【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は請求項1の特徴に係る装置により達成される。この装置のさらなる有益な改良は従属請求項に特定される。請求項に個々に特定される特徴は、任意の所望の技術的に有用な方法で互いに組み合わされてもよく、詳細な説明からの例示的な事実により補足されてもよく、本発明のさらなる設計の変形が特定される。
【0008】
本発明は、タンクから計量ユニットまで還元剤を送達するための装置であって、その装置は、タンクから計量ユニットまで送達ラインを通して送達方向において還元剤を送達するためのパルス状に作動する送達ポンプを有し、その送達ラインは、送達方向の送達ポンプの下流の領域において、少なくとも2つの別個のダクトを有し、そのダクトは、還元剤についての異なる伝搬時間を示す流路を形成する、装置に関する。
【0009】
ここで、「還元剤」という用語は特にまた、還元剤前駆体または還元剤前駆体溶液も含む。
【0010】
「パルス状」に作動する送達ポンプは、好ましくは、可動式送達ピストンが送達に必要なエネルギーを上昇させ、ポンプの送達方向が対応する弁により規定される、ダイヤフラムポンプまたはピストンポンプである。従って、送達ポンプによって、送達される還元剤の量は、ダイヤフラムまたはピストンの1回の排出量または個々の送達量によって規定される複数の(比較的少ない)部分的量で変化される。結果として、送達ポンプは一定の周期頻度で複数または多数のこのような作業工程を実施し、送達ポンプは、パルス状、特に急速な断続的な形態で還元剤を送達ラインに流す。
【0011】
送達ラインは、好ましくは、例えば金属および/またはプラスチックから構成される剛性のラインである。送達ラインはまた、領域において剛性であってもよく、領域において柔軟性であってもよい。送達ライン内、または送達ラインにより、ここで、パルス状に加えられる送達媒体を介して導入される圧力パルス、および/またはボディにかかるノイズが、様々な位置でノイズについてのソースを伝搬および構成する可能性がある。特に、還元剤のパルスの測定によって、導入された圧力パルスの減少が、ここで、領域において分離されるダクトが提供されることにより達成され、前記ダクトを(同時に)流れる還元剤の部分的量は、一緒にもたらされる圧力パルス自体を少なくとも部分的に減少させる。
【0012】
少なくとも2つの別個のダクトはまた、異なる長さの複数のダクトを有してもよい。例えば、3より多く、好ましくは5より多く、特にまた、10より多い異なる別個のダクトが形成されてもよい。ここで、「流路」とは特に、ダクトがタンクおよび/または送達ポンプから計量ユニットまで平行に実質的に延びる流路を意味する。
【0013】
「伝搬時間」とは、(例えば操作に適切であるまたは操作のために規定される送達ポンプの送達速度にて)還元剤の圧力パルスがダクトを通ってそれぞれの流路に沿って移動するのにかかる時間を意味すると理解される。従って、還元剤の流れは、第1の位置において別個のダクトに分けられ、続いて再び融合し、1つの部分的流れは、長期間、別の部分的流れから分離し(または減速され)、その結果として、融合点において、(以前に同一の)圧力パルスがここでオフセットされる(時間に関して)。圧力パルスの強度、およびそれによるノイズの生成も従って減少される。
【0014】
送達方向において、送達ポンプの下流および少なくとも2つの別個のダクトの上流に、共通のポンプ流出ダクトが存在し、そのポンプ流出ダクトから少なくとも2つの別個のダクトが分岐し、送達方向において、少なくとも2つの別個のダクトの下流および計量ユニットの上流に、共通の集合ダクトが存在し、その集合ダクト内に少なくとも2つの別個のダクトが導かれる場合、この装置は特に有益である。少なくとも2つの別個のダクトの断面全体は好ましくは、ポンプ流出ダクトおよび共通の集合ダクトの断面に対応する。従って、ここで特に、技術的費用を可能な限り低く維持するために、結合分離および/または部分的流れの集合が提供されることが提案される。しかしながらまた、このようなダクトシステムをいくつかの異なるポンプモデルに適用するために、ダクトの少なくとも一部を分岐および/または送達ラインの異なる位置において集中させる(互いに対してオフセットさせる)手段も可能である。
【0015】
さらに、流路の異なる伝搬時間が、干渉によって、送達ポンプにより生成される圧力変動を少なくとも部分的に一定にするのに適切であるように少なくとも2つの別個のダクトが構成されることは有益であるとみなされる。パルス状に作動する送達ポンプは典型的に、(顕著な圧力変動を有する)パルスである還元剤の送達の流れを生成する。少なくとも2つの別個のダクトによって、送達ポンプの共通の送達の流れは少なくとも2つの個々の部分的流に分けられる。個々のダクトを通る還元剤のための流路の異なる伝搬時間の結果として、ポンプにより生成されるパルス状の流れの相は個々のダクト間で移動を受ける。個々のダクトがここで、共通の集合ダクトにおいて再び互いに融合される場合、異なるダクトからの部分的流の異なるパルス波は少なくとも部分的に互いに相殺される。ここで特に、送達ラインにおいて横方向に伝搬する圧力波の(少なくとも部分的な)相殺的干渉が達成される(その圧力波は、パルス状に作動する送達ポンプにより導入される)。
【0016】
少なくとも2つの別個のダクトが異なる長さの流路を形成する装置が特に好ましい。還元剤のための流路の異なる伝搬時間がこのように実現され得る。
【0017】
しかしながらこれは、別個のダクトを通る異なる伝搬時間を実現する唯一の可能な方法である。代替としてまたは加えて、異なるダクトは、少なくとも領域においておよび/または少なくとも部分的に、流れを加速させる手段および/または流れを減速させる手段を有してもよい。流れを減速させる手段は、例えば、ダクトの断面を広くすることであってもよい。流れを加速させる手段は、例えば、ダクトの断面を狭くすることであってもよい。
【0018】
送達ラインが、装置内の内側ライン部分および装置外の外側ライン部分により形成され、少なくとも2つの別個のダクトが内側ライン部分の構成要素である場合、この装置はさらに有益である。この装置は通常、ハウジングに封入されるモジュールの形態で構成される。そのモジュールに適切な長さの送達ラインが接続されてもよく、その送達ラインを通して、還元剤が装置から計量ユニットに輸送される。この装置は、好ましくは、異なる乗り物の種類に対して常に同一の設計であるが、送達ラインの長さは自動車における装置およびタンクの設置位置に応じて変更されてもよい。この場合、また、しかしながら、送達ラインの1つの領域は常に、送達方向において送達ポンプの直接下流で装置内に配置される。装置上に、例えば連結により還元剤ラインに接続され得るライン接続部が存在する。装置内に配置される送達ラインのその部分はここで内側ライン部分と称されるのに対して、接続された輸送ラインに形成される送達ラインのその部分は外側ライン部分と称される。少なくとも2つの別個のダクトが内側ライン部分内に形成されることは特に有益である。なぜなら、このように、既に初期の段階でノイズの生成を防ぐことが可能であるからである。
【0019】
装置の1つの改良において、送達ラインが、装置内の内側ライン部分および装置外の外側ライン部分により形成され、外側ライン部分は硬質プラスチックまたは金属から構成される管により少なくとも部分的に形成されることもまた提案される。硬質プラスチックは例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、特に高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド(PA)またはポリエチレンテレフタレート(PTFE)であってもよい。管についての金属として、例えばアルミニウムまたは鋼、特に高級鋼が使用されてもよい。硬質プラスチックから構成されるラインおよび金属から構成されるラインは十分に剛性である。
【0020】
従って、このような管は、長い距離にわたっても実質的に圧力損失をせずに還元剤を送達できる。しかしながら、このような硬質プラスチックラインは少量の柔軟性のみを有し、特に一緒にノイズの生成および/または伝送の原因となるので不都合である。対照的に、柔軟なラインは振動減衰を導く。なぜなら柔軟なラインは圧力アキュムレータとして作用するからである。この理由のために、硬質プラスチックラインが外側ライン部分の構成要素として使用される場合、干渉による圧力変動を一定にするための少なくとも2つの別個のダクトを有する装置の使用は特に明確に効果的である。
【0021】
金属から構成されるラインおよび特に鋼または高級鋼から構成されるラインはさらにまた、高温に抵抗性があり、従って、特に、還元剤を排気ラインの近接および/または排気ガス処理装置に直接輸送するために使用され得る。
【0022】
圧力センサが計量ユニットの近接に形成される場合、この装置はさらに有益である。送達ユニットにより供給される還元剤の正確な量を投与するために、通常、計量ユニットに直接近接する圧力を正確に知る必要がある。計量ユニットは、通常、計量ユニットに配置される注入器の開口時間に基づいて還元剤の供給される量を制御する。ここで、供給される還元剤の量は、開口時間、注入器の設計および計量ユニットにおける圧力により規定される。多くの場合、排気ライン部分の設計により必要とされる十分な長さのために、計量ユニットに実際に広がる圧力は、時々、送達ユニットに広がる圧力とはかなりずれる場合がある。これは、一方での排気ライン部分の柔軟性およびその中で生じる流れ抵抗から生じる。他方で、排気ライン部分を通る還元剤の伝搬時間は、この装置からの圧力変動が時間オフセット形態で計量ユニットに伝わるという効果を有する。この理由のために、計量ユニットに直接近接して圧力センサが配置されることは有益である。ここで特に、パルス状に作動する送達ポンプにより生成される圧力変動は比較的小さいことが予想され得る。
【0023】
さらに、この装置は、2つの接続部を有するパルス減衰コンポーネントを有することもまた提案され、その接続部により、この装置は送達ラインに接続され、少なくとも2つの別個のダクトがパルス減衰コンポーネント内に形成される。このことは特に、この装置内に別個のコンポーネントが存在し、そのコンポーネントにより、減衰が実施されることを意味する。そのパルス減衰コンポーネントはまた、分けられる装置内の送達ラインによって送達装置内に以前に設置されてもよく、パルス減衰コンポーネントは分けられた送達ライン内に設置される。
【0024】
各々の場合、少なくとも2つの別個のダクトが1つの流入端部および1つの流出端部を有し、少なくとも2つの別個のダクトが、壁により互いに分離し、流出端部の領域において、還元剤が透過する少なくとも1つの共通の壁部を有する場合、この装置はさらに有益である。このような構成の場合、流入端部の領域において、好ましくは、少なくとも2つの別個のダクトの少なくとも1つにおいて、ライン延長部ならびに/あるいは流れ加速のための手段および/または流れ減速のための手段が設けられ、それによって、少なくとも2つの別個のダクトにおける2つの還元剤の部分的流の間の干渉が生成され得る。流出端部の領域における2つのダクトの、還元剤が透過できる共通の壁部の結果として、少なくとも2つの別個のダクトにおける流れおよび圧力の平衡が、流出端部の上流の短い距離で少なくとも2つの別個のダクト内で既に起こる。少なくとも2つの別個のダクトにおける圧力流のこのような平衡により、流れのパルスの特に効果的な減少が可能になることが見出される。従って、透過可能な共通の壁部は、好ましくは、共通の集合チャンバを隣接するように形成され、好ましくは、両側において部分的流と接触する壁を備え、その壁は、(各々の場合、ダクトに現在広がる圧力レベルに応じて)部分的流の交換を可能にする複数の開口部、孔、メッシュなどを有する。
【0025】
本発明はまた、内燃エンジンおよびその内燃エンジンの排気ガスを浄化するための排気ガス処理装置を有する自動車であって、その排気ガス処理装置は、排気ガス内への還元剤を計量するための計量ユニットを有し、その計量ユニットに、本発明に係る装置によって還元剤が供給される、自動車に関する。
【0026】
従って特に、以下の方法がここで実施される:
a)圧力パルスが生成されるように、パルス状に作動する送達ポンプによる送達ライン内への液体還元剤の送達、
b)還元剤の少なくとも2つの部分的流の形成、
c)集合点まで異なる伝搬時間を有する還元剤の少なくとも2つの部分的流の誘導、
d)還元剤の部分的流の干渉による圧力パルスの減少。
【0027】
この方法は特に、本明細書に記載される本発明に係る装置により実現され得る。同様に、本発明に係る装置と共に説明される方法の工程がここに適用または補足されてもよい。
【0028】
本発明および技術分野は、図面に基づいて以下により詳細に説明される。図面は特に、好ましい例示的な実施形態を示すが、本発明はそれらに限定されない。特に図面および特に例示した割合は単なる概略である。