(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バルブハウジングの片側に前記リターンリングを配置し、リターンリングを第1室に臨ませ、バルブハウジングを第2室に臨ませてなる請求項1に記載のバルブ装置。
前記リターンリングの両側に第1と第2の前記各バルブハウジングを配置し、第1のバルブハウジングを第2室に臨ませ、第2のバルブハウジングを第1室に臨ませてなる請求項1に記載のバルブ装置。
前記バルブハウジングの両側に第1と第2の前記各リターンリングを配置し、第1のリターンリングを第1室に臨ませ、第2のリターンリングを第2室に臨ませてなる請求項1に記載のバルブ装置。
【背景技術】
【0002】
油圧緩衝器の第1室と第2室の間に設けられるバルブ装置として、特許文献1に記載のものがある。このバルブ装置は、
図12に示す如く、油圧緩衝器の第1室Aと第2室Bの間に設けられ、バルブハウジング1の外筒1Aと内筒1Bの間にリターンリング2を固定し、バルブハウジング1の内筒1Bに該内筒1Bと固定的に設置されているバルブ支持部材1Cに板バルブ3を固定し、リターンリング2の内周と板バルブ3の外周との間に環状間隙Gを形成するとともに、リターンリング2が備える支持面2Aと板バルブ3のバルブ面3Aを面一にし、バルブハウジング1の内筒1Bの溝内に装填されるチェックバルブ4を、リターンリング2の支持面2Aと板バルブ3のバルブ面3Aに接離可能に設けたものである。
【0003】
このとき、バルブハウジング1の内筒1Bの溝内には、チェックバルブ4を背面支持するチェックバルブスプリング5が設けられ、チェックバルブ4をリターンリング2の支持面2Aと板バルブ3のバルブ面3Aに向けて付勢している。
【0004】
油圧緩衝器の伸長行程では、第1室Aが第2室Bより低圧になる結果、
図12(A)に示す如く、第2室Bの油がチェックバルブ4を押し込んで開き、リターンリング2と板バルブ3の環状間隙Gを通って第1室Aに流入する。
【0005】
他方、油圧緩衝器の圧縮行程では、第1室Aが第2室Bより高圧になる結果、
図12(B)に示す如く、第1室Aの油が板バルブ3を撓み変形させて開き、リターンリング2と板バルブ3の環状間隙Gを通って第2室Bに流入し、板バルブ3の撓み変形に起因する流路抵抗により圧側減衰力を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のバルブ装置では、バルブハウジング1にリターンリング2を固定する荷重と、バルブハウジング1に板バルブ3を固定する荷重の両方を確保する必要があり、これらのリターンリング2の支持面2Aと板バルブ3のバルブ面3Aが同一平面に対してそれぞれ固定される必要がある。このため、リターンリング2と板バルブ3の寸法バラツキを許容するには、リターンリング2を固定する締結手段と板バルブ3を固定する締結手段を別個に用意する必要があり、複雑である。
【0008】
また、チェックバルブ4とその背後のチェックバルブスプリング5をバルブハウジング1の内筒1Bの溝内に挿入し、その上から板バルブ3を組付ける必要がある。即ち、チェックバルブスプリング5の弾発力により内筒1Bの溝から飛び出そうとするチェックバルブ4の上に板バルブ3を組付けるので、組付作業性が悪い。
【0009】
本発明の課題は、リターンリングと板バルブとチェックバルブを有し、リターンリングの支持面と板バルブのバルブ面を同一平面に固定して構成されるバルブ装置において、リターンリングと板バルブの寸法バラツキを簡易に許容するとともに、組付作業性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、油圧緩衝器の第1室と第2室の間に設けられ、バルブハウジングの内周側に該バルブハウジングと固定的に設置されているバルブ支持部材に、チェックバルブと板バルブと弾性体とリターンリングを順に挿着して固定化してなり、バルブハウジングとリターンリングのそれぞれに、チェックバルブと板バルブを介して第1室と第2室を連絡する連絡流路を形成してなるバルブ装置であって、チェックバルブが、内径部と、外径部と、内径部の外周の一部と外径部の内周の一部のそれぞれに連結部により連結されて支持されるベンディング部とを有し、内径部とベンディング部との間に内径側スリットを備えるとともに、外径部とベンディング部との間に外径側スリットを備え、ベンディング部を板バルブのバルブ面と接離可能にしてなり、バルブハウジングの内周支持面及び/又はリターンリングの内周支持面が、弾性体と板バルブの内周部とチェックバルブの内径部を支持し、バルブハウジングの外周支持面及び/又はリターンリングの外周支持面が、チェックバルブの外径部を支持し、バルブハウジングの環状の連絡流路内に、チェックバルブのベンディング部と内径側スリットと外径側スリットを納め、リターンリングの環状の連絡流路に、チェックバルブのベンディング部と板バルブを臨ませてなるようにしたものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記バルブハウジングの内周支持面と外周支持面を面一に設定してなるようにしたものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記バルブハウジングの片側に前記リターンリングを配置し、リターンリングを第1室に臨ませ、バルブハウジングを第2室に臨ませてなるようにしたものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記リターンリングの両側に第1と第2の前記各バルブハウジングを配置し、第1のバルブハウジングを第2室に臨ませ、第2のバルブハウジングを第1室に臨ませてなるようにしたものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記バルブハウジングの両側に第1と第2の前記各リターンリングを配置し、第1のリターンリングを第1室に臨ませ、第2のリターンリングを第2室に臨ませてなるようにしたものである。
【0015】
請求項6に係る発明は、シリンダにピストンロッドを挿入してなる油圧緩衝器であって、請求項1〜5のいずれかに記載のバルブ装置をピストンロッドの挿入端に設け、該バルブ装置をシリンダのピストン側油室とロッド側油室の間に設けてなるようにしたものである。
【0016】
請求項7に係る発明は、シリンダにピストンロッドを挿入し、シリンダのピストン側油室に連通する油溜室を備えてなる油圧緩衝器であって、請求項1〜5のいずれかに記載のバルブ装置をシリンダのピストン側油室と油溜室との間に設けてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0017】
(請求項1)
(a)バルブハウジングの内周支持面及び/又はリターンリングの内周支持面が、弾性体と板バルブの内周部とチェックバルブの内径部を支持し、バルブハウジングの外周支持面及び/又はリターンリングの外周支持面が、チェックバルブの外径部を支持するものにした。弾性体が、リターンリングと板バルブの寸法バラツキを吸収し、リターンリングの外周支持面と板バルブのバルブ面を同一平面に固定できる。従って、リターンリングと板バルブの寸法バラツキを簡易に許容できる。
【0018】
(b)バルブハウジングの内周側に設置したバルブ支持部材に、チェックバルブと板バルブと弾性体とリターンリングを順に挿着して固定化する。従って、リターンリングの内周支持面で弾性体を加圧してバルブ支持部材に固定することで、リターンリングと板バルブとチェックバルブを簡易に組付けでき、組付作業性を向上できる。
【0019】
(c)弾性体の荷重は任意に設定できる。弾性体の荷重を低めに設定することで、板バルブの撓み変形に起因する減衰力がある程度以上に上がると、ブロー特性を与えることができる。逆に、弾性体の荷重を十分に高く設定することで、通常の減衰力の使用状態では、ブローの存在を無視することができる。
【0020】
(請求項2)
(d)前記バルブハウジングの内周支持面と外周支持面を面一に設定した。このバルブハウジングの内周支持面と外周支持面に接する平板状のチェックバルブを介して、リターンリングの外周支持面と板バルブのバルブ面を確実に同一平面に固定できる。
【0021】
(請求項3)
(e)油圧緩衝器の第2室が加圧される伸長行程で、板バルブが撓み変形し、伸側減衰力を発生するものになる。
【0022】
(請求項4)
(f)油圧緩衝器の第1室が加圧される圧縮行程で、第2のバルブハウジングの環状流路内に納められているチェックバルブのベンディング部に接している板バルブが撓み変形し、圧側減衰力を発生するものになる。
【0023】
油圧緩衝器の第2室が加圧される伸長行程で、第1のバルブハウジングの環状流路内に納められているチェックバルブのベンディング部に接している板バルブが撓み変形し、伸側減衰力を発生するものになる。
【0024】
(請求項5)
(g)油圧緩衝器の第1室が加圧される圧縮行程で、第2のリターンリングの環状流路に臨んでいる板バルブが撓み変形し、圧側減衰力を発生するものになる。
【0025】
油圧緩衝器の第2室が加圧される伸長行程で、第1のリターンリングの環状流路に臨んでいる板バルブが撓み変形し、伸側減衰力を発生するものになる。
【0026】
(請求項6)
(h)シリンダにピストンロッドを挿入してなる油圧緩衝器であって、上述(a)〜(g)のバルブ装置をピストンロッドの挿入端に設け、該バルブ装置をシリンダのピストン側油室とロッド側油室の間に設けることにより、上述(a)〜(g)の作用効果を奏するものになる。
【0027】
(請求項7)
(i)シリンダにピストンロッドを挿入し、シリンダのピストン側油室に連通する油溜室を備えてなる油圧緩衝器であって、上述(a)〜(g)のバルブ装置をシリンダのピストン側油室と油溜室との間に設けることにより、上述(a)〜(g)の作用効果を奏するものになる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施例1)(
図1〜
図5)
図1に示す油圧緩衝器10は、不図示の懸架ばねと一体化されたリヤクッションユニットとして、自動二輪車の後輪側の車体と車軸間に配置されて使用される。油圧緩衝器10は、路面から受ける衝撃を吸収する懸架ばねの伸縮振動を減衰して車体を制振させる。
【0030】
油圧緩衝器10は、シングルチューブからなるシリンダ11内に作動油が充填されるとともに、ピストンロッド12が摺動自在に挿入される。ピストンロッド12の挿入端にナット14により固定化されるピストン13にて、シリンダ11内の油室15がピストン側油室15A(第1室)とロッド側油室15B(第2室)に区画される。ピストン13は、後述するバルブ装置100からなる。
【0031】
油圧緩衝器10は、シリンダ11の延長部11Aに設けた連通路21を介して、シリンダ11のピストン側油室15Aとリザーバタンク22の油溜室23とを連通している。リザーバタンク22は、ゴム製の隔膜25を有し、空気が充填されるガス室24を油溜室23と区画している。リザーバタンク22の油溜室23は、油圧緩衝器10の圧縮或いは伸長行程で、シリンダ11の油室15に進入或いは退出するピストンロッド12の容積変化分の作動油を補償する。
【0032】
バルブ装置100は、
図2〜
図4に示す如く、油圧緩衝器10のピストン側油室15Aとロッド側油室15Bの間に設けられる。そして、バルブ装置100は、バルブハウジング31の内周側にバルブハウジング31と固定的に設置されているバルブ支持部材、本実施例ではピストンロッド12に、バルブハウジング31とチェックバルブ41と板バルブ51と弾性体61とリターンリング71を、この順に挿着し、ナット14により固定化している。ピストン13の外郭体であるリターンリング71の外周に設けた環状溝には、シリンダ11の内周に摺接するピストンリング13Aが嵌着されている。
【0033】
即ち、バルブ装置100は、バルブハウジング31の片側にリターンリング71を配置し、リターンリング71をピストン側油室15A(第1室)に臨ませ、バルブハウジング31をロッド側油室15B(第2室)に臨ませている。そして、バルブ装置100は、バルブハウジング31とリターンリング71のそれぞれの周方向複数位置に、チェックバルブ41と板バルブ51を介してピストン側油室15Aとロッド側油室15Bを連絡する小孔状の連絡流路31P、71Pを形成している。
【0034】
ここで、チェックバルブ41は、均一な薄肉厚の円板状平板からなり、
図4に示す如く、内径部41Aと、外径部41Bと、内径部41Aの外周の一部(例えば同一直径上の2カ所)と外径部41Bの内周の一部(例えば同一直径上の2カ所)のそれぞれに連結部41Cにより連結されて支持されるベンディング部41Dとを有する。そして、チェックバルブ41は、内径部41Aとベンディング部41Dとの間に円弧状の内径側スリット41Eを備えるとともに、外径部41Bとベンディング部41Dとの間に円弧状の外径側スリット41Fを備える。チェックバルブ41のベンディング部41Dは、内径部41A、外径部41Bに対しベンディング部41Dを介して撓み変形し、板バルブ51のバルブ面51Vと接離可能にする。
【0035】
また、リターンリング71はピストンロッド12に挿着される中心孔を備え、その周囲に前述の連絡流路71Pを形成したドーム状をなし、中心側の内周支持面71Aと外周側の外周支持面71Bを備える。リターンリング71の内周支持面71Aは、ゴム等の環状体からなる弾性体61を介して板バルブ51の内周部51Aとチェックバルブ41の内径部41Aをバルブハウジング31の内周支持面31Aに挟圧支持する。リターンリング71の外周支持面71Bは、チェックバルブ41の外径部41Bをバルブハウジング31の外周支持面31Bに挟圧支持する。
【0036】
また、バルブハウジング31は内周支持面31Aと外周支持面31Bの間に、各連絡流路31Pが連通する環状の連絡流路31Rを備える。バルブハウジング31は、連絡流路31R内に、チェックバルブ41のベンディング部41Dと内径側スリット41Eと外径側スリット41Fを納める。
【0037】
また、リターンリング71は内周支持面71Aと外周支持面71Bの間に、各連絡流路71Pが連通する環状の連絡流路71Rを備える。リターンリング71は、連絡流路71Rに、チェックバルブ41のベンディング部41Dと板バルブ51を臨ませている。
【0038】
尚、バルブハウジング31の内周支持面31Aと外周支持面31Bは面一をなすように設定されている。
【0039】
油圧緩衝器10の伸長行程で、
図5(A)に示す如く、ロッド側油室15Bがピストン側油室15Aより高圧になる結果、ロッド側油室15Bの作動油がチェックバルブ41の内径側スリット41Eを通過して板バルブ51を撓み変形させ、ピストン側油室15Aに流入する。作動油がこの板バルブ51を撓み変形させるときに、伸側減衰力が発生する。尚、この伸長行程でシリンダ11の油室15から退出するピストンロッド12の容積変化分の作動油が油溜室23から油室15に補給される。
【0040】
油圧緩衝器10の圧縮行程で、
図5(B)に示す如く、ピストン側油室15Aがロッド側油室15Bより高圧になる結果、ピストン側油室15Aの作動油がチェックバルブ41のベンディング部41Dを押し開き、内径側スリット41E、外径側スリット41Fを経てロッド側油室15Bに流入する。尚、この圧縮行程でシリンダ11の油室15に進入するピストンロッド12の容積変化分の作動油が油室15から油溜室23に排出される。
【0041】
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)リターンリング71の内周支持面71Aが、弾性体61と板バルブ51の内周部51Aとチェックバルブ41の内径部41Aをハウジング31の内周支持面31Aに挟圧支持し、リターンリング71の外周支持面71Bが、チェックバルブ41の外径部41Bをバルブハウジング31の外周支持面31Bに挟圧支持するものにした。弾性体61が、リターンリング71と板バルブ51の寸法バラツキを吸収し、リターンリング71の外周支持面71Bと板バルブ51のバルブ面51Vを同一平面に固定できる。従って、リターンリング71と板バルブ51の寸法バラツキを簡易に許容できる。
【0042】
(b)バルブハウジング31の内周側に設置したバルブ支持部材としてのピストンロッド12に、チェックバルブ41と板バルブ51と弾性体61とリターンリング71を順に挿着して固定化する。従って、リターンリング71の内周支持面71Aで弾性体61を加圧してバルブ支持部材としてのピストンロッド12に固定することで、リターンリング71と板バルブ51とチェックバルブ41を簡易に組付けでき、組付作業性を向上できる。
【0043】
(c)弾性体61の荷重は任意に設定できる。弾性体61の荷重を低めに設定することで、板バルブ51の撓み変形に起因する減衰力がある程度以上に上がると、ブロー特性を与えることができる。逆に、弾性体61の荷重を十分に高く設定することで、通常の減衰力の使用状態では、ブローの存在を無視することができる。
【0044】
(d)前記バルブハウジング31の内周支持面31Aと外周支持面31Bを面一に設定した。このバルブハウジング31の内周支持面31Aと外周支持面31Bに接する平板状のチェックバルブ41を介して、リターンリング71の外周支持面と板バルブ51のバルブ面51Vを確実に同一平面に固定できる。
【0045】
(e)油圧緩衝器10のロッド側油室15Bが加圧される伸長行程で、板バルブ51が撓み変形し、伸側減衰力を発生するものになる。
【0046】
(実施例2)(
図6、
図7)
実施例2が実施例1と異なる点は、油圧緩衝器10において、ピストンロッド12に固定されたピストン13のバルブ装置100をバルブ装置200に代えたことにある。
【0047】
バルブ装置200は、リターンリング71の両側に第1と第2のバルブハウジング31、32を配置し、第1のバルブハウジング31をロッド側油室15B(第2室)に臨ませ、第2のバルブハウジング32をピストン側油室15A(第1室)に臨ませている。
【0048】
バルブ装置200は、第1と第2のバルブハウジング31、32の内周側に該バルブハウジング31、32と固定的に配置しているバルブ支持部材、本実施例ではピストンロッド12に、第1のバルブハウジング31、第1のチェックバルブ41を挿着し、更に該チェックバルブ41の内周側の上に第1の板バルブ51、弾性体61、第2の板バルブ52を挿着するとともに、該チェックバルブ41の外周側の上にリターンリング71を挿着し、このリターンリング71と第2の板バルブ52の上に第2のチェックバルブ42、第2のバルブハウジング32を、この順に挿着し、ナット14により固定化している。ピストン13の外郭体であるリターンリング71の外周に設けた環状溝には、シリンダ11の内周に摺接するピストンリング13Aが嵌着されている。
【0049】
そして、バルブ装置200は、第1と第2のバルブハウジング31、32の周方向複数カ所と、リターンリング71のそれぞれに、第1のチェックバルブ41と第1の板バルブ51、第2のチェックバルブ42と第2の板バルブ52を介してピストン側油室15Aとロッド側油室15Bを連絡する小孔状の連絡流路31P、32Pと、環状の連絡流路71Rを形成している。
【0050】
ここで、第1のチェックバルブ41は、実施例1のチェックバルブ41と同一である。第2のチェックバルブ42も、実施例1のチェックバルブ41と同様であり、内径部42A、外径部42B、連結部42C、ベンディング部42D、内径側スリット42E、外径側スリット42Fを備える。
【0051】
また、第1の板バルブ51は、実施例1の板バルブ51と同一である。第2の板バルブ52も、実施例1の板バルブ51と同様であり、バルブ面52Vを備える。
【0052】
また、弾性体61は、実施例1の弾性体61と同一である。
【0053】
また、第1と第2のバルブハウジング31、32の内周支持面31A、32Aが、弾性体61と第1と第2の板バルブ51、52の内周部51A、52Aと第1と第2のチェックバルブ41、42の内径部41A、42Aを挟圧支持する。
【0054】
また、第1と第2のバルブハウジング31、32の外周支持面31B、32Bが、第1と第2のチェックバルブ41、42の外径部41B、42Bをリターンリング71の上下両側の外周支持面71B、71Bに挟圧支持する。
【0055】
また、第1のバルブハウジング31は内周支持面31Aと外周支持面31Bの間に、各連絡流路31Pが連通する環状の連絡流路31Rを備える。第1のバルブハウジング31は、連絡流路31R内に、第1のチェックバルブ41のベンディング部41Dと内径側スリット41Eと外径側スリット41Fを納める。
【0056】
また、第2のバルブハウジング32は内周支持面32Aと外周支持面32Bの間に、各連絡流路32Pが連通する環状の連絡流路32Rを備える。第2のバルブハウジング32は、連絡流路32R内に、第2のチェックバルブ42のベンディング部42Dと内径側スリット42Eと外径側スリット42Fを納める。
【0057】
また、リターンリング71は、前述の連絡流路71Rに、第1のチェックバルブ41のベンディング部41Dと第1の板バルブ51を臨ませるとともに、第2のチェックバルブ42のベンディング部42Dと第2の板バルブ52を臨ませる。
【0058】
尚、第1のバルブハウジング31の内周支持面31Aと外周支持面31Bは面一をなすように設定され、第2のバルブハウジング32の内周支持面32Aと外周支持面32Bは面一をなすように設定される。
【0059】
油圧緩衝器10の伸長行程で、ロッド側油室15Bがピストン側油室15Aより高圧になる結果、ロッド側油室15Bの作動油が第1のチェックバルブ41の内径側スリット41Eを通過して第1の板バルブ51を撓み変形させ、第2のチェックバルブ42のベンディング部42Dを押し開いて内径側スリット42E、外径側スリット42Fからピストン側油室15Aに流入する。作動油がこの第1の板バルブ51を撓み変形させるときに、伸側減衰力が発生する。尚、この伸長行程でシリンダ11の油室15から退出するピストンロッド12の容積変化分の作動油が油溜室23から油室15に補給される。
【0060】
油圧緩衝器10の圧縮行程で、ピストン側油室15Aがロッド側油室15Bより高圧になる結果、ピストン側油室15Aの作動油が第2のチェックバルブ42の内径側スリット42Eを通過して第2の板バルブ52を撓み変形させ、第1のチェックバルブ41のベンディング部41Dを押し開いて内径側スリット41E、外径側スリット41Fからロッド側油室15Bに流入する。尚、この圧縮行程でシリンダ11の油室15に進入するピストンロッド12の容積変化分の作動油が油室15から油溜室23に排出される。
【0061】
従って、本実施例によれば、実施例1におけると実質的に同様にして、リターンリング71と第1と第2の板バルブ51、52と第1と第2のチェックバルブ41、42を有し、リターンリング71の上下両側の支持面71Bと第1と第2の板バルブ51、52のバルブ面51V、52Vを同一平面に固定して構成されるバルブ装置200において、リターンリング71と第1と第2の板バルブ51、52の寸法バラツキを簡易に許容するとともに、組付作業性を向上することができる。
【0062】
(実施例3)(
図8、
図9)
実施例3が実施例2と異なる点は、油圧緩衝器10において、ピストンロッド12に固定化したピストン13のバルブ装置200をバルブ装置300に代えたことにある。
【0063】
バルブ装置300は、バルブハウジング31の両側に第1と第2のリターンリング71、72を配置し、第1のリターンリング71をピストン側油室15A(第1室)に臨ませ、第2のリターンリング72をロッド側油室15B(第2室)に臨ませている。
【0064】
バルブ装置300は、バルブハウジング31の内周側に該バルブハウジング31と固定的に設置されているバルブ支持部材、本実施例ではピストンロッド12に、第2のリターンリング72、第2の弾性体62、第2の板バルブ52、第2のチェックバルブ42、バルブハウジング31、第1のチェックバルブ41、第1の板バルブ51、第1の弾性体61、第1のリターンリング71を、この順に挿着し、ナット14により固定化している。ピストン13の外郭体である第1のリターンリング71の外周に設けた環状溝には、シリンダ11の内周に摺接するピストンリング13Aが嵌着されている。
【0065】
そして、バルブ装置300は、バルブハウジング31と第1と第2のリターンリング71、72のそれぞれの周方向複数カ所に、第1のチェックバルブ41と第1の板バルブ51、第2のチェックバルブ42と第2の板バルブ52を介してピストン側油室15Aとロッド側油室15Bを連絡する小孔状の連絡流路31P、71P、72Pを形成している。
【0066】
ここで、第1と第2のチェックバルブ41、42は、実施例2のチェックバルブ41、42と同一である。
【0067】
また、第1と第2の板バルブ51、52は、実施例2の板バルブ51、52と同一である。
【0068】
また、第1の弾性体61は、実施例2の弾性体61と同一である。第2の弾性体62も、実施例2の弾性体61と同様である。
【0069】
また、第1と第2のリターンリング71、72の内周支持面71A、72Aが、第1の弾性体61と第1の板バルブ51と第1のチェックバルブ41とバルブハウジング31の上下両側の内周支持面31Aと第2のチェックバルブ42と第2の板バルブ52と第2の弾性体62と第2のリターンリング72を挟圧支持する。
【0070】
また、第1と第2のリターンリング71、72の外周支持面71B、72Bが、第1と第2のチェックバルブ41、42の外径部41B、42Bをバルブハウジング31の上下両側の外周支持面31Bに挟圧支持する。
【0071】
また、バルブハウジング31は内周支持面31Aと外周支持面31Bの間の上下両面に、各連絡流路31Pが連通する環状の連絡流路31Rを備える。バルブハウジング31は、上下両側の連絡流路31R内に、第1と第2のチェックバルブ41、42のベンディング部41D、42Dと内径側スリット41E、42Eと外径側スリット41F、42Fを納める。
【0072】
また、第1と第2のリターンリング71、72は、内周支持面71A、72Aと外周支持面71B、72B間に、各連絡流路71P、72Pが連通する環状の連絡流路71R、72Rを備える。第1と第2のリターンリング71、72は、連絡流路71R、72Rに、第1と第2のチェックバルブ41、42のベンディング部41D、42Dと第1と第2の板バルブ51、52を臨ませている。
【0073】
尚、バルブハウジング31の上下両側で、内周支持面31Aと外周支持面31Bは面一をなすように設定されている。
【0074】
油圧緩衝器10の伸長行程で、ロッド側油室15Bがピストン側油室15Aより高圧になる結果、ロッド側油室15Bの作動油が第2のチェックバルブ42のベンディング部42Dを押し開き、内径側スリット42E、外径側スリット42Fを通過し、更に第1のチェックバルブ41の内径側スリット41Eを通過して第1の板バルブ51を撓み変形させ、ピストン側油室15Aに流入する。作動油がこの第1の板バルブ51を撓み変形させるときに、伸側減衰力が発生する。尚、伸長行程でシリンダ11の油室15から退出するピストンロッド12の容積変化分の作動油が油溜室23から油室15に補給される。
【0075】
油圧緩衝器10の圧縮行程で、ピストン側油室15Aがロッド側油室15Bより高圧になる結果、ピストン側油室15Aの作動油が第1のチェックバルブ41のベンディング部41Dを押し開き、内径側スリット41E、外径側スリット41Fを通過し、更に第2のチェックバルブ42の内径側スリット42Eを通過して第2の板バルブ52を撓み変形させ、ロッド側油室15Bに流入する。作動油がこの第2の板バルブ52を撓み変形させるときに、圧側減衰力が発生する。尚、この圧縮行程でシリンダ11の油室15に進入するピストンロッド12の容積変化分の作動油が油室15から油溜室23に排出される。
【0076】
従って、本実施例によれば、実施例1、2におけると実質的に同様にして、第1と第2のリターンリング71、72と第1と第2の板バルブ51、52と第1と第2のチェックバルブ41、42を有し、第1と第2のリターンリング71、72の支持面71B、72Bと第1と第2の板バルブ51、52のバルブ面51V、52Vを同一平面に固定して構成されるバルブ装置300において、第1と第2のリターンリング71、72と第1と第2の板バルブ51、52の寸法バラツキを簡易に許容するとともに、組付作業性を向上することができる。
【0077】
(実施例4)(
図10、
図11)
実施例4が実施例1と異なる点は、実施例1におけると実質的に同一のバルブ装置100をシリンダ11のピストン側油室15Aとリザーバタンク22の油溜室23との間に設けたことにある。
【0078】
尚、
図10において、16は減衰力調整アジャスタを示す。減衰力調整アジャスタ16は、ピストンロッド12の中空部に挿通してあるニードル弁を移動し、このニードル弁によりピストンロッド12の中空部に設けられてピストン側油室15Aとロッド側油室15Bを連通しているバイパス流路の開口面積を変更し、減衰力を調整する。また、
図10において、26はリザーバタンク22のガス室24を閉塞する閉塞部材、27はガス室24に空気を供給するためのエアバルブを示す。
【0079】
即ち、シリンダ11の延長部11Aに設けたバルブ装填孔11Bに前述のバルブ装置100を嵌着し、バルブ装填孔11Bの開口に螺着されるキャップ80によりこのバルブ装置100をバルブ装填孔11Bの最奥部に固定化している。本実施例のバルブ装置100では、バルブハウジング31と一体をなすバルブ支持部材としての支持ロッド81を該バルブハウジング31の内周側に設けている。そして、このバルブハウジング31の支持ロッド81に、チェックバルブ41と板バルブ51と弾性体61とリターンリング71をこの順で挿着し、バルブハウジング31をバルブ装填孔11Bの最奥部に位置付けたものである。これにより、バルブ装置100は、リターンリング71をキャップ80に設けた伸圧共用室82、流路82Aを介してリザーバタンク22の油溜室23に臨ませ、バルブハウジング31をシリンダ11の延長部11Aに設けた連通路21に臨ませるものである。
【0080】
尚、バルブ装置100は、バルブハウジング31及び支持ロッド81の中心部にバルブハウジング31、リターンリング71の連絡流路31P、71Pと並列をなすバイパス流路83を設け、このバイパス流路83により伸圧共用室82と連通路21とを連通可能にする。一方、キャップ80には圧側ニードルバルブ84が液密に挿着かつ螺合されている。ニードルバルブ84の外部に臨んでいる操作部84Aを回転操作することにより、ニードルバルブ84の先端部がバイパス流路83の流路面積を変更し、圧側減衰力が調整される。
【0081】
油圧緩衝器10の伸長行程で、油溜室23がピストン側油室15Aより高圧になる結果、油溜室23の作動油がチェックバルブ41のベンディング部41Dを押し開き、内径側スリット41E、外径側スリット41Fを経てピストン側油室15Aに流入する。尚、この伸長行程でシリンダ11の油室15から退出するピストンロッド12の容積変化分の作動油が油溜室23から油室15に補給される。
【0082】
油圧緩衝器10の圧縮行程で、ピストン側油室15Aの油溜室23より高圧になる結果、ピストン側油室15Aの作動油がチェックバルブ41の内径側スリット41Eを通過して板バルブ51を撓み変形させ、油溜室23に流入する。作動油がこの板バルブ51を撓み変形させるときに、圧側減衰力が発生する。尚、この圧縮行程でシリンダ11の油室15に進入するピストンロッド12の容積変化分の作動油が油室15から油溜室23に排出される。
【0083】
従って、本実施例によれば、実施例1におけると実質的に同様にして、リターンリング71と板バルブ51とチェックバルブ41を有し、リターンリング71の支持面71Bと板バルブ51のバルブ面51Vを同一平面に固定して構成されるバルブ装置100において、リターンリング71と板バルブ51の寸法バラツキを簡易に許容するとともに、組付作業性を向上することができる。
【0084】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。