加工し、または組み立て、太陽モジュールを作製することができ、つまり、これらを結合して太陽光アレイを形成することができる。当然ながら、これは、太陽電池を製造するまさに単純化された一方法であり、それを変更して、本明細書に記載のブラックエッチング処理された表面を用いてセルを形成することができ、または当産業で公知の他の技術の実施に使用することができる。
【0035】
本発明者らは、異なる触媒ナノ材料、酸化剤−エッチング剤溶液およびシリコン表面の種類/ドーピングを用いた多数の実験を行い、さらに得られた表面の反射率を調べた。以下の考察でこれらの実験および発明者の発見ならびにより一般的な結論およびこれらの見解の拡がりについて説明する。一般に、本明細書に記載のプロセスは、具体的に350〜1000nmの波長の反射をほぼ完全に抑制するシリコン表面を生成するのに十分に適切な湿式化学方法である。本明細書に記載のプロセスは、単一の結晶性p型チョクラルスキー、{<1,0,0>および<1,1,1>}、nおよびp型浮遊帯、固有の、nおよびp型ドープの非晶性およびp−ドープの多結晶性ならびに他のシリコン表面などの多数のシリコン基板に対して有用であると考えられる。
【0036】
1組の実験において、触媒溶液は、金、銀、白金およびHAuCl
4、AgFなどの形態で存在することができる他のイオンの希釈(例えば、約2mM未満、またはいくつかの場合、約1mM未満)溶液であった。この触媒溶液を酸化剤−エッチング剤溶液に添加し、これらの溶液が撹拌下において混合され、シリコン表面をエッチングするエッチング溶液を形成する。エッチング時間は、約4分未満(例えば、2〜4分または類似の時間枠)などで従来のエッチング技術に相対して顕著に減少し、最小限の実現可能な反射率(例えば、いくつかの場合、触媒として金を使用するものなど、約3%未満、例えば1〜2%、またはさらに、0.2〜0.4%ほどの低さ)を得、さらに相対的に均一の表面テクスチャを実現した。このようなエッチング結果より、全配向の多結晶性および単一の結晶シリコンウエハーともに実現可能であることがわかった。さらに、厚さがおよそ1マイクロメートルの非晶シリコン層には、最小限に実現可能な反射を実現するのに約90秒を必要とするにすぎない。
【0037】
エッチングプロセス中の撹拌/混合に関して、磁気混合および超音波処理(例えば、125Wなど)をともにエッチング反応中の溶液混合に使用した。一般に、磁気混合により、350〜1000nmの波長範囲にわたる平坦な反射率プロファイルを用いてウエハーが生成されることがわかった。しかし、磁気混合は、この波長の中間において、最小限の実現可能な反射率を有するウエハーまたはシリコン表面を生成することができず、使用される触媒ナノ材料に応じて特定のブラックエッチング手法を始めるには有効でないかもしれない。したがって、超音波または音波処理の撹拌は、一部の用途においてさらに有用でありうる。一般に、本発明者らによりなされた実験/試験では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはテフロン(登録商標)製実験器具を本研究に使用し、使用した化学物質/溶液は、清潔な室内/試薬グレードのものであった。
【0038】
一般に、酸化剤−エッチング剤溶液は、選択された触媒金属が分解を触媒することができるシリコンおよびシリコン酸化剤用に選択されたエッチング剤を含む。一実施形態において、HFをエッチング剤として使用し、H
2O
2は、酸化剤であり、エッチング溶液量の残りが脱イオン化された水である。酸化剤−エッチング剤溶液の具体的な構成は、記載のエッチングを実施するために多様に変化し、5〜15%w/wのHF、15〜30%のH
2O
2および残りがDIH
2Oとすることができる。ある場合において、酸化剤−エッチング剤溶液(時に、本明細書において2X濃度の酸化剤−エッチング剤溶液という)は、6.25%w/wのHF、18.75%w/wのH
2O
2および残りのDIH
2Oを用いて形成されるが、別の場合では、26.25%のH
2O
2および6.25%のHFの酸化剤−エッチング剤溶液を使用し、ウエハーが高濃度にドープされる場合、効果的であった(例えば、nドーピングは、最大60分以上までの長いエッチング時間および/または最大約950℃以上の高温のエッチング溶液温度を必要としうる)。最終エッチング溶液は、触媒ナノ材料を含む溶液と併用することでわずかに希釈される。例えば、エッチング溶液は、当量の酸化剤−エッチング剤溶液および触媒ナノ材料溶液(例えば、金属コロイド溶液)を含むことができ、上記の具体例において、3.125%w/wのHF、9.375%w/wのH
2O
2およびDIH
2Oのエッチング溶液を生成し、HF:H
2O
2:DIH
2O=1:5:2の体積比を得る。
【0039】
本明細書で、一方を研磨した1平方インチのチョクラルスキーウエハー上で一部の試験を行ったと記載したように、多種多様なシリコンウエハーをエッチングすることができる。ウエハーは、広範囲のドーピング(例えば、0.25Ωcm〜約50Ωcmなど)を有するn型またはp型であってよい。特定の実施形態において、pドープ型のCZ、FZおよび多結晶ウエハー(試験済みのドープしていないpCZ<1,1,1>ウエハーを除外する)の反射率は、約1〜約3Ωcmであった。さらに、pドープ型のCZ<3,1,1>ウエハーの抵抗率が約0.5Ω−cmであることを調べた。さらに、約0.2〜約0.25Ωcmの抵抗率のp−ドープ型のCZ<1,1,1>ウエハーを使用して試験を行った。以下の試験において、使用されたエッチング溶液量は、典型的に約5ml〜約15ml/平方インチのシリコンウエハーまたはシリコン表面であり、いくつかの場合に、10mlの反応物質/平方インチのウエハーが使用されたが、当然ながら、その量は、反応容器のサイズ/形状および各バッチでプロセッシングされ、かつ他の変数に基づいたシリコンウエハーのサイズおよび個数に適合するよう最適化または選択することができる。
【0040】
エッチングが完了後に残りのナノ粒子を除去するために使用された剥離溶液もプロセスを実施するために変更することができ、典型的には、触媒ナノ材料に適した化学物質を提供するなどの多数の因子に基づいて選択される。ナノ粒子が銀または金であった場合、剥離溶液は、DIH
2Oもしくは王水など1リットル当り25gI
2/100gKIであってよく、剥離または金属除去時間、撹拌技術および剥離溶液の量は、エッチングプロセスで使用されたものと類似またはさらに同種であってよい。エッチングおよび剥離後の反射測定は、補正された半球反射を備えるCary−5Gの紫外・可視光分光法または類似のデバイスなどを用いた多数の方法で行うことができる。リアルタイム紫外・可視光反射分光法アッセイは、オーシャンオプティクス社の光ファイバアレイ紫外・可視光分光器などのデバイスを使用して行われ、エッチングの進行についての情報を得ることができる。
【0041】
時間に対し、HAuCl
4溶液を用いて形成された混合前エッチング溶液の安定性は、室温で約2分など相対的に短くなる可能性があり、これ以降、ブラックエッチングの実現に関して、不活性または活性の少ない混合前のエッチング溶液となるH
2O
2によるin situでのAu
3+の還元などにより、金ナノ粒子を形成することができる。したがって、エッチングされるシリコン表面の存在下の容器内で、またはエッチング溶液を形成する容器内で触媒溶液と酸化剤−エッチング剤溶液を混合後、即座に(複数の)シリコンウエハーを含有する容器内に、この溶液を入れることが望ましい可能性がある。1つの有用な手法には、HAuCl
4溶液中にSiウエハーを入れ、その後2X濃度の酸化剤−エッチング剤溶液を添加し、次いで、例えば、約3〜4分以上の間、同時に、または続けて超音波処理を行うことが必然的に伴われる。ある施行/実験において、4分間のエッチング後に0.4mMのHAuCl
4:2X濃度の黒のエッチングの触媒溶液から得られた「カシウス紫金」の金粒子のサイズをTEMで約10nm未満であるものを測定した。XPS分光法により、金粒子がAu(I)イオン(例えば、AuF由来)を含有しなかったが、Au
0のみまたはおもにAu
0を含むことが明らかとなった。
【0042】
HAuCl
4の1つの有用な触媒濃度は、反復実験を介して、p−CZ<1,0,0>ウエハーでは約0.0775mMであることを測定しているが、p−ドープCZ<1,1,1>および<3,1,1>ウエハーでは約0.155mMが有用であり、p−多結晶ウエハーでは約0.31nMが望ましいことがわかった。いくつかの実験において、p−FZウエハーおよびドープされていないp−CZ<1,1,1>{*R75Ωcm}シリコン表面を約0.04mMの最小HAuCl
4を含有する触媒溶液でさらにエッチングした。従って、過剰量の正の担体を含有し、かついくつかの場合シート抵抗性が低いウエハーは、エッチング溶液中のHAuCl
4濃度を高くしまたは量を多くすることで良好に、または完全にブラックエッチング、またはテクスチャ加工をすることができる。
【0043】
10nMのブラックエッチング反応を限定する濃度に入れた被検p−FZウエハーの乾燥部分上にAu−プレートのアリゲータクリップおよびPt−ワイヤー対電極を配置する電気化学実験では、正に荷電したSi表面がブラックエッチング手法を向上させる一方で、負に荷電したSi表面がそれを妨げることが明らかとなった。これにより本明細書に記載のエッチングプロセスが、結晶表面にシリル(Si
3+)遷移状態を含む機構を含むという考えを支持すると思われ、結晶表面は、触媒溶液の存在下において2X濃度の酸化剤−エッチング剤溶液を用いて、薄い(例えば、7〜20オングストローム)SiO
2フィルムの最初のHFエッチングにより形成することができる。
【0044】
高温によるシリコン表面のエッチング割合の増加の可能性は、エッチングプロセスがエッチング溶液の加熱を含む場合、割合が4倍増加し、反応温度が20℃増加するという観察から確認していた。例えば、いくつかの施行において、エッチングは約30〜60秒間で行われ、テクスチャ加工は、エッチング時間に与えられた約180〜240秒以上および室温で維持したエッチング溶液(例えば、約25℃)と比較して、45℃のエッチング温度で約同程度のブラックエッチングに達した。
【0045】
HAuCl
4を含む触媒溶液を使用して、試験された単結晶<1,0,0>Siの垂直断面のSEM試験において、「標準的な」3〜4分間のエッチングプロセスに対して、平均20〜25nm径の円筒型のエッチングトンネル(
図2に示す)、およそ275nmの深さを含有する均一な表面形態を明らかにした。試験された単結晶<1,1,1>Siウエハーの垂直型および断面型SEM試験により、ある場合でも、上記で得られた20〜25nm径の円筒型エッチングトンネルはほとんど含有しないが、代わりに複数の35〜50μm径の円形プレートを含む均一な表面形態を明らかにした。これらの隆起したプレートまたはアイランドを互いに分離し、互いから垂直に約0.6〜約1.2μm単位で補正する。しかし、紫外・可視光反射分光法を用いた試験を視野にいれ、かつこれに基づき、<1,0,0>と<1,1,1>ブラックエッチングされたウエハーとの間の「黒色度」はほとんど、または全く差はなかった。
【0046】
上記のパラグラフで述べられたSEM結果に使用されるp−CZ<1,1,1>Si被検物質に対してなされた見解では、金含有被検物質と比較する場合、I
2/KI溶液を用いた(AuI
3としての)金の除去を行っており、パンケーキのような特徴のある滑らかさをいくつかのトンネルのような特徴と同時に排除されることを認めることができる。I
2/KI溶液で処理され、蒸着したアルミニウム12.4nmを有する一部のp−CZ<1,1,1>Si被検物質上の検針(stylus)と光学的プロフィロメトリーの両方からの最初の指標として、平坦表面の形態のみを示したに過ぎない。一般に、試験の結果は、本明細書に記載のエッチングプロセスを示し、多様なシリコン表面のテクスチャ加工において有効であり、多様な表面のこのようなテクスチャ加工は、太陽電池設計および機能性に有利である可能性が高い。
【0047】
1つの具体的な実験において、4分間のエッチングを<1,0,0>p−CZシリコンウエハー上で行った。この実験の触媒溶液は、2X濃度の酸化剤−エッチング剤溶液(例えば、HFおよびH
2O
2)を含むエッチング溶液中に50:50の体積比で約0.31mMのHAuCl
4であった。リアルタイム反射測定では、反射は、急速に(例えば、約50秒未満で)10%未満に低下し、約180秒までに、ゼロに近い最小反射に達した(例えば、0.2〜1%の範囲)ことを示す。
【0048】
別の実験において、p−CZ<1,0,0>シリコンウエハーの約5.0ml/0.5in
2のエッチング溶液を約4分間の音波処理でエッチングした。この場合、触媒溶液は、0.29mMのAgFであり、エッチング中に触媒金属として銀が供給された。エッチング溶液はまた、HFとH
2O
2を含む当量の2X酸化剤−エッチング剤溶液を含んだ。
図5は、曲線510の結果を示すグラフ500を示し、その上、曲線520はエッチングし、かつ残りの銀を除去後に類似の結果を示す。
図5において、約1100nm以上の波長における反射の増加は、測定中のシリコンウエハーに隠れた反射背景により引き起こされる。この被検ウエハーの運動により、約30秒後に、反射が約575nm〜1160nmの波長にわたり10%以下に減少したが、約0.1〜1.5の範囲で最小限の実現可能な反射が約130〜240秒の範囲で得られたことを示した。触媒溶液を0.31mMのHAuCl
4に変更した場合、一般に得られる反射は、350nm〜1000nmにおいて約5%未満であり、典型的な値は、約1%未満であった。
【0049】
さらに、2x濃度の酸化剤−エッチング剤溶液と混合した0.31mMのHAuCl
4の触媒溶液を用いてp−mcシリコンをエッチングする場合に優れた結果を得た。繰り返すが、エッチング溶液を約4分間撹拌し、その後、金を除去した。シリコン表面上のエッチング処理された、またはテクスチャ加工された層は、350〜1000nmの波長で約10%未満の反射を示し、平均は約5〜6%未満であった。
【0050】
図6は、曲線610で示された単一の結晶シリコン表面のエッチングの結果を有するグラフ600を示す。
図6において、約1100nm以上の波長における反射率の増加は、測定中のシリコンウエハーに隠れた反射背景により引き起こされる。この実験において、エッチング溶液は、0.39mMのHAuCl
4および6.25%HFおよび26.25%H
2O
2の酸化剤−エッチング剤溶液の当量を含み、この濃度溶液で4分間エッチングが進み、続いて5分間の音波処理下において5%HFを用いた表面オキシドの剥離を行った。この濃度のブラックエッチング溶液は、多くの場合、オキシドを含有しない表面をテクスチャ加工する場合に有利であった。結果は、表面の反射率を約5%未満に低下させ、350〜1000nmのスペクトルのいくつかの部分で、約1または2%低下したことを示す。
【0051】
エッチングはまた、0.31mMのHAuCl
4などの触媒溶液を有する他のシリコン表面についても検討されている。例えば、ブラックエッチングは、1X濃度のHFおよびH
2O
2の酸化剤およびエッチング剤溶液を等しく混合した0.31mMのHAuCl
4触媒溶液を使用してステンレス鋼の基板上の0.67マイクロメートルのn−ドープ非晶シリコン層上において3.5分間行なった。この場合、一般に、反射は350〜1000nmの波長にわたり5〜10%低下したが、反射はなお、約40%を平均とした。ブラックエッチングを、ステンレス鋼の基板上で1.0マイクロメートルのドープされていない非晶シリコン層上で行った。この試験では、エッチングは、0.31mMのHAuCl
4と2x濃度の酸化剤−エッチング剤溶液の1:1の体積比を用いて90秒間行った。反射は、約18〜約60%の値に対して350〜1000nmスペクトルにわたり約15〜25%減少した。さらに、2.45分のブラックエッチングを0.31mMのHAuCl
4および2x濃度の酸化剤−エッチング剤溶液の当量を有するエッチング溶液を用いてガラス基板上で1.0マイクロメートルのドープしていない非晶シリコン上で行った場合に合理的な結果を得た。このようなエッチング処理された表面を試験することにより、約700nm〜約800nmで変化の少ない、350〜1200nmのスペクトルの下限および上限で反射(例えば、約15%〜約43%の反射)の有意な減少を示した。本明細書で教示されるようにブラックエッチングはまた、従来実施例にあるように、類似のエッチング溶液を用いたステンレス鋼の基板上の1.0p−ドープされた非晶シリコン層上で行われた。このテクスチャ加工により、350〜1000nmスペクトルにおいて、約25%〜約50%の反射の低下が提供される。異方性KOH/IPRエッチング処理されたp−FZシリコンウエハーに1:1の体積比の0.39mMのHAuCl
4および2X濃度の酸化剤−エッチング剤溶液を用いて4分間のブラックエッチングを行い、続いて、エッチング処理された表面から金の除去を5分間おこなった場合に優れた結果を得た。一般に、この試験では、この表面が、350〜1000nmスペクトルにわたり、約1〜3%以下の反射を有したことを示す。
【0052】
図7は、激しく拡散した(例えば、1時間に対してPOCl
3@950℃)p−FZ<1,0,0>シリコンウエハー上で行った例示の8分間のブラックエッチングの結果を示すグラフ700である。このエッチングプロセスにおいて、エッチング溶液には、0.4mMのHAuCl
4および酸化剤−エッチング剤溶液(26.25%H
2O
2を含有)の当量を含んだ。曲線710に示されるように、エッチングが、光を加えることなく、または高強度にシリコン表面およびエッチング溶液を照射することなく行われた場合、光の反射は、有用な350〜1000nmスペクトルにおいて約15%〜約27%のみ低下したに過ぎなかった。対照的に、エッチング方法に、さらにウエハーの約50mm上に光源を設ける場合、エッチング結果として、反射率が低いことが望ましい太陽電池または類似の用途においてシリコン表面を使用することがより望ましい。曲線720で示されるように、エッチングを6Vのフラッシュライト/光源の存在下で行う場合、すなわち、エッチング溶液を介してウエハー表面に光を当てる操作をする場合、350〜1000nmの反射が約5%以下に低下する(例えば、2.5〜4%の範囲)。同様に、光源が3W、12VのLEDである場合、曲線730に示されるように反射は、350〜1000nmの波長にわたり5%以下、約2%〜約4%の範囲まで低下する。したがって、いくつかの施行において、エッチングプロセスのさらなる刺激剤として作用するよう、エッチング処理された表面に当てることができる光(例えば、有用と考えられる青い光の大きな構成要素を有する、相対的に高強度および/または照射された光)を供給する光源を使用することができ、反射防止表面は、シリコン表面、例えばp−系のウエハー上のn−エミッタの拡散接合部を有する太陽電池に認められるシリコン表面をエッチングする場合、照明を加えることによりさらに得られる。
【0053】
多数の例示的態様および実施形態について上述した一方で、当業者であれば、特定の修正、順列、追加およびその下位の組合せについて理解されるだろう。それゆえ、以下に取り入れられた添付の特許請求の範囲には、実際の精神および範囲内にあるとして上記の例示的態様および実施形態に対して、修正、順列、追加および下位の組合せを含むものと解釈されることを意図する。上記の説明から理解されるように、触媒分子またはイオン種系のシリコンの触媒エッチングは、金属クラスターまたはアイランドのこれまでに使用された蒸着プロセスを排除するのに有用である。高価な金属ナノ粒子は使用されないが、このようなナノ粒子は、エッチングプロセス中に作製されることができ、表面テクスチャ加工を生成する触媒プロセスに貢献する。さらに、記載のエッチングプロセスは、反射の低下などのシリコンの特性全体の制御に優れており、太陽電池におけるテクスチャ加工されたシリコンの使用を円滑にし、多数のトンネルがシリコン表面全体にかなり均一に穿孔し、または形成する(例えば、単一のナノ粒子は、表面内に作製されている直径ほどの孔の触媒後、孔径2〜30mmおよびトンネルの深さが200〜300nmなどの表面の非常に高いアスペクト比のトンネルまたはくぼみをエッチングするよう作用することができる)。