(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記析出されたポリアミック酸が、前記析出されたポリアミック酸を含む前記積層型半導体構造を加熱および脱水することに応答して、前記ポリイミド膜に変換される、請求項1に記載の方法。
前記ポリイミド膜上に導電要素を形成することをさらに含み、前記ポリイミド膜は、前記導電要素を前記積層型半導体構造の前記半導体層から電気的に絶縁する、請求項1又は2に記載の方法。
前記積層型半導体構造にスルーホールを形成することが、レーザを用いて前記積層型半導体構造の前記複数の層に穿孔し前記スルーホールを画定する前記内壁を形成することを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
1つまたは複数の他の半導体層と共に以後に積層された第1の半導体層を通過する第2のスルーホールを形成して前記積層型半導体構造を形成し、前記第1の半導体層の内壁が前記第2のスルーホールを画定するようにすることと、
前記第1の半導体層の前記内壁をポリアミック酸の塩を含む溶液に露出することと、
前記第1の半導体層の前記内壁上にポリアミック酸を析出することと、
前記第1の半導体層の前記内壁上の前記析出されたポリアミック酸を、前記第1の半導体層の前記内壁をコーティングするポリイミド膜に変換することと
をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
前記析出されたポリアミック酸が、前記析出されたポリアミック酸を含む前記積層型半導体構造を加熱および脱水することに応答して、ポリイミド膜に変換される、請求項7に記載の方法。
前記ポリイミド膜上に導電要素を形成することをさらに含み、前記ポリイミド膜は、前記導電要素を前記積層型半導体構造の前記半導体層から電気的に絶縁する、請求項7又は8に記載の方法。
前記溶液を形成するのに用いられる溶媒が、メチルエチルケトン、N−メチル−2ピロリドン、芳香族炭化水素、エチルセロソルブ、ジイソプロピルエーテル、エチルアセテート、クロロホルム、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドの中の1つまたは複数を含む、請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。
前記析出されたポリアミック酸が、前記析出されたポリアミック酸を含む前記積層型半導体構造を加熱および脱水することに応答して、前記ポリイミド膜に変換される、請求項14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では添付の図面を参照するが、添付の図面は詳細な説明の一部を形成するものとする。図面においては、類似の記号は、コンテキストからそうではないことが示されない限り、通常は、類似の構成要素を識別するものとする。詳細な説明、図面および特許請求の範囲に記載された説明のための実施形態は、限定を意図したものではない。本出願に記載されている主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いることができるし、他の変更を行うこともできる。本出願で一般的に説明され図面で図解されている本発明の特徴は、広範囲の異なる構成で構成され、置換され、組み合わされ、分離されおよび設計されることが可能であり、これらは、すべて本発明に含まれるものとする。
【0011】
本出願で開示されているいくつかの実施形態は、一般的に、3次元の集積回路など積層型半導体構造に関する。例示的な実施形態には、積み重ねられた複数の半導体層を備えた積層型半導体構造が含まれる。積層型半導体構造は、複数の半導体層を貫通するスルーホールを含みうる。積層型半導体構造の内壁は、スルーホールを画定することができる。電気コンタクト領域を、内壁の第1の部分の近傍に配置することができる。ポリイミド膜が、第1の部分とは異なる内壁の第2の部分の近傍の内壁を実質的にコーティングすることができる。導電要素を、スルーホールの一部を充填し、電気コンタクト領域と電気的に接触するように配置することができる。ポリイミド膜は、この導電要素を内壁の第2の部分から電気的に絶縁することができる。
【0012】
ポリイミド膜は、ポリアミック酸などのポリイミドの前駆物質を用いて、形成することができる。例えば、スルーホールは、積み重ねられた複数の半導体層を含む積層型半導体構造において形成することができ、この場合、積層型半導体構造の内壁がスルーホールを画定している。内壁は、ポリアミック酸の塩を含む溶液に露出される。ポリアミック酸は、例えば電気分解によって、内壁上に析出される。内壁上の析出されたポリアミック酸は、例えば析出されたポリアミック酸を含む積層型半導体構造を加熱および/または脱水することにより、内壁を実質的にコーティングするポリイミド膜に変換することができる。
【0013】
図1には、本出願で説明される少なくともいくつかの実施形態によって構成された積層型半導体構造の断面図の説明のための例が示されている。積層型半導体構造100は、いくつかの実施形態における3次元集積回路でありうる。いくつかの例では、積層型半導体構造は、限定を意図しないが、プロセッサ、マルチコアプロセッサ、コントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、メモリデバイス、システムオンチップ(SOC)または特定用途向け集積回路(ASIC)を含む任意の適切なタイプの回路でありうる。
【0014】
積層型半導体構造100は、複数の半導体層102A、102B、102C(集合的に「半導体層102」と称する)を含みうる。半導体層102は、半導体ウエハまたは半導体ウエハから切り出された個別のダイから形成されるのが一般的であり、ドープされたまたはドープされていないシリコンまたはそれ以外の適切な半導体材料を含みうる。
図1には3つの半導体層102が図解されているが、本出願で開示される実施形態は、より一般的に、2つまたはそれより多くの半導体層102を有する積層型半導体構造100を含む。
【0015】
それぞれの半導体層102は、対応する半導体層102の片側または両側に形成されている電気回路104A〜104Dを含む、1つまたは複数の電気回路104を含みうる。
図1の図解されている実施形態では、それぞれの半導体層102は、それぞれの半導体層102の2つの対向する側の上に電気回路104を含んでいるが、他の実施形態では、半導体層102の1つまたは複数は、それぞれの半導体層102の一方の側に電気回路104が含まれる。電気回路104は、表面相互接続106、層内相互接続108およびスルーシリコンバイア(TSV)110の中の1つまたは複数によって電気的に結合することができる。
【0016】
表面相互接続106は、表面相互接続106Aを含みうる。表面相互接続106は、隣接する半導体層102上の複数の電気回路104を電気的に結合するように構成することができる。例えば、表面相互接続106Aは、半導体層102Bの上の電気回路104Aと半導体層102Cの上の電気回路104Bとを電気的に結合するように構成されている。表面相互接続106は、例えば、金、ハンダなどの金属合金材料、多結晶シリコンなどの半導体材料または任意の他の適切な材料などから形成されうる。
【0017】
層内相互接続108は、層内相互接続108Aを含みうる。層内相互接続108は、同一の半導体層102の対向する両側上の電気回路104を電気的に結合するように構成することができる。例えば、層内相互接続108Aは、半導体層102Aの対向する両側の上にある電気回路104Cと電気回路104Dとを電気的に結合する。層内相互接続108は、銅、スズ、銀またはそれ以外の適切な材料から形成することができる。
図1の半導体層102はそれぞれが単一の層内相互接続108を含んでいるが、他の実施形態では、与えられた半導体層102が、少ない場合には層内相互接続108を全く有していないことも、または、多い場合には2またはそれよりも多くの層内相互接続108を有する場合もある。
【0018】
TSV110は、半導体層102に電気的に結合するように構成することができる。図解されている実施形態では、TSV110は、積層型半導体構造100の半導体層102を貫通するように構成することができる。TSV110の一端は上側ボンドパッド112Aに結合することができ、TSV110の他端は下側のボンドパッド112Bに結合されている。
図1では積層型半導体構造において単一のTSV110が図解されているが、他の実施形態では、積層型半導体構造が2つまたはそれより多くのTSV110を含むことがありうる。TSV110に関する追加的な詳細は、後述する。
【0019】
絶縁層114を、隣接する半導体層102の間に提供して、隣接する半導体層102を相互から電気的に絶縁することができる。絶縁層114は、二酸化シリコン(S
iO
2)、窒化チタン(TiN)またはそれ以外の適切な材料である。
【0020】
図2Aは、本出願で説明される少なくともいくつかの実施形態によって構成された、
図1の積層型半導体構造100の一部の詳細な断面図の説明のための例を示している。積層型半導体構造100は、積層型半導体構造100の内壁204によって画定されたスルーホール202を含みうる。スルーホール202は、半導体層102Aを貫通するように構成することができる。
図2Aには示されていないが、スルーホール202は、追加的に、半導体層102Bおよび102Cを貫通することもありうる。
【0021】
スルーホール202は、約50マイクロメートル(μm)の直径Dと、約100マイクロメートルの長さLとを有しうる。他の実施形態では、スルーホール202の直径が50マイクロメートルより大きいまたは小さく、スルーホール202の長さが100マイクロメートルよりも大きいまたは小さいことがありうる。D/Lの比率を、本出願では、スルーホール202のアスペクト比と称する。
【0022】
図解されている実施形態では、TSV110は、内壁204の第1の部分の近傍に配置された1つまたは複数の電気コンタクト領域206に電気的に結合することができる。電気コンタクト領域206は、例えば、半導体層102Aの電気回路104への電気的接続を含みうる。従って、TSV110は、電気コンタクト領域206を通じて半導体層102の内部の電気回路104に結合することができる。
【0023】
半導体層102は、一般的に半導体材料で形成されるので、導電性でありうる。従って、ポリイミド膜208は、半導体層102からTSV110を絶縁するように提供することができる。特に、ポリイミド膜208は、電気コンタクト領域206に対応する第1の部分とは異なる内壁204の第2の部分の近傍の内壁204を実質的にコーティングする。
【0024】
ポリイミド膜208は、数マイクロメートル(μm)の厚さを有しうる。いくつかの実施形態では、ポリイミド膜208の厚さは、約10マイクロメートル未満でありうる。他の実施形態では、ポリイミド膜208の厚さは、約5マイクロメートルから約10マイクロメートルであるか、または、約7マイクロメートルから約9マイクロメートルである
【0025】
あるいは、または、それに加えて、ポリイミド膜208は、数ファラッド/メートル(F/m)の誘電率を有しうる。いくつかの実施形態では、ポリイミド膜208の誘電率は、約3.55F/m未満であることがある。他の実施形態では、ポリイミド膜の誘電率は、約3.0F/mから約3.55F/mまたは約3.15から約3.4F/mの範囲にありうる。
【0026】
あるいは、または、それに加えて、ポリイミド膜208は、約0.0035未満の散逸率を有しうる。他の実施形態では、ポリイミド膜208の散逸率は、約0.0015から約0.0035の範囲でありうる。また他の実施形態では、ポリイミド膜208の散逸率は、約0.0025であり。
【0027】
TSV110は、ポリイミド膜208の形成の後に、スルーホール202の内部に形成することができる。
図2Aの図解されている例では、TSV110は、ポリイミド膜208の形成の後で当初は空のままであるスルーホール202の部分を充填する。特に、TSV110は、スルーホール202を少なくとも部分的に充填する銅メッキまたはそれ以外の導電性メッキでありうる。より一般的には、TSV110は、スルーホール202の一部を完全にまたは部分的に充填する導電要素でありうる。TSV110を形成するのに用いることができる材料の例としては、限定を意味しないが、銅、銅合金、アルミニウム、銀、金、ニッケル、スズ、ポリシリコンなどの半導体材料、導電性ポリマまたはそれ以外の適切な材料が含まれる。
【0028】
オプションであるが、ポリイミド膜208は、半導体層102Aの上側表面210の少なくとも一部をコーティングして、上側ボンドパッド112Aと半導体層102Cとを相互に絶縁するように追加的に構成することができる。示されていないが、ポリイミド膜208は、半導体層102Cの下側表面210の少なくとも一部をコーティングして、下側ボンドパッド112Bと半導体層102Cとを相互に絶縁するように追加的に構成することができる。
【0029】
図2Bは、本出願で説明される少なくともいくつかの実施形態によって構成された、
図1の積層型半導体構造100の一部の詳細な断面図の説明のための例を示している。
図2Bの実施形態は、
図2Aの実施形態とほぼ類似しており、同様の参照番号は、同様の構成要素を示している。
【0030】
図2Aとは対照的に、
図2Bの実施形態は、ポリイミド膜208と内壁204との間の内壁204上に形成された絶縁膜212を含む。この絶縁膜212は、例えば、SiO
2、窒化チタンTiNまたはそれ以外の適切な材料を含みうる。
【0031】
さらに、
図2Bの図解されている例では、絶縁膜212またはポリイミド膜208の一方または両方が、半導体層102Aの上側表面210および/または半導体層102Cの下側表面の少なくとも一部をコーティングし、半導体層102A、102Cを上側および下側ボンドパッド112A、112Bから絶縁するように構成することができる。
【0032】
示されていないが、層内相互接続108は、
図2Aおよび23Bに示されているのと類似する態様で構成することができる。例えば、それぞれの層内相互接続108は、銅メッキ、または、単一の半導体層102を貫通するスルーホールを少なくとも部分的に充填するように適用されたそれ以外の適切な導電要素を含み、層内相互接続108は、ポリイミド膜の上に形成され、ポリイミド膜は、単一の半導体層102の内壁上に形成され、この内壁がスルーホールを画定している。
【0033】
図に3は、本出願に記載されている少なくともいくつかの実施形態によって構成された積層型半導体構造のTSVまたは層内相互接続のためにスルーホールにポリイミド膜を形成するシステム300の説明目的の例が示されている。
図3には、ポリイミド膜を形成するための構成要素のいくつかまたはすべてを自動的に制御可能であることが、図解されている。制御モジュール302は、プロセッサ304を用いて、メモリ306に記憶されているコンピュータ実行可能な命令を実行することができる。
図3には、プロセッサ304とメモリ306とが制御モジュール302の内部に含まれている様子が図解されているが、他の実施形態では、プロセッサ304とメモリ306とを制御モジュール302と離して提供することが可能である。制御モジュール302は、レーザドリル308、電気分解装置310、オーブン312および1つまたは複数の搬送デバイス314の中の1つまたは複数に結合されることが可能である。制御モジュール302は、さらに、堆積装置316、デスミア装置318およびマスキングジグ320の中の1つまたは複数に接続されることも可能である。
【0034】
制御モジュール302は、以下で述べる操作、機能または動作の中の1つまたは複数を自動化された態様で実行するように構成要素308、310、312、314、316、318および320を制御するように、構成することができる。
【0035】
レーザドリル308は、積層型半導体構造にスルーホールを形成するように構成することができる。例えば、レーザドリル308は、積層型半導体構造を穿孔するように構成することができる。レーザドリル308は、例示であって限定ではないが、Qスイッチ式Nd:YAGレーザ、フラッシュランプポンプ式Nd:YAGレーザ、エキシマレーザまたはそれ以外の適切なレーザを含みうる。
【0036】
他の実施形態では、プラズマエッチャなどのエッチングツールが、積層型半導体構造にスルーホールを形成するために提供される。エッチングツールは、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)などのドライエッチング法やそれ以外の適切なエッチング法を実現することによって、スルーホールを形成することができる。
【0037】
電気分解装置310は、積層型半導体構造をポリアミック酸の塩を含む溶液に露出し、電流を用いて溶液を分解して、積層型半導体構造においてスルーホールを画定する内壁上にポリアミック酸を析出させるように構成することができる。電気分解装置310は、溶液に積層型半導体構造を浸して積層型半導体構造を溶液に露出する電解槽を含みうる。
【0038】
電気分解装置310は、また、電流源に結合されリードを含むことがあるが、リードの少なくとも1本は、溶液に浸された積層型半導体構造に結合することにより、溶液に電流を流して溶液を分解するときに積層型半導体構造が電極として機能するようにできる。溶液の分解は、その結果として、積層型半導体構造の内壁上にポリアミック酸の析出が生じる。
【0039】
オプションであるが、電気分解装置310は、追加的に、積層型半導体構造の内壁上に析出されたポリアミック酸の厚さを測定するセンサを含む。析出されたポリアミック酸の所定の厚さが測定されると、電気分解装置310は、例えば電解槽から溶液を排出するまたは積層型半導体構造を電解槽から取り出すことによって、積層型半導体構造の溶液への露出を終了させるように構成することができる。
【0040】
あるいは、または、それに加えて、電気分解装置310は、また、所定の時間間隔をカウントダウンするように構成されたタイマを含むことがある。電気分解装置310を、時間間隔が終了すると、上述したように積層型半導体構造の露出を終了するように構成することができる。
【0041】
オーブン312は、積層型半導体構造の内壁上に析出したポリアミック酸をポリイミド膜に変換するように構成することができる。例えば、オーブン312は、積層型半導体構造を加熱および脱水することで、析出されているポリアミック酸をポリイミドに変換するように構成されうる。
【0042】
搬送デバイス314は、物品をある位置から別の位置に搬送するためのアーム、コンベアベルトまたはそれ以外の適切なデバイスを含みうる。特に、搬送デバイス314は、積層型半導体構造を、レーザドリル308、電気分解装置310、オーブン312、堆積装置316、デスミア装置318およびマスキングジグ320の中の1つまたは複数へ、または、それらから搬送するように構成することができる。
【0043】
堆積装置316は、積層型半導体構造を溶液に露出させる前に、積層型半導体構造の内壁上に絶縁膜を堆積するように構成することができる。あるいは、または、それに加えて、堆積装置316は、スルーホール内部のポリイミド膜の上に導電要素を形成するように構成することができる。堆積装置316は、化学的堆積、物理的堆積、スパッタリング、分子ビームエピタキシまたはそれ以外の適切な堆積技法の中の1つまたは複数を実現することができる。
図3には単一の堆積装置316が示されているが、システム300は、同一のまたは異なる堆積技法を実現する複数の堆積装置316を含むこともある。
【0044】
デスミア装置318は、積層型半導体構造の内壁からデスミアを除去するように構成することができる。デスミアは、積層型半導体構造におけるスルーホールが例えばレーザドリリングによって形成されるときに、生じうる。デスミア装置318は、スルーホールを通過するようにプラズマを流すことによりデスミアを除去するプラズマデスミア装置、スルーホールを通過するように液体および研磨粒子を流すことによりデスミアを除去するウェットブラスト装置またはそれ以外の適切な装置を含みうる。
【0045】
マスキングジグ320は、積層型半導体構造の内壁上に含まれる電気コンタクト領域をマスキングして、その電気コンタクト領域上でのポリイミドの形成を防止するように構成することができる。例えば、マスキングジグ320は、ポリイミド膜を内壁上に形成する前に、電気コンタクト領域にマスク材料を適用するように構成することができる。マスク材料は、ロストワックスまたはそれ以外の適切なマスキング材料を含みうる。
【0046】
図4には、本出願に記載される少なくともいくつかの実施形態に従って構成された積層型半導体構造のTSVのためのスルーホールにポリイミド膜を形成する方法400の図解による例が示されている。方法400は、ブロック402、404、406および/または408の1つまたは複数によって図解されているように、様々な操作、機能または動作が含まれる。方法400は、ブロック402で開始しうる。
【0047】
ブロック402では、「構造の内壁によって画定されるスルーホールを形成する」との記載があるように、複数のスタック状の半導体層を含む積層型半導体構造においてスルーホールを形成することができる。このスルーホールは、積層型半導体構造の内壁によって画定することができる。このスルーホールは、
図3のレーザドリル308などのレーザドリル、エッチングツール、または、レーザドリリングやDRIEなどの任意の適切な方法もしくはプロセスを実現するそれ以外の適切なデバイスによって、形成されうる。いくつの実施形態では、それぞれの半導体層は、その上に1つまたは複数の集積回路が形成されている。ブロック402には、ブロック404が続きうる。
【0048】
ブロック404では、「ポリアミック酸の塩を含む溶液に内壁を露出する」との記載があるように、内壁を、ポリアミック酸の塩を含む溶液に露出させることができる。内壁を溶液に露出させることは、積層型半導体構造を溶液の中に浸すことを含みうる。例えば、溶液は、
図3の電気分解装置310などの電気分解装置の電解槽の中に提供されうる。内壁の溶液への露出は、例えば制御モジュール302によって制御することが可能であり、制御モジュール302は、電気分解装置310に含まれているまたは電気分解装置とは別個に設けられているセンサまたはタイマから受け取られた1つまたは複数の信号に基づいて、露出を停止するように電気分解装置310に命令しうる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ポリアミック酸の塩は、アミン誘導体の塩である。アミン誘導体には、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジフェニルアミンまたはトリアルキルアミンの中の1つまたは複数が含まれうる。あるいは、または、それに加えて、溶液を形成するのに用いられる溶媒には、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン系の溶媒、エチルセロソルブやジイソプロピルエーテルなどのエーテル系の溶媒、エチルアセテートなどのエステル系の溶媒、クロロホルムなどの有機ハロゲン系の溶媒、N−メチル−2ピロリドン(NMP)、芳香族炭化水素、ジメチルスルホキシド(DMSO)ジメチルホルムアミド(DMF)などそれ以外の溶媒、またはそれ以外の適切な溶媒の中の1つまたは複数が含まれる。
【0050】
いくつかの実施形態によると、溶液の粘性とスルーホールのアスペクト比とが、溶液への露出の間に、いかに滑らかにそして完全に溶液がスルーホールの中に流れ込み充填することができるかを決定しうる。溶液の粘性が高いほど、そして、スルーホールのアスペクト比が低いほど、結果的に、溶液がスルーホールの中に完全に流れ込み充填することを困難にし、そのための時間も長くなる。従って、溶液の所望の粘性は、溶液への露出の前に決定することができる、および/または、溶媒の濃度を適切に選択することによって得ることができる。ブロック404の次には、ブロック406が続きうる。
【0051】
ブロック406では、「ポリアミック酸を内壁上に析出する」との記載があるように、ポリアミック酸を、積層型半導体構造の内壁上に析出させることができる。いくつかの実施形態では、ポリアミック酸を内壁上に析出させることは、電流を用いて溶液を分解しポリアミック酸の塩をポリアミック酸に変えることによって、達成することができる。例えば、溶液は、
図3の電気分解装置310などの電気分解装置によって、分解することができる。いくつかの実施形態によると、ポリアミック酸は、ポリアミック酸の塩よりも溶媒における溶解度が低いために、溶液を分解することにより、ポリアミック酸の内壁への析出が生じる。いくつかの例では、電流を用いて溶液が分解されるときに、積層型半導体構造は、電極として機能する。ブロック406の次には、ブロック408が続きうる。
【0052】
ブロック408では、「析出されたポリアミック酸をポリイミド膜に変換する」との記載があるように、析出されたポリアミック酸が、内壁を実質的にコーティングするポリイミド膜に変換することができる。いくつかの例では、析出されたポリアミック酸は、
図3のオーブン312などのオーブンにおいて析出されたポリアミック酸を含む積層型半導体構造を加熱および脱水することに応答して、ポリイミド膜に変換される。
【0053】
当業者であれば、ここに開示されているプロセスおよび方法については、これらのプロセスおよび方法において実行されている機能は、異なる順序で実現することができることを理解するはずである。さらに、概略が述べられているステップおよび操作は、単に例として提供されているのであって、開示されている実施形態の本質から離れることなく、ステップおよび操作の中にはオプショナルであるものが存在し、より少ないステップおよび操作に組み合わせることが可能であり、または追加的なステップおよび操作として拡張することも可能である。
【0054】
例えば、
図4Aに示されていない、または、上で述べなかった他の機能および操作が方法400の中に含まれることがありうる。例えば、方法400は、内壁を溶液に露出する前に絶縁膜を内壁上に堆積し、それ以後にポリイミド膜を形成することをさらに含みうる。これらのおよび他の実施形態では、この絶縁膜には、SiO
2、TiNまたはそれ以外の適切な材料が含まれうる。この絶縁膜は、
図3の堆積装置316などの堆積装置によって内壁上に積層することができる。
【0055】
他の例として、方法400は、レーザを用いて穿孔することによりスルーホールを形成する実施形態において、スルーホールを形成した後で内壁からデスミアを取り除くことをさらに含みうる。デスミアは、プラズマ照射プラス紫外線(UV)照射(例えば、λが約250ナノメートル未満)などの物理的方法、ウェットブラスト法などの化学的方法または何らかのそれ以外の適切な除去方法によって、除去可能である。デスミアは、
図3のデスミア装置318などのデスミア装置によって、除去することができる。
【0056】
さらに別の例として、方法400は、ポリイミド膜上に導電要素を形成することを含みうる。これらのおよびそれ以外の実施形態では、ポリイミド膜は、この導電要素を積層型半導体構造の半導体層から実質的に電気的に絶縁することができる。さらに、この導電要素は、TSVでありうる。いくつかの実施形態では、この導電要素には、銅、銅合金、アルミニウム、銀、金、ポリシリコンなどの半導体材料、導電性ポリマなどが含まれうる。この導電要素は、
図3の堆積装置316などの堆積装置によってポリイミド膜上に形成することができる。
【0057】
さらに別の例として、方法400は、内壁を溶液に露出させる前に内壁の電気コンタクト領域をマスキングすることによりポリアミック酸が電気コンタクト領域上に析出することを回避することを、さらに含みうる。この電気コンタクト領域は、
図3のマスキングジグ320などのマスキングジグによってマスキングすることができる。
【0058】
方法400は、ポリイミド膜上に導電要素を形成する前に内壁からマスキングを除去し、マスキングを除去することによって露出された内壁の電気コンタクト領域に、以後に形成された導電要素が直接に電気的に接触することを可能にすることを、さらに含みうる。いくつかの実施形態では、マスキング材料には、ロストワックスやそれ以外の適切な材料が含まれうる。マスキングは、いくつかの例では、
図3のオーブン312などのオーブンに積層型半導体構造を挿入しマスキング材料が融解しスルーホールから流れ出るようにすることによって、内壁から除去することができる。
【0059】
さらに別の例では、方法400は、ポリイミド膜上に形成された導電要素の対向する端部に結合された積層型半導体構造上の上側および下側ボンドパッドを形成することを、さらに含みうる。この上側および下側ボンドパッドは、
図3の堆積装置316などの堆積装置によって、形成することができる。
【0060】
図4Aの方法400は、以上では、TSVのためのスルーホールにポリイミド膜を形成するというコンテキストにおいて論じられてきたが、方法400は、層内の相互接続のためのスルーホールにポリイミド膜を形成することに適応させることが可能である。層内の相互接続のためのスルーホールへのポリイミド膜の形成は、積層型半導体構造の複数の半導体層が相互に積層される前に、実行されうる。
【0061】
例えば、
図4Bには、本出願に記載される少なくともいくつかの実施形態に従って構成された層内の相互接続のためのスルーホールにポリイミド膜を形成する方法450の図解による例が示されている。方法450は、ブロック452、454、456および/または458の1つまたは複数によって図解されているように、様々な操作、機能または動作が含まれる。方法450は、ブロック452で開始しうる。
【0062】
ブロック452では、「層の内壁によって画定されるスルーホールを形成する」との記載があるように、ある半導体層においてスルーホールを形成することができる。このスルーホールは、その半導体層の内壁によって画定することができる。このスルーホールは、
図3のレーザドリル308などのレーザドリル、エッチングツール、または、レーザドリリングやDRIEなどの任意の適切な方法もしくはプロセスを実現するそれ以外の適切なデバイスによって、形成されうる。この半導体層が後の時点で1つまたは複数の他の半導体層と積層されることで、既に上述したような対応するTSVのための1つまたは複数のスルーホールにポリイミド膜が形成されている積層型半導体構造が形成される。ブロック452には、ブロック454が続きうる。
【0063】
ブロック454では、「ポリアミック酸の塩を含む溶液に内壁を露出する」との記載があるように、半導体層の内壁を、ポリアミック酸の塩を含む溶液に露出させることができる。内壁を溶液に露出させることは、半導体層を溶液の中に浸すことを含みうる。例えば、溶液は、
図3の電気分解装置310などの電気分解装置の電解槽の中に提供されうる。内壁の溶液への露出は、例えば制御モジュール302によって制御することが可能であり、制御モジュール302は、電気分解装置310に含まれているまたは電気分解装置とは別個に設けられているセンサまたはタイマから受け取られた1つまたは複数の信号に基づいて、露出を停止するように電気分解装置310に命令しうる。
【0064】
いくつかの実施形態では、ポリアミック酸の塩は、アミン誘導体の塩である。アミン誘導体には、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジフェニルアミンまたはトリアルキルアミンの中の1つまたは複数が含まれうる。あるいは、または、それに加えて、溶液を形成するのに用いられる溶媒には、メチルエチルケトン(MEK)、N−メチル−2ピロリドン、芳香族炭化水素、エチルセロソルブ、ジイソプロピルエーテル、エチルアセテート、クロロホルム、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはジメチルホルムアミド(DMF)の中の1つまたは複数が含まれる。ブロック454の次には、ブロック456が続きうる。
【0065】
ブロック456では、「ポリアミック酸を内壁上に析出する」との記載があるように、ポリアミック酸を、半導体層の内壁上に析出させることができる。いくつかの実施形態では、ポリアミック酸を内壁上に析出させることは、電流を用いて溶液を分解しポリアミック酸の塩をポリアミック酸に変えることによって、達成することができる。例えば、溶液は、
図3の電気分解装置310などの電気分解装置によって、分解することができる。いくつかの実施形態によると、ポリアミック酸は、ポリアミック酸の塩よりも溶媒における溶解度が低いため、溶液を分解することにより、ポリアミック酸の内壁への析出が生じる。いくつかの例では、電流を用いて溶液が分解されるときに、半導体層は、電極として機能する。ブロック456の次には、ブロック458が続きうる。
【0066】
ブロック458では、「析出されたポリアミック酸をポリイミド膜に変換する」との記載があるように、析出されたポリアミック酸が、内壁を実質的にコーティングするポリイミド膜に変換することができる。いくつかの例では、析出されたポリアミック酸は、
図3のオーブン312などのオーブンにおいて析出されたポリアミック酸を含む半導体層を加熱および脱水することに応答して、ポリイミド膜に変換される。
【0067】
図5Aには、本出願に記載される少なくともいくつかの実施形態に従って構成された積層型半導体構造のTSVのためのスルーホールにポリイミド膜を形成する方法500の図解による例が示されている。方法500は、ブロック502、504、506、508、510、512、514および/または516の1つまたは複数によって図解されているように、様々な操作、機能または動作が含まれる。方法500は、ブロック502で開始しうる。
【0068】
ブロック502では、「積層型半導体構造の複数の層を穿孔しスルーホールを形成する」との記載があるように、
図3のレーザドリル308などのレーザドリルまたはそれ以外の適切なドリリングデバイスを用いて積層型半導体構造の複数の半導体層に穿孔することによって、スルーホールを形成することができる。いくつの実施形態では、それぞれの半導体層は、対応する半導体層の片側または両側の上に1つまたは複数の集積回路が形成されている。ブロック502の次には、ブロック504が続きうる。
【0069】
ブロック504では、「積層型半導体構造の内壁上に含まれる電気コンタクト領域をマスキングする」との記載があるように、スルーホールを画定する積層型半導体構造の内壁上に含まれる電気コンタクト領域を、
図3のマスキングジグ320などのマスキングジグを用いてマスキングすることができる。マスキング材料は、ロストワックスやそれ以外の適切な材料を含みうる。ブロック504の次には、ブロック506が続きうる。
【0070】
ブロック506では、「ポリアミック酸の塩を含む溶液に積層型半導体構造を露出する」との記載があるように、積層型半導体構造を、所定の時間間隔の間、ポリアミック酸の塩を含む溶液に露出することができる。積層型半導体を溶液に露出することは、積層型半導体構造を溶液に浸すことを含みうる。例えば、この溶液は、
図3の電気分解装置310などの電気分解装置の電解槽の中に提供されうる。
【0071】
いくつかの実施形態では、ポリアミック酸の塩は、アミン誘導体の塩である。アミン誘導体には、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジフェニルアミンまたはトリアルキルアミンの中の1つまたは複数が含まれうる。あるいは、または、それに加えて、溶液を形成するのに用いられる溶媒には、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン系の溶媒、エチルセロソルブやジイソプロピルエーテルなどのエーテル系の溶媒、エチルアセテートなどのエステル系の溶媒、クロロホルムなどの有機ハロゲン系の溶媒、N−メチル−2ピロリドン(NMP)、芳香族炭化水素、ジメチルスルホキシド(DMSO)ジメチルホルムアミド(DMF)などそれ以外の溶媒、またはそれ以外の適切な溶媒の中の1つまたは複数が含まれる。
【0072】
いくつかの実施形態によると、溶液の粘性とスルーホールのアスペクト比とが、溶液への露出の間に、いかに滑らかにそして完全に溶液がスルーホールの中に流れ込み充填することができるかを決定しうる。溶液の粘性が高いほど、そして、スルーホールのアスペクト比が低いほど、結果的に、溶液がスルーホールの中に完全に流れ込み充填することを困難にし、そのための時間も長くなる。従って、溶液の所望の粘性は、溶液への露出の前に決定することができる、および/または、溶媒の濃度を適切に選択することによって得ることができる。いくつかの実施形態では、
図3の制御モジュール302などの制御モジュールが、スルーホールのアスペクト比および/またはそれ以外のパラメータに基づいて、所望の粘性と溶媒の濃度とを計算することができる。オプションであるが、制御モジュールは、選択された溶媒濃度を備えた溶液を準備するように、電気分解装置を制御することができる。ブロック506の次には、ブロック508が続きうる。
【0073】
ブロック508では、「ポリアミック酸が溶液から内壁のマスキングされていない領域上に析出され析出構造が形成されるように、溶液を分解する」との記載があるように、溶液への積層型半導体構造の露出の間、溶液は、電流を用いて、
図3の電気分解装置310などの電気分解装置で分解され、ポリアミック酸が溶液から内壁上のマスキングされていない領域上に析出されて、析出されたウエハが形成される。特に、いくつかの実施形態では、ポリアミック酸は、ポリアミック酸の塩よりも溶媒において低い溶解度を有するため、溶液を分解することによりポリアミック酸が内壁上に析出する。いくつかの例では、電流を用いて溶液が分解されるとき、積層型半導体構造は、電極として機能する。ブロック508の次には、ブロック510が続きうる。
【0074】
ブロック510では、「溶液への露出を終了する」との記載があるように、所定の時間間隔が終了した後で、析出構造の溶液への露出を終えることができる。いくつかの実施形態では、上述した所定の間隔の長さ、および/または、ブロック508で溶液が分解される間隔の長さは、内壁上の析出されたポリアミック酸の厚さが所定の厚さとなるように、選択される。電気分解装置に含まれるまたは電気分解装置とは別個のタイマを用いて、所定の間隔またはそれ以外の間隔をカウントダウンすることができる。あるいは、または、それに加えて、電気分解装置に含まれるまたは電気分解装置とは別個のセンサを用いて、析出されたポリアミック酸の厚さをモニタすることができる。タイマおよびセンサの一方または両方からの信号を、制御モジュールまたは直接に電気分解装置に、提供することができる。電気分解装置を、制御モジュールまたは直接に電気分解装置から信号を受け取ることに応答して、析出構造の溶液への露出を終了するように構成しうる。ブロック510の次には、ブロック512が続きうる。
【0075】
ブロック512では、「析出構造を加熱および脱水し、析出されたポリアミック酸をポリイミド膜に変換する」との記載があるように、析出構造の溶液への露出を終了した後で、析出構造を、
図3のオーブン312などのオーブンによって加熱および脱水して、内壁上のマスキングされていない領域上の析出されたポリアミック酸を、マスキングされていない領域を実質的にコーティングするポリイミド膜に変換することができる。ブロック512の次には、ブロック514が続きうる。
【0076】
ブロック514では、「マスキングを除去し、内壁の電気コンタクト領域を露出する」との記載があるように、マスキングを除去し、内壁の電気コンタクト領域を露出させることができる。いくつかの実施形態では、マスキングは、ブロック512で析出構造を加熱および脱水することによって除去し、マスキング材料が融解してスルーホールから流れ出るようにすることができる。ブロック514の次には、ブロック516が続きうる。
【0077】
ブロック516では、「スルーホールの内部に導電性要素を堆積する」という記載があるように、導電要素をスルーホールの中に堆積し、その導電要素が、内壁の電気コンタクト領域と電気的に結合し、ポリイミド膜によって内壁の他の部分からは電気的に絶縁されるようにすることができる。導電要素は、
図3の堆積装置316などの堆積装置によって、堆積することができる。導電要素は、いくつかの実施形態では、TSVである。あるいは、または、これに加えて、導電要素には、銅、銅合金、アルミニウム、銀、金、ポリシリコンなどの半導体材料、導電性ポリマまたはそれ以外の適切な導電性材料などが含まれうる。
【0078】
図5Aに示されていない他の機能および操作が方法500の中に含まれることがありうる。例えば、方法500は、内壁を溶液に露出する前に絶縁膜を内壁上に堆積し、それ以後にポリイミド膜を形成することをさらに含みうる。これらのおよび他の実施形態では、この絶縁膜には、SiO
2、TiNまたはそれ以外の適切な材料が含まれうる。この絶縁膜は、
図3の堆積装置316などの堆積装置を用いて堆積することができる。
【0079】
他の例として、方法500は、レーザを用いて穿孔することによりスルーホールを形成する実施形態において、スルーホールを形成した後で内壁からデスミアを取り除くことをさらに含みうる。デスミアは、プラズマ照射プラスUV照射などの物理的方法またはウェットブラスト法などの化学的方法によって、除去可能である。デスミアは、
図3のデスミア装置318などのデスミア装置を用いて、除去することができる。
【0080】
さらに別の例では、方法500は、ポリイミド膜上に形成された導電要素の対向する端部に結合された積層型半導体構造上の上側および下側ボンドパッドを形成することを、さらに含みうる。この上側および下側ボンドパッドは、
図3の堆積装置316などの堆積装置を用いて、形成することができる。
【0081】
図5Aの方法500は、以上では、TSVのためのスルーホールにポリイミド膜を形成するというコンテキストにおいて論じられてきたが、層内の相互接続のためのスルーホールにポリイミド膜を形成することに適応させることが可能である。層内の相互接続のためのスルーホールへのポリイミド膜の形成は、積層型半導体構造の複数の半導体層が相互に積層される前に、実行されうる。
【0082】
図5Bには、本出願に記載される少なくともいくつかの実施形態に従って構成された層内の相互接続のためのスルーホールにポリイミド膜を形成する方法550の図解による例が示されている。方法550は、ブロック552、554、556、558、560、562、564および/または566の1つまたは複数によって図解されているように、様々な操作、機能または動作が含まれる。方法550は、ブロック552で開始しうる。
【0083】
ブロック552では、「半導体層を穿孔しスルーホールを形成する」との記載があるように、
図3のレーザドリル308などのレーザドリルまたはそれ以外の適切なドリリングデバイスを用いて半導体層に穿孔することによって、スルーホールを形成することができる。この半導体層は、後の時点で1つまたは複数の他の半導体層と相互に積層して、上述したように、対応するTSVのための1つまたは複数のスルーホールにポリイミド膜が形成されている積層型半導体構造を形成しうる。ブロック552の次には、ブロック554が続きうる。
【0084】
ブロック554では、「半導体層の内壁上に含まれる電気コンタクト領域をマスキングする」との記載があるように、スルーホールを画定する半導体層の内壁上に含まれる電気コンタクト領域を、
図3のマスキングジグ320などのマスキングジグを用いてマスキングすることができる。マスキング材料は、ロストワックスやそれ以外の適切な材料を含みうる。ブロック554の次には、ブロック556が続きうる。
【0085】
ブロック556では、「ポリアミック酸の塩を含む溶液に半導体層を露出する」という記載があるように、半導体層を、所定の時間間隔の間、ポリアミック酸の塩を含む溶液に露出することができる。半導体層を溶液に露出することは、半導体層を溶液に浸すことを含みうる。例えば、この溶液は、
図3の電気分解装置310などの電気分解装置の電解槽の中に提供されうる。
【0086】
いくつかの実施形態では、ポリアミック酸の塩は、アミン誘導体の塩である。アミン誘導体には、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジフェニルアミンまたはトリアルキルアミンの中の1つまたは複数が含まれうる。あるいは、または、それに加えて、溶液を形成するのに用いられる溶媒には、MEK、N−メチル−2ピロリドン、芳香族炭化水素、エチルセロソルブ、ジイソプロピルエーテル、エチルアセテート、クロロホルム、NMP、DMSOまたはDMFの中の1つまたは複数が含まれる。
【0087】
いくつかの実施形態によると、溶液の粘性とスルーホールのアスペクト比とが、溶液への露出の間に、いかに滑らかにそして完全に溶液がスルーホールの中に流れ込み充填することができるかを決定しうる。溶液の粘性が高いほど、そして、スルーホールのアスペクト比が低いほど、結果的に、溶液がスルーホールの中に完全に流れ込み充填することを困難にし、そのための時間も長くなる。従って、溶液の所望の粘性は、溶液への露出の前に決定することができる、および/または、溶媒の濃度を適切に選択することによって得ることができる。いくつかの実施形態では、
図3の制御モジュール302などの制御モジュールが、スルーホールのアスペクト比および/またはそれ以外のパラメータに基づいて、所望の粘性と溶媒の濃度とを計算することができる。オプションであるが、制御モジュールは、選択された溶媒濃度を備えた溶液を準備するように、電気分解装置を制御することができる。ブロック556の次には、ブロック558が続きうる。
【0088】
ブロック558では、「ポリアミック酸が溶液から内壁のマスキングされていない領域上に析出され析出層が形成されるように、溶液を分解する」との記載があるように、溶液への半導体層の露出の間、溶液は、電流を用いて、
図3の電気分解装置310などの電気分解装置で分解され、ポリアミック酸が溶液から内壁上のマスキングされていない領域上に析出されて、析出された層が形成される。特に、いくつかの実施形態では、ポリアミック酸は、ポリアミック酸の塩よりも溶媒において低い溶解度を有するため、溶液を分解することによりポリアミック酸が内壁上に析出する。いくつかの例では、電流を用いて溶液が分解されるとき、半導体層は、電極として機能する。ブロック558の次には、ブロック560が続きうる。
【0089】
ブロック560では、「溶液への露出を終了する」との記載があるように、所定の時間間隔が終了した後で、析出構造の溶液への露出を終えることができる。いくつかの実施形態では、上述した所定の間隔の長さ、および/または、ブロック558で溶液が分解される間隔の長さは、内壁上の析出されたポリアミック酸の厚さが所定の厚さとなるように、選択される。電気分解装置に含まれるまたは電気分解装置とは別個のタイマを用いて、所定の間隔またはそれ以外の間隔をカウントダウンすることができる。あるいは、または、それに加えて、電気分解装置に含まれるまたは電気分解装置とは別個のセンサを用いて、析出されたポリアミック酸の厚さをモニタすることができる。タイマおよびセンサの一方または両方からの信号を、制御モジュールに、または直接に電気分解装置に、提供することができる。電気分解装置を、制御モジュールから、または直接に電気分解装置から信号を受け取ることに応答して、析出層の溶液への露出を終了するように構成しうる。ブロック560の次には、ブロック562が続きうる。
【0090】
ブロック562では、「析出層を加熱および脱水し、析出されたポリアミック酸をポリイミド膜に変換する」との記載があるように、析出層の溶液への露出を終了した後で、析出構造を、
図3のオーブン312などのオーブンによって加熱および脱水して、内壁上のマスキングされていない領域上の析出されたポリアミック酸を、マスキングされていない領域を実質的にコーティングするポリイミド膜に変換することができる。ブロック562の次には、ブロック564が続きうる。
【0091】
ブロック564では、「マスキングを除去し、内壁の電気コンタクト領域を露出する」との記載にあるように、マスキングを除去し、内壁の電気コンタクト領域を露出させることができる。いくつかの実施形態では、マスキングは、ブロック562で析出構造を加熱および脱水することによって除去し、マスキング材料が融解してスルーホールから流れ出るようにすることができる。ブロック564の次には、ブロック566が続きうる。
【0092】
ブロック566では、「スルーホールの内部に導電性要素を堆積する」という記載があるように、導電要素をスルーホールの中に堆積し、その導電要素が、内壁の電気コンタクト領域と電気的に結合し、ポリイミド膜によって内壁の他の部分からは電気的に絶縁されるようにすることができる。導電要素は、
図3の堆積装置316などの堆積装置によって、積層することができる。導電要素は、いくつかの実施形態では、TSVである。あるいは、または、これに加えて、導電要素には、銅、銅合金、アルミニウム、銀、金、ポリシリコンなどの半導体材料、導電性ポリマまたはそれ以外の適切な導電性材料などが含まれうる。
【0093】
本発明は、様々な特徴の説明として意図され本出願に記載された特定の実施形態に限定されることはない。当業者に明らかなように、その精神および範囲から逸脱せずに、多くの修正および変更をなすことが可能である。当業者には、本出願に列挙されたものに加え、本発明の範囲に属する機能的に均等な方法および装置が、以上の説明から明らかであるはずである。そのような修正および変更は、特許請求の範囲の範囲に属することが意図されている。本発明は、特許請求の範囲が及ぶ均等物の完全な範囲と共に、特許請求の範囲の記載によってのみ範囲が画定される。本発明は、特定の方法、試薬、化合物の組成または生体系に限定されないことが理解されるべきであって、これらは、もちろん変動しうる。本出願に用いられた用語は特定の実施形態を説明する目的のみを有するのであって、限定を意味しないことも理解されるべきである。
【0094】
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0095】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(例えば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0096】
さらに、本発明の特徴や側面がマーカッシュ群の用語で記載されている場合には、当業者であれば、そのマーカッシュ群の個々の構成要素または複数の構成要素からなる部分群でもまた記載されることを理解すべきである。
【0097】
当業者であれば理解するように、任意のおよびすべての目的について、記載された説明を提供することに関し、本出願で開示されているすべての範囲は、任意のおよびすべての可能性のある下位の範囲と下位の範囲の組み合わせとに及ぶ。任意のリスト化されている範囲は、同一の範囲が、少なくとも、等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割されることを十分に説明し可能にしているものとして、容易に認識されうる。非限定的な例として、本出願で論じられたそれぞれの範囲は、下位の3分の1、中間の3分の1、上位の3分の1などに容易に分割することができる。当業者であれば容易に理解するように、「まで」、「少なくとも」などのすべての言葉は、言及された数字を含み、上述したように、以後に下位の範囲に分割することができる範囲にも及ぶ。最後に、当業者に理解されるように、範囲はそれぞれの個別の構成要素を含む。従って、例えば、1から4個のセルを有するグループは、1、2または4個のセルを有するグループに及ぶ。同様に、1から5個のセルを有するグループは、1、2、4、4または5個のセルを有するグループに及ぶ、などである。
【0098】
以上から、本発明の様々な実施形態が説明のために本出願で論じられたこと、そして、本発明の範囲および精神から逸脱することなく様々な修正を行いうることが理解されよう。従って、本出願で開示された様々な実施形態は限定を意図したものではなく、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示されている。