特許第5764070号(P5764070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764070
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】アトルバスタチン含有被覆製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/40 20060101AFI20150723BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150723BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20150723BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   A61K31/40
   A61K47/32
   A61K9/32
   A61P3/06
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-547393(P2011-547393)
(86)(22)【出願日】2010年11月8日
(86)【国際出願番号】JP2010069815
(87)【国際公開番号】WO2011077843
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年6月12日
(31)【優先権主張番号】特願2009-295316(P2009-295316)
(32)【優先日】2009年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157934
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 隼明
(72)【発明者】
【氏名】柳 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】野沢 健児
(72)【発明者】
【氏名】前田 和亮
(72)【発明者】
【氏名】高田 新也
(72)【発明者】
【氏名】岡村 康史
【審査官】 ▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−089982(JP,A)
【文献】 特表2008−534669(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/028583(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/019286(WO,A1)
【文献】 特開2007−022941(JP,A)
【文献】 特表2008−506655(JP,A)
【文献】 日本医薬品添加剤協会,医薬品添加物事典2007,株式会社薬事日報社,2007年 7月25日,第1刷,p.275
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 9/00−9/72
A61K 47/00−47/48
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物が、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆されていることを特徴とするアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項2】
アトルバスタチンカルシウム又はその水和物を含有する固形物が、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆されている請求項1に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項3】
ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤の被覆量が、ポリビニルアルコール共重合体として、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物100重量部に対して、1〜100重量部である請求項1に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項4】
ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤の被覆量が、ポリビニルアルコール共重合体として、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物100重量部に対して、3〜50重量部である請求項3に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項5】
ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤の被覆量が、ポリビニルアルコール共重合体として、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物100重量部に対して、5〜10重量部である請求項4に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項6】
アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物が、素錠又は素顆粒の形態である請求項1に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項7】
被覆剤が、平均重合度200〜1500のポリビニルアルコールと、少なくとも1以上の重合性ビニル単量体とを共重合させて得られるポリビニルアルコール共重合体を含むものである請求項1に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項8】
ポリビニルアルコールが、部分けん化ポリビニルアルコールである請求項7に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項9】
重合性ビニル単量体が、不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸のエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類及びそれらの塩からなる群より選ばれるものである請求項7に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項10】
不飽和カルボン酸類及びそれらの塩が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれるものであり、不飽和カルボン酸のエステル類がメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールとメタクリル酸とのエステル、ポリエチレングリコールとアクリル酸とのエステル、ポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステルからなる群から選ばれるものである請求項9に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項11】
不飽和カルボン酸類、それらの塩及び不飽和カルボン酸のエステル類が、一般式(I)
C=C(R)−COOR (I)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で表される化合物又はその塩である請求項9に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項12】
不飽和カルボン酸類又はそれらの塩が、アクリル酸又はその塩であり、不飽和カルボン酸のエステル類がメチルメタクリレートである請求項10に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項13】
ポリビニルアルコール共重合体が、平均重合度300〜500の部分けん化ポリビニルアルコールと、重合性ビニル単量体が重量比で6:4〜9:1の割合で共重合させて得られ、かつ当該重合性ビニル単量体がアクリル酸およびメチルメタクリレートであり、共重合する際における当該重合性ビニル単量体の重量比が3:7〜0.5:9.5である請求項7に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【請求項14】
アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することを特徴とするアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の類縁物質の生成を抑制する方法。
【請求項15】
アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することを特徴とするアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症等の患者の治療に有用なアトルバスタチン含有被覆製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アトルバスタチンは、コレステロールの生合成経路の律速酵素であるHMG−CoA還元酵素を選択的且つ競合的に阻害する活性を有しており、コレステロール低下作用、トリグリセリド低下作用、動脈硬化進展抑制作用等を発揮することに基づいて、臨床上、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症等の治療に使用されている。
【0003】
しかし、アトルバスタチンには、空気中の酸素により、酸化分解を受け易いという問題がある(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2参照)。医薬品の活性成分が酸化分解される場合には、薬効の低下や安全性を損なう可能性があるため、酸化分解をできる限り抑制する必要がある。
【0004】
アトルバスタチンの酸化分解を抑制する方法としては、窒素等の不活性ガス雰囲気下、低気圧下等の低酸素下で、製剤を包装する方法が知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、この方法には、包装する際に不活性ガス等を包装形体内に充填させる特別な機器が必要である。また、包装形体により酸化分解を抑制する方法では、開封後には再びアトルバスタチンの酸化分解が起こるため、開封後の製剤の安定性が保証されない。
【0005】
その他に、酸化分解を抑制する手法としては、抗酸化剤を用いることが考えられるが、抗酸化剤の使用では、アトルバスタチンの酸化分解を十分に阻止することはできなかった。
【0006】
以上の通り、アトルバスタチン製剤においては、従来公知の酸化分解を抑制する方法では、安定な製剤を得ることができなかった。
【0007】
一方、ポリビニルアルコール共重合体を主成分とする医薬、動物薬、農薬、肥料、食品等のコーティング剤として有用な樹脂組成物が知られている(特許文献5参照)。また、このポリビニルアルコール共重合体を用いて、マクロライド系抗生物質製剤を被覆することによって、安定化する方法が知られている(特許文献6参照)。しかし、これらの特許文献5及び特許文献6には、被覆対象として何らかの医薬が記載されてはいるものの、アトルバスタチン製剤の安定化については、記載も示唆も存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2006/008091
【特許文献2】WO2005/011638
【特許文献3】WO2004/032920
【特許文献4】WO2007/082764
【特許文献5】WO2005/019286
【特許文献6】WO2007/126039
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Tetrahedron 49(1993)1979−1984
【非特許文献2】Tetrahedron 62(2006)7390−7395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、アトルバスタチン製剤中のアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の酸化分解が有効に抑制され、安定化されたアトルバスタチン含有被覆製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する素錠、素顆粒等の固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することによって、安定化されたアトルバスタチン含有被覆製剤が得られることを見出した。本発明者は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねて、本発明を完成した。
【0012】
本発明は、以下のアトルバスタチン含有被覆製剤、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の類縁物質の生成を抑制する方法、並びにアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の安定化方法を提供するものである。
【0013】
1.アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物が、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆されていることを特徴とするアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0014】
2.アトルバスタチンカルシウム塩又はその水和物を含有する固形物が、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆されている上記項1に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0015】
3.ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤の被覆量が、ポリビニルアルコール共重合体として、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物100重量部に対して、1〜100重量部程度である上記項1に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0016】
4.ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤の被覆量が、ポリビニルアルコール共重合体として、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物100重量部に対して、3〜50重量部程度である上記項3に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0017】
5.ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤の被覆量が、ポリビニルアルコール共重合体として、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物100重量部に対して、5〜10重量部程度である上記項4に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0018】
6.アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物が、素錠又は素顆粒の形態である上記項1に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0019】
7.被覆剤が、平均重合度200〜1500程度のポリビニルアルコールと、少なくとも1以上の重合性ビニル単量体とを共重合させて得られるポリビニルアルコール共重合体を含むものである上記項1に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0020】
8.ポリビニルアルコールが、部分けん化ポリビニルアルコールである上記項7に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0021】
9.重合性ビニル単量体が、不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸のエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類及びそれらの塩からなる群より選ばれるものである上記項7に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0022】
10.不飽和カルボン酸類又はそれらの塩類が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれるものであり、不飽和カルボン酸のエステル類がメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールとメタクリル酸とのエステル、ポリエチレングリコールとアクリル酸とのエステル、ポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステルからなる群から選ばれるものである上記項9に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0023】
11.不飽和カルボン酸類、それらの塩及び不飽和カルボン酸のエステル類が、一般式(I)
C=C(R)−COOR (I)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で表される化合物又はその塩である上記項9に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0024】
12.不飽和カルボン酸類又はそれらの塩が、アクリル酸又はその塩であり、不飽和カルボン酸のエステル類がメチルメタクリレートである上記項10に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0025】
13.ポリビニルアルコール共重合体が、平均重合度300〜500程度の部分けん化ポリビニルアルコールと、重合性ビニル単量体が重量比で6:4〜9:1程度の割合で共重合させて得られ、かつ当該重合性ビニル単量体がアクリル酸およびメチルメタクリレートであり、共重合する際における当該重合性ビニル単量体の重量比が3:7〜0.5:9.5程度である上記項7に記載のアトルバスタチン含有被覆製剤。
【0026】
14.アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することを特徴とするアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はその溶媒和物の類縁物質の生成を抑制する方法。
【0027】
15.アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することを特徴とするアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はその溶媒和物の安定化方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆したことによって、以下の如き格別顕著な効果を得ることができる。
【0029】
(1)アトルバスタチン製剤中のアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の酸化分解が長期間に渡って有効に抑制されるので、安定化されたアトルバスタチン含有被覆製剤が得られる。また、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の類縁物質の生成を抑制する方法、及びアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の安定化方法が提供される。
【0030】
(2)得られるアトルバスタチン含有被覆製剤は、酸化分解が抑制されているため、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の類縁物質等の不純物が少なく、薬効の低下や安全性が損なわれることを、長期間に渡って防止できる。
【0031】
(3)アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆するという簡便な方法で、安定化されたアトルバスタチン含有被覆製剤を容易に調製できる。
【0032】
(4)アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆しても、主剤であるアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の溶出性が抑制されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、実施例2、実施例3及び比較例1で得たアトルバスタチン含有被覆錠剤の溶出試験の結果を示したグラフである。
図2図2は、実施例4、実施例5、実施例6及び比較例2で得たアトルバスタチン含有被覆錠剤の高温度下での安定性試験の結果を示したグラフである。
図3図3は、実施例4、実施例5、実施例6及び比較例2で得たアトルバスタチン含有被覆錠剤の高温度高湿度下での安定性試験の結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
アトルバスタチン含有被覆製剤
本発明のアトルバスタチン含有被覆製剤は、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物が、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆されているものである。
【0035】
アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物
当該固形物としては、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物と、賦形剤、崩壊剤及び結合剤からなる群から選択された少なくとも一種の添加剤とで構成されている素錠、素顆粒等が、好ましいものとして、包含される。
【0036】
アトルバスタチン
アトルバスタチンは、本発明被覆製剤の薬効成分であり、化学名が〔R−(R,R)〕−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−〔(フェニルアミノ)カルボニル〕−1H−ピロール−1−ヘプタン酸である。アトルバスタチンは、前記の通り、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)の阻害活性を有している。
【0037】
アトルバスタチンの薬理学的に許容される塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩等を用いることができる。また、これらの溶媒和物としては、水和物、アセトン溶媒和物、メタノール溶媒和物、エタノール溶媒和物等を用いることができる。これらの塩又はそれらの溶媒和物は、アモルファスであっても、結晶形であっても、いずれでもよい。特に、アトルバスタチンカルシウム三水和物を、用いるのが好ましい。アトルバスタチンカルシウム三水和物の化学名は、(−)−モノカルシウム ビス{(3R,5R)−7−〔2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−フェニルカルバモイル−1H−ピロール−1−イル〕−3,5−ジヒドロキシヘプタノエート}トリハイドレートである。
【0038】
また、本発明のアトルバスタチン含有被覆製剤は、必要に応じて、他の薬剤を含有していてもよい。他の薬剤としては、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イルベサルタン、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、アムロジピンベシレート、ニフェジピン、アテノロール、カルベジロール、ベタキソロール、これらの薬理学的に許容される塩又はこれらの溶媒和物等を用いることができる。
【0039】
添加剤
アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物は、通常、流動性や付着性を向上させる点から、賦形剤、崩壊剤、結合剤などの薬理学的に許容可能な添加剤と組み合わせて用いられる。
【0040】
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、トウモロコシデンプンなどのデンプン類;乳糖、粉糖、グラニュー糖、ブドウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、タルク、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの賦形剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0041】
崩壊剤としては、例えば、カルメロースカルシウム(例えば、ニチリン化学(株)製、ECG505)、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム(例えば、FMC社製、アクジゾル)、架橋化ポリビニルピロリドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越化学(株)製、L−HPC)、デンプン類などが挙げられる。これらの崩壊剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
結合剤としては、慣用の結合剤、例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、日本曹達(株)製、HPC−L)、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アビセルRC)、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、α化デンプンなどが挙げられる。これらの結合剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0043】
これらの添加剤の割合は、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物100重量部に対して、200〜3000重量部程度の範囲から選択でき、通常、300〜2500重量部程度であるのが好ましく、500〜2000重量部程度であるのがより好ましい。
【0044】
アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物には、賦形剤、崩壊剤、結合剤などの薬理学的に許容可能な添加剤の他に、さらに、薬理学的に許容可能な慣用の他の添加剤、例えば、滑沢剤、流動化剤、帯電防止剤、界面活性剤、着色剤、矯味剤、湿潤剤、充填剤、増量剤、吸着剤、保存剤(例えば防腐剤など)、緩衝剤、崩壊延長剤などを加えてもよい。
【0045】
上記滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムなどを挙げることができる。帯電防止剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸などを挙げることができる。界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体などの非イオン系界面活性剤などを挙げることができる。着色剤としては、例えば、タール色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタンなどを挙げることができる。矯味剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、マンニトール、キシリトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオシドなどの甘味剤;香料などを挙げることができる。湿潤剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン、プロピレングリコールなどを挙げることができる。
【0046】
これら慣用の他の添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの成分は、特に、最終製剤中の含量に制限はない。
【0047】
本発明において、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する素錠、素顆粒等の固形物は、製薬分野において公知の方法に従って、製造することができる。例えば、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物と、賦形剤、崩壊剤、結合剤等の添加剤とを、通常使用される溶媒を用いて、混合、造粒、乾燥、整粒、打錠等の各操作を、当該分野で周知の方法に従って行うことによって、素錠を製造できる。整粒後打錠前に、崩壊剤、滑沢剤等を混合してもよい。また、これらの操作の内、整粒操作迄の操作によって、素顆粒を製造できる。これらの操作の内、造粒操作は、例えば、撹拌造粒機、流動層造粒機、ブラベンダー、双軸造粒機等の装置を使用して行えばよいが、撹拌造粒機を用いるのが好ましい。また、打錠は、市販の打錠機を使用して、行うことができる。
【0048】
ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤
本発明で用いるポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤としては、WO2005/019286に記載されたポリビニルアルコール共重合体に、必要に応じて、滑沢剤、着色剤、可塑剤等を配合してなるものを用いるのが好ましい。
【0049】
本発明で用いる被覆剤で主剤として使用されるポリビニルアルコール共重合体は、ポリビニルアルコール又はその誘導体(例えばエステル類)或いは塩と、少なくとも1種の重合性ビニル単量体とをそれ自体公知の方法で共重合させることにより製造することができる。
【0050】
そのようなポリビニルアルコール共重合体を製造する方法としては、ラジカル重合、例えば溶液重合法、懸濁重合、乳化重合および塊状重合などのそれ自体公知の方法を挙げることができ、各々の通常の重合条件下で実施することができる。この重合反応は、通常、重合開始剤の存在下、必要に応じて還元剤、連鎖移動剤又は分散剤等の存在下、水、有機溶媒又はこれらの混合物中で実施される。また、未反応の単量体の除去方法、乾燥、粉砕方法等も公知の方法でよく、特に制限は無い。
【0051】
上記還元剤としては、例えば、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸等を挙げることができる。連鎖移動剤としては、例えば、2−メルカプトエタノール、α−メチルスチレンダイマー、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ラウリルメルカプタン等を挙げることができる。分散剤としては、例えば、ソルビタンエステル、ラウリルアルコールなどの界面活性剤等を挙げることができる。また、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、セロソルブ、カルビトール等を挙げることができる。
【0052】
本発明のポリビニルアルコール共重合体の原料となるポリビニルアルコールとしては、通常、平均重合度が、約200〜1500であるのが好ましく、約200〜1300であるのがより好ましく、約200〜900であるのがさらに好ましく、約200〜600であるのが特に好ましく、約300〜500であるのが最も好ましい。また、ポリビニルアルコールとしては、部分けん化ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールのけん化度としては、約60〜100モル%であるのが好ましく、約78〜96モル%であるのがより好ましい。けん化ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルをラジカル重合し、得られた酢酸ビニル樹脂を、適宜、けん化することによって製造することができ、所望のポリビニルアルコールを製造するためには、適宜、重合度、けん化度をそれ自体公知の方法で制御することによって達成される。
【0053】
部分けん化ポリビニルアルコールとしては、市販品を使用することも可能であり、好ましいポリビニルアルコールの市販品としては、例えばゴーセノールEG05(日本合成化学製)、ゴーセノールEG25(日本合成化学製)、PVA203(クラレ社製)、PVA204(クラレ社製)、PVA205(クラレ社製)、JP−04(日本酢ビ・ポバール製)、JP−05(日本酢ビ・ポバール製)等が挙げられる。なお、本発明で使用する被覆剤の主成分のポリビニルアルコール共重合体の製造においては、原料としてポリビニルアルコールを単独で使用するのみならず、重合度、けん化度の異なる2種以上のポリビニルアルコールを目的に応じて適宜併用することができる。例えば、平均重合度300のポリビニルアルコールと平均重合度1500のポリビニルアルコールとを混合して使用することが可能である。
【0054】
原料としてのポリビニルアルコールとしては、各種変性ポリビニルアルコールを使用することができ、例えばアミン変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、チオール変性ポリビニルアルコール等をあげることができる。これらの変性ポリビニルアルコールは、市販品を使用してもよく、あるいは当該分野で公知の方法で製造したものを使用することができる。
【0055】
原料のポリビニルアルコールと重合させる重合性ビニル単量体としては、不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸のエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類及びそれらの塩等を挙げることができる。不飽和カルボン酸類及びそれらの塩としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類又はそれらの塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン塩)を挙げることができる。また、不飽和カルボン酸類のエステル類としては、例えば、置換又は非置換のアルキルエステル、環状アルキルエステル、ポリアルキレングリコールエステル等を挙げることができる。
【0056】
具体的には、(1)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレートなどが、(2)メタクリル酸エステル類としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなどが、(3)不飽和ニトリル類としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどが、(4)不飽和アミド類としては例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミドなどが、(5)芳香族ビニル類としてはスチレン、α−メチルスチレンなどが、(6)脂肪族ビニル類としては、酢酸ビニルなどが、(7)不飽和結合含有複素環類としては、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリンなどが、それぞれ例示される。
【0057】
また、ポリビニルアルコール共重合体を製造する際の重合性ビニル単量体としての不飽和カルボン酸類、それらの塩類及び不飽和カルボン酸のエステル類としては、下記一般式(I)
C=C(R)−COOR (I)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で表される化合物又はその塩を用いることが好ましい。
【0058】
これらの重合性ビニル単量体は、1種または2種以上を組み合わせてポリビニルアルコールと共重合させることができるが、好ましくは、アクリル酸とメタクリル酸エステル(例えばメチルメタクリレート)との混合物をポリビニルアルコールと共重合させるのがよい。ここにポリビニルアルコールと重合性ビニル単量体との重量比は、約6:4〜9:1であるのが好ましく、約8:2であるのが特に好ましい。また、重合性ビニル単量体としてアクリル酸とメチルメタクリレートを使用する場合には、その重量比は約3:7〜約0.5:9.5であるのが好ましく、約1.25:8.75であるのが特に好ましい。被覆剤の主成分として使用するポリビニルアルコール共重合体としては、ポリビニルアルコール(平均重合度約200〜1300)、メチルメタクリレート及びアクリル酸からなり、その重量比が約60〜90:7〜38:0.5〜12であるものが好ましく、約80:17.5:2.5であるものが特に好ましい。
【0059】
重合開始剤としては、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機過酸化物;過酢酸、ターシャリ−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0060】
本発明で用いる被覆剤は、種々の形態を取りうるが、一般にその適用にあたっては、ポリビニルアルコール共重合体に、必要に応じて、滑沢剤、着色剤、可塑剤等を配合してなるものを、水性溶液、水性分散液、有機溶媒溶液あるいは有機溶媒分散液の形態としたものを使用し得る。ここで、被覆剤におけるポリビニルアルコール共重合体の含有量は、通常、10〜100重量%程度であるのが好ましく、30〜70重量%程度であるのがより好ましい。また、必要に応じて配合される滑沢剤、着色剤、可塑剤等としては、前記素錠の成分として例示したものと同様のものを、使用できる。
【0061】
また、被覆剤の主成分は、ポリビニルアルコール共重合体であるが、その他の被覆成分を含有していてもよい。その他の被覆成分としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、白糖等の製薬分野で周知のコーティング剤を用いることができる。
【0062】
上記被覆剤を、素錠、素顆粒等にコーティングする場合、フィルムコーティング機、流動層造粒機等の手段により実施するのが好ましい。
【0063】
被覆剤の被覆量は、ポリビニルアルコール共重合体として、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する素錠、素顆粒等の固形物100重量部に対して、1〜100重量部程度の範囲内とするのが好ましく、3〜50重量部程度とするのがより好ましく、5〜10重量部程度とするのが更に好ましい。
【0064】
上記被覆剤を、素錠、素顆粒等にコーティングするに当たって、素錠、素顆粒等に予めプレコーティングを施しておいてもよく、または上記被覆剤を被覆した製剤にオーバーコーティングを施してもよい。プレコーティング及びオーバーコーティングには、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、白糖等の当該分野で周知のコーティング剤を用いることができる。
【0065】
本発明のアトルバスタチン含有被覆製剤は、種々の使用形態(例えば、錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、ドライシロップ剤等)に使用できるが、錠剤の形態で使用するのが好ましい。
【0066】
本発明のアトルバスタチン含有被覆製剤を使用する場合、ヒトに、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症等の疾患の治療の有効量を投与すればよい。患者の年令、体重、症状、性別などにより投与量は変わりうるが、通常、1日当たり、1回または数回に分けて、アトルバスタチンに換算して、例えば5〜40mg程度を経口的に投与することができる。
【0067】
本発明被覆製剤は、例えば、60℃、相対湿度60%の条件で2週間保存後の類縁物質の総量が、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下である。ここで、類縁物質としては、脱フッ素体、ジフルオロ体、ジアステレオマー、ラクトン体、酸化分解生成物等が挙げられる。
【0068】
本発明被覆製剤は、好ましくは、安定性をより向上させるために、PTP(プレススルーパッケイジ)包装またはボトル包装(例:プラスチック瓶、ガラス瓶、アルミ缶)されていてもよい。また、包装中には脱臭剤、乾燥剤、脱酸素剤等を同封しても良い。
【0069】
本発明は、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することを特徴とする、当該アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の類縁物質の生成を抑制する方法を提供する。アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤、被覆方法等は、前述した通りである。
【0070】
また、本発明は、アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を含有する固形物を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することを特徴とする、当該アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の安定化方法をも提供する。アトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤、被覆方法等は、前述した通りである。
【実施例】
【0071】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0072】
実施例1〜3及び比較例1
(1)素錠の調製
高速撹拌造粒機(商品名「ハイスピードミキサーFS−GS−10」、深江パウテック株式会社製)に、結晶セルロース933g、カルメロースカルシウム750g、酸化マグネシウム1500gを仕込み1分間混合した。その後アトルバスタチンカルシウム三水和物542gを1007gのジクロルメタン/エタノールの9/1(重量比)混液に溶解した液を投入し4分間造粒した。得られた造粒物を、流動層乾燥機(商品名「FLO−5」、フロイント産業株式会社製)に投入し、吸気温度60℃で排気温度45℃まで乾燥した。得られた乾燥物を、整粒機(商品名「パワーミル P−04S」、株式会社ダルトン製)にて、スクリーン1.0mmを通過させ整粒物を得た。得られた整粒物に、カルメロースカルシウム250g、ステアリン酸マグネシウム25gを加え混合機(商品名「V型混合機 VM−30」、不二パウダル株式会社製)にて3分間混合した。得られた混合物を、ロータリー打錠機(商品名「VIRGO−512」、株式会社菊水製作所製)にて、1錠重量80mg、直径6.0mm、厚さ2.50mmとなるように、打錠した。
【0073】
素錠1錠当たりの処方は、次の通りである。
アトルバスタチンカルシウム三水和物 10.84mg
結晶セルロース 18.66mg
カルメロースカルシウム 15mg
酸化マグネシウム 30mg
カルメロースカルシウム 5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
【0074】
(2)素錠の被覆
上記(1)で得た素錠に、ポリビニルアルコール共重合体(商品名「ポバコートType F」(登録商標)、部分けん化ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、日新化成株式会社製)45部、タルク45部、酸化チタン10部を、エタノール/精製水の1/9(重量比)混液500部に溶解、分散して得られたコーティング液を用い、フィルムコーティング機(商品名「ドリアコーター DRC500/650」、株式会社パウレック製)にて、1錠重量が88mg、90mg、92mgになるまでコーティングを行って、実施例1〜3のアトルバスタチン含有被覆錠剤を得た。
【0075】
一方、上記(1)で得た素錠に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下「HPMC」という)(商品名「TC−5」、信越化学工業株式会社)22部、ポリエチレングリコール6000(以下「PEG6000」という)2部、タルク1部、酸化チタン2部を精製水200部に溶解、分散して得られたコーティング液を用い、フィルムコーティング機(商品名「ハイコーター HC−LABO」、フロイント産業株式会社製)にて、1錠重量が90mgになるまでコーティングを行って、比較例1のアトルバスタチン含有被覆錠剤を得た。
【0076】
表1に、被覆部分の処方を示した。
【0077】
【表1】
【0078】
次に、実施例2、実施例3及び比較例1で得たアトルバスタチン含有被覆錠剤について、溶出試験を行った。溶出試験方法及びHPLC測定法は、下記の通りである。
【0079】
溶出試験
日本薬局方14局の溶出試験法の第2法(パドル法)に準じて試験を実施し、5分後、10分後、15分後の溶出率を、HPLCを用いて測定した。
各検体量:1錠
試験液:精製水
パドル回転数:50rpm。
【0080】
HPLC測定法
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:242nm)
カラム:「Inertsil ODS−3」(粒度5μm、カラムサイズ3.0×150mm、GLサイエンス(株)製)
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:0.025mol/Lのリン酸塩緩衝液(pH4.5)/メタノール混液(3:7(容量比))
流量:アトルバスタチンの保持時間が約3分になるように調整する。
【0081】
表2に、溶出試験の結果を示す。
【0082】
【表2】
【0083】
図1に、実施例2、実施例3及び比較例1で得たアトルバスタチン含有被覆錠剤の溶出試験の結果を示したグラフを示した。
【0084】
表2及び図1より、アトルバスタチンカルシウムを含有する素錠を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆しても、主剤であるアトルバスタチンの溶出性が抑制されないことが明らかである。
【0085】
また、実施例2、実施例3及び比較例1で得たアトルバスタチン含有被覆錠剤の安定性試験を行った。安定性試験は、(1)60℃、(2)60℃60%RHの保存条件下で行った。
【0086】
開始時及び各安定性試験後の被覆錠剤について、HPLCを用いて、アトルバスタチンのピーク面積の百分率(%)を、調べた。測定方法は、下記の通りである。以下、安定性試験におけるピーク面積の測定は、同様の方法で行った。
【0087】
HPLC測定法
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:「Inertsil ODS−3」(粒度5μm、カラムサイズ4.6×250mm、GLサイエンス(株)製)
カラム温度:35℃付近の一定温度
移動相:0.025mol/Lのリン酸塩緩衝液(pH4.5)/アセトニトリル/テトラヒドロフラン混液(10:12:3(容量比))
流量:アトルバスタチンの保持時間が約9分になるように調整する。
面積測定範囲:アトルバスタチンの保持時間の4倍の範囲。
【0088】
表3にアトルバスタチンピーク面積(%)を示した。
【0089】
【表3】
【0090】
表4に、「100−アトルバスタチンピーク面積(%)」で算出した、総類縁物質ピーク面積(%)を、示した。
【0091】
【表4】
【0092】
表3及び表4より、アトルバスタチンカルシウムを含有する素錠を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することによって、類縁物質の生成が抑えられ、安定性が顕著に向上することが明らかである。
【0093】
実施例4〜6及び比較例2
(1)素錠の調製
高速撹拌造粒機(商品名「ハイスピードミキサーLFS−GS−2J」、深江パウテック株式会社製)に、結晶セルロース111.44g、クロスカルメロースナトリウム20g、酸化マグネシウム120gを仕込み1分間混合した。その後アトルバスタチンカルシウム三水和物43.36g及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(商品名「ポリソルベート80」、日本サーファクタント工業株式会社製)3.20gを、97.97gのジクロルメタン/エタノールの9/1(重量比)混液に溶解した液を投入し4分間造粒した。得られた造粒物を、棚式乾燥機(商品名「ミニジェットオーブン MO−921」、富山産業株式会社製)で、50℃3時間乾燥した。得られた乾燥物を22号篩で整粒し整粒物を得た。得られた整粒物に、クロスカルメロースナトリウム40g、ステアリン酸マグネシウム2gを加え混合機(商品名「V型混合機 VM−5」、不二パウダル株式会社製)にて3分間混合した。得られた混合物を単発打錠機(No.2B、株式会社菊水製作所製)にて、1錠重量85mg、直径6.0mm、厚さ2.55mmとなるよう打錠した。
【0094】
素錠1錠当たりの処方は、次の通りである。
アトルバスタチンカルシウム三水和物 10.84mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート 0.8mg
結晶セルロース 27.86mg
クロスカルメロースカルシウム 5mg
酸化マグネシウム 30mg
クロスカルメロースカルシウム 10mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
【0095】
(2)素錠の被覆
上記(1)で得た素錠に、ポリビニルアルコール共重合体(商品名「ポバコートType F」(登録商標)、日新化成株式会社製)20部、タルク20部、酸化チタン5部をエタノール/精製水の1/9(重量比)混液250部に溶解、分散して得られたコーティング液を用い、フィルムコーティング機(商品名「ハイコーター HC−LABO」、フロイント産業株式会社製)にて、1錠重量が90mg、95mg、100mgになるまでコーティングを行って、実施例4〜6のアトルバスタチン含有被覆錠剤を得た。
【0096】
一方、上記(1)で得た素錠に、HPMC(商品名「TC−5」、信越化学工業株式会社)22部、PEG6000 2部、タルク1部、酸化チタン2部を精製水200部に溶解、分散して得られたコーティング液を用い、フィルムコーティング機(商品名「ハイコーター HC−LABO」、フロイント産業株式会社製)にて、1錠重量が88mgになるまでコーティングを行って、比較例2のアトルバスタチン含有被覆錠剤を得た。
【0097】
表5に、被覆部分の処方を示した。
【0098】
【表5】
【0099】
また、実施例4、実施例5、実施例6及び比較例2で得たアトルバスタチン含有被覆錠剤の安定性試験を行った。安定性試験は、(1)60℃、(2)40℃、(3)60℃60%RH、(4)40℃75%RHの保存条件下で行った。
【0100】
開始時及び各安定性試験後の被覆錠剤について、HPLCを用いて、総類縁物質ピーク面積(%)を調べた。表6に、その結果を示した。
【0101】
【表6】
【0102】
また、図2に、開始時、並びに(1)60℃2週間及び(2)40℃1ヶ月の保存条件下における総類縁物質ピーク面積(%)の結果のグラフを示した。
【0103】
また、図3に、開始時、並びに(3)60℃60%RH2週間及び(4)40℃75%RH1ヶ月の保存条件下における総類縁物質ピーク面積(%)の結果のグラフを示した。
【0104】
表6、図2及び図3より、アトルバスタチンカルシウムを含有する素錠を、ポリビニルアルコール共重合体を含有する被覆剤で被覆することによって、類縁物質の生成が抑えられ、安定性が顕著に向上することが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明のアトルバスタチン含有被覆製剤は、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症等の患者の治療に有用な医薬として使用でき、アトルバスタチン製剤中のアトルバスタチン又はその薬理学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物の酸化分解が有効に抑制され、安定化されたアトルバスタチン含有被覆製剤として、特に有用である。従って、本発明は、製薬分野において有効に利用される。
図1
図2
図3