特許第5763812号(P5763812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5763812
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】椅子構造
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/64 20060101AFI20150723BHJP
   A47G 25/28 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A47C7/64 A
   A47G25/28 B
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-135590(P2014-135590)
(22)【出願日】2014年7月1日
【審査請求日】2014年10月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506339338
【氏名又は名称】田畑 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】田畑 悟
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−117060(JP,A)
【文献】 実開平07−011960(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/64
A47G 25/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と背もたれ部とを有し、上記背もたれ部上方へ配置されうる突出部と、上記突出部に連設されて、背もたれ部内に上下方向にスライド可能に配設されたスライド部とを有する椅子付属物を上記背もたれ部において出没可能に支持しうる支持構造部と、上記スライド部が下方へスライドした場合に上記突出部を背もたれ部と一体となるように収納しうる突出部収納部とを有する椅子構造であって、上記背もたれ部内には、上下方向に沿って背もたれ部を固定するフレーム部が設けられ、上記支持構造部は、上記背もたれ部の幅方向において上記フレーム部に当接して設けられていることを特徴とする椅子構造。
【請求項2】
上記支持構造部は上記スライド部をスライド可能に包持するガイド部により形成されていると共に上記スライド部は棒状に形成され、
上記ガイド部は上記フレーム部に当接して配設され、上記スライド部の両側部に当接する側方ガイド部材と、上記スライド部の前方部に当接する前方ガイド部材とを備えていることを特徴とする請求項1記載の椅子構造。
【請求項3】
上記フレーム部は、細長板状に形成されたフレーム部本体と、上記フレーム部本体の先端側において連設された被覆部とにより形成され、上記前方ガイド部は上記被覆部により形成されていることを特徴とする請求項記載の椅子構造。
【請求項4】
上記スライド部は上記フレーム部の両側に一対に配置され、上記側方ガイド部材は上記フレーム部に当接して背もたれ部の厚さ方向に沿って配設されると共に長さ方向に連続する壁部により構成されていることを特徴とする請求項記載の椅子構造。
【請求項5】
上記突出部は上記背もたれ部の幅方向に沿って配設される幅方向延設部により構成されると共に、上記スライド部は上記幅方向延設部から下方に連設されていることを特徴とする請求項1記載の椅子構造。
【請求項6】
上記突出部は上記背もたれ部の幅方向に沿って配設される幅方向延設部により構成され、上記幅方向延設部は衣服を掛けるハンガーとして構成され、基部と、上記基部の両側部に設けられた一対の肩支持部とを有し、上記スライド部は、所定間隔をおいて上記基部に一対に設けられ、上記側方ガイド部材は上記スライド部の側部の略全域に亘って摺動可能に当接する一対のガイド部材からなることを特徴とする請求項記載の椅子構造。
【請求項7】
上記ハンガーの長さ寸法は上記背もたれ部の幅寸法と同一であって、上記背もたれ部本体の上端部には、上記ハンガーの基部及び肩支持部の幅寸法及び厚さ寸法と同一の幅寸法及び厚さ寸法を有する突出部収納部が設けられ、上記ハンガーの背もたれ部本体への収納時には背もたれ部本体の上縁部と上記ハンガーの上縁部とが一致するように収納されることを特徴とする請求項6記載の椅子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子構造に関し、特に、所定の構造物を背もたれ部に配置できる椅子構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、椅子は着座者が着座するのみならず、背もたれ部に様々な付属物を取り付けて使用したい、という場合がある。即ち、例えば、使用者によっては、椅子の背もたれ部に上着等を掛けておけるハンガーを取り付けて使用したいという要請があり、このような要請に応えるものとして、従来より、背もたれ部にハンガーを設けた椅子が提案されていた(特許文献1)
【0003】
特許文献1に開示された椅子構造にあっては、図8に示すように、背もたれ部91に上下昇降可能に取り付けられ、背もたれ部91の上方へ突出して配置されるハンガー92を備えた椅子90が開示されている。
【0004】
この椅子90にあっては、ハンガー92は、ハンガー部93と、ハンガー部93に直交して垂下するように設けられたスライド部94とを有し、上記スライド部は、背もたれ部本体95の裏面側上部に固定されたスライド支持部96により上下方向にスライド支持可能に配設されており、必要時には、スライド部94をスライド支持部96内において上昇させることによりハンガー部93を背もたれ部91の上方に突出させ、ハンガー部93に上着等を掛けることができる。
【0005】
また、不要時には、スライド部94をスライド支持部96内において下降させることにより、ハンガー部93を背もたれ部91の上端部に当接するように配置させるように構成されている。
また、この場合、ハンガー部93の輪郭形状は、背もたれ部91の上縁部の形状と同様のアールを描いて形成されていることから、ハンガー部93を背もたれ部91に違和感なく一体的に配置させることができるようになっている。
【0006】
しかしながら、このような従来のハンガー92を備えた椅子90にあっては、ハンガー92のスライド部94をスライド可能に支持するスライド支持部96は、背もたれ部91を座部97に固定する細長板状の固定フレーム98とは分離され、固定フレーム98の上方に配置固定されていることから、使用時に背もたれ部91の上方に配置されたハンガー部93に所定の重量を有する衣服、例えば、厚手の上着、冬物のコート等が、特に複数着、掛けられたような場合には、掛けられた衣服の重量をスライド部94を介してスライド支持部96のみにより支持することとなり、十分に衣服の荷重を支持できず、経年時にはスライド支持部96に負担がかかり、スライド部94が円滑に作動しなくなる可能性がある。
【0007】
また、ハンガー部93は、収納時には背もたれ部91の上端部に突出するように配置されるため、背もたれ部91と同様の輪郭形状に形成されているが、全体として外観品質に欠ける、という不具合もあった。
【0008】
この点は例えば、特許文献2においては、図9に示すように、ハンガー部99は、背もたれ部100の上端部に埋没して一体に配設されるように構成されていることから、上記不具合は解消しているが、特許文献1の開示技術と同様に、スライド支持部101は支持フレーム部102とは分離されて配設されていることから、前記同様に、使用時に掛けられた上着等が所定重量を有する場合には、前記同様の不具合の可能性があった。
【0009】
従って、上記のように、所定の荷重が作用する可能性のある付属構造物であっても安定して支持できると同時に外観品質に優れた椅子が従来より要請されていた。
【特許文献1】特開2007―75584号公報
【特許文献2】実開平7−11960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような従来からの不具合を解決するためのものであって、その課題は、所定の荷重が作用する可能性のある椅子付属物を支持できると共に外観品質に優れた椅子構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題達成のため、請求項1記載の発明にあっては、座部と背もたれ部とを有し、上記背もたれ部上方へ配置されうる突出部と、上記突出部に連設されて、背もたれ部内に上下方向にスライド可能に配設されたスライド部とを有する椅子付属物を上記背もたれ部において出没可能に支持しうる支持構造部と、上記スライド部が下方へスライドした場合に上記突出部を背もたれ部と一体となるように収納しうる突出部収納部とを有する椅子構造であって、上記背もたれ部内には、上下方向に沿って背もたれ部を座部に固定するフレーム部が設けられ、上記支持構造部は、上記背もたれ部の幅方向において上記フレーム部に当接して設けられていることを特徴とする。
【0012】
従って、請求項1記載の発明にあっては、上記付属構造物を支持する支持構造部は背もたれ部の上下方向において上記フレーム部と重複して背もたれ部本体に配設されている。
【0013】
請求項2記載の発明にあっては、上記支持構造部は上記スライド部をスライド可能に包持するガイド部により形成されていると共に上記スライド部は棒状に形成され、上記ガイド部は上記フレーム部に当接して配設され、上記スライド部の両側部に当接する側方ガイド部材と、上記スライド部の前方部に当接する前方ガイド部材とを備えている。
【0014】
請求項2記載の発明にあっては、上記スライド部は側方ガイド部材及び前方ガイド部材により包持されてガイドされる。
【0015】
請求項3記載の発明にあっては、上記フレーム部は、細長板状に形成されたフレーム部本体と、上記フレーム部本体の先端側において連設された被覆部とにより形成され、上記前方ガイド部は上記被覆部により形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明にあっては、上記スライド部は上記フレーム部の両側に一対に配置され、上記側方ガイド部材は上記フレーム部に当接して背もたれ部の厚さ方向に沿って配設され、長さ方向に連続する壁部により構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明にあっては、上記突出部は上記背もたれ部の幅方向に沿って配設される幅方向延設部により構成されると共に、上記スライド部は上記幅方向延設部から下方に連設されていることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明にあっては、上記突出部は上記背もたれ部の幅方向に沿って配設される幅方向延設部により構成され、上記幅方向延設部は衣服を掛けるハンガーとして構成され、基部と、上記基部の両側部に設けられた一対の肩支持部とを有し、上記スライド部は、所定間隔をおいて上記基部に一対に設けられ、上記側方ガイド部材は上記スライド部の側部の略全域に亘って摺動可能に当接する一対のガイド部材からなることを特徴とする。
請求項6記載の発明にあっては、背もたれ部に設けられたハンガーに衣服等を掛けることができる。
【0019】
請求項7記載の発明にあっては、上記ハンガーの長さ寸法は上記背もたれ部の幅寸法と同一であって、上記背もたれ部本体の上端部には、上記ハンガーの基部及び肩支持部の幅寸法及び厚さ寸法と同一の幅寸法及び厚さ寸法を有する突出部収納部が設けられ、上記ハンガーの背もたれ部本体への収納時には背もたれ部本体の上縁部と上記ハンガーの上縁部とが一致するように収納されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明は、上記背もたれ部上方へ配置されうる突出部と、上記突出部に連設されて、背もたれ部内に上下方向にスライド可能に配設されたスライド部とを有する椅子付属物を上記背もたれ部において出没可能に支持しうる支持構造部と、上記スライド部が下方へスライドした場合に上記突出部を背もたれ部と一体となるように収納しうる突出部収納部とを有する椅子構造であって、上記背もたれ部内には、上下方向に沿って背もたれ部を座部に固定するフレーム部が設けられ、上記支持構造部は、上記背もたれ部の幅方向において上記フレーム部に当接して設けられており、上記付属構造物を支持する支持構造部は背もたれ部の上下方向において上記フレーム部と重複して背もたれ部本体に配設されていることから、上記椅子付属物に発生する荷重は、支持構造部から背もたれ部本体を介して上記フレーム部により支持されることから、椅子付属物に発生する荷重が上記支持構造部に作用した場合であっても、確実に荷重を受け止めることができる。
【0021】
請求項2記載の発明にあっては、上記支持構造部は上記スライド部をスライド可能に包持するガイド部により形成され、上記ガイド部は上記フレーム部に当接して配設されていることから、上記ガイド部に作用する荷重は上記フレーム部により支持され、椅子付属物に発生する荷重が上記支持構造部に作用した場合であっても、確実に荷重を受け止めることができる。
【0022】
また、上記スライド部は棒状に形成されると共に上記ガイド部は記フレーム部に当接して配設され、上記スライド部の両側部に当接する側方ガイド部材と、上記スライド部の前方部に当接する前方ガイド部材とを備えており、上記スライド部は側方ガイド部材及び前方ガイド部材により包持されてガイドされることから、上記スライド部は、側方のみならず前方をガイド部により被覆されるため確実にガイドされる。
【0023】
請求項3記載の発明にあっては、上記フレーム部は、細長板状に形成されたフレーム部本体と、上記フレーム部本体の先端側において連設された被覆部とにより形成され、上記前方ガイド部は上記被覆部により形成されていることから、上記スライド部に作用する背もたれ部の厚さ方向に作用する荷重は上記被覆部により支持されることから付属構造物に作用する荷重は確実に支持される。
【0024】
請求項4記載の発明にあっては、上記スライド部は上記フレーム部の両側に一対に配置され、上記側方ガイド部材は上記フレーム部に当接して背もたれ部の厚さ方向に沿って配設され、長さ方向に連続する壁部により構成されていることから、上記スライド部は両側方を側方ガイド部材により当接してガイドされることから、上記スライド部はより確実にガイドされる。
【0025】
請求項6記載の発明にあっては、背もたれ部に設けられたハンガーに衣服等を掛けることができ、ハンガーに掛けられた衣服等が所定の荷重を有する場合にも安定して支持することができる椅子構造を提供することができる。
【0026】
請求項7記載の発明にあっては、ハンガーの背もたれ部への収納時には、背もたれ部の輪郭形状に沿わせてハンガーを収納することができるため、外観品質に優れた、ハンガー付きの椅子構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る椅子構造が適用された椅子の一実施の形態を正面側から示す斜視図である。
図2】本発明に係る椅子構造が適用された椅子の一実施の形態を背面側から示す斜視図である。
図3】本発明に係る椅子構造が適用された椅子の一実施の形態を示し、背もたれ部本体のみをクッション材を取り外した状態で示す斜視図である。
図4】本発明に係る椅子構造が適用された椅子の一実施の形態を示し、付属構造物であるハンガーを示す斜視図である。
図5】本発明に係る椅子構造が適用された椅子の一実施の形態を示し、座部本体及び背もたれ部本体を、クッション材を取り外した状態で示す斜視図である。
図6】本発明に係る椅子構造が適用された椅子の一実施の形態を示し、背もたれ部本体を、ハンガーを引き出した状態で示す斜視図である。
図7】本発明に係る椅子構造が適用された椅子の一実施の形態を示し、図7のVII‐VII線断面図である。
図8】従来のハンガー付の椅子を示す斜視図である。
図9】従来のハンガー付の椅子を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき、本発明を、椅子付属物としてハンガーを採用した場合を例に詳細に説明する。
図1には、本実施の形態に係る椅子構造が適用される椅子10が示されている。椅子10は、接地面に載置される円盤部11を有する脚部12と、脚部12の上端部に固定された座部13と、後述のフレーム部を介して脚部12の上端部に座部13と共に固定された背もたれ部14とを備えている。
座部13は、座部本体28と座部本体の上部に固定されたクッション部15とを有すると共に、背もたれ部14は、背もたれ部本体22と、背もたれ部本体22の前面部に固定されたクッション部16とを有している。
図2に示すように、背もたれ部14の形状は、着座者の肩が当接する上部14aは幅広に形成され、同一幅寸法で下方へ連続し、着座者の腰が当接する部位14bに至った場合には、幅狭になるようにラウンド状の輪郭形状に杭れて形成されており、下端部は座部13の後端部を被覆してやや下方に配置され、全体として座部13に比して大型に形成されている。
【0029】
図4に示すように、本実施の形態にあっては、背もたれ部本体22には、上記背もたれ部14上方へ配置されうる突出部としてのハンガー本体17と、上記突出部17に連設されて、背もたれ部14内に上下方向にスライド可能に配設された2本の棒状スライド部18、18とを有する椅子付属物としてのハンガー19が設けられている。
【0030】
ハンガー19は全体が合成樹脂製であって、ハンガー本体17と、ハンガー本体17の上縁部にハンガー本体17よりも大きな幅寸法に形成された衣服支持部32とを有している。
図4に示すように、ハンガー本体17は、基部29と、上記基部29の両側部に設けられた一対の肩支持部30、30とを有している。図1及び図2に示すように、上記ハンガー19の長さ寸法は上記背もたれ部本体22の幅寸法と同一に形成されている。
【0031】
図1図3に示すように、ハンガー本体17の上縁部17aは、肩支持部30、30に相当する部位は背もたれ部本体22の本体部22aの上縁部の輪郭形状と同一の輪郭形状に形成されると共に、ハンガー本体17の下縁部は直線状に形成されている。
また、衣服支持部32の基部22の相当部は上方にやや膨出して、裏面部に凹部(図示せず)を有する引出部33が形成されており、必要時には、引出部33を凹部を介して指で引っ掛けて、ハンガー19を背もたれ部14の上方へ引き出すように構成されている。
【0032】
図4に示すように、2本の棒状スライド部18、18は、基部29の下端部においてハンガー本体17に直交して延設されており、夫々、断面方形状の角柱状部材として形成されている。
棒状スライド部18、18は、背もたれ部本体22が脚部12に固定された場合に先端部が座部13に達する長さ寸法に形成されており、その結果、背もたれ部本体22の高さ方向の略全域に亘って配設されている。
また、長さ方向中間部には2本のスライドリブ35、35が、夫々、形成されており、後述の前方ガイド部26と当接しつつスライドしうるように構成されている。また、棒状スライド部18、18の下端部は、前部にかけて厚さ方向にテーパ状となるように形成され、さらに、前端部には係合爪部36、36が突設されており、ハンガー19を上方へ引き上げた際には、後述の前方ガイド部26の係合孔部34、34に係合してハンガー本体17を所定の高さ位置には支持するように構成されている。
【0033】
図3に示すように、背もたれ部本体22は、合成樹脂の一体成型による、上面部が開放された全体薄型箱状のフレーム材として構成され、背もたれ部本体22内には、ハンガー19を上記背もたれ部本体22において出没可能に支持しうる支持構造部20と、上記2本の棒状スライド部18が下方へスライドした場合に上記突出部としてのハンガー本体17を背もたれ部14と一体となるように収納しうる突出部収納部21とを有している。上記支持構造部20は、上記棒状スライド部18、18をスライド可能に包持するガイド部23により形成されている。
【0034】
本実施の形態にあっては、背もたれ部本体22の幅方向中央部には細長板状の金属製であって側面L字状に折曲形成されたバネフレーム材24が配設され、背もたれ部本体22はこのバネフレーム材24を介して脚部12に固定されており、遊技者は着座時に、バネフレーム材24の前後方向における弾力性及び可撓性により着座姿勢に余裕を持つことが出来る。
【0035】
図3に示すように、上記ガイド部23はバネフレーム材24の幅方向において、バネフレーム材24に当接して一対に配設されており、上記棒状スライド部18、18の両側部に当接する側方ガイド部材25、25と、上記棒状スライド部18、18の前方部に当接する前方ガイド部26とを備えている。側方ガイド部材25、25は、細長板状の一対のガイド片25a、25bからなり、棒状スライド部18を内部に収納しうる幅寸法を置いて配設されている。ガイド片25a、25bは、棒状スライド部18、18の長さ寸法と略同一に形成され、背もたれ部本体22の背面板部22bから前面方向に向かって直角に突設されている。
【0036】
図3に示すように、前方ガイド部26は、金属製であって平面方形の板状部材からなり、側方ガイド部材25、25の上部において前面部を被覆しうるように一対の側方ガイド部材25、25上に亘って、バネフレーム材24に固定して配設されている。前方ガイド部26の下部の幅方向両端部には、横長長方形状の係合孔部34、34が開設され、ハンガー19が上方へ引き出された場合には、棒状スライド部18、18の係合爪部36、36の下端部と係合して、ハンガー本体17を所定の高さ位置に固定しうるように構成されている。
また、背もたれ部本体22には、複数個所に亘って、クッション部16を固定するクリップ状のクッション固定部27が設けられている。
【0037】
また、本実施の形態にあっては、図1及び図7に示すように、背もたれ部本体22は、本体部22aと、本体部22aの裏面側に上下方向に沿って突設されたスライド部収納部22cとにより構成されている。
スライド部収納部22cは、図7に示すように、全体が厚さ寸法の小さな板状部材として形成され、上端部は本体部22aの上縁部のやや下方に配置され、図2に示すように、本体部22aの幅寸法よりもやや小さな幅寸法に形成された上部14aと、徐々に幅寸法が小さく形成された湾曲部41と、湾曲部41に連続する、小さな幅寸法を有する小径部42とを有しており、下端部は本体部22aの下端部に配置され、本体部22aの上下方向の略全域に亘って、本体部22aとデザイン的な一体感を以て設けられている。
【0038】
その結果、図7に示すように、ハンガー19の棒状スライド部18、18は、スライド部収納部22cの上半部37と本体部22a下半部38との間に厚さ方向に貫通して上下方向に沿ってスライド可能に配設されている。
また、スライド部収納部22cの上端部と本体部22aの背面部との間にハンガー本体17の突出部収納部21が形成されている。突出部収納部21は、ハンガー本体17が一体的に収納できるように、ハンガー本体17の幅寸法と同一の段部として形成されている。
【0039】
以下、本実施の形態に係る椅子構造の作用について説明する。
図3及び図5に示すように、常態時においては、ハンガー19は、背もたれ部14内において、棒状スライド部18、18がガイド部23内に収納され、ハンガー本体17が突出部収納部21内に収納されている。
【0040】
この場合、上記のように、ハンガー本体17の上縁部17aは、肩支持部30、30に相当する部位は背もたれ部本体22の本体部22aの上縁部の輪郭形状と同一の輪郭形状に形成されていることから、ハンガー19の収納状態においてはハンガー19の肩支持部30、30は本体部22aの上縁部22d、22dと面一に配置されていると共に幅方向中央部には引出部33が本体部22aの上方に突出配置されていることから、良好なデザイン的一体感を醸し出すことができる。
【0041】
この状態において、ハンガー19の棒状スライド部18、18は、夫々、上部前方を前方ガイド部26により被覆された状態で、ガイド片25a、25bの間に収納されている。
次に、必要時、例えば、遊技者が上着、コート等を脱いた状態で遊技を行うことを希望する場合には、遊技者は、引出部33に指を掛けて上方へ引き上げる。この場合、棒状スライド部18、18は、側方ガイド部26を構成する夫々、ガイド片25a、25b、及び前方ガイド部25により、夫々、側方及び前方をガイドされた状態で上方へスライド動作する。
【0042】
その後、図6及び図7に示すように、棒状スライド部18、18の下端部に形成された係合爪部36、36が前方ガイド部26の係合孔部34、34の部位にまで至った場合には、ハンガー19のハンガー本体17を後方へやや倒して棒状スライド部18、18を斜めに傾け、下端部の係合爪部36、36を係合孔部34、34の下端部に係合させる。これにより、棒状スライド部18、18は前方ガイド部26により支持されて、ハンガー本体17は背もたれ部本体22の上方の所定の高さ位置に配置された状態で固定される。
【0043】
従って、遊技者は、この状態において、ハンガー本体17に上着、コート、マフラー、レインコート等を、家庭においてハンガーに掛ける状態と同様の状態で掛けておくことができる。従って、上半身が身軽な状態で遊技に快適に長時間に亘って集中することができる。
本実施の形態にあっては、図3及び図5に示すように、棒状スライド部18、18が背もたれ部本体22の長さ寸法よりもやや短い程度の長さ寸法を有していることから、背もたれ部本体22の上方のかなりの高さ位置にハンガー本体17を配置することができるため、例えば、長いコートを掛けた場合であっても、裾が遊技場の床面に付かない状態で掛けておくことが可能となる。
【0044】
また、図6及び図7に示すように、ハンガー19の突出状態において、棒状スライド部18、18を直接に支持する前方ガイド部26は、一端部が脚部12に固定されたバネフレーム材24に固定されていることから、ハンガー本体17に所定の重量の衣料品が掛けられた場合であっても、衣料品の荷重を椅子10の構造材である脚部12により確実に支持することができる。
【0045】
また、側方ガイド部25、25は、バネフレーム材24に幅方向において当接して設けられていることから、ハンガー19が引き出されて所定の重量の衣服等が掛けられた場合に、棒状スライド部18、18へ幅方向の作用する荷重が発生した場合であっても、バネフレーム材24により確実に支持することができ、横方向のブレを規制することができるため、衣料品の安定した支持を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態にあっては、椅子付属物がハンガー19である場合を例に説明したが、本実施の形態に限定されず、背もたれ部22の上方へ突出させて支持する構成のものであれば種類を問わない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は広く椅子に適用することができるため、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0047】
10 椅子
11 円盤部
12 脚部
13 座部
14 背もたれ部
14a 上部
14b 腰が当接する部位
15 クッション部
16 クッション部
17 ハンガー本体(突出部)
17a 上縁部
18 棒状スライド部
19 ハンガー(椅子付属物)
20 支持構造部
21 突出部収納部
22 背もたれ部本体
22a 本体部
22b 背面板部
22c スライド部収納部
22d 上縁部
23 ガイド部
24 フレーム部(バネフレーム材)
25 側方ガイド部(側方ガイド部材)
25a ガイド片
25b ガイド片
26 前方ガイド部(前方ガイド部材)
27 クッション固定部
28 座部本体
29 基部
30 肩支持部
32 衣服支持部
33 引出部
34 係合孔部
35 スライドリブ
36 係合爪部
37 上半部
38 下半部
41 湾曲部
42 小径部
90 椅子
91 背もたれ部
92 ハンガー
93 ハンガー部本体
94 スライド部
95 背もたれ部本体
96 スライド支持部
97 座部
98 固定フレーム
99 ハンガー部本体
100 背もたれ部
101 スライド支持部
102 支持フレーム部
【要約】      (修正有)
【課題】所定の荷重が作用する可能性のある椅子付属物を支持できると共に外観品質に優れた椅子構造を提供する。
【解決手段】座部と背もたれ部とを有し、上記背もたれ部上方へ配置されうる突出部17と、上記突出部に連設されて、背もたれ部内に上下方向にスライド可能に配設されたスライド部18とを有する椅子付属物を上記背もたれ部において出没可能に支持しうる支持構造部と、上記スライド部が下方へスライドした場合に上記突出部を背もたれ部と一体となるように収納しうる突出部収納部とを有する椅子構造であって、上記背もたれ部内には、上下方向に沿って背もたれ部を座部に固定するフレーム部24が設けられ、上記支持構造部は、上記背もたれ部の幅方向において上記フレーム部に隣接して設けられている。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9