特許第5763838号(P5763838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5763838吸収性コアのバックシートへの接着を低減した使い捨ておむつ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763838
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】吸収性コアのバックシートへの接着を低減した使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20150723BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20150723BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A41B13/02 G
   A41B13/02 D
   A41B13/02 B
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-514522(P2014-514522)
(86)(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公表番号】特表2014-515973(P2014-515973A)
(43)【公表日】2014年7月7日
(86)【国際出願番号】US2012040714
(87)【国際公開番号】WO2012170341
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】11169528.4
(32)【優先日】2011年6月10日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100184170
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、コンラッド、ヒッペ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ、エーレンスペルガー
(72)【発明者】
【氏名】エゴン、ローフラー
(72)【発明者】
【氏名】エルネスト、ヘ.ビアンキ
(72)【発明者】
【氏名】カルシュテン、ハインリヒ、クロイツァー
(72)【発明者】
【氏名】ブランカ、アリッティ
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−208833(JP,A)
【文献】 特開2010−194124(JP,A)
【文献】 特開2009−232987(JP,A)
【文献】 特開平11−4853(JP,A)
【文献】 特開平11−128267(JP,A)
【文献】 特開2008−194160(JP,A)
【文献】 特表2010−529900(JP,A)
【文献】 特開2010−75462(JP,A)
【文献】 特開2001−46435(JP,A)
【文献】 特開2004−337385(JP,A)
【文献】 特開平11−33056(JP,A)
【文献】 特開2002−369841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックシート(20)と、トップシート(18)と、これらの間にある吸収性コア(14)と、を備えた使い捨ておむつであって、
前記吸収性コアは、長手方向軸線を有する長手方向と、それに垂直な横軸線を有する横方向と、を有しており、
前記吸収性コアは、前方領域と、後方領域と、これらの間の股部領域と、前方外側縁部と、反対側の後方外側縁部と、長手方向に延びる側方縁部と、を更に有しており、
前記吸収性コアは、超吸収性ポリマー粒子(66、74)を含んでおり、
前記超吸収性ポリマー粒子は、第一コア接着剤(94)により不動化されており、
前記吸収性コアは、5%未満のエアフェルトを含んでおり、
a)前記吸収性コアは、前記吸収性コアの前記前方外側縁部及び前記後方外側縁部に隣接する取り付け区域で当該使い捨ておむつのバックシートに取り付けられており;
且つ、
b)前記吸収性コアは、前記吸収性コアの前記股部領域において前記吸収性コアの長手方向側方縁部に隣接する取り付け区域で当該使い捨ておむつの前記バックシートに取り付けられている、使い捨ておむつ(10)。
【請求項2】
前記吸収性コアの前記前方外側縁部及び前記後方外側縁部に隣接する前記取り付け区域は、前記吸収性コアの角に設けられており、
前記吸収性コアの前記前方外側縁部及び前記後方外側縁部に隣接する残りの領域を、前記バックシートに接触されないままにしている、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記バックシートは、フィルムと、任意で1つ以上の不織布ウェブと、からなり、
フィルムと任意の不織布ウェブとを含む前記バックシートの坪量が、70g/m未満であり、
前記フィルムは、25g/m未満の坪量を有している、請求項1または2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記バックシートは、非弾性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記バックシートは、高度に非弾性である、請求項4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記吸収性コアは、少なくとも前記吸収性コアの前記前方領域及び前記股部領域において前記トップシートに取り付けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記吸収性コアの吸収性材料が、95%超の超吸収性ポリマー粒子を含んでいる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記吸収性コアは、第一及び第二支持基材(64、72)を含んでおり、
前記超吸収性ポリマー粒子は、前記第一支持基材と前記第二支持基材との間に設けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記第一コア接着剤は、ホットメルト接着剤である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項10】
前記吸収性コアは、超吸収性ポリマー粒子を含まない1つ以上のチャネルを含んでいる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項11】
前記1つ以上のチャネルは、前記取り付け区域以外の領域に設けられている、請求項10に記載の使い捨ておむつ。
【請求項12】
前記吸収性コアは、接着剤により前記バックシートに取り付けられている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項13】
前記接着剤は、ホットメルト接着剤である、請求項12に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤により不動化された超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアを有する使い捨ておむつに関する。吸収性コアは、透け及びバックシート上の引っ張り線の形成を低減するために、特定の取り付け区域のみにおいて、使い捨ておむつのバックシートに取り付けられる。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつにおいて超吸収性ポリマーを使用することは、よく知られている。超吸収性ポリマー材料の使用は、特に使い捨ておむつが乾燥状態にあるとき、綿毛状パルプどの吸収性材料の使用と対比して、より薄い吸収性コアを有する使い捨ておむつを可能にする。
【0003】
今日、市販されているほとんどの使い捨ておむつは、依然として、いわゆるエアフェルト(セルロース繊維)と超吸収性ポリマー粒子の混合物を含有する吸収性コアを有する。吸収性コアにより含まれるセルロース繊維は、通常、セルロース繊維が粒子に、粒子がセルロース繊維の間に捕捉されるように、絡むので、適所に超吸収性ポリマー粒子を保持する。これは通常、粒子がセルロース繊維の間の間隙内を移動するある程度の自由を依然として有し得るので、超吸収性ポリマー粒子の完全な不動化をもたらさない。しかしながら、超吸収性ポリマー粒子は、十分に満足できる程度に所望の位置に保持される。
【0004】
多量の超吸収性ポリマー粒子の使用は、より薄い吸収性コアを可能にするので、望ましい。しかしながら、多量の超吸収性ポリマー粒子を有し、エアフェルトをほとんど又は全く有さない吸収性コアにおいて、超吸収性ポリマー粒子は、超吸収性ポリマー粒子のセルロース繊維に対する比率が過度に高いので、もはやセルロース繊維間の間隙内の適所に保持することができない。それゆえに、非常に多量の超吸収性ポリマー粒子(例えば、>80%)を有する吸収性コアにおいて、粒子は、何らかの他の手段により不動化されなければならない。不動化を促進する1つの方法は、ホットメルト接着剤のような接着剤の使用である。ホットメルト接着剤は、吸収性コア内の微細な繊維状ネットワークとして適用され得る。更に、高い百分率の超吸収性ポリマー材料を有し、エアフェルトをほとんど又は全く有さない吸収性コアにおいて、超吸収性ポリマー材料は、多くの場合、支持基材の間に挟まれる。支持基材は、典型的には、不織布ウェブである。
【0005】
ホットメルト接着剤により不動化された比較的多量の超吸収性ポリマー粒子を有し、エアフェルトをほとんど又は全く有さない吸収性コアは、間隙をほとんど〜全く有さない(例えば、セルロース繊維間に設けられたもの)。それゆえに、超吸収性ポリマー粒子が液体吸収時に膨張できる吸収性コア内には利用可能な「自由空間」は存在しない。これらの吸収性コアにおいて、超吸収性ポリマー粒子は、膨潤時に特定の力を不織布ウェブ上に及ぼし、不織布ウェブは典型的には、超吸収性ポリマー粒子を包み込み、包含する。結果として、不織布ウェブはまた、吸収性コア内で超吸収性ポリマー粒子を膨潤することにより必要とされる空間を供給するように、伸びる。
【0006】
伸びた、そして幾分ゆがんだ吸収性コアは、着用者に取り付けられている使い捨ておむつに組み込まれると、バックシートのゆがんだ外観をもたらし、例えば、引っ張り線又はしわの形成を導くことになることが判明している。このようなピンと張った外観は、使い捨ておむつの全体の質について、特に容量について、着用者による心配、あるいは、着用者が赤ちゃん又は幼児である場合には保護者による心配を生じる恐れがある。ピンと張った外観は、実際にはかなりの量の吸収容量が依然として利用可能であっても、使い捨ておむつがその最大負荷に到達し、交換する必要があるという暗示として受容される恐れがある。保護者又は着用者は、それゆえに、吸収性コアが尿の更なる噴出を吸収する容量を依然として有し得るにもかかわらず、おむつを交換しようとし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに、特に着用者に取り付けられているとき、液体が部分的にのみ充填されている場合に、バックシートがゆがんだ外観を有さない多量の超吸収性ポリマー粒子を有するが、エアフェルトをほとんど〜全く有さない吸収性コアを備えた使い捨ておむつに対する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、バックシートと、トップシートと、これらの間にある吸収性コアと、を含む使い捨ておむつに関する。吸収性コアは、長手方向軸線を有する長手方向と、それに垂直な横軸線を有する横方向と、を有し、吸収性コアは、前方領域と、後方領域と、これらの間の股部領域と、前方外側縁部と、反対側の後方外側縁部と、長手方向に延びる側縁部と、を更に有する。
【0009】
吸収性コアは、超吸収性ポリマー粒子を含み、これは、第一コア接着剤により不動化される。吸収性コアは、以下のオプションのうちの1つに従ってバックシートに取り付けられる:
吸収性コアは、吸収性コアの前方外側縁部及び後方外側縁部に隣接する取り付け区域で使い捨ておむつのバックシートに取り付けられ、吸収性コアはその他の領域ではバックシートに取り付けられない;あるいは、
吸収性コアは、吸収性コアの股部領域において吸収性コアの長手方向軸線上の又は長手方向軸線に隣接する1つ以上の取り付け区域で使い捨ておむつのバックシートに取り付けられ、1つ以上の取り付け区域は、吸収性コアの総表面積の0.2%〜3%を被覆し、吸収性コアはその他の領域ではバックシートに取り付けられない;あるいは、
吸収性コアは、吸収性コアの股部領域において吸収性コアの長手方向側縁部に隣接する取り付け区域で使い捨ておむつのバックシートに取り付けられ、吸収性コアはその他の領域ではバックシートに取り付けられない;あるいは、
吸収性コアは、a)〜c)の取り付け区域のいずれかの組み合わせで使い捨ておむつのバックシートに取り付けられ、吸収性コアはその他の領域ではバックシートに取り付けられない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による使い捨ておむつの概略を描いた平面図。
図2図1に示される使い捨ておむつの、図1の切断線2−2に沿って取った断面図。
図3】本発明の一実施形態による吸収性コア層の概略部分断面図。
図4】本発明の一実施形態による吸収性コアの概略部分断面図。
図5】本発明の一実施形態による吸収性コアの概略部分断面図。
図6】バックシートの透けを可視化するための試験方法を実施するのに好適なシステムの概略部分断面図。
図7】バックシートの透けを可視化するための試験方法を実施するための装置撮像システムを描く概略図。
図8】バックシートの透けを可視化するための試験方法において使用されるおもりの概略図(正面図)。
図9】バックシートの透けを可視化するための試験方法において使用されるおもりの概略図(側面図)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
「吸収性コア」は、使い捨ておむつにより受容される液体を吸収して含有するために、使い捨ておむつのトップシートとバックシートの間に配置される構造を意味する。
【0012】
本明細書で使用される「エアフェルト」は、セルロース繊維(吸収性繊維)の形態を有する粉砕木材パルプを指す。
【0013】
「おむつ」は、幼児及び失禁症状のある人が着用者の腰部及び脚部を取り巻くように、胴体下部の周りに一般に着用し、具体的には、尿及び糞便を受容し及び封じ込めるように適合された吸収性物品を指す。本発明においては、用語「おむつ」は、「パンツ型おむつ(diaper pants)」を包含するものと考えられる。
【0014】
「パンツ型おむつ」は、本明細書で使用するとき、乳幼児又は成人の着用者に合わせて設計されているウエスト開口部及び脚部開口部を備えている使い捨て衣類を指す。パンツ型おむつは、着用者の脚を脚部開口部に挿入し、パンツを着用者の胴体下部の周囲の位置にまで滑らせることによって着用者の所定位置に配置されてよい。パンツ型おむつは、再び取り付け可能な及び/又は再び取り付け不可能な接着(例えば、縫い目、溶接、接着剤、粘着接着、締め具など)を用いて、物品の一部分を共に接合することが挙げられるが、これらに限定されない、いずれかの好適な技術により予備成形されてもよい。パンツ型おむつは、物品の周囲に沿った任意の場所に予備成形されてもよい(例えば、側面固定、前部ウエスト固定)。用語「パンツ型おむつ」はまた一般に、「事前締着型おむつ」、「プルオンおむつ」、「トレーニングパンツ」及び「パンツ」とも呼ばれる。
【0015】
「使い捨て」は、通常の意味では、様々な期間にわたって限定された使用回数、例えば、10回未満、5回未満、又は2回未満の後に、処分される又は廃棄される物品を意味するのに使用される。使い捨て吸収性物品は、ほとんどの場合、1回使用後廃棄される。
【0016】
本明細書で使用するとき、「ホットメルト接着剤」は、「Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction」(Alphonsus V.Pocius,Hanser publishers Munich,1997)に与えられている説明と一致する接着剤を指す。そこでは、ホットメルトは、溶解物から適用され、凝固で強度を得る接着剤として定義されている。
【0017】
本明細書で使用するとき、「非弾性」は、以下の試験にかけた場合に、20%超回復しないバックシートを指す:
幅2.54cm及び長さ25.4cmを有するバックシート材料の矩形切片(例えば、フィルム又は不織布、あるいは、バックシートがフィルム及び不織布ウェブの両方の材料を含む場合にはバックシート材料として使用される構成においてこれらの材料はどちらも一緒に)が、切片を幅2.54cmのその上方縁部に沿ってその全幅に沿って保持することにより、垂直に維持される。材料の全幅に沿って、反対側の下方縁部上に10Nの力を25℃で1分間、適用する。
【0018】
1分後すぐに、切片の長さが測定され、その間、力は依然として適用されており、伸張の程度は、1分後に測定された長さから、最初の長さ(254mm(10インチ))を減算することによって計算される。
【0019】
矩形切片の長さが測定された直後に、力を除去し、切片を机の上に下ろして5分にわたって(25℃にて)平坦に置いて回復させる。5分後すぐに、切片の長さが再び測定され、伸張の程度は、5分後に測定された長さから、最初の長さ(25.4cm)を減算することによって計算される。
【0020】
力が適用されたままでの1分後の伸張は、5分間テーブル上で切片が平坦に置かれた後の伸張と比較される。伸張が20%超回復しない場合、材料又は要素は「非弾性」であると見なされる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「高度に非弾性」は、「伸張不可能」であるか、又は、「非弾性」について上述した試験にかけると10%超回復しない材料又は要素を指す。
【0022】
「不織布ウェブ」は、一方向に又は不規則に配向され、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により固着された繊維の、人造シート又はウェブであるが、紙と、縫うかどうかを問わず、織られた、編まれた、房状の、糸若しくはフィラメントの結合を組み込んでステッチボンドされた、又は湿式ミリングによるフェルト加工された製品と、を除く。繊維は天然のものでも人工のものでもよく、ステープル又は連続フィラメントであってもよく、あるいはその場で形成することもできる。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mmを超える範囲の直径を有し、短繊維(ステープル又はチョップドとして知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、未撚連続フィラメント束、及び連続フィラメントの撚糸束(ヤーン)などの、いくつかの異なる形態で提供される。不織布ウェブは、メルトブロー、スパンボンド、溶媒紡糸、電界紡糸、カード及びエアレイなどの多くのプロセスにより形成され得る。不織布ウェブは、熱及び/又は圧力により接合され得る、あるいは、接着剤により接合され得る。接合は、不織布ウェブの特定の領域に限定され得る(点接合)。不織布ウェブはまた、水流交絡不織布又はニードルパンチ不織布であり得る。不織布ウェブの坪量は、通常、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表される。
【0023】
本明細書で使用するとき、「超吸収性ポリマー粒子」は、遠心分離保持容量試験(Edana 441.2−01)を使用して測定したときに、0.9%食塩水溶液をその重量の少なくとも5倍吸収できる実質的に非水溶性ポリマー粒子を指す。「超吸収性粒子状ポリマー粒子」は、乾燥状態で流動性を有するように微粒子状形態である吸収性ポリマー材料を指す。
【0024】
使い捨ておむつ
図1は、本発明の所定の実施形態による使い捨ておむつ10の平面図である。使い捨ておむつ10は、平らに広げた非収縮状態(すなわち、弾性により引き起こされた収縮のない状態)で示されており、使い捨ておむつ10の部分は、使い捨ておむつ10の下層構造をより明確に示すために切り取られている。着用者に接触するおむつ10の部分は、図1において見る者の方を向いている。使い捨ておむつ10は、一般に、シャーシ12と、シャーシ12に配置された吸収性コア14と、を含み得る。
【0025】
図1の使い捨ておむつ10のシャーシ12は、使い捨ておむつ10の本体を含む。シャーシ12は、液体透過性であり得るトップシート18、及び/又は液体不透過性であり得るバックシート20を包含する外側カバー16を含んでもよい。吸収性コア14は、トップシート18とバックシート20との間に入れることができる。シャーシ12は、サイドパネル22、弾性レッグカフ24、及び弾性ウエスト機構26を更に含んでもよい。
【0026】
レッグカフ24及び弾性ウエスト機構26はそれぞれ典型的には、弾性ストランドのような弾性部材28を含み得る。使い捨ておむつ10の一方の末端部は、使い捨ておむつ10の前方腰部領域30として構成されている。使い捨ておむつ10の反対側の末端部は、使い捨ておむつ10の後方腰部領域32として構成されている。使い捨ておむつ10の中間部は、第一腰部領域30と第二腰部領域32の間で長手方向に延びる股部領域34として構成される。腰部領域30及び32は、着用者の腰部の周りでギャザーを寄せて改善されたフィット性及び封入性をもたらすように、弾性要素を包含してもよい(弾性腰部機構26)。股部領域34は、使い捨ておむつ10が着用されたとき、一般的に着用者の脚の間に配置される、使い捨ておむつ10の部分である。
【0027】
使い捨ておむつ10は、その長手方向軸線36及び横方向軸線38と共に図1に図示されている。使い捨ておむつ10の周辺部40は、使い捨ておむつ10の外側縁部によって画定され、ここでは長手方向縁部42は、使い捨ておむつ10の長手方向軸線36に対して略平行に走り、末端縁部44は、使い捨ておむつ10の横方向軸線38に対して略平行に長手方向縁部42の間を走る。使い捨ておむつ20はまた、フィット感、密閉性、美的特徴を向上させるための前方及び後方イヤーパネル、腰部キャップ機構、伸縮材などの当技術分野では既知の他の機構を含んでもよい。
【0028】
使い捨ておむつ10を着用者の周囲の定位置に保持するため、第一腰部領域30の少なくとも一部を、締結部材46により第二腰部領域32の少なくとも一部に取り付けることによって、脚部開口部及び物品腰部を形成することができる。これを目的として、所定の実施形態によれば、使い捨ておむつ10は再閉鎖可能な締結システムを備えてもよく、あるいは使い捨てパンツ型おむつの形態で提供されてもよい。吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつを着用者に固定するために、シャーシに接合した再閉止可能な締結システムを含むことが可能である。締結システムは、少なくとも1つの締結部材46と、少なくとも1つのランディングゾーン48とを含み得る。吸収性物品が使い捨てパンツ型おむつである場合、物品は、2つの側部パネルを腰部領域30、32それぞれに含んでもよく、この側部パネルは、長手方向軸線36の方に向いた側部パネルの長手方向縁部に沿ってシャーシに連結されている。前方腰部領域30の側部パネルは、更に、長手方向軸線36の反対方向に向いた側部パネルの長手方向縁部に沿って、後方腰部領域32のそれぞれの側部パネルに連結されて、パンツを形成する。
【0029】
図1の切断線2−2に沿った図1の断面が図2に示されている:着用者に面している側から始めると、使い捨ておむつ10は、トップシート18と、吸収性コア14の構成要素と、バックシート20と、を含み得る。使い捨ておむつ10はまた、液体透過性トップシート18と、吸収性コア14の着用者に面する側との間に配置された捕捉システム50を含んでもよい。捕捉システム50は、吸収性コアと直接接触していてよい。
【0030】
捕捉システム50は、単一層から構成されてもよく、又は着用者に面する上部捕捉層及び着用者の衣類に面する下部捕捉層などの多層(図示されず)から構成されてもよい。所定の実施形態によると、捕捉システム50は、尿の噴出など、急増する液体を受け取るように機能してもよい。換言すれば、捕捉システム50は、吸収性コア14が液体を吸収できるまで液体の一時的リザーバとしての機能を果たしてもよい。
【0031】
所定の実施形態では、捕捉システム50は、化学的に架橋されたセルロース繊維及び/又は不織布ウェブを含んでもよい。
【0032】
吸収性コア
本発明の吸収性コアは、長手方向軸線を有する長手方向と、それに垂直な横軸線を有する横方向と、を有する。この長手方向軸線は使い捨ておむつの長手方向軸線に実質的に平行であり、この横方向は使い捨ておむつの横軸線に実質的に平行である。吸収性コアは、前方領域と、後方領域と、これらの間の股部領域と、前方外側縁部と、反対側の後方外側縁部と、長手方向に延びる側縁部と、を更に有する。吸収性コアは、第一の下方の支持基材と、第二の上方の支持基材と、第一支持基材上に又は第一支持基材と第二支持基材の間に配置された超吸収性ポリマー粒子と、を含んでもよい。超吸収性ポリマー粒子は、第一コア接着剤により不動化される。
【0033】
吸収性コアの前方区域は、吸収性コアの前方縁部から長手方向軸線に沿って股部領域に向かって延びる吸収性コアの1/3を表す。前方区域は、使い捨ておむつの前方縁部に向かって配置される。後方区域は、後方縁部から長手方向軸線に沿って股部領域に向かって延びる吸収性コアの1/3を表す。後方区域は、使い捨ておむつの後方縁部に向かって配置される。股部区域は、吸収性コアの残っている1/3を表し、前方区域と後方区域の間に延びる。吸収性コアの完全長は、吸収性コアの長手方向軸線に沿った又は平行な吸収性コアの最大伸長として定義される。本発明の吸収性コアは、矩形であり得る。
【0034】
一実施形態では、積層体吸収性コアの股部領域は、吸収性コアの前方及び後方領域よりも狭い幅を有し、一方、吸収性コアの前方及び後方縁部は依然として直線を形成する。
【0035】
一実施形態では、超吸収性ポリマー粒子66は第一支持基材64上に配置され、第一コア接着剤94は超吸収性ポリマー粒子66上に配置される。典型的には、第一コア接着剤94は、ホットメルト接着剤である。一実施形態では、第一コア接着剤94は、繊維性層を形成し、これは、超吸収性ポリマー粒子66と少なくとも部分的に接触しており、第一支持基材64と部分的に接触している。第二コア接着剤(図示されず)は、第一支持基材64に対する超吸収性ポリマー粒子66及び/又は第一コア接着剤94の接着を増強するために超吸収性ポリマー粒子66を適用する前に第一支持基材64上に付着させてもよい。
【0036】
第一支持基材64は、超吸収性ポリマー粒子66及び第一コア接着剤94が適用された後に第一支持基材64が超吸収性ポリマー粒子66と共にそれ自身の上に折り畳まれ、第一コア接着剤94が内側を向き、第一支持基材64が超吸収性ポリマー粒子66及び第一コア接着剤94を包囲するように、寸法決定され得る。折り畳まれる第一支持基材64の領域は、折り畳む前には超吸収性ポリマー粒子66及び第一コア接着剤94を有さなくてもよい。あるいは、折り畳まれる第一支持基材64の領域はまた、超吸収性ポリマー粒子66の2層が互いに上重ねされ、第一コア接着剤が2層の超吸収性ポリマー粒子の間に挟まれるように、超吸収性ポリマー粒子66と第一コア接着剤とを含んでもよい。超吸収性ポリマー粒子66は、下記に詳述されるようなランド領域92と接合領域96を形成するように、クラスターで適用され得る。また、第一コア接着剤94は、第一支持基材64が折り畳まれる領域のみに適用されてもよい。折り畳むと、第一コア接着剤94はまた、折り畳まれない領域の超吸収性ポリマー粒子66と接触するようになり、これにより、この領域の超吸収性ポリマー粒子66を不動化する。
【0037】
第一支持基材64を折り畳む代わりに、吸収性コア14はまた、第二支持基材72を含んでもよい。更に別の実施形態では、吸収性コアは、第二支持基材を含まない。この実施形態では、吸収性コア14の上に配置される使い捨ておむつ10の構成要素は、超吸収性ポリマー粒子66と第一コア接着剤94に直接接触する。
【0038】
第一支持基材64は使い捨ておむつ10の使用時に着用者の衣類に面し、任意選択の第二支持基材72は使い捨ておむつの使用時に着用者に面する。任意選択の第二基材72は、不織布ウェブであってもよく、あるいは、代替的にティッシュであってもよい。第一基材64は、不織布ウェブであってもよく、あるいは、代替的にティッシュ又はフィルムであってもよい。第一支持基材64及び第二支持基材72は、同じ材料から作製されてもよく、あるいは、異なる材料から作製されてもよい。第一支持基材64及び第二支持基材72がどちらも不織布ウェブである実施形態では、これらの不織布ウェブは同じ不織布ウェブであってもよく、あるいは、これらは例えば、坪量、親水性、空気透過性、又は、不織布ウェブにより構成される層の数及び/若しくはタイプに関して互いに異なっていてもよい。層のタイプは、スパンボンド層又はメルトブローン層であり得る。不織布ウェブはまた、ステープルファイバーから作製された毛羽立ったウェブであってもよく、あるいは、バインダー材料を含まなくてもよい。不織布ウェブはまた、水流交絡不織布又はニードルパンチ不織布であり得る。
【0039】
吸収性コア14は、エアフェルトを実質的に含まなくてもよい。吸収性コア14は、典型的には5重量%未満のエアフェルトを含み、より典型的には2重量%未満のエアフェルトを含み、最も典型的にはエアフェルトを含まない。吸収性コアは、使い捨ておむつ10の捕捉システム50、トップシート18、又はバックシート20を含まない。一実施形態では、吸収性コア14は、第一支持基材64と、任意選択の第二支持基材72と、超吸収性ポリマー粒子66と、第一コア接着剤94と、任意選択の第二コア接着剤と、から本質的になる。この点において「〜から本質的になる」は、これらの構成要素が吸収性コアの少なくとも98重量%、好ましくは99重量%を構成することを意味する。
【0040】
超吸収性ポリマー粒子66は、吸収性コア14の超吸収性ポリマー粒子領域内に実質的に連続して分散され得る。本明細書で使用するとき、「超吸収性ポリマー粒子領域」は、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性コアの(着用者に面する表面上の)領域を指す。任意選択の第二支持部材72の縁部に第一支持基材64の縁部を取り付けるのを可能にするために、吸収性コアの、長手方向側縁部に隣接する領域及び前方及び後方縁部に隣接する領域は、超吸収性ポリマー粒子を含まなくてもよい(あるいは、第二支持基材64が存在しない場合には、第一支持基材の縁部は、捕捉システム50の層のような吸収性コア14の上の層に取り付けられ得る)。また、吸収性コア14は、チャネル、すなわち、超吸収性ポリマー粒子66を実質的に含まない領域を含んでもよく、チャネルは吸収性コア14の縁部に隣接して設けられていないが、一部の他の位置には設けられている。本明細書で使用するとき、「超吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない」は、例えば、プロセスに関連する理由により、小さな、無視できる量の超吸収性ポリマー粒子が間隙に存在し得るが、これは全体の機能性に寄与しないことを意味する。用語「超吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない」は、「超吸収性ポリマー粒子を含まない」を包含する。しかしながら、本発明について、「超吸収性ポリマー粒子領域」は、吸収性コアの表面積の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%又は少なくとも90%を含む。
【0041】
本明細書で使用するとき、「実質的に連続して分散される」は、超吸収性ポリマー粒子内に第一支持基材64と任意選択の第二支持基材72(又は第一支持基材と、捕捉システム50の層のような着用者に向かって吸収性コア14の上に設けられる層)が、多数の超吸収性ポリマー粒子66により分離されることを意味する。超吸収性ポリマー粒子領域内には第一支持基材64と第二支持基材72(あるいは、第一支持基材64と、捕捉システム50のような着用者に向かって吸収性コア14の上に設けられる構成要素)の間の小さな付随接触領域が存在し得ることが理解される。このような付随接触領域は、意図せざる製造時の人為的結果に起因する。
【0042】
本発明の吸収性コアは、2層を含み得る又は2層から構成され得る。第一吸収性コア層60が、図3に示される。図4は、第一吸収性コア層60と第二吸収性コア層62が組み合わされて吸収性コア14を形成する吸収性コアの実施形態を示す。図5は、1層のみから構成される吸収性コアの実施形態を示す。
【0043】
第一吸収性コア層及び第二吸収性コア層を有する実施形態では、第一吸収性コア層60は、第一支持基材64と、超吸収性ポリマー粒子66の第一層と、を含んでもよく、超吸収性ポリマー粒子66は、第一コア接着剤94により不動化される。場合により、第一吸収性コア層60は、第二コア接着剤(図示されず)を含んでもよい。第二コア接着剤は、第一支持基材64に対する超吸収性ポリマー粒子66及び/又は第一コア接着剤94の接着を増強するために超吸収性ポリマー粒子66を適用する前に第一支持基材64上に付着させてもよい。第一コア接着剤94は、好ましくは繊維性ネットワークが形成されるように、繊維性層として超吸収性ポリマー粒子層の上に適用され得る。
【0044】
このような実施形態の第二吸収性コア層62は、第二支持基材72と、超吸収性ポリマー粒子66の第二層と、を含み、超吸収性ポリマー粒子66は、第一コア接着剤94により不動化され得る。場合により、第二吸収性コア層62は、第二コア接着剤(図示されず)を含んでもよい。第二コア接着剤は、第二支持基材72に対する超吸収性ポリマー粒子66及び/又は第一コア接着剤94の接着を増強するために超吸収性ポリマー粒子66を適用する前に第二支持基材72上に付着させてもよい。第一コア接着剤94は、好ましくは繊維性ネットワークが形成されるように、繊維性層として超吸収性ポリマー粒子層の上に適用され得る。
【0045】
いったん第一吸収性コア層60及び第二吸収性コア層62が形成されてから、これらの2つの吸収性コア層は、外側を向くこれらに対応する支持基材64、72と組み合わされ、これらの間に超吸収性ポリマー粒子66を挟んで吸収性コア14を形成する。
【0046】
一実施形態では、ティッシュ又は不織布ウェブといった更なる基材(図示されず)が、第一吸収性コア層と第二吸収性コア層の間に配置される。しかしながら、このような基材が第一吸収性コア層と第二吸収性コア層の間に配置されず、超吸収性ポリマー粒子の第一層が超吸収性ポリマー粒子の第二層から第一コア接着剤の繊維性層のみで分離されることが好ましい。
【0047】
図3は、単一吸収性コア層を示す。超吸収性ポリマー粒子66は、第一支持基材64上の、粒子のクラスター90の中に配置され、ランド領域92と、ランド領域94の間の接合領域96と、を含む。ランド領域94において、第一コア接着剤94は第一支持基材64又は任意選択の第二コア接着剤とは直接接触せず、接合領域96は、第一コア接着剤94が第一支持基材64又は任意選択の第二コア接着剤と直接接触する領域である。接合領域96は、超吸収性ポリマー材料66をほとんど又は全く含有しない。ランド領域94及び接合領域96は、様々な形状を有することができ、それには円形、楕円形、正方形、長方形、三角形などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
繊維性層として第一コア接着剤94を適用することにより、第一コア接着剤94は超吸収性ポリマー粒子66と絡み合い、これにより、粒子を不動化する。更なる態様では、第一コア接着剤94は、支持基材64に接合し、これにより、超吸収性ポリマー粒子66を支持基材64に固定する。別の実施形態では、第一コア接着剤68はまた、ある程度まで支持基材64の中に侵入することができ、これにより、更なる不動化及び固定をもたらす。
【0049】
既に上述したように、第一支持基材64及び第二支持基材72は接着剤で周囲にわたって接着されて、超吸収性ポリマー粒子66の周りに包膜を形成して、吸収性コア14内に超吸収性ポリマー粒子66を保持することができる。
【0050】
図4において最も分かりやすいように、第一吸収性コア層60と第二吸収性コア層62は、組み合わされて、吸収性コア14を形成する。
【0051】
第一吸収性コア層60及び第二吸収性コア層62は、一緒に組み合わされて、吸収性コア14を形成し、これらの吸収性コア層は、組み合わされた第一支持基材64上の超吸収性ポリマー粒子66と第二支持基材72上の超吸収性ポリマー粒子66が超吸収性ポリマー粒子領域全体にわたって実質的に連続して分散されるように、オフセットされてもよい。所定の実施形態では、超吸収性ポリマー粒子66は、超吸収性ポリマー粒子領域全体にわたって実質的に連続して分散され、一方、それぞれの第一及び第二吸収性コア層単独の超吸収性ポリマー粒子66は、クラスター90において第一支持基材64及び第二支持基材72全体にわたって不連続に分散される。所定の実施形態では、吸収性コア層は、第一吸収性コア層60のランド領域92が第二吸収性コア層62の接合領域96に面し、第二吸収性コア層62のランド領域92が第一吸収性コア層60の接合領域96に面するように、オフセットされてもよい。ランド領域92及び接合領域96が適切にサイズ決定及び配置されると、得られる超吸収性ポリマー粒子66の組み合わせは、吸収性コア14の超吸収性ポリマー粒子領域全体にわたって実質的に連続する層の超吸収性ポリマーである。
【0052】
本発明によると、超吸収性ポリマー粒子は、典型的には吸収性コアの約85重量%超、又は吸収性コアの約90重量%超、又は吸収性コアの約95重量%超の量で存在する。また、超吸収性ポリマー粒子は、吸収性コアにより含まれる吸収性材料の95%超で存在し得る。吸収性コアは、5%未満のエアフェルト(すなわち、セルロース繊維)を含み得る。典型的な吸収性材料は、超吸収性ポリマー粒子、エアフェルト(すなわち、セルロース繊維)及びそれほど使用されないが吸収性発泡体である。典型的には、吸収性コアは、50g/m〜2200g/m、100g/m〜1500g/m、又は更には200g/m〜1200g/mの超吸収性ポリマー粒子を含む。
【0053】
本発明によれば、超吸収性ポリマー粒子の量は、吸収性コアの長さに沿って変わってもよく又は変わらなくてもよく、典型的には吸収性コアはその長さ方向でプロファイル化される。使い捨ておむつに関して、液体の排出は、主に使い捨ておむつの前方半分において生じることが判明した。したがって、吸収性コア14の前方半分が、吸収性コアの吸収容量の大部分を含む必要がある。それゆえに、吸収性コア14の前方半分は、吸収性コアにより含まれる超吸収性ポリマー粒子の総量の約60重量%超、又は約65重量%超、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は90重量%の超吸収性ポリマー粒子を含み得る。
【0054】
典型的には、第一コア接着剤は、乾燥及びぬれた状態の両方において超吸収性ポリマー粒子を少なくとも部分的に不動化するのに貢献し得る。第一コア接着剤は、超吸収性ポリマー粒子間の吸収性粒子状ポリマー粒子内に本質的に均一に配置することができる。しかしながら、典型的には第一コア接着剤94は、超吸収性ポリマー粒子66と少なくとも部分的に接触し、かつ第一支持部材64及び存在する場合には任意選択の支持部材72と部分的に接触する繊維性層として提供され得る。典型的には、第一コア接着剤94は、各吸収性コア層の超吸収性ポリマー粒子66上に繊維性ネットワークを形成する。例えば、図4に示されているように、超吸収性ポリマー粒子66は、不連続性層として提供されてもよく、第一コア接着剤94の層は、第一コア接着剤94が超吸収性ポリマー粒子66と直接接触するが、吸収性コア14の超吸収性ポリマー粒子66に面する支持基材64及び72の表面80及び84とも、支持基材64、72が超吸収性ポリマー粒子66により覆われない位置で直接接触するように、超吸収性ポリマー粒子66及び74の層の上に配置される。これにより、第一コア接着剤94の繊維性層に本質的に三次元の構造が与えられるが、それ自体は、長さ及び幅方向の寸法と比較すれば基本的に比較的厚みの小さい二次元的構造である。つまり、第一コア接着剤94は、超吸収性ポリマー粒子66と、吸収性コア14の超吸収性ポリマー粒子に面する支持基材64及び72の表面80、84との間で波状になる。
【0055】
第一コア接着剤94は、空隙を提供して超吸収性ポリマー粒子を覆い、これにより、この材料を不動化する。更なる態様では、第一コア接着剤は、支持基材に接合し、これにより、超吸収性ポリマー粒子を支持基材に固定する。もちろん、本明細書に開示されている第一コア接着剤は湿潤不動化(すなわち、使い捨ておむつ及びそれゆえに吸収性コアが少なくとも部分的にぬれている時の超吸収性ポリマー粒子の不動化)の改善をもたらすが、これらの第一コア接着剤はまた、吸収性コアが乾燥している時も超吸収性ポリマー粒子の良好な不動化をもたらすことができる。
【0056】
超吸収性ポリマー粒子
超吸収性ポリマー粒子は、数多くの形状を有し得る。用語「粒子」は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態のことを指す。例えば、粒子は、約10μm〜約1000μm、好ましくは約100μm〜約1000μm、更により好ましくは約150μm〜約850μm、及び最も好ましくは約150μm〜約500μmの粒径を有するビーズ又は顆粒の形態であり得る。別の実施形態では、超吸収性ポリマー粒子は、繊維、すなわち、伸びた針状の超吸収性ポリマー粒子の形状であり得る。これらの実施形態では、超吸収性ポリマー繊維は、約1mm未満、普通は約500μm未満、好ましくは250μm未満から50μmまでの小さい寸法(すなわち、繊維の直径)を有する。繊維の長さは、好ましくは約3mm〜約100mmである。繊維はまた、織ることのできる長いフィラメントの形態であってもよい。
【0057】
本発明の好ましい超吸収性ポリマー粒子は、球類似粒子である。本発明によれば、繊維とは対照的に「球類似粒子」は、最長の最短粒子寸法に対する粒子比が1〜5の範囲である最長及び最短寸法を有し、ここで値1は完全な球状粒子と同等であると見なされ、5はこのような球状粒子からの若干のずれを考慮したものである。
【0058】
本発明で有用な超吸収性ポリマー粒子材料としては、大量の流体を吸収できる非水溶性であるが水膨潤性の多様なポリマーが挙げられる。このようなポリマー材料は、一般的に当該技術分野において既知であり、使い捨て吸収性物品技術に関連して使用されるか又は役立つと見なされるよく知られたこれらのポリマーを全部含む。
【0059】
超吸収性ポリマー粒子の作製において使用に好ましいポリマー材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸及びそれらのデンプン誘導体の、わずかに網状架橋したポリマーである。デンプン系超吸収性ポリマー粒子もまた本発明に包含される。好ましくは、超吸収性ポリマー粒子は、25重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜80重量%の、中和したわずかに網状架橋したポリアクリル酸を含む。網状架橋はポリマーを実質的に非水溶性とし、超吸収性ポリマー粒子の吸収容量及び抽出可能なポリマー含有量特性を、部分的に決定する。
【0060】
好ましくは、超吸収性ポリマー粒子は1つのタイプ(すなわち、均質)であるが、本発明においてはポリマーの混合物もまた使用することができる。超吸収性ポリマー粒子は、例えば、粉砕シリカ、界面活性剤、接着剤、バインダーなどの1つ又はそれより多くの低濃度の添加剤の混合物を含むこともできる。更に、超吸収性ポリマー粒子は粒子寸法に傾斜を含むことができ、つまり粒子寸法にある幅を含むことができる。
【0061】
既知の超吸収性ポリマー粒子の多くは、ゲルブロッキングを呈した。「ゲルブロッキング」は、超吸収性ポリマー材料から作製された粒子がぬれて粒子が膨潤し、吸収性構造の他のゾーン又は領域への流体の透過を抑制するときに起こる。それ故、吸収性コアのこれらの他の領域のぬれは、非常に遅い拡散プロセスを経て起こる。実際的には、これは吸収性構造体による流体の捕捉が、特に噴出される状況において、流体が排泄される速度よりはるかに遅いことを意味する。吸収性コア内の超吸収性ポリマー粒子が完全な飽和に近づくよりもかなり前に、つまり流体が「ブロッキング」粒子を通り越して残りの吸収性コア内に拡散又は吸い上げられる前に、使い捨ておむつからの漏れが起こり得る。
【0062】
ゲルブロッキングを減少させるために一般的に適用される1つの方法は、粒子をより硬くすることであり、それによって超吸収性ポリマー粒子がその元の形状を保持できるため、粒子間の空隙が作り出されるか又は維持される。硬さを増大させるための周知の方法は、超吸収性ポリマー粒子の表面上に曝露されたカルボキシル基を共有結合及び/又はイオン架橋することである。この方法は一般に表面架橋と呼ばれている。
【0063】
第一及び第二コア接着剤
吸収性コアにより含まれる第一及び任意選択の第二コア接着剤は好ましくは、ホットメルト接着剤である。所定の、好ましくない実施形態では、第一コア接着剤はホットメルト接着剤であり、一方、第二コア接着剤は別のタイプの接着剤であり得る。吸収性コア中の第一及び任意選択の第二コア接着剤の平均坪量は、0.5g/m〜30g/m、1g/m〜15g/m、1g/m〜10g/m、又は更には1.5g/m〜5g/mであり得る。
【0064】
第一コア接着剤は、乾燥及びぬれた状態の両方で、吸収性コアの超吸収性ポリマー粒子を少なくとも部分的に不動化するのに貢献する。
【0065】
理論に束縛されるものではないが、超吸収性ポリマー粒子を不動化するのに最も有用であるホットメルト接着剤材料が良好な粘着機能及び良好な接着機能を組み合わせることが判明した。良好な接着は、ホットメルト接着剤と超吸収性ポリマー粒子と支持基材との間の良好な接触を促進し得る。優れた凝集性は、特に外力、すなわちゆがみに応じて接着剤が破断する可能性を低減するものである。吸収性コアが液体を吸収すると、超吸収性ポリマー粒子は膨潤し、ホットメルト接着剤を外力にかける。ホットメルト接着剤は、破断なしに、及び、過度に多くの圧縮力(これは吸収性粒子状ポリマー粒子が膨潤しないようにする)を付与することなしに、このような膨潤を可能にする。
【0066】
本発明によれば、熱可塑性材料は、ASTM法D−36−95「環球法」によって測定するとき、50℃〜300℃の範囲の軟化点を有する単一熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーのブレンドをそのまま含んでもよく、又は別の方法としては、ホットメルト接着剤は、粘着付与樹脂、可塑剤、及び酸化防止剤などの添加剤といった他の熱可塑性希釈剤と組み合わせた少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含んでもよい。
【0067】
所定の実施形態では、熱可塑性樹脂ポリマーは、典型的に10,000超の重量平均分子量(Mw)、及び一般的に室温以下(25℃)の、又は22℃より下の、又は18℃より下の、又は15℃より下のガラス転移温度(T)を有する。所定の実施形態では、Tは、0℃>Tより高くてもよい。熱可塑性ポリマーが1つ以上のTを有する実施形態では、示された値は、最低のガラス転移温度を指す。熱可塑性ポリマーはまた、ASTM法D−36−95「環球法」によって決定されるように、50℃〜300℃の範囲で軟化点も有してもよい。一部の実施形態では、熱可塑性ポリマーのMwは10000000未満である。
【0068】
所定の実施形態では、ホットメルト接着剤中の熱可塑性ポリマーの典型的な濃度は、約20重量%〜約40重量%の範囲のホットメルト接着剤である。
【0069】
例示的なポリマーは、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を含む(スチレン)ブロックコポリマーであり、ただしAブロックは、一般的にポリスチレンからなる非エラストマーポリマーブロックであり、Bブロックは不飽和共役ジエン又はその(部分)水素添加物である。Bブロックは典型的には、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。
【0070】
使用することが可能な他の好適な熱可塑性ポリマーとして、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーであるメタロセンポリオレフィンがある。その場合、少なくとも1種類のコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを調製することができる。やはり使用可能なものとして、非晶質ポリオレフィン、又はC〜Cのαオレフィンのホモポリマー、コポリマー又はターポリマーである非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)がある。
【0071】
代表的な実施形態では、粘着付与樹脂は、典型的に5,000以下のMw、及び通常は、室温(25℃)より高いTを有し、ホットメルト中の粘着付与樹脂の典型的な濃度は、ホットメルト接着剤の約30重量%〜約60重量%の範囲である。所定の実施形態では、粘着付与樹脂は1,000超のMwを有する。
【0072】
可塑剤は、典型的には1,000未満の低いMw及び室温以下のTを有し、約0重量%〜約15重量%のホットメルト接着剤の典型的な濃度を有する。所定の実施形態では、可塑剤は100超のMwを有する。
【0073】
所定の実施形態では、第一及び/第二のコア接着剤は、繊維の形態で存在するホットメルト接着剤である。所定の実施形態では、この繊維は約1〜約50マイクロメートル又は約1〜約35マイクロメートルの平均厚さ、及び約約5mm〜約50mm又は約5mm〜約30mmの平均長さを有する。
【0074】
吸収性コアはまた、図面に例示されていない第二コア接着剤を含んでもよい。第二コア接着剤は、対応する支持基材に対する超吸収性ポリマー粒子及び/又は第一コア接着剤の接着を増強するために支持基材上の超吸収性ポリマー粒子を適用する前に第二支持基材上に付着させてもよい。第二コア接着剤はまた、超吸収性ポリマー粒子を不動化する助けともなることができ、第一コア接着剤と同じ接着剤であってもよく、あるいは、第一コア接着剤とは異なってもよい。第二コア接着剤もまた好ましくはホットメルト接着剤である。市販の第二コア接着剤の例は、H.B.Fuller Co.(St.Paul,MN)の製品番号HL−1620−Bである。第二コア接着剤は、あらゆる好適な手段によって支持基材に適用され得るが、所定の実施形態によると、約0.5〜約2mm間隔で離れた約0.5〜約1mmの幅のスロットに適用されてもよい。
【0075】
バックシートへの吸収性コアの取り付け
使い捨ておむつは、着用者に適用されると、着用者にぴったり一致するために湾曲した形状を取る(すなわち、おむつは平坦にはならないが屈曲し、おむつの前方及び後方腰領域は着用者の腰部に位置し、おむつの股部領域は着用者の股部領域に位置する)。更に、おむつは、着用者の脚の間の長手方向軸線に平行であり、前方股部領域に向かう線に沿って、ある程度の屈曲にかけられる。このような屈曲により、おむつのよじれが生じ、すなわち、おむつは、股部領域において及び前方腰部領域の少なくとも一部において外側に膨らむことになる。
【0076】
屈曲させることにより使い捨ておむつを着用者に適用すると、使い捨ておむつの表面領域は、平坦なおむつに対して以下のように変わる:上方の着用者に面する表面(すなわち、トップシート)はひっくり返される(upset and upended)のに対し、下方の衣類に面する表面(すなわち、バックシート)は引き伸ばされる。同じことが使い捨ておむつ内の吸収性コアについても当てはまる:上方の着用者に面する表面(例えば、第二の上方の支持基材)はひっくり返されるが、下方の衣類に面する表面(例えば、第一の下方の支持基材)は引き伸ばされる。
【0077】
今日の流通市場の使い捨ておむつの圧倒的多数において、吸収性コアはかなりの量のセルロース繊維(エアフェルト)を含む。これらの吸収性コアに含まれる超吸収性ポリマー粒子はセルロース繊維と混合され、それゆえに粒子はセルロース繊維間の間隙の中に適所に保持される。一般に、超吸収性ポリマー粒子を不動化するのに接着剤は使用されない。概ね、これらの吸収性コアはむしろ可塑性を有する。このようなおむつが上記の屈曲を経る場合、使い捨ておむつが着用者に適用されると、吸収性コア内の材料は、コア内のセルロース繊維及び超吸収性ポリマー粒子の移動により、上面のひっくり返り及び下面の引き伸ばしの少なくとも一部を埋め合わせることができる。
【0078】
また、使い捨ておむつがぬれ、超吸収性ポリマー粒子が膨潤して膨張すると、超吸収性ポリマー粒子は、セルロース繊維の間隙内である程度まで膨潤することができる。それゆえに、全体としての吸収性コアの体積増加は、粒子が膨張できるいくらかの自由空間を乾燥吸収性コアが提供するので、超吸収性ポリマーの体積増加よりも少ない。
【0079】
エアフェルトをほとんど又は全く含まず、超吸収性ポリマー粒子が接着剤により不動化される本発明の吸収性コアにおいて、吸収性コアは、上記の従来の吸収性コアに比べて、はるかに大きな弾性を有する。この超吸収性ポリマー粒子は、セルロース繊維マトリックス内で単純に混合された超吸収性ポリマー粒子よりもはるかに強く不動化されるので、この超吸収性ポリマー粒子は、使い捨ておむつが着用者に適用されると、吸収性コア内で移動できない。それゆえに、上方の着用者に面する表面のよじれ並びに下方の衣類に面する表面の伸張は、従来のエアフェルトを含有する使い捨ておむつにおいてはるかに顕著である。
【0080】
また、使い捨ておむつがぬれると、超吸収性ポリマー粒子は膨潤して膨張する。従来のエアフェルトを含有している吸収性コアに対して、エアフェルトをほとんど又は全く有さない吸収性コアは、セルロース繊維間の間隙に、超吸収ポリマー粒子がその中に膨張できるいかなる「自由空間」も提供しない。それゆえに、この吸収性コアは全体としてはかなり前に(すなわち、吸収性コアの吸収容量に達するはるか前に)膨張及び膨潤し、従来の吸収性コアに比べてはるかに大きく膨張する。このような膨張は、吸収性コアの下方の衣類に面する表面(例えば、下方の支持基材)上に適用されるゆがみを増大させ、これは翻って、バックシート上に適用されるゆがみを増大させる。結果として、吸収性コアの下方の衣類に面する表面並びにバックシートは、おむつがぬれると更に伸張する。
【0081】
着用者に面する表面の伸張の結果として、吸収性コアは使い捨ておむつのバックシートに対してしっかりと押しつけられる。尿及び垂れやすい糞尿の吸収の際、吸収性コアは汚れ、吸収性コアとバックシートの間の密接な接触に起因して、特にバックシート材料の坪量が低い場合に及び/又はバックシートがほとんど若しくは全く印刷を有してない場合に汚れはバックシートを通して視認可能になり得る。この汚れの透けは、低品質として受け取られるといったように、消費者による使い捨ておむつの受け入れに負の影響を有する。その上、この透けは、多くの場合、浸透状態を示すものとして解釈され、すなわち、吸収性コアは、液体に浸漬されたものとして、たとえおむつがその最大容量に全く達していないとしても吸収性コアがその最大容量に達したことを示しているとして解釈される。また、バックシートは、使い捨ておむつの目視検査の際、ぬれているものとして解釈され得る。
【0082】
その上、バックシートの伸張及びゆがみの際に、バックシートは、よじれ、しわ及び引っ張り線を形成する傾向がある。これらの引っ張り線及びしわは、消費者により、使い捨ておむつの吸収容量が使い果たされ、おむつを換える必要があるというしるしとして解釈される。この効果は、おむつの実際の容量制限に到達するはるか前に生じ得る。
【0083】
本発明者らは、バックシートへの吸収性コアの取り付けを変更すれば、上記の短所が低減できることを見出した:従来のエアフェルトを含有している使い捨ておむつ、並びに、エアフェルトをほとんど又は全く含有していない市販の使い捨ておむつ(例えば、2011年5月に販売されているパンパース「アクティブフィット(Active Fit)」)においては、吸収性コアは、吸収性コアの完全に衣類に面する表面の上でバックシート(すなわち、例えば、吸収性コアの第一支持基材)に接着剤で取り付けられている。これは必ずしも、支持基材の表面積の100%が接着剤で覆われることを意味しないが、これは、ホットメルト接着剤のような接着剤が小さな渦巻きで適用され、これらの渦巻きが支持基材全体にわたって適用されることであり得る。
【0084】
吸収性コアが吸収性コアの本質的に全面積にわたってバックシートに接着剤により取り付けられると、吸収性コアはバックシートから独立して動き、膨張することができない。結果として、超吸収性ポリマー粒子の膨潤時に吸収性コアが膨張するにつれて、バックシートもまた膨張しなければならない。
【0085】
この欠点は、吸収性コアが吸収性コア全表面にわたってバックシートに取り付けられない場合には低減できることが判明した。吸収性コアが所定の限定された領域のみにおいてバックシートに取り付けられる場合、及び、これらの領域が注意深く及び意味を持って選択される場合、バックシートにおけるよじれ及びしわの形成は低減することができる。また、バックシートを通して吸収性コアからの尿の汚れが透けることは低減することができる。
【0086】
本発明によれば、吸収性コアは以下の位置のいずれかでバックシートに取り付けられる:
a)吸収性コアは、吸収性コアの前方外側縁部及び後方外側縁部に隣接する取り付け区域で使い捨ておむつのバックシートに取り付けられ、吸収性コアはその他の領域ではバックシートに取り付けられない;あるいは、
b)吸収性コアは、吸収性コアの股部領域において吸収性コアの長手方向軸線上の又は長手方向軸線に隣接する1つ以上の取り付け区域で使い捨ておむつのバックシートに取り付けられ、1つ以上の取り付け区域は、吸収性コアの総表面積の0.2%〜3%を被覆し、吸収性コアはその他の領域ではバックシートに取り付けられない;あるいは、
c)吸収性コアは、吸収性コアの股部領域において吸収性コアの長手方向側縁部に隣接する取り付け区域で使い捨ておむつのバックシートに取り付けられ、吸収性コアはその他の領域ではバックシートに取り付けられない;あるいは、
d)吸収性コアは、a)〜c)に定義された取り付け区域のいずれかの組み合わせで使い捨ておむつのバックシートに取り付けられ、吸収性コアはその他の領域ではバックシートに取り付けられない。
【0087】
吸収性コアがオプションa)に従ってバックシートに取り付けられる場合、吸収性コアの前方外側縁部及び後方外側縁部に隣接する取り付け区域は、吸収性コアの角のみに設けられ得、吸収性コアの前方外側縁部及び後方外側縁部に隣接する残りの領域はバックシートに接触しないままにされる。「残りの領域」は、前方及び後方外側縁部に隣接する領域における吸収性コアの幅の70%又は80%を指す。オプションa)又はd)の1つ以上の取り付け区域は、吸収性コアの全表面積の0.2%〜3%、好ましくは0.5%〜2%、又は0.5%〜1.5%、又は0.2%〜1.5%、又は0.2%〜1%を覆い得る。これらの百分率は、全ての取り付け区域を一緒にした総計を指す。
【0088】
オプションa)による実施形態では、吸収性コアは、吸収性コアの前方外側縁部に隣接する1つの取り付け区域で及び後方外側縁部に隣接する1つの取り付け区域でバックシートに取り付けることができ、その他の領域ではバックシートに取り付けられていないことがある。あるいは、吸収性コアは、吸収性コアの前方外側縁部に隣接する2つ又は3つ以上の取り付け区域で及び後方外側縁部に隣接する2つ又は3つ以上の取り付け区域でバックシートに取り付けることができ、その他の領域ではバックシートに取り付けられていないことがある。更に別の代替形態では、吸収性コアは、吸収性コアの前方外側縁部に隣接した1つの取り付け区域で及び後方外側縁部に隣接した2つ又は3つ以上の取り付け区域でバックシートに取り付けることができ、その他の領域では取り付けることができず、あるいは、吸収性コアの前方外側縁部に隣接する2つ又は3つ以上の取り付け区域で及び後方外側縁部に隣接する1つの取り付け区域でバックシートに取り付けることができ、その他の領域ではバックシートに取り付けることができない。
【0089】
オプションc)による実施形態では、吸収性コアは、1つの長手方向側縁部に隣接する1つの取り付け区域で及び対応する他の長手方向側縁部に隣接する1つの取り付け区域でバックシートに取り付けることができ、その他の領域ではバックシートに取り付けることができない。あるいは、吸収性コアは、吸収性コアの1つの長手方向側縁部に隣接する2つ又は3つ以上の取り付け区域で及び対応する長手方向側縁部に隣接する2つ又は3つ以上の取り付け区域でバックシートに取り付けることができ、その他の領域ではバックシートに取り付けることができない。更に別の代替形態では、吸収性コアは、吸収性コアの1つの長手方向側縁部に隣接する1つの取り付け区域で及び対応する長手方向側縁部に隣接する2つ又は3つ以上の取り付け区域でバックシートに取り付けることができ、その他の領域ではバックシートに取り付けることができない。
【0090】
吸収性コアがオプションb)に従ってバックシートに取り付けられる場合、股部領域内の1つ以上の取り付け区域は、吸収性コアの長手方向に実質的に平行な長手方向を有することができ、吸収性コアの横方向に実質的に平行な横方向を有することができる。1つ以上の取り付け区域の長手方向と横方向の比は、0.5〜2.0、又は2.0〜0.5、又は0.5〜1.0、又は1.0〜0.5であり得る。オプションb)の1つ以上の取り付け区域は、吸収性コアの全表面積の0.2%〜3%、好ましくは0.5%〜2%、又は0.5%〜1.5%、又は0.2%〜1.5%、又は0.2%〜1%を覆い得る。これらの百分率は、全ての取り付け区域を一緒にした総計を指す。また、吸収性コアがオプションb)に従ってバックシートに取り付けられる場合、使い捨ておむつは、湿り度インジケータを更に含むことができ、この湿り度インジケータは、吸収性コアの股部領域における又は吸収性コアの長手方向軸線に隣接する1つ以上の取り付け区域のうちの少なくとも1つにおいて吸収性コアとバックシートの間に配置される。
【0091】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コアの前方外側縁部及び後方外側縁部に隣接する」は、それぞれ(前方外側縁部に隣接する取り付け区域については)前方外側縁部から及び(後方外側縁部に隣接する取り付け区域については)後方外側縁部から出発して股部区域に向かって吸収性コアの長手方向軸線に沿って又は長手方向軸線に平行に延びる、内側に向かって(吸収性コアの全長に基づいて)15%未満、又は10%未満、又は5%未満の距離を意味する。
【0092】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コアの長手方向軸線に隣接する」は、取り付け区域が、長手方向軸線上にあるか、あるいは、長手方向軸線から離れて左若しくは右の長手方向側縁部に向かう(吸収性コアの全幅に基づいて)15%未満又は10%未満又は5%未満の距離にあるかのいずれかであることを意味する。吸収性コアの長手方向軸線に隣接する2つ以上の取り付け区域を有する実施形態については、取り付け区域は、長手方向軸線から離れて左及び右の長手方向側縁部に向かう(吸収性コアの全幅に基づいて)15%未満又は10%未満又は5%未満の距離にあり得る。
【0093】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コアの長手方向側縁部」は、それぞれ左及び右の長手方向側縁部から出発して股部区域に向かって吸収性コアの横軸線に沿って又は横軸線に沿って延びる、内側に向かって(吸収性コアの全長に基づいて)15%未満、又は10%未満、又は5%未満の距離を意味する。
【0094】
吸収性コアの総表面積は、吸収性コアのxy次元により画定される。表面の任意の潜在的な凹凸及び厚さの(すなわち、z方向における)ばらつきは、考慮されない。吸収性コアのxy次元は、応力又はひずみを適用されていない机の上に吸収性コアが平坦に置かれている間に、決定される(これはまた、潜在的に伸張可能な吸収性コアにも当てはまる)。必要とされる場合、吸収性コアにひずみを適用するはずの弾性的に収縮する要素は、机の上に平坦に吸収性コアを置く前に、注意深く除去することができる。
【0095】
上記オプションa)〜d)に従ってバックシートに吸収性コアを取り付けると、吸収性コアは、液体を吸収して膨張する間、バックシートに対して滑動することができ、これにより、吸収性コアは、バックシートから独立して、並びに、バックシートに吸収性コアと共に膨張することを強いることなく、大きく膨張することができる。したがって、バックシートにおけるしわ及び引っ張り線の形成は、低減することができる。また、バックシートを通しての尿の汚れの透けを低減することができる(吸収性コアがバックシートに対して、吸収性コアが吸収性コア領域全体にわたってバックシートに取り付けられている実施形態におけるほど密接には保持されないので)。これは、吸収性コアがバックシートに対して(例えば、接着剤により)密接に取り付けられた領域では形成できない小さなエアクッションが吸収性コアとバックシートの間に形成されることに起因すると考えられる。透けを低減するには、非常に小さなエアクッションで十分であると考えられる。透けの低減を可視化するために、下記の試験方法を使用することができる。この試験方法により、裸眼による(すなわち、顕微鏡又はこれに類するものの必要なしに)定性的可視化が可能になる。
【0096】
本発明の使い捨ておむつにおいて、トップシートは、トップシートとバックシートの外周に沿って、すなわち、吸収性コアがトップシートとバックシートの間に入れられている領域の外側に、封止することができる。吸収性コアがトップシートとバックシートの間で膨張することを可能にするために、トップシートは、吸収性コアの外周から離れて、特に横方向において、一定の距離で、すなわち、吸収性コアの長手方向側縁部に沿って、バックシートに封止することができる。吸収性コアの長手方向側縁部に沿ったトップシートとバックシートの間の封止は、吸収性コアの幅がトップシートとバックシートの間の長手方向側縁部の封止間の幅の90%未満、好ましくは85%未満であるように、され得る。吸収性コアの幅及び/又はトップシートとバックシートの間の長手方向側縁部の封止間の幅は、使い捨ておむつの長さに沿って変動し、吸収性コアの幅は、使い捨ておむつの長さに沿って各位置にてトップシートとバックシートの間の長手方向側縁部封止間の幅の90%未満、好ましくは85%未満であり得る。
【0097】
吸収性コアの前方外側縁部及び後方外側縁部に隣接する取り付け区域において又は吸収性コアの長手方向側縁部に隣接する取り付け区域において吸収性コアをバックシートに取り付けることは、2つ以上の一で把持される際に、吸収性コアが使い捨ておむつの中でねじれたり又は更には回転したりできないという利点を有する。これは、個々の吸収性コアがバックシートの連続ウェブ(製造プロセスのより後ろの段階になってから個々のバックシートに切断される)上に配置される所定の製造プロセスについて特に有利である。トップシートは、吸収性コアが連続バックシート材料の上に配置された後になって始めて吸収性コアの上に典型的にはトップシート材料の連続ウェブの形態で配置され、より後ろの段階でバックシートと共に個々のトップシートに切断される。したがって、所定の段階では、吸収性コアは、上に置かれる構成要素が全くないバックシートの上に配置される。取り付け区域においてバックシート材料の連続ウェブに取り付けられる他に、吸収性コアは、典型的には、バックシートの下にあるバキュームによりバックシート上に保持される。しかしながら、この段階において、吸収性コアが特に高速製造プロセス中にバックシートから浮き上がるというリスクが存在する。それゆえに、オプションa)、c)及びd)の場合のように、2つ以上の取り付け区域において吸収性コアをバックシートに取り付けることは、吸収性コアが1箇所のみでバックシートに取り付けられるオプションb)に比べて吸収性コアが浮き上がるリスクを低減する。
【0098】
しかしながら、それにもかかわらず、1箇所のみで吸収性コアをバックシートに取り付けることは、製造プロセスがそれに応じて適合化されていれば(すなわち、高減圧、製造ラインの速度がより遅い、又は、吸収性コアとトップシートを同時にバックシート上に接合する)、可能である。オプションb)に従って吸収性コアをバックシートに取り付けることは、ぬれた吸収性コアの、吸収性コアの長手方向軸線に平行である膨張及び横軸線に平行である膨張の両方を妨害しないという利点を有する。
【0099】
いったんトップシートが吸収性コアの上に配置されると、トップシートは、トップシートとバックシートの外周を囲んでバックシートに封止することができ、これは、連続トップシート及びバックシート材料を個々のトップシート及びバックシートに切断する前又は切断した後に行うことができる。また、トップシートは、いったんトップシートが吸収性コアの上に置かれてから、吸収性コアに取り付けられてもよい。
【0100】
透けが低減するので、本発明は、低坪量バックシート材料を使用することが可能になる。本発明の使い捨ておむつのバックシートは、フィルムと、任意選択の1つ以上の不織布ウェブと、から構成され得る。フィルムと任意選択の不織布ウェブを含むバックシートの坪量は、70g/m未満であってもよく、あるいは、25g/m〜70g/m、又は、25g/m〜60g/m、又は、25g/m〜50g/mであってもよい。フィルム(不織布ウェブを有さない)は、25g/m未満、又は10g/m〜25g/m、又は10g/m〜20g/mの坪量を有し得る。任意選択の不織布ウェブは、40g/m未満、又は10g/m〜30g/m、又は10g/m〜25g/mの坪量を有し得る(2つ以上の不織布ウェブを有する実施形態では、これらの値は、全ての不織布ウェブを一緒にした和を表す)。
【0101】
また、本発明により、バックシートは、白色であってもよく、吸収性コアの前方領域及び股部領域と一致する領域において50%未満又は30%未満の印刷された領域(非白色を有する)を有してもよい。
【0102】
本発明の使い捨ておむつのバックシートは、弾性ではない。非弾性材料は一般に弾性材料と比較して安価であり、吸収性コアがバックシートから独立してある程度膨張できるならば、バックシートが弾性である必要はない。したがって、本発明のバックシートは、非弾性又は高度に非弾性であり得る。
【0103】
吸収性コアは、使い捨ておむつのトップシートに取り付けられてもよい。トップシートは典型的にはトップシートとバックシートの外周にてバックシートに取り付けられるのみであるので、このようなトップシートへの取り付けは、本発明の利点に悪影響を及ぼさず、すなわち、透けを低減し、バックシートにおけるしわ及び引っ張り線の形成を低減する。吸収性コアは、吸収性コアの少なくとも前方領域及び股部領域においてトップシートに取り付けることができる。吸収性コアは、トップシートに直接取り付けられてもよい。あるいは、トップシートと吸収性コアの間に捕捉システムを有する使い捨ておむつにおいて、吸収性コアは、捕捉層システムに取り付けられてもよく、翻って捕捉システムはトップシートに取り付けられる。トップシート又は捕捉システムへの吸収性コアの取り付けは、例えば、ホットメルト接着剤を使用するといったように、接着剤で行うことができる。
【0104】
本発明によるバックシートへの吸収性コアの取り付けは、接着剤で、好ましくはホットメルト接着剤で、行うことができる。取り付けは、吸収性コアとバックシートの間で直接行われる。吸収性コアが第一支持基材を有する場合、取り付けは、下方の支持基材の衣類に面する表面とバックシートの着用者に面する表面との間で行われる。
【0105】
本発明の吸収性コアは、1つ以上のチャネル、すなわち、超吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない領域を含んでもよく、チャネルは吸収性コアの縁部に隣接して設けられていないがおらず、別の位置には設けられている。本明細書で使用するとき、「超吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない」は、例えば、プロセスに関連する理由により、小さな、無視できる量の超吸収性ポリマー粒子が間隙に存在し得るが、これは全体の機能性に寄与しないことを意味する。用語「超吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない」は、「超吸収性ポリマー粒子を含まない」を包含する。チャネルは、吸収性コアの股部領域及び/又は前方領域に設けることができる。チャネルは伸張され、1:20、又は1:15、又は1:10、又は1:5、又は1:3の幅の長さに対する比を有し得る。チャネルは真っ直ぐでもよく、あるいは、湾曲してもよい。このようなチャネルは、使い捨ておむつの適合性を改善するのを、すなわち、おむつが着用者により良好に適合するのを、更に助けることができる。これは、上述のバックシートの引っ張り線及びしわを低減するのを更に助けることができる。吸収性コアが1つ以上のチャネルを含む場合、吸収性コアがバックシートに取り付けられる取り付け区域は、好ましくは、1つ以上のチャネルが設けられる領域の外側である。チャネルは、吸収性コアの前方及び後方外側縁部並びに長手方向縁部上には延びなくてもよい。
【0106】
本発明の吸収性コアは、バックシートの上に直接置かれる吸収性コアの基材である第一支持基材を更に有することができる。吸収性コアが1つ以上のチャネルを含む場合、第一支持基材は、透水性であり得る(25℃及び50% RHで)(例えば、ティッシュウェブ又は透水性不織布ウェブ)。このような実施形態では、所定の量の液体(尿)は、吸収性コアの全厚を透過することができ、吸収性コアとバックシートの間の空間に分散され得る。それゆえに、液体が吸収性コアとバックシートの間で、吸収性コアにより液体が吸収できる他のより離れた領域に拡散するので、液体分散は改善することができる。吸収性コアがバックシートに取り付けられ、その他の領域ではバックシートに取り付けられていないままである本発明の取り付け区域と組み合わせると、吸収性コアとバックシートの間の液体は、比較的遮られずに拡散することができる。しかしながら、これらの吸収性コアにおいて、1つ以上のチャネルのサイズは、吸収性コアとバックシートの間の空間における吸収性コアの厚さを透過する液体の量が過度に大量にならないように注意深く選択されなければならない。
【0107】
バックシートの透けを可視化するための試験方法
この方法は、使い捨ておむつのバックシートを通した汚れの透けを可視化する。試験は、相違を質的に可視化するために、バックシートへの吸収性コアの取り付けを異なるパターン及び範囲で有する使い捨ておむつで行うことができる。使用される負荷プロトコルは、典型的には、8〜13kg±20%の範囲の重量を有する着用者向けに設計された使い捨ておむつについてのものである(例えば、パンパース「アクティブフィット」のサイズ4、又は他のパンパース赤ちゃん用おむつのサイズ4、ハギーズの赤ちゃん用おむつのサイズ4及び多くの他の商標の赤ちゃん用おむつのサイズ4)。
【0108】
装置負荷プロトコル
試験装置は、図6に示されており、呼称12.5mm(0.5インチ)の厚さのポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))製のトラフ111を含む。トラフ111は、長さ508mm(20.0インチ)及び幅152mm(6.0インチ)を有する直線状の水平基部112を含む。高さ64mm(2.5インチ)×長さ508mm(20インチ)の直線状の垂直側部113を2つ、基部112の長縁部に固定して、長さ508mm(20.0インチ)、内幅152mm(6.0インチ)及び内深51mm(2.0インチ)を有するU字状トラフ111を形成する。トラフ111の前及び後端部は、閉鎖されていない。
【0109】
508×152×25mmの寸法を有する連続気泡ポリウレタン発泡体114は、ポリウレタンフィルムの中に覆われ、トラフ111の底部に、発泡体114の縁部とトラフ111の縁部が整列し、ポリエチレンフィルムの上面が滑らかで、すじきず、しわ又は欠陥がないように、配置される。ポリウレタン発泡体114は、3.31kPa(0.48psi)の圧縮弾性率を有する。安全マーカーを使用して、横方向中心線に平行に1つの端部(前方端部)から152mm(6.0インチ)にて、ポリエチレンカバーの上面の幅にわたって基準線が引かれる。
【0110】
直線状ポリカーボネートトッププレート115は、呼称厚さ12.5mm(0.5インチ)、長さ508mm(20.0インチ)及び幅146mm(5.75インチ)を有する。トッププレート115の中心に直径51mm(2.0インチ)の孔を掘る(すなわち、孔の中心は、トッププレート115の上面の長手方向軸線と予行方向軸線の交点に位置する)。外径51mm(2.0インチ)、内径37.5mm(1.5インチ)及び高さ102mm(4.0インチ)を有するポリカーボネート円筒116は、円筒116の底縁部がトッププレート115の下面とぴったり重なり、円筒116がトッププレート115の上面よりも垂直に89mm(3.5インチ)上に突き出て、円筒116とトッププレート115の間の継ぎ目が水密であるように、トッププレート115の孔の中に接着される。高さ2mm及び直径44.5mm(1.75インチ)を有する環状の凹部117は、円筒116の底部内側縁部の中に機械加工される。直径1mmの孔を2つ、トッププレート115の上面に対して45°の角度で、孔が凹部117のすぐ上の円筒116の内面と交差し、円筒116の両側にある(すなわち、180°離れる)ように、ドリル加工する。2本の直径1mmを有するステンレス鋼ワイヤ118は、各ワイヤの一端が円筒の内壁にぴったり重なり、もう一端がトッププレート115の上面から突き出るように、水密に孔の中に接着される。これらのワイヤは、本明細書では下記において電極と呼ばれる。横方向中心線に平行な前方縁部から152mm(6.0インチ)でトッププレート115の幅にわたって基準線を引く。トッププレート1415/円筒116組立体は、約1180グラムの重量を有する。
【0111】
0.9kgの重さで、幅127mm(5インチ)、深さ50mm(1.97mm)及び約16mm(0.63インチの高さ)の寸法の鋼のおもりもまた2つ必要とされる。
【0112】
手順
すべての試験を23±2℃及び35±15%の相対湿度において行なう。
【0113】
覆われた発泡体スラブ114を含有するポリカーボネートトラフ111は、好適な平坦水平表面上に配置される。使い捨て吸収性製品は、その包装から取り出され、製品を平坦に置けるようにするためにカフ伸縮材は好適な間隔で切断される。製品は、好適な上皿式天秤上で±0.1グラム内で計量され、その後、捕捉装置において覆われた発泡体スラブ114の上に配置され、製品の前方腰部縁部はポリエチレンカバー上の基準マークに合わされる。製品は、装置の長手方向中心線に沿って中心合わせされ、製品のトップシート(身体側)は上方を向き、後方腰部縁部は発泡体スラブ114の後方端部を向く。トッププレート115は製品の上に配置され、突き出している円筒は上方を向く。引かれた基準線は製品の前方腰部縁部に合わせ、トッププレート115の後方端部は発泡体スラブ114の後方縁部に合わせる。次に、2つの0.9kgのおもりを、各おもりの幅がトッププレートの横方向中心線に平行になり、各おもりがトッププレート115の前方又は後方縁部から83mm(3.25インチ)になるように、静かにトッププレート115の上に置く。
【0114】
2つの電極の間の導電性流体の存在を検出するために、好適な電気回路を2つの電極に接続する。
【0115】
好適なポンプ(例えば、Cole Parmer Instruments(Chicago,USA)により供給されるモデル7520−00又は同等物)は、内径4.8mm(3/16インチ)を有する可撓性プラスチックチューブ(例えば、Tygon(登録商標)R−3603又は同等物)を通して0.9質量%の塩化ナトリウム水溶液を排出するように設定される。0.9%のNaCl溶液は、Merck製のインジゴカルミン(C16Na)(104724インジゴカルミンC.I.73015)で、0.9%のNaCl溶液1リットル当たり40mgを用いて染色される。チューブの端部は、トッププレート115に取り付けられた円筒116内に中心が位置するように垂直に固定され、チューブの排出端部は、下方を向き、円筒116の上端部の50mm(2インチ)下に位置する。ポンプは、タイマーを介して操作され、15mL/secの速度にて0.9%の生理食塩水溶液90.0mLの噴出を排出するように予め較正される。
【0116】
ポンプは起動され、起動とほぼ同時にタイマーも開始される。ポンプは、0.9%のNaCl溶液90mLを円筒116に15mL/secの速度で送達し、その後、停止する。試験流体は、円筒116に導入されるにつれて、典型的には、吸収性構造体の上にある程度まで増大する。この流体は、円筒の中の2つの電極間の電気回路を完成させる。噴出が送達された後、流体が構造の中に吸収されるにつれて、溶液のメニスカスは低下する。円筒の中の電極間の遊離流体の不在に起因して電気回路が破断されたら、その時間をメモする。
【0117】
具体的な噴出の収集時間は、噴出についてのポンプの起動から電気回路が破断する時点までの時間間隔である。
【0118】
4つの噴出が以下の方式で製品に送達される;各噴出は90mLであり、15mL/secで送達される。各噴出の開始の時間間隔は、300秒である。
【0119】
(「サンプルの準備及び設定」の工程10における任意選択での使用のための)装置撮像システム
画像収集機械設備
画像収集機械設備は、コンピュータと、デジタルカメラ211(例えば、Fuji HC2500(211)又はSony DFW−X700(211))を含有するライティングリグ213と、から構成される。色校正チャートは、標準的な8.5”×11”のGretag−Macbeth色チャートと、2つのライト212である。
【0120】
周辺機器の接続
Fuji HC2500カメラはPCIインターフェイスカードを有し、これはコンピュータのPCIスロット2にインストールされる。Sony DFW−X700は、コンピュータの任意のFirewire(IEEE−1348)ポートに差し込む。
【0121】
ライティングリグ
ライティングリグ213は、図7に示されている。ライト212は、OSRAM OSDULUXL36W12又は同等物といったように、D65の要件を満たす必要がある(CC温度/Kelvin 5400K;昼光色;CRI 90CRI)。基部214とライティングリグ213の間の角度αは、70°である。ライティングリグ213とライト212の間の角度βは、ベース214の均等な照明を達成するために調整する必要がある。
【0122】
サンプルの準備及び設定
1.全ての液体がおむつにより吸収された直後に、おむつは、試験装置から回収されなければならない。
2.すぐに製品を、トップシートを上向きにして、開く。
3.おむつを広げ、連続的な接合部に沿っておむつから伸縮材を剥ぎ取る。
4.トップシートは折り畳まずに下方の机表面を向いている状態で、おむつを平坦かつ矩形に置く。
5.一方の手を使用して、おむつの前方腰部縁部を下向きに机表面上に保持して、あらゆる動きが生じないようにする。
6.静かにおもり312(9kg、並びに、幅148mm(5.83インチ)、深さ38mm(1.5mm)及び約101mm(3.98インチの高さ)の寸法)をおむつの前方腰部縁部に、45°以下の角度で手の隣の赤ちゃん用おむつ前方腰部縁部上に置く。おもり312の側面は、おむつの横軸線に平行にする必要がある。ここで、おもりを把持部311で掴むことによりその縁部313のうちの1つのみでおもりがおむつの上を滑るように、おもりを45°以下の角度を維持することにより、おむつの後方腰部縁部に対して滑らせる。これには、400mm〜500mmの長手方向伸張部分を有するおむつに関しては約1〜2秒かける必要がある。
7.おむつの前方及び腰部縁部を取り、これらを持ち上げ、円を作るようにおむつを折り畳む。この手順中、おむつの股部領域は、机と接触したままにする必要がある。
8.トップシートは折り畳まずに下方の机表面を向いている状態で、おむつの端部を離し、おむつを平坦かつ矩形に置く。
9.平たくした手でバックシート表面にわずかに触れ、手を三回横断方向において(すなわち、おむつの横軸線に平行に)前後に静かに動かす。
10.裸眼でおむつを目視検査する:バックシートが吸収性コアに密接にくっついている領域は、汚れた吸収性コアがバックシートを通してある程度さらされる、より暗い領域として認識することができる。バックシートが吸収性コアから分離した領域は、より明るい色により同定することができる。大きな領域がコアに接着剤で取り付けられているバックシートと、ほんの小さな領域がコアに接着剤で取り付けられているバックシートの差異は、典型的には、容易に明らかである。
【0123】
結果を得るために、おむつは、「装置撮像システム」で説明した設備を用いて、写真撮影することができる。
【0124】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
図1
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