(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、包括的には、電子レンジ内の食品の加熱、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げを改善するマイクロ波加熱パッケージ又は他の構造体を形成するために用いられ得る、種々のマイクロ波エネルギー相互作用構造に関する。種々の構造はそれぞれ、寸法安定性の(例えば、剛性又は半剛性の)ベースの少なくとも一部に重なる一対のマイクロ波エネルギー相互作用要素を含む。
【0017】
マイクロ波エネルギー相互作用要素の一方又は両方が、食品との境界面において入射マイクロ波エネルギーの少なくとも一部を吸収して熱エネルギー(すなわち、熱)に変換する傾向があるマイクロ波エネルギー相互作用材料の薄層(すなわち、「サセプタ」)(概して、厚さ約100オングストローム未満、例えば、厚さ約60オングストローム乃至約100オングストローム)を備え得る。サセプタは、取り扱いやすくするため及び/又はマイクロ波エネルギー相互作用材料と食品との接触を防止するために、マイクロ波エネルギー透過性基材、例えば、紙又はポリマーフィルムの層に支持され得る。サセプタ要素は、多くの場合、食品の表面の焼き色付け及び/又はカリカリ仕上げを促進させるために用いられる。しかしながら、他のマイクロ波エネルギー相互作用要素が用いられてもよい。
【0018】
ベースは、概して、マイクロ波エネルギー相互作用要素と加熱環境との間に断熱を提供し得る。一例では、ベースは、ひだ付き(fluted)又は波形の紙又は板紙を含む。しかしながら、マイクロ波エネルギー相互作用要素からの望ましくない熱移動を減らすことができる絶縁空間すなわち空隙を提供する他の材料が用いられてもよい。異なる構成を有する多くの構造がこのような材料で形成され得ること、及びこのような構造が意図されることが認識されるであろう。
【0019】
2つ以上のサセプタ層及び1つの波形絶縁材料層を含む構造から形成される構造体が、(1)波形ベースの無い2つ以上のサセプタ層を含む構造又は(2)波形ベースに重なる単一のサセプタと比較して、食品の加熱、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げを大幅に向上させることが分かっている。構造体がマイクロ波エネルギーに曝されると、サセプタ層は、入射マイクロ波エネルギーの少なくとも一部を熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーが続いて隣接する食品、また場合によってはひだ及び/又は他のサセプタ層内の空気を加熱する。結果として、食品の加熱、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げを大幅に向上させることができる。さらに、理論に束縛されることを望むものではないが、波形ベースのひだ間の空気及び他の気体は、食品と電子レンジの周囲環境との間を絶縁させることにより、食品内に留まるか又は食品に伝達される顕熱の量を増やすと考えられる。構造によっては、食品から水分を抜くことにより、食品の焼き色付け及び/又はカリカリ仕上げをさらに向上させる開口も含み得る。
【0020】
本発明の種々の態様は、いくつかの例示的な構造体が概略的に示されている図を参照することによって説明され得る。簡単のために、同じ特徴部の説明には同じ符号が用いられ得る。複数の同様の特徴部が図示されている場合、このような特徴部のすべてに各図で表記があるとは限らないことを理解されたい。種々の例示的な実施形態が本明細書で詳細に図示及び説明されているが、任意の特徴を任意の組み合わせで用いることができ、こうした組み合わせが本発明によって意図されることも理解されたい。
【0021】
図1は、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用構造100の概略断面図を示している。構造100は、それぞれのマイクロ波エネルギー透過性基材104a、104b、例えばポリマーフィルム層に支持されて、まとめてそれぞれのサセプタフィルム又はサセプタフィルム層106a、106bを画定する、一対のマイクロ波エネルギー相互作用要素102a、102b、例えばサセプタを含む。各サセプタフィルム106a、106bは、マイクロ波エネルギー透過性で寸法安定性の支持体又は支持層108a、108b、例えば紙に、それぞれ接合される。支持層108a、108bは、寸法安定性の波形ベース110の両側に接合される。
【0022】
この例では、ベース110は、一対の実質的に平面状のフェーシング層114a、114bによって対向表面に結合される複数のひだ112を備えることにより、ひだ112とフェーシング層114a、114bとの間に複数の絶縁空隙すなわち空間116を画定する、両面波形材である。種々の図において、絶縁ベースのひだ又は波形が、比較的角張った鋸歯形の形状を有するものとして示されていることに留意されたい。しかしながら、このような図は概略にすぎず、種々のひだが比較的丸みを帯びた正弦曲線状の形状を有していてもよいことを理解されたい。
【0023】
このような層のすべてが必ずしも特定のマイクロ波加熱用途に必要であるとは限らないかもしれない。さらに、場合によっては、構造の層は、構造の加熱、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げの能力に悪影響を及ぼすことなく配置換えされ得る。例えば、
図2乃至
図6は、それぞれが2つのサセプタ層及び1つの絶縁ベースを含む、
図1のマイクロ波エネルギー相互作用構造100のいくつかの例示的な変形形態を概略的に示している。種々の構造200、300、400、500、600は、言及される変形形態及び当業者に理解されるであろう変形形態を除き、
図1に示す構造100と同様の特徴を含む。簡単のために、同様の特徴の参照符号は、「1」の代わりに各図において「2」(
図2)、「3」(
図3)、「4」(
図4)、「5」(
図5)、又は「6」(
図6)で始まっている。
【0024】
一例として、
図2は、
図2の構造200が、実質的に平面状のフェーシング又は層(すなわち、「平坦側」)214a及び平坦側214aと反対の波形又はひだ付き構造又は層(「ひだ側」)212を備える片面波形ベース210を含むことを除き、
図1の構造100と同様の例示的なマイクロ波エネルギー相互作用構造200を示している。サセプタフィルム206b及び支持体208bが、ひだの最外点に(すなわち、ひだの段頂に対して縦横方向に)わたって延びて少なくとも部分的に接合されるように、実質的に平面構成でひだに接合される。絶縁空隙216が、基材204bと波形212との間にある。
【0025】
図3は、
図1の支持層108a、108bの無い例示的な構造300を示している。この例では、サセプタフィルム306a、306bが、波形ベース310のフェーシング層314a、314bに直接接合される。反対に、
図4は、フェーシングの無い波形ベース410を有する例示的な構造400を示している。この例では、ひだ412が、支持層408a、408bに直接接合されることにより、絶縁空隙416を画定する。サセプタフィルム406b及び支持体408bの相対位置が、
図1のサセプタフィルム106b及び支持体108bに対して反転されていることに留意されたい。これは、例えば、波形構造412及び支持体408bがそれぞれ紙から形成され、且つこのような層が互いに接着接合されているような構造を単純化し得る。しかしながら、構造400の外側に支持体408bがあるように層が構成され得ることも意図される。層314a、314b、及び層408a、408bが同様の材料(例えば、紙)から形成され得るため、
図3及び
図4の構造の形態及び/又は機能が同様であり得ることにも留意されたい。とはいえ、両方の構造300、400は、明確且つ完全にするために本明細書では概略的に示されている。所与の用途のために選択される特定の構造は、利用可能な材料、構造の形成に用いられるプロセス及び/若しくは機械の能力、並びに/又は多くの他の因子に応じて決まり得る。
【0026】
所望であれば、種々の構造のいずれかが、1つ又は複数の層の全部又は一部を貫通する1つ又は複数の開口又は切欠きを含んでいてもよい。このような開口は、さらに後述するように、任意の形状及び/又は構成を有し得るとともに種々の目的で用いられ得る。
【0027】
例えば、
図5の構造500は、波形ベース510が単一のフェーシング層514bを有することを除き、
図4の構造400と同様である。複数の開口又はスリット518が、第1のサセプタフィルム506a及び支持体508aを貫通することにより、波形又はひだ512及び絶縁空隙516を露出させる。所望であれば、支持層504aが、開口518を通して絶縁空隙516と開放連通する食品接触層又は表面としての役割を果たし得る。このような例では、食品が発生する水分が、開口518を通って空隙516に入ることができ、空隙516は、食品から水分を除去して食品の焼き色付け及び/又はカリカリ仕上げをさらに向上させる通気チャネルとしての役割を果たし得る。
【0028】
図6は、別のマイクロ波エネルギー相互作用構造600を概略的に示している。この例では、構造600は、
図6の構造600が、第1のサセプタフィルム606a及び支持体608aを貫通する複数の開口又はスリット618を含むことにより、ベース610のフェーシング614を露出させることを除いて、
図2の構造200と同様である。この例では、開口618は、鉄板又は焼き網で加熱した印象を与える焼き目を提供することができ、食品から水分を或る程度放出させることもできる。
【0029】
いくつかの例では、構造は、ひだ又は波形の面に実質的に接触関係で直接重なる1つ又は複数のサセプタ層、サセプタフィルム層、及び/又は支持層を含み得るため、その特定のサセプタ層、サセプタフィルム層、及び/又は支持層も波形又はひだ付きである。例えば、
図7は、第1の支持層708aに接合される第1のサセプタフィルム706a、片面波形ベース710のひだ付きすなわち波形側に重なる第2のサセプタフィルム706b、及び第2の支持層708cに接合される第3のサセプタフィルム706cを含む、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用構造700を概略的に示している。サセプタフィルム706a、706b、706cはそれぞれ、それぞれの基材704a、704b、704cに支持されるマイクロ波エネルギー相互作用材料702a、702b、702cの各層を備える。ベース710は、フェーシング層714及び複数のひだ712を備える。第2のサセプタフィルム706bは、波形であり、ひだ712に重なる。絶縁空隙716が、支持層708aとひだ712との間、及びフェーシング層714とひだ712との間にある。
【0030】
図8乃至
図11は、
図7のマイクロ波エネルギー相互作用構造700のいくつかの例示的な変形形態を概略的に示している。種々の構造800、900、1000、1100は、言及される変形形態及び当業者に理解されるであろう変形形態を除き、
図7に示す構造700と同様の特徴を含む。簡単のために、同様の特徴の参照符号は、「7」の代わりに各図において「8」(
図8)、「9」(
図9A及び
図9B)、「10」(
図10)、又は「11」(
図11)で始まっている。
【0031】
図8の構造800は、
図8の構造800が第3のサセプタフィルム706c及び支持体708cを含まないことを除き、
図7の構造700と同様である。さらに、この例では、複数の開口又はスリット818が、第1のサセプタフィルム806a及び支持体808aを貫通しているため、開口818は、空隙816及びベース810に重なる第2のサセプタフィルム806bと開放連通する。場合によっては、空隙816は、食品の焼き色付け及び/又はカリカリ仕上げを向上させる通気チャネルとしての役割を果たし得る。
【0032】
図9Aの構造900は、フェーシング層914が第1の支持層908aに接合されるようにサセプタ層806b及び波形ベース810が反転されることを除き、
図8の構造800と同様である。この構成では、支持層904aが食品接触表面であり得る。
図9Bに示すように、構造900を反転させると、基材904bが食品接触面となり得る。この後者の構成では、開口918は、電子レンジの床に隣接して構造900の底部側にある。開口918は、断熱の利益を提供することができ、且つ/又は構造900の周りの空気循環を改善することができる。
【0033】
図10は、さらに別の例示的なマイクロ波エネルギー相互作用構造1000を概略的に示している。構造1000は、開口918の無い
図9Aの構造900と同様である。
図11は、支持層1008の無い
図10の構造1000と同様である。
【0034】
本明細書で示され且つ/又は本明細書により意図される種々の構造を用いて、電子レンジ内の食品の加熱、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げのための多くの構造体が形成され得る。例えば、
図12は、例えば、ピザ、パニーニ、又は他の円形食品を載せて加熱するのに適した実質的に円形の加熱表面1202(
図12及び
図13において点描で概略的に図示)を有する、例示的なマイクロ波エネルギー相互作用構造体1200(例えば、ディスク)を示している。所望であれば、
図13に概略的に示すように、ディスク1200の縁を立ち上げて、加熱表面1304を包囲する立ち上がり周辺区域又は側壁1302を有するトレー1300を形成してもよい。このようなトレー1300(及び他の多く)は、例えば、従来の熱及び/又は機械プレス成形装置を用いて形成され得る。しかしながら、種々のマイクロ波エネルギー相互作用構造を用いて、任意のタイプの構造体、例えば、パッケージ、カートン、ディスク、スリーブ、パウチ、プラットフォーム等の全部又は一部を形成することができる。このような構造体のいずれも、適当な形状、例えば、正方形、矩形、三角形、楕円形、又は任意の他の規則的な若しくは不規則な形状を有することができる。
【0035】
無数の他のマイクロ波エネルギー相互作用構造及び構造体が、本開示によって意図される。前述のように、このような構造のいずれも、マイクロ波エネルギーに対して透過性である1つ又は複数の区域を含み得る。このようなマイクロ波エネルギー透過性区域は、マイクロ波エネルギーを透過させ、場合によっては、隣接する食品の加熱、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げを向上させる局所電場の形成を引き起こし得る。透過性区域は、加熱すべき食品の特定の領域の加熱、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げをカスタマイズするようにサイズ設定、位置決め、及び/又は配置され得る。
【0036】
例えば、
図14Aは、複数のマイクロ波エネルギー透過性区域1404、1406(白色で図示)を囲むサセプタ1402(点描で図示)を概して含む、マイクロ波加熱構造体1400(例えば、マイクロ波加熱ディスク)の上面図を概略的に示している。この例では、ディスク1400は実質的に円形である。しかしながら、任意の規則的又は不規則な形状を用いることができる。
【0037】
ディスク1400は、中央領域1408及び周辺領域1410を含む。ディスク1400の中央領域1408では、透過性区域1404が実質的に円形であり、マイクロ波エネルギー透過性区域1404の密度がディスク1400の中心から周辺領域1410の方へ外側に向かうにつれて減っている。しかしながら、他の構成も意図される。周辺領域1410では、マイクロ波エネルギー透過性区域1406が実質的に正方形であり、周辺領域のマイクロ波エネルギー相互作用材料が格子状の外観を呈するように行列配置される。上述のように、透過性区域の割合は、食品の所望の加熱、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げを達成するための必要に応じて変わり得る。このような区域は、後述するように、任意の適当な方法で形成することができる。
【0038】
図14Bは、
図14Aのマイクロ波加熱ディスク1400の一部の断面図を概略的に示している。マイクロ波加熱ディスク1400は、それぞれのマイクロ波エネルギー透過性基材1412a、1412b、例えばポリマーフィルム層に支持されて、まとめてそれぞれのサセプタフィルム又はサセプタフィルム層1414a、1414bを画定する、一対のマイクロ波エネルギー相互作用要素1402a、1402b、例えばサセプタを含む。各サセプタフィルム1414a、1414bは、マイクロ波エネルギー透過性で寸法安定性の支持体又は支持層1416a、1416b、例えば紙に、それぞれ接合される。支持層1416aは、片面波形材1418aのひだ側に接合されることにより、ひだ1422aと支持層1416aとの間に複数の絶縁空隙すなわち空間1420aを画定し、基材層1412bは、波形材1418aのフェーシング1424aに接合される。サセプタ1402aは、少なくとも1つの、いくつかの例では複数の、マイクロ波エネルギー透過性(すなわち、不活性)区域1404(又は1406、
図14A)を囲む。
【0039】
図15及び
図16は、
図14A及び
図14Bのマイクロ波エネルギー相互作用ディスク1400の例示的な変形形態を概略的に示している。マイクロ波加熱ディスク1500、1600は、言及される変形形態及び当業者に理解されるであろう変形形態を除き、
図14A及び
図14Bに示すディスク1400と同様の特徴を含み得る。簡単のために、同様の特徴の参照符号は、各図において「15」(
図15)又は「16」(
図16)で始まっている。
【0040】
図15に示す例では、マイクロ波加熱ディスク1500は、ひだ1522bが支持層1516bに接合されてひだ1522bに隣接する付加的な絶縁空隙1520bを画定する、波形材1518bの付加的な層を含む。
【0041】
図16に示す例では、サセプタフィルム1614b及び支持体1616bが、支持層1616aと波形材1618aのひだ1622aとの間に配置される。
【0042】
さらに多くの他の構造及び構造体が、本開示によって包含される。本明細書で説明されるか又は本明細書により意図されるこのような構造のいずれも、種々の材料から形成することができるが、典型的な電子レンジ加熱温度、例えば約250°F乃至約425°Fで軟化、焦げ、燃焼、又は劣化に対して材料に実質的に耐性があることが条件である。特定の使用材料として、マイクロ波エネルギー相互作用材料、例えば、サセプタ及び他のマイクロ波エネルギー相互作用要素の形成に用いられるもの、並びにマイクロ波エネルギー透過性又は不活性材料、例えば、ベース、基材、及び支持層の形成に用いられるものが挙げられ得る。
【0043】
マイクロ波エネルギー相互作用材料は、導電性又は半導電性材料、例えば、金属箔として提供される金属若しくは合金;真空蒸着金属若しくは合金;又は金属インク、有機インク、無機インク、金属ペースト、有機ペースト、無機ペースト又はそれらの任意の組み合わせであり得る。適し得る金属及び合金の例として、アルミニウム、クロム、銅、インコネル合金(ニオブを含有するニッケルクロムモリブデン合金)、鉄、マグネシウム、ニッケル、ステンレス鋼、スズ、チタン、タングステン、及びそれらの任意の組み合わせ又は合金が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
代替的に、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、金属酸化物を含み得る。適し得る金属酸化物の例として、必要があれば導電性材料と共に用いられるアルミニウム、鉄、及びスズの酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。適し得る金属酸化物の別の例は、酸化インジウムスズ(ITO)である。ITOは、加熱効果、遮蔽効果、焼き色付け及び/又はカリカリ仕上げ効果、又はそれらの組み合わせを与えるためのマイクロ波エネルギー相互作用材料として用いることができる。例えば、サセプタを形成するために、ITOが透明ポリマーフィルムにスパッタされ得る。スパッタリングプロセスは、通常、金属蒸着に用いられる蒸着プロセスよりも低い温度で行われる。ITOは、より均一な結晶構造を有するため、ほとんどの膜厚で透明である。さらに、ITOは、加熱効果又は電磁場制御(field management)効果のために用いることができる。ITOは、金属よりも欠陥が少ないことにより、ITOの厚肉被膜をアルミニウム等の金属の厚肉被膜よりも電磁場制御に適したものにも、し得る。
【0045】
さらに代替的に、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、適当な導電性、半導電性、又は非導電性の人工誘電体又は強誘電体を含み得る。人工誘電体は、ポリマー又は他の適当なマトリックス又は結合剤内に細分化される導電性材料を含み、導電性金属、例えばアルミニウムのフレークを含み得る。
【0046】
図示の例示的な構造体では、サセプタが本明細書で詳述されているが、マイクロ波エネルギー相互作用要素は、代替的に又は付加的に、食品の1つ又は複数の選択部分をマイクロ波エネルギーから遮蔽するのに十分な厚さを有する箔を備えていてもよい。このような「遮蔽要素」は、食品が加熱中に焦げがち又は乾燥しがちな場合に用いられ得る。
【0047】
遮蔽要素は、遮蔽要素を用いる特定の用途に応じて、種々の材料から形成され得るとともに種々の構成を有し得る。通常、遮蔽要素は、導電性の反射性金属又は合金、例えば、アルミニウム、銅、又はステンレス鋼から形成される。遮蔽要素は、概して、約0.000285インチ乃至約0.05インチの厚さを有し得る。一例では、遮蔽要素は、約0.0003インチ乃至約0.03インチの厚さを有し得る。別の例では、遮蔽要素は、約0.00035インチ乃至約0.020インチ、例えば約0.016インチの厚さを有し得る。
【0048】
さらに別の例として、マイクロ波エネルギー相互作用要素は、限定はされないが、米国特許第6,204,492号、同第6,433,322号、同第6,552,315号、及び同第6,677,563号に記載のもの等のセグメント化された箔を含み得る。セグメント化された箔は連続的ではないが、このようなセグメントの適当に離間した配置が、遮蔽要素として働き得る。このような箔は、サセプタ要素と組み合わせて用いることもでき、セグメント化された箔の構成及び位置決めに応じて、セグメント化された箔は、マイクロ波エネルギーを遮蔽するのではなくマイクロ波エネルギーを導いて加熱を促進させるように働く場合がある。
【0049】
所望であれば、本明細書で説明されるか又は本明細書により意図される多くのマイクロ波エネルギー相互作用要素の任意のものは、実質的に連続的であってもよく、すなわち実質的な中断部又は途切れがなくてもよく、又は例えばマイクロ波エネルギーを透過させる1つ又は複数の中断部又は開口を含むことによって不連続であってもよい。中断部又は開口は、食品の特定の領域を選択的に加熱するようにサイズ設定及び位置決めされ得る。中断部又は開口は、構造の全厚を貫通してもよく、又は1つ又は複数の層のみを貫通してもよい。このような中断部又は開口の数、形状、サイズ、及び位置決めは、形成される構造体のタイプ、その中又は上で加熱すべき食品、所望の遮蔽、焼き色付け、及び/又はカリカリ仕上げの程度、食品の均一な加熱を得るためのマイクロ波エネルギーへの直接露出の必要又は所望の有無、直接加熱中に食品の温度変化を調節する必要性、並びに通気の必要の有無及び必要な通気の程度に応じて、特定の用途ごとに変わり得る。
【0050】
開口が、構造体の形成に用いられる1つ又は複数の層又は材料にある物理的な開口又は空隙(例えば、
図5、
図6、
図8、
図9A、
図9Bの518、618、818、918を参照)であってもよく、又は非物理的な「開口」(例えば、
図14A乃至
図16の1404、1406、1504、1604)であってもよいことを理解されたい。非物理的な開口は、構造に切り込まれた実際の空隙又は孔を用いずに、マイクロ波エネルギーを構造に通過させることができるマイクロ波エネルギー透過性区域である。このような区域は、単に特定の区域にマイクロ波エネルギー相互作用材料を加えないことによって、又は特定の区域のマイクロ波エネルギー相互作用材料を除去することによって、且つ/又は特定の区域のマイクロ波エネルギー相互作用材料を化学的及び/又は機械的に不活性化することによって、形成され得る。物理的な開口及び非物理的な開口の両方が、マイクロ波エネルギーによる食品の直接加熱を可能にするが、物理的な開口は、湯気又は他の蒸気が構造体の内部から逃げることを可能にする通気機能も提供する。化学的不活性化が用いられる場合、非物理的な開口が、化学変化したがマイクロ波エネルギー透過性である形態の金属を含むように、不活性化区域の金属が化学変化、例えば酸化させられ得ることに留意されたい。
【0051】
上述のように、マイクロ波エネルギー相互作用要素のいずれも、ポリマーフィルム又は他の適当なポリマー材料を含む基材に支持され得る。本明細書で用いられる場合、用語「ポリマー」又は「ポリマー材料」は、単独重合体、例えばブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、及び交互共重合体等の共重合体、三元共重合体等、並びにそれらのブレンド及び変性物を含むが、これらに限定されない。さらに、別段の制限がない限り、用語「ポリマー」は、分子のあらゆる可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの構成として、イソタクチック、シンジオタクチック、及びランダムシンメトリが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
適し得るポリマーフィルムの例として、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、セロハン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。紙及び紙積層体、金属酸化物、ケイ酸塩、セルロース誘導体、又はそれらの任意の組み合わせ等の他の非導電基材材料も、用いられ得る。
【0053】
特定の一例では、ポリマーフィルムは、ポリエチレンテレフタレートを含む。基材として用いるのに適し得るポリエチレンテレフタレートフィルムの例として、DuPont Teijan Films(Hopewell, Virginia)から市販されているMELINEX(登録商標)、及びSKC, Inc.(Covington, Georgia)から市販されているSKYROLが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、市販のサセプタ、例えば、Graphic Packaging International(Marietta, Georgia)からいずれも入手可能なQWIKWAVE(登録商標)Focusサセプタ及びMICRORITE(登録商標)サセプタで用いられる。
【0054】
フィルムの厚さは、概して、約35ゲージ乃至約10ミルであり得る。一例では、フィルムの厚さは、約40ゲージ乃至約80ゲージである。別の例では、フィルムの厚さは、約45ゲージ乃至約50ゲージである。さらに別の例では、フィルムの厚さは、約48ゲージである。
【0055】
マイクロ波エネルギー相互作用材料は、任意の適当な方法で基材に加えることができ、場合によっては、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、基材の上に印刷、押し出し成形、スパッタ、蒸着、又はラミネートされる。マイクロ波エネルギー相互作用材料は、食品の所望の加熱効果を得るために、任意のパターンで、且つ任意の技法を用いて、基材に加えることができる。
【0056】
例えば、マイクロ波エネルギー相互作用材料は、円、ループ、六角形、島、正方形、矩形、八角形等を含む連続的な又は不連続な層又は被膜として設けられ得る。適し得る種々のパターン及び方法の例は、米国特許第6,765,182号、同第6,717,121号、同第6,677,563号、同第6,552,315号、同第6,455,827号、同第6,433,322号、同第6,414,290号、同第6,251,451号、同第6,204,492号、同第6,150,646号、同第6,114,679号、同第5,800,724号、同第5,759,422号、同第5,672,407号、同第5,628,921号、同第5,519,195号、同第5,424,517号、同第5,410,135号、同第5,354,973号、同第5,340,436号、同第5,266,386号、同第5,260,537号、同第5,221,419号、同第5,213,902号、同第5,117,078号、同第5,039,364号、同第4,963,424号、同第4,936,935号、同第4,890,439号、同第4,775,771号、同第4,865,921号、米国再発行特許第34,683号に提供されている。マイクロ波エネルギー相互作用材料のパターンの特定の例が本明細書で図示及び説明されているが、マイクロ波エネルギー相互作用材料の他のパターンも本開示により意図されることを理解すべきである。
【0057】
種々の波形材を用いて、マイクロ波エネルギー相互作用構造が形成され得る。波形材は、ひだの長さに沿って延びる長手方向と、ひだを横切って延びる横方向とを有する。波形材は、材料を長手方向に曲げると比較的硬く、横方向に曲げると比較的柔軟であり得る。したがって、構造体の剛性を高めるために構造要素が加えられ得ることが意図される。反対に、特定の用途に必要又は所望であれば、構造体が、構造を弱める要素、例えば刻み目を含み得ることも意図される。適し得る片面波形材として、ひだサイズA、B(47個のひだ/リニアフィート)、E(90個のひだ/リニアフィート)、又は任意の他のサイズが挙げられるが、これらに限定されない。適し得る両面波形材として、ひだサイズB、C、E、及びFが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
種々の材料を用いて、支持体が形成され得る。例えば、支持体の全部又は一部が、紙又は板紙材料から少なくとも部分的に形成され得る。一例では、支持体は、約15lbs/ream乃至約60lbs/ream(lb/3000平方フィート)、例えば約20lbs/ream乃至約40lbs/reamの坪量を概して有する紙から形成される。別の例では、紙は、約25lbs/reamの坪量を有する。別の例では、支持体は、約60lbs/ream乃至約330lbs/ream、例えば約80lbs/ream乃至約140lbs/reamの坪量を有する板紙から形成される。板紙は、概して、約6ミル乃至約30ミル、例えば約12ミル乃至約28ミルの厚さを有し得る。特定の一例では、板紙は、約12ミルの厚さを有する。任意の適当な板紙、例えば、Graphic Packaging Internationalから市販されている、無地漂白又はSUS(登録商標)ボード等の無地無漂白のクラフト板紙が用いられ得る。
【0059】
別の例として、支持体は、ポリマー又はポリマー材料から少なくとも部分的に形成され得る。適し得るポリマーの1つは、ポリカーボネートである。適し得る他のポリマーの他の例として、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びその共重合体;ポリテトラフルオロエチレン;ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、例えば共押出ポリエチレンテレフタレート;ビニルポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール;アクリル樹脂、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、及びポリメチルメタクリレート;ポリアミド、例えばナイロン6,6;ポリスチレン;ポリウレタン;セルロース樹脂、例えば、硝酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸酪酸セルロース、エチルセルロース;上記材料のいずれかの共重合体;又はそれらの任意のブレンド若しくは組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
種々の構造体は、接着結合、熱結合、超音波結合、機械的縫合、又は任意の他の適当なプロセスの使用を含む、当業者に既知の多くのプロセスに従って形成され得る。構造体の形成に用いられ得る種々の層のいずれも、材料シート、材料ロール、又は形成すべき構造体の形状の打ち抜き材料として提供することができる。
【0061】
場合によっては、本明細書で説明されるか又は本明細書により意図される種々の構造体の1つ又は複数のパネルが、ワニス、粘土、又は他の材料を単独で又は組み合わせで用いて被覆され得る。続いて、被膜上に、製品広告又は他の情報若しくは画像を印刷してもよい。構造体に印刷されている情報があればそれを保護するために、構造体を被覆することもできる。さらに、構造体の片側又は両側を、例えば水分バリア層で被覆してもよい。
【0062】
代替的に又は付加的に、構造又は構造体のいずれかが、吸収性、撥水性、不透明性、色、印刷適性、剛性、又は緩衝性等の他の特性を与えるために、他の材料で被覆又はラミネートされてもよい。例えば、吸収性サセプタは、2004年8月25日付けで出願された米国仮出願第60/604,637号及び2006年3月9日付けで公開された米国特許出願公開第2006/0049190号に記載されている。さらに、構造又は構造体には、図形又は印が印刷されてもよい。
【0063】
本開示の種々の態様を、以下の実施例からさらに理解することができるが、以下の実施例は、いかなる形での制限も意図されない。
【0064】
[実施例]
[実施例1乃至7]
Nestleのパニーニサンドイッチを加熱することによって、本開示による種々の構造体の性能を評価した。各パニーニサンドイッチを評価対象の構造体に載せて、ターンテーブルを備えるPanasonicの1100W電子レンジに入れ、最大出力で約8分間加熱した。結果を表1に示し、表1には、構造体の種々の層が食品接触側から電子レンジ側の順で記載されている。金属化フィルム(すなわち、サセプタフィルム)が構造体の最外層を形成している場合、サセプタフィルムの金属化側が内向きであり、ポリマーフィルムが外向きであることを理解されたい。
【0066】
[実施例8乃至11]
市販のTombstoneの冷凍9インチ径デラックスピザを加熱することによって、本開示による種々の構造体の性能を評価した。各ピザを評価対象の構造体に載せて、ターンテーブルを備えるPanasonicの1100W電子レンジに入れ、最高出力で約8分間加熱した。結果を表2に示す。
【0068】
特に、実施例10の構造体は、実施例8の構造体と比較してピザの下が著しく高温になったが、ピザの外側の外縁が焦げなかった。したがって、実施例10の構造体は、実施例8の構造体よりも高い加熱力だが緩やかな加熱を示した。実施例11の構造体は、マイクロ波エネルギーに曝されたときに最高温になった。したがって、食品の焼き色付け及び/又はカリカリ仕上げのために達することが望ましい温度が高くなるほど、用いるサセプタ層の数が増やされ得る。
【0069】
[実施例12乃至13]
市販のTombstoneの10インチ径デラックスピザを加熱することによって、本開示による種々の構造体の性能を評価した。各ピザを評価対象の構造体に載せて、ターンテーブルを備えるPanasonicの1100W電子レンジに入れ、最高出力で約8分間加熱した。結果を表3に示す。
【0071】
特定の実施形態を或る程度詳細に説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに開示された実施形態に多くの変更を加えることができる。方向に関する言及(例えば、上側、下側、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、上部、底部、上、下、垂直、水平、時計方向、及び反時計方向)はすべて、読者が本発明の種々の実施形態を理解するのを助けるために識別目的で用いられているにすぎず、特許請求の範囲に明記されない限り、特に本発明の位置、向き、又は使用に関して制限を課すものではない。結合に関する言及(例えば、接合、取り付け、結合、接続等)は、広義に解釈されるべきであり、要素の接続部間の中間部材及び要素間の相対移動を含み得る。したがって、結合に関する言及は、2つの要素が互いに固定関係で直接接続されることを必ずしも意味するわけではない。
【0072】
種々の実施形態に関して説明した種々の要素が、本発明の範囲内に入る全く新しい実施形態を作るために入れ替えられ得ることが、当業者には認識されるであろう。上記説明に含まれるか又は添付図面に示されるすべての事項が、説明にすぎず限定ではないものと解釈されるものとすることが意図される。本発明の精神から逸脱せずに、細部又は構造の変更を行うことができる。本明細書に記載される詳細な説明は、本発明を制限することも、本発明のこうした他の実施形態、適合形態、変形形態、変更形態、及び同等構成を排除することも意図しておらず、またそのように解釈されるべきでもない。
【0073】
したがって、本発明の上記詳細な説明を鑑みて、本発明に幅広い実用性及び用途があることが、当業者には容易に理解されるであろう。本明細書に記載のもの以外の本発明の多くの適合形態、並びに多くの変形形態、変更形態、及び同等構成が、本発明の実体又は範囲から逸脱せずに、本発明及びその上記詳細な説明から明らかとなるか又は当然示唆される。
【0074】
本発明は、特定の態様又は実施形態に関して本明細書で詳細に説明されているが、この詳細な説明が、本発明の説明及び例示にすぎず、完全且つ実施可能な開示を提供する目的で行われているにすぎないことを理解されたい。本明細書に記載の詳細な説明は、本発明を制限することも、本発明のこうした他の実施形態、適合形態、変形形態、変更形態、及び同等構成を排除することも意図しておらず、またそのように解釈されるべきでもない。