特許第5763746号(P5763746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5763746放射線硬化性アミノ(メタ)アクリレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763746
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】放射線硬化性アミノ(メタ)アクリレート
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/83 20060101AFI20150723BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20150723BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20150723BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20150723BHJP
   C09D 11/10 20140101ALI20150723BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   C08G18/83
   C08F290/06
   C09D4/02
   C09J4/02
   C09D11/10
   C08G18/67
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-505394(P2013-505394)
(86)(22)【出願日】2011年4月11日
(65)【公表番号】特表2013-530259(P2013-530259A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2011055604
(87)【国際公開番号】WO2011131501
(87)【国際公開日】20111027
【審査請求日】2014年1月15日
(31)【優先権主張番号】10160332.2
(32)【優先日】2010年4月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505365965
【氏名又は名称】オルネクス ベルギー エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
(74)【代理人】
【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100117569
【弁理士】
【氏名又は名称】亀岡 幹生
(74)【代理人】
【識別番号】100097870
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 斎子
(72)【発明者】
【氏名】デリュイテール、グザビエ
(72)【発明者】
【氏名】ランドー、ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】サルヴィアト、ジャン − イブ
(72)【発明者】
【氏名】デ ワエル、リュック
【審査官】 福井 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−511537(JP,A)
【文献】 特開2002−060442(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/076665(WO,A1)
【文献】 特表2009−541553(JP,A)
【文献】 特開平08−259660(JP,A)
【文献】 特表2008−545859(JP,A)
【文献】 特開2004−196864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08L
C08F
C09D
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアミン(A)と、15〜99重量%の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート(B)及び1〜85重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(C)を含む混合物とを反応させることによって得られるアミノ(メタ)アクリレートを含む放射線硬化性組成物であって、
アミン(A)が、少なくとも1つの第一級アミノ基−NHを含む第一級アミン(A1)及び/又は少なくとも2つの第二級アミノ基−NHを含む第二級アミン(A2)から選択され、
アミン(A)が、ウレタン(メタ)アクリレート(B)及び(メタ)アクリレート化希釈剤(C)によって提供される(メタ)アクリル二重結合に対するアミン(A)からのアミノ基−N−Hの当量比が0.01〜0.9となるような量で用いられる、
上記放射線硬化性組成物
【請求項2】
アミン(A1)が、式R−NH(式中、Rはヒドロキシル、アルコキシ、第三級アミン及び/又はアリールで任意選択で置換されたアルキルである)に相当する、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
ウレタン(メタ)アクリレート(B)が、2〜4個の(メタ)アクリレート官能基を含む、請求項1又は2に記載の組成物
【請求項4】
ウレタン(メタ)アクリレート(B)がウレタンジ(メタ)アクリレートである、請求項1から3までのいずれかに記載の組成物
【請求項5】
(メタ)アクリレート化希釈剤(C)が、トリ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート及び/又はモノ(メタ)アクリレートから選択される、請求項1から4までのいずれかに記載の組成物
【請求項6】
(メタ)アクリレート化希釈剤(C)がジ(メタ)アクリレートである、請求項1から5までのいずれかに記載の組成物
【請求項7】
アミン(A)の量が、ウレタン(メタ)アクリレート(B)及び(メタ)アクリレート化希釈剤(C)によって提供される(メタ)アクリル二重結合に対する、アミン(A)によって提供されるアミノ基−N−Hの当量比が0.1〜0.9となるような量である、請求項1から6までのいずれかに記載の組成物
【請求項8】
5重量%〜99重量%の、少なくとも1つの請求項1から7までのいずれかに記載の組成物を含む放射線硬化性コーティング組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(D)をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
(メタ)アクリレート化希釈剤(D)が、ジ(メタ)アクリレート及び/又はモノ(メタ)アクリレートから選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
(メタ)アクリレート化希釈剤(D)がモノ(メタ)アクリレートである、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
コーティング剤、接着剤、インク又はワニスを調製するのに適した放射線硬化性組成物における、請求項1から7までのいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項13】
フロアをコーティングするための方法であって、
フロア基材に請求項8から11までのいずれかに記載の放射線硬化性コーティング組成物の1つ又は複数の層を塗布すること、及び、放射線に曝露することによって塗布された組成物を硬化させることを含む上記方法。
【請求項14】
フロアが木材フロアである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項8から11までのいずれかに記載の組成物の1つ又は複数の層を塗布するステップに、プライマーコートを塗布するステップを先行させ、トップコートを塗布するステップを後行させる、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリレートとアミンの付加反応によって得られるアミノ(メタ)アクリレート及び工業用コーティング剤に適した放射線硬化性組成物におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
木材は自然の美を有しており、リビングルームにおいて温かい雰囲気を与えるので、木材フローリングは常に多くの成功をもたらしている。木材又は積層板フローリングは厳しい要求がなされている用途であり、非常に良好な耐摩損性(wear resistance)を必要とする。耐摩損性は、コア材料とコーティング性能の両方に依存する。
【0003】
放射線硬化性組成物は、その優れた耐引っかき性及び耐摩損性のため、寄木張り及び積層板の仕上げにおいて長年使用されてきており、高い評判を得ている。UV/EB硬化は、非常に費用効果の高いスリム化された生産工程も可能にする。実際、パネルを、無溶媒の100%固体系でローラーコーティングし、直ちにオンラインUV/EB硬化ステップへと進むことができる。
【0004】
良好な耐摩耗性(abrasion resistance)、特に砂のような微細な硬質粒子の磨耗作用に対する良好な耐性は、寄木張り及び積層板のフローリングに特に望ましい。この種の耐摩耗性のための特殊なウレタン(メタ)アクリレートが開発されており、これらは市販されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば、優れた接着性、耐引っかき性及び耐摩耗性と一緒に、改善された硬化反応性を有するコーティングが得られるようにするウレタン(メタ)アクリレートは引き続き市場において要求されている。約25〜30m/分という一般的な木材コーティングライン速度に適した反応性を有するウレタン(メタ)アクリレートがさらに要求されている。
【0006】
(メタ)アクリレート化合物のアミノ化は公知である。例えば、WO02/32851は、(メタ)アクリル酸とアルコール又はポリオールとを反応させて得られるα,β−不飽和エステルのアミノ化のためのDMA(ジメチルアミン)の使用を記載している。アミン/α,β−不飽和エステル付加体は、ウレタン(メタ)アクリレートのようなポリマー前駆体とブレンドして放射線硬化させることができる。しかし、アミン/α,β−不飽和エステル付加体には残留アミンが存在しないので、WO02/32851では、ウレタン(メタ)アクリレートのアミノ化を行っていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
こうした背景に対して、我々はここに、少なくとも1つのアミン(A)と、15〜99重量%の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート(B)及び1〜85重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(C)を含む混合物(M)とを反応させることによって得られるアミノ(メタ)アクリレートを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明では、「(メタ)アクリル」という用語は、アクリル化合物又は誘導体とメタクリル化合物又は誘導体の両方並びにそれらの混合物を包含するものと理解すべきである。「(メタ)アクリレート化」された化合物はより具体的には、少なくとも1つのアクリレート(CH=CHCOO−)基及び/又は少なくとも1つのメタクリレート(CH=CCHCOO−)基を含む化合物を意味する。アクリレート基とメタクリレート基の両方が存在する場合、それらは、同じ化合物上に存在しても異なる化合物上に存在してもよい。
【0009】
本発明のアミノ(メタ)アクリレートを調製するのに使用するアミン(A)は、第一及び/又は第二級アミンから選択することができる。本発明のアミノ(メタ)アクリレートを調製するのに使用するアミン(A)は一般に、少なくとも1つの第一級アミノ基−NHを含む第一級アミン(A1)及び/又は少なくとも2つの第二級アミノ基−NHを含む第二級アミン(A2)から選択される。そうした第二級アミン(A2)の使用は鎖の延長を可能にする利点を有している。鎖延長は、それによって少なくとも2つの(メタ)アクリレート化合物(B)、又は少なくとも2つの(メタ)アクリレート化合物(C)、又は少なくとも1つの(メタ)アクリレート化化合物(B)及び少なくとも1つの(メタ)アクリレート化合物(C)が、アミン(A2)の中間体により結合する反応を意味する。しかし、一般に、少なくとも1つの第一級アミノ基−NHを含む第一級アミン(A1)の使用が好ましい。
【0010】
本発明で使用する第一級アミン(A1)は31〜300ダルトン、より好ましくは45〜250ダルトンの重量平均分子量(MW)を有することが好ましい。本発明では、分子量は一般にアミン(A1)の化学式から計算される。
【0011】
適切なアミン(A1)は式R−NH(I)に相当する。ここでRは、ヒドロキシ、アルコキシ、第三級アミン及び/又はアリールで任意選択で置換されたアルキルを表す。
【0012】
アミン(A1)は例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソ−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソ−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−メチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソ−ノニルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、5−アミノペンタノール、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、イソ−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、Ν,Ν−ジメチルアミノネオペンチルアミン、2−(ジエチルアミノ)エチルアミン、1−メチル−4−(ジエチルアミノ)ブチルアミン、2,2−(ジ−tert−ブチルアミノ)エチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、1−メトキシイソプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−(2−メトキシエトキシ)プロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、フルフリルアミン及びそれらの混合物の1つ又は複数から選択することができる。
【0013】
そのアルキル基が1つ又は複数のヒドロキシ基で任意選択で置換された1〜30個の炭素原子、具体的には1〜18個の炭素原子、より具体的には1〜14個の炭素原子を含むアルキルアミン(A1)が好ましい。
【0014】
本明細書で用いる「アルキル」という用語は直鎖状、分岐状若しくは環状部分又はそれらの組合せを有する飽和一価炭化水素基を含むものと定義される。
【0015】
特に好ましいものは、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、5−アミノペンタノール、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、イソ−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及びそれらの混合物である。特に好ましいものは、エタノールアミン、イソ−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及びそれらの混合物である。最も好ましいものはエタノールアミン、特にモノエタノールアミンである。
【0016】
本発明で使用するのに適した第二級アミン(A2)は、式RHN−R−NHR(II)に相当する。ここで、R及びRはそれぞれ独立に、ヒドロキシ、アルコキシ、第三級アミン及び/又はアリールで任意選択で置換されたアルキルを表す。但し、R及びRは結合して環を形成することができ、Rは、最大で50個の炭素原子(一般に最大で20個の炭素原子)を含み、1〜20個のエーテル架橋(一般に1〜8個のエーテル架橋)及び/又は1〜3個の第三級アミン架橋を含むことができるアルキレン及びアラルキレン鎖の基から選択される。本明細書で用いる「アルキレン」という用語は、二価の直鎖状、分岐状又は環状炭化水素基を表すことを意味する。本明細書で用いる「アラルキレン」という用語は、1個又は複数の水素基がアリール基で置き換えられたアルキレンを表すことを意味する。
【0017】
好ましくは、Rは、エチレン、1,2−プロピレン、トリメチレン、ヘキサメチレン、2,2−ジメチルプロピレン、1−メチルトリメチレン、1,2,3−トリメチルテトラメチレン、2−メチル−ペンタメチレン、2,2,4−(又は2,4,4−)トリメチルヘキサメチレン、メタキシリレン、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル−1−エン−3−メチレン、ビス(シクロヘキシル−4−エン)メタン、ビス(4−メチルシクロヘキシル−3−エン)メタン、シクロヘキシル−1,3−エン、シクロヘキシル−1,4−エン、1,4−ビス(プロポキシル−3−エン)ブタン、N,N−ビス(トリメチレン)メチルアミン、3,6−ジオキサオクチレン、3,8−ジオキサドデシレン、4,7,10−トリオキサトリデシレン、ポリ(オキシテトラメチレン)、2〜15個の1,2−プロピレンオキシド単位を有するポリ(オキシプロピレン)、2〜15個のプロピレンオキシド及び2〜15個のエチレンオキシド単位を有するポリ(オキシプロピレン−コ−オキシエチレン)、2,2−ジメチルプロピレンの二価基の群から選択される。
【0018】
好ましい環状第二級アミンはジアザ−シクロペンタン、ペンテン、ヘキサン、ヘキセン、ヘプタン及びヘプテンである。特に好ましい第二級アミン(A2)は、2−メチルピペラジン、ジ−tert−ブチルエタンジアミン(N,N’−ジ−tert−ブチルエタンジアミンとも称される)及びそれらの混合物である。
【0019】
本発明において、(メタ)アクリレート化希釈剤(C)は、ウレタン(メタ)アクリレート(B)がそれと可溶性又は混和性である(メタ)アクリレート化化合物を表すことを意味する。
【0020】
好ましい(メタ)アクリレート化希釈剤(C)は、室温で液体であるか、又は、25℃で1〜2000mPa.sの粘度を示すもの、特に1〜200mPa.sの粘度を有するものである。本発明における粘度測定は、以下で説明する方法によって実施した。
【0021】
本発明で使用できる(メタ)アクリレート化希釈剤(C)の例は、β−カルボキシエチルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレートモノ(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、tert−デカン酸グリシジルエステルの(メタ)アクリル酸エステル、及び場合によりその(メタ)アクリレート化エトキシ化及び/又はプロポキシ化誘導体(例えば(メタ)アクリレート化エトキシ化及び/又はプロポキシ化トリメチロールプロパン、グリセロール、ネオペンチルグリコール及び/又はペンタエリスリトール;フェノキシエチル(メタ)アクリレートのエトキシ化及び/又はプロポキシ化誘導体など)である。
【0022】
本発明で使用する(メタ)アクリレート化希釈剤(C)は、1つ又は複数のモノ(メタ)アクリレート、1つ又は複数のジ(メタ)アクリレート及び/又は1つ又は複数のトリ(メタ)アクリレートから選択することができる。それらは、1つ又は複数のモノ(メタ)アクリレート及び/又は1つ又は複数のジ(メタ)アクリレートから選択されることが好ましい。好ましくは、これらの(メタ)アクリレート化希釈剤は、β−ヒドロキシ基を含まない。
【0023】
ジ(メタ)アクリレートが、特に好ましい。
【0024】
一般に、ポリオール、特にジオールの(メタ)アクリレートが用いられる。
【0025】
適切なものは、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリトリ(メタ)アクリレート及びそれらの混合物である。特に適切なものは、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びそれらの混合物である。それらのアクリレートは最も好ましい。
【0026】
ウレタン(メタ)アクリレートは、当業界で周知のものであり、市販されている製品である。本発明では、ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、式(III)に相当する少なくとも1つのカルバメート基及び式(IV)に相当する少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む化合物を表すことを意味する。ここで、Rは水素原子又はメチル基である。
【化1】
【0027】
好ましくは、本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレート(B)は、10〜500%、より好ましくは50〜300%の破断点伸び(elongation at break)を有する可撓性ウレタン(メタ)アクリレートである。破断点伸びは、ASTM D638による、ウレタン(メタ)アクリレートの放射線硬化した薄いフリーフィルム(thin free−film)の引張試験によって測定する。
【0028】
本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレート(B)は、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであっても芳香族ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
【0029】
適切なウレタン(メタ)アクリレート(B)の例には、EBECRYL(登録商標)204、EBECRYL(登録商標)205、EBECRYL(登録商標)210、EBECRYL(登録商標)230、EBECRYL(登録商標)270等の名称で市販されているものが含まれる。
【0030】
好ましくは、本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレート(B)は少なくとも2つの(メタ)アクリレート基、好ましくは多くて6つ、より好ましくは多くて4つの(メタ)アクリレート基を含む。
【0031】
本発明で使用するようなウレタン(メタ)アクリレート(B)は、好ましくは、2つ又は3つの(メタ)アクリレート基、特に2つ又は3つのアクリレート基を含む。特に適しているものは、ウレタンジ(メタ)アクリレートであり、より好ましいのはウレタンジアクリレートである。
【0032】
本発明で使用するようなウレタン(メタ)アクリレート(B)は、一般に:
(a)少なくとも1つのポリイソシアネート、
(b)少なくとも1つのヒドロキシ(メタ)アクリレート、及び
(c)任意選択で、少なくとも1つのポリオール
の反応によって得られる。
【0033】
ウレタン(メタ)アクリレート(B)の調製において使用されるポリオールは、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカーボネートポリオール及び/又はそれらの混合物から選択することができる。本明細書ではポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含み、GPCで測定して少なくとも400ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有するアルコールを意味する。本発明の関連でのGPC測定は、以下で説明する方法にしたがって実施される。好ましいポリオールは、2〜4個のヒドロキシル基及び500〜5000ダルトンのMwを有するものである。ポリオールは好ましくは3000を超えない、好ましくは1000を超えないMwを有する。特に好ましいのは、例えばポリプロピレングリコールなどのジオールである。
【0034】
ウレタン(メタ)アクリレート(B)の調製において使用されるポリイソシアネートは、少なくとも2個のイソシアネート官能基、好ましくは多くて6個のイソシアネート官能基、より好ましくは多くて4個のイソシアネート官能基を含む芳香族、脂環式及び/又は脂肪族ポリイソシアネートであってよい。好ましいのは、ジ−イソシアネート、例えばヘキサメチレン−ジイソシアネート(HMDI)、イソホロン−ジイソシアネート(IPDI)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、トルエン−ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチル−m−キシレンジイソシアネート;それらのジ−、トリ−若しくはオリゴマー(ポリマー状であるジフェニルメタンジイソシアネートMondur(登録商標)MR L、又はMondur(登録商標)MLの名称で市販されている高い割合の2,4’異性体を含むジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体混合物など);及び/又はポリオールとのその付加体である。任意選択で、上記したイソシアネートのイソシアネート官能性ビウレット、アロファネート、ウレトジオン及びイソシアヌレートを用いることができる。好ましいのは、イソホロン−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン及びトルエン−ジイソシアネートである。最も好ましいのは、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン及びトルエン−ジイソシアネートである。
【0035】
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物は、少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む化合物を表すことを意味する。本発明で使用するのに適した化合物は、アルキル鎖中に1〜20個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのような、少なくとも1つのヒドロキシ官能基がフリーである直鎖状又は分岐状ポリオールの(メタ)アクリルエステルである。好ましいものは、アルキル鎖中に1〜20個の炭素原子を含むモノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。適切な化合物の例には、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン−ヒドロキシエチルアクリレート付加体及びそれらの(ポリ)エトキシ化及び/又は(ポリ)プロポキシ化同等物並びにそれらの混合物が含まれる。アクリレートが好ましい。ヒドロキシエチルアクリレート及び/又はヒドロキシルプロピルアクリレートが特に適している。
【0036】
アミン(A)との反応のために本発明で使用する混合物は、15〜99重量%の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート(B)及び1〜85重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(C)を含む。一般に、この混合物におけるウレタン(メタ)アクリレート(B)の量は少なくとも25重量%であり、しばしば少なくとも30重量%である。一般に、この混合物における(メタ)アクリレート化希釈剤(C)の量は多くて75重量%であり、しばしば多くて70重量%である。
【0037】
アミン(A)との反応のために本発明で使用する混合物は、好ましくは30〜99重量%の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート(B)及び1〜70重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(C)を含む。本明細書では重量割合は、本発明のアミノ(メタ)アクリレートを調製するのに使用される混合物(M)の全量に対してである。
【0038】
一般に、混合物(M)におけるウレタン(メタ)アクリレート(B)及び(メタ)アクリレート化希釈剤(C)の重量割合は合計すると最大で100%である。本発明では通常、本発明のアミノ(メタ)アクリレートを調製するために、化合物(A)、(B)及び(C)以外の試薬を使用しない。
【0039】
(メタ)アクリレートとアミンの反応はマイケル付加反応として公知である。この反応は、(メタ)アクリレートの炭素−炭素二重結合上でのアミンの付加によって起こる。ウレタン(メタ)アクリレートとアミンの反応は、触媒又は溶媒を用いることなく行うことができる。この反応は、−30〜150℃の温度で実施することができる。好ましい温度は25〜100℃である。溶媒は必要としないが、熱や質量の移動を容易にするために溶媒を使用することができる。
【0040】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレートは、一般にアミン(A)と、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート(B)及び少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(C)を含む混合物とを、ウレタン(メタ)アクリレート(B)及び(メタ)アクリレート化希釈剤(C)によって提供される(メタ)アクリル二重結合に対するアミン(A)からのアミノ基−N−Hの当量比が0.01〜0.9となるようなアミンの量で反応させることによって得られる。したがって、第一級アミン(A1)を使用する場合、−N−H基の数は第一級アミンによって提供される−NH基の数の2倍と計算される。好ましくは、アミン(A)の量は、(B)及び(C)によって提供される(メタ)アクリル二重結合に対する(A)のアミノ基−N−Hの当量比が少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.1となるような量である。その当量比は好ましくは0.8を超えない。より好ましくは、それは0.7を超えない。当量比は0.5を超えない、より好ましくは0.3を超えないことが有利である。
【0041】
機構に拘泥するわけではないが、本発明による化学量論の範囲でのアミン(A1)及び(A2)の使用によって、許容される粘度と良好な耐摩耗性との間の最適バランスを特徴とする程度に鎖延長されたアミノ(メタ)アクリレートが得られるようになると考えられる。
【0042】
本発明は、本明細書で説明したようなアミノ(メタ)アクリレートの調製方法であって、少なくとも1つのアミン(A)を、15〜99重量%の少なくとも1つの上記に指定したウレタン(メタ)アクリレート(B)及び1〜85重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(C)を含む混合物と反応させる方法にも関する。一般に、それらの混合物中のウレタン(メタ)アクリレート(B)の量は少なくとも25重量%であり、しばしば少なくとも30重量%である。一般に、混合物中の(メタ)アクリレート化希釈剤(C)の量は多くて75重量%であり、しばしば多くて70重量%である。
【0043】
好ましくは、本発明によるアミノ(メタ)アクリレートの調製において使用する混合物は、30〜99重量%の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート(B)及び1〜70重量%の少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(C)を含む。本明細書では重量割合は、本発明のアミノ(メタ)アクリレートを調製するのに使用する混合物(M)の全重量に対してである。
【0044】
一般に、混合物中のウレタン(メタ)アクリレート(B)の重量割合と(メタ)アクリレート化希釈剤(C)の重量割合を合計すると最大で100%となる。本発明では、一般に、本発明のアミノ(メタ)アクリレートを調製するのに使用するために、化合物(A)、(B)及び(C)以外の試薬は使用しない。
【0045】
通常、任意選択で残留(未反応)(メタ)アクリレート化化合物(B)及び/又は(C)の存在下で、異なるアミノ(メタ)アクリレートの混合物が得られる。
【0046】
反応の完了は、例えば遊離アミンの量を測ることによって追跡することができる。例えば以下に示す方法を参照されたい。反応が完了したら、アミノ(メタ)アクリレートを残留物として回収することができる。しかし、場合によっては、慣用的な蒸留及び分別の手順による回収が可能である。遊離アミンの残基を、アミノ(メタ)アクリレートから1000ppm未満のレベル、より好ましくは500ppm未満のレベル、最も好ましくは400ppm未満のレベルまで除去することが好ましい。したがって、遊離アミンの除去は、例えば減圧下で空気又は窒素を用いたストリッピングなどの適切な任意の方法で実施することができる。未反応(メタ)アクリレート化化合物(B)及び/又は(C)をアミノ(メタ)アクリレートから分離することができるが、一般に、(メタ)アクリレート化化合物(B)及び/又は(C)は、放射線硬化性組成物において使用する前にアミノ(メタ)アクリレートから分離しない。
【0047】
(メタ)アクリレートの早過ぎる重合を防止するために、様々な防止剤又は安定剤を反応中又は反応後に添加することもできる。芳香族又は脂肪族亜リン酸塩のような典型的な防止剤を使用することができる。
【0048】
本発明のアミノ(メタ)アクリレートは、25℃で100〜50000mPa.sの粘度を有することが好ましい。好ましくは、粘度は高くて25℃で20000mPa.sである。好ましくは、粘度は少なくとも25℃で2000mPa.sである。
【0049】
本発明のアミノ(メタ)アクリレートは少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも1.0重量%の窒素含量を有することが好ましい。窒素含量は5.0重量%を超えない、より好ましくは3.5%を超えないことが好ましい。ここで示した値は、本発明のアミノ(メタ)アクリレートを調製するためにその中で使用されているアミン及びその量から出発して計算された理論値である。本発明は、特に本明細書で以下において説明するような放射線硬化性組成物におけるアミノ(メタ)アクリレートの使用にも関する。
【0050】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレートは、UV/EB硬化において非常に効果的であることが分かっており、単独でも、また他の(メタ)アクリレート化された化合物と一緒に使用することもできる。アミノ(メタ)アクリレートは、紫外線放射又は電子ビーム放射で容易に硬化する。
【0051】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレートは、放射線への曝露下で、良好な反応性を示す。
【0052】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレートは、有利なことに良好な反応性と一緒に、良好な耐摩耗性及び耐引っかき性を有するコーティングを得ることができるようにする。本発明によるコーティング組成物で得られる放射線への曝露(UV光の場合:2個の中圧水銀Hバルブ、120w/cm)の際の反応性は、一般に20〜45m/分、特に25〜35m/分の範囲、すなわち現況技術の製造ラインの典型的な速度である。
【0053】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレートは、増大した耐摩耗性を有するコーティングを得ることも可能にする。有利なことに、化学的及び熱的耐性、接着性及び硬度、可撓性等の他の特徴は、耐摩耗性の増大によって悪影響を受けることはない。
【0054】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレートは、有利なことに、許容される粘度と良好な耐摩耗性との間の最適バランスを特徴とするコーティングが得られるようにする。
【0055】
強制的条件(UV−Vitalux 300Wランプ、72時間)下での本発明によるアミノ(メタ)アクリレートの黄変傾向は、アミノ化なしで製造された同じ樹脂と比較して同等か若干良好な程度であることが分かった。
【0056】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレートは、木材コーティング剤の調製、特に木材フロア、特に寄木張り及び積層板フロア用の下塗り剤(sealer)組成物の調製に特に有用である。本発明による放射線硬化性組成物を用いた場合、被膜間接着が優れていることが分かった。本発明のアミノ(メタ)アクリレートは、弾力性フローリングなどの他のタイプのフローリングで使用するのにも適している。
【0057】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレートは、放射線硬化性化合物として単独か又は他の放射線硬化性化合物、特に(メタ)アクリレート化された化合物を一緒に含む放射線硬化性組成物において使用することができる。
【0058】
本発明は、少なくとも1つの本発明によるアミノ(メタ)アクリレートを含む放射線硬化性組成物に関する。
【0059】
本発明は特に、少なくとも5重量%の少なくとも1つの本発明によるアミノ(メタ)アクリレートを含む放射線硬化性組成物に関する。好ましくは、この組成物は少なくとも10重量%の前記アミノ(メタ)アクリレートを含む。アミノ(メタ)アクリレートの量は通常99重量%を超えない。本明細書では、重量割合は、放射線硬化性組成物の全重量に対してである。
【0060】
本発明による放射線硬化性組成物は、アミノ(メタ)アクリレート(単数又は複数)の他に、本明細書で説明するようなアミノ(メタ)アクリレート(単数又は複数)以外の少なくとも1つの放射線硬化性ポリマー前駆体を含むことができる。ポリマー前駆体という用語は、好ましくは、1つ若しくは複数の(メタ)アクリレート又はビニル基を鎖末端に又は横方向に鎖に沿って含む、適切な重合性官能基を有するモノマー若しくはオリゴマー又はそれらの混合物を表すのに用いられる。この放射線硬化性ポリマー前駆体は、1つ若しくは複数の(メタ)アクリレート又はビニル基を含むモノマー又はオリゴマーである。好ましくは、この放射線硬化性ポリマー前駆体は、(メタ)アクリレート化オリゴマー及び/又は(メタ)アクリレート化モノマーである。
【0061】
本発明による放射線硬化性組成物は、例えば、上記したような(メタ)アクリレート化希釈剤(C)と同じであっても異なっていてもよい少なくとも1つの(メタ)アクリレート化希釈剤(D)をさらに含むことができる。本発明において、(メタ)アクリレート化希釈剤(D)は、本発明のアミノ(メタ)アクリレートがそれと可溶性又は混和性である(メタ)アクリレート化化合物を表すことを意味する。この(メタ)アクリレート化希釈剤(D)は一般に低分子量の反応性希釈剤である。これらの低分子量反応性希釈剤は、一般に大きくて1000ダルトンの重量平均分子量を有する。本発明では、そうした希釈剤の分子量は、通常希釈剤の化学式から計算される。
【0062】
そうした低分子量(メタ)アクリレート化希釈剤(D)の例には、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、イソ−ボルニル(メタ)アクリレート、イソ−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレートモノ(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、tert−デカン酸グリシジルエステルの(メタ)アクリル酸エステル、N−ビニルピロリドン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、及びその(メタ)アクリレート化エトキシ化及び/又はプロポキシ化誘導体((メタ)アクリレート化エトキシ化及び/又はプロポキシ化トリメチロールプロパン、グリセロール、ネオペンチルグリコール及び/又はペンタエリスリトール;フェノキシエチル(メタ)アクリレートのエトキシ化及び/又はプロポキシ化誘導体など)が含まれる。
【0063】
本発明で使用する場合、(メタ)アクリレート化希釈剤(D)は好ましくは、1つ又は複数のモノ(メタ)アクリレート及び/又は1つ又は複数のジ(メタ)アクリレートから選択される。好ましくは、これらの(メタ)アクリレート化希釈剤はβ−ヒドロキシ基を含まない。
【0064】
本発明による実施例では、任意選択の(メタ)アクリレート化希釈剤(D)は、1つ又は複数のモノ(メタ)アクリレート、任意選択で1つ又は複数のジ(メタ)アクリレートから選択される。適切で好ましいジ(メタ)アクリレートの例は、上記に挙げたものである。好ましくは、モノ(メタ)アクリレート化及びジ(メタ)アクリレート化希釈剤(D)の全重量に対するモノ(メタ)アクリレート化希釈剤(D)の量は、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも35重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%である。
【0065】
本発明による特定の実施形態では、任意選択の(メタ)アクリレート化希釈剤(D)は1つ又は複数のモノ(メタ)アクリレートから選択される。
【0066】
本発明で使用するのに適したモノ(メタ)アクリレート(D)の例には、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレートモノ(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、tert−デカン酸グリシジルエステルの(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのエトキシ化及び/又はプロポキシ化誘導体及びこれらのいずれかの混合物が含まれる。好ましいのは、β−ヒドロキシ基を含まないものである。
【0067】
特に好ましいのは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのエトキシ化及び/又はプロポキシ化誘導体、特にフェノキシエチル(メタ)アクリレートのエトキシ化誘導体である。最も好ましいのは、エトキシ化フェノキシエチルモノアクリレート(EPEA)である。
【0068】
本発明で使用するのに好ましい(メタ)アクリレート化希釈剤(D)は室温で液体であるか、又は25℃で1〜2000mPa.sの粘度、特に1〜200mPa.sの粘度を示すものである。
【0069】
使用する場合、本発明による放射線硬化性組成物中の(メタ)アクリレート化希釈剤(D)の量は、一般に少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%である。(メタ)アクリレート化希釈剤(D)の量は40重量%を超えない。好ましくは、それは15重量%を超えない。本明細書では重量割合は、放射線硬化性組成物の全重量に対してである。
【0070】
本発明のさらに他の実施形態では、本発明による放射線硬化性組成物は(メタ)アクリレート化希釈剤(D)を含まない。
【0071】
上記の任意選択の(メタ)アクリレート化希釈剤(D)の代わりか又はそれに加えて、本発明の放射線硬化性組成物は、1つ又は複数のオリゴマーを含むこともできる。好ましいオリゴマーには、(メタ)アクリレート化アクリルオリゴマー、芳香族酸(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート化ポリブタジエン、(メタ)アクリレート化ポリエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及び超分岐ポリエステルポリオール(メタ)アクリレートなどの超分岐(メタ)アクリレートが含まれる。
【0072】
好ましいオリゴマーは、GPCで測定して(使用方法については以下を参照されたい)少なくとも1000、せいぜい6000ダルトンの重量平均分子量を有するものである。
【0073】
使用する場合、本発明による放射線硬化性組成物中のオリゴマーの量は、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%である。オリゴマーの量は通常50重量%を超えない。好ましくはそれは40重量%を超えない。本明細書では重量割合は、放射線硬化性組成物の全重量に対してである。
【0074】
本発明で使用する放射線硬化性組成物は、一般に、少なくとも1つの光開始剤、すなわち光、通常UV光の吸収によってラジカルを発生させることができる化合物を含む。一般に、組成物中の光開始剤は0〜15重量%、好ましくは0.01〜8重量%の量で含まれる。本明細書では重量割合は、放射線硬化性組成物の全重量に対してである。
【0075】
或いは、光開始剤を含まない放射線硬化性組成物を、一般に電子ビームによって硬化させることができる。
【0076】
放射線硬化性組成物は、基材湿潤剤、消泡剤、分散剤、流動性改良剤、スリップ剤、可塑化希釈剤、難燃剤、UV−保護剤、接着促進剤、酸化防止剤、強化剤及び安定剤などの当業界で通常使用される添加剤も含むことができる。通常使用される添加剤の合計量は一般に10重量%を超えない。好ましくは、組成物は上記したような0.01〜5重量%の通常使用される添加剤を含む。本明細書では重量割合は、放射線硬化性組成物の全重量に対してである。
【0077】
必要な場合、放射線硬化性組成物は、1つ若しくは複数の顔料又は着色剤を含むこともできる。本発明の組成物に使用できる着色剤及び顔料は、当業界で公知の任意の顔料又は着色剤であってよい。適切な顔料のリストはカラーインデックスで見ることができる。より具体的には、そうした顔料としては、プロセスイエロー13(ダイアリライド(Diarylide)イエロー−CibaのIrgalite BAW、ClariantのパーマネントGR)、プロセスマジェンタ顔料57(骨カルシウム−SunのIlobona 4BY、CibaのIrgalite SMA)、プロセスブルー15.3(銅フタロシアニン−CibaのIrgalite GLO、ClariantのHostaperm Blue B2G)、プロセスブラック7(酸化カーボンブラック−Degussaのスペシャルブラック250;スペシャルブラック350)などを挙げることができる。着色剤及び/又は顔料は、放射線硬化性組成物の全重量の0〜50重量%、より好ましくは0〜40重量%で使用することが好ましい。
【0078】
放射線硬化性組成物は、0〜20重量%の充てん剤又は非反応性の希釈剤若しくは溶媒も含むことができる。0〜20重量%の不活性樹脂も、放射線硬化性組成物において使用することができる。不活性樹脂は、放射線又はEB誘発による重合反応に関与しない樹脂である。そうした不活性樹脂の例には、一般に炭化水素(スチレンベースの炭化水素樹脂など)、アクリル(アクリル(コ)ポリマーなど)、(ポリ)ウレタン樹脂、ポリエチレンビニルアセテート樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂及び/又はケトン樹脂が含まれる。
【0079】
放射線硬化性組成物は、慣用的な公知の方法により選択された成分を混合することによって製造することができる。望むなら、ブレンドを加熱して混合を容易にすることができる。
【0080】
本発明の放射線硬化性組成物は、コーティング剤、特に工業用コーティング剤、接着剤、インク及びワニスの作製のために使用することができる。インクは、液体インク並びにペーストインクと理解されるものとする。
【0081】
したがって、本発明は、コーティング剤、接着剤、インク又はワニスの調製に適した放射線硬化性組成物における、本発明によるアミノ(メタ)アクリレート又は放射線硬化性組成物の使用に関する。
【0082】
本発明の1つの態様は、本発明によるアミノ(メタ)アクリレート又は放射線硬化性組成物から調製されたコーティング剤、接着剤、インク又はワニスに関する。
【0083】
本発明は、木材(白木又はべニア板)での使用に適した放射線硬化性組成物における、本発明によるアミノ(メタ)アクリレートの使用、又は放射線硬化性組成物の使用にも関する。
【0084】
本発明は、フローリング、特に木材フローリング(白木又はべニア板)での使用に適した放射線硬化性組成物における、本発明によるアミノ(メタ)アクリレートの使用、又は放射線硬化性組成物の使用にも関する。
【0085】
本発明の放射線硬化性組成物は、フローリング用途で使用するのに特に適している。例えば本発明の放射線硬化性組成物でコーティングすることができるフローリングには、木材フローリング(寄木張りフロア及び積層板フロアなど)及び弾力性フローリングが含まれる。弾力性フローリングは、ビニル、ポリオレフィン、リノリウム、ゴム又はコルクから作製することができる。
【0086】
本発明の放射線硬化性組成物は、フローリング、特に木材フローリング、より具体的には寄木張り及び積層板フロアなどで使用する下塗り剤組成物の作製に特に適している。
【0087】
本発明は、フローリング、特に木材フローリング(寄木張りフロア及び積層板フロアなど)をコーティングするための方法であって、フロア基材に、本発明による放射線硬化性組成物の1つ又は複数の層を塗布すること、及び、放射線(化学線、UV光、イオン化放射線及び/又は電子ビームなど)へ曝露することによって塗布した組成物を硬化させることを含む方法にも関する。
【0088】
木材用(木材フロアなど)の下塗り剤組成物として使用する場合、本発明のコーティング組成物は、好ましくは顔料及び/又は着色剤を含まない透明なコートである。本発明のコーティング組成物は、天然木材(白木又はべニア板)を汚れ及び摩耗から保護する。透明コーティングは木材の色と構造を向上させる。
【0089】
木材コーティングは一般にそれぞれが特徴を有する異なる層からなる。一般的な系は、プライマー、下塗り剤の1つ又は複数の層(好ましくは3つ)、次いでトップコートを含む(又はそれらからなる)。コーティング系全体の最適性能のために、優れた被膜間接着が非常に望ましい。
【0090】
したがって、本発明による方法では、本発明による放射線硬化性組成物の1つ又は複数の層を塗布するステップに、好ましくはプライマーコートを塗布するステップが先行し、トップコートを塗布するステップが後行することが好ましい。一般に、本発明による方法は、接着性などの性能を向上させるために1つ又は複数の研磨ステップも含む。研磨及び/又は生硬化(undercuring)は被膜間接着を向上させることが分かった。
【0091】
塗布されうるプライマーコートは、通常約5〜10g/mのコート重量を有する。基材は、プライマーコートを塗布する前に軽く研磨しておくことが好ましい。
【0092】
下塗り剤コートは一般に重いコートであり、通常少なくとも10g/mの重量を有する。寄木張りコーティング用には60〜75g/mの合計下塗り剤コーティング重量であることが望ましい。
【0093】
そうした重いコートは一段階で塗布することが困難である。さらに、複数のコートが塗布されれば機械的特性がより良好になってくる。一般に、それぞれが約25〜10g/mである3〜4層の異なる下塗り剤層が塗布される。研磨能力(sandability)を向上させるために、通常第1の下塗り剤コート層と最後の下塗り剤コート層だけを完全に硬化させる(例えば、2中圧水銀ランプH−バルブを用いて120w/cm、18m/分で)。他の下塗り剤コート層は通常、例えば低UV出力(例えば中圧水銀ランプHバルブを用いて120W/cm−18m/分で)に曝露することによって生硬化又はゲル化させる。
【0094】
良好な外観、光沢及び汚染抵抗を得るために、トップコート層を、通常1つ又は複数の下塗り剤コート層を塗布し硬化させた後に塗布する。好ましくは、コーティングされる基材にトップコート層を塗布する前に、基材を研磨する(例えば、機械的に)。一般にトップコートは8〜20g/mの重量を有する。トップコートは、8〜10g/mの重量を有する単一層として塗布することができる。或いは、トップコートを2つの異なる層で構成させることができる。その第1の層は通常10g/mの重量を有し、前記第1層をゲル化又は生硬化させ、次いで5g/mの重量を有する第2層を塗布し、続いて完全に硬化させる。
【0095】
異なるコーティング及びコーティング層は、標準的なローラーコーティングで塗布することができる。
【0096】
本発明は、その物品を本発明の放射線硬化性組成物でコーティングするステップを含む、コーティングされた物品を調製する方法にも関する。本発明の他の態様は、本発明の放射線硬化性組成物で部分的か又は全体的にコーティングされた物品に関する。
【0097】
本発明を、以下の非限定的な実施例で例示する。
【0098】
(例1)
ヒドロキシエチルアクリレート、トルエンジイソシアネート、及びトリオールを開始剤とするポリプロピレングリコール(25℃で30000mPa.s、MW=2000g/mol)の反応によって得られた60kgの芳香族ウレタントリアクリレート(オリゴマー1)を、20kgのジプロピレングリコールジアクリレート、20kgのトリプロピレングリコールジアクリレート及び1kgのモノエタノールアミンと混合した。反応を、90℃以下の温度で、残留アミン含量が500ppm未満に達するまで実施した。得られた樹脂の特性を表1に示す。
【0099】
(例2)
例2の樹脂を、例1で説明したのと同じ方法にしたがって得る。組成と量は表1で示したものを適用する。得られた樹脂の特性をやはり表1に示す。
【0100】
(例3)
例3の樹脂を、例1で説明したのと同じ方法にしたがって得る。但し、ヒドロキシエチルアクリレート、トルエンジイソシアネート、及びジオールを開始剤とするポリプロピレングリコール(60℃で3900mPa.s、MW=1500g/mol)の反応によって得た芳香族ウレタンジアクリレート(オリゴマー2)を使用する。組成と量は表1で示したものを適用する。得られた樹脂の特性をやはり表1に示す。
【0101】
(例4)
例4の樹脂を、例3で説明したのと同じ方法にしたがって得る。しかし、残留アミン含量が1000ppm未満に達したら、規定量の第2の希釈モノマーを加え、均一な媒体が得られるまで全体を混合する。組成と量は表1で示したものを適用する。得られた樹脂の特性を表1に示す。
【0102】
(例5)
ヒドロキシエチルアクリレート、トルエンジイソシアネート、及びジオールを開始剤とするポリプロピレングリコール(オリゴマー2)の反応によって得られた234.5kgの芳香族ウレタンジアクリレートを、40kgのジプロピレングリコールジアクリレートと混合し、次いでアミンを加える。残留アミン含量が500ppm未満に達したら、15kgのジプロピレングリコールジアクリレートを規定量の第2の希釈モノマーと一緒に加え、均一な媒体が得られるまで全体を混合する。組成と量は表1で示したものを適用する。得られた樹脂の特性を表1に示す。
【0103】
(例6)
例6の樹脂を、例4で説明したのと同じ方法にしたがって得る。但し、ヒドロキシエチルアクリレート、イソホロンジイソシアネート、及びジオールを開始剤とするポリプロピレングリコール(60℃で3080mPa.s、MW=1200g/mol)の反応によって得た脂肪族ウレタンジアクリレート(オリゴマー3)と、プロポキシ化グリセリトリアクリレートを使用する。組成と量は表1で示したものを適用する。得られた樹脂の特性をやはり表1に示す。
【0104】
(例7)
例7の樹脂を、例4で説明したのと同じ方法にしたがって得る。但し、モノエタノールアミンの代わりに脂肪族ジアミンN,N’−ジ−tert−ブチルエタンジアミン(DTBEDA)を使用する。組成と量は表1で示したものを適用する。得られた樹脂の特性をやはり表1に示す。
【0105】
(例8〜14及び15R)
UV硬化性下塗り剤配合物を、表2に示す成分を25℃で混合して調製する。次いで反応性について配合物を評価し、結果を表2に示す。部は重量部である。
【0106】
(例16〜22及び23R)
下塗り剤を以下の手順にしたがって調製する。
15g/m湿潤の例24のUV硬化性プライマー配合物を、軽く研磨した(150/180アルミニウムオキシド研磨紙)ブナの木の上に塗布する。プライマーを120W/cmの水銀UVランプで18m/分で硬化させる。
次いで表2の3つのUV硬化性下塗り剤配合物層を、表3にしたがってローラーコーターで20〜22μm厚で段階的に塗布する。第1及び第3の層を2つの120W/cmの水銀UVランプで18m/分で硬化させ、手で軽く研磨する。第2層を1つの120W/cmの水銀UVランプで18m/分で硬化させる。これは研磨しない。
最後に、例25のUV硬化性トップコート配合物を8μm厚で塗布し、2つの80W/cmのランプで5m/分で完全に硬化させる。
コーティングしたブナの木の試料を、接着性、ハンバーガーへーベル(Hamberger Hobel)、グリットフィーダー(grit feeder)、コールド試験及び黄変について評価する。得られた結果を表3に示す。
【0107】
(例24)
UV硬化性プライマー配合物を、25℃で以下の成分を混合して調製する。部は重量部である:
100部 UCECOAT(登録商標)6558
10部 EBECRYL(登録商標)12
1.5部 ADDITOL(登録商標)BCPK(Cytecから市販されている光開始剤)
【0108】
(例25)
UV硬化性トップコート配合物を、以下の成分を25℃で混合して調製する。部は重量部である:
30部 EBECRYL(登録商標)265
10部 EBECRYL(登録商標)810
42部 DPGDA
3部 ADDITOL(登録商標)BP(Cytecから市販されている光開始剤)
2部 ADDITOL(登録商標)HDMAP(Cytecから市販されている光開始剤)
8部 SYLOID(登録商標)162C(Graceからのつや消し剤)
2部 Lancowax PP1362(Langer & Coからのポリプロピレンワックス)
1部 DOW CORNING PA−11(Dow Corningからの流動添加剤)
2部 ACEMATT(登録商標)TS100(Evonikからのつや消し剤)
HDMAP=2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン
【0109】
本発明によるアミノ(メタ)アクリレート及び放射線硬化性組成物の特性評価において、本発明及び実施例を通して以下の試験方法を用いた:
【0110】
アミン含量:アミン含量を、第一及び第二級アミンをCSと定量的に反応させて判定した。得られたチオカルバミン酸をNaOHで電位差滴定する。アミン含量値をppmで表す。
【0111】
円錐平板粘度:粘度を、DIN EN ISO3219にしたがって回転式粘度計を用いて20s−1の規定剪断速度で25℃で測定する。粘度値をmPa.sで表す。
【0112】
反応性:25μmの膜を白色の非吸収性紙に塗布し、80W/cm非焦点化(non focalized)中圧水銀ランプからのUV放射線に規定のコンベヤ速度で曝露する。完全に硬化した膜を得るのに用いる最大コンベヤ速度を決定するため、コンベヤ速度を変える。完全に硬化した膜の特性を、若干のタルクを表面上に置き、指で擦り次いで綿で擦って評価する。マット状態(mat aspect)が観察される限り、その膜は完全に硬化しておらず、コンベヤ速度を低下させなければならない。コーティングを、アセトンに浸した一束の綿を用いた50回の二重研磨にかける。完全に硬化した膜は、この試験で目視的に影響を受けていない。2つの試験に合格するのに必要なUV線量(特定のランプ出力(W/m)を用いたコンベヤ速度(m/分)で表す)を、コーティングの反応性とみなす。
【0113】
接着性:20〜22μmの膜をプライマーに塗布し、反応性の方法で説明したようにして完全に硬化させる。カッターで正方形パターンをコーティング中に刻む。接着剤テープ(Tesa4104)ストリングを表面上に押し付け、中間層を脱ガスする。次いでテープを引き剥がす(snatched off)。テープで取り除かれた正方形の数をもとにして接着性の値を得る:0B(正方形の100%が除去される)、1B(正方形の65〜35%が除去される)、2B(正方形の35〜15%が除去される)、3B(正方形の15〜5%が除去される)、4B(正方形の5%未満が除去される)、5B(0%)。
【0114】
ハンバーガーへーベル(コイン試験):完全コーティング系を研磨したブナの木に塗布し、硬化させ、ハンバーガーへーベル試験機上に置く。この装置は、コーティング上のコインの圧力が変えられるように回転できるスクリューを備えている。コーティングされた表面上に数センチメートルの引っかき傷ができるまで、圧力を段階的に上昇させる。加えられる圧力が高ければ高いほど、耐引っかき性は良好である。耐引っかき性はニュートンで表す。
【0115】
グリットフィーダー:この方法では、標準的な試験方法ASTM F510−93に基づいて、革で被覆したホイール(S−39)を備えたTaber研磨器5150を使用する。試験で使用する砂は、TreibacherからのタイプAlodur ESK240 EN14354である。完全コーティング系を、研磨したブナの木に塗布し硬化させる。すべての装置及び基材を、試験する前に、調整室(21±1℃、50±5%相対湿度)で少なくとも24時間調整する。コーティングした基材を、コーティングが完全に取り除かれたところにスポットが現れるまで(初期点)、500サイクルのステップで摩耗する。メチレンブルー溶液を塗布した後、試験片上にブルースポットが形成されたときに初期点に到達する。初期点の判定後、摩耗をさらに500サイクル実施する。目視比較ができるように、再度メチレンブルー溶液を塗布する。摩耗を、各500サイクルのステップ後に重量損失(mgで±0.1mgの精度)で測る。
【0116】
コールド試験:完全コーティング系を研磨したブナの木に塗布し硬化させる。コーティングした基材を、−20℃で1時間及び+70℃で1時間の2×25サイクルにかける。クラックなしのままであればコーティングは試験に合格である。
【0117】
黄変:25μmの膜を白色の非吸収性紙に塗布し、硬化させ、完全な密閉ドラム中でUltra−Vialux300WランプのUV光に曝露する。ランプと試料の間の距離は50cmである。黄変(Δb)を、曝露96時間後にSupercolor型の装置で測定し、当初の黄変(曝露前)と比較する。
【0118】
GPCによる重量平均分子量及び数平均分子量測定:数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び多分散性は、一般に、Polymer Laboratoriesからの、ポリスチレン標準EasyCalを備えた従来型のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)(分子量範囲:200〜400,000g/mol)で測定する。試料のごく一部をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、3PLGel Mixed−D LSポリスチレンジビニルベンゼンGPCカラム(300mm×7.5mm×5μm)を備えた液体クロマトグラフ(Merck−Hitachi L7100)に注入する。試料の成分を、溶液中でその分子サイズをもとにしてGPCカラムで分離し、屈折率検出器で検出する。データを集め、Polymer Laboratories Cirrus GPCソフトウェアで処理した。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】