特許第5763822号(P5763822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5763822
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】データ処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20150723BHJP
   G06Q 40/02 20120101ALI20150723BHJP
【FI】
   G06Q40/04 100
   G06Q40/02 104
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-206238(P2014-206238)
(22)【出願日】2014年10月7日
【審査請求日】2014年10月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】瀧村 友一
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−164503(JP,A)
【文献】 特開2009−301235(JP,A)
【文献】 特開2005−038146(JP,A)
【文献】 特開2002−352023(JP,A)
【文献】 特開2004−062859(JP,A)
【文献】 特開2007−054495(JP,A)
【文献】 米国特許第6915252(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクライアントと接続され、
前記クライアントにデータを送信するデータ送信部と、
前記データのフォーマットを定義するフォーマットファイルを前記クライアントに送信するフォーマット送信部と、
前記フォーマットファイルを参照し、前記フォーマットファイルにおいて定義されるフォーマットと、送信対象のデータの実際のフォーマットが整合しているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記データ送信部は、送信対象のデータが前記フォーマットと整合していることを条件として前記データを前記クライアントに送信することを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
前記データ処理システムは、
前記データを生成する処理サーバと、
前記複数のクライアントと前記処理サーバを仲介する中継サーバと、を備え、
前記中継サーバに、前記データ送信部、前記フォーマット送信部および前記判定部の機能が集約されることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記フォーマットファイルは、選択型のデータについての選択可能項目を定義し、
前記判定部は、選択型のデータが前記選択可能項目に定義されていないときにデータ不整合を通知することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記フォーマットファイルは、数値型のデータについての設定可能範囲を定義し、
前記判定部は、数値型のデータが前記設定可能範囲から外れているときにデータ不整合を通知することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のデータ処理システム。
【請求項5】
複数の証券会社に共通の金融サービスを提供するために、各証券会社の業務システムと接続され、
証券会社の顧客情報ファイルを前記証券会社に送信するデータ送信部と、
前記顧客情報ファイルに含まれるデータのフォーマットを定義するフォーマットファイルを前記証券会社に送信するフォーマット送信部と、
前記フォーマットファイルを参照し、前記フォーマットファイルにおいて定義されるフォーマットと、前記顧客情報ファイルのデータの実際のフォーマットが整合しているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記データ送信部は、送信対象の顧客情報ファイルのデータが前記フォーマットと整合していることを条件として前記顧客情報ファイルを前記証券会社に送信することを特徴とするデータ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ・クライアント・システムにおいて、データをチェックするための技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
ASP(Application Service Provider)は、複数のユーザに対してネットワーク経由で各種サービスを提供する。ユーザは、通常、ウェブブラウザを介してASPのサービスを受ける。たとえば、クラウド・サービスも一種のASPであるといえる。
【0003】
証券業界でも、ASP型のサーバ・クライアント・システムを導入することが多い(たとえば、特許文献1参照)。証券業務サービスのASP(以下、単に「プロバイダ」とよぶ)が、株式取引、顧客情報管理、与信チェックなどをまとめてバックグラウンドで実行し、証券会社はプロバイダが提供する各種データに基づいて顧客にフロントエンドのサービスを提供するというビジネスモデルも可能である。各証券会社は基幹業務をプロバイダに委託できるので、業務システムを一から構築する必要はない。プロバイダにも、1つの業務システムで複数の証券会社に共通のサービスを提供できるという規模のメリットがある。
【0004】
証券会社はウェブサーバだけを設置して顧客へのユーザインタフェースだけを担当するというのがもっとも簡単なシステム構成である。この場合、証券会社は、顧客から入力されたデータの処理をすべてプロバイダに任せることができる。
【0005】
その一方、証券会社でもプロバイダの業務システム(以下、「基幹システム」とよぶ)を独自の業務システム(以下、「拡張システム」とよぶ)で拡張・補完することにより、独自のサービスを提供したいというニーズもある。この場合、プロバイダは、顧客情報などのデータファイルとともに、フォーマットファイルも証券会社に提供する。データファイルは、基幹システムのアウトプットである。フォーマットファイルは、データファイルに含まれるデータのフォーマットを定義する仕様書である。たとえば、顧客の投資経験が「なし」「3年未満」「3年以上」のいずれかから選ばれるものであるとき、このような選択肢を定義するのがフォーマットファイルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−38146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多様な証券業務に対応するため、プロバイダが構築する基幹システムは大規模なものになりやすい。大規模な基幹システムにおいては、複数の処理サーバにおいて実行される分散型のプログラムが頻繁に更新される。データのフォーマットも運用中に適宜変更される。たとえば、ソフトウェア・エンジニアが、投資経験について「なし」「3年未満」「3年以上10年未満」「10年以上」の4択に選択肢を設計変更したとする。このときには、フォーマットファイルの該当箇所も変更しなければならない。もし、フォーマットファイルの更新を忘れたり、あるいは、フォーマットファイルの更新を間違えると、あとで仕様(フォーマットファイル)がまちがっているのかアウトプット(データファイル)が間違っているのかわからなくなってしまう。特に、フォーマットファイルと整合しないデータファイルを証券会社に送ってしまうと、証券会社の拡張システムにまで影響を及ぼしてしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、業務システムにおいてデータとそのフォーマットの不整合を検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様のデータ処理システムは、複数のクライアントと接続され、クライアントにデータを送信するデータ送信部と、データのフォーマットを定義するフォーマットファイルをクライアントに送信するフォーマット送信部と、フォーマットファイルを参照し、データがフォーマットに整合しているか否かを判定する判定部と、を備える。
データ送信部は、送信対象のデータがフォーマットと整合していることを条件としてデータをクライアントに送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、業務システムにおいてフォーマットと整合しないデータの送信を抑止しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】プロバイダと証券会社の関係を示すハードウェア構成図である。
図2(a)】属性ファイルを示す図である。
図2(b)】取引ファイルを示す図である。
図3(a)】属性フォーマットファイルを示す図である。
図3(b)】取引フォーマットファイルを示す図である。
図4】中継サーバの機能ブロック図である。
図5】データファイルとフォーマットファイルの整合性チェック過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、プロバイダ100と証券会社102の関係を示すハードウェア構成図である。
プロバイダ100は、証券業務サービスのための基幹システム106を構築する。プロバイダ100は、インターネット108を介して複数の証券会社102a、102b、102c・・・と接続される。証券会社102(クライアント)は、インターネット108を介して、顧客のユーザ端末104と接続される。たとえば、証券会社102aは、ユーザ端末104a、104b、104c、104d・・・と接続される。
【0013】
証券会社102は、ウェブサーバを運用し、ウェブブラウザを介して顧客に証券サービスを提供する。基幹システム106は、複数の処理サーバ110a〜110fと、中継サーバ112(ゲートウェイ)を含む。ユーザ端末104から、顧客は各種情報を入力する。たとえば、顧客が株式取引を発注したとき、発注指示は、証券会社102からプロバイダ100に送られ、基幹システム106における1以上の処理サーバ110において株式取引プログラムにより処理され、処理結果は処理サーバ110f、中継サーバ112、証券会社102を介して、ユーザ端末104のウェブブラウザに提供する。
【0014】
証券会社102は、ユーザインタフェースのみを担当し、証券業務のための処理をすべて基幹システム106に委託してもよいし、独自の拡張システム114を構築してもよい。たとえば、証券会社102cは、キャンペーン期間中に100万円以上の株式取引をした顧客に対して株式手数料の割引きサービスをしたいとする。このときには、証券会社102cは、優遇対象者を選ぶ処理を拡張システム114により実行する。
【0015】
このような拡張システム114を構築するためには、基幹システム106のアウトプットであるデータファイルだけでなく、データのフォーマットを定義する仕様書としてのフォーマットファイルも必要である。そこで、本実施形態におけるプロバイダ100は、証券会社102からの求めに応じて、データファイルに加えてフォーマットファイルも証券会社102に提供することができる。データファイルとは、詳細は後述するが、たとえば、顧客の属性情報や取引情報など基幹システム106の処理過程で生成されるさまざまなアウトプット情報である。
【0016】
図2(a)は、属性ファイル116である。
属性ファイル116は、顧客属性を示すデータファイルである。属性ファイル116は、主として、顧客本人から入力された情報をまとめたものである。図2(a)の属性ファイル116には、名前:野村太郎、年収:600〜800万円、破産経験:なし、株式取引経験年数:5〜10年などの顧客属性データが登録されている。属性ファイル116は、顧客ごとに生成されてもよいし、複数の顧客属性をまとめた単一のデータファイルとして生成されてもよい。
【0017】
図2(b)は、取引ファイル118である。
取引ファイル118は、図2(a)に示した「野村太郎」についての株式取引情報を示すデータファイルである。取引ファイル118も顧客情報の一種である。図2(b)の取引ファイル118によると、2014年3月6日にA社株を100株、単価4,280円で購入し、2014年6月8日にB社株を10株、単価141,000円で購入していることがわかる。
【0018】
図3(a)は、属性フォーマットファイル120である。
図3(a)の属性フォーマットファイル120は、属性ファイル116のデータフォーマットを定義するフォーマットファイルである。属性フォーマットファイル120は、各データ項目についてタイプと入力条件を定義する。図3(a)の属性フォーマットファイル120では、
(1)名前:仮名文字で自由入力される。2〜15文字の範囲で入力可能。
(2)年収:「0〜100(万円)」から「3000(万円)以上」までの選択式。選択肢は10個。
(3)破産経験:「あり」と「なし」の二者択一。
(4)株式取引経験年数:「なし」から「10年以上」までの選択式。選択肢は5個。
のように定義されている。
たとえば、顧客が名前を登録するときに16文字以上を入力しても、基幹システム106はそのような名前を受け付けない。フォーマットファイルは、基幹システム106の仕様書であり、Excel(登録商標)によるドキュメントファイルとしてまとめられる。
【0019】
図3(b)は、取引フォーマットファイル122である。
図3(b)の取引フォーマットファイル122は、取引ファイル118のデータフォーマットを定義するフォーマットファイルである。取引フォーマットファイル122は、各データ項目についての入力条件が定義される。基幹システム106は、顧客からの入力にしたがって取引ファイル118を生成する。
【0020】
図3(b)の取引フォーマットファイル122によれば、取引の日付は2001年1月1日〜現在日時までが設定可能であり、この期間を外れるような入力は不正である。いいかえれば、この期間から外れる取引日時が取引ファイル118に登録されている場合、基幹システム106にエラーが発生している。銘柄はA社、B社・・・のように投資可能な銘柄が指定される。各銘柄について、最小取引単位が指定される。また、約定価格の範囲も指定される。たとえば、A社の場合、最近の取引価格からみて3000〜8000円の範囲から外れる約定価格は想定できず、この範囲からはずれるような約定価格となっている場合、なんらかの処理ミスが発生している可能性がある。株式売買方法は、現物買い、信用買い、現物売り、信用売りのいずれかである。
【0021】
属性ファイル116や取引ファイル118に含まれるデータの中にはフォーマットを頻繁に変更されるものも多い。データ項目の選択肢が変更されることもあるし、新しいデータ項目が追加されたり、あるいは既存のデータ項目が廃止されることもある。取引ファイル118についても、新しい企業が株式市場に上場されるたり、あるいは、上場廃止になったり、単位株が変わったりすることもある。基幹システム106をメンテナンスするソフトウェア・エンジニアは、状況に応じて基幹システム106のプログラムを適宜変更する。
【0022】
基幹システム106のシステム変更時に仕様書にあたるフォーマットファイルもきちんと更新していれば問題ない。しかし、フォーマットファイルの更新を忘れたり、あるいは、間違った変更をしてしまうとデータファイルとフォーマットファイルが不整合となってしまう。この場合には、フォーマットファイルが間違えているのか、それとも、フォーマットファイルが正しくて基幹システム106のプログラムが間違えているのかがわからなくなってしまう。したがって、フォーマットファイルをきちんとメンテナンスすることはもちろん、フォーマットファイルとデータファイルの不整合が生じたときには、これを早期に発見することも重要である。
【0023】
一般的には、属性ファイル116と属性フォーマットファイル120の不整合は、システム変更が属性フォーマットファイル120に正しく反映されていないときに発生しやすい。一方、取引ファイル118と取引フォーマットファイル122の不整合は基幹システム106のエラーに起因する可能性が高い。たとえば、取引ファイル118に1950年の取引履歴が登録されている場合、基幹システム106のエラーが疑われる。このような場合も、取引ファイル118を取引フォーマットファイル122に基づいてチェックすることにより、エラーを早期に発見できる。
【0024】
本実施形態においては、基幹システム106はデータファイルとともにフォーマットファイルも証券会社102に送信する。より具体的には、バッチ処理により、プロバイダ100から証券会社102に定期的にこれらのファイルが送信される。
【0025】
データファイルとフォーマットファイルが不整合であった場合、証券会社102の拡張システム114に混乱を及ぼす可能性がある。たとえば、顧客の名前の文字数が2〜15文字ではなく2〜20文字に設計変更され、属性ファイル116に18文字の名前が実際に登録されたとする。一方、属性フォーマットファイル120では名前の入力条件が2〜15文字のままできちんと更新されていないとする。基幹システム106は「2〜20文字」に対応できていても、属性フォーマットファイル120にその新仕様が反映されていないため、属性ファイル116と属性フォーマットファイル120は不整合である。
【0026】
あるいは、ある顧客の年収について「2000〜2500(万円)」と属性ファイル116(データファイル)では設定されているのに、属性フォーマットファイル120にはそのような選択項目が定義されていない場合にも、両者は整合しない。
【0027】
データファイルとフォーマットファイルが不整合となっていると、証券会社102はプロバイダ100から提供されるデータを安心して取り扱うことができない。
【0028】
そこで、本実施形態における基幹システム106は、データファイルとフォーマットファイルの整合性をチェックしてからデータファイルを送信することにより、このような問題に対処している。
【0029】
また、取引ファイル118において、株価が数千円オーダーのA社の約定価格が数万円オーダーとなっていた場合、基幹システム106にエラーが発生している可能性がある。取引フォーマットファイル122においては、A社の約定価格は3000円〜8000円という境界条件が設定されているので(図3(b)参照)、取引ファイル118と取引フォーマットファイル122の整合性をチェックすることにより、基幹システム106にエラーがあったとしても早期に発見できる。
【0030】
図4は、中継サーバ112の機能ブロック図である。
中継サーバ112の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0031】
本実施形態においては、データファイルとフォーマットファイルの整合性チェック機能はゲートウェイサーバである中継サーバ112に集約されている。中継サーバ112を追加するだけでチェック機能を追加できるため、既存の基幹システム106との親和性が高いというメリットがある。もちろん、チェック機能の全部または一部をいずれかの処理サーバ110が担ってもよい。
【0032】
中継サーバ112は、証券会社102や処理サーバ110との通信インタフェースとなる通信部124と、データファイルとフォーマットファイルの整合性をチェックする判定部126と、フォーマットファイルを格納するフォーマット格納部128と、データファイルを格納するデータ格納部130を含む。
【0033】
通信部124は、送信部132、受信部134および通知部136を含む。通知部136は、不整合検出時に基幹システム106の責任者や特定の処理サーバ110などに不整合の発見を通知する。責任者に電子メールによって通知してもよいし、処理サーバ110に所定のエラー情報を送信することで通知してもよい。
【0034】
送信部132は、データファイルを証券会社102に送信するデータ送信部138と、フォーマットファイルを証券会社102に送信するフォーマット送信部140を含む。受信部134は、処理サーバ110からデータファイルを取得するデータ受信部142と処理サーバ110からフォーマットファイルを取得するフォーマット受信部144を含む。
【0035】
判定部126は、データファイルとフォーマットファイルを送信する前に、両者が整合しているかをチェックする。不整合のときには通知部136はエラー通知する。また、データ送信部138は、不整合を検出したデータファイルを証券会社102には送信しない。
【0036】
図5は、データファイルとフォーマットファイルの整合性チェック過程を示すフローチャートである。
中継サーバ112は、バッチ処理により夜間の決められた時間に図5に示すチェック処理を実行する。データ受信部142は処理サーバ110からデータファイルを受信し(S10)、フォーマット受信部144は処理サーバ110からフォーマットファイルを受信する(S11)。データファイルはデータ格納部130に保存され、フォーマットファイルはフォーマット格納部128に保存される。
【0037】
次回送信対象となるデータファイルのうち、整合性チェックを未実行のデータファイルがあれば(S12のY)、判定部126はデータファイルを1つ選択し(S14)、対応するフォーマットファイルを参照して整合性をチェックする(S16)。すべてのデータの整合性を確認できれば(S18のY)、処理はS12に戻り次のデータファイルについてチェックする。不整合があれば(S18のN)、通知部136は不整合を通知し(S20)、判定部126はデータファイルを隔離する(S22)。隔離されたデータファイルは送信対象から外れる。
【0038】
次回送信対象となるデータファイルのすべてについて整合性チェックを実行すると(S12のN)、処理は終了し、整合性を確認できたデータファイルと対応するフォーマットファイルが所定時間にまとめて送信される。
【0039】
以上、実施形態に基づいて基幹システム106について説明した。
本実施形態によれば、基幹システム106が出力するデータをまとめたデータファイルとそのフォーマットを定義するフォーマットファイルを顧客企業である証券会社102に提供するときに両者の整合性を確認してから送信できる。このため、基幹システム106における実際のアウトプットであるデータファイルと、仕様書としてのフォーマットファイルが矛盾したまま外部に提供されるリスクを抑制できる。
【0040】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0041】
本実施形態においては、証券会社を対象としたASPサービスについて説明したが、本発明は証券業務に限らずさまざまなASPサービスへの応用が可能である。たとえば、ネット通販やチケット販売などのASPサービスが考えられる。
【符号の説明】
【0042】
100 プロバイダ、 102 証券会社、 104 ユーザ端末、 106 基幹システム、 108 インターネット、 110 処理サーバ、 112 中継サーバ、 114 拡張システム、 116 属性ファイル、 118 取引ファイル、 120 属性フォーマットファイル、 122 取引フォーマットファイル、 124 通信部、 126 判定部、 128 フォーマット格納部、 130 データ格納部、 132 送信部、 134 受信部、 136 通知部、 138 データ送信部、 140 フォーマット送信部、 142 データ受信部、 144 フォーマット受信部。
【要約】
【課題】業務システムにおいてデータとそのフォーマットの不整合を検出する。
【解決手段】プロバイダ100は複数の証券会社102(クライアント)と接続される。プロバイダ100において構成される基幹システム106は、証券会社102に対して、データとともにデータのフォーマットを定義するフォーマットファイルを送信する。送信前に、データがフォーマットに整合しているか否かを判定し、整合していることを条件としてデータを証券会社102に送信する。基幹システム106は、複数の処理サーバ110と中継サーバ112(ゲートウェイ)を含み、中継サーバ112が整合性チェック機能を担う。
【選択図】図1
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5