(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定である液晶化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明はこのような製造方法において有用な中間体を提供することも目的とする。また、該液晶化合物中の各基を調整することにより、前記の特性に加えて、大きな誘電率異方性等を併せ持つ液晶化合物を提供することも目的とする。
また、本発明は、該液晶化合物を含有し、低電圧で駆動できる液晶電気光学素子を得るのに好適な液晶組成物およびその液晶組成物を用いた液晶電気光学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、このような課題の解決策として、連結基−C≡CCF
2O−を有する特定構造の化合物を液晶組成物に含有させた場合に、その液晶組成物を用いた液晶電気光学素子が低動作電圧、化学的安定性等の種々の要求性能を満たすのに有用な化合物であることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下式(1)で表される液晶化合物を提供する。
下記式(1)で表される液晶化合物。
R
1-(A
1)
a-Z
1-(A
2)
b-Z
2-(A
3)
c-Z
3-A
4-C≡CCF
2O-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2 (1)
式中の記号は、以下の意味を示す。
R
1およびR
2:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF
5または炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基であり、前記脂肪族炭化水素基中の1つ以上の−CH
2 −は、エーテル性酸素原子(−O−)またはチオエーテル性硫黄原子(−S−)で置換されていてもよく、該基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
A
1、A
2、A
3、A
5、A
6およびA
7:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基。
A
4:トランス−1,4−シクロへキシレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基または1,4−シクロヘキセニレン基。ただし、後方2基の−C≡CCF
2O−基への結合手は、前者が2−位、後者が4−位の飽和結合部位の炭素である。
上記A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6およびA
7の基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH
2−基は−O−または−S−に置換されていてもよい。
Z
1、Z
2、Z
3、Z
4およびZ
5:相互に独立して、単結合、または炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基であり、該基中の1つ以上の−CH
2−は、−O−、−S−に置換されていてもよく、基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
a、b、c、dおよびe:相互に独立して0または1。ただし、0≦a+b+c+d+e≦3。
【0008】
前記式(1)で表される液晶化合物のうちでも、下式(1−1)で表される化合物が好ましい。
R
11-(A
11)
a-Z
11-(A
21)
b-Z
21-(A
31)
c-Z
31-A
41-C≡CCF
2O-A
51-Z
41-(A
61)
d-Z
51-(A
71)
e-R
21 (1−1)
式中の記号は、以下の意味を示す。
R
11およびR
21:相互に独立して、水素原子、フッ素原子、−SF
5、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基。アルキル基およびアルケニル基の基中の1つ以上の−CH
2−は−O−または−S−に置換されていてもよく、基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
A
11、A
21、A
31、A
51、A
61およびA
71:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。
A
41:トランス−1,4−シクロへキシレン基。
A
11、A
21、A
31、A
41、A
51、A
61およびA
71の基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH
2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
Z
11、Z
21、Z
31、Z
41およびZ
51:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1つ以上の−CH
2−は−O−に置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
a、b、c、dおよびeは前記と同じ意味である。
【0009】
前記式(1)で表される液晶化合物のうちでも、下式(1−2)で表される化合物がより好ましい
R
12-(A
12)
a-Z
12-(A
22)
b-Z
22-(A
32)
c-Z
32-A
42-C≡CCF
2O-A
52-Z
42-(A
62)
d-Z
52-(A
72)
e-R
22 (1−2)
式中の記号は、以下の意味を示す。
R
12:水素原子または炭素数1〜10のアルキル基。該基中の1つ以上の−CH
2−は−O−で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
R
22:水素原子、フッ素原子、−SF
5、または炭素数1〜10のアルキル基。該基中の1つ以上の−CH
2−は−O−で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
A
12、A
22、A
32、A
52、A
62およびA
72:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基または1つもしくは2つのフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基。
A
42 :トランス−1,4−シクロへキシレン基。
Z
12、Z
22、Z
32、Z
42およびZ
52:相互に独立して、単結合、または炭素数1〜4のアルキレン基。
a、b、c、dおよびeは前記と同じ意味である。
【0010】
本発明では、前記式(1)で表される液晶化合物の製造方法として、下記式(4)で表される化合物を脱ハロゲン化水素する方法を提供する。
R
1-(A
1)
a-Z
1-(A
2)
b-Z
2-(A
3)
c-Z
3-A
4-CH=C(X
1)-CF
2O-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e -R
2 (4)
式中、X
1は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、R
1、R
2、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5、a、b、c、dおよびeは式(1)と同じ意味である。
二重結合は(Z)または(E)である。
【0011】
本発明では、上記式(4)で表される化合物も提供する。
式(4)で表される化合物は、下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物とを反応させて製造するのが好ましい。
HC≡CCF
2O-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2 (2)
R
1-(A
1)
a-Z
1-(A
2)
b-Z
2-(A
3)
c-Z
3-A
4-X
1 (3)
式中、R
1、R
2、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5、a、b、c、d、eおよびX
1は、式(4)と同じ意味である。
【0012】
また、本発明は、前記式(1)で表される液晶化合物(1)を含む液晶組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、該液晶組成物が、電極が配設された2枚の基板間に封入されてなる液晶電気光学素子を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の式(1)で表される液晶化合物は、比較的低い屈折率異方性を有するとともに、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定である。また、本発明の液晶化合物は、該化合物を構成する環基、置換基および連結基を適宜調整することにより、前記の特性に加えて、大きな誘電率異方性を併せ持つこともできる。また、液晶素子に要求される様々な性能を満たした液晶組成物を調製できる。また、該液晶組成物を液晶電気光学素子に用いた場合は低電圧駆動できる。
本発明の製造方法に従えば、−C≡CCF
2O−連結基を有する化合物を汎用性が高く工業的にも容易に簡便かつ効率的に製造することができる。また、本発明はこのような製造方法において有用な中間体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明について更に詳しく説明する。
本明細書において、式(1)で表される液晶化合物を化合物(1)と記し、他の式で表される化合物も同様に記す。
【0016】
本発明の化合物(1)において、R
1およびR
2は、相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF
5または炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基であり、該基中の1つ以上の−CH
2 −は、−O−または−S−で置換されていてもよく、該基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、これら基および水素原子の置換のいずれも含んでいてもよい。以下、−O−、−S−およびフッ素原子の少なくとも1つによる置換を含むアルキル基を「置換アルキル基」、同様の置換を含むアルケニル基を「置換アルケニル基」と記す。
【0017】
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基が挙げられ、中でもアルキル基またはアルケニル基が好ましい。
置換アルキル基としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基等が挙げられる。
置換アルケニル基としては、アルケニルオキシ基、アルケニルオキシアルキル基、アルケニルチオ基、アルケニルチオアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルケニルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基等が挙げられる。
アルキルチオアルキル基としては、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、プロピルチオメチル基、ブチルチオメチル基、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、プロピルチオエチル基、メチルチオプロピル基、エチルチオプロピル基、プロピルチオプロピル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基等が挙げられる。
フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、フルオロメチル基、2−フルオロエチル基、ジフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、5−フルオロペンチル基等が挙げられる。
フルオロアルコキシ基としては、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基等が挙げられる。
フルオロアルコキシアルキル基としては、トリフルオロメトキシメチル基等が挙げられる。
フルオロアルケニル基としては、2−フルオロエテニル基、2,2−ジフルオロエテニル基、1,2,2−トリフルオロエテニル基、3−フルオロ−1−ブテニル基、4−フルオロ−1−ブテニル基等が挙げられる。
フルオロアルキルチオ基としては、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、1,1,2,2−テトラフルオロエチルチオ基、2,2,2−トリフルオロエチルチオ基等が挙げられる。
【0019】
R
1およびR
2としては、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF
5、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルケニルオキシ基、アルケニルチオ基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルコキシアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルキルチオ基が好ましい。
【0020】
なかでも、R
1およびR
2としては、反応性や副反応が生じにくいことから、水素原子、フッ素原子、−SF
5、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数1〜18の置換アルキル基、炭素数2〜18の置換アルケニル基が好ましい。
【0021】
特に、R
1としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基が特に好ましい。
R
2としては、フッ素原子、−SF
5、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基が特に好ましい。
【0022】
化合物(1)において、A
1、A
2、A
3、A
5、A
6およびA
7は、相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基である。
また、A
4:トランス−1,4−シクロへキシレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基または1,4−シクロヘキセニレン基。ただし、後方2基の−C≡CCF
2O−基への結合手は、前者が2−位、後者が4−位の飽和結合部位の炭素である。
これらA
1〜A
7の環を構成する=CH−基の1つまたは2つは窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH
2−基は−O−、−S−に置換されていてもよく、また各基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、これら基および水素原子の置換のいずれも含んでいてもよい。このような置換を有する基を、各環基名の前に「置換」の語を付して、たとえば「置換1,4−フェニレン基」、「置換トランス−1、4−シクロヘキシレン基」などと称することがある。ここでのハロゲン原子としては、塩素原子およびフッ素原子が好ましい。
【0023】
A
1、A
2、A
3、A
5、A
6およびA
7が1,4−フェニレン基であり、さらに置換基としてハロゲン原子を有する場合、1つの1,4−フェニレン基に置換するハロゲン原子の数は1つから4つであるが、中でも1つまたは2つが好ましい。A
1〜A
7がトランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、さらに置換基としてハロゲン原子を有する場合、置換するハロゲン原子の数は1〜4つであることが好ましい。また、ハロゲン原子はシクロヘキシレン基の1位または4位の炭素原子に結合していてもよい。
窒素原子による置換1,4−フェニレン基としては、2,5−ピリミジニレン基または2,5−ピリジニレン基等が挙げられる。
−O−、−S−による置換トランス−1,4−シクロへキシレン基としては、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,3−ジチアン−2,5−ジイル基等が挙げられる。
【0024】
A
1、A
2、A
3、A
5、A
6およびA
7としては、反応性や原料入手の関係から、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、置換トランス−1,4−シクロへキシレン基、および置換1,4−フェニレン基が好ましい。中でも、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、および1つまたは2つのフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基が特に好ましい。
A
4としては、反応性や原料入手の関係から、トランス−1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
【0025】
化合物(1)において、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4およびZ
5は、相互に独立して、単結合、または炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基であり、該基中の1つ以上の−CH
2 −は、−O−、−S−に置換されていてもよく、また各基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、これら基および水素原子の置換をいずれも含んでいてもよい。このような置換を有する基を、「置換」の語を付して称することがある。
脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基が挙げられ、中でもアルキレン基が好ましい。
置換アルキレン基としては、−CF
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CHFCH
2−、−CH
2CHF−、−CF
2CHF−、−CHFCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2S−、−SCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−OCF
2CF
2O−、−C
2H
4CF
2O−、等が挙げられる。
また、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4またはZ
5が単結合である場合には、それぞれの基の両側に存在する基は直接結合することを意味する。例えば、Z
1が単結合でありaおよびbが1の場合はA
1とA
2とは直接結合する。また、Z
1、Z
2およびZ
3が単結合でありa、bおよびcが0である場合は、R
1とA
4とは直接結合する。
【0026】
Z
1、Z
2、Z
3、Z
4およびZ
5としては、合成の容易さ等から、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、該基に対応するフッ素置換アルキレン基、または1個以上の−CH
2−が−O−で置換された置換アルキレン基が好ましい。
中でも、単結合および炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。
【0027】
本発明の化合物(1)において、a、b、c、dおよびeは相互に独立して0または1であり、0≦a+b+c+d+e≦3である。
a、b、c、dおよびeは化合物に要求される特性に応じて適宜選択することができる。
たとえば化合物(1)が低粘性であること、あるいは該化合物が他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れている点を重視する場合、0≦a+b+c+d+e≦1であることが好ましい。一方、化合物の高い液晶温度範囲を重視する場合、1≦a+b+c+d+e≦3であることが好ましい。
【0028】
化合物(1)のΔεを大きくする観点からは、−C≡CCF
2O−のO側結合基「-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2」が、電子求引性の基であることが好ましいと考えられる。この「-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2」の電子求引性とは、化合物(1)において、d=e=0かつZ
4およびZ
5が単結合である「−A
5−R
2」の、R
2が水素原子かつA
5が非置換のフェニレン基またはシクロヘキシレン基であるものに比して電子求引性であることを意味する。
【0029】
「-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2」が電子求引性の基となる場合としては、各基が以下のものであることが挙げられる。
【0030】
R
2:フッ素原子、−OCF
3、−OCF
2H、−CN、−NCS、または−SF
5
A
5、A
6、A
7:相互に独立して、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、または2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基。
Z
4、Z
5:単結合
d、e:相互に独立して0または1
また、A
5、A
6およびA
7における置換型環基の置換位置は、R
1に近いほうを4位、R
2に近い方を1位とする。
【0031】
本発明の化合物(1)としては、化合物(1−1)が好ましい。
R
11-(A
11)
a-Z
11-(A
21)
b-Z
21-(A
31)
c-Z
31-A
41-C≡CCF
2O-A
51-Z
41-(A
61)
d-Z
51-(A
71)
e-R
21 (1−1)
式中の記号は、以下の意味を示す。
R
11およびR
21:相互に独立して、水素原子、フッ素原子、−SF
5、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基。アルキル基およびアルケニル基の基中の1つ以上の−CH
2−は−O−または−S−に置換されていてもよく、基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
A
11、A
21、A
31、A
51、A
61およびA
71:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。
A
41 :トランス−1,4−シクロへキシレン基。
A
11、A
21、A
31、A
41、A
51、A
61およびA
71の基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH
2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
Z
11、Z
21、Z
31、Z
41およびZ
51:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1つ以上の−CH
2−は−O−に置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
a、b、c、dおよびeは前記と同じ意味である。
【0032】
本発明の化合物(1)としては、化合物(1−2)がより好ましい。
R
12-(A
12)
a-Z
12-(A
22)
b-Z
22-(A
32)
c-Z
32-A
42-C≡CCF
2O-A
52-Z
42-(A
62)
d-Z
52-(A
72)
e-R
22 (1−2)
式中の記号は以下の意味を示す。
R
12:水素原子または炭素数1〜10のアルキル基。該基中の1つ以上の−CH
2−は−O−で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
R
22:水素原子、フッ素原子、−SF
5、または炭素数1〜10のアルキル基。該基中の1つ以上の−CH
2−は−O−で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
A
12、A
22、A
32、A
52、A
62およびA
72:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、1つまたは2つのフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基。
A
42 :トランス−1,4−シクロへキシレン基。
Z
12、Z
22、Z
32、Z
42およびZ
52:相互に独立して、単結合、または炭素数1〜4のアルキレン基。
a、b、c、dおよびeは前記と同じ意味である。
【0033】
本発明の化合物(1)の製造方法としては、たとえば化合物(2)を原料とする方法が好ましい態様例として挙げられる。なかでも、化合物(2)と化合物(3)とから化合物(4)を導いた後、脱ハロゲン化水素する方法が好ましく挙げられる。
HC≡CCF
2O-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2 (2)
R
1-(A
1)
a-Z
1-(A
2)
b-Z
2-(A
3)
c-Z
3-A
4-X
1 (3)
R
1-(A
1)
a-Z
1-(A
2)
b-Z
2-(A
3)
c-Z
3-A
4-CH=C(X
1)-CF
2O-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e -R
2 (4)
式中、R
1、R
2、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5、a、b、c、dおよびeは前述の式(1)と同じ意味である。X
1は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、なかでもヨウ素原子が好ましい。
【0034】
化合物(2)は新規化合物であり、新実験科学講座(丸善株式会社出版)等、有機合成の成書に記載されている方法にても得られるが、下記の方法で合成するのが好ましい。
Y-C≡C-H (a)
↓ CF
2Br
2
Y-C≡C-CF
2Br (b)
↓ HO-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2 (c)
Y-C≡C-CF
2O-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2 (d)
↓
HC≡C-CF
2O-A
5-Z
4-(A
6)
d-Z
5-(A
7)
e-R
2 (2)
ただし、式中のYは保護基を意味し、A
5、A
6、A
7、Z
4、Z
5およびR
2は前記と同じ意味を示す。
【0035】
Yは三重結合の保護基であれば何でも構わない。化合物(a)としては、下記反応により得られる下記化合物(a1)が挙げられる。原料となるアルコール誘導体は、3−メチル−1−ブチン−3−オール(東京化成工業社製)など、市販品として入手可能である。
【化1】
【0036】
CF
2Br
2(ジブロモジフルオロメタン)は公知の化合物であり、市販品としてシグマアルドリッチ社等から入手可能である。また、Haszeldine R.N.等の報告(J.Chem.Soc.,1952,4259)などを参考にしても製造が可能である。
【0037】
化合物(a)とCF
2Br
2との反応は塩基の存在下で行われる。塩基としては、アルカリ金属、アルカリ金属の水素化物、アルキルリチウム、アルカリ金属アルコラート、アルキルグリニア試薬、アルキル亜鉛試薬、等が挙げられる。入手の容易さ、取り扱い上の安全性、反応の高選択性の点から、アルキルリチウムが好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。塩基の使用量は、化合物(a)に対して、0.8〜1.5当量が好ましい。
反応溶媒としては、反応に不活性なものであれば使用でき、特に制限されない。中でも飽和炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒が好ましく、THF、ジメチルエーテルおよびメチル−tert−ブチルエーテルが特に好ましい。溶媒の使用量は、化合物(a)の質量([g])に対して、1〜20倍の体積(mL)使用するのが好ましい。ただし、これは合成の規模により大きく異なり、適宜変更することが可能である。
反応温度は、−90〜30℃が好ましく、−90〜−60℃が特に好ましい。
【0038】
化合物(c)は、市販品としてシグマアルドリッチ社等から入手可能である。また、R.L.Kidwell等の方法(Org.Syn.,Coll.Vol.,5,918(1973))、特開平3−246244号公報、特開昭62−207229号公報に記載の方法、実験化学講座(丸善株式会社出版)等を参考にしても製造が可能である。
【0039】
化合物(b)と化合物(c)との反応は塩基の存在下で行われるのが好ましい。塩基としては、前記と同様のものが挙げられる。取り扱いが容易な点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコラート、の使用が好ましく、炭酸カリウムが特に好ましい。塩基の使用量は、化合物(b)に対して、0〜20当量が好ましく、0.5〜6当量が特に好ましい。
反応溶媒としては、反応に不活性なものであれば使用でき、特に制限されない。中でも、芳香族系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、非プロトン性極性溶媒および水が好ましい。
反応温度は、0〜150℃が好ましく、90〜130℃が特に好ましい。
【0040】
化合物(d)から化合物(2)を製造する方法は、Yの構造により公知の脱保護方法が用いられる。保護基Yの脱離方法は化合物(2)が安定な限り、任意の方法を用いてよい。例えば、反応条件としては以下の条件が上げられる。前記化合物(a1)を用いた場合は、先ずアルコールもしくは水を共存させ、酸触媒を用いTHP基を外した後、残ったHO−C(CH
3)
2−基を塩基性条件下、加熱を行うことが好ましい。アルキルシリル基を保護基として用いた場合、塩基性条件もしくはアンモニウムフルオライドもしくは金属フッ化物を用いることが好ましい。
【0041】
化合物(3)は、市販品あるいは新実験化学講座(丸善株式会社出版)等、有機合成の成書に記載されている方法にて容易に得られる。
【0042】
化合物(3)の使用量は、化合物(2)1モルに対し、0.7〜2モルが好ましく、1〜1.5モルがより好ましい。
【0043】
化合物(2)と(3)との反応は、光照射もしくはラジカル開始剤を用いて実施するのが好ましい。例えば、ラジカル開始剤としては、ボラン化合物、過酸化物、アゾ化合物、金属、金属塩が好ましい。たとえば、ボラン化合物としては、トリエチルボランが好ましい。例えば、過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルパーオキサイドが好ましい。例えば、アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。金属としては亜鉛が好ましい。金属塩としては、亜ジチオン酸ナトリウム、トリメチルアルミニウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、塩化銅が好ましい。
【0044】
上記反応工程は溶媒中で実施するのが好ましい。溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;石油エーテル類または前記溶媒の適当な混合溶媒等を用いることができる。これらの中でも、脂肪族炭化水素系溶媒が好ましい。
【0045】
前記溶媒の量は、化合物(2)の質量に対して、0.1〜100倍の体積を使用するのが好ましく、0.5〜20倍の体積を使用するのがより好ましい。例えば、化合物(2)が1gであれば、溶媒は0.1〜100mL使用するのが好ましく、0.5〜20mL使用するのがより好ましいということになる。ただし、これは合成の規模により大きく異なり、適宜変更することが可能である。
【0046】
反応温度は−70〜50℃が好ましく、−10〜30℃がより好ましい。
【0047】
反応時間は0.1〜24時間が好ましく、0.1〜3時間がより好ましい。
【0048】
化合物(4)の脱ハロゲン化水素反応は塩基を用いて行うことが望ましく、アルキルリチウム、アルキルマグネシウムハライド、アルキル亜鉛、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属アルコラート類、アルカリ金属のヒドリド類、アルカリ金属アミド、アミン類が好ましい。例えば、アルキルリチウムとしては、n-ブチルリチウム、フェニルリチウムが好ましい。例えば、アルキルマグネシウムハライドとしては、エチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミドが好ましい。例えば、アルカリ金属ヒドリド類としては、水素化ナトリウムが好ましい。塩基としては例示したものであれば任意のものを用いても構わない。
塩基の使用量は、化合物(4)1モルに対して、0.8〜1.5モルが好ましい。
【0049】
上記脱ハロゲン化水素工程は溶媒中で実施するのが好ましい。溶媒としては水、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;石油エーテル類または前記溶媒の適当な混合溶媒等を用いることができる。
【0050】
前記溶媒の量は、化合物(4)の質量に対して、0.1〜100倍の体積を使用するのが好ましく、0.5〜20倍の体積を使用するのがより好ましい。例えば、化合物(4)が1gであれば、溶媒は0.1〜100ml使用するのが好ましく、0.5〜20ml使用するのがより好ましいということになる。ただし、これは合成の規模により大きく異なり、適宜変更することが可能である。
【0051】
反応温度は−80〜50℃が好ましい。
【0052】
反応時間は0.1〜24時間が好ましく、0.1〜3時間がより好ましい。
【0053】
上記式(4)で表される化合物は新規化合物であり、本発明に係る化合物として提供する。また、本発明では、該化合物(4)の脱ハロゲン化水素する方法を式(1)で表される液晶化合物の製造方法として提供する。
【0054】
また、本発明は、前記化合物(1)を含む液晶組成物を提供する。この液晶組成物は、本発明の化合物(1)と、他の液晶化合物または非液晶化合物(これらを総称して「他の化合物」という)とを混合して構成される。
【0055】
本発明の液晶組成物における化合物(1)の含有量は、用途、使用目的、他の化合物の種類等により適宜変更することができるが、液晶組成物全量に対して化合物(1)は0.5〜50質量%が好ましく、特に2〜20質量%が好ましい。また、用途、使用目的等により、液晶組成物中に化合物(1)を2種類以上含有してもよい。その場合、液晶組成物の全量に対して化合物(1)の合計量で0.5〜80質量%が好ましく、特に2〜50質量%が好ましい。
【0056】
化合物(1)と混合して用いる他の化合物としては、屈折率異方性値を調整する成分、粘性を下げる成分、低温で液晶性を示す成分、誘電率異方性を向上させる成分、コレステリック性を付与する成分、二色性を示す成分、導電性を付与する成分、その他各種添加剤等が挙げられる。これらは、用途、要求性能等により、適宜選択されるが、通常は、液晶化合物および該液晶化合物と類似構造を有する主成分と、必要に応じて添加される添加成分とからなるものが好ましい。
【0057】
本発明の液晶組成物において、前記他の化合物としては、例えば、以下の式で表されるものが挙げられる。以下の式中、R
3およびR
4は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基等の基を表す。また、R
3およびR
4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、以下の各式中、−Cy−はトランス−1,4−シクロへキシレン基、−Ph−は1,4−フェニレン基、−PhFF−はジフロオロフェニレン基を表す。
【0058】
R
3−Cy−Cy−R
4
R
3−Cy−Ph−R
4
R
3−Cy−PhFF−CN
R
3−Ph−Ph−R
4
R
3−Ph−C≡C−Ph−R
4
R
3−Cy−COO−Ph−R
4
R
3−Cy−COO−PhFF−CN
R
3−Ph−COO−Ph−R
4
R
3−Ph−COO−PhFF−CN
R
3−Cy−CH=CH−Ph−R
4
R
3−Ph−CH=CH−Ph−R
4
R
3−Ph−CF=CF−Ph−R
4
R
3−Cy−CF=CF−Ph−R
4
R
3−Cy−CF=CF−Cy−R
4
R
3−Cy−Ph−CF=CF−Ph−R
4
R
3−Cy−Ph−CF=CF−Cy−R
4
【0059】
R
3−Ph−Cy−CF=CF−Cy−R
4
R
3−Cy−Cy−CF=CF−Ph−R
4
R
3−Ph−Ph−CF=CF−Ph−R
4
R
3−Cy−CH
2 CH
2 −Ph−R
4
R
3−Cy−Ph−CH
2 CH
2−Ph−R
4
R
3−Cy−Ph−CH
2 CH
2−Cy−R
4
R
3−Cy−Cy−CH
2 CH
2−Ph−R
4
R
3−Ph−CH
2 CH
2−Ph−R
4
R
3−Ph−Ph−CH
2 CH
2−Ph−R
4
R
3−Ph−Ph−CH
2 CH
2−Cy−R
4
R
3−Cy−Ph−Ph−R
4
R
3−Cy−Ph−PhFF−CN
R
3−Cy−Ph−C≡C−Ph−R
4
R
3−Cy−Ph−C≡C−PhFF−CN
R
3−Cy−Ph−C≡C−Ph−Cy−R
4
R
3−Cy−CH
2 CH
2−Ph−C≡C−Ph−R
4
【0060】
R
3−Cy−CH
2 CH
2−Ph−C≡C−Ph−Cy−R
4
R
3−Cy−Ph−Ph−Cy−R
4
R
3−Ph−Ph−Ph−R
4
R
3−Ph−Ph−C≡C−Ph−R
4
R
3−Ph−CH
2 CH
2−Ph−C≡C−Ph−R
4
R
3−Ph−CH
2 CH
2−Ph−C≡C−Ph−Cy−R
4
R
3−Cy−COO−Ph−Ph−R
4
R
3−Cy−COO−Ph−PhFF−CN
R
3−Cy−Ph−COO−Ph−R
4
R
3−Cy−Ph−COO−PhFF−CN
R
3−Cy−COO−Ph−COO−Ph−R
R
3−Cy−COO−Ph−COO−PhF
2−CN
R
3−Ph−COO−Ph−COO−Ph−R
4
R
3−Ph−COO−Ph−OCO−Ph−R
4
R
3−Ph−CF
2 O−Ph−R
4
【0061】
R
3−Cy−CF
2 O−Ph−R
4
R
3−Ph−CF
2 O−Cy−R
4
R
3−Cy−Ph−CF
2 O−Ph−R
4
R
3−Cy−Ph−CF
2 O−Cy−R
4
R
3−Cy−Cy−CF
2 O−Ph−R
4
R
3−Cy−Cy−CF
2 O−PhFF−R
4
R
3−Ph−Ph−CF
2 O−Ph−R
4
R
3−Ph−Ph−CF
2 O−Cy−R
4
R
3−Cy−Ph−CF
2 O−PhFF−R
4
R
3−Cy−PhFF−CF
2 O−PhFF−R
4
R
3−Ph−Ph−CF
2 O−PhFF−R
4
R
3−Ph−PhFF−CF
2 O−PhFF−R
4
R
3−Ph−CF
2 CF
2 −Ph−R
4
【0062】
R
3−Cy−CF
2 CF
2−Ph−R
4
R
3−Cy−CF
2 CF
2−Cy−R
4
R
3−Cy−Ph−CF
2 CF
2−Ph−R
4
R
3−Cy−Ph−CF
2 CF
2−Cy−R
4
R
3−Cy−Cy−CF
2 CF
2−Ph−R
4
R
3−Ph−Ph−CF
2 CF
2−Ph−R
4
R
3−Ph−Ph−CF
2 CF
2−Cy−R
4
【0063】
なお、これらの化合物は単なる代表例であり、該化合物中の環構造または末端基に存在する水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基等に置換されたものでもよい。また、シクロヘキサン環やベンゼン環が他の六員環や五員環、例えば、ピリミジン環やジオキサン環等に置換されたものでもよく、環と環との間の結合基がそれぞれ独立して他の2価の結合基、例えば−CH
2 O−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−COOCH
2 −、−OCOCH
2 −または−COCH
2 −等に変更されているものでもよく、所望の性能に合わせて選択することができる。
【0064】
さらに、本発明は、前記液晶組成物を液晶層の構成材として用いる液晶電気光学素子を提供する。本明細書において、液晶電気光学素子とは、表示素子に限られず、液晶の電気的または光学的特性を利用する各種の機能素子、例えば、液晶表示素子、さらに、調光窓、光シャッター、偏光変換素子、可変焦点レンズ等の用途に用いられる素子を含むものである。例えば、本発明の液晶組成物を液晶セル内に注入する等して形成される液晶層を、電極を備える2枚の基板間に挟持して構成される電気光学素子部を有する液晶電気光学素子を提供する。この液晶電気光学素子は、ツイストネマチック(TN)方式、スーパーツイストネマチック(STN)方式、ECBモード、VAモード、ゲストホスト方式、動的散乱方式、フェーズチェンジ方式、DAP方式、二周波駆動方式、強誘電性液晶表示方式等種々のモードで駆動されるものが挙げられる。
【0065】
代表的な液晶電気光学素子としては、ツイストネマチック(TN)型液晶表示素子が挙げられる。このツイストネマチック(TN)型液晶表示素子は、まず、プラスチック、ガラス等の基板上に、必要に応じてSiO
2 、Al
2 O
3 等のアンダーコート層やカラーフィルター層を形成し、In
2 O
3 −SnO
2 (ITO)、SnO
2 等からなる被膜を成膜し、ホトリソグラフィ等により所要のパターンの電極を形成する。次に、必要に応じて、ポリイミド、ポリアミド、SiO
2 、Al
2 O
3 等のオーバーコート層を形成し、配向処理する。これにシール材を印刷し、電極面が相対向するように配して周辺をシールし、シール材を硬化して空セルを形成する。
【0066】
さらに、空セルに、本発明の組成物を注入し、注入口を封止剤で封止して液晶セルを構成する。この液晶セルに、必要に応じて、偏光板、カラー偏光板、光源、カラーフィルター、半透過反射板、反射板、導光板、紫外線カットフィルター等を積層、文字、図形等を印刷、ノングレア加工等をして液晶電気光学素子を得ることができる。
【0067】
なお、上述の説明は、液晶電気光学素子の基本的な構成および製法を説明したものであり、他の構成も採用できる。例えば、2層電極を用いた基板、2層の液晶層を形成した2層液晶セル、反射電極を用いた基板、TFT、MIM等の能動素子を形成したアクティブマトリクス基板を用いたアクティブマトリクス素子等、種々の構成のものが採用できる。
【0068】
さらに、本発明の組成物は、前記TN型以外のモード、即ち、高ツイスト角のSTN型液晶電気光学素子や、多色性色素を用いたゲスト−ホスト(GH)型液晶電気光学素子、横方向の電界で液晶分子を基板に対して平行に駆動させ
るインプレーンスイッチング(IPS)型液晶電気光学素子、液晶分子を基板に対して垂直配向させるVA型液晶電気光学素子、強誘電性液晶電気光学素子等、種々の方式で使用することができる。また、電気的に書き込みをする方式ではなく、熱により書き込みをする方式に用いることもできる。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお以下の例は、本発明を制限することなく、本発明を例示しようとするものである。
【0070】
(合成例1)化合物(2A)の合成
公知の方法で合成した化合物(a1)180g(1.07mol)をテトラヒドロフラン(THF)2Lを撹拌、−80℃まで冷却し、
nBuLi(関東化学社製)1.57mol/Lヘキサン溶液715mL(1.12mol)を徐々に滴下し、30分撹拌した。その後、公知の方法を参考に合成したCF
2Br
2100mL(1.12mol)を150mLで稀釈した溶液を滴下し、一晩放置した。5%NaCO
3水溶液500mLを用いてクエンチした後、水洗、濃縮乾燥することで、化合物(b1)329.75gを得た。
【化2】
【0071】
化合物(b1)266g(0.90mol)、3,4,5−トリフルオロフェノール(シグマアルドリッチ社製)146g(0.99mol)、炭酸カリウム(日本曹達社製)136.5g(0.99mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)1.4Lを撹拌し、120℃で3時間加熱した。冷却後5%重炭酸ナトリウム水溶液700mLでクエンチを加え、ヘキサンで抽出後、水で洗浄を行い、溶媒を留去するで化合物(d1)256gを得た。
【化3】
【0072】
化合物(d1)458.3g(1.26mol)を、2.8Lのメタノール(和光純薬工業社製)に溶解した後、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩(和光純薬工業社製)32g(0.13mol)を加え、室温で一晩撹拌した。水2.8Lでクエンチした後、ヘキサン5.7Lで抽出した後、濃縮、乾燥を行い化合物(d2)332.08gを得た。
【化4】
【0073】
化合物(d2)143.9g、ナトリウム−tert−ブトキサイド(和光純薬工業社製)13g、ヘキサン(和光純薬工業社製)850mLを還流条件下、3時間、ディーン・スターク管を用いて副生するアセトンを抜き出しながら適宜ヘキサンを追加した。水を加えクエンチをし、ヘキサンを加えて分液ロートで中性になるまで油層を水洗浄し、濃縮を行った後、減圧蒸留にて精製を行うことで化合物(2A)72.01gを得た。
【化5】
【0074】
得られた化合物(2A)の
1H−NMR、
19F−NMRおよびGC−MSのデータを以下に示す。
1H−NMR(282.6MHz、溶媒:CDCl
3、基準:Si(CH
3)
4)δ(ppm):6.89(m,2H),2.83(t,1H)。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒:CDCl
3、基準:CFCl
3)δ(ppm):−53.93(d,2F),−132.42(m,2F),−163.01(m,1F)。
GC−MS M
+=222
【0075】
(合成例2)化合物(4A)の合成
合成例1で得られた化合物(2A)10.00gと公知の方法で合成した化合物(3A)15.05gにヘキサン30mLを加え撹拌した。トリエチルボラン(関東化学社製)1.0 mol/L ヘキサン溶液を、 毎日2.3 mLずつ5日間追加した。水を加えクエンチをし、ヘキサンを加えて分液ロートで中性になるまで油層を水洗浄し、濃縮を行い、化合物(4A)23.51gを得た。
【化6】
【0076】
(合成例3)化合物(1A)の合成
合成例2で得られた化合物(4A)18.16gと炭酸カリウム(日本曹達社製)9.02gをN,N−ジメチルホルムアミド100mL中120℃で3時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水を滴下してクエンチを行った後、ヘキサンで抽出し、5%NH
4Cl水溶液および水で中性になるまで洗浄した後、濃縮をした後、シリカクロマトグラフィーおよび再結晶により精製することで化合物(1A)4.10gを得た。
【化7】
相系列:Cr 34 Iso (Cr:結晶、Iso:等方相)
【0077】
得られた化合物(1A)の
1H−NMR、
19F−NMRおよびGC−MSのデータを以下に示す。
1H−NMR(282.6MHz、溶媒 CDCl
3、基準:Si(CH
3)
4)δ(ppm): 6.70(m、2H)、1.75−0.12(br、27H).
19F−NMR(282.6MHz、溶媒 CDCl
3、基準:CFCl
3)δ(ppm): −53.50(s、2F)、−135.05(m、2F)、−165.85(m,1F).
GC−MS M
+=428
【0078】
上記合成例1〜3および前述したスキームに基づいて、下記化合物を製造することができる。
下記式中、−Cy−、−Ph−は上記と同様であり、他の記号は以下の意味を示す。
−Ph(2F)−:2−フルオロ−1,4−フェニレン基
−Ph(2F,6F)−:2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
−Ph(2F,3F)−:2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
また、式(1)中のA
1〜A
7に相当する置換型環基の置換位置は、環員炭素がR
1に近いほうを常に4位、R
2に近い方を常に1位とする場合に相当する。
【0079】
2環の化合物(a〜eが全て0であるもの)としては以下のものが挙げられる。
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph-C
2H
5
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-CN
C
3H
7O-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-OCF
3
C
2H
5-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,3F)-OCH
3
CH
3CH=CH-C
2H
4-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
CH
2=CH-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
C
5H
11-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-OCF
2H
【0080】
3環の化合物(a〜eの何れか1つが1であり、他の3つが0であるもの)としては以下のものが挙げられる。
【0081】
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-F
CH
2=CH-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-F
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-CN
C
5H
11-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
C
5H
11-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-OCF
2H
【0082】
C
2H
5-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F)-F
C
5H
11-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-F
C
5H
11-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-CN
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
【0083】
4環の化合物(a〜eの何れか2つが1であり、他の2つが0であるもの)としては以下のものが挙げられる。
【0084】
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph-Ph-C
2H
5
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-F
C
2H
5-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,3F)-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
C
5H
11-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-Ph(2F)-Ph(2F)-CN
C
5H
11-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-F
C
2H
5-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-CN
【0085】
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F)-F
C
5H
11-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CN
C
5H
11-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,3F)-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
C
5H
11-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-Cy-C
3H
7
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-Cy-OC
2H
5
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,3F)-Cy-OCH
3
【0086】
CH
2=CH-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
【0087】
5環の化合物(a〜eの何れか3つが1であり、他の2つが0であるもの)としては以下のものが挙げられる。
【0088】
CH
2=CH-Cy-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Cy-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Cy-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
C
2H
5O-Ph-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Ph-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Ph-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-CN
C
3H
7-Ph-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
C
3H
7-Ph-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Ph-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Ph-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-CN
C
2H
5-Ph-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-CN
C
3H
7-Ph-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
CH
2=CH-Ph-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-F
C
3H
7-Ph-Ph-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-F
C
3H
7-Ph-Ph-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Ph-Ph-Ph(2F)-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F,6F)-CN
C
2H
5-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-CN
CH
3-CH=CH-C
2H
4-Ph-Ph-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph(2F)-F
【0089】
CH
2=CH-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Cy-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
C
3H
7-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F)-F
C
3H
7-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Ph-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,6F)-CN
C
3H
7-Ph-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F)-F
C
3H
7-Ph-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Ph-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F,6F)-CN
【0090】
CH
2=CH-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Cy-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Cy-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Cy-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
C
2H
5O-Cy-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph-Ph(2F)-OCF
3
C
3H
7-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-F
C
3H
7-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CN
C
3H
7-Ph-Cy-C≡CCF
2O-Ph-Ph-Ph(2F,3F)-OC
2H
5
【0091】
(実施例1)化合物(1A)の物性測定
[誘電率異方性(Δε)の測定]
合成例3で得られた化合物(1A)10モル%を、メルク社の液晶組成物「ZLI−1565」90モル%と混合した組成物を2枚のガラスセル(間隔8μm)の間に封入した。このセルに100mVの電圧を印加して液晶分子の短軸方向の誘電率(ε
⊥)を測定した。88Vの電圧を印加して液晶分子の長軸方向の誘電率(ε
‖)を測定した。
化合物の誘電率異方性(Δε)は式Δε=ε
‖−ε
⊥から組成物のΔεを求めて、外挿することで求めた。
化合物(1A)の0.85TcでのΔεの値を表1に示す。
なお、0.85Tcは、それぞれの液晶組成物のTc(透明点 絶対温度(K)に換算)に、0.85を乗じた温度(K)である。
【0092】
[屈折率異方性(Δn)の測定]
合成例3で得られた化合物(1A)20質量%と、メルク社製液晶組成物「ZLI−1565」80質量%とを混合して得られた組成物を用いて、25℃における屈折率異方性(Δn)を外挿により求めた。結果を表1に示す。
【0093】
(比較例1)
公知の下記化合物(1B)について、実施例1と同様にしてΔεおよびΔnを測定した。化合物(1B)のΔεおよびΔnを表1に示す。Δεの測定は化合物(1B)20モル%を「ZLI−1565」80モル%と混合した組成物を用いた。Δnの測定は、化合物(1B)20質量%と、メルク社製液晶組成物「ZLI−1565」80質量%とを混合した組成物を用いた。
化合物(1B)は下記の構造の化合物である。特許文献2や、Angewandte Chemie International Edition 2001,40(8), 1480.を参考に合成することができる。
【化8】
【0094】
【表1】