特許第5763884号(P5763884)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5763884
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】充電状態指示器とそれに関する方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 17/04 20060101AFI20150723BHJP
   F17C 11/00 20060101ALI20150723BHJP
   H01M 8/04 20060101ALI20150723BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20150723BHJP
   C01B 3/00 20060101ALN20150723BHJP
【FI】
   G01G17/04 Z
   F17C11/00 C
   H01M8/04 J
   H01M8/04 Z
   F17C13/02 301A
   !C01B3/00 A
【請求項の数】36
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2009-541720(P2009-541720)
(86)(22)【出願日】2007年12月21日
(65)【公表番号】特表2010-515013(P2010-515013A)
(43)【公表日】2010年5月6日
(86)【国際出願番号】CA2007002350
(87)【国際公開番号】WO2008077252
(87)【国際公開日】20080703
【審査請求日】2010年12月14日
(31)【優先権主張番号】11/644,999
(32)【優先日】2006年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501436665
【氏名又は名称】ソシエテ ビック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】マクリーン,ジェラード フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ジンマーマン,イェルク
【審査官】 三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−233321(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/111005(WO,A1)
【文献】 特開2006−99984(JP,A)
【文献】 特開平5−223012(JP,A)
【文献】 特開2003−42987(JP,A)
【文献】 特開2003−139298(JP,A)
【文献】 特表2005−506495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 17/04,
F17C 11/00,
13/02,
H01M 8/04,
C01B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器内に含まれる流体の質量を測定するための装置であって、
第一の流体容器内に含まれる流体と接触する固体構成要素の変形に反応する充電指示器を含み、
前記第一の流体容器は、電子デバイスの一部分に設けられた空洞内に収容され、前記空洞の少なくとも一つの内壁面と、前記第一の流体容器の少なくとも一つの外壁面とが、前記空洞の一部分を挟んで互いに向き合っており、
前記充電指示器は、前記第一の流体容器の外側に配置され、かつ、前記空洞の前記一部分を横切って前記電子デバイスの前記一部分及び前記第一の流体容器の両方に接触しており、
前記固体構成要素は前記第一の流体容器の中に含まれる流体貯蔵物質を含み、前記流体貯蔵物質は結合剤と混合され活性物質粒子を含む複合水素貯蔵物質であり、
前記固体構成要素の前記変形に反応することは、前記空洞の前記少なくとも一つの内壁面と、前記第一の流体容器の前記少なくとも一つの外壁面との間の距離変化を指し示すことを含み、
前記変形は前記第一の流体容器内に含まれる前記流体の質量の関数であり、
前記距離変化は、前記第一の流体容器内に含まれる流体の前記質量を決定するために用いられ、装置。
【請求項2】
前記変形は約1%から約3%の変形を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記変形は約3%から約10%の変形を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記流体は水素を含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記流体貯蔵物質における沈澱は、前記第一の流体容器内に含まれる前記流体の質量の測定において、約1%未満の誤差を誘発する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記流体貯蔵物質の経年劣化は、前記第一の流体容器内に含まれる前記流体の質量の測定において、約1%未満の誤差を誘発する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記活性物質粒子は金属水素化物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第一の流体容器はフレキシブルな第一の流体容器であり、前記充電指示器は前記フレキシブルな第一の流体容器における色変化を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記充電指示器は機械的変換器を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記充電指示器は開放気泡発泡体を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記充電指示器は流体を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記充電指示器はレバー指示器を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記充電指示器は、構成要素の変形を見るための可視窓を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
第二の流体容器をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第二の流体容器は流体と接触し、前記流体は、前記第一の流体容器と接触する流体とほぼ同じ流体を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第一の流体容器に関連する前記充電指示器は、前記第二の流体容器と充電バランスを維持することで、前記充電が相関し、前記第二の流体容器がモニタリングされない、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記充電指示器は機械的指示器を含む、請求項1記載の装置。
【請求項18】
前記機械的指示器は機械的結合を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記充電指示器は、変位すると観測可能特性を変化させる固体を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記充電指示器は液体を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記充電指示器は光学干渉パターンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記充電指示器は変換器を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記充電指示器は充電可変抵抗を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記充電指示器は歪みゲージを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記充電指示器は伸縮計を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
電子デバイスの一部分に設けられた空洞内に収容された流体容器であって、前記空洞の少なくとも一つの内壁面と、前記流体容器の少なくとも一つの外壁面とが、前記空洞の一部分を挟んで互いに向き合っている、流体容器と、
前記流体容器内に含まれる固体構成要素であって、前記固体構成要素は結合剤と混合され活性物質粒子を含む複合水素貯蔵物質である、固体構成要素と、
記流体容器の外側に配置され、かつ、前記空洞の前記一部分を横切って前記電子デバイスの前記一部分及び前記流体容器の両方に接触している充電指示器と、
前記固体構成要素、前記充電指示器、又は前記流体容器のうちの少なくとも一つと接触する一つ以上の燃料電池であって、前記燃料電池は前記電子デバイスに電力を供給するように配置される、一つ以上の燃料電池と、
を含み、
前記充電指示器は、前記固体構成要素もしくは前記流体容器の変形に反応し、前記変形は前記流体容器内に含まれる流体の質量の関数であり、
前記変形に反応することは、前記空洞の前記少なくとも一つの内壁面と、前記流体容器の前記少なくとも一つの外壁面との間の距離変化を指し示すことを含み、前記距離変化は、前記流体容器内の前記流体の前記質量を決定するために用いられる、燃料電池システム。
【請求項27】
前記一つ以上の燃料電池は、前記固体構成要素、前記充電指示器、又は前記流体容器のうちの少なくとも一つと流体連通する、請求項26に記載の燃料電池システム。
【請求項28】
前記活性物質粒子は金属水素化物を含む、請求項26又は27に記載の燃料電池システム。
【請求項29】
前記流体容器はフレキシブル流体容器を含む、請求項26から28のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項30】
前記充電指示器、又は前記燃料電池のうちの一つ以上は、さらに前記電子デバイスに接続される、請求項26から29のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項31】
前記流体容器は約1000立方センチメートル未満の体積を含む、請求項26から30のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項32】
流体容器内に含まれる流体の質量を測定するための方法であって、
前記流体容器の中に含まれる固体構成要素の変形に反応するステップを含み、
前記流体容器は、電子デバイスの一部分に設けられた空洞内に収容され、前記空洞の少なくとも一つの内壁面と、前記流体容器の少なくとも一つの外壁面とが、前記空洞の一部分を挟んで互いに向き合っており、
前記固体構成要素は結合剤と混合され活性物質粒子を含む複合水素貯蔵物質であり、
充電指示器、前記固体構成要素の前記変形に反応し、
前記充電指示器は、前記流体容器の外側に配置され、かつ、前記空洞の前記一部分を横切って前記電子デバイスの前記一部分及び前記流体容器の両方に接触しており、
前記変形は、前記流体容器内に含まれる流体の質量の関数であり、
前記固体構成要素の前記変形に反応するステップは、前記空洞の前記少なくとも一つの内壁面と、前記流体容器の前記少なくとも一つの外壁面との間の距離変化を指し示すステップを含み、前記距離変化は、前記流体容器内に含まれる流体の前記質量を決定するために用いられる、方法。
【請求項33】
反応するステップの後、流体容器と接触する流体の質量を表示するステップをさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
反応するステップは固体を変位させるステップを含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
反応するステップは液体を変位させるステップを含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項36】
反応するステップは電気信号に反応するステップを含む、請求項32又は33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は充電状態指示器に関する。より具体的には、本発明の実施形態は燃料電池システムなどの流体容器用の充電状態指示器に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の消耗電源を使用する際には、燃料補給前に残っている動作時間の量を測定することが一貫して問題になっている。金属水素化物燃料貯蔵システムでは、この問題は特に困難となる。金属水素化物は、電気化学的発電用の燃料電池とともに、水素などの燃料を貯蔵するために使用されることが多い。水素は金属合金に吸収され、合金の水素化物を作り出す。
【0003】
金属水素化物内に貯蔵される流体の重量の測定は、流体の重量がシステムの全重量と比べて低いため、誤差が生じやすい。重量に基づく燃料計測における誤差は、システム内の燃料の量が低下するにつれて劇的に増加し、重量に基づく評価に多大な不確実性をもたらす。
【0004】
粉末ベースの水素化物システムでは、内圧を充電状態に関連付けようという試みが一部でなされている。この方法は、水素化物がほぼ完全に放電されるまで、一定圧力で動作するように構成されているので、うまくいかない。また、この動作の一定圧力は、環境温度と大いに関係する。従って、水素化物システムの圧力に基づく測定は、システムの充電状態よりもシステムの温度の指示器として優れている。加えて、従来の粉末ベースの水素化物システムは固まる(pack)可能性があり、ひいては容器に大きな歪みを引き起こし、水素が容器内に残っているかどうかの測定を混乱させる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、流体容器内に含まれる流体と接触する固体構成要素の変形に反応する充電指示器を含み、変形は流体容器内に含まれる流体の質量の関数であることを特徴とする、流体容器内に含まれる流体の質量を測定するための充電指示器に関する。
【0006】
また、実施形態は燃料電池システムにも関する。燃料電池システムは、流体容器と、流体容器と接触する一つ以上の固体構成要素と、一つ以上の固体構成要素と流体容器のうちの少なくとも一つと接触する充電指示器とを含む。さらに、燃料電池システムは、一つ以上の固体構成要素、充電指示器、および流体容器のうちの少なくとも一つと接触する一つ以上の燃料電池を含む。充電指示器は一つ以上の固体構成要素もしくは流体容器の変形に反応し、変形は、流体容器内に含まれる流体の質量の関数である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面は必ずしも縮尺通りではない。図中の類似する数字は、複数の図を通してほぼ同様の構成要素をあらわす。類似する数字で異なる添え字を持つものは、ほぼ同様の構成要素の異なる例をあらわす。図面は概して、限定ではなく例として、本明細書で論じられる様々な実施形態を図示する。
図1】いくつかの実施形態に従う、構成要素と、変形に関連するその寸法の斜視図を図示する。
図2】いくつかの実施形態に従う、流体貯蔵物質を含む流体容器の概略図を図示する。
図3】いくつかの実施形態に従う、機械的変換器を含む流体容器の概略図を図示する。
図4】いくつかの実施形態に従う、電子デバイスと流体容器の一部分の斜視図を図示する。
図5】いくつかの実施形態に従う、空充電状態における流体容器の概略図を図示する。
図6】いくつかの実施形態に従う、満充電状態における流体容器の概略図を図示する。
図7】いくつかの実施形態に従う、観測窓を含む電子デバイスと流体容器の一部分の斜視図を図示する。
図8】いくつかの実施形態に従う、観測窓を含む流体容器の概略図を図示する。
図9】いくつかの実施形態に従う、垂直未満の角度の観測窓を含む流体容器の概略図を図示する。
図10】いくつかの実施形態に従う、一つよりも多くの流体容器を利用する充電状態指示システムの概略図を図示する。
図11】いくつかの実施形態に従う、充電状態指示器を使用する方法のブロックフロー図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の「発明を実施するための形態」は、その一部を成す添付の図面への参照を含む。図面は、例として本発明が実践され得る具体的な実施形態を示す。本明細書では“実施例”とも称されるこれらの実施形態は、当業者が本発明を実践することができるように充分詳細に記載される。実施形態は組み合わされてもよく、他の実施形態が利用されてもよく、あるいは本発明の範囲から逸脱することなく、構造的、論理的変更がなされてもよい。従って以下の「発明を実施するための形態」は、限定的な意味でとられるものではなく、本発明の範囲は添付の請求項とその均等物によって規定される。
【0009】
本明細書では、“a”もしくは“an”という用語は一つもしくは一つよりも多くを含むために使用され、“or”という用語は、特に他に指定のない限り、非排他的な“or”をあらわすために使用される。加えて、当然のことながら、本明細書で採用される、他に規定のない表現や用語は、限定ではなく説明のみを目的とする。さらに、本明細書で引用される全ての出版物、特許、特許文献は、引用により個別に組み込まれるかのように、その全容が本明細書に引用により組み込まれる。引用により組み込まれるこれらの文献と本明細書の間で用法の不一致がある場合には、組み込まれた引用文献における用法は、本明細書の用法の補助的なものとみなされるべきである。すなわち、相容れない矛盾がある場合には、本明細書における用法が採用される。
【0010】
本発明の実施形態は流体容器に接触する充電状態指示器に関する。充電状態指示器は、流体容器もしくは流体貯蔵物質などの構成要素の変形に反応し得る。変形は、流体容器の充電状態の関数であってもよい。変形は、従来の計測と同様に、単に圧力変化の計測や結果ではなく、流体容器内に含まれる流体の質量の直接的な結果であってもよい。従来の硬質容器に対する歪み測定とは異なり、本発明の実施形態は、例えば約1%より大きいか、約3%より大きいか、もしくは約3%〜約10%の変形に関する。変形に反応することによって、充電状態指示器は流体容器の充電状態に直接関係する効果に依存し、任意の二次的効果には依存しない。変形に対する反応は、環境温度、流体貯蔵物質沈殿、環境気圧、環境湿度、流体貯蔵物質の経年劣化、もしくはそれらの組み合わせといった、二次的影響からはほぼ独立し得る。ほぼ独立するとは、充電状態の測定における誤差が例えば約1%未満であることを示し得る。
【0011】
[定義]
本明細書で使用される“充電指示器”もしくは“充電状態指示器”という用語は、流体容器内の流体の充電に関する信号を感知もしくは変換するデバイスもしくは装置をあらわす。変換器は充電指示器の一例である。
【0012】
本明細書で使用される“変換器”という用語は、ある形式の信号を感知する、もしくは別の形式に変換するデバイスをあらわす。機械的結合は変換器の一例である。
【0013】
本明細書で使用される“指示(“indicating”もしくは“indicate”)”という用語は、知らせるもしくは表示することをあらわす。充電指示器は、流体容器の充電状態を指示もしくは表示し得る。
【0014】
本明細書で使用される“充電状態”という用語は、流体容器内に含まれる流体の質量をあらわす。充電状態とは、例えば流体の絶対質量をあらわしてもよく、あるいは、流体容器が“満杯”もしくはほぼ満杯であるときに流体容器内に含まれる流体の質量と相対的な流体の質量をあらわしてもよい。
【0015】
本明細書で使用される“反応する(“responding”もしくは“responds”)”という用語は、刺激に応じて作動することをあらわす。反応は、変形などの刺激に対する物理的、化学的、もしくは電気的応答を含んでもよい。
【0016】
本明細書で使用される、“測定(“determine”もしくは“determining”)”という用語は、例えば計測などによって確認することをあらわす。測定は、例えば測定の後に指示することを含んでもよい。
【0017】
本明細書で使用される“変形”という用語は、形状の変更をあらわす。変形は例えば任意の寸法で起こってもよい。流体容器などの固体構成要素は、例えば流体と接触すると変形し得る。固体構成要素の変形は、例えば約1%より大きいか、約1%〜約3%か、もしくは約3%〜約10%であってもよい。固体構成要素の変形は、例えば固体構成要素歪み状態の変化に反応してもよい。
【0018】
本明細書で使用される“変化(“change”もしくは“changing”)”という用語は、異なってくること、もしくは変質や変容を経験することをあらわす。
【0019】
本明細書で使用される“歪み状態の変化”という用語は、外力に起因して変更された状態のことをあらわす。例えば、変更された状態とは、物理的変形もしくは電気抵抗の変化を含んでもよい。外力とは、例えば物理的、化学的、もしくは電気的力であってもよい。物理的力とは、例えばフレキシブル流体容器内の流体の質量の増減によって引き起こされる変形であってもよい。
【0020】
本明細書で使用される“歪み状態”という用語は、物質にかかる歪みに依存する物質の状態をあらわす。
【0021】
本明細書で使用される“関数”という用語は、ある変数によって仮定された各値毎に、別の変数に対して値が決定されるように関連付けられた変数をあらわす。例えば、流体容器内の流体質量が変化するにつれ、変形が決定可能な方法で変化するように、変形は流体容器の充電状態の関数であってもよい。
【0022】
本明細書で使用される“観測可能な特性”という用語は、測定可能もしくは視覚的にモニタリング可能な物質の特性をあらわす。変位の際に色が変化する物質は、観測可能な特性の一例である。
【0023】
本明細書で使用される“二次的効果”という用語は、流体容器と接触する流体の充電状態への反応に影響し得る外力をあらわす。例えば、二次的効果は、環境温度、気圧、湿度、流体貯蔵物質の沈殿、流体貯蔵物質の経年劣化、もしくはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0024】
本明細書で使用される“表示”という用語は、情報の視覚的提示をあらわす。例えば表示は、流体容器の充電状態に応じて、視覚語、指示ライン、パターン、デジタル数字などを作成もしくは使用することをあらわしてもよい。また表示は、例えばLCD画面などの電子画面上に、単語、記号、もしくは数字を図示することもあらわしてもよい。
【0025】
本明細書で使用される“複合水素貯蔵物質”という用語は、結合剤と混合される活性物質粒子をあらわし、結合剤は活性物質粒子間の相対的な空間関係を維持するために充分な程度に活性物質粒子を固定化する。複合水素貯蔵物質の例は、2006年4月24日出願の共有の米国特許出願No. 11/379,970に見られ、その開示は全容が引用により本明細書に組み込まれる。
【0026】
本明細書で使用される“金属水素化物粒子”もしくは“金属水素化物”という用語は、水素と接触すると金属水素化物を形成することができる金属もしくは金属合金粒子をあらわす。そのような金属もしくは金属合金の例は、FeTi、ZrV2、LaNi5、Mg2NiおよびVである。そのような化合物は、それぞれAB、AB2、A2B、AB5、およびBCCという、金属水素化物化合物のより一般的な表記の代表例である。水素と結合すると、これらの化合物は例えばMgH2、Mg2NiH4、FeTiH2およびLaNi5H6などの金属水素化物錯体を形成する。金属水素化物を形成するために使用される金属の例は、バナジウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、カルシウム、遷移金属、ランタニド、および金属間化合物およびそれらの固溶体を含む。
【0027】
本明細書で使用される“流体”という用語は、気体、液化ガス、液体、加圧液体、もしくは、流体貯蔵物質と物理的もしくは化学的に接触する上記のもののいずれか一つをあらわす。流体の例は、水素、メタノール、エタノール、ギ酸、ブタン、水素化ホウ素化合物などを含む。流体は、無定形で自由流動性であってもよく、または流体貯蔵物質と物理的もしくは化学的に接触してもよい。流体は例えば吸収物質に結合してもよい。
【0028】
本明細書で使用される“吸蔵/脱着物質”という用語は、物質の吸収、吸着、もしくは保持が可能で、さらに物質を除去することができる物質をあらわす。吸蔵/脱着物質は、例えば化学吸着もしくは物理吸着などによって、化学的もしくは物理的に物質を保持してもよい。そのような物質の例は、金属水素化物、複合水素貯蔵物質、クラスレートなどを含む。
【0029】
本明細書で使用される“吸蔵(“occlude”もしくは“occluding”もしくは“occlusion”)”という用語は、物質の吸収もしくは吸着、ならびに保持をあらわす。例えば水素は吸蔵される物質であり得る。物質は、例えば化学吸着もしくは物理吸着などによって、化学的もしくは物理的に吸蔵され得る。
【0030】
本明細書で使用される“脱着(“desorb”もしくは“desorbing”もしくは“desorption”)”という用語は、吸収もしくは吸着された物質の除去をあらわす。例えば水素は活性物質粒子から除去され得る。水素は例えば物理的もしくは化学的に結合され得る。
【0031】
本明細書で使用される“接触”という用語は、物理的、化学的、もしくは電気的に接すること、または機能的に統合することをあらわす。流体は容器に接触してもよく、その中で例えば流体は容器の内部で物理的に力を加えられる。接触とは、例えば二つ以上の構成要素が、その間で一以上の方向に流体をやり取りできるような位置にある、流体連通を含んでもよい。一つ以上の燃料電池は、流体連通などによって流体容器と接触し得る。流体貯蔵物質は、流体容器内に含まれる(なおかつ、例えば物理的に接触しない)など、流体容器内に機能的に統合されてもよい。
【0032】
本明細書で使用される“解放”という用語は、物理的もしくは化学的に、結合、固定、もしくは抑制するものから自由にすることをあらわす。流体は、例えば容器から物理的に解放され得る。流体は、例えば流体貯蔵物質から化学的もしくは物理的に解放されてもよい。
【0033】
本明細書で使用される“フレキシブル流体容器”もしくは“流体容器のフレキシブル部分”という用語は、構造充填材と、構造充填材に適合するように結合した容器外壁を含む流体容器をあらわし得る。そのような流体容器の例は、2006年6月23日出願の共有の米国特許出願No. 11/473,591に見られ、その開示は全容が引用により本明細書に組み込まれる。
【0034】
本明細書で使用される“適合するように結合”という用語は、二つの構成要素間にほぼ均一な結合を形成し、対応する形状もしくは形式で化学的または物理的に結合するような方法で取り付けられることをあらわす。構造充填材は例えば容器外壁に適合するように結合してもよく、その中で容器外壁は構造充填材に化学的もしくは物理的に結合し、その形状を取る。
【0035】
本明細書で使用される“容器外壁”という用語は、流体容器からの流体の拡散を少なくとも部分的に遅らせるはたらきをする、流体容器内の最外層をあらわす。容器外壁は、同じ物質もしくは異なる物質の多層を含んでもよい。容器外壁は、例えばポリマーもしくは金属を含んでもよい。
【0036】
本明細書で使用される“構造充填材”という用語は、流体で加圧される際に、流体容器の内圧に耐えるために充分な抗張力を持つ物質をあらわす。構造充填材は固体であってもよい。構造充填材は、例えば金属もしくはプラスチックの格子、複合水素貯蔵物質、クラスレート、ナノ構造炭素発泡体、エアロゲル、ゼオライト、シリカ、アルミナ、グラファイト、活性炭、マイクロセラミック、ナノセラミック、窒化ホウ素ナノチューブ、水素化ホウ素粉末、パラジウム含有物質もしくはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0037】
本明細書で使用される“流体貯蔵物質”という用語は、通常は流体の貯蔵を助ける目的で、流体と物理的もしくは化学的に接触し得る物質をあらわす。水素は、流体貯蔵物質の一例である金属水素化物を提供するために、金属合金と化学的に結合し得る。
【0038】
図1を参照すると、いくつかの実施形態に従う、構成要素100と、変形に関連するその寸法の斜視図が示される。構成要素100は変形に基づいてその寸法を変更し得る。図1では、例えば構成要素100は、水素などの流体で充電されると、寸法102、106、および110を、より大きな寸法104、108、および112へそれぞれ変化させ得る。構成要素100の充電は、水素などの流体で充填、接触、吸蔵、吸収、吸着することなどを含んでもよい。構成要素100は、例えば流体貯蔵物質もしくは流体容器を含んでもよい。寸法104、108、および112は、例えば寸法102、106、および110よりも最大で約10%大きくてもよい。寸法の変化は、構成要素100内の流体質量が減少するのに伴い可逆性であってもよい。構成要素の形状は任意であるか、もしくは角柱形であってもよく、例えば変形によってその寸法のいずれかが変更されてもよい。
【0039】
多くの種類の充電指示器が、構成要素100の変形に反応するために利用され得る。充電指示器は、変形によって変位し得る液体もしくは固体を含んでもよい。充電指示器は、変位すると観測可能な特性が変化する固体を含んでもよい。観測可能な特性は、例えば色であってもよい。充電指示器は、例えば構成要素100と接触する機械的指示器であってもよい。充電指示器は、例えば機械的結合などを用いて変形に直接反応してもよいし、あるいは変形に基づく構成要素100の電気特性の変化や電子信号に反応することによって、間接的に反応してもよい。充電指示器は、変形に基づいて視覚パターンが作成もしくは変更され得るように、光学干渉パターンを含んでもよい。光学干渉パターンの例は、ファセットパターン、グリッド、ピクセル、一つ以上の視覚語、もしくはそれらの組み合わせを含んでもよい。充電指示器は、例えば構成要素の表面上に、一つ以上の固定ブラシと接触する導体のアレイを含んでもよい。変形が構成要素の寸法を変更すると、導体は例えば現在接触しているブラシの数に反応し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、構成要素100はユーザーに見えなくてもよい。充電指示器はその後、流体容器に関連する充電状態についての情報を、燃料電池システムなどのシステム内からいくつかの外部の位置へと通信し、そこでその情報は例えばユーザーもしくはモニタリングシステムに通信され得る。電子変換器などの変換器は、構成要素100と接触してもよく、例えば構成要素100の変形の関数として、流体容器の充電状態を指示してもよい。電子変換器の一例としては、伸縮計もしくは歪みゲージであってもよい。また、変形は、例えば充電可変抵抗器などを用いて、構成要素100の電気抵抗に反応することによって間接的にモニタリングされてもよい。
【0041】
構成要素100は、金属水素化物、複合水素貯蔵物質、もしくはそれらの混合物を含んでもよい。構成要素100は、例えば金属もしくはプラスチックの格子、複合水素貯蔵物質、クラスレート、ナノ構造炭素発泡体、エアロゲル、ゼオライト、シリカ、アルミナ、グラファイト、活性炭、マイクロセラミック、ナノセラミック、窒化ホウ素ナノチューブ、水素化ホウ素粉末、パラジウム含有物質、もしくはそれらの組み合わせなどの構造充填材を含んでもよい。構成要素100は、例えばフレキシブル流体容器もしくは流体容器のフレキシブル部分を含んでもよい。
【0042】
図2を参照すると、いくつかの実施形態に従う、流体貯蔵物質を含む流体容器の概略図200が示される。流体容器202は、流体貯蔵物質を包囲し得る。流体貯蔵物質は、複合水素貯蔵物質212、金属水素化物粉末210、および充電状態指示器208と接触する複合水素貯蔵物質206を含んでもよい。充電状態指示器208は、例えば変換器であってもよく、変換器コネクタリード216と接触してもよい。リード216は、例えば密封開口部214を通して流体容器202に接触してもよい。流体入/出ポート204もまた、流体容器202に接触して配置され得る。複合水素貯蔵物質212と金属水素化物粉末210の中で歪み状態が変化すると、充電状態指示器208と接触する一つ以上の複合水素貯蔵物質206が変形するので、流体容器202の充電状態がモニタリングされ得、これは流体容器202内の全ての流体貯蔵物質の充電状態に相関がある。充電状態指示器208は、例えば伸縮計、抵抗もしくはファイバー歪みゲージなどの変換器であってもよい。
【0043】
流体貯蔵物質は、例えば流体の吸蔵/脱着が可能であってもよい。複合水素貯蔵物質212および206は、例えば水素の吸蔵および脱着が可能であってもよい。流体は、気体、液化ガス、液体、もしくはそれらの組み合わせであってもよい。流体は例えば水素であってもよい。
【0044】
図3を参照すると、いくつかの実施形態に従う、機械的変換器を含む流体容器の概略図300が示される。流体容器202は、流体貯蔵物質302を包囲し得る。機械的結合などの機械的変換器306は、流体貯蔵物質302と接触し得る。機械的変換器306は、例えば密封開口部214を通して流体容器202と接触してもよい。流体入/出ポート204もまた、流体容器202に接触して配置され得る。流体貯蔵物質302が変形すると、その寸法304を変化させ得る。機械的変換器306は、その後流体貯蔵物質302の変形の関数として、位置308を変化させる。位置の変化308は、その後充電状態の指標となってもよく、もしくは、例えばモニタリングシステムにその情報を通信するために使用されてもよい。
【0045】
図4を参照すると、いくつかの実施形態に従う、電子デバイスの一部分と流体容器の斜視図400が示される。電子デバイスの一部分402は、流体容器404と、流体容器404を取り囲む空洞406を包囲し得る。充電指示器408は、流体容器404と接触し、また電子デバイスの一部分402とも接触し得る。流体容器404が変形すると、充電指示器408は、例えば流体容器404と空洞406の間の距離410の変化に反応することなどによって、変形に反応し得る。充電指示器408は、流体容器404の空充電状態502を(図5に示すように)指示し得る。流体容器404が変形に反応して寸法を変化させると、流体容器404と空洞406の間の距離410は変化し得る。充電指示器408はその後、満充電状態602を(図6に示すように)指示し得る。
【0046】
流体容器内の流体質量に起因する変形が、例えば流体容器の寸法変化もしくは電気特性の変化を引き起こすように、流体容器404はフレキシブルであってもよく、もしくは流体容器の一部分がフレキシブルであってもよい。
【0047】
充電指示器408は、例えば機械的変位デバイスであってもよい。さらに充電指示器408の例としては、開放気泡発泡体、独立気泡発泡体、海綿状物質、もしくは流体の排出の際に拡張するエラストマー、増加する体積に引き込まれる流体、もしくはレバーによる指示器であってもよい。流体容器404もしくは容器の一部分は、例えば変形によって色が変化してもよい。
【0048】
電子デバイスの一部分402は、例えば燃料電池などの流体容器システムの一部であってもよい。流体容器システムは、例えば約1000立方センチメートル未満の体積を含んでもよい。電子デバイスの例は、携帯電話、衛星電話、PDA、ラップトップコンピュータ、コンピュータアクセサリ、ウルトラモバイルコンピュータ、ディスプレイ、パーソナルオーディオプレーヤーもしくはビデオプレーヤー、医療機器、テレビ、送信機、受信機、照明装置、懐中電灯、もしくは電子玩具を含む。燃料電池システムは、例えば少なくとも一つ以上の構成要素この一つ以上の構成要素と接触する充電指示器上記構成要素及び上記充電指示器のうちの一つ以上と接触する一つ以上の燃料電池、を含んでもよい。
【0049】
図7を参照すると、いくつかの実施形態に従う、観測窓を含む流体容器と電子デバイスの一部分の斜視図700が示される。電子デバイスの一部分402は、流体容器404と、流体容器404を取り囲む空洞406を包囲し得る。カバー702は空洞406と流体容器404に接触し得る。カバー702は、例えば空洞406と流体容器404の間の距離の変化410を観測することなどによって、流体容器404の寸法の変化を視覚的に観測するために、中に配置された観測窓704を有し得る。観測窓704は、例えば角度約90度の観測窓804であってもよく、もしくは角度約90度未満の観測窓902であってもよい(それぞれ図8および9)。観測窓902が約90度未満の角度(一例として約50度)である場合、流体容器404の寸法変化はさらに観測しやすく、もしくは増幅され得る。流体容器404の寸法変化は、例えばカラーストライプ、ハッシュマークもしくはグリッドを用いて視覚的に示されてもよい。
【0050】
図10を参照すると、いくつかの実施形態に従う、一つよりも多くの流体容器を利用する充電状態指示システムの概略図1000が示される。大きな流体容器1004の充電状態は、例えば充電指示器に関連する小さな流体容器1002の相関充電状態によって指示され得る。流体は、流体出入口1008に接触する前もしくは後に、接続1006を通過し得る。各容器においてほぼ同じ流体もしくは流体貯蔵物質が利用される場合は、小さな流体容器1002の充電状態は、大きな流体容器1004の充電状態の指標として利用されてもよく、個別にモニタリングしなくてもよい。
【0051】
図11を参照すると、いくつかの実施形態に従う、充電状態指示器を使用する方法のブロックフロー図1100が示される。充電指示器は、構成要素の変形に反応し得る(1102)。充電状態もしくは流体質量がその後表示され得る(1104)。表示は、例えばLCD画面などにおいて、反応をデジタル表示へ変換することを含んでもよい。反応1102は、例えば固体を変位させること、液体を変位させること、もしくは電気信号に抵抗することを含んでもよい。
【0052】
要約は、読者が技術的開示の本質と要旨を素早く確認することができるように、37 C.F.R. §1.72(b)に従って提供される。要約は、請求項の範囲もしくは意味を解釈したり、もしくは限定するために使用されるものではないという理解と共に提出される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11