特許第5764066号(P5764066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764066
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】電荷パルス検出回路及び1次元のアレイ
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/17 20060101AFI20150723BHJP
   G01T 1/24 20060101ALI20150723BHJP
   H04N 5/357 20110101ALI20150723BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20150723BHJP
【FI】
   G01T1/17 C
   G01T1/24
   H04N5/335 570
   H04N5/335 690
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-536825(P2011-536825)
(86)(22)【出願日】2009年11月11日
(65)【公表番号】特表2012-510148(P2012-510148A)
(43)【公表日】2012年4月26日
(86)【国際出願番号】EP2009064987
(87)【国際公開番号】WO2010057816
(87)【国際公開日】20100527
【審査請求日】2012年10月16日
(31)【優先権主張番号】08169759.1
(32)【優先日】2008年11月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502366228
【氏名又は名称】セーエスウーエム、サントル、スイス、デレクトロニック、エ、ド、ミクロテクニック、ソシエテ、アノニム、ルシェルシュ、エ、デブロプマン
【氏名又は名称原語表記】CSEM CENTRE SUISSE D’ELECTRONIQUE ET DE MICROTECHNIQUE SA RECHERCHE ET DEVELOPPEMENT
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ロット
(72)【発明者】
【氏名】ペーター、ザイツ
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−350552(JP,A)
【文献】 特開2006−078235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00− 7/12
G01S 7/52
G01S 15/89
H04N 5/30− 5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)検知装置(201)と、
b)検知ノード(211)と、
c)入力及び出力を有する能動バッファ(202)と、
d)少なくとも1つの第1の端子及び少なくとも1つの第2の端子を備えた抵抗からなり、前記検知ノード(211)を再充電するための再充電装置(204)と、
e)前記能動バッファ(202)出力に接続されている入力を備えた雑音フィルタ(206)と、
f)一端が前記前記検知ノード(211)に繋がり且つ他端が検知コンデンサDC電位に繋がる検知コンデンサ(205)又は前記検知ノード(211)が有する寄生キャパシタンスと、
を備えた電荷幅を有する電荷パルスを検出するための電荷パルス検出回路であって、
前記検知装置(201)が、前記検知ノード(211)に動作可能に結合され、電荷パルスを前記検知ノード(211)に供給し、
前記能動バッファ(202)の前記入力が前記検知ノード(211)に接続され、
前記再充電装置(204)の前記少なくとも1つの第1の端子が前記検知ノード(211)に接続され、前記少なくとも1つの第2の端子が検知ノードノードDC電位に接続されて、前記検知ノード(211)上においてDC電位を確立するのを可能にし、
前記能動バッファ(202)が開ループ型の単位利得バッファであり、前記再充電装置(204)は電荷パルス幅の期間よりも少なくとも2倍の再充電時間を有し、前記雑音フィルタ(206)の入力が前記能動バッファ(202)の出力に接続され、それによって電荷パルス検出回路は信号電圧パルスを送信するときに、前記再充電装置(204)からの雑音を少なくとも1/2に減少させるものとして構成されている、
ことを特徴とする電荷パルス検出回路。
【請求項2】
前記再充電装置(204)が、前記再充電装置(204)の雑音電力を低周波数レンジに実質的に限定するとともに前記検知ノード(211)上においてDC電位を確立する有限のDCインピーダンス経路であり、雑音が、前記雑音フィルタ(206)によって減衰させられ、その結果として、前記再充電装置(204)の雑音が、少なくとも1/2に減衰する、請求項1に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項3】
前記雑音フィルタ(206)が、前記再充電装置(204)によって生成される雑音の帯域幅よりも高いが入力電荷パルスに応じて生成される信号電圧パルスを送信できるのに十分な遷移周波数を備えた連続時間高域通過フィルタである請求項1又は請求項2に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項4】
前記雑音フィルタ(206)が、前記再充電装置によって生成される雑音の帯域幅よりも高いが信号電圧パルスを送信できるのに十分な下限帯域を備え、かつ、入力電荷パルスに応じて生成される信号電圧パルスを送信できるのに十分な上限帯域を備えた連続時間帯域通過フィルタである、請求項1又は請求項2に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項5】
前記雑音フィルタ(206)が、送信される信号電圧パルスに電圧増幅度を適用する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項6】
検出された電圧パルスを2進ディジタル信号に変換する少なくとも1つの比較器と、前記比較器のディジタル・パルスを計数する少なくとも1つのディジタル・カウンタとをさらに備えた、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項7】
半導体プロセス技術を用いてモノリシックに製造された、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項8】
前記再充電装置(204)、前記能動バッファ(202)の構成要素、及び、前記雑音フィルタ(206)の構成要素の中の少なくとも1つが、MOSトランジスタによって実施される、請求項7に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項9】
前記検知装置(201)が、ホモ接合ダイオード、ヘテロ接合ダイオード、pin接合フォトダイオード、フォトゲート、及び、電荷結合素子の中のいずれか1つによって実施された光電気検出器である、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項10】
検知される物理的特性が、検出されるべき電磁波の量子を表現するフォトンを備え、それぞれのフォトンが、少なくとも1つの電荷キャリアを備えたパルスを生成している、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電荷パルス検出回路。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電荷パルス検出回路からなる少なくとも1次元のアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、電荷パルス及び電流パルスの大きさ及び時間を検出する回路に関する。より詳細には、本発明は、光電子検知装置及びその装置のアレイを用いた電荷パルス検出回路に関し、また、X線フォトンを検出及び計数する応用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電流パルス検出回路は、検知された物理的特性を表現する電荷を供給することのできる検知装置を含むセンサーを含めて幅広い応用機器に使用されている。検知された物理的特性の微小な変化を検出するために、広い帯域幅において大きい電荷−電圧変換率及び小さい雑音を提供する検出回路は、きわめて興味を持たせるものである。
【0003】
図1を参照すると、最先端の電荷パルス検出回路は、通常、検知された物理的特性を表現するある量の電荷を入力ノード111に供給する検知装置101と、容量帰還増幅器を形成するように構成された反転増幅器102及び検知コンデンサ103と、検知コンデンサ103に並列に配置された再充電抵抗104と、寄生キャパシタンスであってもよい入力コンデンサ105とを備える。検知装置101及び大きな値の再充電抵抗104によって供給される短電流パルスに対して、増幅器102は、入力電流パルスの蓄積電荷及び検知コンデンサ103の容量値によって定義されるパルス波高を備えた電圧パルスを出力ノード112上に生成する。その後、入力電荷は、再充電抵抗104を介して入力ノード111からゆっくりと除去され、安定したDC動作電圧点が、増幅器102及び再充電抵抗104の帰還動作によって、入力ノード111上に確立される。最先端の電荷パルス検出回路が、G.Lutz,“Semiconductor Radiation Detectors”,pp.190,Springer,Berlin;Heidelbergに記載されている。
【0004】
回路解析は、十分に大きい積(利得×帯域幅)を備えた反転増幅器102の場合、電荷検出回路の出力電圧に対する入力電流のトランスインピーダンス関数(transimpedance function)は以下のように近似されてもよいことを示している。
【数1】
ここで、vは、出力ノード112上のac電圧であり、iinは、検知装置101によって供給されるac電流であり、Cは、出力ノード112に接続された負荷容量であり、gmは、増幅器102の相互コンダクタンスであり、Rは、再充電抵抗104の抵抗値であり、Cは、検知コンデンサ103の容量値であり、Cは、入力ノード111からacグラウンド・ノードまでの容量の和であり、sは、複素信号周波数である。代わりとなる数学的な項がトランスインピーダンス関数の近似値を表現するのに使用されてもよいことに注意されたい。
【0005】
1/2πRよりも高いがゼロ周波数及び第2極周波数よりも低い周波数に対して、トランスインピーダンスは、1/sCsすなわち検知容量インピーダンスにほぼ等しい。したがって、Cが小さくかつRが検出された電流パルスの幅よりも長いならば、大きい電荷−電圧変換率を達成することができる。
【0006】
説明された最先端の電流パルス検出回路における主たる雑音発生源は、増幅器102及び再充電抵抗104である。増幅器102に起因する雑音は、負荷容量、増幅器相互コンダクタンス、及び、増幅器トランジスタ・デバイス面積を増大させることによって、任意に低減されてもよい。上述したものと同じ仮定における回路解析は、再充電抵抗104によって発生する熱雑音による出力雑音電力スペクトル密度の次の近似値をもたらす。
【数2】
【0007】
代わりとなる数式が再充電抵抗雑音電力スペクトル密度の近似値を表現するのに使用されてもよいことに注意されたい。高い周波数におけるゼロ及び第2極の影響を無視すれば、再充電抵抗雑音に等価な入力ノード電荷RMS変動qni,Rr,prior artは、以下のように近似することができる。
【数3】
ここで、kは、ボルツマン定数であり、Tは、単位がKである絶対温度である。別の代わりとなる式が再充電抵抗雑音等価入力電荷を表現するのに使用されてもよいことに注意されたい。検知装置101によって供給される少ない電荷量において小さな検出回路雑音すなわち大きな信号対雑音比を達成するためには、小さな容量値を有する検知コンデンサ103が望ましいことがわかる。しかしながら、容量値Csに対する現実的な限界が存在し、この限界は、主として、製造プロセスの制約によって決定される。したがって、最先端のパルス検出回路の雑音特性は、特定のプロセス技術に制限される。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、とりわけ、電荷パルス検出回路に関するものである。本発明の実施形態は、検知した物理的特性の大きさを表現する電荷パルスを検知ノード上に供給する検知装置と、検知ノードからバッファ出力ノードへの電圧をバッファリングする能動バッファ回路と、物理的又は仮想的なDC電位にまで検知ノードを再充電する高いが有限のDCインピーダンスを備えた再充電装置と、再充電装置からの雑音を減少させるためにバッファの出力電圧をフィルタリングしかつ出力電圧を出力ノード上に提供する雑音フィルタ回路とを備えてもよい。この出力ノード上において観察される再充電装置による雑音は、例えば、50、40、30、又は、20個の電子又は正孔よりも少ない等価RMS変動にまで減少する。これは、例えば、検知ノード上において観察される再充電装置によるフィルタリングされない雑音の値よりも数倍だけ小さい。例えば、フィルタリングされた雑音は、フィルタリングされない雑音の値の0.5、0.3、0.2、又は、0.1倍であることもある。
【0009】
実施形態は、能動バッファとして、MOSソース・フォロワ回路を使用してもよい。
【0010】
実施形態は、能動バッファとして、1よりも大きい電圧利得を提供する反転電圧増幅器を使用してもよい。
【0011】
実施形態においては、再充電装置は、検知ノードとDC電位との間に接続された抵抗によって、具体化されてもよい。
【0012】
実施形態においては、再充電装置は、反転電圧増幅器の検知ノードと出力ノードとの間に接続された再充電抵抗によって具体化され、さらに、この反転電圧増幅器の入力ノードは、検知ノードに接続されてもよい。
【0013】
実施形態は、再充電装置としてスイッチを使用してもよく、このスイッチは、第1の状態において、低いインピーダンスを備えた物理的又は仮想的なDC電位に検知ノードを接続し、かつ、第2の状態において、この実施形態に関しては、比較的に高いインピーダンス、理想的には、実質的に無限のインピーダンスを介して、検知ノードをこのDC電位から分離する。「分離する」という用語及びこれの文法的な変形は「実質的に」分離するという意味も包含することに注意すべきである。MOSトランジスタがスイッチとして使用される場合、このスイッチのインピーダンスは、このスイッチの開状態において、例えば、1012オームより高くてもよい。
【0014】
実施形態は、帯域通過周波数領域動作又は高域通過周波数領域動作を提供する雑音フィルタを使用してもよい。雑音フィルタは、負荷コンデンサを例えば最大で数ピコ・ファラッドまで駆動することができるほど十分に低い出力インピーダンスを備えた電荷パルス検出回路をもたらす能動回路を含んでもよい。
【0015】
実施形態は、電圧増幅度を通過帯域の周波数に提供する能動帯域通過フィルタ又は高域通過フィルタを雑音フィルタとして使用してもよい。
【0016】
本発明の実施形態は、例えば、電子又は正孔が1つのパルスあたり2個から100個までの範囲に存在するきわめて小さい検出限界を備えた電荷パルスの非同期連続振幅及び到着時間検出を可能にする。本発明は、使用されない周波数レンジにおける雑音フィルタリングによって、検出されたパルスの幅を知ることを利用する。本発明の実施形態は、標準的な集積回路製造技術を用いて、例えば、5、3、4、又は、1マイクロ秒の範囲に存在するようなかなり長いパルスに適合されてもよく、また、例えば、20、10、5、3、又は、1ナノ秒の範囲に存在するようなきわめて短いパルスに適合されてもよい。本発明の実施形態は、1次元又は2次元の集積回路センサー・アレイにおける画素回路として使用されてもよいコンパクトな回路として組み立てることが可能である。
【0017】
本発明の特徴及び利点が、ただ単に例として提供された本発明のいくつかの実施形態に関する以下の説明を添付の図面を参照して考察することによって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来技術による電荷パルス検出回路を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態による電荷パルス検出回路の全体構造の実施形態を示す概略図である。
図3】本発明の実施形態によるMOSトランジスタを用いた特定の電荷パルス検出回路を示す概略図である。
図4図3に概略的に示される実施形態に対応する出力電圧に対する入力信号電流のトランスインピーダンス関数を示す概略図である。
図5図3に概略的に示される実施形態に対応する再充電装置によって生成される雑音のフィルタリングされない電力スペクトル密度及びフィルタリングされた電力スペクトル密度を示す概略図である。
図6】本発明の別の実施形態による反転電圧増幅器及び検知ノードと反転電圧増幅器の出力との間に接続された再充電装置を備えた特定の電荷パルス検出回路を示す概略図である。
図7】本発明の別の実施形態による電圧増幅度を信号電圧パルスに提供する能動帯域通過型雑音フィルタを備えた特定の電荷パルス検出回路を示す概略図である。
図8】本発明のさらに別の実施形態による特定の電荷パルス検出回路を示す概略図であり、ここでは、再充電装置は、検知ノードをリセットするために閉じられかつパルス検出中には開いたままであるリセット・スイッチによって実施される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[略号の説明]
RMS・・・二乗平均平方根
DC・・・直流
AC・・・交流
MOS・・・金属酸化物半導体
CMOS・・・相補型金属酸化物半導体
PSD・・・電力スペクトル密度
W/L・・・MOSトランジスタのゲート長に対するゲート幅の比。
【0020】
以下においては、本発明のいくつかの実施形態が説明される。これらの実施形態は、例とみなされるべきであり、また、選択されたこれらの実施形態は、本発明を限定するものであると解釈されるべきではない。本発明の範囲を逸脱することなく、当業者は、説明される実施形態の変更を考え出すことができるかもしれない。
【0021】
図2を参照すると、本発明の実施形態は、場合によっては以下の構成要素を備えてもよいが、必ずしも以下の構成要素を備えなくてもよい。
− 検知された物理的特性の大きさを表現する電荷パルスを検知ノード211に供給及び提供する検知装置201。
− 入力が検知ノード211に接続されかつ出力がバッファ出力ノード212に接続された能動バッファ202。一実施形態においては、能動バッファ202は、電圧増幅度を提供してもよい。別の実施形態においては、能動バッファ202は、電圧増幅度を提供しない。
− 少なくとも1つの第1の端子が検知ノード211に接続されかつ少なくとも1つの第2の端子が定電位か又はバッファ出力ノード212に接続された再充電装置204。
− 入力がバッファ出力ノード212に接続されかつ出力が出力ノード213に接続された連続時間雑音フィルタ206。
− 検知ノード211とDC電位との間に接続された検知コンデンサ205。検知コンデンサ205は、寄生キャパシタンスであってもよい。
【0022】
検知装置201によって検知ノード211上に供給及び提供される電荷パルスは、検知ノード211上の電圧の遷移をもたらし、遷移時間は、電荷パルス幅に実質的に等しい。「等しい」という用語はここで使用される場合「実質的に等しい」という意味を包含することに注意されたい。負の信号電荷の場合、例えば、電圧立ち下がりエッジが得られる。この電圧遷移は、以下の説明において、「信号エッジ」と呼ばれる。
【0023】
その後、再充電装置204は、検知ノード211から信号電荷を除去し、明確に定義されたDC電圧を検知ノード211上に確立する。説明される再充電プロセス中に、信号エッジとは反対の電圧遷移が、検知ノード211上において得られる。この電圧遷移は、以下において、「再充電遷移」と呼ばれる。再充電装置204は、再充電時間すなわち再充電遷移の期間が、相当に長くなるように、例えば、信号エッジの期間すなわち電荷パルス幅よりも少なくとも2倍は長くなるように設計される。したがって、再充電装置の実施は、限定はされないが、定電圧への高いが有限のDCインピーダンス経路を含み、あるいは、能動バッファ202が反転電圧増幅器である場合、バッファ出力ノード212への高いが有限のDCインピーダンス経路を含む。後者においては、安定なDC入力電圧が、能動バッファ202及び再充電装置204の帰還動作によって確立される。「安定な」という用語は、ここで使用される場合、「実質的に」安定なという用語も包含することに注意されたい。
【0024】
比較的に長い再充電時間に対応して、検知ノード211上における電圧雑音電力スペクトルの雑音帯域幅は、きわめて狭く、かつ、検知ノード211上における電圧雑音電力スペクトル密度は、再充電装置204の高いDCインピーダンスのために、比較的に大きいことに言及することは意義のあることである。
【0025】
検知ノード電圧を表現する電圧信号を提供するために、能動バッファ202が使用され、検知ノード211のインピーダンスを高い状態に維持しながら、すなわち、検知コンデンサ205の容量値を小さい状態に維持しながら、低いインピーダンスによって駆動される。能動バッファ202は、電圧利得を提供してもよくあるいは提供しなくてもよく、また、反転していてもよくあるいは反転していなくてもよい。信号エッジ及び再充電遷移の両方がバッファ出力ノード212上に再生されることに注意されたい。
【0026】
雑音フィルタ206は、一般的に、使用されていない周波数レンジから雑音を除去しそれと同時に信号エッジを送信する連続時間フィルタである。「除去する」という用語は「実質的に除去する」という用語も包含することに注意すべきである。より詳細には、ほとんどの再充電装置雑音電力が存在する低い周波数が、フィルタで除去される。これは、再充電遷移をフィルタリングすることを含んでもよい。
【0027】
雑音フィルタ206は、高域通過フィルタ又は帯域通過フィルタであってもよい。高域通過フィルタは大きな高周波雑音自体を一般的に生成することに注意されたい。それ自身の自己生成雑音の帯域幅を制限する帯域通過フィルタは、一般的に、自己生成雑音をそれほど引き起こすものではなく、そのために、好ましいものであるかもしれない。しかしながら、帯域通過フィルタを使用する場合、信号エッジの望ましくない減衰を回避するために、帯域上限周波数の選択及び制御に特別の注意を払わなければならない。
【0028】
雑音フィルタ206は、受動フィルタ又は能動フィルタであってもよく、また、1よりも大きい電圧利得を信号エッジに適用してもよくあるいは適用しなくてもよい。
【0029】
電荷出力を備えた検知装置は、厳密には限定されないが、例えば電荷結合素子(CCD)において使用される、例えば、ホモ接合フォトダイオード、ヘテロ接合フォトダイオード、pin接合フォトダイオード(pinned−photodiode)、及び/又はフォトゲート型検出器のような、光電気センサーを含む。
【0030】
ここで、図3を参照すると、図3は、MOSトランジスタを用いた本発明の実施形態を概略的に示し、ここでは、再充電装置204は、検知ノード311に接続された少なくとも1つの第1の端子とDC電位に接続された少なくとも1つの第2の端子とを備えた再充電抵抗304として実施されている。
【0031】
能動バッファ202は、ソース・フォロワ・トランジスタ302及び電流源トランジスタ303を備えた単位利得ソース・フォロワ・バッファとして実施されている。
【0032】
雑音フィルタ206は、受動高域通過フィルタを形成する高域通過フィルタ・キャパシタンス306及び高域通過フィルタ抵抗307と、受動高域通過フィルタにカスケード接続された能動低域通過フィルタを形成する帯域制限ソース・フォロワ・トランジスタ308、電流源トランジスタ309、及び、帯域制限コンデンサ310とを備える。説明される構成は、通過帯域の周波数において単位利得を備えた能動バッファ帯域通過フィルタをもたらし、このフィルタの入力は、バッファ出力ノード312であり、また、このフィルタの出力は、パルス検出回路の出力ノード313である。
【0033】
上述したように、再充電抵抗304の抵抗は、再充電抵抗雑音の帯域幅を比較的に低い周波数に制限するために、比較的に大きいものでなければならない。例えば2〜20フェムト・ファラッドである検知コンデンサ305の容量値を備えた例えば最大でマイクロ秒の比較的に大きい幅のパルスを検出することのできる電荷パルス検出回路の場合、再充電抵抗304の抵抗値は、再充電抵抗304の雑音を十分に低い周波数に制限するために、例えば10オームの範囲内に存在しなければならない。
【0034】
また、これまでに、雑音フィルタ206は信号エッジを送信しなければならないことに言及したが、これは、高域通過フィルタ・コンデンサ306及び高域通過フィルタ抵抗307を備えてもよい高域通過フィルタの時定数が検出された電荷パルスの幅よりも大きいか又はそれに等しいことを要求する。典型的な半導体プロセス技術を用いて製造される2次元アレイとして使用されてもよい電荷パルス検出回路の場合、高域通過フィルタ・コンデンサ306の容量値は、実際には、必要以上の回路面積を回避するために、例えば、対応するインピーダンスに影響を与える2ピコ・ファラッド、1ピコ・ファラッド、又は、0.5ピコ・ファラッドよりも小さい値に制限される。そのような電荷パルス検出回路が、例えばマイクロ秒の範囲内に存在する幅を有する電荷パルスを検出するのに使用される場合、高域通過フィルタ抵抗307の要求される抵抗値は、例えば、1メガオームから、20、30、40、50、60、70、80、又は、90メガオームのような数十メガオームまでの範囲に存在する。
【0035】
MOSプロセス技術を用いて要求される大きな抵抗を提供する再充電抵抗304及び高域通過フィルタ抵抗307の実施は、とりわけ、強反転非飽和領域(三極管領域)において動作するMOSトランジスタ及び弱反転チャンネル(サブスレッショルド動作)及び低ドレイン−ソース電圧によって動作するMOSトランジスタを含んでもよい。
【0036】
説明される抵抗の実施例は、限定するものであると解釈されるべきではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、異なる実施形態を考え出すことができるはずである。さらにまた、等価な機能を得るために、図3に示されるものとは異なる種類のトランジスタが使用されてもよいことに注意すべきである。
【0037】
ここで、図4を参照すると、図3に示されるパルス検出回路の信号トランスインピーダンス関数401の振幅は、検知装置301によって検知ノード311に提供されるac入力電流iinに対する出力ノード313上におけるac電圧voutの比を与えるものである。
【0038】
帯域通過フィルタの通過帯域に存在する周波数f、すなわち、1/2πRhphpにほぼ等しい高域通過フィルタ遷移周波数403とgm/2πCにほぼ等しい帯域制限器遷移周波数404との間に存在する周波数fに対して、信号トランスインピーダンス関数は、1/sCに実質的に対応しており、すなわち、信号電荷−電圧変換率は、検知コンデンサ305によって定義され、基本的には一定である。上述した式において、Rhpは、高域通過フィルタ抵抗307の抵抗であり、Chpは、高域通過フィルタ・コンデンサ306の容量であり、gmは、帯域制限ソース・フォロワ・トランジスタ308の相互コンダクタンスであり、Cは、帯域制限コンデンサ310の容量である。
【0039】
ここで、図5を参照すると、フィタリングされない再充電抵抗雑音PSD501は、検知ノード311上で観察される再充電抵抗304の雑音電力スペクトル密度に対応し、この雑音電力スペクトル密度は、基本的には、4kTRrの値においてDC PSDレベル504を備えた低域通過関数によって説明され、また、この雑音電力スペクトル密度の遷移周波数は、再充電遷移周波数402に対応する。再充電抵抗304の大きな抵抗値は大きなDC PSD及び狭い帯域幅を備えたフィルタリングされない再充電抵抗雑音PSD501をもたらすことに注意されたい。検知ノード311上における電圧雑音に等価な統計的電荷RMS変動qn,SNは、
【数4】
となることがわかる。
【0040】
フィルタリングされた再充電抵抗雑音PSD502は、ソース・フォロワ・トランジスタ302と電流源トランジスタ303とからなる能動バッファ及び帯域制限ソース・フォロワ・トランジスタ308と電流源トランジスタ309とを備えた帯域制限バッファの両方に対する正確な単位利得の近似によって計算された再充電抵抗304によってもたらされる出力ノード313上で観察される雑音電力スペクトル密度に対応する。フィルタリングされた再充電抵抗雑音PSD502は4kTRhphp/Rに対応する一定の最大PSDレベル505を有しかつ極は高域通過フィルタ遷移周波数403において発生することに注意されたい。再充電抵抗304によるRMS出力雑音は、周波数レンジ全体にわたるフィルタリングされた再充電抵抗雑音PSD502の積分の平方根に対応する。フィルタリングされた再充電抵抗雑音PSD502の近似503は、RMS出力雑音に対する過大評価されたものではあるが簡素な表現をもたらす近似である。近似503を用いれば、再充電抵抗304の雑音に等価な入力電荷RMS変動の次の表現項が得られる。
【数5】
この結果を式(4)と比較すれば、雑音フィルタは高域通過フィルタ遷移周波数403に対する再充電遷移周波数402の比の平方根に等しい率だけ再充電抵抗304からのRMS雑音を減衰させることがわかる。その結果として、雑音減少率は、次の項によって近似されてもよい。
【数6】
【0041】
本発明によれば式(5)から明らかなように再充電抵抗雑音に等価な入力電荷RMS変動は検知コンデンサ305の容量に実質的に依存しないという事実にもかかわらず、小さい検知ノード容量は、依然として、例えば能動バッファ又は雑音フィルタリング回路自身の自己生成雑音のようなその他の雑音発生源に対応する等価入力電荷を減少させるためのきわめて有効な手段のままであることに注意されたい。
【0042】
本発明の実施形態による正確な値を与えられた電荷パルス検出回路は、例えば、2よりも大きい値から100までの範囲に存在する雑音減少率を提供する。雑音減少率の上述した値は、以下の段落において説明される実際的な限界によって定義される。再充電抵抗に起因する出力雑音に等価なRMS入力電荷変動の典型的な値は、例えば、正孔又は電子の数が2個から100個までの範囲に存在する。
【0043】
検出されるべきパルスの幅及び検知コンデンサ305の最小化された容量Cによって実質的に定義される特定の高域通過周波数の場合、雑音減少効果の実際的な限界は、通常、再充電抵抗304の要求される大きな抵抗値によるものであることがわかる。
【0044】
さらにまた、再充電遷移周波数を減少させること、すなわち、再充電遷移の期間を増加させることは、信頼性をもって検出することのできるパルスの最大平均繰り返し速度を減少させ、これは、また、可能な雑音減少効果に最大の実際的な限界を課すかもしれない。
【0045】
既知の電荷パルス検出回路の最も支配的な雑音発生源の作用を減少させることに加えて、本発明による電荷パルス検出回路は、また、電荷パルス検出回路の構成要素に適切な値を与えることによって、電荷パルス検出回路の残りの雑音発生源が寄与することを制御するのを可能にする。
【0046】
ソース・フォロワ・トランジスタ302及び電流源トランジスタ303の熱雑音は、帯域制限器遷移周波数404を一定に維持しながらそれらのトランジスタの相互コンダクタンス値を増加させることによって、減少させてもよい。
【0047】
高域通過フィルタ抵抗307の熱雑音は、例えば、それの抵抗値を減少させることによって、それと同時に、それに反比例して、高域通過フィルタ遷移周波数403が一定のままであるように、高域通過フィルタ・コンデンサ306の容量を増加させることによって、減少させてもよい。
【0048】
帯域制限ソース・フォロワ・トランジスタ308及び電流源トランジスタ309からの熱雑音は、帯域制限コンデンサ310の容量値を増加させることによって、また、それに比例して、帯域制限ソース・フォロワ・トランジスタ308の相互コンダクタンスを増加させかつ電流源トランジスタ309の相互コンダクタンスを帯域制限ソース・フォロワ・トランジスタ308の相互コンダクタンスよりも小さいもの(例えば、0.5倍だけ)に維持することによって、減少させてもよい。
【0049】
図6は、本発明の別の実施形態を概略的に示し、ここでは、能動バッファ202は、電圧増幅度を提供し、そして、共通ソース増幅器トランジスタ602及び能動負荷トランジスタ603として実施される。能動バッファ202のこの実施形態は、反転増幅器であること、すなわち、この能動バッファのAC出力電圧は、それのAC入力電圧に対して反転した極性を有することに注意されたい。能動負荷トランジスタ603は、ダイオード構成として接続され、また、1よりも大きい開ループ利得を提供するために、このトランジスタのW/L比は、共通ソース増幅器トランジスタ602のW/L比よりも小さいものであるように選択される。電圧増幅度を提供する能動バッファ202の説明される実施形態は限定するものであると解釈されるべきではないことに注意されたい。考えられる実施形態のさらなる例は、限定はされないが、能動電流源負荷を備えた共通ソース増幅器、ダイオードか又は電流源能動負荷とカスケード接続された共通ソース増幅器、及び、CMOSインバータを含む。図6に概略的に示されるものと異なる種類のトランジスタが、等価な機能を達成するのに使用されてもよいことに注意されたい。
【0050】
説明される実施形態において、検知装置601から検知ノード611上に供給される信号電荷は、その検知ノード611と増幅器出力ノード612との間に接続された再充電抵抗を介して除去される。したがって、検知ノード611及び増幅器出力ノード612上のDC電位は、基本的には、再充電抵抗605と電圧増幅度を提供する能動バッファとの帰還動作によって、同じ非飽和動作電圧に設定される。
【0051】
この実施形態においては、雑音フィルタ206の実施は、基本的に、図3に示されるものと同じであってもよい。
【0052】
検知コンデンサの特定の容量Cs及び再充電抵抗604の特定の抵抗Rに対して説明される実施形態の場合、再充電遷移周波数は、Av/2πRであることがわかり、ここで、Avは、共通ソース増幅器トランジスタ602及び能動負荷トランジスタ603を備えた増幅器のDC電圧増幅度である。帰還動作の作用として、再充電遷移周波数は、増幅器出力612ではなくDC電位に接続された再充電抵抗に関しては、電圧増幅度の倍率だけ増加することに注意されたい。
【0053】
検出されるべき電荷パルスの特定の幅及びその結果として得られる最大高域通過フィルタ周波数に対して、再充電抵抗604による雑音を望ましいレベルにまで減衰させるために、例えば図3の実施形態に示されるものよりも大きい再充電抵抗604の抵抗値が、必要とされるかもしれない。
【0054】
1よりも大きい電圧増幅度を提供する能動バッファ202の実施形態を使用する電荷検出回路の実施形態の重要な利点は、1個の電子又は1個の正孔あたり例えば50マイクロ・ボルトから5ミリ・ボルトの範囲に存在する検知ノード611上の入力電荷すべてにわたって、増幅器出力ノード612上の出力電圧の優れた変換率を得ることができることである。これは、雑音フィルタさらには下流側の読み出し回路630の自己生成雑音に等価な入力電荷雑音を減少させる。したがって、雑音フィルタ回路の自己生成雑音に対する要件は、それほど厳しいものでなくてもよく、それと同時に、検出回路の全体的雑音特性を譲歩しなくてもよい。より詳細には、半導体面積は、高域通過フィルタ・コンデンサ606及び帯域制限コンデンサ610のためにそれほど必要とされない。さらにまた、ここで説明される実施形態における帯域制限ソース・フォロワ・トランジスタ608の相互コンダクタンスしたがって電流消費量は、能動バッファ202が電圧増幅度を提供しない実施形態における帯域制限ソース・フォロワ・トランジスタ308と比較すれば、例えば、2から能動バッファ202の電圧利得までの範囲に存在する倍率だけ減少してもよい。
【0055】
ここで、図7を参照すると、本発明の実施形態が概略的に示され、ここでは、雑音フィルタ206は、能動フィルタであり、また、雑音フィルタ206は、1よりも大きい電圧増幅度を信号エッジに提供し、すなわち、雑音フィルタ206は、それの周波数通過帯域において、電圧増幅度を提供する。開示される実施形態の再充電装置204及び能動バッファ202は、基本的には、図3に概略的に示される実施形態の対応する構成要素と同じものであってもよい。
【0056】
この実施形態の雑音フィルタ720は、それの端子がバッファ出力ノード712及び中間ノード714に接続された高域通過フィルタ・コンデンサ706と、中間ノード714上の電圧を出力ノード713の電圧にまで増幅する反転電圧増幅器を形成する帯域通過フィルタ増幅器トランジスタ708及び能動負荷トランジスタ709と、出力ノード713に接続された帯域制限コンデンサ710と、中間ノード714と出力ノード713との間に接続された高域通過フィルタ抵抗707とを備えてもよい。
【0057】
中間ノード714上における安定したDC動作電圧が、反転電圧増幅器及び高域通過フィルタ抵抗707の帰還動作によって確立される。能動負荷トランジスタ709は、ダイオード構成として接続され、また、1よりも大きい開ループ利得を提供するために、このトランジスタのW/L比は、帯域通過フィルタ増幅器トランジスタ708のW/L比よりも小さいものであるように選択される。再度、この増幅器の実施形態は、限定するものであると解釈されるべきではないことに注意されたい。その他の種類の増幅器が、本発明の範囲を逸脱することなく使用されてもよい。さらにまた、図7に示されるものとは異なる種類のトランジスタが、等価な機能を達成するのに使用されてもよい。
【0058】
雑音フィルタ720の伝達関数、すなわち、中間ノード714上における電圧に対する出力ノード713上における電圧の比Hnf(s)は、帯域通過増幅器トランジスタ708の相互コンダクタンスgmが十分大きく、高域通過フィルタ抵抗707の抵抗Rhpが反転電圧増幅器のDC出力インピーダンスRoよりも大きく、中間ノード714上の寄生キャパシタンスを無視すると仮定して、次の表現(式(6))によって近似することができる。
【数7】
【0059】
式(6)において、Rhpは、高域通過フィルタ抵抗707の抵抗であり、Chpは、高域通過フィルタ・コンデンサ706の容量であり、Cは、帯域制限コンデンサ710の容量である。さらにまた、上述した式は、積RhphpがRよりも大きいという仮定に基づくものである。
【0060】
したがって、雑音フィルタ720は、周波数1/2πRhphpにおける帯域下限と、周波数1/2πRにおける帯域上限と、通過帯域における電圧増幅度gmすなわち電圧増幅器開ループ利得とを備えた帯域通過フィルタであることがわかる。
【0061】
したがって、検出されるべき電荷パルスの特定の幅及び再充電抵抗704からの熱雑音の特定の望ましい減衰に対して、図3及び図6に示されるような電圧増幅度を備えていない雑音フィルタの場合と同じ値の高域通過フィルタ抵抗707及び高域通過コンデンサ706が使用されてもよい。
【0062】
MOSトランジスタが、強反転三極管領域において使用される場合、及び/又は、弱反転モードでさえ高域通過フィルタ抵抗707を実施するために使用される場合、過度の抵抗変動を回避するために、このMOSトランジスタのゲートに適切なバイアスをかけることに注意を払わなければならない。高域通過フィルタ抵抗の要求される抵抗値は、一般的に、例えば再充電抵抗609の要求される抵抗値よりも小さいという事実のために、図7の実施形態を実施することは、実際には、図6の実施形態を実施することよりも複雑ではないかもしれず、そして、高域通過フィルタ抵抗707は、例えば再充電抵抗609よりも小さい相対的な抵抗変動を呈するかもしれない。
【0063】
図7の実施形態は、雑音フィルタ720の電圧増幅度のおかげで、検知ノード711上における入力電荷を出力ノード713上における出力電圧に変換する変換率の大きな値を提供し、この変換率は、例えば、1個の電子又は1個の正孔あたり50マイクロ・ボルトから5ミリ・ボルトの範囲に存在する。したがって、この実施形態は、下流側の読み出し回路730からの雑音に対して優れた耐性を提供する。しかしながら、能動バッファの単位利得のために、図6に示される実施形態とは対照的に、図3に概略的に示される実施形態の場合とまさに同様に、雑音フィルタ720自身からの雑音に注意を払わなければならない。
【0064】
図8は、本発明の実施形態のさらに別の実施形態を概略的に示し、ここでは、信号電荷は、それぞれの電荷パルスが検出器801から到着した後に高いインピーダンス経路を介して信号電荷をゆっくりとかつ連続的に除去する代わりに、規則的又は不規則な時間間隔で低いインピーダンス経路を介して検知ノード811から除去される。
【0065】
雑音フィルタ、並びに、共通ソース増幅器トランジスタ802及び能動負荷トランジスタ803によって形成される能動バッファは、基本的には、図6の実施形態におけるそれぞれの対応するものと同じものであってもよい。しかしながら、この実施形態において使用される再充電装置は、ドレイン/ソース端子のどちらか一方が検知ノード811に接続されかつドレイン/ソース端子のどちらか一方が増幅器出力ノード812に接続されたリセット・スイッチ・トランジスタ804である。
【0066】
リセット・スイッチ・トランジスタ804のゲート端子は、パルスを印加され、それによって、このリセット・スイッチ・トランジスタ804は、規則的又は不規則な時間間隔で、比較的に短い時間だけ、例えば、検出されたパルスの幅の範囲内に存在する期間だけ閉じられ、そして、例えば検出されたパルスの幅の10〜1,000倍に対応する期間を有してもよい区間内においては開いたままの状態である。
【0067】
リセット・スイッチ・トランジスタ804が閉じられると、信号電荷は、このリセット・スイッチ・トランジスタ804によって提供される低インピーダンス経路を介して除去され、非飽和増幅器入力及び出力電圧が、反転増幅器及びリセット・スイッチ・トランジスタ804の負帰還動作によって、検知ノード811及び増幅器出力ノード812上において確立される。図8に示されるn−チャンネルMOSトランジスタとは異なるその他の種類のトランジスタが、リセット・スイッチ・トランジスタ804を実施するのに使用されてもよい。
【0068】
任意の信号電荷が検知ノード811上において得られるならば、リセット・スイッチ・トランジスタ804を閉じることによってトリガーされる電圧パルスが出力ノード813上に現れることに注意されたい。リセット動作に対応するこの出力電圧パルスは、前回のリセット動作と今回のリセット動作との間に検知ノード・コンデンサ805上に蓄積された信号電荷の量と、積(高域通過フィルタ抵抗814の抵抗)×(高域通過フィルタ・コンデンサ806の容量)に対応する消滅時間とに依存する振幅を有する。リセット動作に対応する出力電圧パルスは、検知装置801からの信号電荷パルスによって発生する出力電圧パルスの極性とは反対の極性を有することに注意されたい。例えば、信号電荷パルスが電子を備えていれば、出力ノード813上の信号電圧パルスは正の極性を有するが、出力ノード813上のリセット電圧パルスは負の極性を有する。リセット・パルスの到着時間が周知であるという事実に加えて、それらの出力ノード上における反対の極性のおかげで、リセット・パルスは信号パルスと容易に区別することができる。
【0069】
また、リセット・スイッチ・トランジスタ804が閉じているとき、信号パルスを検出することのできない不感時間(dead time)が存在することに注意されたい。
【0070】
リセット・スイッチ・トランジスタ804が開かれると、検知ノード811において観察されるこのリセット・スイッチ・トランジスタ804からの雑音は凍結される。すなわち、この雑音はDC成分を主として備え、高い周波数スペクトル成分を実質的に備えない。そのような雑音は、理論的には、連続時間雑音フィルタ206の高域通過機能によって完全に除去される。「完全に」という用語は「実質的に完全に」という用語も包含することに注意すべきである。
【0071】
再充電雑音の効率的な抑圧、及び、下流側の回路830からの雑音と能動バッファによって提供される電圧増幅度による雑音フィルタ雑音とに対する優れた耐性のおかげで、本発明のこの実施形態は、例えば10個の電子又は正孔よりも小さい全体的出力雑音に等価な全体的RMS入力電荷変動を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8