【実施例】
【0062】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0063】
表面層1:ガルバリウム鋼板(溶融55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板)(1800mm×600mm、厚み0.4mm)
表面層2:表面処理アルミニウム板(1800mm×600mm、厚み0.6mm)
表面層3:亜鉛メッキ鋼板(1800mm×600mm、厚み0.4mm)
【0064】
蓄熱組成物1:蓄熱材(パルミチン酸メチル)70重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤、分散剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌したもの。(蓄熱材の含有比率:70重量%)
蓄熱組成物2:蓄熱材(パルミチン酸メチル)67重量部、ポリエーテルポリオール22.5重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤、分散剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4.5重量部を加えて攪拌したもの。(蓄熱材の含有比率:67重量%)
【0065】
蓄熱層3:蓄熱材(パラフィンワックス(相変化温度28℃))70重量部、スチレンブタジエンエラストマー(スチレン/ブタジエン=40/60)20重量部を160℃にて溶融加熱混合した後、加熱ニーダーを用いて120℃にてパーライト(かさ密度0.07g/cm
3)10重量部を混合しスラリーを得た。このスラリーを押出し成形機を用いて成形したもの(厚み3mm)。(蓄熱材の含有比率:70重量%)
【0066】
遮蔽層1:ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み0.05mm)
遮蔽層2:ポリエチレンナフタレートフィルム(厚み0.1mm)
【0067】
ハニカム構造体層1:ぺーパーハニカム(厚み:15mm、セル形状:波型形状、セルサイズ:10mm、段ボール紙製)
ハニカム構造体層2:ぺーパーハニカム(厚み:20mm、セル形状:6角形状、セルサイズ:8mm、樹脂含浸ぺーパー製)
ハニカム構造体層3:アルミニウムハニカム(厚み:15mm、セル形状:6角形状、セルサイズ:12mm、アルミニウム製)
【0068】
ハニカム構造体層のセル内部の空洞率は、下記一般式により計算される。なお、前記空洞率は、ハニカム構造体層の積層体を製造する前のセル内部の厚みに対して、積層体を製造した後の実測のセル内部の空洞部分を形成するセル内部の厚みから、厚み対比を測定したものを、空洞率とした(n=3)。
(空洞率)(%)=100×(製造後のセル内部の厚み)/(製造前のセル内部の厚み)
【0069】
(実施例1)
表面層1の上に、蓄熱組成物1を流し込み、さらに蓄熱組成物1が硬化する前に、遮蔽層1を積層して、蓄熱組成物1を硬化させた。次に、遮蔽層1とハニカム構造体層1を接着材で貼着し、積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(h)に示す構造であり、蓄熱層の厚みが3mmであり、ハニカム構造体層1のセル内部の空洞率は100%であった。
【0070】
(実施例2)
遮蔽層1を遮蔽層2に替えた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(h)に示す構造であり、蓄熱層の厚みが3mmであり、ハニカム構造体層1のセル内部の空洞率は100%であった。
【0071】
(実施例3)
蓄熱組成物1を蓄熱組成物2に替えた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(h)に示す構造であり、蓄熱層の厚みが3mmであり、ハニカム構造体層1のセル内部の空洞率は100%であった。
【0072】
(実施例4)
表面層1の上に、蓄熱組成物1を流し込み、さらに蓄熱組成物1が硬化する前に、ハニカム構造体層1を積層して、蓄熱組成物1を硬化させ、積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は80%であった。なお、蓄熱層の厚みが3mmであった。
【0073】
(実施例5)
蓄熱層の厚み以外は、実施例4と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は66%であった。なお、蓄熱層の厚みが5mmであった。
【0074】
(実施例6)
蓄熱層の厚み以外は、実施例1と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(h)に示す構造であり、蓄熱層の厚みが5mmであり、ハニカム構造体層1のセル内部の空洞率は100%であった。
【0075】
(実施例7)
蓄熱層の厚み以外は、実施例4と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は93%であった。なお、蓄熱層の厚みが1mmであった。
【0076】
(実施例8)
表面層1、蓄熱層3、遮蔽層1の順に接着材を介して積層し、さらに、遮蔽層1とハニカム構造体層1を接着材で貼着し、積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(h)に示す構造であり、蓄熱層の厚みが3mmであり、ハニカム構造体層1のセル内部の空洞率は100%であった。
【0077】
(実施例9)
表面層1の替わりに表面層2を用いた以外は、実施例4と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は80%であった。なお、蓄熱層の厚みが3mmであった。
【0078】
(実施例10)
表面層1の替わりに表面層3を用いた以外は、実施例4と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は80%であった。なお、蓄熱層の厚みが3mmであった。
【0079】
(実施例11)
ハニカム構造体層1の替わりにハニカム構造体層2を用いた以外は、実施例4と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層2のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は85%であった。なお、蓄熱層の厚みが3mmであった。
【0080】
(実施例12)
ハニカム構造体層1の替わりにハニカム構造体層3を用いた以外は、実施例4と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層3のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は80%であった。なお、蓄熱層の厚みが3mmであった。
【0081】
(比較例1)
表面層1の上に、蓄熱組成物1を流し込み、さらに蓄熱組成物1が硬化する前に、ハニカム構造体層1を積層して、蓄熱組成物1を硬化させ、積層体を製造した。
得られた積層体は、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部全体に充填されており、セル内部の空洞率は0%であった。
【0082】
(比較例2)
表面層1の上に、ハニカム構造体層1を接着材で貼着し、積層体を製造した。
【0083】
実施例1〜12、比較例1〜2で得られた積層体について、次の試験1を行った。
【0084】
(試験1)
図5に示すように、ケイ酸カルシウム板(1800mm×600mm、厚み6mm)と積層体を、表面層が表面となるように貼りあわせ、ケイ酸カルシウム板に赤外線が照射できるように赤外線ランプを設置した。また、ケイ酸カルシウム板表面から30cm離れた位置に温度センサー(外部温度)を設置し、赤外線ランプの熱が逃げないようにポリスチレンフォームで囲んだ。さらに、表面層表面にも温度センサー(内壁面温度)を設置し、さらに表面層からの輻射熱を測定するため、表面層から30cm離れた位置に黒球温度計(直径15cm)(空間温度)を設置し、試験体を作製した。
作製した試験体を、クリーンルーム(12m
2、高さ2.5m)の中心に設置し、クリーンルーム内の温度を30℃に設定して3時間静置した。3時間後、クリーンルーム内の温度を25℃設定に変え、赤外線ランプをONにして各温度センサーの温度を測定した。結果は、赤外線ランプをONにしてから2時間後の各温度を表1及び表2に示した。
【0085】
実施例1、4で得られた積層体について次の試験2を行った。
【0086】
(試験2)
実施例1、4で得られた積層体については、別途、40℃にて12時間静置、その後20℃にて12時間静置を1サイクルとして、60サイクル行った後、試験1と同様の試験を行った。その結果、実施例1は空間温度26℃、内壁面温度28℃、外部温度50℃であり、実施例4は空間温度26℃、内壁面温度29℃、外部温度50℃であった。
【0087】
(実施例13)
2枚の表面層1を用意し、表面層1の上に、それぞれ蓄熱組成物1を流し込み、さらに蓄熱組成物1が硬化する前に、遮蔽層1を積層して、蓄熱組成物1を硬化させ積層体を得た。次に、2枚の積層体の遮蔽層1側とハニカム構造体層1とが接触するように、ハニカム構造体層1をサンドイッチ状に挟み込んで、接着材で貼着し、積層体を製造した。
得られた積層体は、
図4(j)に示す構造であり、蓄熱層の厚みがそれぞれ3mmであり、ハニカム構造体層1のセル内部の空洞率は100%であった。
【0088】
(実施例14)
2枚の表面層1を用意し、表面層1の上に、それぞれ蓄熱組成物1を流し込み、さらに蓄熱組成物1が硬化する前に、ハニカム構造体層1をサンドイッチ状に挟み込んで、蓄熱組成物1を硬化させ、積層体を製造した。
得られた積層体は、
図4(d)に示す構造であり該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は60%であった。なお、蓄熱層の厚みがそれぞれ3mmであった。
【0089】
(実施例15)
2枚の表面層1を用意し、一つの表面層1の上に、蓄熱組成物1を流し込み、さらに蓄熱組成物1が硬化する前に、ハニカム構造体層1を積層して、蓄熱組成物1を硬化させ、積層体1を得た。
もう一つの表面層1の上に、蓄熱組成物1を流し込み、さらに蓄熱組成物1が硬化する前に、遮蔽層1を積層して、蓄熱組成物1を硬化させ、積層体2を得た。
次に、積層体1のハニカム構造体層1側と、積層体2の遮蔽層1側が接触するように、接着材で積層し、積層体を製造した。
得られた積層体は、
図4(f)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は80%であった。なお、蓄熱層の厚みがそれぞれ3mmであった。
【0090】
(実施例16)
蓄熱層の厚み以外は、実施例14と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図4(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は87%であった。なお、蓄熱層の厚みがそれぞれ1mmであった。
【0091】
(実施例17)
2枚の表面層1を用意し、一つの表面層1の上に、蓄熱組成物1を流し込み、さらに蓄熱組成物1が硬化する前に、遮蔽層1を積層して、蓄熱組成物1を硬化させ、積層体3を得た。
積層体3の遮蔽層1側とハニカム構造体層1、ハニカム構造体層1ともう一つの表面層1とが接触するように、ハニカム構造体層1をサンドイッチ状に挟み込んで、接着材で貼着し、積層体を製造した。
得られた積層体は、
図3(i)に示す構造であり、蓄熱層の厚みが3mmであり、ハニカム構造体層1のセル内部の空洞率は100%であった。
【0092】
(実施例18)
蓄熱層の厚み以外は、実施例14と同様の方法で積層体を製造した。
得られた積層体は、
図4(d)に示す構造であり、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部の一部に充填されており、セル内部の空洞率は33%であった。なお、蓄熱層の厚みがそれぞれ5mmであった。
【0093】
(比較例3)
ハニカム構造体層1のセル内に蓄熱組成物1を充填し、2枚の表面層1を用いてサンドイッチ状に挟み込んで、蓄熱組成物1を硬化し、積層体を製造した。
得られた積層体は、該蓄熱層はハニカム構造体層1のセル内部全体に充填されており、セル内部の空洞率は0%であった。
【0094】
(比較例4)
2枚の表面層1を用意し、ハニカム構造体層1をサンドイッチ状に挟み込んで、接着材で貼着し、積層体を製造した。
【0095】
実施例13〜18、比較例3〜4で得られた積層体について次の試験3を行った。
【0096】
(試験3)
図6に示すように、積層体の一方の表面層に赤外線が照射できるように赤外線ランプを設置した。また、この表面層から30cm離れた位置に温度センサー(外部温度)を設置し、赤外線ランプの熱が逃げないようにポリスチレンフォームで囲んだ。さらに、もう一方の表面層表面にも温度センサー(内壁面温度)を設置し、さらに表面層からの輻射熱を測定するため、表面層から30cm離れた位置に黒球温度計(直径15cm)(空間温度)を設置し、試験体を作製した。
作製した試験体を、クリーンルーム(12m
2、高さ2.5m)の中心に設置し、クリーンルーム内の温度を30℃に設定して3時間静置した。3時間後、クリーンルーム内の温度を25℃設定に変え、赤外線ランプをONにして各温度センサーの温度を測定した。結果は、赤外線ランプをONにしてから2時間後の各温度を表3に示した。
【0097】
【表1】
注)表1〜表3の( )内の数値は厚み(mm)を示す。
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
上記表1〜3の結果より、全ての実施例において、空洞部分が存在するハニカム構造体層、及び、蓄熱層が積層された積層体は、冷熱を有効に利用することができ、外部温度が高温に達した場合であっても、空間温度や内壁温度の上昇が抑えられ、冷房効率が良く、省エネルギー化を実現できることが確認できた。
【0101】
一方、比較例1及び3のように、ハニカム構造体層に空洞部分が存在しない場合は、外部温度が高温に達した場合に、空間温度や内壁温度の上昇が抑えることができず、冷房効率が実施例よりも劣り、省エネルギー化も実現できないことが確認された。比較例2及び4のように、蓄熱層が存在しない場合には、外部温度が高温に達した場合に、空間温度や内壁温度が比較的早く上昇してしまい、冷房効率が実施例よりも劣り、省エネルギー化も実現できないことが確認された。