特許第5764049号(P5764049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5764049圧電式バルブ及び該圧電式バルブを利用した噴風手段を備える光学式粒状物選別機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764049
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】圧電式バルブ及び該圧電式バルブを利用した噴風手段を備える光学式粒状物選別機
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/02 20060101AFI20150723BHJP
   B07C 5/10 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   F16K31/02 A
   B07C5/10
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-272819(P2011-272819)
(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-124695(P2013-124695A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(73)【特許権者】
【識別番号】502254796
【氏名又は名称】有限会社メカノトランスフォーマ
(73)【特許権者】
【識別番号】303061454
【氏名又は名称】クロダニューマティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆文
(72)【発明者】
【氏名】徐 世傑
(72)【発明者】
【氏名】矢野 健
(72)【発明者】
【氏名】上間 丈司
(72)【発明者】
【氏名】平田 敏忠
(72)【発明者】
【氏名】樋口 俊郎
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−522298(JP,A)
【文献】 特表2005−522163(JP,A)
【文献】 特開昭57−130579(JP,A)
【文献】 特表平10−510040(JP,A)
【文献】 特開2002−1232(JP,A)
【文献】 米国特許第4282902(US,A)
【文献】 特開2004−316835(JP,A)
【文献】 特開昭62−283274(JP,A)
【文献】 米国特許第6131879(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/02
B07C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される圧縮気体を受け入れる気体圧力室を有するバルブ本体と、
前記バルブ本体の内部に配設されるとともに該バルブ本体に固定されるプレートと、
弁体、前記弁体の動作に必要な駆動力を変位として発生する圧電素子、前記圧電素子の変位を拡大して前記弁体に作用させる変位拡大機構を有し、前記プレートの両面に固定され、前記プレートとともに前記バルブ本体の内部に配設されるアクチュエータと、
を備えることを特徴とする圧電式バルブ。
【請求項2】
前記バルブ本体は、前面が開口するケースであって、
前記プレートには、前記ケースの開口を閉鎖する蓋体が一体に設けられ、該蓋体に前記圧縮気体を排出する気体排出路及び該気体排出路を開閉するために前記弁体が当接する弁座が設けられる請求項1記載の圧電式バルブ。
【請求項3】
前記蓋体には、前記気体圧力室へ供給される圧縮気体の取入口が形成されるとともに、前記圧電素子用の配線コネクタが配設される請求項2記載の圧電式バルブ。
【請求項4】
被選別物を移送する移送手段と、該移送手段の端部から落下する被選別物を検出位置において検出する光学検出手段と、該光学検出手段のさらに下方に設けられ当該光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物をエアの噴風により吹き飛ばす噴風手段とを備えてなる光学式粒状物選別機であって、
前記噴風手段は、請求項1乃至3の何れかに記載の圧電式バルブを備え、前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記圧電式バルブを駆動しエアを噴風することを特徴とする光学式粒状物選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子の変位を利用してバルブの開閉を行う圧電式バルブ及び該圧電式バルブを利用した噴風手段を備える光学式粒状物選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒や樹脂ペレット等の粒状物を噴風により吹き飛ばして良品と不良品に選別したり、粒状物に混入する異物等を噴風により除去したりする光学式粒状物選別機が知られている。
この種の粒状物選別機は、搬送路の端部から所定の軌跡に沿って落下する粒状物を、不良品等の検出信号に基づいて噴風により吹き飛ばし除去することで、該粒状物の選別を行うものである。
【0003】
上記粒状物選別機は、連続的かつ大量に落下する粒状物の中から不良品等をエアの噴風により吹き飛ばすものであり、当該不良品等のみを他の粒状物を巻き込むことなく精度よく吹き飛ばすためには噴風ノズルに応答性のよいバルブを備えることが必要となる。
そこで、圧電素子を利用することでバルブの開閉を高速で行える圧電式エアバルブが提案されている(特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載された圧電式エアバルブは、高速応答性能に優れる圧電素子の特性を利用するものであり、圧電素子の小さな変位をテコの原理に基づき拡大する変位拡大機構を備えるものである。
【0005】
当該圧電式エアバルブは、圧電素子に電圧を印加すると、該圧電素子の伸長方向への変位が前記変位拡大機構を介して弁体に伝わり、該弁体を速やかに移動させて開弁する。
また、当該圧電式エアバルブは、前記圧電素子への電圧印加を解除すると、該圧電素子の原状復帰に伴う復帰力が前記変位拡大機構を介して前記弁体に伝わり、該弁体を速やかに弁座に当接させて閉弁する。
【0006】
そして、上記圧電式エアバルブを利用した噴風ノズルを備える光学式粒状物選別機は、上記圧電式エアバルブが従来の電磁バルブに比べてバルブ開閉時の応答性に優れることから、不良品等を精度よく吹き飛ばし、かつ前後の良品等を巻き込んで吹き飛ばすおそれの少ないものである。
【0007】
ところで、光学式粒状物選別機の多くは、粒状物を効率よく選別するため、複数のバルブを並設してなる複合式バルブを利用した噴風ノズルを備える。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された圧電式エアバルブは、複合式エアバルブを構成する場合、単体のエアバルブをバルブの数だけ連接する必要があり、組立作業に時間がかかる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4344164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、組立作業を効率よく行うことができる圧電式バルブを提供することを目的とする。
また、本発明は、組立作業を効率よく行うことができる上記圧電式バルブを利用した噴風手段を備える光学式粒状物選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の圧電式バルブは、外部から供給される圧縮気体を受け入れる気体圧力室を有するバルブ本体と、前記バルブ本体の内部に配設されるとともに該バルブ本体に固定されるプレートと、弁体、前記弁体の動作に必要な駆動力を変位として発生する圧電素子、前記圧電素子の変位を拡大して前記弁体に作用させる変位拡大機構を有し、前記プレートの両面に固定され、前記プレートとともに前記バルブ本体の内部に配設されるアクチュエータと、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の圧電式バルブは、前記アクチュエータが、弁体、前記弁体の動作に必要な駆動力を変位として発生する圧電素子、前記弁体における動作方向の軸線に対して対称に設けられ、前記圧電素子の変位を拡大して前記弁体に作用させる一対の変位拡大機構を一体として有することが好ましい。
【0013】
本発明の圧電式バルブは、前記バルブ本体が、前面が開口するケースであって、前記プレートには、前記ケースの開口を閉鎖する蓋体が一体に設けられ、該蓋体に前記圧縮気体を排出する気体排出路及び該気体排出路を開閉するために前記弁体が当接する弁座が設けられることが好ましい。
【0014】
本発明の圧電式バルブは、前記蓋体には、前記気体圧力室へ供給される圧縮気体の取入口が形成されるとともに、前記圧電素子用の配線コネクタが配設されることが好ましい。
【0015】
本発明の光学式粒状物選別機は、被選別物を移送する移送手段と、該移送手段の端部から落下する被選別物を検出位置において検出する光学検出手段と、該光学検出手段のさらに下方に設けられ当該光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物をエアの噴風により吹き飛ばす噴風手段とを備え、前記噴風手段は、前記圧電式バルブを備え、前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記圧電式バルブを駆動しエアを噴風することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の圧電式バルブによれば、アクチュエータが両面に固定された状態のプレートをバルブ本体に固定することができるので、圧電式バルブ、特に複合圧電式バルブの組立作業を効率よく行うことができる。
また、本発明の圧電式バルブによれば、前記アクチュエータが前記プレートの両面に固定されるので、複合式バルブの気体吹き出し口の間隔を従来に比べ小さくすることができるため、該複合式バルブをコンパクトなものとすることができる。
【0017】
本発明の圧電式バルブは、前記バルブ本体が、前面が開口するケースであって、前記プレートに、前記ケースの開口を閉鎖する蓋体が一体に設けられ、該蓋体に前記圧縮気体を排出する気体排出路及び該気体排出路を開閉するために前記弁体が当接する弁座が設けられることとすれば、前記プレートを前記ケースの前面から組み付けるだけの簡単な作業で組み立てを行うことができる。
【0018】
本発明の圧電式バルブは、前記蓋体に、前記気体圧力室へ供給される圧縮気体の取入口が形成されるとともに、前記圧電素子用の配線コネクタが配設されることとすれば、組立作業をより効率よく行うことができる。
【0019】
本発明の光学式粒状物選別機は、前記噴風手段が、前記圧電式バルブを備えるので、組立作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1における圧電式バルブの概略斜視図。
図2】実施の形態1における圧電式バルブを構成する弁座プレートの説明図。
図3】実施の形態1における圧電式バルブを構成するアクチュエータの説明図。
図4】実施の形態1における弁座プレートにアクチュエータを取り付けた状態の説明図。
図5】実施の形態1における圧電式バルブの分解図。
図6】実施の形態2における圧電式バルブを構成するプレートの説明図。
図7】実施の形態2における圧電式バルブの概略説明図。
図8】光学式粒状物選別機の要部側断面図。
図9】光学式粒状物選別機の制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<圧電式バルブ>
[実施の形態1]
【0022】
図1は、圧電式バルブの概略斜視図を示す。図2は、圧電式バルブを構成する弁座プレートの説明図を示す。図3は、圧電式バルブを構成するアクチュエータの説明図を示す。図4は、弁座プレートにアクチュエータを取り付けた状態の説明図を示す。図5は、圧電式バルブの分解図を示す。
【0023】
本実施の形態において、圧電式バルブ10は、バルブ本体20、該バルブ本体20の前面にネジで固定される中間スペーサ30、前記バルブ本体20の内部に配設されるとともに、前記中間スペーサ30の前面にネジで固定される弁座プレート40、前記弁座プレート40の両面にネジで固定されるアクチュエータ50を備える。
【0024】
前記バルブ本体20は、前面が開口するケースであって、内部には外部の圧縮気体供給源(図示せず)から圧縮気体の供給を受ける気体圧力室を備える。
前記中間スペーサ30は、二つの貫通する開口を備える。
【0025】
前記弁座プレート40は、前記アクチュエータ50の取り付け部41を両面に備えるとともに、その前方に前記ケースの開口を閉鎖する蓋体42を一体に備える。当該蓋体42には、前記アクチュエータ50の後述する弁体が当接する弁座43が二つ設けられる。また、当該蓋体42には、前面に二つの気体吹き出し口44が設けられ、前記両弁座43の弁座面から前記気体吹き出し口44へ連通する気体排出路45がそれぞれ形成される。さらに、前記蓋体42には、前面に前記気体圧力室へ供給される圧縮気体の取入口46が設けられるとともに、後述する圧電素子用の配線コネクタ47が配設される。該配線コネクタ47から圧電素子への配線は、該弁座プレート40内にモールドされる。前記弁座プレート40は、例えば合成樹脂材料により一体に成形される。
【0026】
前記アクチュエータ50は、ゴム製好ましくは滑性ゴムの弁体51、該弁体51の動作に必要な駆動力を変位として発生する圧電素子52、前記圧電素子52の変位を拡大して前記弁体51に作用させる変位拡大機構53を備える。
【0027】
前記変位拡大機構53は、前記弁体51の動作方向の軸線、ここでは、前記弁体51と前記圧電素子52の長手方向軸線を結ぶ直線(以下、「中心線」という。)に対して一対が対称に配置される。
【0028】
第1変位拡大機構は、第1ヒンジ54、第2ヒンジ55、第1アーム56及び第1板バネ57を有する。前記第1ヒンジ54の一端はU字状のベース基板58の一方側先端に対し一体とされ、前記第2ヒンジ55の一端はキャップ部材59に対し一体とされる。前記第1アーム56の外側先端部には、第1板バネ57の一端が接合され、該第1板バネ57の他端には前記弁体51の一方側の側端部が接合される。
【0029】
第2変位拡大機構は、第3ヒンジ60、第4ヒンジ61、第2アーム62及び第2板バネ63を有する。前記第3ヒンジ60の一端は前記U字状のベース基板58の他方側先端に対し一体とされ、前記第4ヒンジ61の一端は前記キャップ部材59に対し一体とされる。前記第2アーム62の外側先端部には、第2板バネ63の一端が接合され、該第2板バネ63の他端には前記弁体51の他方側の側端部が接合される。
前記変位拡大機構53は、例えばステンレス材等の金属材料を打ち抜いて、前記ベース基板58及びキャップ部材59とともに一体に成形される。
【0030】
図4に示すように、前記弁座プレート40には、前記弁座43に前記弁体51が当接した状態で前記アクチュエータ50がネジにより固定される。その際、前記アクチュエータ50には、前記ネジの軸径よりも大きな孔が形成されており、前記弁座43に対する前記弁体51の当接状態を微調整できる。なお、前記アクチュエータ50は、前記弁座プレート40の両面に固定されている。
【0031】
図4に示す状態において、上記アクチュエータ50は、閉弁状態において前記圧電素子52に通電すると、当該圧電素子52が図面上左方向に伸長する。当該圧電素子52の伸長に伴う変位は、前記第1変位拡大機構において、前記第1ヒンジ54を支点、前記第2ヒンジ55を力点、前記第1アーム56の外側先端部を作用点としてテコの原理により拡大され、前記第1アーム56の外側先端部を大きく変位させる。また、前記圧電素子52の伸長に伴う変位は、同様に、前記第2変位拡大機構において、前記第3ヒンジ60を支点、第4ヒンジ61を力点、第2アーム62の外側先端部を作用点として、前記第2アーム62の外側先端部を大きく変位させる。
【0032】
そして、前記第1アーム56の外側先端部と前記第2アーム62の外側先端部の各変位は、前記第1板バネ57及び第2板バネ63を介して前記弁体51を前記弁座43から離間させ、前記気体排出路45を開放する。
【0033】
一方、上記アクチュエータ50は、前記圧電素子52への通電が解除されると該圧電素子52が収縮し、当該収縮が前記第1及び第2変位拡大機構を介して前記弁体51を前記弁座43に着座させ、前記気体排出路45を閉鎖する。
【0034】
図5に示すように、上記圧電式バルブ10は、まず、前記中間スペーサ30を前記バルブ本体20のケース前面にガスケット70を介して当接させた状態でネジにより固定し、次に、前記アクチュエータ50が固定された前記弁座プレート40を前記中間スペーサ30の開口を介して前記バルブ本体20のケース内に挿入した後、前記弁座プレート40の蓋体42を前記中間スペーサ30の前面にガスケット80を介して当接させた状態でネジにより固定することで組み立てられる。
上記圧電式バルブ10は、前記中間スペーサ30が前記弁座プレート40を挿通可能とする二つの開口を有し、前記弁座プレート40の両面には前記アクチュエータ50が固定されているため、気体圧力室を共通とする四つのバルブを並設してなる複合圧電式バルブである。
【0035】
上記圧電式バルブ10は、該圧電式バルブ10を並設することで、複合圧電式バルブのバルブ数を増やすことができる。
また、上記圧電式バルブ10は、前記バルブ本体20のケースの幅を変更することで、該ケース内に挿入する弁座プレート40の数を変更し、バルブ数を変更することもできる。
【0036】
本実施の形態における圧電式バルブ10によれば、アクチュエータ50が両面に固定された状態の弁座プレート40をバルブ本体20に固定することができるので、圧電式バルブ、特に複合圧電式バルブの組立作業を効率的に行うことができる。
【0037】
また、本実施の形態における圧電式バルブ10によれば、前記アクチュエータ50が前記弁座プレート40の両面に固定されるので、前記複合圧電式バルブの気体吹き出し口の間隔を従来に比べ小さくすることができ、複合圧電式バルブをコンパクトなものとすることができる。
【0038】
本実施の形態における圧電式バルブ10は、蓋体42を一体に備える前記弁座プレート40を、前記バルブ本体20のケース前面から組み付けるだけの簡単な作業で組み立てを行うことができる。
【0039】
そして、本実施の形態における圧電式バルブ10は、例えば前記バルブ本体20のケースが複数並設される場合でも、前記弁座プレート40の着脱作業を前記ケースの前面から行えるため、他のケースが障害とならず、従来に比べ組立作業や保守作業の効率が格段に向上する。
【0040】
本実施の形態における圧電式バルブ10は、前記蓋体42に、前記気体圧力室へ供給される圧縮気体の取入口46が形成されるとともに、前記圧電素子用の配線コネクタ47が配設されるので、組立作業や保守作業をより効率的に行うことができる。
【0041】
なお、本実施の形態における圧電式バルブ10において、前記中間スペーサ30を前記バルブ本体20のケース前面に固定する手段、及び前記弁座プレート40の蓋体42を前記中間スペーサ30の前面に固定する手段は、特にネジに限るものでなく、例えば、溶着等を用いることもできる。
本実施の形態における圧電式バルブ10において、上記各部材を溶着等により固定する場合でも、組立を効率的に行えるが、ネジを用いて着脱自在に固定した場合は、前記弁座プレート40を前記バルブ本体20から容易に取り外すことができるので保守作業もより効率よく行うことができることは言うまでもない。
【0042】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
[実施の形態2]
【0043】
図6は、圧電式バルブを構成するプレートの説明図を示す。図7は、圧電式バルブの概略説明図を示す。
本実施の形態においても、プレート140は、アクチュエータ50の取り付け部を両面に備える。前記アクチュエータ50は、図3に示すものを利用するため、ここでの説明は省略する。
【0044】
図7に示すように、本実施の形態の圧電式バルブ110は、バルブ本体120の側面が開口するケースであり、前記プレート140を前記側面からケース内に組み込みネジにより固定する。
【0045】
前記バルブ本体120には、外部の圧縮気体供給源(図示せず)から圧縮気体の供給を受ける気体圧力室121が形成される。また、前記バルブ本体120には、前記アクチュエータ50の弁体51が当接する弁座122と、該弁座122の弁座面から外部へ連通し前記気体圧力室121内の圧縮気体を外部に噴出する気体排出路123が、前記アクチュエータ50の数に応じて複数形成される。
【0046】
したがって、本実施の形態の圧電式バルブ110も、気体圧力室を共通とする複数のバルブを並設してなる複合圧電式バルブを構成することができる。
また、本実施の形態の圧電式バルブ110も、該圧電式バルブ110を並設することで、複合圧電式バルブのバルブ数を増やすことができる。
【0047】
なお、本実施の形態の圧電式バルブ110が、バルブ本体120の側面を蓋部材等により密閉した状態で使用されることは言うまでもない。
【0048】
本実施の形態においても、上記圧電式バルブ110は、アクチュエータ50が両面に固定された状態の前記プレート140を前記バルブ本体120に固定するので、圧電式バルブ、特に複合圧電式バルブの組立作業を効率的に行うことができる。
また、本実施の形態における圧電式バルブ110も、バルブ本体120の側面に蓋部材を固定する場合を含め、上記各部材を溶着等により固定することができる。
【0049】
<光学式粒状物選別機>
次に、上記各実施の形態における圧電式バルブを利用した噴風ノズルを備える光学式粒状物選別機について説明する。
図8は、光学式粒状物選別機の内部構造を簡略化して示した要部側断面図を示す。図9は、光学式粒状物選別機における制御ブロック図を示す。
光学式粒状物選別機210は、上部にタンク220と振動フィーダ230とからなる粒状物供給部を有する。粒状物供給部の下方には所定幅を有する傾斜状シュート240が配置される。
前記粒状物供給部から供給された粒状物は、前記傾斜状シュート240上を幅方向に広がって連続状に自然流下した後、その下端から所定の落下軌跡に沿って空中に放出される。
【0050】
前記所定の落下軌跡の前後には、前記傾斜状シュート240の幅方向に平行に直線状に延びる粒状物検出位置Oにおいて粒状物を撮像する少なくとも一対の光学検出装置250a,250bが対向して配設される。各光学検出装置250a,250bは、それぞれCCDラインセンサを内蔵するCCDカメラ等の撮像手段251a,251b、蛍光灯等からなる照明手段252a,252b、及び前記粒状物を撮像する際の背景となるバックグラウンド253a,253b等から構成される。
【0051】
また、前記粒状物検出位置Oの下方には、不良品等をエアの噴風により除去する噴風装置270が配設される。前記噴風装置270は、上記圧電式バルブ10,110を複数並設して組み込んだ噴風ノズル271と、該噴風ノズル271に圧縮空気を送る圧縮空気供給装置273を備え、前記各光学検出装置250a,250bの検出結果に基づいて、前記傾斜状シュート240の下端から放出される粒状物を、該粒状物の落下軌跡の幅方向各位置に対応して設けられる前記噴風ノズル271の複数のノズル孔からのエアの噴射により吹き飛ばす。なお、前記圧電式バルブ10,110の圧電素子52は、駆動装置272の駆動回路と電気的に接続される。
【0052】
上記光学式粒状物選別機210において、前記傾斜状シュート240を幅方向に広がって連続状に自然流下した後、その下端から所定の落下軌跡に沿って空中に放出される粒状物は、前記粒状物検出位置Oにおいて前記各光学検出装置250a,250bの撮像手段251a,251bにより撮像され、当該撮像データが制御装置260に送られる。該制御装置260は、前記撮像データに基づいて不良品等の除去すべき粒状物を特定するとともに当該粒状物の大きさ等に関する情報を取得し、前記不良品等の排除信号を前記駆動装置272に送る。
【0053】
前記噴風装置270は、前記駆動装置272に送られる前記排除信号に基づいて前記複数の圧電式バルブ10,110を選択的に駆動し、前記傾斜状シュート240の幅方向に平行に直線状に延びる粒状物排除位置Eを通過する不良品等に対し、該幅方向の各位置に対応して設けられる前記噴風ノズル271の各ノズル孔からエアを噴風する。
【0054】
そして、前記噴風ノズル271の各ノズル孔からの噴風により吹き飛ばされた不良品等は、不良品排出口281から機外に排出される。また、噴風により吹き飛ばされることなく所定の落下軌跡をそのまま通過した良品等は、良品排出口282から回収される。
【0055】
上記光学式粒状物選別機において、選別対象となる粒状物は、代表的には穀物粒、特に米粒であるが、必ずしも穀物粒に限られるわけではなく、その対象物は、噴風によって吹き飛ばすことが可能な大きさと質量である限り何でも構わない。
【0056】
以上のとおり、上記光学式粒状物選別機は、前記噴風ノズル271が上記圧電式バルブ10を備えるので、組立作業を効率よく行うことができる。
【0057】
なお、本発明の圧電式バルブが備えるアクチュエータは、上記各実施の形態において説明するものに限定されない。
例えば、前記アクチュエータは、変位拡大機構が弁体の動作方向の軸線に対して非対称に配置されるものでもよいし、変位拡大機構が一つのみ配置されるものでもよい。
また、前記アクチュエータは、弁体がアーム部材の一端部に接合されるものでもよい。
さらに、前記アクチュエータは、圧電素子の長手方向軸線が弁体の動作方向に一致するものでなくてもよい。
【0058】
本発明は、上記実施の形態に限るものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の圧電式バルブは、組立作業を効率よく行うことができるため、極めて利用価値が高い。
【符号の説明】
【0060】
10 圧電式バルブ
20 バルブ本体
30 中間スペーサ
40 弁座プレート
41 アクチュエータ取り付け部
42 蓋体
43 弁座
44 気体吹き出し口
45 気体排出路
46 圧縮気体取入口
47 配線コネクタ
50 アクチュエータ
51 弁体
52 圧電素子
53 変位拡大機構
54 第1ヒンジ
55 第2ヒンジ
56 第1アーム
57 第1板バネ
58 ベース基板
59 キャップ部材
60 第3ヒンジ
61 第4ヒンジ
62 第2アーム
63 第2板バネ
110 圧電式バルブ
120 バルブ本体
121 気体圧力室
122 弁座
123 気体排出路
140 プレート
210 光学式粒状物選別機
240 傾斜状シュート
250a,250b 光学検出装置
251a,251b CCDカメラ(撮像手段)
260 制御装置
270 噴風装置
271 噴風ノズル
273 圧縮空気供給装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9