【文献】
Md.N.Islam et al,Preparation and gas separation performance of flexible pyrolytic membranes by low-temperature pyrolysis of sulfonated polyimides,Journal of Membrane Science,2005年 9月15日,Vol.261,p.17-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1種のポリマーはポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾベンズイミダゾール、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテル)、芳香族ポリアリーレート、芳香族ポリカーボネート、ポリ(ベンズオキサゾール)、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(オキサジアゾール−イミド)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(アリールスルフィド)、ポリベンゾチアゾール、ポリピロールオン(polypyrrolones)、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾール、ポリエステルイミド、ポリ(フェニルキノキサリン)及びポリ(フェニレン)ならびにそれらのコポリマー及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのものである、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも1種の細孔形成剤は脂肪族炭化水素、脂肪族カルボン酸及びエステル、脂肪族エーテル及びチオエーテル、脂肪族カーボネート、芳香族カルボン酸及びエステル、芳香族カーボネート、クラウンエーテル、カリックスアレーン、不安定結合基を有する芳香族結合基の環式構造、ポリエステルの環式構造、ブロックドイソシアネート、脂肪族及び芳香族チオスルフェート、二硫化物化合物、オルガノオニウム化合物、ディールスアルダー付加物、アゾ化合物、光酸発生剤、硫黄、有機スルホン酸及びスルフェート、有機スルフィット、α−テルピネン、d−リモネン、ロジン、アビエチン酸エステル及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのものである、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は1つ以上の上記の望ましい特徴を有するポリマーは、高ガラス転移硬質ポリマーマトリックス中に不安定基又は混和性添加剤を導入し、次いで、ポリマー混合物のガラス転移未満でこれらの基又は添加剤を除去する分解工程に付すことを含む方法により提供されうることを発見したことで主に導き出された。分解工程はマトリックス中に空隙(分子スケール自由体積)及び非平衡孔サイズ分布をもたらす。表現「非平衡孔サイズ分布」とは、分布が不安定になり、温度がポリマーのガラス転移温度を超えて上昇したときに平衡に達することを意味する。
【0035】
本発明の方法において、少なくとも1種の不安定基はポリマー主鎖に対して化学結合しており又はイオン結合しており、及び/又は、少なくとも1種の混和性添加剤はポリマーマトリックス中に添加されている。熱、化学、電気及び/又は放射線プロセスを空隙形成工程において使用し、不安定基及び/又は混和性添加剤を分解しそして排除し、分子スケール空隙(又は細孔)を形成する。細孔形成性不安定基及び添加剤は本明細書中で集合的に細孔形成剤(ポロゲン)と呼ぶ。
【0036】
好ましい実施形態において、空隙形成工程を行うポリマー基材は膜である。得られる膜(例えば、中空繊維又はフラットシート)は、次いで、ガス分離用途に好適なモジュールへと組み立てられる。
【0037】
上限(すなわち、上記のRobeson 2008において規定される少なくとも1つの上限)以上の性能を示す改良されたガス分離膜を提供するには、その膜のガラス状ポリマーが通常の膜形成技術によるガラス状ポリマーの溶液加工により通常に達成される孔サイズ分布よりも狭い孔サイズ分布を示すことが要求される。Parkら,Science 318,254(2007)により教示されている熱転位プロセスは当初の膜よりも狭い孔サイズ分布を達成し、それにより、性能改良を達成し、モレキュラーシーブ様分離特性に近づくことができることを示した。揮発性ガスCO
2の除去でなく熱転位プロセスが当初の膜よりも狭い孔サイズ分布を導くものとParkらにより考えられている。膜の透過率を増加させるとともに、高い選択率を達成することが望まれている。ガラス状ポリマーの自由体積を増加させると、透過率が高くなる。非平衡孔サイズ分布は改良された選択率を達成するための方法として特許文献又は刊行物文献中で認識されていない。
【0038】
本発明の方法はガラス状ポリマー膜を熱、化学、電気又は放射線暴露に付して、不安定基又は混和性添加剤を除去して自由体積を形成することにより、増加した膜の透過率及び選択率を提供する。特定の実施形態において、本発明の方法により処理されたポリマー材料の透過率は、所与のガスに関して、未処理のポリマー材料の透過率の少なくとも1.2倍又は5倍又は50倍又は100倍であり、処理されたポリマー材料の選択率は、所与のガスを含むガスペアに関して、未処理のポリマー材料の選択率の少なくとも0.35倍又は0.5倍又は0.75倍である。
【0039】
本方法は、得られた孔サイズ分布の平衡再分布が起こらず、形成された空隙が評価可能なほど崩壊しない時間内でポリマーをガラス転移温度よりも低い温度で、ガラス転移温度で又はガラス転移温度より若干高い温度で行われる。その方法により、より高い自由体積及び非平衡孔サイズ分布の両方を形成しそして保持し、透過率及び選択率の両方を最適化することが可能になる。
【0040】
本発明に有用なガラス状ポリマーとしては、限定するわけではないが、ポリスルホン、スチレン含有コポリマー、例えば、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−ビニルベンジルハロゲン化物コポリマーを含むポリ(スチレン)、ポリカーボネート、セルロースアセテート−ブチレート、セルロースプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系ポリマー、アリールポリアミド及びアリールポリイミドを含むポリアミド及びポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリ(フェニレンオキシド)及びポリ(キシレンオキシド)などのポリ(アリーレンオキシド)、ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート)、ポリウレタン、ポリエステル(ポリアリーレートを含む)、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(フェニレンテレフタレート)など、ポリピロールオン(polypyrrolones)、ポリスルフィド、上記以外のα−オレフィン系不飽和を有するモノマーから得られるポリマー、例えば、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ブテン−1)、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリビニル、例えば、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエステル)、例えば、ポリ(ビニルアセテート)及びポリ(ビニルプロピオネート)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニルアルデヒド)、例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルウレタン)、ポリ(ビニル尿素)、ポリ(ビニルホスフェート)及びポリ(ビニルスルフェート)、ポリアリル、ポリ(ベンゾベンズイミダゾール)、ポリヒドラジド、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾール、ポリ(ベンゾオキサゾール)、ポリ(ベンズチアゾール)、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリカルボジイミド、ポリ(フェニルキノキサリン)、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(オキサジアゾール−イミド)、ポリホスファゼン及びポリホスファジン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリ(トリアルキルシリルアセチレン)ならびにそれらのブレンドが挙げられる。置換ポリマーを提供する典型的な置換基としてはフッ素、塩素、臭素などのハロゲン、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、単環式アリール、低級アシル基などが挙げられる。
【0041】
本発明のガラス状ポリマーはビニル化合物のフリーラジカル重合、カチオン重合もしくはアニオン重合、環状化合物の開環重合、開環メタセシス重合又は縮合重合などにより調製されうる。縮合重合としては、限定するわけではないが、カップリング反応、例えば、Pd−触媒スズキカップリング、スティルカップリング又はヘックカップリング、又は、Ni−介在ヤマモトカップリング、ポリアミドを合成するためのジ−(酸塩化物)及びジアミン又は二酸及びジアミンの縮合反応、ポリエステルを合成するためのジ−(酸塩化物)及びジアルコールもしくはジフェノールの縮合反応、ポリイミドを合成するためのジアミン及び二酸無水物の縮合反応、及び、その他の縮合方法、例えば、ウィッティング反応又はホーマー−エモンズ反応又はクネーベナーゲル反応が挙げられる。ガラス状ポリマーは、また、ポリウレタンを生じるようにジイソシアネートとジアルコールもしくはポリオールとの重合により、又は、ポリウレアを生じるようにジイソシアネートとジアミンもしくはポリアミンとの重合により調製されうる。好ましくは、ポリマーは縮合重合により調製される。
【0042】
本発明に有用なガラス状ポリマーとしては、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマー、線状及び枝分かれポリマーが挙げられる。枝分かれポリマーとしては、グラフトポリマー、スターポリマー、デンドリマー及び超分岐ポリマーが挙げられる。ポリマーブレンドも本発明で使用されうる。
【0043】
本発明の膜に適する好ましいポリマーとしては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾベンズイミダゾール、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテル)、芳香族ポリアリーレート、芳香族ポリカーボネート、ポリ(ベンズオキサゾール)、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(オキサジアゾール−イミド)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(アリールスルフィド)、ポリベンゾチアゾール、ポリピロールオン(polypyrrolones)、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾール、ポリエステルイミド、ポリ(フェニルキノキサリン)、ポリ(フェニレン)及びそれらのコポリマー及びそれらのブレンドが挙げられる。本発明の膜材料に使用可能なより好ましいポリマーとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド及びポリスルホンが挙げられる。特定の実施形態はポリイミドを含まないが、特定の他の実施形態はポリイミドを含み、ここで、細孔形成剤はカルボン酸又はスルホン酸でない。さらに他の実施形態では、細孔形成剤はカルボン酸であり、フィルムはポリイミドを含む。
【0044】
ポリマーの選択は不安定基又は添加剤を除去するのに使用される方法によって決まる。例として、芳香族ポリカーボネート及びポリアリーレートは、他の多くのポリマーよりも熱的方法にはあまり実行可能性がなく、加水分解除去には適切でないが、放射線法では考慮されうる。好ましい実施形態は、熱的、化学的、電気的又は放射線暴露により分解され、ガラス状ポリマーから外に拡散することが可能な生成物を生じるペンダント不安定基を含むガラス状ポリマーを含む。ペンダント不安定基のみが分解されるので、ポリマー骨格構造は変更されず、このため、膜の機械的特性を維持する。
【0045】
別の好ましい実施形態はポリマー主鎖の一部として不安定基を含むガラス状ポリマーを含み、その不安定基はポリマー骨格を変更せずに、熱的、化学的、電気的又は放射線暴露により除去される。不安定基の分解により、ガラス状ポリマーから外に拡散することができる生成物が生じる。2つの好ましい実施形態のガラス状ポリマーは下記構造I及びIIによりそれぞれ示される。
【0047】
上式中、LGは熱的、化学的、電気的又は放射線暴露により分解されて、ガラス状ポリマーから外に拡散することができる生成物を生じることができる不安定基であり、そして、
LはLGとポリマー骨格との間の直接結合であるか、1〜40個の炭素原子を有する炭素結合基であるか、又は、0〜40個の炭素原子を有する非炭素結合基である。Lが結合基であるときには、それはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールを含み、Lは、また、O,N,S,F,Cl,Br及びSi原子のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0048】
適切な不安定基としては、限定するわけではないが、脂肪族ハロゲン化炭化水素基及び脂環式基を含む脂肪族炭化水素基(例えば、第三級ブチル基及びビニル基)、脂肪族及び芳香族エステル及びチオエステル基を含むエステル及びチオエステル基、脂肪族エーテル基、例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド)オリゴマー、ポリ(プロピレンオキシド)オリゴマー、及び、チオエーテル基、ディールスアルダー付加物、脂肪族カーボネート基、ハロゲン基、脂肪族及び芳香族スルホネート、脂肪族及び芳香族ホスホネート、ビスルフィド基、アゾ基、ブロックドイソシアネート基、カルボキシレート、ホスホニウム、スルホニウム、第四級化アンモニウムを含むオルガノオニウム、N−アルキル化ヘテロアリール基及びチオスルフェートならびに上記の基の2つ以上の混合物が挙げられる。
LGの非排他的例を下記の基において示す。
a)基I:脂肪族炭化水素基
−R
(上式中、Rは枝分かれ又は非枝分かれの置換又は未置換の1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、2〜20個の炭素原子を有するアルケニル又はアルキニル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基である)。例としては、限定するわけではないが、シクロペンチル、シクロヘキシル及び4−メチルシクロヘキシル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、メトキシメチル、ベンジル、ネオペンチル、ドデシル及びビニルが挙げられる。特定の実施形態において、RはO,Si,N,F,Cl及びBr原子のうちの少なくとも1つを含むこともできる。好ましくは、Rは置換もしくは未置換の枝分かれしたもしくは枝分かれしていない1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、最も好ましくは、Rはtert−ブチル基である。
【0049】
b)基II:エステル及びチオエステル基
【化2】
上式中、R
1は置換もしくは未置換の1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、2〜20個の炭素原子を有するアルケニル又はアルキニル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、置換もしくは未置換の6〜20個の炭素原子を有するアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、p−メトキシフェニル、キシリル及びアルコキシカルボニルフェニル)、ハロ基(例えば、クロロ及びブロモ)、置換もしくは未置換の5〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル及び4−メチルシクロヘキシル)、又は、環中に少なくとも1つの窒素、硫黄又は酸素原子を含む5〜20個の原子を有する置換もしくは未置換の複素環式基(例えば、ピリジル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニル)である。R
1はO,Si,N,F,Cl又はBr原子をも含むことができる。好ましくは、R
1は置換もしくは未置換のメチル、エチル、イソプロピル又はt−ブチル基である。
【0050】
c)基III:エーテル又はチオエーテル基
−O−R
1又は−S−R
1
上式中、R
1は上記のとおりに規定される。好ましくは、R
1は置換もしくは未置換のメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル基、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド)オリゴマー、又は、ポリ(プロピレンオキシド)オリゴマーである。
【0051】
d)基IV:カーボネート基
【化3】
上式中、R
1は上記のとおりに規定される。
【0052】
e)基V:ハロゲン基
−X
上式中、XはF,Cl,Br又はI原子である。
【0053】
f)基VI:スルホネート基
【化4】
上式中、Yは水素、アンモニウムイオン又は金属イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、セシウム、バリウム、亜鉛又はリチウムイオン)である。好ましくは、Yは水素、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。R
1は上記のとおりに規定される。
【0054】
g)基VII:ホスホネート基
【化5】
上式中、Y及びR
1は上記のとおりに規定される。
【0055】
h)基VIII:アゾ基
−N=N−R
1
上式中、R
1は上記のとおりに規定される。
【0056】
i)基IX:ブロックドイソシアネート基
【化6】
上式中、Yは水素又はカチオン、例えば、第四級化アンモニウムである。
【0057】
k)基XI:N−アルキル化ヘテロ芳香族基
【化7】
【0058】
上式中、Zは5−員〜10−員の(好ましくは5−又は6−員)のN−ヘテロ芳香環を完成するのに必要な炭素及び任意の追加の窒素、酸素又は硫黄原子である。環は環内に2個以上の窒素を含んでよく(例えば、N−アルキル化ジアジニウム又はイミダゾリウム基)又はN−アルキル化窒素含有縮合環系を含んでよく、限定するわけではないが、ピリジニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、アクリジニウム、フェナントラジニウム及び当業者に容易に明らかであるその他のものが挙げられる。好ましくは、N−アルキル化窒素含有芳香族基はイミダゾリウム又はピリジニウムである。
Wはアニオンである。適切なアニオンとしては、限定するわけではないが、ハロゲン化物、カルボキシレート、スルフェート、ボレート及びスルホネートが挙げられる。代表的なアニオンとしては、限定するわけではないが、塩化物、臭化物、フッ化物、アセテート、テトラフルオロボレート、ホルメート、スルフェート、p−トルエンスルホネート及び当業者に容易に明らかであるその他のものが挙げられる。好ましいアニオンはハロゲン化物及びカルボキシレートである。最も好ましくは、Wはアセテート又は塩化物である。
nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は1である。最も好ましくはnは0である。
【0059】
i)基XII:チオスルフェート基
【化8】
上式中、Yは上記に基VIに関して規定されるとおりである。
【0060】
m)基XIII:オルガノオニウム基
【化9】
上式中、R
1、R
2及びR
3は上記でR
1に関して規定したとおりである。R
1、R
2及びR
3は独立に同一であるか又は異なる。R
1、R
2及びR
3のうちの任意の2つは組み合わされて、荷電されたリン、硫黄又は窒素原子を有する置換もしくは未置換の複素環式環を形成することができ、その環は4〜8個の炭素、窒素、リン、硫黄又は酸素原子を環内に有する。このような複素環式環としては、限定するわけではないが、置換もしくは未置換のモルホリニウム、ピペリジニウム及びピロリジニウム基又は第四級化アンモニウム基が挙げられる。
【0061】
n)基XIV:ビスルフィド基
−S−S−R
1
上式中、R
1は上記のとおりに規定される。
【0062】
o)基XV:ディールスアルダー付加物
−D−A
上式中、D−Aはジエン及びジエノフィルの間で形成されるディールスアルダー付加物と規定され、そしてレトロ−ディールスアルダー反応することができる。
【0063】
不安定基(LG)は、例えば、不安定基を含むモノマーを重合することにより、又は、不安定基を取り込むように適切なポリマーを変性することによりガラス状ポリマー中に取り込まれることができる。ポリマー鎖に対してペンダントの側鎖としての不安定基の限定しない例としては、下記のものが挙げられる。側基として共有結合しているクラウンエーテル又はカリックスアレーンなどの環式構造は興味深い追加の不安定基を含むであろう。ペンダントのアゾ結合基(−N=N−)はポリマーマトリックスに共有結合されうる、アルキルもしくはアリール置換基の末端停止部を有することができる可能な不安定基である。アルキルアゾ化合物は熱的に不安定であることが知られており、熱暴露又は放射線暴露時にN
2を解放する。ポリイミド又はポリアミドに対する第三級ブチル基又はペンダントのオリゴマーポリ(プロピレンオキシド)側鎖は、同様に、主鎖分子量を低減することなく、熱的に除去されうる。カルボン酸及びカルボン酸エステルなどのペンダント基はポリマーマトリックスから外へ拡散する能力を有する気体種(例えば、CO
2)となって排除されるであろう。特定の例としては、芳香族tert−ブチルエステルが挙げられる。熱又は酸加水分解は第三級ブチル基を除去して、結合している芳香族カルボン酸基を残すことができ、そのカルボン酸基は、同様に、高温で除去されうる。芳香族エステルでは、得られる空隙のサイズはカルボン酸前駆体中の水素を置換しているアルキル基又は芳香族基のサイズ(分子量)による。
【0064】
上記のペンダント基は、好ましくは、所望の高ガラス転移温度ポリマーマトリックスの重合に使用される芳香族もしくは複素環式モノマーに結合している。これらのモノマーの例としては、限定するわけではないが、所望の不安定ペンダント基を有する芳香族ジアミン、ビスフェノール、芳香族ジカルボン酸及び芳香族二酸無水物が挙げられる。モノマーの特定の非限定的な例としては、1,4−ジアミノアントラキノン、2,5−ジイソプロピル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジシクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、5−tert−ブチルイソフタル酸、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジtert−ブチルフェノール)、4,4’−スルホニルビス(2−tert−ブチルフェノール)、tert−ブチルヒドロキノン、2,3−ジクロロ−5,7−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、3,5’−ジヒドロキシアセトフェノン、2−ニトロレゾルシノール、3,5−ジアミノ−tert−ブチルベンゼン、2,4−ジアミノ−ベンゼンスルホン酸及び3,5−ジアミノ−ベンジルアルコールが挙げられる。
【0065】
本発明のガラス状ポリマー中に不安定基を導入するための別の方法としては、適切なポリマーを変性して、所望の基を結合させることである。例えば、ペンダント芳香族ヒドロキシルを有するポリイミドはカルボン酸、カルボン酸無水物又は酸塩化物と反応して、熱的に又は化学的に除去されうるペンダントエステル基を生じることができる。又は、所望の基はポリマー骨格にグラフトさせることによりガラス状ポリマーに結合されうる。
【0066】
本発明の別の態様はポリマーマトリックス中に添加剤を取り込むことを含み、その添加された種は混和性であり(ポリマーマトリックスと均質混合物を形成する)、そして熱的に、化学的に、電気的に又は放射線に暴露されたときに分解して、ポリマーマトリックスから外に拡散することができる種を形成する。このプロセスは、緩和プロセスを回避するようにポリマーマトリックスのガラス転移温度よりも低い温度で、ガラス転移温度で、又は、ガラス転移温度付近の温度で行われ、さもなければ、緩和プロセスがガラス転移温度よりも高い温度で起こり、形成された自由体積の崩壊が起こる。
【0067】
本発明の添加剤はポリマーマトリックスから外に拡散することができる生成物を生じる分解能力を有する任意の混和性種として広く規定される。添加剤は上記に規定される任意の不安定基(LG)を取り込むことができる。添加剤としては、ポリマーマトリックスと混和性である任意の小分子、オリゴマー及びポリマーが挙げられる。
【0068】
添加剤の例としては、限定するわけではないが、脂肪族炭化水素、マロン酸、シュウ酸及びイタコン酸などの脂肪族カルボン酸、脂肪族エーテル及びチオエーテル、脂肪族カーボネート、芳香族カルボン酸及びエステル及びカーボネート、例えば、安息香酸、安息香酸tert−ブチル、ジフェニルカーボネート、ジフェニルエステル及びそのオリゴマー構造体、クラウンエーテル、例えば12−クラウン−4、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6及びジアザ−18−クラウン−6、カリックスアレーン、例えば、カリックス(4)アレーンであって、パラ−tert−ブチル基を有するもの、不安定結合基を有する芳香族結合基の環式構造、例えば、エステル基が結合したビスフェノールの環式三量体、ポリ(ブチレンテレフタレート)などの従来のポリエステルの環式構造、ブロックドイソシアネート、ディールス−アルダー付加物、モルホリニウム、ピペリジニウム及びピロリジニウム及び第四級化アンモニウム化合物などのオルガノオニウム化合物及びアゾ化合物が挙げられる。脂肪族もしくは芳香族アゾ化合物は窒素を解放するように分解する不安定基を提供する。特定の例としては、黄色アゾ染料などのアゾ染料及びアゾビスイソブチロニトリルなどの脂肪族アゾ化合物及び類似の化合物が挙げられる。化学発泡剤は溶融処理の間に気泡構造を作成するためにポリマーに添加される。これらの薬剤は分解の間にCO
2を解放するためのカーボネート基、及び/又は、N
2を解放するためのアゾ基を含むことができる。1つの例はアゾジカルボンアミドである。それらの薬剤は溶融状態でポリマー発泡するだろうが、ガラス状ポリマーへの添加は、本発明において所望のとおりの劣化の間に分子サイズ空隙を製造するであろう。追加の市販の発泡剤としてはオキシビス−ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド及びトルエンスルホニルセミカルバジドが挙げられる。UV線への暴露時に酸性残基を形成するように分解する、フォトレジスト用途で通常に使用されている光酸発生剤も本発明のために有用である。
【0069】
他の不安定添加剤としては、酸化により除去されうる硫黄(好ましくはS
8が環式構造を提供する)を含む。ジスルフィドが結合した有機化合物(脂肪族基又は芳香族基)は熱的に又は化学的に分解されて、ガラス状ポリマーマトリックスから外に拡散することができる構造を生じることができる。他の硫黄含有化合物としては、有機スルホン酸及びスルホネート、スルフェート及びスルフィット、二硫化物化合物、脂肪族及び芳香族チオスルフェートが挙げられる。α−テルピネン、d−リモネン、ロジン及びアビエチン酸エステルなどの不安定天然物も本発明のために有用である。
【0070】
本発明の別の態様は高ガラス転移温度ポリマーマトリックスと不安定混和性ポリマーのブレンドを提供すること、該ブレンドを、不安定ポリマーがポリマーマトリックスのガラス転移温度より低い温度で、ガラス転移温度で又はガラス転移温度付近で解放される条件下に付すこと、を含む。
【0071】
なおも別の実施形態において、本発明は1種より多くの高ガラス転移温度ポリマーマトリックスと少なくとも1種の不安定添加剤のブレンドを提供すること、及び、該混合物を、不安定添加剤がポリマーマトリックスのガラス転移温度より低い温度で、ガラス転移温度で又はガラス転移温度付近で除去される条件下に付すこと、を含む。
【0072】
なおも別の実施形態において、本発明は1種より多くの高ガラス転移温度ポリマーマトリックスと少なくとも1種の不安定混和性ポリマーのブレンドを提供すること、及び、該混合物を、不安定ポリマーがポリマーマトリックスのガラス転移温度より低い温度で、ガラス転移温度で又はガラス転移温度付近で除去される条件下に付すこと、を含む。
【0073】
添加剤をポリマーマトリックス中に取り込むことの利点はポリマーマトリックス及び添加剤の選択範囲が広いこと、及び、ポリマーマトリックス及び添加剤のブレンドの調製が容易なことが挙げられる。
【0074】
添加剤及びポリマーマトリックスを同一の溶剤又は混和性の溶剤中で溶解して、均一溶液を調製することができる。ポリマーマトリックスに対する添加剤の量は添加剤及びポリマーマトリックスの化学構造、及び、不安定添加剤を分解するのに使用される方法によって変更されうる。ポリマーマトリックスに対する添加剤の量は約1〜約40質量%、又は、約2〜約35質量%、又は、約3〜約30質量%、又は、約4〜約25質量%であることができ、ただし、混合物は均質溶液を形成し、得られるフィルム又は膜中でマクロ相分離を生じない。
【0075】
本発明のポリマーマトリックスに対する不安定添加剤は熱、化学、電気又は放射線暴露により分解して、ポリマーマトリックスから外に拡散することができる種を形成することができる。分解が熱暴露により進行するときには、不安定添加剤の特定の構造及び組成が高ガラス転移温度マトリックスポリマーを含む混合物のガラス転移温度を、評価可能な量の空隙形成緩和が起こる温度まで大きく低減しないように添加剤のタイプ及び量を選択することが必要である。不安定添加剤の分解を促進するための放射線(例えば、UV暴露)、電気及び化学反応は熱プロセスよりも低い温度で行うことができるという潜在的利点がある。
【0076】
本発明のガラス状ポリマーはTg以下の範囲で低減された自由体積の緩和を提供するのに充分に高いガラス転移温度を与える。そのため、処理温度(T)はTg以下又はさらには若干高い温度(例えば、1.1Tg以下又はTgよりも10%高い値まで)であることができる。
【0077】
高ガラス転移温度は100℃よりも高い、又は、好ましくは150℃より高い、又は、より好ましくは200℃より高いガラス転移温度と本明細書中で規定する。
【0078】
本発明の特定の実施形態において、ポリマーマトリックスを分解工程の前に架橋して、それにより、ポリマーの緩和プロセスを低減しそして自由体積の損失の防止を助ける。
【0079】
本発明の特定の実施形態において、分解しそして細孔形成剤を除去するときに架橋可能な部分が生成される。
【0080】
特定の実施形態において、膜製造のためのポリマーとしてポリイミドを使用する。ポリイミドは、一般に、高ガラス転移温度、良好な熱機械特性及び良好なガス透過性を有する。ポリイミドは一般式(III)の繰り返し単位を含む。
【化10】
上式中、R
2は4〜40個の炭素原子を有する四価有機基であり、R
3は2〜40個の炭素原子を有する二価有機基である。
【0081】
本発明の別の実施形態は一般式(IV)の繰り返し単位を含むポリアミドを膜製造のためのポリマーとして使用することを含む。
【化11】
上式中、R
3及びR
4は2〜40個の炭素原子を有する二価有機基であり、R
3及びR
4は独立に同一であるか又は異なり、そしてR
5は水素、フェニル又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0082】
本発明の別の実施形態は膜製造のためのポリマーとしてのポリスルホン及びポリエーテルスルホンの使用を含む。ポリスルホン及びポリエーテルスルホンは中程度の応力下に高温であっても、酸、アルカリ、オイル、グリース、脂肪族炭化水素及びアルコールに対して高い耐性を有する。これらのポリマーは優れた膜材料である。ポリスルホンは一般式(V)及び(VI)の繰り返し単位を含み、そしてポリエーテルスルホンは一般式(VII)の繰り返し単位を含む。
【化12】
【0083】
式III〜VIIにおいて、二価基R
3及びR
4は置換もしくは未置換のフェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、アントリレン、又は、下記構造に示すとおりの結合基R
6により結合された2つのフェニレン基であることができる。
【化13】
上式中、R
6は1〜18個の炭素原子のアルキレン(アルキリデンを含む)、6〜18個の炭素原子のアラルキレン、1〜18個の炭素原子のハロアルキレン(ハロアルキリデンを含む)(ここで、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素である)、酸素、硫黄、エステル基、アミド基、−SO
2−,−CO−,−P(O)−,−O−P(O)R
7−O−(ここで、R
7は1〜6個の炭素原子のアルキル又はフェニルである)、アミノ基、ケイ素基、シロキサン基、尿素基、カーボネート基である。R
6の好ましい実施形態は1〜3個の炭素原子のアルキリデン又はハロアルキリデン、アラルキリデン、オキシ、−SO
2−及び−CO−である。
【0084】
四価基R
2(上記の式III)は置換もしくは未置換のフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、チオフェニル、ピリジル、ピラジル及び基R
6により結合された2つのフェニル基であることができる。
【0085】
上記の二価基R
3及びR
4ならびに四価基R
2上の置換基、すなわち、芳香族C−H基中の水素の置換基としては、1〜18個の炭素原子のアルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル及びオクタデシル基、フェニル、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、低級アルコキシ基、カルボキシル、1〜6個の炭素原子のアルコキシカルボニル、1〜6個の炭素原子のカルバシル(carbacyl)、例えば、アセチル及びヘキサノイル、スルホ及びアルカリもしくはアルカリ土類金属のスルホ塩が挙げられる。
【0086】
ポリイミドは、極性溶剤中で予め決められた比率でジアミン成分と二酸無水物成分とを反応させることなどにより製造でき、ここで、ポリアミド酸が最初に形成され、次いで、脱水及び閉環によりポリイミドを形成させる。
【0087】
本発明のポリイミドの製造に適した二酸無水物の特定の例としては、限定するわけではないが、以下のものが挙げられる。
3,4,3’,4’−ジフェニルジ(トリフルオロメチル)メタンテトラカルボン酸二無水物(6FDA)、
3,4,3’,4’−ジフェニルジメチルメタンテトラカルボン酸二無水物、
ピロメリット酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
ピラジンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、
1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルジメチルシランテトラカルボン酸二無水物、
ジフェニル−3,4,3’,4’−ジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、
フェニル−3,4,3’,4’−ジフェニルアミンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルメチルアミンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−(9,9−ジアルキル)フルオレンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−(9,9−ジフェニル)フルオレンテトラカルボン酸二無水物、
1,9,5,10−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、及び、
ピリジンテトラカルボン酸二無水物。
【0088】
本発明のポリイミドの製造に適するジアミンの特定の例としては、限定するわけではないが、以下のものが挙げられる。
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニル−ビス−(トリフルオロメチル)メタン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6−ジアミノピリジン、ビス(4−アミノフェニル)−ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)−ジフェニルシラン、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノフェニル)−エチルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、3−アミノ安息香酸4−アミノフェニル、N,N−ビス(4−アミノフェニル)アニリン、2,6−ジアミノトルエン、1,3−ジアミノ−5−ベンゼンスルホン酸、4,6−ジクロロ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
2,4,6−トリクロロメタ−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノトリフェニル−メタン、
ビス(4−アミノ−2,5−ジエトキシフェニル)フェニルメタン、2,8−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン5,5−ジオキシド及びその異性体、例えば、2,6−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン5,5−ジオキシド及び4,6−ジメチル−3,7−ジアミノジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4−イソプロピルメタフェニレンジアミン、2,5,2’,5’−テトラクロロベンジジン、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロベンジジン、
2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノ−3,5,6−トリ−クロロジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、
3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,4−ジアミノアントラキノン、2,5−ジイソプロピル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジシクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノ−ベンゼンスルホン酸、2,4−ジアミノ−1,5−ベンゼンジスルホン酸、3,5−ジアミノ−tert−ブチルベンゼン、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノジフェニルアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジアニリン、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]4,4’−メチレンジアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,5−ナサレン(Nathalene)ジアミン、2,6−ナサレン(Nathalene)−ジアミン、3,6−(9,9−ジアルキル)フルオレンジアミン、
2,7−(9,9−フェニル)フルオレンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルアミン、及び、
1,2,4,5−テトラアミノベンゼン。
【0089】
テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分を個々に又はその2種以上の混合物としてあるいはその組み合わせで用いて、ポリイミドポリマー又はコポリマーを製造することができる。
【0090】
良好な機械特性を有する膜を製造するために、ポリイミドが比較的に高分子量を有することが望ましい。このように、1付近の比率でのテトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の間の重合及びイミド化反応は比較的に高分子量を有するポリイミドをもたらす。テトラカルボン酸成分及びジアミン成分のモル比は比較的に高分子量を有するポリイミドを得るために、0.95:1〜1.05:1であることが好ましく、より好ましくは0.98:1〜1.02:1である。
【0091】
重合及びイミド化反応は、予め決められた比率のテトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分を、極性溶剤中で、0〜250℃(温度は溶剤の沸点より高くてはならない)の温度で反応させることにより行い、ここで、ポリアミド酸が生成され、次いで、脱水及び閉環により、イミド基を生成する。イミド化工程は熱手段又は化学手段により行うことができる。熱手段では、ポリアミド酸溶液を120℃〜250℃の温度で加熱する。化学手段では、ポリアミド酸溶液を30℃〜120℃の温度で脱水剤とともに加熱する。
【0092】
本発明に適するポリアミドは二酸又は二酸塩化物成分をジアミンと極性溶剤中で予め決められた比率で反応させるなどにより得ることができる。
【0093】
本発明のポリアミドの製造に適したジアミンの特定の例は上記に記載されている。適切な二酸の特定の例としては、限定するわけではないが、以下のものが挙げられる:ジフェニルエーテル4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェネノン(Benzophenenone)−ジカルボン酸、ジフェニルビス(トリフルオロメチル)メタン−4,4’−ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−プロピリデンジ安息香酸、4−メチルイソフタル酸、4,4’−メチレンジ安息香酸、ジフェニルスルフィド4,4’−ジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、4,4’−ジエチルシランジ安息香酸、4,4’-ジフェニルシランジ安息香酸、4,4’−ビス安息香酸、14 4,4’−ビスアニス酸、ビス(4−カルボキシフェニル)エチルホスフィンオキシド、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビス(o−トルイル)酸、4−ブロモイソフタル酸、1,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−ナサレン(nathalene)ジカルボン酸、3,6−(9,9−ジアルキル)フルオレンジカルボン酸、2,7−(9,9−ジアルキル)フルオレンジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メチルアミン及びビス(4−カルボキシフェニル)フェニルアミン。
【0094】
適切なジカルボン酸塩化物は上記のジカルボン酸から容易に調製することができる。
【0095】
本開示に有用なポリスルホン及びポリエーテルスルホンは、例えば、ジフェノール及び芳香族ジ−ハロゲン化物の間の求核性芳香族置換反応、又は、GB1,060,546に記載されている縮合手順によるなど、さまざまな方法で調製することができる。
【0096】
本発明は、また、コポリイミド及びコポリアミドなどのコポリマー、ならびに、2種以上のこれらの材料の物理的ブレンドの使用も考えられる。
【0097】
ポリマーのガラス転移温度を増加させそしてポリマー鎖に追加的な剛性を提供するために、膜が形成された後に、架橋剤を用いて架橋を促進することができる。これは、熱的に、化学的に、電気的に又は放射線暴露で行うことができる。
【0098】
当業者によく知られている架橋のための方法が多数存在する。いくつかの代表的な架橋法として、限定するわけではないが、下記のものが挙げられる。
a)アミンもしくはカルボン酸又は他のルイス塩基単位をジ−エポキシド架橋剤と反応させること、
b)ポリマー内のエポキシド単位を、二官能のアミン、カルボン酸又はその他の二官能ルイス塩基単位と反応させること、
c)アクリレート、メタクリレート、シンナメート又はその他のビニル基などの二重結合含有単位の照射もしくはラジカル開始架橋、
d)ポリマー内の結合基を多価金属塩と反応させること(カルボン酸含有ポリマーと亜鉛塩との反応が例である)、
e)(2−アセトアセトキシ)エチルアクリレート及びメタクリレートなどのクネーフェナーゲル縮合反応を介して反応する架橋可能な部分を使用すること、
f)マイケル付加反応により、ジビニル化合物(例えば、ビス(ビニルスルホニル)メタン)とアミン、チオール又はカルボン酸基を反応させること、
g)複数のアジリジン単位又はカルボジイミド単位を有する架橋剤とカルボン酸単位を反応させること、
h)ポリマー内のアミン、チオール又はアルコールを複数のイソシアネート単位を有する架橋剤と反応させること、
i)トリメトキシシリル部分などの鎖間ゾル−ゲル結合の形成が関与するメカニズム、
j)ポリマーに対するエチニル基を結合させる熱架橋、
k)アルキド樹脂により使用されるような自己酸化架橋、
l)硫黄加硫、
m)電離放射線が関与するプロセス、及び、
n)パーフルオロシクロブタンを形成するトリフルオロビニルエーテルの熱環化。
【0099】
架橋部分は好ましくはポリマー骨格にペンダント側鎖として結合される。例えば、架橋部分は置換芳香族二無水物、ジアミン及びヒドロキノン又はビフェノールとしてモノマー中に取り込まれることができる。
【0100】
ガラス状ポリマー中に所望の空隙を形成するための化学暴露の方法としては、限定するわけではないが、加水分解、酸化、オゾン処理、フッ素化又はフルオロ酸化が挙げられる。不安定ペンダント側鎖又は不安定添加剤のいずれかとしてガラス状ポリマーマトリックスに組み込まれたエステル基又はオリゴマーポリエステル基は拡散により膜から除去することができる分解生成物を生じる、高温水及び/又は水/酸暴露による加水分解により除去されうる。ポリエーテル基はNH
3及び水への暴露によって塩基分解に付すことができる。
【0101】
ガラス状ポリマー中に所望の空隙を形成するための放射線法としては、限定するわけではないが、UV、電子線、X線、ベータ及びガンマ線ならびに遠赤外線が挙げられる。これらのプロセスは、不安定性基又は添加剤を分解するために比較的低い温度で動作させるという潜在的な利点を提供する。UV線などの特定の場合には、プロセスは特定の波長及びエネルギーレベルで特定の分解反応を促進するように最適化されうる。ペンダント不安定性基又は添加剤を分解するために化学もしくは放射線暴露を用いる場合には、ポリマー骨格又はポリマーマトリックスは、そのような処理に対して安定していなければならない。
【0102】
ペンダント不安定性基又は添加剤を分解するための熱的、化学的、電気的又は放射線暴露はバッチ又は連続モードのいずれかで膜に対して行うことができる。連続モードでは、プロセスは、膜製造の間に又は膜乾燥後のオフラインの間に実施することができる。バッチモードは、暴露時間が連続操作に適さない状況で、膜に対して行うことができる。
【0103】
ガラス状ポリマーの分子量は膜の形成に重要である。好適には、本発明のガラス状ポリマーは高い強度を有し、脆性でない材料を得るために、ポリマーの絡み合い分子量を超える分子量を有する。ポリマーの分子量が低すぎると膜が脆くなりすぎる。分子量が高すぎると、加工が困難になることがある。本発明のガラス状ポリマーは、好ましくは、平均分子量が10,000〜400,000であり、より好ましくは20,000〜350,000であり、さらにより好ましくは25,000〜300,000である。
【0104】
本発明のガラス状ポリマーから製造された膜は、例えば、中空繊維、管形状、らせん巻き、プリーツ、フラットシート又は多角形チューブなどの当該技術分野で既知の任意の形態を取ることができる。中空繊維膜のための好ましい形態は、大きな膜面積の使用を容易にするために、非常に薄い選択スキン層及び高充填密度の両方を提供する、一体的に被膜形成(スキニング)された又は複合材の非対称中空繊維である。複数の中空繊維膜管は比較的大きな接触面積のために好ましい。接触面積は追加の管又は管輪郭を追加することによってさらに増加されうる。
【0105】
中空繊維は、中空繊維幾何形状を保持する目的のために使用されるコア流体とともに、環状のキャピラリーノズル、例えば、紡糸口金を通してポリマー溶液を押出すなどして形成されうる。そのプロセスは、本発明のガラス状ポリマー溶液の相反転が関与する。相反転プロセスはポリマー溶液を、相反転を引き起こす凝固浴に接触させる既知の成膜技術である。Loebらによって米国特許第3,133,132号明細書中に記載された相反転プロセスは、ポリマー溶液をフィルムへと加工し、ポリマー溶液のフィルムから溶剤を除去し、それにより、緻密層の形成をもたらすことができ、その後、フィルムを凝固浴(ポリマー溶液の溶剤及びポリマーの非溶媒(ポリマー溶解することができない)と混和性である溶剤)に浸漬して相分離を誘発し、それにより、多孔性支持層の形成をもたらすことができる細孔を形成することを含む。緻密層はガス種に応じて実質的に異なる透過率を有し、そのためのガス種を分離するように機能するような緻密さを有する。一方、多孔性支持層は実際上ガス分離機能を有しないような多孔性を有する。
【0106】
非対称中空繊維膜は、中空繊維幾何形状に紡糸口金を通してガラス状ポリマーの溶液を押出すことによって提供されうる。ガラス状ポリマー溶液を中空繊維の幾何形状を保持する目的のために使用されるコア流体とともに紡糸口金を通される。その直後に、押出された中空繊維は空気又は窒素ガス雰囲気を通過し、その後、実質的にポリマー成分を溶解することができずかつガラス状ポリマー溶液の溶剤と混和性である凝固浴に浸漬し、非対称構造を形成する。次いで、中空繊維を乾燥し、所望であれば、熱処理して分離膜を製造する。
【0107】
これらの繊維は、通常、人間の毛髪と同様の直径を有し、単位体積あたり非常に高い表面積という利点を提供する。産業中空繊維膜モジュールは、通常、数十万までの個々の中空繊維を含む。具体的には、生産性を最大化するために、中空繊維は、通常、多孔性支持体上に極薄(<2000Å)の緻密層を含む。ガス分離はこの選択緻密層をとおして行われる。この選択緻密層を同一のポリマー上に支持し、それにより、一体的に被膜形成(スキニング)された非対称中空繊維膜を形成することができる。選択緻密層は、中空繊維の外側又は内側の表面のいずれかに配置することができる。最も先進的な膜は、米国特許第5,085,676号明細書中に記載されているとおり、安価な多孔性コア支持層(異なるポリマー)上に支持された選択緻密層を含む非対称シースを有し、それにより、複合材中空繊維膜を形成する。その米国特許の内容を参照により本明細書に取り込む。本発明のガラス状ポリマーは、中空繊維膜の緻密層及び支持層の両方として使用することができる。
【0108】
中空繊維形状を安定的に維持するには、押出成形直後に、紡糸口金を通して押し出されたガラス状ポリマー溶液は溶液粘度が25℃〜100℃の紡糸温度で20,000〜300,000センチポアズであり、より好ましくは30,000〜250,000センチポイズであり、より好ましくは40,000〜200,000センチポイズである。凝固は、膜が中空繊維形状を保持するのに充分な程度に膜を凝固させる第一の凝固浴中に最初に浸漬し、膜をガイドロールにより巻き取り、そして第二の凝固浴中に第二の浸漬をし、そして、任意選択的に、追加の逐次の浴中に浸漬し、ここで膜を徹底的に凝固させ、効果的に洗浄して、溶剤及び非溶媒を除去することにより行われる。中空繊維膜は、その後、効率的な乾燥工程を経て凝固液体を除去する。
【0109】
本発明では、ペンダント不安定基又は添加剤を分解するための熱的、化学的、電気的又は放射線暴露は膜に対してバッチ又は連続モードで行うことができる。連続モードでは、プロセスは膜製造の間又は膜乾燥後にオフラインの間に実施されうる。バッチモードは、暴露時間が連続操作のために適さない状況では、膜線維束に対して行うことができる。熱暴露については、熱処理はガラス状ポリマーマトリックスのガラス転移温度を下回る温度で行われる。
【0110】
膜の製造に使用されるガラス状ポリマー溶液又はポリマーマトリックス/添加剤混合物溶液の選択はポリマー又はポリマーマトリックス/添加剤の溶解性、及び、溶液の粘度要求に依存する。典型的には、溶液中のポリマー又はポリマーマトリックス/添加剤の量は約10〜約60質量%、好ましくは約15〜約50質量%、より好ましくは約20〜約45質量%で変更可能である。濃度が低すぎかつ溶液が低粘度であるならば、膜は相反転プロセスの間に欠陥を有する傾向がある。もし濃度が高すぎかつ溶液が高い粘度を有するならば、膜はより厚い緻密層を有する傾向があり、又は、多孔性支持層としての多孔性を減少させ、透過率を低減する傾向がある。
【0111】
粘度向上剤又は粘度向上性塩は中空繊維への紡糸に適したポリマー溶液を製造するのに有用であることがある。
【0112】
ガラス状ポリマー溶液のための典型的な溶剤としては、限定するわけではないが、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの溶剤が挙げられる。
【0113】
溶剤の混合物もまた、膜の層を形成するために用いられるガラス状ポリマー溶液中に使用されうる。溶剤の特定の混合物は、ポリマーの溶解度パラメータ及び溶液の粘度によって変更されうる。例えば、2種以上の溶剤を用いてよく、それにより、揮発性又は溶媒和力が変更される。
【0114】
溶剤混合物はまた、ポリマー膨潤剤及び非溶媒成分などの追加成分を含むことができる。これらの追加成分は、例えば、初期ゲル化点付近にポリマー溶液を持って行くことによって層に所望の異方性を達成するのに有用であることがある。これらの追加成分は凝固浴中で抽出可能又は抽出不能であることを特徴とすることができる。抽出可能な成分、すなわち、水性凝固浴中で抽出可能な材料は、例えば、層内の孔形成剤として有用であることができる。抽出可能な成分の例としては、無機塩及びポリビニルピロリドンなどのポリマーが挙げられる。抽出不能成分は、例えば、膜透過性改良剤としての有用性を見いだすことができる。抽出不能材料は、ポリマーの最終用途が緻密分離層であるか又は多孔性支持層であるか、ポリマーの組成、溶剤混合物及び凝固浴によって組成が変更する。使用することができる追加成分の例としては、例えば、凝固浴の組成物中に不溶性である別個のモノマー材料、湿気硬化型シロキサンなどの重合性材料、相溶性又は非相溶性ポリマーが挙げられる。追加成分のこれらの例は単に例示であり、限定するものと考えるべきではない。
【0115】
膜のために適した凝固浴は、使用するポリマー溶液の組成及び所望の結果に応じて変更する。一般に、凝固浴はポリマーの溶剤と混和性であるが、各層のポリマーの非溶媒である。しかしながら、凝固浴は層中で所望の特性を達成するように変更されうる。これは、緻密層ポリマーの溶解度パラメータによって、又は、特殊な膜構成が望まれているときに望ましいことがある。例えば、緻密層ポリマー溶液の溶剤は凝固浴中で不混和性であることができるが、支持層ポリマー溶液の溶剤は凝固浴中で混和性であることができる。それゆえ、凝固浴は、水及び水と混和性である有機溶剤及びポリマーから除去される溶剤の多成分混合物であることができる。浴の温度及び組成はまた、凝固の程度及び速度に影響を与えるように制御することができる。望ましい凝固媒体は水である。というのは、水は無毒性、不燃性、低コストであり、そして、通常、ポリマーのための優れた凝固媒体であるからである。膜特性を最適化するために、水/アルコール混合物又は可溶性有機種とのその他の水混合物も考えられる。
【0116】
中空繊維は、チューブシートを形成するために端部でポッティングし、圧力容器中に適合させ、それにより、チューブの外側からチューブの内側を分離したバンドル型アレイで使用されうる。このタイプの装置は当技術分野で知られている。交互にフィードリテンテートスペーサー及びパーミエートスペーサにより分離された多数の膜層を含む、フラットスタック浸透装置を製造するのにシートを使用することができる。別個のフィードリテンテートゾーン及びパーミエートゾーンを画定するように層をその縁に沿って接着することができる。このタイプの装置は米国特許第5,104,532号明細書に記載されている。その内容を参照により本明細書に取り込む。
【0117】
中空繊維は、チューブシートを形成するために端部でポッティングし、圧力容器中に適合させた数本の中空繊維から数十万本の中空繊維の膜のバンドル型アレイで使用されうる。得られた中空繊維膜エレメントは、個々の中空繊維の内側に通じる空間と、中空繊維の外側に通じる空間とが互いに分離されるように、少なくとも混合ガスインレット、透過物アウトレット及びリテンテート(非透過物)アウトレットを有する。ガス混合物は混合ガスインレットから中空繊維膜の内側又は外側に接触している空間に供給される。混合ガスが中空繊維膜に沿って流れている間に、混合ガス中の特定成分は選択的に膜を通過する。透過物ガスは透過物アウトレットから排出され、一方、膜を通過していないリテンテートガスはリテンテートアウトレットから排出され、こうしてガス分離が行われる。このタイプの装置は当技術分野で知られている。
【0118】
バンドルされた繊維の数は繊維直径、長さ及び気孔率ならびに所望のスループット、設備費及び当業者によって理解される他のエンジニアリングの考慮事項によって決まるであろう。
【0119】
膜は分離装置中に含まれ、その分離装置は膜を含む1つ以上の内側チューブを包囲している外側孔付きシェルを含む。1つの実施形態において、ガス混合物は分離装置に入り、そしてガス混合物は内側チューブを通過する。ガス混合物が内側チューブを通過するときに、混合物の1種以上の成分は内側チューブから外に透過する。
【0120】
膜をカートリッジ中に閉じ込め、そしてガス混合物から汚染物を透過させるために使用することができる。汚染物は膜を通して外に透過することができ、一方、所望の成分は膜カートリッジから継続する。
【0121】
膜は孔付きチューブ内で積み重ねられて内側チューブを形成するか、又は、相互連結されて自己支持チューブを形成することができる。積み重ねられる膜エレメントの各々はガス混合物の1種以上の成分を透過させるように設計されうる。例えば、1つの膜は二酸化炭素を除去するように設計され、第二の膜は硫化水素を除去するように設計され、そして第三の膜は窒素を除去するように設計されることができる。異なる順序でガス混合物から様々なガスを除去するために、異なる配列で膜を積み重ねてよい。
【0122】
異なる成分を単一の汚染物回収ゾーン中で除去しそして一緒に廃棄することができ、又は、異なるゾーンで除去することができる。膜は、特定の用途によって、並列もしくは平行形態又はその組み合わせで配置されうる。
【0123】
膜は、ワイヤライン、コイルチュービング又はポンピングなどの従来の修復技術によって取り出し及び交換が可能である。交換に加えて、膜エレメントは膜を通過してガス、液体、洗浄剤又はその他の材料をポンピングして、膜表面に蓄積した材料を除去することにより、その場でクリーニングされてもよい。
【0124】
本明細書中に記載される膜を含むガス分離装置は特定の用途によって可変長さであることができる。
【0125】
ガス混合物は内側から外側への流路に従って膜を通過して流れることができ、ここで、混合物は膜のチューブの内側に流れ、そして除去される成分はチューブを通して外に透過する。又は、ガス混合物は外側から内側への流路に従って膜を通過して流れることができる。
【0126】
液体もしくは粒子状汚染物と膜との間の損傷可能な接触を防止し又は低減するために、流れているガス混合物を外側チューブ内で回転させ又は旋回させることができる。この回転は既知のやり方で行ってよく、例えば、1つ以上の螺旋ディフレクタを用いて行ってよい。ガス混合物から取り出された成分を除去し及び/又はサンプリングするためにベントを設けることもできる。
【0127】
膜は好ましくは耐久性であり、高温に対して耐性であり、そして液体への暴露に対して耐性である。材料はコーティングされてよく、理想的にはポリマーによりコーティングされ、汚染を防止しそして耐久性を改良することができる。適切なポリマーの例としては、米国特許第5,288,304号及び同第4,728,345号明細書に記載されているものが挙げられ、それらの内容を参照により本明細書中に取り込む。膜を損傷させうる粒状物及びその他の汚染物を除去するためのプレフィルタとしてバリア材料を使用することもできる。
【0128】
本発明の膜は流体(すなわち、ガス及び/又は液体)を分離するために特に有用である。例えば、用途としては、空気の窒素又は酸素の濃縮、メタン流からの窒素又は水素の除去、天然ガス流などの任意のガス流からの二酸化炭素、硫化水素及び水蒸気の除去、又は、合成ガスからの一酸化炭素の除去が挙げられる。膜はまた、リファイナリーストリーム及び、パラフィンの触媒脱水素化における脱水素反応エフルエントなどのその他のプロセスストリームからの水素の分離に使用されうる。一般に、膜は、例えば、水素、窒素、メタン及びその他の炭化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム又はその他の希ガス、酸素、水蒸気及び硫化水素を含む流体混合物を用いた任意の分離プロセスで使用されうる。好ましい実施形態では、分離はO
2/N
2,CO
2/CH
4,CO
2/N
2,H
2/N
2,He/N
2,H
2/CH
4,He/CH
4,He/H
2,H
2/CO
2,H
2O/少なくとも1種の他のガス、及び、He/CO
2からなる群より選ばれるガスペアを含むフィード流体に対して行う。
【0129】
特に興味深いのは、空気分離であり、ここで、非浸透性ガス流としての窒素が濃縮され、そして可燃性流体を保護するためのブランケット雰囲気としての使用に利用可能である(例えば、油、ガソリン及びその他の引火性の薬品の貯蔵及び輸送など)。この顕著な例は、ブランケット窒素雰囲気を提供するために、船上石油タンカーで使用する膜装置である。別のよく知られた使用は、生鮮食料品及び花に窒素雰囲気を提供するための膜の使用であろう。膜を用いた窒素雰囲気ブランケットは、アニーリング、炭化、焼結、ウェーブソルダリング及びレーザ切断のためにも用いられる。膜からの窒素はタイヤの膨張のために使用される。強化燃焼用途のための酸素の空気濃縮は本発明の膜からの恩恵を受けるであろう。別の用途は、埋立地ガス、CO
2の注入が関与する富化石油回収用途、及び、炭層メタン精製を含む、様々な天然ガス源からの天然ガスの分離に主を置いたCO
2/CH
4分離を含む。将来の潜在的な興味のある別のCO
2の分離は、環境隔離のためのCO
2を収集するためのフルーガスのCO
2/N
2分離を含む。天然ガスからの硫化水素除去は、現在、本発明に関連する膜を用いる別の用途である。注目の水素分離プロセスとしてはアンモニアパージガスのH
2/N
2分離及び各種石油化学プロセスのためのH
2/CH
4分離が挙げられる。H
2/CO分離は石油化学業界において注目される別の分離である。膜は、ガスの圧力スイング吸着又は深冷分離のためのストリームの精製が関与するガス分離複合プロセスにおいて使用されうる。天然ガス源からのヘリウム精製、又は、ヘリウムをベースとする飛行船及び深海潜水用途などの用途からのヘリウム回収も本発明の範囲内である。よく知られている膜分離法である圧縮空気又は天然ガスの脱水も興味深い。本発明の特定の膜は、プロパン/プロピレン又はエタン/エチレンなどのアルカン/アルケン分離に有用であることができる。
【0130】
本発明をその特定の例を参照しながら詳細に記載してきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の変更及び改良がなされうることは当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0131】
実施例
【0132】
以下の実施例において、特に指示がないかぎり、重量平均分子量(M
w)はPLgel 10um MIXED−BLS 300x7.5mm GPCカラムを用いて2410 Rl及び2996 PDAディテクタに接続したWaters Alliance 2690 セパレータシステム上でサイズ排除クロマトグラフィー(GPC)により得た。HPLCグレードテトラヒドロフラン(THF)を移動相として用い、そしてN−メチルピロリドン(NMP)をフローマークとして用いた。GPC分析用ポリマーサンプルは以下のとおりに調製した。約20mgの量のポリマーを20mlサンプルバイアル中に装填した。10gのTHFをNMPの液滴とともに20mLバイアルに添加し、ポリマーを溶解し、そして0.15%〜0.2質量%濃度の溶液を提供した。約1.0mLの溶液を0.45umナイロンフィルタをとおしてろ過し、その後、サンプルバイアル中に移し、オートサンプルカルーセル上に置き、そして40℃の温度で1mL/分の流速でGPCにより分析し、ポリスチレンを標品として用いて分子量を決定した。
【0133】
TA Instruments model 2920示差走査熱量計を用いて、クリンプ止めアルミニウムパンを用い、加熱速度20°C/分及び流速25立方センチメートル(ccm)/分のヘリウムパージガスを用いて示差走査熱量(DSC)分析を行った。熱重量分析(TGA)はTA Instruments model TGA Q5000で加熱速度10℃/分で600℃まで窒素流25ccm/分の下に行った。
【0134】
スキーム1及び表1は下記実施例において合成したポリマーの構造を示す。スキーム2はポリマーの合成に用いた中間体化合物の合成を示す。
【0135】
【化14】
【0136】
【表1】
【0137】
【化15】
【0138】
例:中間体化合物1〜5の合成
【0139】
化合物1
【0140】
3−(エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド)プロパン酸の合成
【0141】
化合物1は文献手順(Gandini,A.ら J.Polym.Sci.Part A Polym.Chem.2010,48,2053)により合成した。500mLの3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、凝縮器及び窒素インレットを備えていた。このフラスコにフラン−無水マレイン酸ディールスアルダー付加物のエキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物(Aldrichより購入)(51.2g,0.31mol)及びMeOH(220mL)中のNa
2CO
3(32.7g,0.31mol)を添加した。β−アラニン(Aldrichから購入)(27.5g,0.31mol)を反応物に混合しながらゆっくりと添加した。この溶液を窒素下に3日間加熱還流した。その後、溶剤を減圧下に除去し、そして白色残留物を300mLのCH
2Cl
2中に溶解し、そして150mLの1M水性HClにより3回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。ほんの僅かの期待された生成物が白色結晶として得られた。水性相を合わせ、そして塩化ナトリウムを添加することにより生成物を塩析した。合計収量は10.5gの生成物であった。
1H NMR及び
13C NMRは純粋な所望の生成物であることを示した。
【0142】
化合物2
【0143】
3−(エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド)プロパノイルクロリド(TLG32)の合成
【0144】
250mLの3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、凝縮器及び窒素インレットを備えていた。このフラスコに化合物1(9.7g,41mmol)及び90mLの塩化メチレンを添加した。化合物1は塩化メチレン中に可溶性でなく、溶剤中に懸濁した。1滴のジメチルホルムアミド(DMF)を混合物に添加した。激しい攪拌下に、塩化オキサリル(Aldrichより購入)(10.4g,82mmol)を反応物に滴下して加えた。塩化オキサリルの添加時に反応物はバブリングを開始し、そして化合物1は反応して塩化メチレン中に溶解し始めた。室温で窒素下に攪拌した後に、溶剤を減圧下に除去し、そして淡褐色の生成物を真空下に45℃で一晩乾燥した。
1H NMR及び
13C NMRは定量的な収量の純粋な所望の生成物であることを示した。
【0145】
化合物3
【0146】
4−ヒドロキシエチル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.0]デス−8−エン−3,5−ジオンの合成
【0147】
化合物3は文献手順(Zhou,Z.らSyn.Comm.2000,30(19),3527)により合成した。凝縮器、添加漏斗及びメカニカルスターラを備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、フラン−無水マレイン酸ディールスアルダー付加物のエキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物(Aldrichより購入)(50.0g,0.30mol)及び210mLの無水エタノールを添加した。激しい攪拌下に、2−アミノエタノール(Aldrichより購入)(18.4g,0.30mol)を滴下して加えた。反応は発熱であった。反応物を8時間加熱還流した。冷却後に、溶剤を減圧下に除去し、そして120mLのメタノールを添加した。白色固形分をろ過し、メタノールで洗浄し、そして真空下に乾燥した。20.0gの固形分を得た。
1H NMR及び
13C NMRは純粋な所望の生成物であることを示した。
【0148】
化合物4
【0149】
1−ヒドロキシメチル−4−フェニル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.0]デス−8−エン−3,5−ジオンの合成
【0150】
化合物4を文献手順(Jegat,C.らPolym.Bull.2008,60,799)により合成した。メカニカルスターラ及び窒素インレットを備えた250mL 3つ口丸底フラスコにフルフリルアルコール(Aldrichより購入)(28.4g,0.29mol)及びフェニルマレイミド(Aldrichより購入)(50.1g,0.29mol)を添加した。フェニルマレイミドはフルフリルアルコール中にゆっくりと溶解した。反応物はゆっくりと粘性になり、そして一晩後、完全に固化した。
1H NMR及び
13C NMRは定量的な収量の純粋な所望の生成物であることを示した。
【0151】
化合物5
【0152】
4−エチル−1−ヒドロキシメチル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.0]デス−8−エン−3,5−ジオンの合成
【0153】
化合物5を化合物4と同様に合成した。フルフリルアルコール(19.3g,0.20mol)をエチルマレイミド(Aldrichより購入)(24.6g,0.20mol)と反応させ、所望の生成物を粘性液体として精製した。それを室温で放置したときにゆっくりと結晶化した。
1H NMR及び
13C NMRは定量的な収量の純粋な所望の生成物であることを示した。
【0154】
ポリマーの合成
【0155】
例1:ポリマーP1 6FDA−ビスAPAFの合成
【0156】
炉乾燥した500mL3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、窒素インレット、熱電対及び乾燥チューブを備えていた。このフラスコに、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA,DuPont Companyより購入)(41.30g,0.093mol)及びN−メチルピロリドン(NMP,エレクトロニクスグレード、Mallankroftより購入)(96.5g)を添加した。混合物を窒素下に室温で1/2時間攪拌した。2,2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスAPAF,Central Glass Corporate,Japanより購入)(33.70g,0.093mol)を101gのNMP中に溶解し、そして添加漏斗に添加した。ビスAPAF溶液を6FDA/NMP混合物にフラスコ中で滴下して加え、40℃未満の温度に維持した。添加後に、添加漏斗を27.5gのNMPで濯いだ。粘性溶液を室温で窒素下に一晩攪拌した。この反応物に、27gのキシレン(Aldrich Chemical Companyより購入)を添加した。乾燥チューブをディーンスタークトラップ及び凝縮器で置き換え、そして乾燥チューブを凝縮器に接続した。ディーンスタークトラップに22gのキシレンで満たした。反応物をヒーティングマントルでゆっくりと加熱して還流させた。重合温度を160〜180℃に維持した。加熱の24時間後に、キシレンをディーンスタークトラップから蒸留した。蒸留後に、重合物を186℃で1時間維持し、その後、室温に冷却した。ポリマー溶液は約25%のポリマーをNMP中に含んだ。ポリマーのサンプルは冷水中に沈殿した。ポリマーをろ過し、水で濯ぎ、そして100℃で一晩、真空下に乾燥した。GPCはポリマーが164,218の重量平均分子量であることを示した。
【0157】
例2:ポリマーP2:6FDA−DABAの合成
【0158】
ポリマーP2をポリマーP1と同様に調製した。4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA,DuPont Companyより購入)(33.45g,0.075mol)を3,5−ジアミノ安息香酸(DABA,Acros Organicsより購入) (11.52g,0.076mol)と180gのN−メチルピロリドン(NMP,エレクトロニクスグレード、Mallinkroftより購入)及び25gのキシレン中で反応させた。重合温度を167〜174℃に24時間維持した。ポリマーを水中に沈殿させ、そしてポリマーをろ過により回収し、そして真空下に100℃にて一晩乾燥した。GPCはポリマーが61,474の重量平均分子量であることを示した。
【0159】
例3:ポリマーP3の合成
【0160】
乾燥した100ml3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、窒素インレット、熱電対及び乾燥チューブを備えていた。このフラスコに、26.5gのポリマーP1溶液(17.1mmolのOH基)を添加した。溶液を8.0gのNMPで希釈した。この溶液に、2−ブロモアセトニトリル(Aldrich Chemical Companyより購入)(3.1g,26mmol)を添加した。5分間の混合の後に、炭酸カリウム(Fisher Scientificより購入)(3.6g,26mmol)を固形分として添加した。反応物を室温にて一晩窒素下に乾燥した。ポリマーを水中に沈殿させ、ろ過し、そして真空下に80℃で一晩乾燥した。7.0gのポリマーを回収した。
13C NMRは54%のOHが反応してエーテル結合を形成したことを示した。
【0161】
例4:ポリマーP4の合成
【0162】
ポリマーP4をポリマーP3と同様に調製した。ポリマーP1溶液(30.6g,20mmolのOH基)を25gのNMPで希釈し、2−ブロモアセトニトリル(3.6g,30mmol)及び炭酸セシウム(Aldrichより購入)(9.7g,30mmol)と反応させた。8.0gのポリマーを回収した。
13C NMRは100%のOHが反応してエーテル結合を形成したことを示した。
【0163】
例5:ポリマーP5の合成
【0164】
乾燥した100ml丸底フラスコはメカニカルスターラ、窒素インレット、熱電対及び乾燥チューブを備えた。このフラスコに、54.0gのポリマーP1溶液(34mmolのOH基)を添加した。この溶液に、ピリジン(Aldrich Chemical Companyより購入)(22.0g,278mmol)を添加した。メチルクロロホルメート(Aldrich Chemical Companyより購入)(18.0g,191mmol)を添加漏斗を介して添加した。反応は発熱であり、反応物はより粘性になった。30gのNMPを添加して、反応物を希釈した。反応物を室温で一晩窒素下に攪拌した。ポリマーを水中に沈殿させ、ろ過し、そして真空下に80℃で一晩乾燥した。13.8gのポリマーを回収した。
13C NMRは22%のOHが反応してカーボネート結合を形成したことを示した。
【0165】
例6:ポリマーP6の合成
【0166】
ポリマー6をポリマー5と同様に調製した。ポリマーP1溶液(50.1g,32mmolのOH基)を75gのNMPで希釈し、そしてトリクロロエチルクロロホルメート(Aldrich Chemical Companyより購入)(13.7g,65mmol)及びピリジン(Aldrichより購入)(7.7g,97mmol)と反応させた。
13C NMRは47%のOHが反応してカーボネート結合を形成したことを示した。
【0167】
例7:ポリマーP7の合成
【0168】
乾燥した100ml3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、窒素インレット、熱電対及び乾燥チューブを備えていた。このフラスコに、60.0gのポリマーP1溶液(38mmolのOH基)を添加した。溶液を7.6gのNMPで希釈した。この溶液に、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(Aldrich Chemical Companyより購入)(11.7g,77mmol)及びイミダゾール(Aldrich Chemical Companyより購入)(5.3g,77mmol)を添加した。反応物を室温にて窒素下に一晩攪拌した。反応物は非常に粘性になり、そして水中への沈殿の前にNMPで希釈した。ポリマーをろ過し、真空下に80℃で一晩乾燥した。18.8gのポリマーを回収した。
13C NMRは80%のOHが反応してシリルエーテル結合を形成したことを示した。
【0169】
例8:ポリマーP8の合成
【0170】
乾燥した100ml3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、窒素インレット、熱電対及び乾燥チューブを備えていた。このフラスコに、50.0gのポリマーP1溶液(36mmolのOH基)を添加した。溶液を50gのNMPで希釈した。この溶液にトリエチルアミン(Aldrich Chemical Companyより購入)(4.0g,40mmol)を添加した。5分間の混合の後に、4−ブロモブチリルクロリド(Aldrich Chemical Companyより購入)(7.4g,40mmol)を滴下して加え、40℃を下回る温度に維持した。反応物を室温にて窒素下に一晩攪拌した。ポリマーを水中に沈殿させ、ろ過し、そして真空下に80℃で一晩乾燥した。16.2gのポリマーを回収した。
13C NMRは82%のOHが反応してエステル結合を形成したことを示した。
【0171】
例9:ポリマーP9の合成
【0172】
炉乾燥した100ml3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、窒素インレット、熱電対及び乾燥チューブを備えていた。このフラスコに、26.0gのポリマーP1溶液(16.8mmolのOH基)を添加した。溶液を20gのNMPで希釈した。この溶液に、化合物2(6.4g,25.2mmol)を添加した。トリエチルアミン(2.6g,25.2mmol)を滴下して加え、温度を40℃未満に維持した。反応物を室温にて一晩窒素下に攪拌した。ポリマーを水中に沈殿させ、ろ過し、そして80℃で真空下に一晩乾燥した。7.2gのポリマーを回収した。
13C NMRは96%のOHが反応してエステル結合を形成したことを示した。
【0173】
例10:ポリマーP10の合成
【0174】
炉乾燥した100ml3つ口丸底フラスコはメカニカルスターラ、窒素インレット、熱電対及び乾燥チューブを備えていた。このフラスコに、6gのポリマーP2(9mmolのCOOH基)を添加した。ポリマーを50gの無水塩化メチレン中に窒素下に懸濁させた。1滴のDMFを添加した。この懸濁液に塩化オキサリル(2.27g,.18mmol)を滴下して加えた。反応物はバブリングを開始し、そしてポリマーは反応時にゆっくりと溶解した。反応物を室温にて窒素下に6時間攪拌した。この時点で、ポリマーは完全に溶解し、そして溶液は暗褐色であった。溶剤の塩化メチレンを減圧下に除去した。その後、残留物を100gのNMP中に溶解させた。この溶液に、化合物4(3.15g,12mmol)を添加した。混合物を10分間攪拌し、そしてトリエチルアミン(1.17g,12mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温にて窒素下に一晩攪拌した。ポリマーを水中に沈殿させ、ろ過し、真空下に80℃にて乾燥した。6.5gのポリマーを回収した。
13CNMRは47%のCOOHが反応してエステル結合を形成したことを示した。
【0175】
例11:ポリマーP11の合成
【0176】
ポリマーP11をポリマーP10と同様に調製した。ポリマーP2(6.0g,11mmol)を塩化オキサリル(2.72g,21mmol)と50gの塩化メチレン中で反応させて酸塩化物を生成し、その後、それを化合物3(2.91g,14mmol)及びトリエチルアミン(1.41g,14mmol)と100gのNMP中で反応させた。
【0177】
例12:ポリマーP12の合成
【0178】
ポリマーP12をポリマーP10と同様に調製した。ポリマーP2(6.0g,11mmol)を塩化オキサリル(2.72g,21mmol)と50gの塩化メチレン中で反応させて酸塩化物を生成し、その後、それを化合物5(4.78g,21mmol)及びトリエチルアミン(2.17g,21mmol)と100gのNMP中で反応させた。
【0179】
例13:ポリマーP13:6FDA−DABA/TMPAの合成
【0180】
ポリマーP13をポリマーP1と同様に調製した。4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA,DuPont Companyより購入)(1346.40g,3.03mol)を3,5−ジアミノ安息香酸(DABA,Acros Organicsより購入)(270.74g,1.78mol)及び2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン(TMPA,182.82g,1.22mol)と7200gのN−メチルピロリドン(NMP,エレクトロニクスグレード、Mallinkroftより購入)及び1210.8gのキシレン中で反応させた。重合温度を170〜178℃に20.5時間維持した。ポリマーの一部が水/メタノール混合物中に沈殿し、そしてポリマーをろ過にて回収し、そして真空下に100℃で一晩乾燥した。GPCはポリマーが172,650の重量平均分子量であることを示した。DSCはガラス転移温度が475℃までで観測されず、ポリマー分解が起こったことを示した。
【0181】
フィルムの調製及び試験
【0182】
溶液の調製
【0183】
ポリマーP3,P6及びP7を、ロールミル上で溶液をロールすることにより4オンスガラス瓶中、NMP中で15〜25%溶液として調製した。
【0184】
フィルムF1,F2,F3及びP13対照物フィルムを以下のとおりに調製した:3.09gのポリマーP13を、4オンスガラス瓶中、10.55gの2−ペンタノン(Aldrichより購入)中で溶解させた。ボトルをロールミル上に置き、そして一晩ロールし、均質な溶液を得た。この溶液に、所望量の添加剤であるシュウ酸(Aldrichより購入)又はマロン酸(Aldrichより購入)を添加した。そして混合物をロールミル上で一晩ロールした。配合物を表2中に示した。
【0185】
【表2】
【0186】
フィルムの調製
【0187】
8in.x8in.のガラスプレートを石けん様脱イオン水中で少なくとも10分間音波処理してクリーニングし、そして脱イオン水で濯いだ。空気中での乾燥後、ガラスプレートをアセトン及びヘプタンで濯ぎ、その後、クリーンルームワイプを用いて拭き取り、そして空気乾燥した。
【0188】
約2gの溶液をガラスプレート上で1列に注ぎ、そして20ミルのドローダウンバーを用いて引いた。濡れたコーティングを室温にてN
2パージボックス中に入れ、湿分への暴露を制限し、そして1/2インチスペーサを用いて別のガラスプレートで覆い、溶剤蒸発を遅らせた。一晩の後に、ガラスプレート及びコーティングを窒素パージボックスから取り出し、脱イオン水中に入れた。コーティングは可とう性コーティングとしてガラスプレートから数分で分離し、そのフィルムを空気乾燥させた。
【0189】
フィルムF1,F2,F3及びP13対照物フィルムを、その後、真空下に100℃で一晩乾燥した。フィルムP3及びP6を真空下に200℃で1時間乾燥し、そしてフィルムP7を真空下に250℃で1時間乾燥した。これらのフィルムをP3対照物、P6対照物及びP7対照物と表3中で標識化した。
【0190】
細孔形成剤を除去するための熱処理をボックスファーネス中でフィルムを硬化させることにより行った。フィルムを2枚の多孔性アルミナプレートの間に配置した。フィルムF1,F2,F3及びP13対照物フィルムでは、熱処理のための熱硬化プログラムは以下のとおりである:全体をとおして約1LPMのハウスN
2流量で30°Cに30分間維持し、100°Cまで5°C/分で上げ、250°Cまで110分で上げ、その後、2時間保持する。100℃で一晩真空乾燥した後に、フィルムを熱硬化させた。
【0191】
フィルムP3,P6及びP7では、空気乾燥したフィルムを350℃で1時間熱硬化した。P3,P6及びP7のDSC分析は、400℃までで明確なガラス転移温度がなかったことを示した。熱硬化プログラムは下記のとおりである:全体をとおして約1LPMのハウスN
2流量で30°Cに30分間維持し、350°Cまで5°C/分で上げ、その後、1時間保持する。室温に冷却した後に、フィルムをガス透過に関して評価した。
【0192】
ガス透過試験
【0193】
透過率をDow Cell透過装置において測定した。この装置を用いて純粋なガスに対するポリマーフィルムの透過率を評価する。ポリマーフィルムをバイトンo−リングを黄銅又はSSセル中に入れることによりシールする。フィルムはセル中の2種の成分間の半透過性バリアを形成する。実験の間に、ゆっくりとしたパージで試験ガスをフィルムの上面を横切って通過させ、そしてシリコーンオイルが充填されたバブラーを通してベントする。反対側のフィルム表面及びセルコンパートメントは当初真空下にある。第二のコンパートメント中の圧力上昇を時間の関数として、一般に、3トルまで測定することによりガスの透過率を決定する。繰り返しの透過率値が得られるまで測定を行う。履歴データは透過率が10%の値の範囲内になるほど正確であることを示した。試験結果を表4に示す。
【0194】
【表3】
【0195】
【表4】
【0196】
図面の説明
【0197】
マロン酸及びシュウ酸は熱的にきれいに分解してCO
2を解放することが知られている。
図1はマロン酸の熱分解を示す。マロン酸は140°Cで分解を開始し、そして190°Cまでに完全に分解した。同様に、
図2はシュウ酸の熱分解を示す。シュウ酸は210°Cまでに熱分解した。
図3,5及び7は100°Cで真空乾燥した後の対照物フィルムであるフィルムF1及びフィルムF3のTGAを示す。この乾燥温度はポリマーP13、マロン酸及びシュウ酸の熱分解温度よりも低い。
図3はフィルム中に残留溶剤が存在し、そして250℃の前に蒸発したことを示した。
図5はフィルムF1中のマロン酸の熱分解を159°Cで示した。同様に、
図7はフィルムF3中のシュウ酸の熱分解を176°Cで示した。
図4,6及び8は250°Cで2時間の熱処理後の対照フィルムであるフィルムF1及びフィルムF3のTGAを示す。250°Cでの熱処理後に、フィルムF1及びF3中のマロン酸及びシュウ酸は熱分解した。図は250°Cでの熱処理後にすべてのフィルムは375°Cまでさらなる熱分解を示さなかったことを明らかに示した。
【0198】
上記に実施例及び好ましい実施形態の説明は特許請求の範囲により規定されるとおりの本発明を限定するのではなく、例示として解釈されるべきである。容易に評価されるとおり、上記の特徴の多くの変更及び組み合わせは特許請求の範囲に示すとおりの本発明から逸脱することなく用いることができる。このような変更は本発明の精神及び範囲から逸脱するものと考えられず、そしてすべてのこのような変更は下記の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
(態様)
(態様1)
少なくとも1種のポリマー及び少なくとも1種の細孔形成剤(ポロゲン)を含むポリマーマトリックスを提供すること、及び、
1.1Tg以下の温度Tにて前記少なくとも1種の細孔形成剤を分解させること、ここで、Tgは前記ポリマーマトリックスのガラス転移温度であり、前記分解工程は前記ポリマーマトリックスを、熱分解、化学分解、電気的劣化及び放射線分解からなる群より選ばれる少なくとも1つの処理に付すことを含む、ポリマー材料の調製方法であって、
ガスに関して、前記ポリマー材料は前記ポリマーマトリックスの透過率の少なくとも1.2倍の透過率を有し、ガスペアに関して、前記ポリマー材料の選択率は前記ポリマーマトリックスの選択率の少なくとも0.35倍である、方法。
(態様2)
前記ポリマーマトリックスのポリマー骨格構造は変化されない、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記ガスペアはO2/N2,CO2/CH4,CO2/N2,H2/N2,He/N2,H2/CH4,He/CH4,He/H2,H2/CO2,H2O/少なくとも1種の他のガス、及び、He/CO2からなる群より選ばれる、態様1に記載の方法。
(態様4)
前記ガスに関して、前記ポリマー材料の透過率は前記ポリマーマトリックスの透過率の少なくとも5倍であり、前記ガスペアに関して、前記ポリマー材料の選択率は前記ポリマーマトリックスの選択率の少なくとも0.35倍である、態様1に記載の方法。
(態様5)
前記ガスペアはO2/N2,CO2/CH4,CO2/N2,H2/N2,He/N2,H2/CH4,He/CH4,He/H2,H2/CO2,H2O/少なくとも1種の他のガス、及び、He/CO2からなる群より選ばれる、態様4に記載の方法。
(態様6)
少なくとも1種のポリマー及び少なくとも1種の細孔形成剤(ポロゲン)を含むポリマーマトリックスを提供すること、及び、
1.1Tg以下の温度Tにて前記少なくとも1種の細孔形成剤を分解させること、ここで、Tgは前記ポリマーマトリックスのガラス転移温度であり、前記分解工程は前記ポリマーマトリックスを、熱分解、化学分解、電気的劣化及び放射線分解からなる群より選ばれる少なくとも1つの処理に付すことを含む、ポリマー材料の調製方法であって、
前記ポリマー材料はO2/N2,CO2/CH4,CO2/N2,H2/N2,He/N2,H2/CH4,He/CH4,He/H2,H2/CO2、H2O/少なくとも1種の他のガス、及びHe/CO2からなる群より選ばれる少なくとも1種のガス分離ペアに関してロベソン上限関係(Robeson’s upper bound relationship)を超えるガス分離膜である、方法。
(態様7)
前記少なくとも1種のポリマーはポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾベンズイミダゾール、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテル)、芳香族ポリアリーレート、芳香族ポリカーボネート、ポリ(ベンズオキサゾール)、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(オキサジアゾール−イミド)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(アリールスルフィド)、ポリベンゾチアゾール、ポリピロールオン(polypyrrolones)、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾール、ポリエステルイミド、ポリ(フェニルキノキサリン)及びポリ(フェニレン)ならびにそれらのコポリマー及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのものである、態様1に記載の方法。
(態様8)
前記少なくとも1種のポリマーはガラス転移温度が100℃より高い、態様1に記載の方法。
(態様9)
前記少なくとも1種のポリマーは平均分子量が10,000〜400,000である、態様1に記載の方法。
(態様10)
前記少なくとも1種のポリマー及び少なくとも1種の細孔形成剤は下記構造I又はIIにより示される、
【化1】
(上式中、LGは前記少なくとも1つの処理に暴露されたときに分解して、ポリマーマトリックスから外に拡散する生成物を生じる不安定基細孔形成剤であり、そして、
LはLGとポリマー骨格との間の直接結合であるか、1〜40個の炭素原子を有する炭素結合基であるか、又は、0〜40個の炭素原子を有する非炭素結合基である、態様1に記載の方法。
(態様11)
Lはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール基を含み、任意選択的に、O,N,S,F,Cl,Br又はSi原子を含む、結合基である、態様10に記載の方法。
(態様12)
LGは脂肪族炭化水素基、エステル基、チオエステル基、脂肪族エーテル基、脂肪族カーボネート基、ハロゲン基、脂肪族及び芳香族スルホネート、脂肪族及び芳香族ホスホネート、ビスルフィド基、アゾ基、ブロックドイソシアネート基、カルボキシレート、ディールスアルダー付加物、オルガノオニウム、第四級化アンモニウム、N−アルキル化ヘテロアリール基、チオスルフェート基及びそれらの混合物からなる群より選ばれるものである、態様10に記載の方法。
(態様13)
前記少なくとも1種のポリマーはポリイミドであり、前記細孔形成剤はカルボン酸又はスルホン酸でない、態様1に記載の方法。
(態様14)
前記少なくとも1種の細孔形成剤は前記ポリマーマトリックス中で混和性である添加剤である、態様1に記載の方法。
(態様15)
前記少なくとも1種の細孔形成剤は脂肪族炭化水素、脂肪族カルボン酸及びエステル、脂肪族エーテル及びチオエーテル、脂肪族カーボネート、芳香族カルボン酸及びエステル、芳香族カーボネート、クラウンエーテル、カリックスアレーン、不安定結合基を有する芳香族結合基の環式構造、ポリエステルの環式構造、ブロックドイソシアネート、脂肪族及び芳香族チオスルフェート、二硫化物化合物、オルガノオニウム化合物、ディールスアルダー付加物、アゾ化合物、発泡剤、光酸発生剤、硫黄、有機スルホン酸及びスルフェート、有機スルフィット、α−テルピネン、d−リモネン、ロジン、アビエチン酸エステル及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのものである、態様14に記載の方法。
(態様16)
前記少なくとも1種の細孔形成剤は小分子、オリゴマー又はポリマーである、態様14に記載の方法。
(態様17)
前記少なくとも1種の細孔形成剤は脂肪族カルボン酸又はアゾ化合物である、態様14に記載の方法。
(態様18)
前記少なくとも1種のポリマーはポリイミド又はポリスルホンである、態様14に記載の方法。
(態様19)
前記少なくとも1種の細孔形成剤は前記少なくとも1種のポリマーの1〜40質量%である、態様14に記載の方法。
(態様20)
TはTgより低い、態様1に記載の方法。
(態様21)
前記ポリマーマトリックスは分解工程の前に架橋され、それにより、ポリマーの緩和プロセスを阻害しそして自由体積損失を阻害する、態様1に記載の方法。
(態様22)
前記ポリマーマトリックスは分解工程の間に架橋される、態様1に記載の方法。
(態様23)
前記ポリマーマトリックスの相反転を誘発し、非対称膜の形態のポリマー材料を提供することをさらに含む、態様1に記載の方法。
(態様24)
ガス分離膜としての使用に適合させた、態様1に記載の方法により調製されるポリマー材料。
(態様25)
態様1に記載のポリマー材料を含む、ガス分離膜。
(態様26)
前記ガスペアはO2/N2,CO2/CH4,CO2/N2,H2/N2,He/N2,H2/CH4,He/CH4,He/H2,H2/CO2,H2O/少なくとも1種の他のガス、及び、He/CO2からなる群より選ばれる、態様25に記載膜。
(態様27)
前記ガスに関して、前記ポリマー材料の透過率は前記ポリマーマトリックスの透過率の少なくとも5倍であり、前記ガスペアに関して、前記ポリマー材料の選択率は前記ポリマーマトリックスの選択率の少なくとも0.35倍である、態様23に記載の膜。
(態様28)
前記ガスペアはO2/N2,CO2/CH4,CO2/N2,H2/N2,He/N2,H2/CH4,He/CH4,He/H2,H2/CO2,H2O/少なくとも1種の他のガス、及び、He/CO2からなる群より選ばれる、態様27に記載の膜。
(態様29)
O2/N2,CO2/CH4,CO2/N2,H2/N2,He/N2,H2/CH4,He/CH4,He/H2,H2/CO2、H2O/少なくとも1種の他のガス、及びHe/CO2からなる群より選ばれる少なくとも1種のガス分離ペアに関してロベソン上限関係(Robeson’s upper bound relationship)を超える、態様25に記載の膜。
(態様30)
前記少なくとも1種のポリマーはポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾベンズイミダゾール、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテル)、芳香族ポリアリーレート、芳香族ポリカーボネート、ポリ(ベンズオキサゾール)、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(オキサジアゾール−イミド)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(アリールスルフィド)、ポリベンゾチアゾール、ポリピロールオン(polypyrrolones)、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾール、ポリエステルイミド、ポリ(フェニルキノキサリン)及びポリ(フェニレン)ならびにそれらのコポリマー及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのものである、態様25に記載の膜。
(態様31)
前記少なくとも1種のポリマーはガラス転移温度が100℃より高い、態様25に記載の膜。
(態様32)
前記少なくとも1種のポリマーは平均分子量が10,000〜400,000である、態様25に記載の膜。
(態様33)
前記少なくとも1種のポリマー及び少なくとも1種の細孔形成剤は下記構造I又はIIにより示される、
【化2】
(上式中、LGは前記少なくとも1つの処理に暴露されたときに分解して、ポリマーマトリックスから外に拡散する生成物を生じる不安定基細孔形成剤であり、そして、
LはLGとポリマー骨格との間の直接結合であるか、又は、1〜40個の炭素原子を有する炭素結合基であるか、又は、0〜40個の炭素原子を有する非炭素結合基である、態様25に記載の膜。
(態様34)
Lはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール基を含み、任意選択的に、O,N,S,F,Cl,Br又はSi原子を含む、結合基である、態様33に記載の膜。
(態様35)
LGは脂肪族炭化水素基、エステル基、チオエステル基、脂肪族エーテル基、脂肪族カーボネート基、ハロゲン基、脂肪族及び芳香族スルホネート、脂肪族及び芳香族ホスホネート、ビスルフィド基、アゾ基、ブロックドイソシアネート基、カルボキシレート、ディールスアルダー付加物、オルガノオニウム、第四級化アンモニウム、N−アルキル化ヘテロアリール基、チオスルフェート基及びそれらの混合物からなる群より選ばれるものである、態様33に記載の膜。
(態様36)
前記少なくとも1種の細孔形成剤は前記ポリマーマトリックス中で混和性である添加剤である、態様25に記載の膜。
(態様37)
前記少なくとも1種の細孔形成剤は脂肪族炭化水素、脂肪族カルボン酸及びエステル、脂肪族チオエーテル及びエーテル、脂肪族カーボネート、芳香族カルボン酸及びエステル、芳香族カーボネート、クラウンエーテル、カリックスアレーン、不安定結合基を有する芳香族結合基の環式構造、ポリエステルの環式構造、ブロックドイソシアネート、脂肪族及び芳香族チオスルフェート、二硫化物化合物、オルガノオニウム化合物、ディールスアルダー付加物、アゾ化合物、発泡剤、光酸発生剤、硫黄、有機スルホン酸及びスルフェート、有機スルフィット、α−テルピネン、d−リモネン、ロジン、アビエチン酸エステル及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つのものである、態様36に記載の膜。
(態様38)
TはTgより低い、態様25に記載の膜。
(態様39)
前記ポリマーマトリックスは分解工程の前に架橋され、それにより、ポリマーの緩和プロセスを阻害しそして自由体積損失を阻害する、態様25に記載の膜。
(態様40)
前記ポリマーマトリックスは分解工程の間に架橋される、態様23に記載の膜。
(態様41)
非対称であり、そして中空繊維を含む、態様25に記載の膜。
(態様42)
前記少なくとも1種のポリマーはポリイミドであり、前記細孔形成剤はカルボン酸又はスルホン酸でない、態様25に記載の膜。
(態様43)
分離膜として態様1に記載のポリマー材料を含む分離装置を提供すること、
フィード流体を前記分離装置にフィードすること、ここで、前記フィード流体は第一の流体及び少なくとも1種の第二の流体の混合物を含む、及び、
前記分離装置から生成物を回収すること、ここで、前記生成物は前記フィード流体よりも高い純度で前記第一の流体を含む、
を含む、流体成分の分離方法。
(態様44)
前記フィード流体はO2/N2,CO2/CH4,CO2/N2,H2/N2,He/N2,H2/CH4,He/CH4,He/H2,H2/CO2、H2O/少なくとも1種の他のガス、及びHe/CO2からなる群より選ばれるガスペアを含む、態様43に記載の方法。